JP2004506608A - 半夏生抽出物を含有する抗癌剤用薬学組成物およびその製造方法 - Google Patents

半夏生抽出物を含有する抗癌剤用薬学組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、半夏生から抽出した新規化合物HNP−98701A(エピ−マナサンチンA,epi−manassantin A)、HNP−98701BおよびHNP−98701C(マナサンチンA,manassantin A)の抗癌剤としての用途とその製造方法およびこれを有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物に関するものであって、具体的に、半夏生をメタノールで抽出し、これを再び多数の有機溶媒で分画して最も優れた抗癌活性を示す酢酸エチル分画を薄膜クロマトグラフィまたはカラムクロマトグラフィで分離し、高速液体クロマトグラフィで精製して得た新規化合物HNP−98701AおよびHNP−98701B、既知の化合物HNP−98701Cとその誘導体、その製造方法およびこれらを有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物に関する。本発明の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cは、癌細胞株由来の細胞にのみ選択的に作用してアポトーシス(apoptosis)による細胞死滅を誘発するので、既存の抗癌剤よりも正常細胞に対する副作用は少ない上に抗癌活性が極めて優れた選択的な抗癌剤の開発に有用に使用されることができる。
【選択図】図1

Description

【0001】
[技術分野]
本発明は、半夏生から抽出した新規化合物のHNP−98701A(エピ−マナサンチンA、epi−manassantin A)、HNP−98701BおよびHNP−98701C(マナサンチンA、manassantin A)、またはこれらの混合物(HNP−98701)の抗癌剤としての用途とその製造方法およびこれらを有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物に関し、具体的には、半夏生をメタノールで抽出し、これを再び各種の有機溶媒で分画して最も優れた抗癌活性を示した酢酸エチル分画を薄膜クロマトグラフィ(thin−layer chromatography)またはカラムクロマトグラフィ(column chromatography)で分離し、高速液体クロマトグラフィ(high performance liquid chromatography)で精製して得た新規化合物のHNP−98701AおよびHNP−98701B、既知の化合物のHNP−98701C、またはこれらの混合物およびその誘導体、その製造方法およびこれらを有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物に関する。
【0002】
[背景技術]
東南アジア人のおよそ10%が肝炎保菌者であるが、この肝炎は肝硬化および肝癌の直接的な発病原因として知られてきている。肝癌患者の95%以上が肝炎によって発病したという統計報告があるし、特に、韓国人の肝癌発生率と肝癌による死亡率は世界1位である。1991年度の統計資料によれば、韓国人の肝癌発生率は人口10万人あたり24.1人であったし、1996年度の韓国保健福祉部資料によれば、肝癌の発生頻度は22.4%と胃癌の40.7%に続いて癌発生頻度において2位を占めている。また、1995年度の統計資料によれば、韓国人の肝癌死亡率は10万人あたりおよそ22.0人であって、癌死亡率において10万人あたり26.5人に登る胃癌死亡率に続いて2位を占めており、肝癌死亡率では世界1位である。
このように高い肝癌発生率と肝癌死亡率が社会的な問題として台頭しながら肝炎ワクチン、肝炎治療剤および肝癌治療剤などの研究開発と商品化が活発に進んできているが、現在まで開発された種々の治療法では諸問題が生じている。例えば、現在市中で使用されている肝炎ワクチンは、抗原性(antigenicity)が低いためワクチンとして有効でなく、肝炎治療剤は、その殆どが肝機能改善に焦点をおいて開発されたため肝炎ウイルスに対する直接的な効能が疑問視されている実情である。最近では肝炎ウイルスの増殖を阻害する作用機作を持つ肝炎治療剤が開発されたが、全ての肝炎患者に適用できないなどの問題点を抱えている。したがって、大多数の肝炎患者らは肝癌に進展するような危険に晒されているのである。
現在使用されている肝癌治療剤は、5−フルオロウラシル(5−fluorouracil、5−FU)、シタラビン(sytarabine)およびアルキルオキサン(alkyloxane)などがあるが、これらは癌細胞を死滅する機能よりは癌細胞の成長を阻害する機能に焦点をおいたものであって、肝癌の根元的な治療方法にはならない。また、肝癌の画期的な治療方法とされている”ホリウム−キトサン複合体治療剤”(DW−166HC)は、未だ臨床的にその安定性および効果が立証されていないため、今後多い患者を対象とした長期間の臨床試験を行わなければならなく、癌組織が2ヶ所以上の多数の臓器に広がっているか他の臓器に転移された場合、腹水または黄疸の症状がある場合、癌組織につながった血管が多数本である場合には、前記の治療方法が適用できないという問題点がある。しかも、前記治療法は病院で医者の施術のみによって治療が受けられるという制限性をもっている。
このように肝癌治療剤の開発というのは、肝が体内の全ての物質の代謝に関与するという特性を考慮するとき極めて難しいことであるが、正常細胞には最小限の毒性を示しながら肝癌細胞には最大限の毒性を示す選択的な活性物質を開発できるなら、画期的な肝癌治療剤として極めて有用に使用されると見られる。
一方、前立腺癌は、西欧では女性の乳房癌と略同一の割合で発病する男性疾患であって、現在米国で最も頻繁に診断される男性疾患の一つである。毎年およそ30万人の患者が前立腺癌の宣告を受け、前立腺癌によって死亡する患者数も毎年41,400人に上っていて、米国では癌による死亡原因中、肺癌に続いて2位を占めている。
最近、韓国でも60歳以上の老齢人口10万人あたり40人の割合で前立腺癌が発病しているが、特に、前立腺癌患者の大多数が初期には前立腺肥大症の病歴を持っていたと報告され、60歳以上の老人男子の60%以上を占める前立腺肥大症患者の、前立腺癌の発病に対する警覚心を高めている。しかし、前立腺癌治療における最大の問題点は、前立腺癌を治療する途中で性機能が麻痺される副作用が起こるため、殆どの男性たちが前立腺癌に対する挙論をはばかるという点であり、それだけにこれまでの前立腺癌に対する研究は相対的に無視されてきた。10年前までも前立腺癌を治療する方法は性機能と排尿抑制能力喪失などの副作用を誘発する手術法の以外には代案的な治療法がなかったものの、近来、前記問題点を克服するための不断な努力と研究結果、既存の治療法を新しい方式で応用する画期的な前立腺癌治療法が開発されるに至った。例えば、セルジェネシス(Cell Genesys)社の免疫システムを刺激する方法、アイシス製薬会社(Isis Pharmaceuticals Inc.)およびノバルティス社(Novartis AG)のアンチセンス(antisense)技術、イントロジェン・セラピューティクス社(Introgen Therapeutics Inc.)のadenoviral−p53遺伝子療法、テラジェニク社(Theragenics)の放射能治療法、ユロメド社(UroMed Corp.)のカバーマップサージカルエイド(CaverMap Surgical Aid)およびメルク社(Merck Co.)の前立腺肥大症治療剤のプロスカー(Proscar)などに関する研究が全世界的に盛んに行われているが、その研究成果は未だ初期段階に止まっている。
このように前立腺癌は男性の生殖器に発生する癌であって、最も頻繁に発病する男性疾患でありながらも治療時に起こる性機能障害という副作用のため、多くの患者がその事実を隠しているだけでなく、その全快もまた容易でない疾病である。したがって、前立腺癌治療剤における莫大な市場需要を考慮すると、正常細胞には最小限の毒性を示しながら前立腺癌細胞には最大限の毒性を示す選択的な天然物由来の活性物質を開発できるなら、これは前立腺癌治療剤として有用に使用され、ひいては全人類の健康増進にも貢献できると見込まれる。
一方、半夏生は、胡椒目(Piperales)ドクダミ科(Saururaceae)に属する植物であって、ドクダミ科植物は5属7種から構成されており、主として北米とアジアに分布している。全世界的に分布しているドクダミ属は半夏生(Saururus chinensis Baill)とアメリカ半夏生(Saururus cernuus)があり、韓国で自生するドクダミ科植物は半夏生と魚腥草(Houttuynia cordata Thunb)の2種が報告されている。これらはいずれも湿地で育つ多年草植物であって、一般薬剤市場では魚腥草が半夏生として流通されているなど混同して販売されているが、これらは厳然たる異種植物である。韓国において半夏生は、主として濟州道に自生しており、現在滅種危機の植物と指定されて復元事業が進行中であり、また、慶尚南道の居昌で大単位に栽培され、忠清南道の農村振興院で栽培試験が実施されるなど半夏生の栽培のための多くの研究が行われている。
半夏生は、多年草であって、根茎は白く、横に延びるし、髭根を持っている。高さはおよそ30ないし90cmであり、茎は直立し、毛がなく、下部は斜めに横たわっている。葉は互生し卵形か卵状披針形であって先が尖っており、葉柄がある。また、葉は、5ないし14cmの長さと4ないし6cm程度の幅を有し、5本の脈があり、初夏に茎上部の2ないし3枚の葉が白く変る特徴がある。花は陽性で白色であり、長さは10ないし15cmであり、開花期は6ないし8月であり、雄蕊は6ないし7個、雌蕊は1個、子房は3ないし5個の心皮をもっている。半夏生は開花期に茎上部に存在する3枚の葉が白色に変ることから三白草と呼ばれたり、根、葉および花などの3ヶ所が白いことからも三白草と呼ばれる。
このような特徴を有する半夏生は、古くから中国で民間薬として使われてきた薬草である。中薬大辞典には半夏生が清利湿熱、消腫および解毒作用があって水腫、脚気、黄疸、淋濁、帯下、癰腫および賽毒に効果があるとされている。清利湿熱および黄疸に効果があるということは肝臓疾患に効果があると意味である。
唐本草には半夏生が水腫、脚気、大小便の円滑な排泄、消痰破癖および除積聚の機能があるとされているが、破癖と除積聚に効果があるということは、肝硬化と癌に効果があるというのを意味すると考えられる。また、小便の円滑な排泄に効果があるというのは前立腺肥大症と癌に効果があるというのを意味する。
中国薬学大辞典でも半夏生は、水腫、脚気、大小便の円滑な排泄、消痰破癖および除積聚の機能があるとされており、中国医学大辞典では半夏生が消痰、破癖、除積聚、利大小便、治虐疾、治胸膈痰熱、治水腫、治脚気および療賽腫の機能があるとされている。
その他、本草拾遺、植物名実図考、嶺南采薬録、広西中薬志、本草推陳および湖南薬物志などでも半夏生の効用を記録しており、抗癌中薬一千方には半夏生が肝癌に効果があるとされている。
半夏生は韓国でも古くから民間薬として使われてきたが、原色天然薬物大辞典には半夏生が小便不利、水腫、淋濁、脚気、肝炎、黄疸および癰腫などに効果があることから、肝臓疾患、排尿機能および癌に有効であるとされている。
米国におけるアメリカ半夏生(Saururus cernuus)に対する研究では、ショーバル等が前記植物にセスキテルペン(sesquiterpene)系化合物が多数入っていると報告したし(Chaubal et al., Phytochemistry, 14:595−596,1975)、ラオ等はSC−8とSC−9といった新しいネオリグナン(neolignan)系活性物質を分離し、これらに神経弛緩作用(neuroleptic activity)があるということを報告した(Rao et al., Dissertation Abstract International, 45(6) : 2384B, 1981)。その後にもラオ等は持続的な研究を重なって半夏生からマナサンチンA、マナサンチンB(manassantin A、B)およびソーサーネオール(saucerneol)という物質を分離してそれぞれの構造を突き止めたが、この中でもマナサンチンAに強力な神経弛緩効果があることを見つけた(Rao et al., Tetrahedron Lett. 24(45):4947−4950, 1983)。前記の結果を基に、ラオ等はマナサンチンAの神経系内中枢抑制効果に対して研究するためにマナサンチンAのマウス毒性実験を行った結果、マナサンチンAをマウスの腹腔内に投与するときIC50は0.21±0.02mg/kgであって自発運動が減少され、アンフェタミン誘発常同症(stereotypy)が阻止されることを観察した。これに対し、マナサンチンAをLD50に到達する量で投与する場合にもハロペリドール(haloperidol)における強直症や眼瞼下垂症が観察されなかったことから、マナサンチンAが選択的に神経弛緩効果を示すということを報告した(Rao et al., Pharmacol. Res. Comm. 19(9) : 629−639, 1987)。また、ラオ等はアメリカ半夏生からラクタム(lactam)系化合物のアリストラクタムBII(aristolactam BII ; cepharanone)とソリストラクタム(sauristolactam)を新規に分離した(Rao et al., J. Nat. Prod., 53(2): 309−312, 1990)。
中国における半夏生(Saururus chinensis)に対する研究では、Xu等が全体フラボノイド(flavonoid)とハイペリン(hyperin)のクーロン滴定(coulometric titration)による半夏生の分析方法を報告したし(Xu et al., Acta Pharmaceutica Sinica, 21(4) : 306−309, 1986;薬物分析雑誌, 8(4) : 223−225, 1988)、ウァン等は半夏生から抽出したクロロホルム分画層に強力な抗高血圧活性があることを見出したし、半夏生からリグナン(lignan)系のソーチノン(sauchinone)、アントラキノン(anthraquinone)系のフィシオン(physcion)、エモジン(emodin)、フィシオン配糖体(physion−8−D−glucopyranose)およびアルカロイド(alkaloid)系のセファラノンB(cepharanone B)などを分離した(Wang et al., Heterocycles, 43(5) : 969−975, 1996)。
日本では半夏生に対する研究は皆無と言えるものの、魚腥草に対する研究は活発に行われている。
以上から調べたように、米国、中国、日本などを始めとした世界各国の半夏生研究では半夏生が抗癌活性を示すという何ら研究結果も報告されたことがなく、半夏生から有用な抗癌成分を分離したという結果もなかった。
韓国ではクァクが半夏草の水生エキス、メタノールエキス、ブタノール分画 抽出物およびクエルセチン(quercetin)に対する薬理作用および抗菌作用に対して実験した結果、鎮痛、解熱および消炎効果があると報告した(キョンヒ大学校博士学位論文、1988)。特に、クァクはアセチルコリン、バリウムおよびヒスタミンによって収縮されたマウスおよびギニーピッグ摘出反転腸管に対して前記の半夏生抽出物が弛緩効果を示したと報告したが、この結果は、ラオ等の研究結果と符合すると見られる。その他にもクァクは、前記分画のうち一部分画で抗ヒスタミン作用、血圧降下作用および抗菌作用が表れると報告した。チェは半夏生から揮発性成分、脂肪酸、アミノ酸およびフラボノイドを抽出分離し、半夏生の水抽出物が抗菌活性を示すことを報告した(キョンヒ大学校博士学位論文、1989)。これは、半夏生地上部の成分に関する研究において、テルペン系(terpenoids)と推定される成分を分離したが、この成分は生理活性機能を示さないと報告した(ソウル大学校修士学位論文、1988)。クォンは半夏生から肝細胞保護活性を持つ物質を分離してその構造を突き止めたし、この物質がフラボノイド系のクエルセチン配糖体であると報告した(ソウル大学校修士学位論文、1994)。
その他、チェおよびジョンによって半夏生のフラボノイド成分に関する研究(Analytical Science & Technology, 4(3) : 285−288, 1991 ; Analytical Science & Technology, 7(1) : 11−15, 1994 ; J. of Basic Sciences, Cheju Nat. Univ. 8(1) : 137−142, 1995)、精油成分に関する研究(Analytical Science & Technology, 2(2) : 259−262 , 1988 ; キョンヒ大学校論文集18 : 341−347, 1989 ; Cheju Nat. Univ. Journal 33 : 105−111, 1991)および脂肪酸とアミノ酸成分に関する研究(Analytical Science & Technology, 2(2) : 285−292, 1989 ; Cheju Univ. Jour. (Natural Sci.), 35 : 111−118, 1992)などが報告された。
前記のように韓国における半夏生に対する研究は、半夏生の成分を分析する基礎研究分野で活発に進行されているが、韓国だけでなく前述のように全世界的に半夏生から分離されたおよそ50種の成分のうち抗癌成分として報告されたか、抗癌活性を持っていると報告された成分は未だなかった。
また、半夏生に関連した特許も多くない。韓国以外の国では1件の特許(US Patent4,619,943)が米国で出願されたが、これはアメリカ半夏生由来のネオリグナン(Neolignan)系物質であるマナサンチンA(manassantin A)の神経弛緩および殺虫・殺線虫効果に関するものであって、抗癌効果に対する作用は記載されていない。韓国でも1件の特許(韓国特許公開96−31440)が出願された状態であり、これは、半夏生成分が一つのソリストラクタム系の化学的な誘導体を組成物とする抗癌剤に関するものであるが、本発明者が半夏生からソリストラクタムを分離し結晶化した後、抗癌活性を調査してみた結果、抗癌活性は検出されなかった。
前述の如く、半夏生は東・西洋ともにおいて肝臓および泌尿器系の除積聚および癌種治療などの新生物(neoplasm)治療に伝統的に使われてきたが、半夏生の抗癌成分に対する具体的な研究は報告されたことがない。今まで全世界的に半夏生から分離されたおよそ50種の成分のうち抗癌活性物質として知られた成分はなく、ただフラボノイド系のクエルセチン配糖体が抗癌活性と連関されていると推測している実情にある。
そこで、本発明者らは、これといった肝癌および前立腺癌治療剤がない現実を勘案し、肝癌および前立腺癌治療剤として有用に使用しうる薬学的組成物を提供するために研究を重ねた結果、臨床的に抗肝癌および抗前立腺癌に効き目のある半夏生を用いて正常細胞には影響を与えずに肝癌細胞および前立腺癌細胞にのみ選択的に作用する新規抗癌活性物質を分離するに至った。また、本発明者らは、半夏生から分離した抗癌活性を持つ新規先導物質が肝癌細胞および前立腺癌細胞に対して選択的に作用するということを突き止め、これを有効成分として含有させて肝癌および前立腺癌などの癌治療に極めて有用に使用しうる薬学的組成物を提供することによって本発明を完成するに至った。
【0003】
[発明の開示]
本発明の目的は、半夏生由来の抗癌活性を持つ新規化合物HNP−98701A(エピ−マナサンチンA)、HNP−98701Bと既知の化合物HNP−98701C(マナサンチンA)、またはこれらの混合物(HNP−98701)およびこの誘導体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、前記抗癌活性を持つ新規化合物HNP−98701A、HNP−98701Bおよび既知の化合物HNP−98701Cを半夏生から抽出する製造方法を提供することにある。
また、本発明のさらに他の目的は、前記抗癌活性を持つ新規化合物HNP−98701A、HNP−98701Bおよび既知の化合物HNP−98701C、またはこれらの混合物(HNP−98701)を有効成分として含有する薬学的組成物を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明者らは、下記一般式1、一般式2および一般式3で表される抗癌活性を持つ半夏生由来の新規化合物質、その誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0004】
【化1】
Figure 2004506608
【0005】
式中、R1は、メチル基、アセチル基、アルキル基、アルケン基、アルキン基、アミン基、アミド基、シアノ基、チオシアノ基、アルデヒド基またはハロゲン原子から選択され、それぞれ同じでも異なってもいい。
前記一般式1において、R1がHである抗癌活性を持つ新規化合物HNP−98701Aは下記一般式4で表され、マナサンチンAのエピマー(epimer)として存在する。
【0006】
【化4】
Figure 2004506608
【0007】
また、前記一般式1において、R1に−COCHまたは−CHが置換されたアセチル誘導体またはメチル誘導体も抗癌活性を示す。
【0008】
【化2】
Figure 2004506608
【0009】
式中、R1は、メチル基、アセチル基、アルキル基、アルケン基、アルキン基、アミン基、アミド基、シアノ基、チオシアノ基、アルデヒド基またはハロゲン原子から選択され、それぞれ同じでも異なってもいい。
前記一般式2において、R1がHである抗癌活性を持つ新規化合物HNP−98701Bは下記一般式5で表され、マナサンチンAとエピ−マナサンチンAとの混合型の構造を持つ。
【0010】
【化5】
Figure 2004506608
【0011】
また、前記一般式2において、R1に−COCHまたは−CHが置換されたアセチル誘導体またはメチル誘導体も抗癌活性を示す。
【0012】
【化3】
Figure 2004506608
【0013】
式中、R1は、メチル基、アセチル基、アルキル基、アルケン基、アルキン基、アミン基、アミド基、シアノ基、チオシアノ基、アルデヒド基またはハロゲン原子から選択され、それぞれ同じでも異なってもいい。
前記一般式3において、R1がHである抗癌活性を持つ化合物HNP−98701Cは下記一般式6で表されるマナサンチンAであって、そのエピマーもまた抗癌活性を示す。
【0014】
【化6】
Figure 2004506608
【0015】
また、 前記一般式3において、R1に−COCHまたは−CHが置換されたアセチル誘導体またはメチル誘導体も抗癌活性を示す。
また、前記一般式1、2、3の混合物も抗癌活性を示す。
本発明の一般式 1、2および3の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態に使用することができ、塩としては薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。一般式1、2および3の化合物は当該技術分野で通常の方法によって薬剤学的に形容される酸付加塩を形成することができる。遊離酸としては有機酸と無機酸を使用することができ、無機酸としては塩酸、臭酸、硫酸、リン酸などを使用することができ、有機酸としてはクエン酸(citric acid)、酢酸、乳酸、スズ酸(tartaric acid)、マレイン酸、フマル酸(fumaric acid)、ホルム酸、プロピオン酸(propionic acid)、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、グリコール酸、コハク酸、4−トルエンスルホン酸、ガラックトロン酸、エムボン酸、グルタミン酸またはアスパルト酸などを使用することができる。
本発明の抗癌活性を持つ新規化合物HNP−98701A(エピ−マナサンチンA)、HNP−98701BおよびHNP−98701C(マナサンチンA)、またはこれらの混合物(HNP−98701)は、半夏生をメタノールで抽出した後、多種の有機溶媒で分画して得た有機溶媒抽出分画のうち最も優れた抗癌活性を示す酢酸エチル抽出分画を薄膜クロマトグラフィまたはカラムクロマトグラフィで分離して高速液体クロマトグラフィ法で精製して製造された。前記一般式4および6に表されているように、本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701Aは、HNP−98701Cにおいて水酸基(−OH)の位置が変ったマナサンチンAの異性体(isomer)であるエピマー(epimer)であって半夏生からは始めて分離されたし、HNP−98701AおよびHNP−98701Cはそれぞれエリスロ(erythro)型のエピ−マナサンチンA(epi−manassantin A)構造およびスレオ(threo)型のマナサンチンA(manassantin A)構造を持っている。
また、本発明のHNP−98701Bは、HNP−98701AおよびHNP−98701CのNMRデータを共有しているので、前記一般式5に示すように、マナサンチンAの一方の水酸基はスレオ(threo)型であり、もう一方の水酸基はエリスロ(erythro)型である対称構造を持っている。
本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの物理・化学的特性を性状、溶解度、紫外線分光分析法、赤外線分光分析法、質量分析法および核磁気共鳴分光分析などで分析した結果は下記のようとなる。
(1) 性状
本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cはいずれも白色を帯び、無臭の特性を表す。
(2) 溶解度
本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cはメタノール、エタノール、酢酸エチル、クロロホルムおよびジメチルスルホキシド(DMSO)などには極めてよく溶解されるに対し、水、アセトン、エーテルおよびへキサンなどには溶解されない。
(3) 紫外線分光分析法
本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの紫外線吸収スペクトルを調査した結果、前記物質のいずれも230nmおよび280nmにおいて吸収帯を表す。
(4) 赤外線分光分析法
本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの赤外線吸収スペクトルはいずれも同一である。具体的に、これらの物質の吸収帯は波数3,442cm−1、2,962cm−1、2,927cm−1、1,652cm−1、1,607cm−1、1,511cm−1、1,418cm−1、1,264cm−1、1,138cm−1、1,029cm−1、855cm−1、810cm−1および750cm−1で表れる。3,442cm−1の吸収帯は水素結合のある水酸化基(OH)によるものであり、2,962cm−1および2,927cm−1の吸収帯は−CH基によるものである。1,652cm−1、1,607cm−1および1,418cm−1の吸収帯は芳香族環の炭素二重結合(C=C)によるものであり、1,511cm−1の吸収帯は芳香族環の1、2および4番炭素位置に水素(H)以外のものが置換されて表れたものであり、1,138 cm−1および1,029cm−1の吸収帯はC−O基によるものである。また、855cm−1、810cm−1、および750cm−1の吸収帯は芳香族環の=CH基の面外(out−of−plane)曲げ振動によるものである。
(5) 質量分析法
本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの分子量は、FAB+質量分析法によっては分子量が754と表れ、核磁気共鳴分光分析結果と一致しなかったが、EI+質量分析法によっては分子量が732と表れ、一致した。
(6) 核磁気共鳴分光分析
本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の化合物HNP−98701AおよびHNP−98701Cを核磁気共鳴分光分析法で調査し、H−NMRおよびC−NMR結果を下記表1に表したし、HNP−98701BはHNP−98701AおよびHNP−98701Cの結果を共有する。
【0016】
【表1】
Figure 2004506608
【0017】
本発明は、抗癌活性を持つ半夏生由来の新規化合物HNP−98701A、HNP−98701Bおよび既知の化合物HNP−98701Cの分離によるそれぞれの抽出物および分離物質を提供する。
前記目的を達成するために、本発明は、半夏生を低級アルコールで抽出して得た半夏生抽出物、半夏生をメタノールで抽出した後ヘキサノクロロホルム、酢酸エチルおよびブタノールなどの有機溶媒で再び抽出して得た半夏生有機溶媒抽出分画および半夏生から分離した有機溶媒抽出分画をシリカゲルの充填されたカラムクロマトグラフィ(Column Chromatography)で分離して得た分離物質が抗癌活性を示すことを確認した。
また、本発明は、抗癌活性を持つ半夏生由来の新規化合物HNP−98701A、HNP−98701Bおよび既知の化合物HNP−98701Cの酸およびアルカリによる分解物を提供し、前記化合物の各種分解物もやはり抗癌活性を示す。
なお、本発明は、半夏生由来の新規化合物HNP−98701A、HNP−98701Bおよび既知の化合物HNP−98701Cを抽出する製造方法を提供する。
前記製造方法は、
1) 半夏生を低級アルコールに浸漬して繰り返し抽出する段階;
2) 前記低級アルコール抽出物に各種有機溶媒を加えて抽出する段階;
3) 前記各種有機溶媒抽出分画をクロマトグラフィ(Chromatography)で分離して抗癌活性物質を得る段階;および
4) 前記分離されたそれぞれの抗癌活性物質を精製する段階;から構成される。
最後に、本発明は、前記製造方法によって半夏生から分離された抗癌活性を持つ新規化合物HNP−98701A、HNP−98701Bおよび既知の化合物HNP−98701C、またはこれらの混合物(HNP−98701)を有効成分として含有する薬学的組成物を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、半夏生から抗癌活性を持つ半夏生抽出物を分離する。
このために、本発明者らは、半夏生を低級アルコールに浸漬して繰り返し抽出することによって抗癌活性を示す半夏生のアルコール分画を得た。このとき、使用される半夏生は天然または人工栽培のいずれのものであってもよく、生草、乾草、地上部、根、および茶に利用されて残った残渣などを使用し、アルコールにはメタノールを使用するのが好ましい。
このように半夏生をメタノールを利用して抽出した後、再び有機溶媒を用いて抽出した抗癌活性を持つ半夏生抽出物を分離する。
具体的に、本発明者らは、半夏生の全草をメタノールで抽出して濃縮した後、各種の有機溶媒を使って分画することによって抗癌効果に優れた半夏生の各種の溶媒抽出分画を製造した。
このとき、有機溶媒を利用した抽出は比極性溶媒から極性溶媒の順に施し、有機溶媒は低級アルコールを含め酢酸エチル、へキサン、クロロホルムまたはブタノールなどが使用され得る。好ましい実施例として、本発明は、ノルマル−へキサン、クロロホルム、酢酸エチルおよびブタノールなどを順次に使用してそれぞれの溶媒抽出分画および水分画を製造したし、特に、酢酸エチルを使用して得た半夏生抽出物が最も優れた抗癌効果を示すことを確認した。前記のような溶媒を使用した溶媒抽出時、半夏生を抽出する温度は4ないし100℃範囲が好ましく、室温または4ないし30℃範囲がさらに好ましい。
前記の半夏生から分離した有機溶媒抽出分画をシリカゲルの充填されたカラムクロマトグラフィを利用して抗癌活性を持つ物質を分離するために、本発明者らは、前記の最も優れた抗癌活性を示した酢酸エチル抽出分画を濃縮した後、これをメタノールや酢酸エチルに溶解してシリカゲルの充填されたカラムクロマトグラフィに点滴し、ノルマル−へキサン、酢酸エチルおよびメタノールを様々な組成比率で混合した有機溶媒を使って溶出・濃縮した後、薄膜クロマトグラフィで分離して抗癌活性を示す分離物質を製造した。
薄膜クロマトグラフィ分析結果、抗癌活性を持つ分離物質の移動率(run of flow : Rf)は0.01ないし0.5の間に位置しており、この移動率付近の分画を集めて反復的に濃縮して抗癌活性を持つ物質を分離し、前記化合物をHNP−98701と命名した。
その後、プレップ薄膜クロマトグラフィ(Prep−Thin Layer Chromatography : prepTLC)を利用して前記化合物HNP−98701から3種の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cを分離する。
このために、本発明者らは、半夏生由来の化合物HNP−98701分画を濃縮した後、これをメタノールや酢酸エチルに溶解してシリカゲルを塗布したプレップ−薄膜クロマトグラフィに点滴した後、ノルマル−へキサン、酢酸エチルおよびメタノールを様々な組成比率で混合した有機溶媒を使って溶出した。プレップ−薄膜クロマトグラフィ分析結果、前記HNP−98701分画の移動率は0.2ないし0.9の間でそれぞれ3ヶ所に分けて位置しており、3ヶ所のバンドをそれぞれ別々に集めて反復的に濃縮して抗癌活性を持つ3種の物質を分離し、前記化合物のそれぞれをHNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cと命名した。
このように分離した抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cをさらに精製するために、本発明者らは、ノルマル−へキサンと酢酸エチルに対する溶解度の相違を利用した溶媒沈殿法で黄色の色素を除去して白色の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cを製造し、これら化合物の純粋度を高速液体クロマトグラフィ法(High Pressure Liquid Chromatography : HPLC)を使って測定した結果、純度が極めて高い物質であることを確認した。
最後に、本発明は、半夏生由来の抗癌活性を持つ一般式1ないし3で表される化合物、またはこれらの混合物およびその誘導体を有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物を提供する。
本発明の半夏生由来の一般式1ないし3で表される化合物およびその誘導体は、臨床投与時に筋肉または静脈注射剤のような形態の非経口投与だけでなく、経口にも投与することができ、一般的な医薬品製剤の形態で既存の抗腫瘍医薬品と併用して使用されることができる。
すなわち、本発明の一般式1ないし3で表される化合物およびその誘導体は、 実際臨床投与時に経口および非経口の様々な剤形で投与され得るが、製剤化する場合には通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦型剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は一つ以上の一般式1ないし3の抽出物に少なくとも一つ以上の賦型剤、例えば殿粉、カルシウムカーボネート(Calcium carbonate)、スクロース(Sucrose)またはラクトース(Lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦型剤以外にマグネシウムスティレートタルクのような潤滑剤等も使用される。経口のための液状製剤としては懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、普通使用される単純希釈剤のパラピン液以外に、様々な賦型剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもいい。非経口投与のための製剤には滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、油剤、凍結乾燥製剤、座剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁用剤としてはプロピレングリコール(Propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用され得る。座剤の基剤としてはwitepsol、Macrogol、tween61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用され得る。
前記薬学的組成物の有効成分として含有される抗癌活性を持つ半夏生由来の一般式1ないし3で表される化合物、またはこれらの混合物およびその誘導体の有効量は、0.1ないし3.0mg/kgが好ましく、0.3ないし1.0mg/kgがさらに好ましく、1日1回投与される。
本発明の半夏生由来の抗癌活性を持つ一般式1ないし3で表される化合物は、正常細胞由来の細胞株には毒性を示さないに対し、肝癌および前立腺癌細胞由来の癌細胞株には選択的に作用して細胞死滅を誘導する特性をもっているため、これを有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物は、肝癌、乳房癌、咽喉癌、黒色腫、肺癌、前立腺癌、直臓癌、胃癌、子宮頸部癌、食道癌、舌癌、口腔癌、膵臓癌、甲状腺癌、白血病および骨髄癌などの治療に使用されることができ、好ましくは肝癌、前立腺癌、乳房癌、咽喉癌、黒色腫および胃癌などの治療に有用に使用されることができ、さらに好ましくは肝癌および前立腺癌などに効果的な治療剤として使用されることができる。
それ以外にも、本発明の抗癌活性を持つ半夏生由来の一般式1ないし3で表される化合物およびその誘導体を有効成分として含有する薬学的組成物は、機能性食品または食品添加剤および機能性飲料または飲料添加剤、抗癌化粧品添加剤、抗癌石けん添加剤および抗癌シャンプ添加剤などに有用に使用されることができる。
【0018】
[発明を実施するための最善の実施形態]
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の内容が下記実施例に限定されるのではない。
【0019】
<実施例1> 半夏生からメタノール抽出物の製造
乾いた半夏生全草100gを粉末にしてメタノール1 Lに浸漬した後、室温で3日間抽出した。前記抽出物をろ過した後、残渣は再びメタノールで繰り返し抽出したし、この過程を総3回繰り返し施した。このときに得たろ過後のろ液は20ないし60℃で濃縮してメタノール抽出物8gを製造した。
前記過程で製造したメタノール抽出物の抗癌活性は、これをジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、以下、 ”DMSO”と略す)に溶解した後、下記実験例1のMTT分析を行って確認した(表2)。
【0020】
<実施例2>メタノール抽出物から各種の有機溶媒抽出分画の製造
<2−1>へキサン抽出分画の製造
前記実施例1で製造したメタノール抽出物5gを蒸留水100mlに懸濁して500mlの分画漏斗に入れ、ノルマル−へキサン100mlを入れて振とうした後、5時間静置させてノルマル−へキサンに移行される物質を集めたし、これを4回繰り返し施した。前記得たノルマル−へキサン層を集めてろ過した後、これを濃縮してへキサン抽出分画0.8gを製造した。
前記過程で製造したへキサン抽出分画の抗癌活性は、これをDMSOに溶解させた後、下記実験例1のMTT分析を行って確認した(表2)。
【0021】
【表2】
Figure 2004506608
【0022】
<2−2>酢酸エチル抽出分画の製造
前記実施例2−1でへキサン抽出分画を製造して残った水層100mlに酢酸エチル100mlを入れて振とうした後5時間静置させて酢酸エチルに移行される物質を集めたし、これを4回繰り返し施した。ここで得た酢酸エチル層を集めてろ過した後濃縮して酢酸エチル抽出分画1.7gを製造した。
前記過程で製造した酢酸エチル抽出分画の抗癌活性は、それをDMSOに溶解した後、下記実験例1のMTT分析を行って確認した(表2)。
【0023】
<2−3>ブタノール抽出分画の製造
前記実施例2−2で酢酸エチル抽出分画を製造して残った水層100mlにブタノール100mlを入れて振とうした後5時間静置させてブタノールに移行される物質を集めたし、これを4回繰り返し施した。ここで得たブタノール層を集めてろ過した後濃縮してブタノール抽出分画3.6gを製造した。
前記過程で製造したブタノール抽出分画の抗癌活性は、それをDMSOに溶解させた後下記実験例1のMTT分析を行って確認した(表2)。
【0024】
<2−4>水抽出分画の製造
前記実施例2−3でブタノール抽出分画を製造して残った水層100mlを集めてろ過した後濃縮して水抽出分画1.9gを製造した。
前記過程で製造した水抽出分画の抗癌活性は、それをDMSOに溶解した後、下記実験例1のMTT分析を行って確認した(表2)。
【0025】
<実施例3>酢酸エチル抽出分画からカラムクロマトグラフィによる抗癌活性物質HNP−98701の分離
前記実施例2で製造した多数の有機溶媒抽出分画のうち最も優れた抗癌活性を表した酢酸エチル抽出分画1gを、酢酸エチル2mlに溶解した後シリカゲル(Merck Co.)の充填されたカラムの上端部に注入し、海砂で覆って有機溶媒を使って溶出した。溶出溶媒としてはノルマル−へキサン、2:1、1:1、2:3、1:2および1:4組成のノルマル−へキサン:酢酸エチルを使用して順次に溶出した後、再び酢酸エチル、20:1および10:1組成の酢酸エチル:メタノールを使用して順次に溶出した。溶出された各分画の抗癌活性は、下記実験例1のMTT分析によって確認したし、抗癌活性を持つ活性分画を2次、3次および4次カラムクロマトグラフィを繰り返し溶出した。溶出溶媒としてノルマル−へキサン:酢酸エチル=1:2ないし1:4を使って抗癌活性を示す黄色の物質を分離したし、本発明者らは前記化合物をHNP−98701と命名した。
前記実施例において各段階別に製造された分離分画の抗癌活性は、それをDMSOに溶解した後、下記実験例1のMTT分析を行って確認した(表3)。
【0026】
【表3】
Figure 2004506608
【0027】
<実施例4>薄膜クロマトグラフィを利用した化合物HNP−98701からの三つの抗癌活性物質HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの分離
前記実施例3でカラムクロマトグラフィによって分離された抗癌活性を持つHNP−98701 70mgを酢酸エチル0.5mlに溶解してプレップ−TLC(Merck Co.)1枚に点滴した後、展開溶媒を使って展開した。1:2組成のノルマル−へキサン:酢酸エチルを展開溶媒として使用して数回繰り返し展開した結果、化合物HNP98701の移動率は0.2ないし0.9の間でそれぞれ3ヶ所に分けて位置しているが、移動率の最も大きいバンドの化合物をHNP−98701A、移動率が中間であるバンドの化合物をHNP−98701B、移動率の最も低いバンドの化合物をHNP−98701Cと命名したし、3ヶ所のバンドをそれぞれ別々に集めて乾燥して抗癌活性を持つ微黄色の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cを分離した。
【0028】
<実施例5>溶媒沈殿法を利用した抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの精製
前記実施例4で分離した抗癌活性を持つ微黄色の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701C 10mgずつを1mlの酢酸エチルに溶解した後、ノルマル−へキサンを少しずつ添加して沈殿物が生成されることを確認した。前記混合液を冷蔵室に一夜放置した後ろ過し、白色の化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの沈殿物を得た。
【0029】
<実施例6>抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの純粋度測定
前記実施例5で溶媒沈殿法で精製された白色の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの純粋度を調査するために、高速液体クロマトグラフィ(High Pressure Liquid Chromatography、以下”HPLC”と略す)を行った。
具体的に、それぞれの化合物10mgをメタノール1mlに溶解して試料を用意した後、これらの試料をハイパーシル−BDS C18カラム(hypersil−BDS C18 column、 Hewlett Packard)に注入し、メタノールと蒸留水を移動相として使って分離した。50分にかけて分あたり0.5mlの速度で蒸留水:メタノールの比率が蒸留水100%からメタノール100%になるまで分あたり2%ずつ順次的に変化させながら吸収帯の様状を確認した結果、30分帯で明らかに区分される大きい吸収帯が単一バンドで存在するのが確認されたことから、それらの化合物の純度が極めて高いことを確認した。
このように分離された純度の極めて高い3種の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの抗癌活性は、それをDMSOに溶解した後、下記実験例1のMTT分析を行って確認したし、前記3種の化合物が混合されたHNP−98701をDMSOに溶解して下記実験例2の動物毒性実験に使用した(表4、5、6および7)。
【0030】
【表4】
Figure 2004506608
【0031】
【表5】
Figure 2004506608
【0032】
【表6】
Figure 2004506608
【0033】
【表7】
Figure 2004506608
【0034】
<実施例7>抗癌活性を持つ化合物HNP−98701Cの誘導体合成
<7−1>アセチル誘導体合成
前記実施例5で精製された抗癌活性を持つ化合物HNP−98701Cのアセチル誘導体を合成するために、化合物HNP−98701C 15.9mgに無水酢酸(acetic anhydride、Ac2O)とピリジン(pyridine)を入れて室温で8時間反応させて生成された反応物を酢酸エチルに溶解した後2:1組成の酢酸エチル:へキサンを展開溶媒としてプレップ−TLCで分離した結果、非反応物質(OAc−s)、1個の−OH基にのみ反応されたアセチル誘導体(OAc−1)および2個の−OH基ともに反応されたアセチル誘導体(OAc−2)をそれぞれ4.2mg、6.9mgおよび3.0mgずつ獲得した。前記のように製造されたそれぞれのアセチル誘導体の抗癌活性は、下記実験例1のMTT分析を行って確認した(表8)。
【0035】
【表8】
Figure 2004506608
【0036】
<7−2>メチル誘導体合成
前記実施例5で精製された抗癌活性を持つ化合物HNP−98701Cのメチル誘導体を合成するために、化合物HNP−98701C 17.7mgにNaHとCH3Iを入れて室温で8時間反応させて生成された反応物を酢酸エチルに溶解した後、2:1組成の酢酸エチル:へキサンを展開溶媒として分離した結果、非反応物質(OMe−s)、1個の−OH基にのみ反応されたメチル誘導体(OMe−1)および2個の−OH基ともに反応されたメチル誘導体(OMe−2)をそれぞれ8.5mg、7.0mgおよび1.9mgずつ獲得した。このように製造されたそれぞれのメチル誘導体の抗癌活性は、下記実施例1のMTT分析を行って確認した(表8)。
【0037】
<実験例1>MTT分析を利用した抗癌活性測定
前記実施例1ないし7で製造した各段階別抽出物および分離物質の抗癌活性を調査するためにMTT分析を行った。
具体的に、肝癌細胞株のSK−Hep−1細胞を3×105cells/mlの濃度で96−ウェルマイクロプレート(Falcon、USA)にウェル(well)あたり100μlずつ添加した。前記実施例で分離されてDMSOに溶解させた抽出物および分離物質等を100μlずつウェルに添加して最終濃度50μg/mlから0.0244μg/mlまで1/2ずつ希釈した後、最終体積が200μlになるように合わせ、37℃、5% CO2培養器で48時間培養した。培養し終わった後、MTT(3−[4,5−dimethylthiazol−2−y1]−2,5−diphenyltetrazoliumbromide, Sigma Co.)試薬を5mg/ml濃度に含めているリン酸塩緩衝溶液を各ウェルに20μlずつ添加し、4時間培養した。前記培養液の上層液を100μl取って0.04 N塩酸−イソプロパノール100μlを添加した後、一夜放置し、これを自動ELISAリーダ(Molecular Divices Corp., USA)を用いて560nmで吸光度を測定した。各段階別抽出物および分離物質の抗癌活性は、前記のように測定された吸光度値から下記数学式1によって換算された細胞生存率であって、下記の表に表した。
【0038】
【数1】
Figure 2004506608
【0039】
また、各段階別抽出物および分離物質の中で平均生存率が50%となる試料の LD50を求めて肝癌細胞株に対する抗癌活性を調査した結果、本発明で分離した抽出物および分離物質が既存に肝癌治療剤に使用されていたシスプラチン(cisplatin)、5−フルオロウラシル(5−fluorouracil : 5−FU)およびアドリアマイシン(adriamycin;doxorubicin)よりも優れた抗癌活性効果を示すことが分かった(表2、表3、表4、表5、表6、表7および表8参照)。
【0040】
<実験例2>動物実験を通じた化合物HNP−98701の抗癌活性測定
前記実験例1の表4および表5に表すように、本発明の半夏生由来の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cは、肝癌細胞株および前立腺癌細胞株に対して極めて優れた細胞死滅効果を示した。したがって、これらHNP−98701A、HNP−98701BおよびHNP−98701Cの混合物(HNP−98701)の抗癌活性を確認するために動物実験を行った。
具体的に、肝癌細胞株(SK−Hep−1)および前立腺癌細胞株(DU−145)をヌードマウス(balb/c athymic nude mouse)の背中に皮下移植して腫瘍サイズが150ないし200mmに達したとき本発明の抗癌活性を持つHNP−98701を腹腔注射(ip)した。注射後2週から5週まで腫瘍の体積を下記数学式2によって測定し、腫瘍組織を切片にして染色した後、顕微鏡で観察した。
【0041】
【数2】
Figure 2004506608
【0042】
このとき、aは腫瘍の長い方の直径を、bは腫瘍の短い方の直径を意味する。
その結果、本発明の化合物HNP−98701非処理群の腫瘍サイズに対するHNP−98701薬剤処理群の腫瘍サイズを相対的な比率で示すと、前立腺癌の場合、HNP−98701が1mg/kg投与された処理群は非処理群に比べて89%、HNP−98701が3mg/kg投与された処理群は非処理群に比べて85%の腫瘍増殖抑制効果を示した(図1)。また、腫瘍組織のHE染色スライドを顕微鏡で観察した結果、本発明の化合物HNP−98701処理群は非処理群に比べて腫瘍内部組織の壊死が多く見られた。
一方、肝癌の場合には、本発明の化合物HNP−98701非処理群の腫瘍が200ないし250mmサイズからそれ以上増殖しなかったためHNP−98701処理群の抗癌活性効能を比較できなかったが、腫瘍組織のHE染色スライドを顕微鏡で観察した結果、非処理群とは異なり、HNP−98701処理群の腫瘍組織において非処理群に比べて腫瘍外部に白血球膜が形成されていることが見つけられた。このように腫瘍外部に白血球膜が形成されるというのは、化合物HNP−98701が癌細胞に影響を及ぼして白血球などの攻撃が容易になりながら細胞死滅が誘導されると解釈でき、これによって本発明の化合物HNP−98701が前立腺癌と肝癌に優れた効能があると言える。
【0043】
<実験例3>DNA切片化抽出法による化合物HNP−98701の細胞死滅類型調査
細胞死滅(cell death)の類型は、大きく、アポトーシス(Apoptosis)と壊死(Necrosis)に区分されるが、アポトーシスは細胞が外部から刺激を受けると細胞内に細胞死滅を誘導する各種信号(signal)が伝達されて細胞が死ぬ類型であり、壊死は外部の急な環境変化や衝撃によって細胞が破壊されて死ぬ類型である。したがって、本発明の化合物HNP−98701によって細胞がアポトーシス類型に死滅されるとしたら、これは細胞内の作用機作による反応結果なので、本発明の化合物HNP−98701の抗癌剤としての利用可能性をさらに期待できるのである。
細胞死滅の類型を確認する一般的な方法は、試料を処理した細胞から抽出したDNAを電気泳動してDNA様状(pattern)を確認するものであって、DNAが一定なサイズの弟子形として表れるとアポトーシスによる細胞死滅であり、DNAが無作為的に表れると壊死による細胞死滅と言える。
これに基づき、本発明の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701の細胞死滅類型を確認するために、DNA切片化抽出法(DNA fragmentation extraction)を行った。具体的に、DNA切片化抽出法が容易であるU937細胞を3 x 10cells/mlの細胞数で10mlずつ用意して本発明のHNP−98701を10μg/ml、5μg/mlおよび1μg/mlずつ処理し、対照区としてHNP−98701を処理しなかったものとシスプラチン10μg/ml、アドリアマイシン10μg/mlを処理したものを使用したし、これらを全て37℃で24時間培養した。培養済みの細胞を遠心分離して試験管に集めてリン酸塩緩衝溶液で洗浄した後、前記細胞に溶血緩衝溶液(lysis buffer,0.25%NP−40 in TBE buffer)500μlを添加した。前記細胞溶液にRNA分解酵素(RNase、100μg/ml)とタンパク質分解酵素(Proteinase K、0.1ないし1μg/ml)を処理して37℃で30分間反応させた後フェノル:クロロホルム(phenol:chloroform)抽出およびエタノール沈殿を通じてDNAを分離した。前記DNAを1.3ないし1.5%アガローズゲルに電気泳動(agarose gel electrophoresis)を行ってDNA様状(pattern)を確認した。
その結果、本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701を処理した細胞のDNAはアポトーシスの典型的な特徴である弟子形様状(ladder pattern)を表したが、これは化合物HNP−98701がアポトーシス作用機作によって細胞死滅を誘発することを意味する。
【0044】
<実験例4>細胞周期に対する化合物HNP−98701の作用
前記実験例3で確認したように、アポトーシスを通じて細胞死滅を誘導する本発明の化合物HNP−98701が細胞内のどの信号伝達機作を通じて作用するか確認するために、細胞周期に関連した成分に対するHNP−98701のキナーゼ反応活性(kinase reaction activity)を調査した。細胞周期に関連した成分としてはG1−S期(phase)に関与するCDK2、G1期に関与するCDK4、G2−M期に関与するCdc2(CDK1)があるが、これらのキナーゼ活性(kinase activity)が抑制されると正常的な細胞分裂を進行できないので、細胞はアポトーシスを誘発する。したがって、本発明の化合物HNP−98701を処理した細胞のCDKsに対するキナーゼ活性を調査すると、HNP−98701が細胞周期(cell cycle)のどの時期に関与するか分かる。
キナーゼ活性を確認する一般的な方法は、細胞からCDKsだけを分離してCDKsそのもののキナーゼ活性を確認する方法と、細胞に試料を処理した後CDKsだけを分離して細胞内CDKsの量を確認する方法がある。
【0045】
<4−1>CDK2キナーゼ活性反応測定(分離したCDK2に薬剤処理)
まず、本発明者らは、半夏生由来の化合物HNP−98701が細胞周期のうちG1−S期に関与して細胞死滅を誘発するか調査するためにG1−S期のCDK2キナーゼ活性を確認した。
具体的に、マウス皮下結合組織細胞株であるL929細胞と胎児変形腎臓細胞株である293細胞を100−mm組織培養皿(tissue culture dish)で十分に培養した後、リン酸塩緩衝溶液で2回洗浄した。前記細胞にRIPA緩衝溶液(RIPA buffer、50mM Tris−HCl、pH 7.5、150mM NaCl、1% NP−40、0.5% deoxycholic acid、0.1% SDS、1mM PMSF)1mlを添加して細胞を溶解(lysis)させた後、遠心分離を通じて細胞残余物(cell debris)を除去し、細胞タンパク質(cellular protein)の含まれた溶液を得てタンパク質を定量した。前記溶液に抗−Cdk2抗体(rabit polyclonal IgG、Upstate Biotechnology Inc.)をタンパク質3mgあたり1ないし10μgずつ添加し、4℃で1時間にかけて徐々に混合した。前記溶液内Cdk2に結合した抗体と反応させるためにタンパク質−Gアガローズ(protein−G agarose、Santa Cruz Biotechnology Inc.)15μlを添加して同一の条件で混合した後、遠心分離してCdk2に結合したタンパク質−Gアガローズを試験管に集め、これをRIPA緩衝溶液で2回、20 mM HEPES緩衝溶液で3回洗浄してキナーゼ活性反応に使用する免疫沈降物(Immunoprecipitate)を用意した。前記免疫沈降物に適当量のHEPES緩衝溶液を添加して試験管に分注し、ここに反応緩衝溶液(reaction buffer)と基質(substrate)としてヒストンH−1(Histon−H1、4μg、Sigma Co.)を混合し、HNP−98701の最終濃度が100μMになるように添加した。前記混合液にγ32−ATP(Amersham)1mCiを添加して30℃で30分間キナーゼ反応を施した後、反応終結緩衝溶液(stop buffer)を入れて加熱し反応を終結した。前記反応混合物を12% SDS PAGE電気泳動を行って展開した後、ゲルを乾燥し、 x−レイフィルム(x−ray film)に露出させてバンドの様状(band pattern)を確認した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701は、L929細胞のCDK2キナーゼ活性に対しては何ら影響も及ぼさなかったが、293細胞のCDK2キナーゼ活性は減少させた(表9)。
【0046】
【表9】
Figure 2004506608
【0047】
<4−2>各種のCDK2細胞株に対する化合物HNP−98701の反応抑制活性(細胞株に薬剤処理後CDK2活性測定)
前記<4−1>と同方法でキナーゼ反応活性を測定した。
具体的に、L929、293、肝癌細胞株であるSK−Hep−1および前立腺癌細胞株のPC3細胞などの各種の細胞株を100mm組織培養皿に70ないし80%程度育つように培養し、0.2μg/ml、0.3μg/mlおよび1μg/mlの濃度で用意されたHNP98701を5mlずつ添加して24時間培養した後、リン酸塩緩衝溶液で2回洗浄した。以下、細胞を溶解させて免疫沈降物を製造しキナーゼ反応活性を誘導する過程は、前記<4−1>と同様に行った。
その結果、本発明の化合物HNP−98701は、前記<4−1>と同様にL929細胞のCDK2量には何ら影響も及ぼさなかったが、293、SK−Hep−1およびPC3細胞においてはCDK2の量を減少させた。したがって、本発明の化合物HNP−98701が293、SK−Hep−1およびPC3細胞でアポトーシスによる細胞死滅を起こす作用機作は、細胞周期のG1−S期に関与するCDK2キナーゼの活性を抑制して正常的な細胞分裂を妨害することによって誘発することを確認した(表10)。
【0048】
【表10】
Figure 2004506608
【0049】
<4−3>CDK4キナーゼ反応活性測定
本発明者らは、半夏生由来の化合物HNP−98701が細胞周期のうちG1期に関与して細胞死滅を誘発するか否か調査するためにG1期のCDK4キナーゼ活性を確認した。
前記<4−1>CDK2の場合と同様に行ったが、抗−CDK2抗体の代わりに抗−CDK4抗体(rabit polyclonal IgG、Upstate Biotechnology Inc.)を使用しながら基質としてはヒストン−H1をそのまま使用した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701はL929および293細胞のCDK4に対して何ら影響も及ぼさなかった(表11)。したがって、本発明の化合物HNP−98701がL929および293細胞でアポトーシスによる細胞死滅を起こす作用機作はG1基に関与するCDK4キナーゼ活性の抑制によるものでないことが確認された。
【0050】
【表11】
Figure 2004506608
【0051】
<4−4>Cdc2キナーゼ反応活性測定
また、本発明者らは、半夏生由来の化合物HNP−98701が細胞周期のうちG2 − M期に関与して細胞死滅を誘発するかを調査するためにG2−M期のCdc2キナーゼ活性を確認した。
前記<4−1>CDK2の場合と同様に行ったが、抗−CDK2抗体の代わりに抗−Cdc2抗体(mouse monoclonal IgG、 Santa Cruz Biotechnology Inc.)を使用しながら基質としてはヒストン−H1をそのまま使用した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701は293細胞のCdc2キナーゼ活性に対して何ら影響を及ぼさなかった。したがって、本発明の化合物HNP−98701が293細胞においてアポトーシスによる細胞死滅を起こす作用機作は、細胞周期のG2−M期に関与するCdc2キナーゼ活性抑制によるものでないことが確認された。
【0052】
<4−5>E2F−1タンパク質含量変化測定
前記実験例<4−1>ないし<4−4>の結果、本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701が細胞周期のうちG1−S期に関与して細胞死滅を誘発することを確認した。
これに基づいて、本発明者らは、化合物HNP−98701が細胞周期のうちG1/S期への転換にも関与するかを調べるためにE2F−1タンパク質の含量変化を調査した。
具体的に、6 x 105cells/4 ml(in 60−mm dish)濃度で用意された肝癌および前立腺癌細胞株にHNP−98701を濃度別および時間別に処理し、一夜培養した後細胞を収去してPBSで2回洗浄した。前記細胞にRIPA緩衝溶液50μl(/dish)を添加して細胞を溶解させた後遠心分離(13000rpm、10min)で細胞残余物(cell debris)を除去し、タンパク質を定量した。前記タンパク質をSDS−PAGEに電気泳動(80 V stacking−120 V running)を行った後、ゲル状のタンパク質を電気ブロッター(50V、1.5hないし2h)を利用してPVDF膜(PVDF membrane、Millipore)に移してウェスタンブロット分析(Western blot analysis)を行った。
ウェスタンブロット分析時、抗体の非特異的な反応を抑制するために、前記 膜を5%脱脂粉乳(skim−milk)を含むTBST溶液に浸して常温で1時間振りながらタンパク質の転移されなかった余白を脱脂粉乳で埋めた。前記膜に1μg/ml(in 2.5% skim−milk in TBST)濃度に希釈されたE2F−1抗体を添加して常温で1時間振りながら1次抗体結合反応を起こした後、TBST緩衝溶液で3回洗浄して前記膜に結合しないで残存する1次抗体を除去した。前記膜に1:10,000濃度に希釈された2次抗体を添加して常温で1時間振りながら2次抗体結合反応を起こした後、TBST緩衝溶液で3回洗浄して非特異的に結合された2次抗体を除去し、X−レイフィルム(X−ray film)に露出させてバンドの含量を調査した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701を1μg/ml濃度で48時間処理した肝癌細胞株(SK−Hep−1)および前立腺癌細胞株(PC−3)では、E2F−1タンパク質含量が減少したが、これは、前記細胞において化合物HNP−98701によって引き起こるアポトーシスによる細胞死滅が、G1/S期の進行が抑制されることから誘発されるというのを意味する。
【0053】
<実験例5>ストレス性活性タンパク質関連キナーゼに対するHNP−98701の作用
アポトーシスによって細胞毒性を誘発する本発明の半夏草由来の化合物HNP−98701が細胞内の多数の信号伝達経路中どの経路に作用するかを調査するために、ストレスによって活性化されるタンパク質(Stress Activated Protein)に関連した成分等に対するキナーゼ反応活性(kinase reaction activity)を調査した。ストレス性活性タンパク質と関連した成分としてはSAPK、p38およびMEKKなどのキナーゼがあるが、これらは外部からストレスが伝達されるとキナーゼ活性化反応が起こって細胞のアポトーシスを誘発する。したがって、本発明の化合物HNP−98701を処理した細胞のSAPK、p38およびMEKKのキナーゼ活性を調査すると、本発明の化合物HNP−98701がストレス性活性タンパク質と関連した信号伝達経路に作用してアポトーシスによる細胞死滅を誘発することがわかる。
【0054】
<5−1>SAPKキナーゼ反応活性測定
本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701によって引き起こるアポトーシスがSAPK経路に影響を与えて発生するかを調査するために、SAPKキナーゼ活性に対する化合物HNP−98701の影響を調査した。
具体的に、各種の細胞株(L929、SK−Hep−1およびPC3細胞)を100mm組織培養皿におよそ70ないし80%になるように培養し、HNP−98701を1μg/ml濃度で用意して5mlずつ30分間処理した後、PBS緩衝溶液で2回洗浄した。以降の方法は前記実験例2と同一であるが、抗−CDK2抗体の代わりに抗−JNK抗体を使用し、ヒストン−H1の代わりにGST−Junを基質として使用した。このとき、前記細胞株にUVを1分間照射した後1時間培養した細胞株を陽性対照群として使用した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701が処理された前記細胞株のうち、L929細胞のSAPKキナーゼ活性は増加するに対し(表12)、その他PC3とSK−Hep−1細胞のSAPKキナーゼ活性には何ら変化もなかった。この結果は、本発明の化合物HNP−98701がL929細胞のSAPK経路に関与してアポトーシスを誘発すると期待できるが、その他の細胞株であるPC3とSK−Hep−1細胞におけるアポトーシス誘発はSAPK経路と無関係になされたことを表す。したがって、本発明のPC3とSK−Hep−1細胞に細胞毒性を起こす作用機作はSAPKキナーゼの活性を促進させることによって誘導されるのではないということがわかる。
【0055】
【表12】
Figure 2004506608
【0056】
<5−2>MEKKキナーゼ反応活性測定
本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701によって引き起こるアポトーシスがMEKK経路に影響を与えて発生するかを調査するために、SAPKキナーゼよりも信号伝達経路で全段階に関与するMEKKキナーゼ活性に対するHNP−98701の影響を調査した。
具体的に、実験方法は前記実験例2と同一であるが、抗−CDK2抗体の代わりに抗−MEKK抗体を使用し、ヒストン−H1の代わりにGST−SEK1を基質として使用したし、UVを1分間照射した後、1時間培養した細胞株を陽性対照群として使用した。また、HNP−98701を処理する前に培地に0.5%のFBSを添加し、18時間培養して血清欠乏(serum starvation)状態が誘導された細胞を使用した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701は、L929細胞のMEKKキナーゼ活性を20%程度増加させたが、PC−3と293細胞の場合には何ら影響も与えなかった(表13)。したがって、本発明の化合物HNP−98701はL929細胞ではMEKK経路に関与してアポトーシスによる細胞毒性を誘発すると見られるが、293およびPC3細胞株で引き起こる細胞毒性はMEKK経路とは無関係であることがわかる。
【0057】
【表13】
Figure 2004506608
【0058】
<実験例6>化合物HNP−98701の上皮細胞成長因子収容体との結合有無調査
本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701がアポトーシスによる細胞死滅を誘発するためには、細胞に作用して信号(signal)を伝達するために細胞内に流入されるか、細胞収容体(cell receptor)と結合されなければならないが、このときタンパク質キナーゼC(Protein Kinase C, PKC)の一種である上皮細胞成長因子(Epidermal Growth Factor Receptor、以下 ”EGFR”と略す)を媒介として作用するかを調べるためにHNP−98701とEGFRが結合されたか否か調査した。本発明の化合物HNP−98701がEGFRを媒介として信号を伝達すると、HNP−98701とEGFRの作用によって自家リン酸化反応(autophosphorylation)が起こらなくなるので、これを調査するとHNP−98701のEGFRが媒介されたか否かを確認することができる。
具体的に、EGFR生産細胞株のA431細胞を100mm組織培養皿(Tissue culture dish)で培養した後、冷却させたPBS緩衝溶液で2回洗浄した。前記細胞に適当量の均質化緩衝溶液(homogenizer buffer : 50mM Tris−HCl、 pH7.4、1mM EDTA、 250mM Sucrose、0.5mM PMSF、0.5ug/ml Leupeptin)を添加してガラス均質器(glass homogenizer)で均質化(homogenization)した後、遠心分離して細胞残余物を除去した。このとき得た上層液を超高速遠心分離(ultracentrifuge)して沈殿物形態の細胞膜分画(membrane fraction)を分離した後、これを緩衝溶液(solubilization buffer; homogenizer buffer + 1% Triton X−100)に溶解させ、再び超高速遠心分離して溶解された細胞膜分画を分離した。
前記細胞膜分画に適正分量の20mM HEPES、10mM NaVOおよび最終濃度10μMまたは100μMのHNP−98701を混合し、EGFRを最終濃度500nMになるように添加した後、30℃で15分間放置してEGFRを活性化させた。ここに300mM MgCl、300μM ATPおよびr32ATPを添加して氷中で5分間反応させた後、反応終結緩衝溶液(stop buffer)を入れて加熱し反応を終結した。前記反応液を12% SDS−PAGEゲルに電気泳動を行った後、X−レイフィルムに露出させた。
その結果、HNP−98701処理時にもEGFRの自家リン酸化反応には変化がなかったので、本発明の化合物HNP−98701は信号を伝達するために細胞内に流入されるときEGFRを媒介としなく、タンパク質キナーゼCの活性にも何ら影響も与えないことがわかる(表14)。
【0059】
【表14】
Figure 2004506608
【0060】
<実験例7>酸化窒素生成有無の測定
本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701が癌細胞に作用してアポトーシスによる細胞死滅を誘発するとき正常細胞にも細胞毒性を示し得る酸化窒素(nitric oxide)が副産物として発生するかを調査した。
具体的に、細胞毒性実験は前記実験例1と同一の方法で行ったし、このときHNP−98701を処理した細胞株は48時間のみ培養した。酸化窒素の生成されたか否かは、前記培養液50μlをスルファニルアミド溶液(sulfanilamide solution)50μlと混合し常温の暗室で5ないし10分間反応させ、再びNED溶液50μlを添加して同一の条件で反応させて520ないし550nmで吸光度を測定して表した。下記の表15に表す如く、前記反応によるNO濃度による標準吸光度を作成した後、培養液から測定されたNOの吸光度値を前記標準吸光度表を利用して濃度で換算して培養液内NO量を決定した。NO測定後、残った細胞はMTT分析とLDH分析で生存率と壊死率を測定して細胞死滅を確認した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701はアポトーシスによる細胞死滅を誘発するが、副産物としてNOは生成しないことを確認した(表16)。したがって、本発明の化合物HNP−98701の細胞毒性を誘発する作用機作は酸化窒素合成酵素(NO Synthase)の活性とは無関係であることがわかる。
【0061】
【表15】
Figure 2004506608
【0062】
【表16】
Figure 2004506608
【0063】
<実験例8>化合物HNP−98701の癌細胞転移に対する付着抑制活性測定
本発明者らは、半夏生由来の化合物HNP−98701が癌細胞転移(metastasis)にどんな影響を与えるかを確認するために、癌細胞の血管壁付着(adhesion)に対するHNP−98701の抑制活性を測定した。
一般的に癌細胞転移は、1次に発生した癌細胞が組織から血管壁を突き通って血管内に入り、血流とともに浮遊しながら他の臓器や組織に移動することによって発生するが、こうした癌細胞転移において最も重要な過程は移動された癌細胞が他の臓器や組織の血管壁に付着するということである。したがって、本発明の化合物HNP−98701が癌細胞の血管壁付着に影響を及ぼすならば癌細胞転移にも影響を及ぼすと見られる。これを確認するために本発明者らは、マトリゲル(matrigel)、ラミニン(laminin)、コラゲン(collagen)およびゼラチン(gellatin)などのような癌細胞の付着に関与する血管壁をなす基質(matrix)成分に対するHNP−98701の付着抑制活性を調査した。
HNP−98701の付着抑制活性は、前記の基質それぞれがコーティング(coating)された組織培養器(tissue culture plate)にHNP−98701を処理した後、ここに癌細胞を付着させ、このとき付着程度に及ぼす影響で調査した。具体的に、96−ウェルマイクロプレート(96−well microplate、Corning Co.)にウェルあたりマトリゲル50μg/ml、ラミニン2μg/ml、コラゲン2μg/mlおよびゼラチン2μg/mlをそれぞれ添加してウェル表面に均一にコーティングさせて2時間固めた後、各ウェルにHNP−98701を添加し1時間処理した。このとき、各ウェルに添加されたHNP−98701はDMSOに溶解させて最終濃度が10μg/ml、1μg/mlおよび0.1μg/mlになるように濃度別に調節したし、最終濃度が50μg/ml、5μg/mlおよび0.5μg/mlに調節されたシスプラチンと最終濃度が10μg/ml、1μg/mlおよび0.1μg/mlに調節されたアドリアマイシンを対照薬物として使用した。これらの薬物を1時間処理した後、各ウェルに癌細胞を添加して3時間培養した。このとき、癌細胞としては肝癌細胞株(SK−Hep−1)、悪性黒色腫細胞株(SK−MEL−28)、咽喉癌細胞株(Hep−2)および正常細胞株(NIH−3T3)を最終細胞数が1 x 10cells/mlになるように調整して使用した。これらの細胞株を3時間培養した後遠心分離し、菌体のみ集めて蒸留水やPBS緩衝溶液で3回洗浄した。前記細胞をジフ−クィック溶液(Diff−Quick solution、Fisher Scientific)で染色し、1% SDS/0.5 N NaOHを処理して付着された細胞を溶かし後、自動ELISAリーダ(Molecular Divices Corp., USA)で560ないし405nmの波長で吸光度を測定し、前記実験例1の数学式1によって細胞付着率(%)を決定した。各実験は3回繰り返し行った。
その結果、本発明の化合物HNP−98701は、対照薬物として使用したシスプラチンとアドリアマイシンの結果と同様に各種の基質に対する癌細胞の付着活性に何ら抑制効果を示さなかった(表17、表18、表19および表20)。したがって、本発明の化合物HNP−98701は、抗癌活性作用のうち癌細胞転移において血流中の癌細胞が血管に付着するのを抑制する活性はないことがわかる。
【0064】
【表17】
Figure 2004506608
【0065】
【表18】
Figure 2004506608
【0066】
【表19】
Figure 2004506608
【0067】
【表20】
Figure 2004506608
【0068】
<実験例 9>化合物HNP−98701の血管新生および転移抑制効果測定
本発明者らは、半夏生由来の化合物HNP−98701が癌細胞転移を抑制するために癌細胞の血管壁付着抑制の以外に他の抑制効果を示すか確認するために、血管新生および癌細胞の転移に重要な役割をする酵素であるMMP−2(Matrix metalloproteinase−2)に対する活性抑制効果を測定した。
血管新生とは、既存の毛細血管で新しい血管が形成されることを言うが、このためには、まず、既存血管の基底膜が崩壊されなければならなく、このとき基底膜を崩壊する酵素がMMP−2である。また、癌細胞転移は、上皮組織内の癌細胞が真皮に移動した血管を引入れることによって癌細胞の生長とともに起こるが、このとき上皮組織の癌細胞が真皮に移動するためには上皮組織と癌細胞との間に存在する基底膜が崩壊されなければならないし、これに関与する酵素もまたMMP−2である。
MMP−2抑制活性測定は主として、トリプトパン(tryptophan)で構成された7個のペプチドを使用するが、前記ペプチドにDNPを処理すると蛍光発生が抑制される。蛍光の抑制された前記ペプチドにMMP−2を処理するとDNPが除去されて再び蛍光が表されるようになり、こうした蛍光の発色有無によってMMP−2の活性を測定することができる。具体的に、バキュロウイルス(baculovirus)発現体系を利用してproMMP−2を得た後、37℃で1mM p−(アミノフェニル)酢酸水銀(p−(aminophenyl)mercuric acetate)を処理して活性化されたMMP−2を得た。反応基質として使用されたペプチドはPro−Leu−Met−Trp−Ser−Argで構成されており、蛍光抑制物質が処理されるとDNP−Pro−Leu−Met−Trp−Ser−Argが形成される。50mMトリシン(Tricine)、0.2M NaClおよび10mM CaClで構成された緩衝溶液(buffer solution)をpH 7.5に調整して検索に使用したし、検索反応は23℃で施した。前記ペプチドとHNP−98701を含有した緩衝溶液にMMP−2を添加した後、常温貯蔵して安定化させ、蛍光分析器(Perkin−Elmer Model LS 50B fluorometer)を利用して蛍光変化を測定した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701処理にも関わらず、酵素MMP−2によって前記ペプチドから蛍光抑制物質であるDNPが除去されて蛍光発生が誘導された。したがって、本発明の化合物HNP−98701は、血管新生および癌細胞転移に重要な役割を果たす酵素であるMMP−2の活性を抑制しなかった。
【0069】
<実験例10>動物毒性実験
本発明の半夏生由来の化合物HNP−98701の毒性を調べるために、実験動物に濃度別に用意したHNP−98701を静脈注射して2週日間観察しながら実験動物の50%致死率濃度(LD50)および行動特性と体重変化を調査した。実験動物は、体重が30.0ないし30.8g程度である6週齢のICR白鼠 (面塵実験動物)を1グループあたり5匹ずつ使用したし、静脈注射前24時間切食させた後、毒性実験を行った。HNP−98701は、細胞毒性の少ないDMSOに溶解させて使用したし、投与量は白鼠の血液量を考慮して試験管内(in vitro)実験で50%致死率を示した濃度を基準に10,000倍濃度(0.5mg/匹)、5,000倍濃度(0.25mg/匹)および2,500倍濃度(0.125mg/匹)に調節して注射した。このとき、対照群としてHNP−98701を溶解させないDMSOの投与された白鼠を使用した。前記濃度別に用意したHNP−98701を白鼠の尾静脈にそれぞれの濃度別に注射し、白鼠の致死率、行動変化、脱毛や発赤などの異常症状および体重変化を2ないし3日おきに15日間調査した。
その結果、本発明の化合物HNP−98701投与濃度が0.5mg/匹および0.25mg/匹である場合には全ての実験動物が致死したが、0.125mg/匹濃度では全て生存した。また、前記濃度で生存した白鼠はDMSOだけが投与された対照群の白鼠と同一の行動様状を見せ、特異的に行動特性や脱毛、発赤などの異常症状を見せなかった。したがって、本発明の化合物HNP−98701の50%致死率濃度(LD50)は0.125mg/匹ないし0.25mg/匹(4.12mg/kgないし8.25mg/kg)の濃度範囲にあることを確認した(表21)。これは、ラオ等が報告したマナサンチンAの50%致死率濃度LD50=5.2mg/kgと殆ど一致する結果である。また、試験管内実験を通じて前立腺癌細胞株に対する50%有効濃度と実験動物に対する毒性濃度を下記数学式3によって換算して比較した結果、本発明の化合物HNP−98701の治療指数(Therapeutic Index : T.I.)は2,500以上と表れた。
【0070】
【数3】
Figure 2004506608
【0071】
マナサンチンAをマウスの腹腔内に投与し、自発運動が50%減少される濃度(IC50)は0.21±0.02mg/kgだといったラオ等の実験結果と比較するとき、本発明のHNP−98701はそれよりも遥かに低い1百分の1程度の濃度で抗癌活性(IC50)を見せることがわかる。したがって、本発明の化合物HNP−98701は、癌細胞に対する細胞毒性が極めて強いと同時に、正常細胞に対しては毒性が極めて低いという選択性を示すので、副作用は少ないながら抗癌活性は強い優れた抗癌剤の開発に有用に使用されることができる。
【0072】
【表21】
Figure 2004506608
【0073】
[発明の効果]
本発明は、半夏生から抽出した新規化合物HNP−98701A、HNP−98701Bおよび既知の化合物HNP−98701C、またはこれらの混合物(HNP−98701)の抗癌剤としての用途とその製造方法およびそれらを有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物を提供する。本発明の半夏生由来抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701B、HNP−98701Cまたはそれらの混合物(HNP−98701)およびその誘導体は、肝癌および前立腺癌細胞株を始めとして乳房癌、咽喉癌、神経膠芽細胞腫および悪性黒色腫などの各種の癌細胞株に対して既存の抗癌剤であるシスプラチンやアドリアマイシンよりも一層強力な抗癌活性を示すだけでなく、正常細胞に対する副作用も殆どないか、極めて低いので、抗癌活性が極めて優れている上に選択的に作用する抗癌剤の開発が期待できる。
また、本発明の半夏生由来の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701A、HNP−98701B、HNP−98701Cまたはこれらの混合物(HNP−98701)およびその誘導体を有効成分として含有する抗癌剤は、経口用としての開発が可能なことから簡便な治療法を提供することは勿論、既存の抗癌剤や治療法と様々に併用することができ、それ以外にも抗癌機能性食品および食品添加剤、抗癌機能性飲料および飲料添加剤、抗癌化粧品添加剤、抗癌石けん添加剤、抗癌シャンプ添加剤などの有効成分として使用されることができる。
なお、半夏生は、栽培が容易であり、半夏生の栽培を通じて農民の所得増大も図れるので、農村の対外競争力を向上させることができ、また、半夏生の全草を生体や乾燥体に関係なく使用できるだけでなく、茶に利用した後捨てられる残渣も利用できるので資源のリサイクルにも寄与できる。
最終に、本発明の半夏生由来の抗癌活性を持つ化合物HNP−98701AおよびHNP−98701Cの水酸基(−OH)は反応性の高い作用基であって、新しい誘導体合成のための先導物質として提供されて誘導体合成、活性検索および新薬開発などに有用に使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前立腺癌細胞株(DU−145)が皮下移植されたヌードマウスにおいてHNP−98701の抗癌活性を腫瘍のサイズ変化で表したものである。

Claims (19)

  1. 抗癌活性を持つ下記一般式1の新規化合物エピ−マナサンチンA(epi−manassantin A)、その誘導体および薬学的に許容されるその塩。
    Figure 2004506608
    式中、R1は、メチル基、アセチル基、アルキル基、アルケン基、アルキン基、アミン基、アミド基、シアノ基、チオシアノ基、アルデヒド基またはハロゲン原子から選択され、それぞれ同じでも異なってもいい。
  2. R1がH、CHおよびCOCHで構成された群から選択されることを特徴とする請求項1記載の化合物、その誘導体および薬学的に許容されるその塩。
  3. 抗癌活性を持つ下記一般式2の新規化合物、その誘導体および薬学的に許容されるその塩。
    Figure 2004506608
    式中、R1は、メチル基、アセチル基、アルキル基、アルケン基、アルキン基、アミン基、アミド基、シアノ基、チオシアノ基、アルデヒド基またはハロゲン原子から選択され、それぞれ同じでも異なってもいい。
  4. R1がH、CHおよびCOCHで構成された群から選択されることを特徴とする請求項3記載の化合物、その誘導体および薬学的に許容されるその塩。
  5. 抗癌活性を持つ下記一般式3の化合物マナサンチンA(manassantin A)、その誘導体および薬学的に許容されるその塩。
    Figure 2004506608
    式中、R1は、メチル基、アセチル基、アルキル基、アルケン基、アルキン基、アミン基、アミド基、シアノ基、チオシアノ基、アルデヒド基またはハロゲン原子から選択され、それぞれ同じでも異なってもいい。
  6. R1がH、CHおよびCOCHで構成された群から選択されることを特徴とする請求項5記載の化合物、その誘導体および薬学的に許容されるその塩。
  7. 半夏生から分離された抗癌活性を持つ一般式1の化合物、一般式2の化合物、一般式3の化合物およびこれらの分解物。
  8. 1)半夏生を低級アルコールに浸漬させて繰り返し抽出する段階;
    2)前記低級アルコール抽出物に各種有機溶媒を加えて抽出する段階;
    3)前記各種有機溶媒抽出分画をクロマトグラフィ(Chromatography)で分離して抗癌活性物質を得る段階;および
    4)前記分離されたそれぞれの抗癌活性物質を溶媒沈殿法で精製する段階;から構成されることを特徴とする、半夏生由来の抗癌活性を持つ一般式1の化合物、一般式2の化合物、一般式3の化合物およびその誘導体の製造方法。
  9. 段階1)の半夏生は生草、乾草、地上部、根、および茶に利用されて残った残渣を含むことを特徴とする請求項8記載の製造方法。
  10. 段階1)の低級アルコールはメタノールであり、段階2)の有機溶媒はへキサン、クロロホルム、酢酸エチルおよびブタノールよりなる群から選択されることを特徴とする請求項8記載の製造方法。
  11. 請求項8の製造方法において各段階別に製造される抗癌活性を持つ半夏生由来の抽出物。
  12. 半夏生から分離された抗癌活性を持つ一般式1の化合物、一般式2の化合物、一般式3の化合物、その誘導体および薬学的に許容されるその塩を有効成分として含有する抗癌剤用薬学的組成物。
  13. 一般式1の化合物、一般式2の化合物、一般式3の化合物を0.1ないし3.0mg/kg含有することを特徴とする請求項12記載の薬学的組成物。
  14. 癌は、肝癌、前立腺癌、乳房癌、乳腺癌、子宮頚上皮癌 、神経膠腫、神経芽腫、神経膠芽細胞腫、胃癌、咽喉上皮癌、繊維癌腫および悪性黒色腫由来の細胞、好ましくは肝癌、前立腺癌、乳腺癌、神経膠芽細胞腫および悪性黒色腫であることを特徴とする請求項12記載の抗癌剤用薬学的組成物。
  15. 抗癌活性を持つ一般式1の化合物、一般式2の化合物、一般式3の化合物およびその誘導体を有効成分として含有する機能性食品および食品添加剤または機能性飲料および飲料添加剤。
  16. 抗癌活性を持つ一般式1の化合物、一般式2の化合物、一般式3の化合物およびその誘導体を有効成分として含有する皮膚美容製品添加剤。
  17. 皮膚美容製品添加剤は、化粧品添加剤、石けん添加剤またはシャンプ添加剤であることを特徴とする請求項16記載の皮膚美容製品添加剤。
  18. 一般式1の化合物、一般式2の化合物、一般式3の化合物より選択された二つ以上の化合物を含む抗癌剤用組成物。
  19. 半夏生抽出物を含有する抗癌剤用組成物。
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