JP2004505899A - 5’−デオキシ−n−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン及びその誘導体、その製造方法、並びに、これを有効性分として含む抗癌剤組成物 - Google Patents

5’−デオキシ−n−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン及びその誘導体、その製造方法、並びに、これを有効性分として含む抗癌剤組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2004505899A
JP2004505899A JP2002517006A JP2002517006A JP2004505899A JP 2004505899 A JP2004505899 A JP 2004505899A JP 2002517006 A JP2002517006 A JP 2002517006A JP 2002517006 A JP2002517006 A JP 2002517006A JP 2004505899 A JP2004505899 A JP 2004505899A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
fluorocytosine
deoxy
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002517006A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004505899A5 (ja
Inventor
キム クワン−ヒ
キム ヨン−チュル
キム ジ−ヤン
リー キョン−ホ
ノー ムーン−ジョン
パク ヨン−ソク
チョ スン−ミン
パク ホ−ジン
Original Assignee
コーロン インダストリーズ インク
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from KR1020000046179A external-priority patent/KR100730768B1/ko
Priority claimed from KR1020010044193A external-priority patent/KR20030009649A/ko
Application filed by コーロン インダストリーズ インク filed Critical コーロン インダストリーズ インク
Publication of JP2004505899A publication Critical patent/JP2004505899A/ja
Publication of JP2004505899A5 publication Critical patent/JP2004505899A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H19/00Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof
    • C07H19/02Compounds containing a hetero ring sharing one ring hetero atom with a saccharide radical; Nucleosides; Mononucleotides; Anhydro-derivatives thereof sharing nitrogen
    • C07H19/04Heterocyclic radicals containing only nitrogen atoms as ring hetero atom
    • C07H19/06Pyrimidine radicals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents

Abstract

【課題】従来の抗癌剤に比べて優れた抗癌効果を有する薬剤を提供する。
【解決手段】本発明は新規の5−フルオロシトシン及びその誘導体に関する。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は5’−デオキシ−N−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン及びその誘導体、その製造方法及びこれを有効性分として含む抗癌剤に関し、さらに詳しくは抗癌効果が優れた5’−デオキシ−N−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン及びその誘導体、その製造方法及びこれを有効性分として含む抗癌剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
癌は後天性免疫欠乏症(AIDS)とともに現代医学が解決しなければならない課題として残っている難病の中の一つである。国内でも癌の発生種類及び頻度が年毎増加しているが、癌はその治癒率が非常に低く主要死亡原因となっている。癌を治癒するために数多くの研究が進められているが、まだ満足するだけの治療剤が開発できていない。したがって、より効率的で効果的な治癒のために薬効が優秀で副作用が少ない癌治療剤の開発は必須である。
【0003】
現在癌を治療することにおいて手術療法、放射線治療などの局所療法と、化学療法及び免疫療法などの全身療法が利用されている。これらのうち化学療法が胃腸、肝臓及び肺などを初めとして各種臓器に原発性として発生する固形腫瘍などと各種血液癌または腫瘍の転移時に局所療法の補助療法として、または、単独療法として多く用いられている。
【0004】
このような化学療法に使用される抗癌剤に関する研究が多く行われ、5−フルオロウラシル(5−Fluorouracil、5−FU)、メトトレキセート(Methotrexate)、フルトラフル(Frutraful)、シスプラチン(Cisplatin)など多様な抗癌剤が開発されただけでなく、現在も新たな抗癌剤開発の研究が続いている。しかし、まだ完全に癌を安定に治癒できる製剤は開発されていない。
【0005】
最近はピリミジンヌクレオシド系列の代表的な抗癌剤である5−フルオロウラシル(5−FU)の誘導体を利用した抗癌剤開発研究が活発に進められてきた。5−FUは細胞内で代謝が活性化してピリミジンヌクレオチドの合成を阻害することにより腫瘍を治療する物質として広く用いられているが、胃腸毒性があってその副作用が深刻である。したがって、これを減少させるために5−FU誘導体に関する研究が多く進められているが、開発された一部5−FU誘導体も依然として経口投与後、腸壁で活性化されて、その副作用で下痢を誘発する問題点がある。
【0006】
最近は腸ではなく肝臓で酵素により活性化して副作用を減少させることができる下記の化学式1に示すN−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン誘導体が研究された(ヨーロッパ特許第6025454号、日本特開平6−211891号及び米国特許第5,472,949号)。
【0007】
【化13】
Figure 2004505899
【0008】
前記式においてRは飽和または不飽和炭化水素であり、Rは水素または生理条件で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基である。
【0009】
しかし、前記誘導体の抗癌効果が多少落ちる問題点がある。したがって、抗癌効果が優れた新たな抗癌剤の開発が急がれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は優れた抗癌効果を有する5’−デオキシ−N−置換されたオキシカルボニル−5−フルオロシトシン及びその誘導体を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は5’−デオキシ−N−置換されたオキシカルボニル−5−フルオロシトシン及びその誘導体の製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は5’−デオキシ−N−置換されたオキシカルボニル−5−フルオロシトシン及びその誘導体を有効性分として含む抗癌剤組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は下記の化学式2または3の5’−デオキシ−N−置換された−オキシカルボニル−5−フルオロシトシン、その誘導体、薬理的に許容可能なその塩または溶媒和物を提供する。
【0014】
【化14】
Figure 2004505899
【0015】
【化15】
Figure 2004505899
【0016】
前記式において、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、Rはヒドロキシメチル基または保護基が附加されたメチル基を示す。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は抗癌効果が優れていて抗癌剤として用いることができる新たな化合物に関し、下記の化学式2または3の5’−デオキシ−N−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン、その誘導体、薬学的に許容可能なその塩または溶媒和物を提供する。
【0018】
【化16】
Figure 2004505899
【0019】
【化17】
Figure 2004505899
【0020】
前記式において、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であって、好ましくは水素またはアセチル基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、Rはヒドロキシメチル基または保護基が付着したメチル基である。
【0021】
以下、本発明の化学式2または化学式3の5−フルオロシトシン化合物の製造方法を、下記反応式1を参考として、詳しく説明する。
【0022】
【化18】
Figure 2004505899
【0023】
(前記式において、Rは水素、C−Cアルキル基またはC−Cアルケニル基、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示す。)
【0024】
零下50℃乃至常温でβ−D−リボフラノース1,2,3,5−テトラアセテート(化合物6)とトリメチルシリル化された5−フルオロシトシン(化合物7)をアセトニトリルのような溶媒の存在下で適当な添加剤、例えば塩化錫(IV)、ヨードトリメチルシランまたはクロロトリメチルシラン/ヨード化ナトリウムなどを加えて攪拌し、化合物4を製造する。
【0025】
次に、塩化メチレンまたはピリジンのような溶媒の存在下で、化合物4(韓国出願番号第2000−46179)と化合物5を適当な塩基、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどを添加して攪拌することによって化合物3bを製造する。
【0026】
次に、メタノールまたはエタノールのようなアルコール溶媒の存在下で炭素数1〜2のナトリウムアルコキシドまたは水酸化ナトリウムを使用して前記化合物3bを還元させて化合物3aを得る。
【0027】
この化合物3aは適当な触媒を利用して室温乃至120℃において酸素と反応させて本発明の目的化合物2aを得ることができる。
【0028】
また、本発明の化合物2aを零下30℃乃至室温において炭素数1〜7のアルキルアルコールまたはアルケニルアルコールとチオニルクロライドを滴下して攪拌することによって、エステル誘導体である化合物2bを得ることができる。
【0029】
本発明はまた、5’−デオキシ−N−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン誘導体を有効性分として含む抗癌剤組成物に関する。本発明の化合物は多様な経口または非経口で投与することができ、この時、活性成分として化学式2または3の化合物、その薬理的に許容可能な塩及び溶媒和物を含むことができる。本発明の抗癌剤組成物は薬理学的に許容可能な液体または固体担体を含むことができる。
【0030】
固体形態の製剤は粉末、精製、分散可能な顆粒またはカプセルを含み、この中でも経口投与に適した固体投薬形態としては錠剤、粉末またはカプセルが挙げられる。好適の賦形剤としては希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、及び/または錠剤膨化制を含むことができる。粉末またはカプセルの場合には、担体は微細粉になった活性成分を5乃至70%、好ましくは10乃至70%を含有することができる。適した固体担体または賦形剤としては、とうもろこし澱粉、ステアリン酸マグネシウム、フィルム、ポリエチレングリコール、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ソジウムカルボキシメチルセルロース、二酸化チタン、低融点ワックス、ココアバターなどを含むことができる。
【0031】
液体形態の製剤は溶液、懸濁液または乳濁液でありうる。例えば、非経口注射液の場合には水または水−プロピレングリコール混合溶液を用いることができるが、そのような溶液は等張性、pHなどが生体系に適合するように製造される。液状製剤はまた、ポリエチレングリコール水溶液で形成することもできる。経口用に適した水溶液は活性成分を水に溶かして適当な香味剤、着色剤、安定剤及び濃厚剤を付加して製造することもできる。経口用に適当な水性懸濁剤としては微細粉になった活性成分を天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ソジウムカルボキシメチルセルロース及び公知の懸濁剤のような粘性物質に分散させて製造できる。
【0032】
好ましい薬学的製剤は単位投薬形態である。そのような形態で、製剤は適当量の活性成分を含む単位投与形態で細分される。単位投薬形態は製剤の分離された量を含有する包装された製剤であることもあり、例えば、バイアルまたはアンプル内の包装された錠剤、カプセルまたは粉末である。
【0033】
以下、下記の実施例を用いて発明を更に詳細に説明するが、本発明の保護範囲を下記実施例に限定する意図ではない。
【0034】
【実施例】
実施例1:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−N−プロパギルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン(R=プロパギル、化合物3b)の製造
【0035】
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロシトシン18.1gに塩化メチレン150mlとピリジン9mlを加えた後、クロロギ酸プロパギル(Propargyl Chloroformate)8.0gを0℃で滴下し、室温で30分間攪拌した。得られた反応結果物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて塩化メチレン300mlで3回抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥及びろ過した。その後、得られた生成物を減圧蒸留して濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して表題の化合物を21.9g(収率88%)収得した。
【0036】
H NMR(CDCl, ppm) δ11.45(br.s, 1H),8.20(t, 1H), 6.01(s, 1H), 5.43(m, 1H), 5.26(m, 1H), 4.79(dd, 2H), 4.42(m, 1H), 4.36(m, 2H), 2.52(t, 1H), 2.10(s, 3H), 2.01(s, 3H)
【0037】
実施例2:
−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン(R=プロパギル、化合物3a)の製造
【0038】
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−N−プロパギルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン19.1gにメタノール150mlを加えて溶解した。反応結果物に1Nソジウムメトキシド150mlを加えて1時間攪拌した後、1N塩酸で中和させ、これを減圧蒸留して濃縮した。水100mlを添加した後、塩化メチレン/メタノール(95:5)溶液で多数回抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した後に減圧蒸留して濃縮した。その後、これをアセチル酸エチルで再結晶して表題の化合物を12.3g(収率80%)収得した。
【0039】
H NMR(CDOD, ppm) δ8.15(d, 1H), 5.93(d, 1H), 4.77(d, 2H), 4.11(m, 1H), 3.95(m, 1H), 3.72(m, 3H), 2.50(t, 1H)
【0040】
実施例3:
5’−デオキシ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=プロパギル、化合物2aの製造)
【0041】
−プロパギルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン10.25gにpH8〜10の炭酸水素ナトリウム緩衝溶液600mlを加え、ここに酸化白金触媒を加えて90℃で酸素気体を12時間加えた後、触媒をろ過し、塩化メチレン/メタノール(95/5)溶液で多数回抽出して無水硫酸マグネシウムで乾燥ろ過した後、減圧蒸留して濃縮し、アセチル酸エチルを利用した再結晶により表題の化合物を6.50g(収率66%)収得した。
【0042】
H NMR(CDOD, ppm) δ10.43(br.s, 1H), 8.01(br.s, 1H), 5.75(d, 1H), 4.95(d, 1H), 4.80(d, 2H), 4.63(m, 1H), 4.28(m, 1H), 2.55(t, 1H)
【0043】
実施例4:
5’−デオキシ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸エチル(R=エチル、R=プロパギル、化合物2b)の製造
【0044】
5’−デオキシ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸1.0gにエタノール100mlを加えて、零下30℃乃至0℃でチオニルクロライド0.6mlを滴下し室温で6乃至12時間攪拌した後、ろ過してエタノールで洗浄し、減圧蒸留させて濃縮した。この結果物に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて固体を析出させた後、水とエタノールで洗浄し、乾燥させて表題の化合物1.21g(収率88%)を収得した。
【0045】
H NMR(CDCl, ppm) δ10.35(br.s, 1H), 8.01(br.s, 1H), 5.77(d, 1H), 4.88(d, 1H), 4.81(d, 1H), 4.29(m, 2H), 4.12(q, 2H), 2.50(t, 1H), 1.24(t, 3H)
【0046】
実施例5:
5’−デオキシ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)誘導体の試験管内抗癌活性評価
【0047】
5−FUを対照薬剤として、実施例3の化合物である5’−デオキシ−N−プロパギルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=プロパギル、化合物2a)の試験管内抗癌活性を測定するために人間の癌細胞に対する細胞毒性を測定した。この時、人間の癌細胞はA549(肺ガン)、HCT15(大腸癌)、SK−OV−3(卵巣癌)、SK−MEL−2(皮膚癌)を使用して比較した。
【0048】
まず、癌細胞を37℃、5%CO2恒温恒湿器で培養し、この時に使用した培地はRPMIを基本培地として10%牛胎児血清を添加した。細胞毒性能を測定するために対数増殖期にある癌細胞を96ウェル・プレートの1ウェル当り2−5x10細胞になるように分株して24時間培養した。5−FUと5’−デオキシ−N−プロパギルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸を段階別に希釈した試料溶液を加えて72時間培養した。培養されたプレートの各ウェルに生理食塩水に5mg/ml濃度で溶かしたMTT反応液を20μl添加し4時間培養した。培養後に形成されたホルマザン(formazan)結晶をジメチルスルホキシドで溶解し540nm波長で各ウェルの吸光度を測定することによって生存細胞数を測定した。細胞を含まない培地だけが含まれているウェルの吸光度を0%、試料を加えていないウェルの吸光度を100%とした時、50%の吸光度を示す濃度を各抗癌剤のIC50(μg/ml)値として計算した。その結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
Figure 2004505899
【0050】
前記表1に示したように、実施例3の化合物がそれぞれの癌細胞に対して約0.04〜0.007μg/ml程度に抗癌活性を確認し、この値は対照群より大幅に良い抗癌活性を示すことが分かった。
【0051】
実施例6:
5’−デオキシ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)誘導体の生体内抗癌活性評価
【0052】
ヨーロッパ特許第602454号に発表された5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン誘導体のうち最も良い抗癌効果を示しているカペシタビン(capecitabine=5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン(化学式1でR=ペンチル、R=水素である化合物)を対照薬剤とし、実施例3の化合物である5’−デオキシ−N−プロパギルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)のネズミ腫瘍細胞株L1210に対して生体内抗癌活性を測定して比較した。
【0053】
実験動物は日本チャールズリバー(Charles River Japan)から輸入した5週齢(19乃至20g)BDF1雄マウスを1週間純化期間を経過させて供試した。実験動物の飼育条件は温度24±2℃、湿度50±1℃であった。飲水は浄水された水を週2回交換して与え、麦藁及びケージ交換は週1回とした。実験は各群当り2匹とした。腫瘍細胞株はL1210マウス血液腫瘍細胞株とし、ファルコン(Falcon)培養フラスコで2、3回継代培養して活性化させた細胞株を収集しリン酸緩衝液(pH7.2)で洗浄した後、顕微鏡下で計数して1×10/mlになるように細胞懸濁液を作って使い捨て滅菌1ml注射器を利用して100(1×10)ずつマウスの腹腔内に移植した。薬物の投与は細胞移植24時間後から経口投与した。薬物の投与濃度は対照薬物であるカペシタビンを1匹当り1.2、5.7、28.8、144及び720mg/kg/100μlになるように調製し、本発明の化合物2aは1匹当り1.2、5.8、28.8mg/kg/100μlになるように調製した。カペシタビンはジメチルスルホキシドに溶かした後、0.5%カルボキシメチルセルロースに懸濁させ、化合物2aは蒸溜水に溶かした。試料は腫瘍細胞移植24時間後から開始して3週間5回ずつ合計15回を投与した。抗腫瘍効果の評価は生命延命率とした。その結果を表2に示した。
【0054】
【表2】
Figure 2004505899
【0055】
前記表2に示したように、実施例3の化合物の動物実験による生体内抗癌活性が非常に優れていることを確認した。
【0056】
以上のように、本発明による化学式2のN−アルキニルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン及びこれらの誘導体群は非常に有用な抗癌剤として用いることができる。
【0057】
実施例7:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロシトシン(化合物4)の製造
【0058】
窒素の存在下でβ−D−リボフラノース1,2,3,5−テトラアセテート(化合物6)6.22gに、5−フルオロシトシン3.2gから製造されたトリメチルシリル化された5−フルオロシトシン(化合物7)とアセトニトリル60mlを加えた。零下50乃至0℃で塩化錫(IV)3mlを滴下し室温で4乃至8時間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチル100mlで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥ろ過し、減圧蒸留させて濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて精製し表題の化合物(4)6.13gを収得した(収率81%)。
【0059】
H NMR(CDCl, ppm) δ7.65(d, 1H), 6.09(d, 1H), 5.33(dd, 1H), 5.26(dd, 1H), 4.35(m, 3H), 2.14(s, 3H), 2.08(s, 3H), 2.06(s, 3H)
【0060】
実施例8:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(プロピルオキシカルボニル)−シトシン(R=プロピル、化合物3b)の製造
【0061】
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロシトシン(4)2.33gに塩化メチレン20mlとピリジン1.1mlを加えた後、クロロギ酸プロピル(Propyl Chloroformate、R=プロピル、化合物5)1.01gを0℃で滴下して室温で30分間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて塩化メチレン50mlで3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥ろ過し、減圧蒸留させて濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィを用いて精製し表題の化合物(3b)2.62gを収得した(収率90%)。
【0062】
H NMR(CDCl, ppm) δ12.01(br.s, 1H), 7.58(br.s, 1H), 6.09(br.s, 1H), 5.33(d, 1H), 4.44(m, 3H), 4.12(t, 2H), 2.14(s, 3H), 2.12(s, 3H), 2.11(s, 3H), 1.61(m, 2H), 1.00(t, 3H)
【0063】
実施例9乃至15:
クロロギ酸プロピルの代わりにRが各々エチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、アリル、プロパギルである化合物5を使用することを除いては、前記実施例8と同じ方法で行って、次の化合物を得た。
【0064】
実施例9:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(エチルオキシカルボニル)−シトシン(R=エチル、化合物3b)
【0065】
H NMR(CDCl, ppm) δ12.00(br.s, 1H), 7.55(br.s, 1H), 6.10(d, 1H), 5.34(m, 2H), 4.38(m, 3H), 4.15(q, 2H), 2.11(s, 3H), 2.10(s, 3H), 2.08(s, 3H), 1.32(t, 3H)
【0066】
実施例10:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(ブチルオキシカルボニル)−シトシン(R=ブチル、化合物3b)
【0067】
H NMR(CDCl, ppm) δ12.04(br.s, 1H), 7.54(br.s, 1H), 6.11(br.s, 1H), 5.30(m, 2H), 4.40(m, 3H), 4.14(t, 2H), 2.13(s, 3H), 2.11(s, 3H), 1.69−1.25(m, 4H), 0.90(t, 3H)
【0068】
実施例11:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−シトシン(R=ペンチル、化合物3b)
【0069】
H NMR(CDCl, ppm) δ12.01(br.s, 1H), 7.61(br.s, 1H), 6.06(br.s, 1H), 5.27(m, 2H), 4.37(m, 3H), 4.12(t, 2H), 2.15(s, 3H), 2.10(s, 3H), 2.08(s, 3H), 1.71−1.31(m, 6H), 0.92(t, 3H)
【0070】
実施例12:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(ヘキシルオキシカルボニル)−シトシン(R=ヘキシル、化合物3b)
【0071】
H NMR(CDCl, ppm) δ11.94(br.s, 1H), 7.53(d, 1H), 6.09(d, 1H), 5.28(m, 2H), 4.36(m, 3H), 4.13(t, 2H), 2.14(s, 3H), 2.10(s, 3H), 2.09(s, 3H), 1.73−1.25(m, 8H), 0.92(t, 3H)
【0072】
実施例13:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(ヘプチルオキシカルボニル)−シトシン(R=ヘプチル、化合物3b)
【0073】
H NMR(CDCl, ppm) δ11.94(br.s, 1H), 7.60(d, 1H), 5.27(m, 2H), 4.37(m, 3H), 4.14(t, 2H), 2.15(s, 3H), 2.13(s, 3H), 2.09(s, 3H), 1.73−1.25(m, 10H), 0.92(t, 3H)
【0074】
実施例14:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(アリルオキシカルボニル)−シトシン(R=化合物、化合物3b)
【0075】
H NMR(CDCl, ppm) δ12.00(br.s, 1H), 7.63(d, 1H), 6.10(d, 1H), 5.89(m, 2H), 5.27(m, 2H), 4.77(d, 2H), 4.39(m, 3H), 2.13(s, 3H), 2.12(s, 3H), 2.10(s, 3H)
【0076】
実施例15:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−シトシン(R=プロパギル、化合物3b)
【0077】
H NMR(CDCl, ppm) δ11.45(br.s, 1H), 8.20(t, 1H), 6.01(s, 1H), 5.43(m, 1H), 5.26(m, 1H), 4.79(dd, 2H), 4.42(m, 1H), 4.36(m, 2H), 2.52(t, 1H), 2.10(s, 3H), 2.01(s, 3H)
【0078】
実施例16:
5−フルオロ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−シトシン(R=ペンチル、化合物3a)の製造
【0079】
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−シトシン(R=ペンチル、化合物3b)6.47gにメタノール50mlを加えて溶解した後、1Nソジウムメトキシド50mlを加えて1時間攪拌し、1N塩酸で中和させ、これを減圧蒸留させて濃縮した。ここに水30mlを加えた後、塩化メチレン/メタノール(95/5)溶液で多数回抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥ろ過した後、減圧蒸留させて濃縮し、酢酸エチルを利用した再結晶を経て表題の化合物4.11g(収率85%)収得した。
【0080】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.00(d, 1H), 5.86(br.s, 1H), 1.13(t, 2H), 4.03(m, 2H), 3.87(dd, 1H), 3.74(dd, 1H), 3.55(m, 1H), 1.65(m, 2H), 1.36(m, 4H), 0.92(t, 3H)
【0081】
実施例17乃至23:
2’,3’,5’−トリ−O−アセチル−5−フルオロ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−シトシンの代りにRが各々、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、アリル、プロパギルである化合物3bを使用することを除いては、実施例16と同じ方法で行って、次の化合物を得た。
【0082】
実施例17:
5−フルオロ−N−(エチルオキシカルボニル)−シトシン(R=エチル、化合物3a)
【0083】
H NMR(CDCl3, ppm) δ7.98(d, 1H), 5.88(br.s, 1H), 4.15(q, 2H), 4.05(m, 2H), 3.87(dd, 1H), 3.73(dd, 1H), 3.56(m, 1H), 1.30(t, 3H)
【0084】
実施例18:
5−フルオロ−N−(プロピルオキシカルボニル)−シトシン(R=プロピル、化合物3a)
【0085】
H NMR(CDCl, ppm) δ7.98(br.s, 1H), 5.86(br.s, 1H), 4.13(t, 2H), 4.01(m, 2H), 3.88(m, 1H), 3.75(dd, 1H), 3.56(m, 1H), 1.61(m, 2H), 0.96(t, 3H)
【0086】
実施例19:
5−フルオロ−N−(ブチルオキシカルボニル)−シトシン(R=ブチル、化合物3a)
【0087】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.01(d, 1H), 5.81(br.s, 1H), 4.14(t, 2H), 3.88(m, 2H), 3.77(dd, 1H), 3.56(m, 1H), 1.57−1.33(m, 4H), 0.95(t, 3H)
【0088】
実施例20:
5−フルオロ−N−(ヘキシルオキシカルボニル)−シトシン(R=ヘキシル、化合物3a)
【0089】
H NMR(CDCl, ppm) δ7.95(d, 1H), 5.80(br.s, 1H), 4.14(t, 2H), 4.02(m, 2H), 3.88(dd, 1H), 3.75(dd, 1H), 3.55(m, 1H), 1.57−1.29(m, 8H), 0.94(t, 3H)
【0090】
実施例21:
5−フルオロ−N−(ヘプチルオキシカルボニル)−シトシン(R=ヘプチル、化合物3a)
【0091】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.03(d, 1H), 5.88(br.s, 1H), 4.16(t, 2H), 4.05(m, 2H), 3.90(dd, 1H), 3.77(dd, 1H), 3.56(m, 1H), 1.57−1.61(m, 10H), 0.94(t, 3H)
【0092】
実施例22:
5−フルオロ−N−(アリルオキシカルボニル)−シトシン(R=アリル、化合物3a)
【0093】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.05(d, 1H), 5.90(ms, 2H), 5.26(m, 2H), 4.77(d, 2H), 4.09(m, 2H), 3.94(dd, 1H), 3.78(dd, 1H), 3.58(m, 1H)
【0094】
実施例23:
5−フルオロ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−シトシン(R=プロパギル、化合物3a)
【0095】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.15(d, 1H), 5.93(d, 1H), 4.77(d, 2H), 4.11(m, 1H), 3.95(m, 1H), 3.72(m, 3H), 2.50(t, 1H)
【0096】
実施例24:
5’−デオキシ−N−(ヘキシルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ヘキシル、化合物2a)の製造
【0097】
5−フルオロ−N−(ヘキシルオキシカルボニル)−シトシン(R=ヘキシル、化合物3a)1.72gにpH8乃至10の炭酸水素ナトリウム緩衝溶液10mlを加え、ここに酸化白金触媒を加えて90℃で酸素気体を12時間加えた後、触媒はろ過させ塩化メチレンメタノール(95/5)溶液で多数回抽出し、無水マグネシウムで乾燥ろ過し、減圧蒸留させて濃縮した後、酢酸エチルを利用した再結晶を経て表題の化合物(2a)1.30gを得た(収率71%)。
【0098】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.05(br.s, 1H), 5.87(d, 1H), 4.55−4.02(m, 5H), 1.60(m, 2H), 1.34(m, 6H), 0.89(t, 3H)
【0099】
実施例25乃至31:
5−フルオロ−N−(ヘキシルオキシカルボニル)−シトシンの代りにRが各々エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、アリル、プロパギルである化合物(3a)を使用することを除いては実施例24と同じ方法で化合物を得た。
【0100】
実施例25:
5’−デオキシ−N−(エチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=エチル、化合物2a)の製造
【0101】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.08(br.s, 1H), 5.91(d, 1H), 4.56−4.05(m, 5H), 1.30(t, 3H)
【0102】
実施例26:
5’−デオキシ−N−(プロピルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=プロピル、化合物2a)の製造
【0103】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.06(br.s, 1H), 5.89(d, 1H), 4.53−4.03(m, 5H), 1.61(m, 2H), 0.88(t, 3H)
【0104】
実施例27:
5’−デオキシ−N−(ブチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ブチル、化合物2a)の製造
【0105】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.05(br.s, 1H), 5.88(d, 1H), 4.53−4.03(m, 5H), 1.57−1.33(m, 4H), 0.90(t, 3H)
【0106】
実施例28:
5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ペンチル、化合物2a)の製造
【0107】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.05(br.s, 1H), 5.86(d, 1H), 4.51−4.05(m, 5H), 1.58−1.25(m, 6H), 0.90(t, 3H)
【0108】
実施例29:
5’−デオキシ−N−(ヘプチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ヘプチル、化合物2a)の製造
【0109】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.03(br.s, 1H), 5.86(d, 1H), 4.53−4.03(m, 5H), 1.60−1.28(m, 10H), 0.91(t, 3H)
【0110】
実施例30:
5’−デオキシ−N−(アリルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=アリル、化合物2a)の製造
【0111】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.11(br.s, 1H), 5.92(m, 2H), 5.22(m, 2H), 1.79(d, 2H), 4.56−4.05(m, 3H)
【0112】
実施例31:
5’−デオキシ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=プロパギル、化合物2a)の製造
【0113】
H NMR(CDCl, ppm) δ10.43(br.s, 1H), 8.01(m, 2H), 5.75(d, 1H), 4.95(d, 1H), 4.63(m, 1H), 4.28(m, 1H), 2.55(t, 1H)
【0114】
実施例32:
5’−デオキシ−N−(プロパギルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸エチル(R=ヘキシル、化合物2a)の製造
【0115】
5’−デオキシ−N−(ヘキシルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ヘキシル、化合物2a)1.04gにエタノール100mlを加え、零下30乃至0℃でここにチオニルクロライド0.6mlを滴下し、室温で6乃至12時間攪拌した後、ろ過してエタノールで洗浄し、減圧蒸留させて濃縮し、ここに炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて固体を析出した後、水とエタノールで洗浄して乾燥させ、表題の化合物(2b)1.30gを収得した(収率92%)。
【0116】
H NMR(CDCl, ppm) δ8.06(br.s, 1H), 5.90(d, 1H), 4.55−4.02(m, 7H), 1.64=1.09(m, 1H), 0.91(t, 3H)
【0117】
実施例33:
5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)の試験管内抗癌活性評価
【0118】
5−FUを対照薬剤として本発明による化合物である5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)の試験管内抗癌活性を測定するために、人間の癌細胞に対する細胞毒性能を測定した。この時、人間の癌細胞はA549(肺ガン)、HCT15(大腸癌)、SK−OV−3(卵巣癌)、SK−MEL−2(皮膚癌)を使用して比較した。
【0119】
まず、癌細胞を37℃、5%のCO恒温培湿器で培養し、この時、使用した培地はRPMIを基本培地として10%牛胎児血清を添加した。細胞毒性能を測定するために対数増殖期にある癌細胞を96ウェル・プレートの1ウェル当り2乃至5×10細胞になるように分株して24時間培養した後、5−Fと5’−デオキシ−N−ペンチルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸を段階別に希釈した試料溶液を加えて72時間培養した。培養されたプレートの各ウェルに、生理食塩水に5mg/ml濃度で溶かしたMTT反応液20μlを添加して4時間培養した後、生成されたホルマザン結晶をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して540nmの波長で各ウェルの吸光度を測定することによって生存細胞数を測定した。細胞を含まず培地だけが含有されているウェルの吸光度を0%、試料を加えなかったウェルの吸光度を100%とした時、50%の吸光度を示す濃度を各抗癌剤のIC50値として計算した。その結果を表3に示した。
【0120】
【表3】
Figure 2004505899
【0121】
前記表3に示すように、本発明による化学式2の化合物がそれぞれの癌細胞に対して約0.005乃至0.5μg/ml程度で強い抗癌活性を確認し、この値は対照薬剤より優れた抗癌活性を示すことが分かった。
【0122】
実施例34:
5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ペンチル、化合物2a)の生体内抗癌活性評価
【0123】
ヨーロッパ特許第602454号に発表された5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン誘導体のうち最も良い結果を示しているカペシタビン(capesitabine=5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン(R=ペンチル、R=水素である化合物1)を対照薬剤として実施例28の化合物である5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ペンチル、化合物2a)のネズミ腫瘍細胞株L1210に対して生体内抗癌活性を測定して比較した。
【0124】
実験動物は日本チャールズリバー(Charles River Japan)から輸入した5週齢(19乃至20g)BDF1雄マウスを1週間純化期間を経て供試した。実験動物飼育条件は温度24±2℃、湿度50±1℃であった。飲水として浄水された水を週2回交換してやり、麦藁及びケージ交換は週1回とした。実験は各群当り8匹とした。腫瘍細胞株はL1210マウス血液腫瘍細胞株とし、ファルコン培養フラスコで2、3回継代培養して活性化させた細胞株を収集しリン酸緩衝液(pH7.2)で洗浄した後、顕微鏡下で計数して1×10/mlになるように細胞懸濁液を作って使い捨て滅菌1ml注射器を利用して100μl(1×10)ずつマウスの腹腔内に移植した。薬物の投与は細胞移植24時間後から経口投与した。薬物の投与濃度は5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ペンチル、化合物2a)と対照薬物であるカペシタビンは1匹当り1.5、0.67及び0.13mmol/kg/100μlになるように調製し、5−FUは1匹当り0.23及び0.15mmol/kg/100μlになるように調製し、溶媒はカペシタビーンと5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(R=ペンチル、化合物2a)は生理食塩水であり、5−FUは0.5%カルボキシメチルセルロースである。試料は腫瘍細胞移植24時間後から開始して14日連続で合計14回投与した。抗腫瘍効果の評価はコントロールに対する生命延命率とした。その結果を表4に示した。
【0125】
【表4】
Figure 2004505899
【0126】
実施例35:
5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)誘導体の生体内抗癌活性評価
【0127】
ヨーロッパ特許第60254号に発表された5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン誘導体のうち最も良い結果を示しているカペシタビーン[capecitabine=5’−デオキシ−N−(ペンチルオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン(R=ペンチル、R=水素である化合物I)]を対照薬剤として本発明による化合物である5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)のネズミ腫瘍細胞株(L1210)に対する生体内抗癌活性を測定して比較した。
【0128】
実験動物は日本チャールズリバーから輸入した5週齢(19乃至20g)BDF1雄マウスを1週間純化期間を経て供試した。実験動物飼育条件は温度24±2℃、湿度50±1℃であった。飲水として浄水された水を週2回交換してやり、麦藁及びケージ交換は週1回とした。実験は各群当り5匹とした。腫瘍細胞株はL1210マウス血液腫瘍細胞株とし、ファルコン培養フラスコで2、3回継代培養して活性化させた細胞株を収集しリン酸緩衝液(pH7.2)で洗浄した後、顕微鏡下で計数して1×10/mlになるように細胞懸濁液を作って使い捨て滅菌1ml注射器で100μl(1×10)ずつマウスの腹腔内に移植した。薬物の投与は細胞移植24時間後から経口投与した。薬物の投与濃度は対照薬物であるカペシタビーンは1匹当り1.2、5.8.28.8.144、720mg/kg/100μlになるように調製し、5’−デオキシ−N−アルキルオキシカルボニル−5−フルオロシトシン−5’−カルボン酸(化合物2a)は蒸留水に溶かした。試料は腫瘍細胞移植24時間後から開始して3週間5回ずつ合計15回投与した。抗腫瘍効果評価は生命延命率とし、その結果を表5に示した。
【0129】
【表5】
Figure 2004505899
【0130】
【発明の効果】
前記表4と表5で示されているように、本発明による化学式2の化合物が動物実験を用いた生体内抗癌活性が非常に優れていることを確認した。

Claims (7)

  1. 下記の化学式2の5−フルオロシトシン、その誘導体、薬理的に許容可能なその塩または溶媒和物。
    Figure 2004505899
    前記式において、Rは水素、C−Cアルキル基またはC−Cアルキニル基、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示す。
  2. 下記の化学式3の5−フルオロシトシン、その誘導体、薬理的に許容可能なその塩または溶媒和物。
    Figure 2004505899
    前記式において、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、Rはヒドロキシメチル基または保護基が附加されたヒドロキシメチル基を示す。
  3. 下記の化学式3aの化合物と塩基を反応させて下記の化学式3bの化合物を製造し、
    前記化学式3bの化合物を酸化させる工程を含む下記の化学式2aの5−フルオロシトシン及びその誘導体の製造方法。
    Figure 2004505899
    Figure 2004505899
    前記式において、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、Rはヒドロキシメチル基または保護基が附加されたヒドロキシメチル基を示す。
  4. 下記の化学式2aの化合物をエステル化させる工程を含む下記の化学式2bの5−フルオロシトシンまたはその誘導体の製造方法。
    Figure 2004505899
    Figure 2004505899
    前記式において、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、Rはヒドロキシメチル基または保護基が附加されたヒドロキシメチル基を示す。
  5. 塩基の存在下において下記の化学式4の化合物と下記の化学式5の化合物を反応させる工程を含む下記の化学式3bの5−フルオロシトシン及びその誘導体の製造方法。
    Figure 2004505899
    Figure 2004505899
    Figure 2004505899
    Figure 2004505899
    前記式において、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、Rはヒドロキシメチル基または保護基が附加されたヒドロキシメチル基を示す。
  6. 前記塩基はピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンである、請求項5に記載の方法。
  7. 下記の化学式2または3の5−フルオロシトシンまたはその誘導体を有効性分として含む抗癌剤組成物。
    Figure 2004505899
    Figure 2004505899
    前記式で、Rは生理条件下で容易に加水分解可能な原子団または容易に除去可能な保護基であり、好ましくは水素またはアセチル基であり、RはC−Cアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を示し、Rはヒドロキシメチル基または保護基が附加されたヒドロキシメチル基を示す。
JP2002517006A 2000-08-09 2001-08-08 5’−デオキシ−n−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン及びその誘導体、その製造方法、並びに、これを有効性分として含む抗癌剤組成物 Pending JP2004505899A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR1020000046179A KR100730768B1 (ko) 2000-08-09 2000-08-09 5'-데옥시-n-알킬옥시카르보닐-5-플루오로사이토신-5'-카르복실산 및 그 유도체와 이들의 제조방법
KR1020010044193A KR20030009649A (ko) 2001-07-23 2001-07-23 Ν-알키닐옥시카르보닐-5-플루오로시토신 유도체, 그제조방법 및 이를 유효성분으로 포함하는 항암제
PCT/KR2001/001351 WO2002011668A2 (en) 2000-08-09 2001-08-08 5'-deoxy-n-(substituted oxycarbonyl)-5-fluorocytosine and derivatives thereof, method of preparing same, and anticancer composition comprising same as active ingredients

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004505899A true JP2004505899A (ja) 2004-02-26
JP2004505899A5 JP2004505899A5 (ja) 2005-02-24

Family

ID=26638291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002517006A Pending JP2004505899A (ja) 2000-08-09 2001-08-08 5’−デオキシ−n−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン及びその誘導体、その製造方法、並びに、これを有効性分として含む抗癌剤組成物

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP1311524A2 (ja)
JP (1) JP2004505899A (ja)
CN (1) CN1446225A (ja)
AU (1) AU2001278804A1 (ja)
WO (1) WO2002011668A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008010571A1 (fr) * 2006-07-21 2008-01-24 Taiho Pharmaceutical Co., Ltd. Composé nucléosidique de 2'cyanopyrimidine

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101993464B (zh) * 2009-08-19 2014-07-23 成都弘达药业有限公司 一种卡培他滨的制备方法
CN103897004B (zh) * 2012-12-27 2017-05-31 鲁南制药集团股份有限公司 一种卡培他滨的合成方法
KR102306412B1 (ko) 2016-06-28 2021-09-28 셀릭스 바이오 프라이빗 리미티드 암 치료용 조성물 및 방법
CA3061621A1 (en) * 2017-04-26 2018-11-01 Thomas I. Kalman Multitargeted nucleoside derivatives
JP2021534085A (ja) * 2018-08-03 2021-12-09 セリックス バイオ プライヴェート リミテッドCellix Bio Private Limited 癌治療のための組成物及び方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5968914A (en) * 1987-10-28 1999-10-19 Pro-Neuron, Inc. Treatment of chemotherapeutic agent and antiviral agent toxicity with acylated pyrimidine nucleosides
US5204466A (en) * 1990-02-01 1993-04-20 Emory University Method and compositions for the synthesis of bch-189 and related compounds
US5914331A (en) * 1990-02-01 1999-06-22 Emory University Antiviral activity and resolution of 2-hydroxymethyl-5-(5-fluorocytosin-1-yl)-1,3-oxathiolane
US5276151A (en) * 1990-02-01 1994-01-04 Emory University Method of synthesis of 1,3-dioxolane nucleosides

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008010571A1 (fr) * 2006-07-21 2008-01-24 Taiho Pharmaceutical Co., Ltd. Composé nucléosidique de 2'cyanopyrimidine

Also Published As

Publication number Publication date
EP1311524A2 (en) 2003-05-21
WO2002011668A2 (en) 2002-02-14
WO2002011668A3 (en) 2002-04-18
AU2001278804A1 (en) 2002-02-18
CN1446225A (zh) 2003-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2501297B2 (ja) N4−(置換−オキシカルボニル)−5′−デオキシ−5−フルオロシチジン誘導体
US20110015147A1 (en) Anti-viral pyrimidine nucleoside analogues
JP5087052B2 (ja) 改良された治療剤
KR860001865B1 (ko) 2'-데옥시-5-치환 우리딘 유도체의 제조방법
JP2004505899A (ja) 5’−デオキシ−n−(置換されたオキシカルボニル)−5−フルオロシトシン及びその誘導体、その製造方法、並びに、これを有効性分として含む抗癌剤組成物
KR101426101B1 (ko) 3'-에티닐시티딘 유도체
RU2347786C2 (ru) Производные сложноэфирных липидов нуклеотидов
US8349834B2 (en) Dioxolane derivates for the treatment of cancer
JPS62919B2 (ja)
SE436208B (sv) Sett att framstella 5-fluoro-uracilderivat
KR20030009649A (ko) Ν-알키닐옥시카르보닐-5-플루오로시토신 유도체, 그제조방법 및 이를 유효성분으로 포함하는 항암제
JPH08837B2 (ja) サイクリツクamp誘導体
KR100730768B1 (ko) 5'-데옥시-n-알킬옥시카르보닐-5-플루오로사이토신-5'-카르복실산 및 그 유도체와 이들의 제조방법
US20030166606A1 (en) 5'-deoxy-n-(substituted oxycarbonyl)-5-fluorocytosine and derivatives thereof, method of preparing same, and anticancer composition comprising same as active ingredients
KR100631754B1 (ko) N-알킬옥시카르보닐-5-플루오로사이토신 유도체 및 그의제조방법
CN113336816B (zh) 胞苷类化合物及其抗肿瘤用途
JPS6337787B2 (ja)
KR20030050504A (ko) 신규5'-데옥시-n-알킬옥시카르보닐-5-플루오로사이토신-5'-아미드 유도체, 그의 제조방법, 및 이를 유효성분으로포함하는 항암제
KR20040008410A (ko) 신규5'-데옥시-n-알킬옥시카르보닐-5-플루오로사이토신-5'-티오에스터 유도체, 그의 제조방법, 및 이를 유효성분으로포함하는 항암제
JPWO2008010571A1 (ja) 2’−シアノピリミジンヌクレオシド化合物
RU2200157C2 (ru) Пиридинкарбоксамидины, способ их получения и фармацевтическая композиция на их основе
KR20030071263A (ko) 1-(4'-비닐-베타-d-에리쓰로노퓨라실)-5-플루오로-n4-(알킬옥시카르보닐)-사이토신 유도체, 그의 제조방법 및 이를유효성분으로 하는 항암제
CN117903230A (zh) 一种脱氧氟尿苷衍生物及其制备抗癌药物/前药的应用、药物/前药和制备方法
CN117903226A (zh) 一种氟尿嘧啶及其制药用途、药物/前药和制备方法
CN115466271A (zh) 六环石蒜碱衍生物、其药物组合物及其制备方法和用途

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061031

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070403