JP2004502080A - 歯車ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】すべり軸受における最適な熱の移動のために一般形式の歯車ポンプを具体化することである。
【解決手段】歯車ポンプはケーシング(1)とケーシングに配置された歯車ロータ(2,3)とを有する。歯車ロータ(2,3)は、ポンプ輸送媒体により潤滑されるすべり軸受(11〜14)の支承部分に支承されている。歯車ロータは、冷却がすべり軸受(11〜14)の円周に沿って及び/又は長手方向に及び/又は半径方向に変化するように具体化された少なくとも1つの冷却導管(39)を有する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1に記載の上位概念に係る歯車ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な形式の歯車ポンプでは、軸受の温度が最大許容速度にとって、したがってポンプの処理量にとって決定的に重要である。すべり軸受(平軸受)は慣例上ポンプ輸送媒体により潤滑されるので、高い粘性のポンプ輸送媒体の場合には高いエネルギーの供給が軸受隙間に引き起こされる。ポンプ輸送媒体は最大に許容し得る最大温度を有するので、歯車ポンプの速度、したがって歯車ポンプの処理量が制限される。このことは、ポンプ輸送媒体が300〜350℃の範囲にわたる最大許容温度を有するプラスチック溶融液であるときに特に重要である。
【0003】
特許文献1には、すべり軸受に曲がりくねっている冷却導管を有する一般形式の歯車ポンプが記載されている。
【特許文献1】
欧州特許公開公報第 0 715 078号
【0004】
特許文献2には、歯車ロータの軸に冷却導管を設けることが教示されている。
【特許文献2】
欧州特許発明明細書第 0 607 999号
【0005】
本発明は、すべり軸受の熱の発達具合がその円周に沿って且つ中心縦軸線の方向におけるすべり軸受の広がりにわたって変化するという知識に基づいている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、すべり軸受の最適な熱の移動のために一般形式の歯車ポンプを具体化することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的は、本発明により、請求項1に記載の特徴部分の構成により達成される。
【0008】
慣例上、最も高いエネルギーの供給は最も減少した軸受隙間の個所に、すなわち軸の支承部分と、すべり軸受と呼ばれる軸受シェルの領域との間の隙間に引き起こされる。これは、高い粘性のポンプ輸送媒体の最大せん断の個所である。これは、機械的エネルギーが特別に高い程度に熱エネルギーに変換される所である。この領域には、非常に徹底した冷却が必要である。
【0009】
従属請求項は、多数の有利な且つ部分的に発明のある実施の形態を反映している。
本発明のさらなる特徴、利点及び細部は、図面と関連して説明された典型的な実施の形態の次の記載から明らかになろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
図1と2に見られる歯車ポンプはケーシング1を有し、その中に2つの歯車ロータ2,3が配置されている。各ロータは2,3はセレーション部分4,5を有する。セレーション部分4、5は互いに噛み合う。さらに、各ロータ2,3は、ロータ2及び3の中心縦軸線6、7と同軸である軸8,9を有し、これらの軸は歯車部分4及び5に回転不能に接合され、その一端には駆動ジャーナル10が設けられている。
【0011】
セレーション部分4,5の両側に、すべり軸受11,12,13,14がケーシング1に配置され且つ支持されており、軸8,9は支承部分15,16,17,18によりすべり軸受に回転可能に支承されている。ケーシング1の前部は2つのカバー19,20により閉鎖されており、これらのカバーはねじ21により解放可能に固定されている(点線で輪郭を示してある)。軸8,9はケーシングからカバー19,20の孔22を通って延びている。それぞれの軸8,9と孔22の間を密封するシール23が設けられている。
【0012】
2つの軸線6,7を通る平面に対し垂直である、図2に見られる平面は、ロータ2,3の一方の側にポンプの吸い込み側24を含む。送り出し側25は反対側にある。回転方向の矢印26,27にしたがって、ロータ2,3は反対方向に作用される。それらのセレーション28,29はケーシング1の内側壁30に対しほとんど遊びなしで回転する。セレーションは、吸い込み側24から送り出し側25へポンプ輸送すべき流体を、搬送方向31の矢印に対応して搬送する。
【0013】
ケーシング1は、温度調整流体のための導管33を有する。すべり軸受11〜14は、ポンプ輸送媒体により、通例プラスチック溶融液のような一層高い粘性の、すなわち本来の粘性のポンプ輸送媒体により潤滑される。この目的のために、ポンプ輸送媒体分岐導管34がポンプの送り出し側25に開口し、且つそれぞれの軸線6又は7に平行である1つ又は複数のすべり軸受隙間35に通じており、これらの軸受隙間では通例のようにポンプ輸送媒体が軸8及び9のそれぞれの支承部分15〜18とそれぞれのすべり軸受11〜14の間の潤滑のために役立つ。すべり軸受11〜14から、ポンプ輸送媒体がポンプ輸送媒体戻し導管36を経て吸い込み側24へ戻される。戻し導管36の一部がそれぞれのカバー19,20に形成され且つ戻し導管の一部がケーシング1に形成されている。その結果として、ポンプ輸送媒体は流れ方向の矢印37にしたがってポンプの送り出し側25から吸い込み側24へすべり軸受11〜14を通って流れる。
【0014】
すべり軸受11〜14は冷却される。この目的のために、各カバー19及び20は、すべり軸受13と14に1つ又はいくつかの冷却導管39に接続された冷却液供給導管38を有する。各カバー19,20の軸9,8の間に形成されているのがオーバーフロー導管40であり、この導管はすべり軸受11,12の対応する冷却導管39に接続されている。冷却液はすべり軸受11,12の冷却導管39から冷却液排出導管41を通って流れる。その結果として、冷却液は流れ方向42に導管を通って流れる。
【0015】
次は冷却導管39の種種の実施の形態の記載である。設計が個々のすべり軸受11〜14において同一又は鏡像対称であるので、設計と配置の次の記載はすべり軸受12のみを論ずる。
【0016】
図3及び4による実施の形態では、すべり軸受12a,14aが同一の横断表面形状の連続的な冷却導管39aを有し、これらの冷却導管は軸線6及び7に対し平行に曲がりくねっているが、すべり軸受12a,14aの円周に沿って分布状態が変化する。図3に見られるように、すべり軸受は、冷却導管39aが比較的密接に詰められている領域43を有する。その結果として、すべり軸受からの熱の移動は、この領域では、隣接する冷却導管39aが互いに一層大きな間隔を有する他の領域におけるよりもきわめて大きい。円周単位当たりの、すなわち単位角度a当たりの冷却導管39aの熱の移動表面は他の円周領域におけるよりも領域43の方が一層大きい。
【0017】
図5によるもう1つの実施の形態では、冷却導管39bも図4に点線で輪郭を示したように曲がりくねっている。しかしながら、それらの冷却導管は円周に沿って分配された、円周単位当たりの、すなわち単位角度a当たりの変化する大きさの熱交換表面を有する。その結果として、冷却導管39bは変化する横断表面形状を有する。これらは、円筒状横断面形状の冷却導管39b’でもよいし、又は楕円又は腎臓形の横断面形状の冷却導管39”でもよいし、スプラインの横断面を有する冷却導管39’’’でもよいし、又は四角な横断面形状の冷却導管39b’’’’でもよい。これらの冷却導管39bは、形状及び/又は大きさが正常の考え方から少しはずれた熱交換表面を有する。
【0018】
図6による実施の形態では、図4による実施の形態のように曲がりくねっている冷却導管39aが、すべり軸受12c,14cに形成されている。比較的低いエネルギー供給の領域において、すべり軸受12c及び14cから冷却液への冷却導管39cの単位面積当たりの伝熱に影響を与える、可変設計表面を有する冷却導管39cが設けられている。これは、伝熱係数に影響する変化する面粗さでもよい。また、伝熱の異なる材料を使用することも想到できる。絶縁ブシュ44が冷却導管39c’に挿入されているが、このブシュは中実材料のブシュである。絶縁ブシュ45が冷却導管39c”に挿入されているが、その際ブシュ45とすべり軸受14cの材料との間に若干の隙間46が形成されている。
【0019】
図7による実施の形態では、図4の実施の形態のように曲がりくねっている冷却導管39aがすべり軸受12dと14dに形成されている。いくつかの冷却導管39d’が軸線6及び7と反対側にそれらの円周部分に沿って絶縁体47を有することにより、軸8,9の領域から優れた熱の移動が起こり、これに反してすべり軸受の外側領域から、すなわちケーシング1からは熱の移動又は供給の減少のみが起こる。
【0020】
図8の典型的な実施の形態では、すべり軸受12e,14eに2つの曲がりくねっている冷却導管39e’と39e”が設けられている。冷却液がこれらの冷却導管39e’と39e”に別々に供給される。供給された冷却液は異なっていて且つ変化する熱容量を有する。供給された冷却液は冷却導管39e’と39e”を通って流れ方向42e’と42e”に流れる。2つの冷却導管39e’と39e”を通って供給される冷却液は、個々に、温度及び/又は単位時間当たりの量について調整するか又は制御することができる。
【0021】
続いて図9において、冷却導管39fを、上記の典型的な実施の形態のように、直列に、すなわち連続的に配置することができるだけではなく、冷却液の流れが並列の配置でも行なうことができる。この場合には、同一の流れ方向42の冷却導管39fがすべり軸受12fに形成される。分岐導管48と49がすべり軸受12fの2つの端部付近に形成されている。冷却液が冷却導管39fを通過後集められる分岐導管49から戻し導管50が戻るように導かれて、オーバーフロー導管40又は排出導管41に接続される。この場合にも、冷却導管39fはもちろん図3〜8の実施の形態で限定された形状と配置を有することができる。
【0022】
図10と11による実施の形態では、すべり軸受12gは二体からなる設計である。このすべり軸受は内側軸受ブシュ51と外側ブシュ52を有し、その間に環状の円筒冷却導管39gが形成され、この円筒冷却導管は軸線6に平行な分割壁53により分割されることにより、冷却液が冷却導管39gを通って流れ方向42gに強制的に案内されて流れ方向42’’’’に排出される。ケーシング1の側からの熱の供給、すなわちエネルギーの供給を減らすために、外側ブシュ52には絶縁ジャケットがライニングされている。これに応じて、軸8からの不釣合いな熱の移動がある。
【0023】
図10及び11の実施の形態と同様な図12の実施の形態は、いわゆる湿式軸受ブシュである。すべり軸受12hが外側ブシュ52’と内側軸受ブシュ51’で形成されている。外側ブシュ52’に設けられているのが、別々の冷却回路(巡回路)を形成する螺旋冷却導管39h’と39h”である。冷却液はこれに流れ方向41h’と42h”で供給されるが、温度及び/又は単位時間当たりの量が変化する。
【0024】
上記の実施の形態は、ロータ2,3の一方の側の2つのすべり軸受11,13及び12,14の冷却導管39が直列に接続されているすべり軸受の設計を優先的に述べたけれども、もちろん、冷却液の流れを個々の冷却導管へ別々に又は並列に供給することもできる。この場合には、オーバーフロー導管40が例えば冷却液排出又は供給ラインにより置き換えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の線I−Iに沿って切断した歯車ポンプの横断面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿って切断した歯車ポンプの横断面図である。
【図3】図2の矢印IIIの方向より見たすべり軸受の第一の実施の形態の平面図である。
【図4】図3の線IV−IVに沿って切断したすべり軸受の縦断面図である。
【図5】すべり軸受の第二の実施の形態の平面図の図3に対応する図である。
【図6】すべり軸受の第三の実施の形態の、図3に対応する平面図である。
【図7】すべり軸受の第四の実施の形態の、図3に対応する平面図である。
【図8】すべり軸受の第五の実施の形態の、図3に対応する平面図である。
【図9】すべり軸受の第六の実施の形態の斜視図である。
【図10】すべり軸受の第七の実施の形態の斜視図である。
【図11】図10の線XI−XIに沿って切断したすべり軸受の横断面図である。
【図12】すべり軸受の第八の実施の形態の斜視図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2,3 歯車ロータ
6,7 中心縦軸線
11〜14 すべり軸受
15,18 支承部分
24 吸い込み側
25 送り出し側
39 冷却導管
43 領域
44,45 絶縁ブシュ
46 隙間
47 絶縁体

Claims (15)

  1. − 吸い込み側(24)と送り出し側(25)を有するケーシング(1)と;
    − 当該ケーシング(1)に配置された2つの互いに噛み合う歯車ロータ(2,3)と;
    − すべり軸受(11〜14)とを備えて成る歯車ポンプにして、
    上記歯車ロータはポンプ輸送媒体を吸い込み側(24)から送り出し側(25)へ搬送し且つそれらの端部に支承部分(15〜18)を有しており、
    上記すべり軸受の各々は支承部分(15〜18)を備え、ポンプ輸送媒体により潤滑され且つ少なくとも1つの冷却導管(39)を有するような歯車ポンプにおいて、
    冷却がすべり軸受(11〜14)の周方向に沿って及び/又は長手方向に及び/又は半径方向に変化するように少なくとも1つの冷却導管(39)が具体化されていることを特徴とする歯車ポンプ。
  2. 冷却導管(39a)が密接に詰められている領域(43)で、すべり軸受(12a,14a)の他の周方向領域よりも周方向単位(a)当たりより多くの数の冷却導管(39a)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の歯車ポンプ。
  3. 冷却導管(39b’,39b”,39b’’’,39b’’’’)が、変化する寸法の表面を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯車ポンプ。
  4. 冷却導管(39b’,39b”,39b’’’,39b’’’’)が、変化する横断面形状を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
  5. 個々の冷却導管(39c’,39c”,39d’)が少なくとも一部に、熱伝導率の減少した表面を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
  6. 絶縁ブシュ(44,45)が冷却導管(39c’,39c”)に挿入されていることを特徴とする、請求項5に記載の歯車ポンプ。
  7. 隙間(46)が絶縁ブシュ(45)とすべり軸受(14c)の間に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の歯車ポンプ。
  8. 少なくとも1つの冷却導管(39d)が中心の縦軸線(6,7)の半径方向外側に面する側に絶縁体(47)により部分的に絶縁されていることを特徴とする、請求項5に記載の歯車ポンプ。
  9. 少なくとも2つの別々の冷却回路を形成するように組み合わされた冷却導管(39e’,39e”)が設けられていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
  10. 冷却導管(39a,39b,39c,39d,39e)が直列に接続されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
  11. 冷却導管(39f)がすべり軸受(12f)において並列に接続されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
  12. 冷却導管(39a,39b,39c,39d,39e,39f)が延長されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
  13. 少なくとも1つの冷却導管(39g)が環状の円筒形であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
  14. 少なくとも1つの冷却導管(39g)には、外側に絶縁ジャケット(54)が設けられていることを特徴とする、請求項13に記載の歯車ポンプ。
  15. 少なくとも1つの冷却導管(39h’,39h”)が螺旋状であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載の歯車ポンプ。
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