JP2004362875A - 固体高分子型燃料電池用電極およびこれを用いた固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電極およびこれを用いた固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池の耐久性を十分に確保しながら、触媒層における電気伝導性及びガス拡散性の両方の向上を実現させることで電池性能の向上を果たすことのできる固体高分子型燃料電池用電極およびこの電極を用いた固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】導電性多孔質体からなるガス拡散層と、電極触媒とイオン交換樹脂を含有する触媒層とからなる燃料極及び酸素極を有し、固体高分子電解質膜の一面に前記燃料極が、他の面に前記酸素極が配置された固体高分子型燃料電池において、前記触媒層における触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池用電極およびこの電極を用いた固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池の電極接合体は、プロトン伝導性の高分子電解質膜と、前記電解質膜の片面にアノード触媒層、他方の面にカソード触媒層を配置し、前記アノード側、カソード側触媒層の電解質膜と接していない面にガス拡散層を配置することで形成される。
【0003】
固体高分子型燃料電池の電極(触媒層)から電池性能向上に寄与するには、▲1▼触媒層における電子移動抵抗の減少、▲2▼触媒層でのガス拡散性向上があり、また、触媒層の低コスト化に対しては、Pt利用率の向上(現状:〜30%/触媒層内のPt)が考えられる。
【0004】
上記▲2▼の触媒層におけるガス拡散性向上に対しては、乾燥過程を制御することで触媒層にマイクロクラックを発生させることで触媒層における空孔を増大させる手法(例えば、特許文献1参照。)、触媒インクの中に造孔剤を混入し空孔を形成する手法(例えば、特許文献2〜4参照。)などが提案されている。
【0005】
さらに、触媒効率向上とガス拡散性の向上のため、触媒層として、集電体面に対して垂直方向に成長したカーボンナノファイバーを触媒担持体として用いる手法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−270187号公報
【特許文献2】
特開2000−260435号公報
【特許文献3】
特開平10−189012号公報
【特許文献4】
特開平09−120821号公報
【特許文献5】
特開2002−298861号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1に記載の手法では、マイクロクラックの発生を制御することが困難であり、かつクラックにより触媒層が島状に形成されてしまうと、触媒層における電気抵抗が増大する可能性がある。また、前記特許文献2〜4に記載の手法である、触媒インクの中に造孔剤を混入させることで触媒層に空孔を形成させる手段においては、造孔剤が完全に除去されない可能性があり、触媒層に像孔剤が残存すると電解質膜の劣化を引き起こすことが予測される。このように触媒層に不純物が残存することで、残存物がイオン化し、電解質膜の劣化を引き起こし、電池寿命の低下を引き起こす可能性が高い。
【0008】
さらに、上記特許文献5に記載の手法では、反応に十分な触媒量を確保することが困難であり、また、カーボンナノファイバーにより電解質膜を破損してしまうことが予測される。
【0009】
従って、燃料電池の耐久性を十分に確保しながら、触媒層における電気伝導性及びガス拡散性の両方の向上を実現させることで電池性能の向上を果たさなくてはならないが、現在までに提案されているもので、こうした要求を満足するものは提案されていなかった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、燃料電池の耐久性を十分に確保しながら、触媒層における電気伝導性及びガス拡散性の両方の向上を実現させることで電池性能の向上を果たすことのできる固体高分子型燃料電池用電極およびこの電極を用いた固体高分子型燃料電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性多孔質体からなるガス拡散層と電極触媒とイオン交換樹脂を含有する触媒層からなる燃料極及び酸素極を有し、固体高分子電解質膜の一面に前記燃料極が、他の面に酸素極が配置された固体高分子型燃料電池において、前記触媒層における触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極により達成されるものである。
【0012】
【発明の効果】
本発明の固体高分子型燃料電池用電極では、触媒層における触媒担持体としてカーボン粒子とカーボン繊維とを(混合させて)用いることにより、触媒担持体にカーボン粒子のみを使用した場合と比較すると、カーボン繊維が存在することにより触媒層内における電子移動に対する抵抗を低減させることができる。また、カーボン繊維上に付着しているPt等の触媒周辺にはイオン交換樹脂が付着しやすく、反応サイトが増加する。さらに、粒子状のものと繊維状のものが混合していることにより、触媒層内での空孔が増大し、触媒層内でのガス拡散性が向上する。以上のことから、触媒層における電子移動抵抗の減少、反応サイトの増大、ガス拡散性向上を図ることができる。その結果、本発明の固体高分子型燃料電池用電極を用いた固体高分子型燃料電池の電池特性を大幅に向上することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における固体高分子型燃料電池用電極およびこれを用いた固体高分子型燃料電池の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の固体高分子型燃料電池用電極を用いた固体高分子型燃料電池(単セル)の代表的な一実施形態を模式的に表した断面段略図(図1(a))と、触媒層内のカーボン粒子とカーボン繊維の状態の代表的な2つの実施形態をそれぞれ模式的に拡大して表した部分断面図(図1(b)、(c))である。
【0015】
図1(a)に示すように、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極を用いた固体高分子型燃料電池の代表的な一実施形態を模式的に表した固体高分子型燃料電池1では、導電性多孔質体からなるガス拡散層3と、電極触媒とイオン交換樹脂を含有する触媒層5とからなる燃料極7及び酸素極9を有し、固体高分子電解質膜11の一面に前記燃料極7が、他の面に前記酸素極9が配置されてなるものである。
【0016】
そして、本発明の固体高分子型燃料電池用電極では、上記固体高分子型燃料電池において、前記触媒層における触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いていることを特徴とするものである。これは、固体高分子型燃料電池用電極において、燃料電池の出力を向上させるためには触媒層における電気伝導性の向上と、ガス拡散性向上の両方を満たすことが必要となってくる。現在の燃料電池用電極触媒層において、反応に寄与しているPt等の触媒量は触媒層内に含まれるPt等の触媒の30質量%前後であると言われている。それは、電極内の触媒の形態が、イオン交換樹脂で被覆されていないPt等の触媒、被覆されているが大きな二次粒子となっており二次粒子の内側のPt等の触媒が反応サイトとして有効に作用していないPt等の触媒粒子が存在するためだと考えられる。そこで、本発明では、触媒層における触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いていることにより、触媒担持体にカーボン粒子のみを使用した場合と比較すると、カーボン繊維が存在することにより電子移動に対する抵抗が減少し、触媒層における電気伝導性を向上することができる。また、カーボン繊維上に付着しているPt等の触媒周辺にはイオン交換樹脂が付着しやすく、反応サイトが増加し、反応に寄与しているPt等の触媒量を増やすことができる。さらに、触媒担持体に粒子状のものと繊維状のものが混合していることにより、触媒層内での空孔が増大し、触媒層内でのガス拡散性も向上する。以上のことから、触媒層における電子移動抵抗の減少による触媒層における電気伝導性を向上、反応サイトの増大による反応に寄与する触媒量の増加、ガス拡散性向上の全てを満たすことができ、燃料電池の出力を向上させることができる。
【0017】
上述したように、本発明の固体高分子型燃料電池用電極及びこれを用いた固体高分子型燃料電池では、その触媒層内の構成に特徴を奏するものであるため、かかる触媒層を中心に以下に説明するものである。なお、固体高分子型燃料電池用電極およびこれを用いた固体高分子型燃料電池の触媒層以外の他の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のである固体高分子型燃料電池用電極およびこれを用いた固体高分子型燃料電池に適用し得るものの中から適宜選択して用いることができるものである。これらに関しては、後述する。
【0018】
まず、本発明の固体高分子型燃料電池用電極の触媒層は、電極触媒とイオン交換樹脂を含有するものであって、触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いていることを特徴とする。
【0019】
ここで、電極触媒とは、触媒担持体に触媒を担持したものをいう。具体的には、触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用い、これらに白金等の触媒を担持させた触媒担持カーボン粒子と触媒担持カーボン繊維とを有するものである。
【0020】
本発明では、触媒担持体として、カーボン粒子とカーボン繊維の他に、更に他の触媒担持体を用いてもよい。
【0021】
本発明の触媒担持体の1種として用いることのできるカーボン粒子としては、特に制限されるべきものではなく、アセチレンブラック、バルカン、ケッチェンブラックなど、従来公知のカーボン粒子を用いることができる。本発明では、これらのカーボン粒子を1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
本発明では、上記カーボン粒子の粒子径は、10〜100nmであることが望ましい。これは、触媒担持体であるカーボン粒子の粒子径が100nmを超えて大きくなると、単位体積あたりの触媒担持量が少なくなり、かつ粒子径が大きくなることで、触媒層の体積増大につながるためである。一方、カーボン粒子の粒子径が10nm未満の場合には、電池運転を継続する過程において担持されている触媒粒子が凝集してしまう。とりわけ粒子径が20〜50nmのカーボン粒子を触媒担持体に用いることで、電極反応に必要な量の触媒を触媒層体積を増大させることなく得ることが可能になる点で優れている。
【0023】
本発明の触媒担持体の1種として用いることのできるカーボン繊維としては、特に制限されるべきものではなく、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーンなど、従来公知のカーボン繊維を用いることができる。本発明では、これらのカーボン繊維を1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましくはカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーおよび/またはカーボンナノホーンである。これは、以下に要求するサイズ範囲に対応できるカーボン繊維として存在しているのはカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーおよびカーボンナノホーンであるためである。
【0024】
本発明では、上記カーボン繊維の前記カーボン繊維の繊維径が5〜200nmの範囲であり、繊維長さが1〜100μmの範囲であることが望ましい。ここで規定している繊維径のカーボン繊維を用いることで、カーボン粒子同士で形成される空孔を確保でき、かつ、カーボン繊維とカーボン粒子との界面では、粒子同士による空孔よりも空孔率を増加させることができ、ガス拡散性の向上を図ることができる。また、カーボン繊維の繊維長さを上記のように規定することで、カーボン繊維が電解質膜と平行方向に多く配列されることを防ぎ、電解質膜と垂直方向への電子移動を促進することで電池性能の向上を図ることができる。なぜならば、触媒層におけるガスの拡散性は電極反応を進行させるためには必要不可欠である。そして、この触媒層におけるガス拡散は上記カーボン粒子同士が接した際に発生する空孔に依存している。従って、カーボン繊維の繊維径を5nm未満にまで小さくしすぎるとカーボン粒子が接することにより発生した空孔をふさいでしまう。また、カーボン繊維の繊維径を200nmを超えて大きくしすぎると、触媒担持体の単位体積あたりの触媒量が減少し、触媒層体積の増大を引き起こすためである。また、カーボン繊維の繊維長さが1μm未満と短いと電子移動抵抗の減少度合いが小さく、100μmを超えて長くなりすぎると電解質膜に平行にカーボン繊維が配置されやすくなり、電子が膜に垂直な方向に移動できる確率が減少し、電極反応の促進に結びつきにくい。更に、このようなアスペクト比(縦横比;すなわち繊維径と繊維長さの比)の繊維状のものを触媒インク(触媒層を形成するのに用いられる原料を適当な溶媒に混合した溶液をいう。詳しくは、後述する実施例1、2を参照のこと。)中に混ぜて、塗布すると塗布方向に対して、垂直に繊維が並ぶ傾向にある。そのため、電解質膜に垂直にカーボン繊維が配置されやすくなり、電子が膜に垂直な方向に移動できる確率が高まり、電極反応の促進に結びつくという利点を有する。
【0025】
より好ましくはカーボン繊維の繊維径が50〜100nm、繊維長さが20〜40μmの範囲にあることである。カーボン繊維の繊維径が50nm未満だとカーボン粒子の粒子径と同程度になってしまい、電子移動抵抗の減少効果が小さくなることが予測され、100nmを超えると、単位体積あたりのPt等の触媒量が減少してしまう。また、カーボン繊維の繊維長さが20μm未満だとガス拡散層まで電子移動経路を設けることが困難になり、40μmを超えると、単位体積あたりのPt等の触媒量の減少、電解質膜平行方向にカーボン繊維が配置される傾向が増大するからである。ただし、これらより好ましい範囲を外れても上記に規定する好ましい範囲を満足するものであれば、本発明の作用効果を良好に発現することができることは言うまでもない。
【0026】
また、上記カーボン繊維の繊維径は、上記カーボン粒子の粒子径の0.5〜20倍であることが望ましい。これは、サイズが異なっているカーボン粒子とカーボン繊維とを触媒担体として用いることで、カーボン粒子のみを用いて触媒層を形成したときと比較して触媒層内により多くの空孔を形成することができ、触媒層内でのガス拡散性が向上することができる。カーボン繊維の繊維径が、カーボン粒子の粒子径の0.5倍未満になると、カーボン粒子同士の接触により形成される空孔をカーボン繊維が塞いでしまうおそれがある。一方、カーボン繊維の繊維径が、大きくなると、カーボン繊維に担持できる触媒粒子の量が減少してしまい、反応に必要な触媒粒子を確保するには、触媒層の体積増加を伴うためである。
【0027】
また、図1(b)に示すように、前記触媒層5において、前記固体高分子電解質膜11との界面においては、前記カーボン繊維(図1(b)では、該カーボン繊維に触媒13を担持した触媒担持カーボン繊維17として表している)の割合が少なくなっていることが望ましい実施形態の1つである。すなわち、前記カーボン繊維の割合が少なくなっているというのは、触媒層内でカーボン粒子とカーボン繊維の存在比が同程度である場合(図1(c)参照)と比べた際の割合を言う。したがって、本実施形態を別言すれば、前記カーボン粒子(図1(b)では、該カーボン粒子に触媒13を担持した触媒担持カーボン粒子15として表している)の割合が多くなっているともいえる。これは、高分子電解質膜11と触媒層5との界面にカーボン繊維(触媒担持カーボン繊維17)が多量に存在すると、高分子電解質膜11と電極7(ないし9)を一体化することにより、カーボン繊維(触媒担持カーボン繊維17)の端により高分子電解質膜11が破損するおそれがあるためである。こうしたトラブルを回避するには上記に規定するような触媒層の構成、すなわち、カーボン粒子とカーボン繊維を混在させ、高分子電解質膜11と触媒層5との界面(電解質膜近辺)において、カーボン粒子(触媒担持カーボン粒子15)の存在比率を高くすることで、カーボン繊維による高分子電解質膜11の破損を抑制することができるので望ましい。なお、こうしたカーボン繊維の割合を変化させた触媒層を形成する方法としては、特に制限されるものではないが、実施例2に詳しく説明したような製法方法により得ることができるが、これらの製造方法に何ら制限されるものではない。
【0028】
なお、高分子電解質膜11と触媒層5との界面とは、厳格に解する必要は無く、図1(b)(c)との対比などから、界面近傍を含む意味であり、最大限、触媒層5の厚さの界面側半分までを含むものとして解しても特に問題はない(実施例2参照のこと。)。
【0029】
また、図1(C)に示すように、前記触媒層5において、前記カーボン繊維(図1(c)でも、該カーボン繊維に触媒13を担持した触媒担持カーボン繊維17として表している)はランダムに配置していることが望ましい他の実施形態のである。これは、触媒層5内において、カーボン繊維(触媒担持カーボン繊維17)が方向性を有して配置されていると、電子移動抵抗の減少はカーボン繊維(触媒担持カーボン繊維17)の配列方向にのみであり、又、触媒層5内に形成される空孔がランダムに配列しているときと比較すると極端に少なくなってしまうためである。そこで、カーボン繊維をランダムに配置することにより、触媒層5内の全体(高分子電解質膜11と垂直、平行方向)における電子移動抵抗が減少でき、また、ガス拡散性の向上代が大きくなる。更に、高分子電解質膜11と平行な方向にもカーボン繊維(触媒担持カーボン繊維17)を配置させることで、触媒担持体(カーボン粒子とカーボン繊維)の結着力を向上させることができ、触媒層5の耐久性が向上する。すなわち、電解質膜に対しランダムな方向でカーボン繊維を配置することにより垂直方向では電子移動の抵抗の低減を、平行に近い方向では、電極触媒層の結着力増大を果たすことができる。
【0030】
また、本発明では、前記触媒層における触媒担持体において、前記カーボン粒子が50〜95質量%含有されていることが望ましい。これは、触媒層において、カーボン繊維担体の割合が多くなると、触媒層の単位厚みにおけるPt等の触媒量が減少してしまい、また、触媒層内において、カーボン繊維が高分子電解質膜に平行な方向を有している箇所は、膜−電極接合体(MEA:電極をその触媒層が電解質膜と接するようにして膜の両面に配し、これらを熱圧着で一体化したものをいう。)を形成した際に、破損するおそれがあるためである。従って、カーボン繊維が多く存在することで電極−膜接合体の形成が困難になってしまう。そのため、カーボン粒子の含有量が50質量%以上であるのが好ましいといえる。また、カーボン粒子の含有量の上限を95質量%としている理由は、触媒層−電解質膜界面にてカーボン粒子の割合を多くすることを考慮に入れたためである。この理由は、触媒層において、前記固体高分子電解質膜との界面においては、カーボン繊維の割合が少なくなっていることが望ましいとする実施形態(図1(b)参照)にて、既に説明した通りである。
【0031】
以上説明したように、本発明では、触媒層における触媒担持体に、上述してきたようなカーボン粒子とカーボン繊維を用いている点に特徴を有するものである。よって、その他の構成要件に関しては何ら制限されるべきものではなく、従来公知の触媒層に利用し得る他の構成成分を本発明の触媒層においても同様に含んでいてもよい。
【0032】
例えば、上記触媒層においては、電極触媒である触媒担持カーボン粒子及び触媒担持カーボン繊維と、イオン交換樹脂の他に撥水性樹脂を含んでいてもよい。これは、電極触媒である触媒担持カーボン粒子同士が接して(凝集して)アグロマレート(集塊物の意味)を形成し、それが二次的に集まって触媒層を構成している。そしてアグロマレートの一部はホットプレスにより高分子電解質膜内に埋没し、強固に接合している。そのためアグロマレート間の隙間(空孔)は反応ガスや水蒸気の拡散通路あるいは生成水の排水通路として働く。そこで該撥水性樹脂を用いることでアグロマレート間の隙間(空孔)が生成水や凝縮水でふさがりガスの拡散が妨げられるのを防ぐことができる。さらに、撥水性樹脂は、撥水剤としてだけでなく結着剤としての働きもあり、アグロマレートどうしを結着させる働きもある。
【0033】
触媒層に必要に応じて含有される上記撥水性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など、従来公知のものが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。また、該撥水性樹脂の含有量に関しては、本発明の作用効果に影響を与えない範囲であって、該撥水性樹脂の添加による作用効果を十分に発現し得る範囲内で適宜決定すればよく、0超え10質量%程度であれば十分である。
【0034】
上記触媒層において、触媒担持体に担持し得る触媒としては、例えば、Pt、Au、Ru、Ir、Os、AgおよびPdなどが挙げられる。これらの金属触媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を単に併用してもよいほか、これらの一部または全部を合金形態で使用してもよい。好ましくは酸素還元活性の高い電極触媒であるPt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を主成分として含んでおり、平均粒径が2〜10nmである。この場合にもこれら好適な金属触媒の一部または全部を合金形態で使用してもよいことはいうまでもない。ここで、触媒が、Pt、Ir、AgおよびPdのうち少なくとも1種を主成分として含んでいればよいとしたのは、これら貴金属は、単体あるいは合金として高い酸素還元活性を有し、酸素還元活性の高い電極触媒を得ることができるためである。なかでも質量活性が高いPtを主成分とするものがより望ましい。また、触媒の粒子径は、小さいほど電気化学反応が進行する有効電極面積が増加するため酸素還元活性も高くなるが、実際には触媒の粒子径が小さくなりすぎるとむしろ活性が低下する現象が見られる。そのため、本発明に用いることのできる触媒の平均粒径としては、2〜10nmの範囲であり、より好ましくは2〜4nmの範囲がよいが、これらの範囲に制限されるものではない。これらの要件を満足する触媒では、高酸素還元活性を有する電極触媒を得ることができる。触媒の平均粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)やX線回折(XRD)のピーク幅で調べることができる。
【0035】
また、カーボン粒子及びカーボン繊維などの触媒担持体への触媒の担持量は、電池の使用目的に応じて適宜決定すればよく、また、カーボン粒子、カーボン繊維、触媒の種類や平均粒径、カーボン粒子同士が接した際に発生する空孔径などによっても異なることから一義的に規定することはできないが、触媒担持体全体に対して通常10〜60質量%、好ましくは30〜50質量%の範囲である。かかる範囲で該触媒を触媒担持体に担持させておくことで、反応に必要な触媒量を触媒活性の高い状態でカーボン上に維持できる。なお、必要があれば、カーボン粒子とカーボン繊維とで、触媒を別々に担持させることで、担持量や担持する触媒の種類や触媒の粒子径等を変更してもよいなど、使用目的に応じて最適な電池特性が発現できるように適宜調整することができる。触媒の担持量は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)によって調べることができる。
【0036】
該触媒をカーボン粒子及びカーボン繊維などの触媒担持体に担持させる方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の担持技術を利用することができる。具体的には、後述する実施例に記載の担持方法などを用いることができるものであるが、これらに制限されるものではない。
【0037】
また、上記触媒層に含有されるイオン交換樹脂としては、高分子電解質膜材料と同じ高分子材料を用いることができ、例えば、イオン交換基としてスルフォン酸基を持つイオン交換樹脂等を用いることができる。具体的には、デュポン社製の各種のナフィオン(デュポン社登録商標:Nafion)やダウケミカル社製のイオン交換樹脂が利用可能である。該イオン交換樹脂の含有量は、触媒層全量に対して通常10〜50質量%、好ましくは15〜35質量%の範囲である。かかる範囲で該イオン交換樹脂を配合することで、ガス透過性、拡散性、プロトン伝導性、電子伝導性を十分に確保できる。
【0038】
以上が本発明の固体高分子型燃料電池用電極を構成する触媒層の説明であり、他の構成要件に関しては、特に制限されるものではなく、従来公知のものが利用できる。
【0039】
よって、導電性多孔質体からなるガス拡散層およびその製造方法等に関しても、後述する実施例に説明するようなものが例示できるが、これらに制限されるべきものではない。上記導電性多孔質体(導電性多孔質基板)としては、カーボンペーパ、カーボンクロス等が用いられる。ガス拡散層と触媒層とからなる燃料極及び酸素極、さらには固体高分子電解質膜の構成は、図1(a)を用いて説明した通りである。
【0040】
また、本発明では、ガス拡散層が、カーボン粒子と撥水性樹脂からなる層を含んでいてもよい。すなわち、膜−電極接合体における生成水のコントロールのため、カーボンペーパなどの導電性多孔質基板と触媒層との間に、カーボン粒子と撥水性樹脂を含む、いわばカーボン層を設けてもよい。ガス拡散層として、カーボンペーパやカーボンクロスだけでなく、前記ペーパもしくはクロスと触媒層との間にカーボン粒子と撥水性樹脂からなる層を設けることで、生成水の制御ならびにガス拡散向上を果たせるためである。なお、ここで用いるカーボン粒子と撥水性樹脂に関しては、触媒層で用いるカーボン粒子と撥水性樹脂と同様のものが利用できる。特に、このカーボン層は、カソードガス拡散層への適用が有用であることから、アノードガス拡散層としては、カーボン層を形成していなくてもよい。
【0041】
また、本発明の固体高分子型燃料電池用電極の対象となるのは、燃料極及び酸素極の双方であり、共に上述したガス拡散層(カーボン層を含んでいてもよい)と触媒層とからなる。特にカソード電極触媒層には、触媒機能を得るための十分な量の白金などの触媒と、集電体であるガス拡散層との間の電子伝導性と、電解質膜との間のプロトン伝導性の両方が求められるが、触媒担持カーボン粒子を用いると電子・プロトン伝導性が低く、また、カーボンナノファイバを用いると触媒担持面積が増大し、電極反応面積の低下の問題があったが、触媒担持体にカーボンブラックのような粒子径30〜60nm程度のカーボン粒子と、繊維径(外径)が50〜100nm程度のカーボンナノチューブやカーボンナノファイバなどのカーボン繊維を用いることで、電極触媒層内における電子の移動をカーボンナノファイバやカーボンナノチューブなどのカーボン繊維により効果的に行い、触媒層の厚みを増大させることなく白金等の触媒(微粒子)表面積の十分な確保をカーボン粒子で効果的に行うことができる。以上のことから、触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いることで、触媒層内の厚みを増大させずに十分な反応面積を確保することができるものである。かかる観点から、本発明の固体高分子型燃料電池用電極においては、特にカソード電極の触媒層において、その効果が顕著であることから、カソード電極に本発明を適用することが望ましいといえる。
【0042】
次に、本発明の固体高分子型燃料電池は、上述した本発明の固体高分子型燃料電池用電極を用いたことを特徴とするものである。すなわち、導電性多孔質体からなるガス拡散層と電極触媒とイオン交換樹脂を含有する触媒層からなる燃料極及び酸素極を有し、固体高分子電解質膜の一面に前記燃料極が、他の面に酸素極が配置された固体高分子型燃料電池において、前記触媒層における触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いていることを特徴とするものである。上述した触媒層以外の構成要件に関しては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の固体高分子型燃料電池に関する技術を適宜利用することができるものである。
【0043】
よって、上記固体高分子型燃料電池の構成要件の1つである固体高分子電解質膜に関しても、特に制限されるべきものではなく、例えば、後述する実施例に挙げたようなデュポン社製の各種のナフィオン(デュポン社登録商標:Nafion)やダウケミカル社製のイオン交換樹脂イオン等を用いてなる固体電解質膜などを利用できるがこれらに制限されるものではない。固体高分子型燃料電池の他の構成要件関しても、同様に、従来公知の固体高分子型燃料電池に関する技術を適宜利用することができるものであることから、ここでの説明は省略する。
【0044】
以上のとおり、本発明の固体高分子型燃料電池用電極およびこれを用いた固体高分子型燃料電池では、触媒層の触媒担持体としてカーボン粒子とカーボン繊維を混在させることにより、触媒層における電子移動抵抗を減少させ、ガス拡散性が向上し、高強度な電極触媒層を提供することができる。また、前記効果を有しながら、電解質膜の破損という電池性能低減の要因がなく、耐久性にも優れている。
【0045】
【実施例】
以下の実施例は本特許を実現する手段の一つであり、同様の構造を形成できる手段であれば、特に下記実施例に従わなくても良い。
【0046】
実施例1(図1(c)の触媒層を持つ電池の作製)
ガス拡散層を以下の手順で作製した。導電性多孔質体(基板)としてカーボンペーパを用い、前記カーボンペーパをポリテトラフルオロエチレン(PTFEともいう。)ディスパージョン(懸濁液)(結着剤兼撥水剤)に浸漬し、乾燥・焼成することでカーボンペーパを撥水性にした。前記導電性多孔質体(基板)はカーボンクロスなどであってもよく、基板の撥水処理も同様の撥水性が得られるのであれば、上記手法でなくてもよい。
【0047】
前記導電性多孔質基板上に、アセチレンブラックのようなカーボン粒子と、撥水性樹脂であるPTFE粉末(重量比で4:1)からなる層(カーボン層)を形成し、カソード側ガス拡散層とした。前記カーボン粒子はバルカンやケッチェンブラックであってもよい。また、同様に撥水性を有することが可能であれば、PTFE以外の撥水性樹脂を使用してもよい。またアノードガス拡散層としては、カーボン層を形成していなくてもよい。
【0048】
次いで、カソード触媒インクを調製した。触媒担持体の1つである粒子径が約30nmのカーボン粒子上に、触媒(金属)微粒子として粒子径2〜3nmの白金(Pt)を50質量%担持したPt担持カーボン粒子と、触媒担持体の他の1つである繊維径が約50nm、繊維長さが約20μmのカーボンナノファイバーの表面に触媒(金属)微粒子として粒子径2〜3nmのPtを50質量%担持したPt担持カーボンナノファイバーとを重量比で70:30となるように混合した。前記混合物1重量部を水4重量部、5質量%ナフィオン溶液8重量部(デュポン社の登録商標)、イソプロピルアルコール(IPAともいう)1.5重量部、PTFE粉末0.2重量部を混合して調製した。
【0049】
アノード触媒インクは、上記カソード触媒インクと同様の手順で、PTFE粉末を混入せずに調製した。
【0050】
本インク調製手法は、調製手段の一つであり、混入比は必ずしも上記の通りでなくてもよい。また、前記記載のようなアスペクト比を有するカーボン繊維を塗布すると、塗布基板に垂直方向に並ぶ傾向を示すため、電解質膜に垂直方向に繊維が存在しやすくなる。その結果、カーボン繊維が電子移動経路となり、触媒層における電子移動抵抗減少が達成できる。
【0051】
上記の通り調製した触媒インクをガス拡散層上にドクターブレードのようなコーティング法にて塗布し、触媒層−ガス拡散層接合体(電極)を形成した。本手法はドクターブレードに限定されず、ダイコータ、テーブルコータなど同様にインクを塗布できれば塗布手段は限定しない。
【0052】
上記手順において、触媒インクにカソード触媒インクを用いて作製したものをカソード側電極、アノード触媒インクを用いて作製したものをアノード側電極とする。このカソード側電極とアノード側電極でナフィオン112(デュポン社の登録商標)を挟み、120℃、4MPaで5分間ホットプレスすることで、電極−膜接合体を形成した。この際、電極の触媒層が存在する面とナフィオン112が接するように配置した(図1(a)参照のこと)。
【0053】
このように作製した固体高分子型燃料電池の電極−膜接合体を用い、燃料電池単電池(単セル)とした。これにより、図1(c)に示すような触媒層構造を有する電池を作製することができる。
【0054】
得られた燃料電池単電池の電池性能(抵抗、電流密度0.2A/cmおよび1.0A/cmでのセル電圧)の測定を行い、得られた結果を下記表1に示す。これらの測定方法は、以下のとおりとした。
【0055】
作製した単セルをハイドロジェニクス社製の小型単セル評価装置にセットし、アノード側には純水素を、カソード側には空気を供給し、電子負荷装置により燃料電池単セルに電流を流し、その際に発生する電圧値、並びにセル抵抗値を採取することで、セル電圧、並びにセル抵抗の測定を行った。
【0056】
また、本実施例では、テフロンシート(テフロンは、デュポン社の製造するポリテトラフルオロエチレンの登録商標である。以下同様である。)等の上にカソード触媒インク、他のシート上にアノード触媒インクを塗布することで、テフロンシート上に触媒層を形成し、ナフィオン112と触媒層が接するように配置し、130℃、7MPaで10分間ホットプレスし、テフロンシートを剥離することで、触媒層−電解質膜接合体を形成し、アノード触媒層とアノード側ガス拡散層が接するように、カソード触媒層とカソード側ガス拡散層が接するように配置し、120℃、4MPaで5分間ホットプレスすることで電極−膜接合体を形成してもよいなど、従来公知の各種電池作製技術を利用して固体高分子型燃料電池を作製することができるものである。
【0057】
実施例2(図1(b)の触媒層を持つ電池の作製)
触媒インク塗布以外の部分の作製手段は、実施例1と同じである。以下に触媒インクの調製並びに塗布について説明する。
【0058】
2種類の触媒インクを調製した。カーボン粒子とカーボン繊維であるカーボンナノファイバーが重量比で95:5となるようにしてカソード触媒インク1を調製した。純水、ナフィオン溶液、IPA、PTFEは実施例1と同様の割合で混入した。また、実施例1で調製したカソード触媒インクをカソード触媒インク2とした。次に、PTFE粉末を混入していないカソード触媒インク1をアノード触媒インク1とし、PTFE粉末を混入していないカソード触媒インク2をアノード触媒インク2とした。
【0059】
次に触媒インクの塗布を行った。塗布方法は実施例1と同様であり、電極−膜接合体形成時に電解質膜側にカソード触媒インク1並びにアノード触媒インク1からなる触媒層1を形成するようにした。また、触媒層1とガス拡散層との間にカソード触媒インク2並びにアノード触媒インク2からなる触媒層2を形成した。このようにすることで、電解質膜近傍(界面)の触媒層(触媒層1)にはカーボン粒子の割合が高くなっており、繊維の先端形状により電解質膜が破損してしまう可能性が低くなり、電解質膜の耐久性が確保できる。
【0060】
このようにして作製した固体高分子型燃料電池の電極−膜接合体を用い、燃料電池単電池(単セル)とした。これにより、図1(b)に示すような触媒層構造を有する電池を作製することができる。
【0061】
得られた燃料電池単電池の電池性能(抵抗、電流密度0.2A/cmおよび1.0A/cmでのセル電圧)の測定を行い、得られた結果を下記表1に示す。これらの測定方法は、実施例1と同様である。
【0062】
比較例1
触媒層以外の部分については、上記実施例1と同じとした。
【0063】
比較例1における触媒インクの調製方法を以下に示す。まず、カソード触媒インクを調製した。粒子径が約30nmのカーボン粒子上に粒子径2〜3nmのPtを50質量%担持したPt担持カーボン粒子1重量部を純水4重量部、5質量%ナフィオン溶液8重量部(デュポン社の登録商標)、イソプロピルアルコール1.5重量部、PTFE粉末0.2重量部を混合して調製した。アノード触媒インクは、上記カソード触媒インクと同様の手順で調製し、アノード触媒インクにはPTFE粉末を混入させなかった。
【0064】
このようにして調製した触媒インクを用いて実施例1と同様にして作製した固体高分子型燃料電池の電極−膜接合体を用い、燃料電池単電池(単セル)とした。
【0065】
得られた燃料電池単電池の電池性能(抵抗、電流密度0.2A/cmおよび1.0A/cmでのセル電圧)の測定を行い、得られた結果を下記表1に示す。これらの測定方法は、実施例1と同様である。
【0066】
【表1】
Figure 2004362875

【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の固体高分子型燃料電池用電極を用いた固体高分子型燃料電池(単セル)の代表的な一実施形態を模式的に表した断面段略図であり、図1(b)は、触媒層内のカーボン粒子とカーボン繊維の状態の代表的な一実施形態を模式的に拡大して表したものであって、触媒層と電解質膜界面でカーボン粒子の割合が大きい例(実施例2に対応)を表す部分断面図であり、図1(c)は、触媒層内のカーボン粒子とカーボン繊維の状態の代表的な他の一実施形態を模式的に拡大して表したものであって、触媒層内において、カーボン粒子とカーボン繊維の存在比が同程度の例(実施例1に対応)を表す部分断面図である。
【符号の説明】
1…固体高分子型燃料電池(単セル)、
3…ガス拡散層、
4…カーボン層、
5…触媒層、
7…燃料極、
9…空気極、
11…高分子電解質膜、
13…触媒(粒子)、
15…触媒担持カーボン粒子、
17…触媒担持カーボン繊維。

Claims (11)

  1. 導電性多孔質体からなるガス拡散層と、電極触媒とイオン交換樹脂を含有する触媒層とからなる燃料極及び酸素極を有し、固体高分子電解質膜の一面に前記燃料極が、他の面に前記酸素極が配置された固体高分子型燃料電池において、
    前記触媒層における触媒担持体にカーボン粒子とカーボン繊維を用いていることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
  2. 前記ガス拡散層が、カーボン粒子と撥水性樹脂からなる層を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  3. 前記カーボン粒子の粒子径が、10〜100nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  4. 前記カーボン繊維の繊維径が5〜200nmの範囲であり、繊維長さが1〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  5. 前記カーボン繊維の繊維径は、前記カーボン粒子の粒子径の0.5〜20倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  6. 前記カーボン繊維は、カーボンナノチューブもしくはカーボンナノファイバーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  7. 前記触媒層において、前記固体高分子電解質膜との界面においては、前記カーボン繊維の割合が少なくなっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  8. 前記触媒層において、前記カーボン繊維はランダムに配置していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  9. 前記触媒層における触媒担持体において、前記カーボン粒子が50〜95質量%含有されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  10. 前記触媒層は、電極触媒である触媒担持カーボン粒子及び触媒担持カーボン繊維と、イオン交換樹脂との他に撥水性樹脂を含んでいることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
  11. 請求項1〜10の電極を用いたことを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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