JP2009140764A - 固体高分子型燃料電池用電極 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電極 Download PDF

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Abstract

【課題】高電流域だけでなく、低電流域でも高い性能を示し、しかもPt使用量を低減することが可能な固体高分子型燃料電池用電極を提供すること。
【解決手段】繊維状導電性担体と、前記繊維状導電性担体表面に担持された触媒と、前記触媒表面を被覆する固体高分子電解質とを備え、次の(1)〜(4)式を満たす固体高分子型燃料電池用電極。但し、R(nm)は前記繊維状導電性担体の繊維半径、A(本/nm2)は前記繊維状導電性担体の単位電極面積当たりの繊維本数密度、L(nm)は前記繊維状導電性担体の繊維長さである。
R>1nm・・・(1) L<20000nm・・・(2)
1−AπR2>0.5・・・(3) 2πRLA>200・・・(4)
【選択図】図5

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池用電極に関する。
固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極触媒と固体高分子電解質との複合体からなる。
このような各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒には、従来、Ptなどの貴金属の微粒子(Ptブラックなど)、カーボンブラックなどの炭素質担体上にPtなどの貴金属の微粒子を担持したもの、電解質膜の表面にメッキやスパッタなどの方法で形成された貴金属の薄膜等が用いられている。
しかしながら、Pt等の貴金属は、高い触媒活性と高い触媒活性の安定性を示すが、高価であり、資源的にも限られている。そのため、電極触媒が各種電気化学デバイスのコストを高くする一因となっている。特に、燃料電池は、所定の出力を得るために多数のMEAが積層された状態で使用されるので、燃料電池1個当たりの電極触媒の使用量も多く、これが燃料電池の普及を妨げている。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、非特許文献1には、
(1) 熱分解法を用いて、Fe触媒を担持させたSi基板上に、密度:0.18g/cm2、直径:20nm、長さ:40μmの垂直配向したカーボンナノチューブ(CNT)を成長させ、
(2) Pt(NO2)2(NH3)2溶液を用いた注入/H2還元法を繰り返すことにより、CNT表面に0.09mg/cm2(アノード)又は0.26〜0.52mg/cm2(カソード)のPtを担持させ、
(3) Ptを析出させた後、Pt/CNTの表面をナフィオン(登録商標)で被覆してCNT電極とし、
(4) CNT電極を電解質膜にホットプレスにより転写する、
MEAの製造方法が開示されている。
同文献には、
(a) Pt/CNT電極を用いたMEA(CNT−MEAs)は、ガス拡散性に優れているので、Pt/C電極を用いた従来のMEAに比べて高い限界電流密度が得られる、
(b) CNT−MEAsの触媒層のプロトン伝導抵抗は、従来のMEAに比べて著しく小さくなる、及び、
(c) CNT−MEAsの触媒層の全オーム抵抗は、湿潤条件下及び乾燥条件下のいずれにおいても小さくなる、
点が記載されている。
ECS Transactions, 3(1)277-284(2006)
CNTは、黒鉛の一層に相当するグラフェンシート(炭素原子が六角網目状に配列したシート)を筒状に丸めた立体構造を持つ。CNTは、1枚の円筒状グラフェンシートからなる単層CNTと、複数枚の円筒状グラフェンシートが同心円状に重なった多層CNTとがある。また、合成された未処理のCNTの先端は、通常、「キャップ」と呼ばれる半球状のグラファイト層で閉じられた構造になっている。
CNTは、nmオーダーの直径と、μm〜cmオーダーの長さを有しており、アスペクト比が極めて大きく、先端の曲率半径が数nm〜数十nmと極めて小さいという特徴がある。CNTは、機械的にも強靱で、化学的・熱的安定性に優れ、円筒部のらせん構造に応じて金属にも半導体にもなるという特徴がある。
このようなCNTを基板に対して垂直配向させ、電解質膜に転写することにより得られる触媒層は、従来の方法で作製した触媒層に比べて高いガス拡散性、プロトン伝導性及び電子伝導性を示す。また、ガス拡散性が高いために、高電流域において高い性能を示す。
しかしながら、CNT−MEAsにおいては、触媒であるPt使用量を従来電極と比べてむしろ多くしないと、低電流域での性能を確保できないという問題があった。これは、触媒を担持するための担体であるCNTの表面積が少ないことに起因していると考えられる。他方、担体の表面積を増加させるためには、CNTの長さ(L)を増加させるか、あるいは、CNTの本数密度(A)を増加させる必要がある。しかしながら、これらのパラメータを最適化した例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、高電流域だけでなく、低電流域でも高い性能を示す固体高分子型燃料電池用電極を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、Pt使用量を低減することが可能な固体高分子型燃料電池用電極を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極は、
繊維状導電性担体と、
前記繊維状導電性担体表面に担持された触媒と、
前記触媒表面を被覆する固体高分子電解質とを備え、
次の(1)〜(4)式を満たすことを要旨とする。
R>1nm ・・・(1)
L<20000nm ・・・(2)
1−AπR2>0.5 ・・・(3)
2πRLA>200 ・・・(4)
但し、R(nm)は前記繊維状導電性担体の繊維半径、A(本/nm2)は前記繊維状導電性担体の単位電極面積当たりの繊維本数密度、L(nm)は前記繊維状導電性担体の繊維長さである。
繊維状導電性担体を用いた固体高分子型燃料電池用電極において、繊維半径(R)、繊維長さ(L)、触媒層の空隙率(1−AπR2)、及び、繊維状導電性担体の表面積(2πRLA)を最適化すると、高電流域だけでなく、低電流域でも高い性能を示す。また、繊維状導電性担体の長さをある一定値以下にすると、電極内における物質移動が促進されるので、Pt使用量を低減することができる。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 固体高分子型燃料電池用電極]
本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極は、繊維状導電性担体と、触媒と、固体高分子電解質とを備え、次の(1)〜(4)式を満たしているものからなる。
R>1nm ・・・(1)
L<20000nm ・・・(2)
1−AπR2>0.5 ・・・(3)
2πRLA>200 ・・・(4)
但し、R(nm)は繊維状導電性担体の繊維半径、A(本/nm2)は繊維状導電性担体の単位電極面積当たりの繊維本数密度、L(nm)は繊維状導電性担体の繊維長さである。
[1.1. 繊維状導電性担体]
[1.1.1. 垂直配向構造]
「繊維状導電性担体」とは、炭素質の繊維(カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)など)からなり、かつ、電子伝導性を有する担体をいう。特に、気相成長させたCNTは、ガス拡散性、プロトン伝導性、及び電子伝導性に優れた電極が得られるので、繊維状導電性担体として好適である。
CNTなどの繊維状導電性担体は、後述するように、所定の組成及び所定の粒径を有する触媒粒子を所定の密度で担持させた基板表面に炭素源を供給し、基板表面において炭素源を熱分解させることにより得られる。このような気相成長法を用いると、繊維状導電性担体を基板表面に対してほぼ垂直配向した状態で成長させることができる。
基板表面に対してほぼ垂直配向させた繊維状導電性担体は、触媒を担持させ、電解質(触媒層内電解質)と複合化させた後、電解質膜に転写される。繊維状導電性担体の長さが所定の長さ以下であるときには、転写後も垂直配向構造は保たれるが、繊維状導電性担体の長さが所定の長さを超えると、転写時に繊維状導電性担体が垂直方向に圧縮され、垂直配向構造が壊れることがある。
[1.1.2. 繊維半径]
繊維状導電性担体の繊維半径R(nm)は、次の(1)式を満たしていることが好ましい。
R>1nm ・・・(1)
繊維半径Rが小さくなりすぎると、触媒粒子の担持が困難であるだけでなく、繊維状導電性担体の電子伝導性が低下する。従って、繊維半径R(nm)は、1nmより大きいことが好ましい。
[1.1.3. 繊維長さ]
繊維状導電性担体の繊維長さL(nm)は、次の(2)式を満たしていることが好ましい。
L<20000nm ・・・(2)
繊維長さLが長くなるほど、電極反応時の物質の移動距離が長くなる。そのため、物質移動が律速となる高電流域においては、繊維長さLが長くなるほど、電流密度が低下する。一方、低電流域においては、繊維長さが長くなるほど、高い電流密度が得られる。しかしながら、繊維長さがある一定値を超えると、その効果が飽和する。従って、繊維長さL(nm)は、2×104nmより小さいことが好ましい。
繊維長さL(nm)は、特に、次の(2')式を満たすことが好ましい。
L<10000nm ・・・(2')
[1.1.4. 空隙率]
基板表面に垂直配向させた直後(すなわち、電解質(触媒層内電解質)と複合化させる前であって、電解質膜と接合する前)の繊維状導電性担体の空隙率は、繊維半径R(nm)及び単位電極面積当たりの繊維本数密度A(本/nm2)を用いて、1−AπR2と表せる。繊維状導電性担体の空隙率は、次の(3)式を満たしていることが好ましい。
1−AπR2>0.5 ・・・(3)
触媒層の空隙率が小さくなりすぎると、物質移動の拡散係数が小さくなるため、特に物質移動が律速となる高電流域において、特性が低下しやすい。従って、空隙率は、0.5より大きいことが好ましい。
空隙率は、特に、次の(3')式を満たすことが好ましい。
1−AπR2>0.7 ・・・(3')
[1.1.5. 表面積]
単位電極面積当たりの繊維状導電性担体の表面積は、繊維半径R(nm)、繊維長さL(nm)、及び、単位電極面積当たりの繊維本数密度A(本/nm2)を用いて、2πRLAと表せる。繊維状導電性担体の表面積は、次の(4)式を満たしていることが好ましい。
2πRLA>200 ・・・(4)
燃料電池の低電流域での特性は、反応場の数(すなわち、触媒の数)と相関があり、反応場の数が多くなるほど、高い特性が得られる。繊維状導電性担体の表面積が小さくなりすぎると、担持できる触媒粒子の数が少なくなるため、特に低電流域において、特性が低下しやすい。従って、繊維状導電性担体の表面積は、200(nm2/nm2)より大きいことが好ましい。
表面積は、特に、次の(4')式を満たすことが好ましい。
2πRLA>400 ・・・(4')
[1.2. 触媒]
触媒は、繊維状導電性担体表面に担持される。本発明において、触媒の組成は特に限定されるものではなく、電極反応に寄与するあらゆる材料を触媒として用いることができる。触媒としては、具体的には、
(1) 白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀等の貴金属、又は、これらのいずれか2以上を含む合金、
(2) 1種又は2種以上の貴金属と、コバルト、ニッケル、鉄、クロム等からなる1種又は2種以上の遷移金属元素との合金、
などがある。
触媒粒子の粒径は、燃料電池性能に影響を及ぼす。一般に、触媒粒子の粒径が小さくなりすぎると、触媒活性がかえって低下する。一方、触媒粒子の粒径が大きくなりすぎると、触媒の比表面積が低下し、触媒の利用率が低下する。従って、触媒粒子の粒径は、触媒粒子の組成、要求される特性等に応じて、最適なものを選択するのが好ましい。
また、繊維状導電性担体表面への触媒の担持量もまた、燃料電池性能に影響を及ぼす。一般に、触媒粒子の担持密度が低すぎると、高出力は得られない。高出力を得るためには、触媒粒子の担持密度は、大きいほどよい。
[1.3. 固体高分子電解質(触媒層内電解質)]
固体高分子電解質(触媒層内電解質)は、電解質膜と触媒との間でプロトンの授受を行うためのものであり、触媒表面を被覆するように形成される。本発明において、触媒層内電解質の材質は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。また、触媒層内電解質は、一般に、電解質膜と同一材料が用いられるが、異なる材料を用いても良い。
すなわち、固体高分子電解質の材質は、高分子鎖内にC−H結合を含み、かつC−F結合を含まない炭化水素系電解質、及び高分子鎖内にC−F結合を含むフッ素系電解質のいずれであっても良い。また、フッ素系電解質は、高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む部分フッ素系電解質であっても良く、あるいは、高分子鎖内にC−F結合を含み、かつC−H結合を含まない全フッ素系電解質であっても良い。
なお、フッ素系電解質は、フルオロカーボン構造(−CF2−、−CFCl−)の他、クロロカーボン構造(−CCl2−)や、その他の構造(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等。但し、「R」は、アルキル基)を備えていてもよい。また、固体高分子電解質膜を構成する高分子の分子構造は、特に限定されるものではなく、直鎖状又は分岐状のいずれであっても良く、あるいは環状構造を備えていても良い。
また、固体高分子電解質に備えられる酸基の種類についても、特に限定されるものではない。酸基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホンイミド基等がある。固体高分子電解質には、これらの電解質基の内、いずれか1種類のみが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。さらに、これらの酸基は、直鎖状固体高分子化合物に直接結合していても良く、あるいは、分枝状固体高分子化合物の主鎖又は側鎖のいずれかに結合していても良い。
炭化水素系電解質としては、具体的には、
(1) 高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテル等、及びこれらの誘導体(脂肪族炭化水素系電解質)、
(2) 高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリスチレン、芳香環を有するポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等、及びこれらの誘導体(部分芳香族炭化水素系電解質)、
(3) 高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等、及びこれらの誘導体(全芳香族炭化水素系電解質)、
などがある。
また、部分フッ素系電解質としては、具体的には、高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(以下、これを「PS−g−ETFE」という。)、ポリスチレン−グラフト−ポリテトラフルオロエチレン等、及びこれらの誘導体などがある。
また、全フッ素系電解質としては、具体的には、デュポン社製ナフィオン(登録商標)、旭化成(株)製アシプレックス(登録商標)、旭硝子(株)製フレミオン(登録商標)等、及びこれらの誘導体などがある。
これらの中でも、フッ素系電解質、特に全フッ素系電解質は、高分子鎖内にC−F結合を有しており、耐酸化性に優れているので、これに対して本発明を適用すれば、耐酸化性及び耐久性に優れた固体高分子型燃料電池用電極が得られる。
[1.4. 拡散層]
MEAを構成する電極は、通常、触媒層と拡散層の二層構造を取るが、触媒層のみによって構成される場合もある。本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極をこのような二層構造の電極に適用する場合、本発明に係る電極(触媒層)の上に、さらに拡散層が接合される。
拡散層は、触媒層との間で電子の授受を行うと同時に、反応ガスを触媒層に供給するためのものである。拡散層には、一般に、カーボンペーパ、カーボンクロス等が用いられる。また、撥水性を高めるために、カーボンペーパ等の表面に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性高分子の粉末とカーボンの粉末との混合物(撥水層)をコーティングしたものを拡散層として用いても良い。
[2. 固体高分子型燃料電池用電極の製造方法]
本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極は、以下のような方法により製造することができる。
[2.1. 繊維状導電性担体形成工程]
まず、適当な材料からなる基板表面に、ほぼ垂直配向した繊維状導電性担体を形成する(繊維状導電性担体形成工程)。垂直配向した繊維状導電性担体は、以下のような方法により製造することができる。
すなわち、まず、基板表面に、繊維状導電性担体の合成用触媒を担持させる。
合成用触媒としては、
(1) Fe、Co、Ni、又は、これらの合金、
(2) Fe、Co及び/又はNiと、4A族元素(Ti、Zr、Hf)及び5A族元素(V、Nb、Ta)から選ばれる1以上の元素とを含む合金、
などがある。
基板は、繊維状導電性担体を支持するためのものである。触媒粒子が担持された繊維状導電性担体は、後述するように、電解質膜表面に転写される。従って、基板は、その表面に繊維状導電性担体を形成可能であり、かつ、転写が容易なものであれば良く、その材質は、特に限定されるものではない。
基板としては、具体的には、Si、熱酸化膜付Si、サファイヤ、マグネシア、種々の金属、酸化物、窒化物を堆積させたSi基板、メソポーラス材料などがある。特に、メソポーラス材料は、垂直配向した繊維状導電性担体を形成するための基板として好適である。
合成用触媒は、上述した元素を含む有機錯体(例えば、アセチルアセトナート、トリフルオロアセチルアセトナート、ジイソプロポオキサイドビステトラメチルヘプタンジオネートなど)や有機・無機酸塩(例えば、酢酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩など)を有機溶媒に溶解させ、これにさらに還元剤としてのアルコール及び保護層としての有機酸又は有機アミンを加え、所定温度で加熱することにより得られる。加熱温度は、300〜500℃が好ましい。得られた合成用触媒を適当な溶媒に分散させ、これを基板表面に塗布し、溶媒を揮発させると、基板表面に合成用触媒を担持させることができる。この時、基板としてメソポーラス材料を用いると、基体表面に合成用触媒を高分散に担持することができる。
合成用触媒が担持された基板を反応容器に入れ、所定の圧力(例えば、10-5Torr(1.3×10-3Pa)以下)まで減圧する。次いで、加熱装置を用いて、基板を合成温度まで昇温させる。合成温度は、500〜900℃が好ましい。基板が合成温度に達したところで、反応ガス供給装置を用いて数分〜数時間、キャリアガスと炭素含有化合物ガス(例えば、メタン、エタン、プロパン等の炭化水素ガス)とを所定の流量比で圧力を調整しながら流すと、基板表面に対してほぼ垂直に繊維状導電性担体を成長させることができる。
[2.2. 親水化処理工程]
次に、基板表面に形成された繊維状導電性担体を親水化処理する(親水化処理工程)。親水化処理工程は、必ずしも必要ではないが、予め繊維状導電性担体を親水化処理しておくと、触媒の担持が極めて容易になるという利点がある。
親水化処理の方法は、繊維状導電性担体の表面を均一に親水化処理できるものであれば良い。親水化処理方法としては、具体的には、UVオゾン処理、水プラズマ処理、酸素プラズマ処理などがある。特に、UVオゾン処理は、簡便であり、しかも、繊維状導電性担体の撥水性の影響を受けることなく親水化を行うことができるので、親水化処理方法として好適である。
[2.3. 浸漬工程]
次に、必要に応じて、繊維状導電性担体の表面を親水化処理した後、極性溶媒に触媒金属イオンを溶解させた溶液に、繊維状導電性担体を形成した基板を浸漬する。これにより、溶液が繊維状導電性担体の空隙内に侵入する。
触媒金属イオンを溶解させる極性溶媒には、水、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどを用いることができる。特に、水は、触媒金属を被毒するおそれがないので、溶媒として特に好適である。
貴金属源及び遷移金属源は、上述した極性溶媒に可溶なものであれば良い。
貴金属源としては、具体的には、以下のようなものがある。これらは、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(1) ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、ジニトロジアンミン白金(II)、ヘキサアンミン白金(IV)塩化物、テトラアンミン白金(II)塩化物、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)等のPt化合物。
(2) 硫酸パラジウム、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、ジニトロジアンミンパラジウム(II)、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等のPd化合物。
(3) 塩化ロジウム、硫酸ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム(II)、トリス(アセチルアセトナト)ロジウム(III)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、アセチルアセトナトジカルボニルロジウム(I)、テトラカルボニルジ−μ−クロロジロジウム(I)等のRh化合物。
(4) 塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、ドデカカルボニルトリルテニウム(0)、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)等のRu化合物。
(5) ヘキサクロロイリジウム(IV)酸六水和物、ドデカカルボニルテトライリジウム(0)、カルボニルクロロビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(I)、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)等のIr化合物。
(6) ヘキサクロロ金(IV)酸六水和物、シアン化金アンモニウム等のAu化合物。
(7) 硝酸銀、シアン化銀等のAg化合物。
また、遷移金属源としては、具体的には、以下のようなものがある。これらは、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(1) Co(NO3)2、Ni(NO3)2、Fe(NO3)2、Cr(NO3)2などの硝酸塩。
(2) Co(OH)2などの水酸化物。
(3) CoSO4、NiSO4、FeSO4、CrSO4などの硫酸塩。
(4) CoCl2、NiCl2、FeCl2、CrCl2などの塩化物。
これらの中でも硝酸塩及び硫酸塩は、極性溶媒に対する溶解性が高く、嫌気下でなくても酸化されにくく、しかも触媒被毒の原因となるイオンを含まないので、遷移金属源として特に好適である。
一般に、溶液中の貴金属源及び遷移金属源の濃度が低すぎると、触媒粒子の析出反応が非効率となる。一方、貴金属源及び遷移金属源の濃度が高すぎると、触媒粒子を均一かつ微細に析出させるのが困難となる。従って、溶媒に溶解させる貴金属源及び遷移金属源の濃度は、貴金属源及び遷移金属源の種類、触媒粒子の組成等に応じて最適な濃度を選択するのが好ましい。また、溶液量は、基板を浸漬させるのに十分な量であればよい。
[2.4. 還元工程]
次に、繊維状導電性担体に注入した触媒金属イオンを還元し、繊維状導電性担体表面に触媒粒子を析出させる(還元工程)。
還元方法としては、
(1) 基板表面に形成された繊維状導電性担体に触媒金属イオンを含む溶液を注入し、乾燥させた後、水素還元する方法、
(2) 繊維状導電性担体を成長させた基板を、触媒金属イオンを含む溶液に浸漬した後、この溶液に還元剤を添加し、触媒金属イオンを湿式還元する方法、
などがある。本発明においては、いずれの方法を用いても良い。
触媒金属イオンを水素還元する場合、還元条件は、触媒金属イオンの種類に応じて最適な条件を選択する。また、繊維状導電性担体の親水化処理を行わなかった場合、1回の浸漬・還元では、十分な量の触媒を担持できない場合がある。このような場合には、浸漬・還元を複数回繰り返すのが好ましい。一般に、浸漬・還元の繰り返し回数が多くなるほど、触媒担持量を多くすることができる。
一方、触媒金属イオンを湿式還元する場合、還元剤は、触媒金属イオンの種類に応じて最適なものを選択する。還元剤としては、具体的には、エタノール、メタノール、ギ酸、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、ヒドラジン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどがある。これらは、それぞれ、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
還元剤の還元力が相対的に強い場合、溶液中に還元剤を添加するだけで還元反応が進行する。但し、還元剤の還元力が強すぎると、触媒粒子は繊維状導電性担体の表面よりも液中に析出する確率が高くなるので好ましくない。
一方、還元剤として相対的に還元力の弱いものを用いた場合、溶液中に還元剤を添加しただけでは、還元反応はほとんど進行しない。従って、このような場合には、溶液の温度を上昇させて、還元反応の反応速度を速めるのが好ましい。
還元力が相対的に強い還元剤を用いる場合及び還元力が相対的に弱い還元剤を用いる場合のいずれにおいても、還元剤共存下で触媒金属イオンを対流させながら、還元反応を行わせるのが好ましい。対流させながら還元反応を行わせると、貴金属源及び遷移金属源が多孔質カーボン膜に向かって強制的に供給されるので、繊維状導電性担体表面に効率よく触媒粒子を担持させることができる。
特に、相対的に還元力が弱い還元剤を用いて、還元剤共存下で触媒金属イオンを含む溶液を対流させながら温度を上昇させると、繊維状導電性担体表面に触媒粒子を均一かつ微細に担持させることができる。このような方法に適した還元剤としては、エタノール、メタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどがある。
還元反応時の温度、反応時間、還元剤の使用量等は、使用する貴金属源、遷移金属源及び還元剤の種類、溶液中の貴金属源及び遷移金属源の濃度等に応じて最適なものを選択する。一般に、温和な条件下で還元反応を進行させた方が、繊維状導電性担体表面に触媒粒子を均一かつ微細に担持させることができる。
また、還元剤の使用量及び使用時期を最適化すると、還元反応速度を制御することができる。一般に、還元剤の使用量が相対的に少なくなる程、還元反応はゆっくり進行するので、触媒粒子径を小さくすることができる。一方、還元反応がある程度進行し、溶液中に残存する触媒金属イオンの濃度が低くなると、還元反応の反応速度が極端に遅くなる。従って、反応初期において相対的に少量の還元剤(具体的には、還元剤の総使用量の1〜20%)を添加して触媒粒子の核生成を促し、反応後期において相対的に多量の還元剤を追加すると、小粒径の触媒粒子を効率よく製造することができる。
[2.5. 複合化工程]
次に、触媒を担持した繊維状導電性担体表面を固体高分子電解質(触媒層内電解質)で被覆する(複合化工程)。触媒層内電解質との複合化は、固体高分子電解質を適当な溶媒に溶解させ、この溶液を繊維状導電性担体の空隙内に含浸させ、溶媒を揮発させることにより行う。これにより、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極が得られる。
このようにして得られた固体高分子型燃料電池用電極と電解質膜又は拡散層とを重ね合わせてホットプレスし、基板を剥がすと、電極(触媒層)を電解質膜又は拡散層に転写することができる。なお、繊維状導電性担体の合成用触媒は、電極転写後も基板表面に残るので、合成用触媒が燃料電池の触媒層に悪影響を及ぼすことはほとんどない。
[3. 本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極の作用]
次に、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極の作用について説明する。
所定の大きさを有する所定量の触媒粒子を担持させるためには、繊維状導電性担体には、ある一定以上の大きさと表面積が必要である。また、繊維状導電性担体としてCNTを用いた場合、CNTの半径と電子伝導性との間に密接な関係がある。さらに、電極反応時における物質移動を容易化するためには、繊維状導電性担体の長さは短いほど良く、電極(触媒層)の空隙率は大きいほど良い。
従って、繊維状導電性担体を用いた固体高分子型燃料電池用電極において、繊維半径(R)、繊維長さ(L)、触媒層の空隙率(1−AπR2)、及び、繊維状導電性担体の表面積(2πRLA)を最適化すると、高電流域だけでなく、低電流域でも高い性能を示す。また、繊維状導電性担体の長さをある一定値以下にすると、電極内における物質移動が促進されるので、Pt使用量を低減することができる。
(実施例1: 繊維径の依存性)
[1. 試料の作製]
半径の異なる市販のCNTをエタノール中で分散させ、市販のジニトロジアンミン硝酸溶液を適量加え、NaBH4水溶液で還元することにより、CNT表面にPtを担持させた。
[2. 実験方法]
CNT表面をTEMにより観察した。
[3. 結果]
TEM観察を行ったところ、半径1nmのCNTには、Ptがほとんど担持されなかった。また、文献情報として、CNTは、半径1nm以下になると、グラフェンシートが単層となることが原因で半導体となることが知られている。これらの事実から、繊維径は、1nmより大きいことが適切であることがわかった。
(実施例2: 繊維長さの依存性)
[1. 試料の作製]
モデル実験として、市販のPt/Cと、ナフィオン(登録商標)溶液と、水と、エタノールとを混合し、スプレー塗布することで、任意の厚さの電極を作製した。得られた電極を電解質膜の両面に接合し、MEAを得た。
[2. 実験方法]
得られたMEAを用いて、0.8Vにおける電流密度(低電流特性)及び0.6Vにおける電流密度(高電流特性)を評価した。
[3. 結果]
図1に、電極厚さと燃料電池特性との関係を示す。一般に、低電流特性は、反応場の数(すなわち、触媒量)に比例して大きくなる。従って、電極厚さが厚くなるほど、担体表面に担持可能な触媒量が増加し、低電流特性が向上する。しかしながら、反応場の数がある一定量を超えると、このような効果が飽和する。図1より、電極厚さが2×104nm以上になると、低電流特性が飽和することがわかる。
一方、高電流特性は、物質の移動距離距離が長くなるほど低下する。図1より、電極厚さが1×104nm以上になると、高電流特性が低下し始め、電極厚さが2×104nm以上になると、高電流特性が急激に低下することがわかる。
なお、図1で得られた結果は、Pt/Cを用いたモデル実験であるが、電極性能は、空隙率、反応サイトの数、プロトン伝導性、及び、電子伝導性で決まり、担体の形状には依存しない。従って、図1の結果は、繊維状導電性担体を用いた電極にも適用することができる。
(実施例3: 空隙率の依存性)
[1. 試料の作製]
モデル実験として、実施例2と同様の手順に従い、電極を作製した。次いで、電極を1.3Vに高電位保持し、保持時間を変えることで担体カーボンを腐食させた。担体カーボンを腐食させると、電極内の空隙が収縮し、空隙率を任意に変化させることができる。
[2. 実験方法]
得られたMEAを用いて、0.6Vにおける電流密度(高電流特性)を評価した。空隙率は、電極断面のSEM観察から画像処理によって求めた。
[3. 結果]
図2に、空隙率と高電流特性との関係を示す。図2より、空隙率が50%より大きい場合、高い高電流特性を示すが、空隙率が40%以下になると、高電流特性が低下し始め、空隙率が30%以下になると、高電流特性が急激に低下することがわかる。これは、高電流域においては、物質移動が電極反応の律速となるためである。
電極中に含まれる触媒層内電解質の体積は、一般に、20vol%程度である。従って、図2より、触媒層内電解質と複合化させる前の繊維状導電性担体のみの空隙率(1−AπR2)は、少なくとも50%より大きいことが好ましく、さらに好ましくは、60%超、さらに好ましくは、70%超であることがわかる。
(実施例4: 表面積の依存性)
[1. 試料の作製]
モデル実験として、実施例2と同様の手順に従い、厚さの異なる電極を作製した。
[2. 実験方法]
得られたMEAを用いて、0.8Vにおける電流密度(低電流特性)を評価した。触媒表面積は、電極の水素脱離波の電荷量から求めた。
[3. 結果]
図3に、触媒表面積と低電流特性との関係を示す。図3より、低電流特性は、触媒表面積にほぼ比例して増大することがわかる。これは、低電流特性と触媒表面積(反応場の数)との間に相関があるためである。
一般に、触媒は、担体表面の一部に担持され、触媒が担体表面を完全に覆うことはない。この場合、幾何学的配置から、担体表面積>触媒表面積となる。従って、図3より、従来品と同等以上の低電流特性を得るためには、繊維状導電性担体の表面積(2πRLA)は、少なくとも200より大きいことが好ましく、さらに好ましくは、400超であることがわかる。
図4に、繊維長さLが1×104nmである場合の繊維半径Rと繊維本数密度Aの好適な範囲を示す。図4に示すように、2本の実線(1−AπR2>0.5、2πRLA>200)で挟まれた領域に入るように、繊維半径R及び繊維本数密度Aを最適化すると、低電流特性及び高電流特性に優れ、しかも触媒使用量が相対的に少ない電極が得られる。特に、2本の破線(1−AπR2>0.7、2πRLA>400)で挟まれた領域(ハッチング領域)に入るように、繊維半径R及び繊維本数密度Aを最適化すると、高特性かつ低コストな電極が得られる。
(実施例5、比較例1)
[1. 試料の作製]
公知の垂直配向CNT技術を用いて、繊維半径R=10nm、繊維長さL=1×104nm、単位面積当たりの繊維本数密度A=約0.001本/nm2である繊維状導電性担体を作製した。得られた担体にPtを担持させ、ナフィオン(登録商標)と複合化させた後、電解質膜に転写し、MEAを得た(実施例5)。
比較として、非特許文献1に記載の方法を用いてMEAを作製した(比較例1)。
[2. 実験方法]
実施例1と同様の方法に従い、高電流特性及び低電流特性を評価した。
[3. 結果]
図5に、電極厚さと低電流特性及び高電流特性との関係を示す。なお、図5には、Pt/Cを用いた従来電極の結果も併せて示した。図5より、繊維半径R=1nm、繊維長さL=1×104nmである場合において、空隙率(1−AπR2)及び表面積(2πRLA)を最適化すると、低電流特性は従来電極とほぼ同等であるが、高電流特性は、従来電極及び非特許文献1に記載された電極に比べて大きく向上していることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極は、固体高分子型燃料電池に用いられる電極として特に好適であるが、本発明の用途は、これに限定されるものではなく、ガス拡散電極が用いられる各種の電気化学デバイスやその他の電気化学デバイス(例えば、太陽電池、リチウム電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ、光触媒等)のアノード及び/又はカソードに用いることができる。
電極厚さと低電流特性及び高電流特性との関係を示す図である。 空隙率と高電流特性との関係を示す図である。 触媒表面積と低電流特性との関係を示す図である。 繊維長さLが1×104nmである場合の繊維半径Rと繊維本数密度Aの好適な範囲を示す図である。 実施例5及び比較例1で得られたMEA、並びに、Pt/Cを用いた従来のMEAの低電流特性及び高電流特性を示す図である。

Claims (5)

  1. 繊維状導電性担体と、
    前記繊維状導電性担体表面に担持された触媒と、
    前記触媒表面を被覆する固体高分子電解質とを備え、
    次の(1)〜(4)式を満たす固体高分子型燃料電池用電極。
    R>1nm ・・・(1)
    L<20000nm ・・・(2)
    1−AπR2>0.5 ・・・(3)
    2πRLA>200 ・・・(4)
    但し、R(nm)は前記繊維状導電性担体の繊維半径、A(本/nm2)は前記繊維状導電性担体の単位電極面積当たりの繊維本数密度、L(nm)は前記繊維状導電性担体の繊維長さである。
  2. 次の(2')式を満たす請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
    L<10000nm ・・・(2')
  3. 次の(3')式を満たす請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用電極。
    1−AπR2>0.7 ・・・(3')
  4. 次の(4')式を満たす請求項1から3までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極。
    2πRLA>400 ・・・(4')
  5. 前記繊維状導電性担体は、気相成長させたCNTからなる請求項1から4までのいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極。
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