JP2004359492A - 水素ガス生成装置 - Google Patents

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雅彦 杉山
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Abstract

【課題】ナフタレン等脱水素化物を効率よく水素ガスと分離・回収することが可能な水素ガス生成装置を提供する。
【解決手段】デカリンを貯留する貯留タンク30と、貯留タンク30から供給されるデカリンを加熱された触媒上で脱水素反応し、水素ガスと気相のナフタレンとを生成する反応タンク10と、ナフタレンを溶解する溶媒としてデカリンを収液し、且つ、反応タンク10で生成された水素ガスと気相のナフタレンとが供給され、デカリンを通過した水素ガスを排出する排出管34を備えた分離タンク20と、を備えた水素ガス生成装置である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素ガス生成装置に係り、特に、電気自動車や水素エンジン車等の車両に搭載可能で、かつ車両に搭載された燃料電池又は水素エンジンやガソリンエンジン等の内燃機関に水素ガスを供給することができる水素ガス生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気自動車は、車両の駆動力を得るための電源としての燃料電池、及びこの燃料電池を用いて発電を行なうための燃料源である水素又は水素を生成するための原燃料を搭載している。また、水素エンジンや吸気系や燃焼室に水素添加を行なうガソリンエンジン等を搭載したエンジン車も同様に水素又は水素を生成するための原燃料を搭載している。
【0003】
さらに、水素を搭載する電気自動車や水素エンジン車等では、水素ガスを圧縮して高圧に若しくは液状にして充填したボンベ、又は水素を吸蔵する水素吸蔵合金や水素吸着材料により水素を搭載している。一方、原燃料を搭載する電気自動車や水素エンジン車等では、原燃料としてのメタノール又はガソリン等の炭化水素と、この原燃料を水蒸気改質して水素リッチガスを生成する水素ガス生成装置とを搭載している。
【0004】
しかしながら、車両に水素を搭載する場合、高圧タンクに圧縮した状態で搭載すると、高圧タンクは大きいわりに壁厚が厚く内容積を大きくできないために水素充填量が少ない。液体水素として搭載する場合は、気化ロスがあるほか、液化に多大なエネルギーを要するため総合的なエネルギー効率の点で望ましくない。また、水素を高圧化、液化するには設備を別途整備する必要もある。さらに、燃料源としての水素の搭載を目的とするには、水素吸蔵合金や水素吸着材料では電気自動車や水素エンジン車への水素の供給に必要とされる水素貯蔵密度が不充分である。
【0005】
一方、原燃料を搭載する電気自動車や水素エンジン車等は、水素を搭載する場合に比し、1回の燃料補給で走行可能な距離が長いという利点を有しており、さらに炭化水素系燃料系の原燃料(炭化水素系燃料)は水素ガスに比較して輸送等の取り扱いが容易であるという利点も有している。
【0006】
炭化水素系燃料系燃料の1つであるデカリン(デカヒドロナフタレン)は、常温では殆ど蒸気圧がゼロ(沸点が200℃近傍)で取り扱いし易いことから、原燃料としての使用の可能性が期待されている。
【0007】
デカリンの脱水素化方法としては、デカリンをコバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、テルニウム、ニッケル、及び白金の中から選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含有する遷移金属錯体の存在下で光照射し、デカリンから水素を離脱させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、有機リン化合物のロジウム錯体の存在下、又は有機リン化合物とロジウム化合物との存在下に、デカリンに光照射することによりデカリンから水素を製造する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
一方、水素ガス生成装置としては、デカリン等の脱水素反応を利用して水素ガスを生成し燃料電池などに水素供給する水素ガス生成装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特公平3−9091号公報
【特許文献2】
特公平5−18761号公報
【特許文献3】
特開2002−255503号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これらの水素ガス生成装置では、通常、デカリン等を貯留する貯留タンクと、脱水素反応によって生成した水素ガスとナフタレン等との混合ガスから水素ガスを分離する分離手段とが別途設けられている。
【0011】
しかし、ナフタレンは常温で固体で存在し昇華性を有するため、固体で回収したり、そのままデカリン等を貯留する貯留タンクに入れると気体のナフタレンが残留してしまい、水素ガスの分離効率を低下させる原因となってしまう。
【0012】
本発明は、前記に鑑み成されたもので、ナフタレン等脱水素化物を効率よく水素ガスと分離・回収することが可能な水素ガス生成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の水素ガス生成装置は、炭化水素系燃料を貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクから供給される炭化水素系燃料を加熱された触媒上で脱水素反応し、水素ガスと気相の脱水素生成物とを生成する反応タンクと、前記脱水素生成物を溶解する溶媒を収液し、且つ、前記反応タンクで生成された前記水素ガスと前記気相の脱水素生成物とが供給される供給口及び前記溶媒中を通過した前記水素ガスを排出する排出口を備えた分離タンクと、備えて構成される。
【0014】
本発明の水素ガス生成装置によれば、反応タンクで生成した水素ガスと気相の脱水素生成物との混合ガス(以下、単に「混合ガス」と称する場合がある。)を分離タンクに供給し、溶媒中を通過させることで、混合ガス中の脱水素生成物を溶媒に溶解させることができる。これにより、水素ガスと脱水素生成物とを分離させることができ、高純度の水素ガスを燃料電池等の水素使用装置に供給することができる。前記溶媒は、分離タンクの内部に充填される状態で収液されるのが好ましい。
【0015】
本発明において「炭化水素系燃料」とは、脱水素反応により水素を発生し得る化合物を含む燃料であり、脂環式炭化水素、脂肪族炭化水素等を含む燃料が含まれる。脂環式炭化水素には、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の単環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)等の二環式化合物、テトラデカヒドロアントラセン等の三環式化合物、等が含まれる。脂肪族炭化水素等には、2−プロパノ−ル、メタノール、エタノール等が含まれる。特に、デカリン、メチルデカリン、テトラリン、メチルテトラリンを含む燃料が好ましく、デカリンからなる燃料又はデカリンを主成分とする燃料がより好ましい。
【0016】
前記炭化水素系燃料を脱水素反応させると、水素ガスと共に、水素の放出により不飽和結合を持つ脱水素生成物が反応生成物として生成される。炭化水素系燃料から生成される脱水素生成物としては、例えば、デカリン、又はシクロヘキサンの場合にはナフタレン(若しくはテトラリン)、又はベンゼンが各々相当する。すなわち、デカリンからなる燃料又はデカリンを主成分とする燃料を用いた場合、デカリンの脱水素反応によって水素ガスと共に脱水素生成物としてナフタレンが生成される。そして、該脱水素生成物であるナフタレンを水素添加により水素化反応させたときには、ナフタレンの水素化物であるデカリン及び/又はテトラリンを再生することができる。
【0017】
また、本発明の水素ガス生成装置は、分離タンクのタンク内に前記水素ガスの通過を妨げる障壁を設けることで、水素ガスと気相の脱水素生成物との混合ガスがタンク内を対流するように構成することができる。これにより、混合ガスと溶媒とが接触している時間が増える為、脱水素生成物が溶解しやすく、水素ガスの分離能を向上させることができる。
【0018】
前記障壁は板状であってもよく、網目構造を有するものであってもよい。前記障壁が板状である場合には、混合ガスの流通路を確保するために、例えば、分離タンクの上壁と底壁とに流通方向に向かって交互に設置したり、両側壁に交互に設置すればよい。この場合、混合ガスが溶媒と接触する時間を多くするために、混合ガスがジクザグに流通するように障壁を設置するのがよい。
【0019】
また、前記障壁としてフィルター等の網目構造を有する障壁を設置する場合、網目構造の網目を混合ガスの流通経路とすることができる。複数の網目構造の障壁を設ける場合には、網目の大きさの異なるものを用いてもよい。
【0020】
また、本発明の水素ガス生成装置は、分離タンクのタンク内に攪拌手段を設けることで、水素ガスと気相の脱水素生成物との混合ガスがタンク内を対流するように構成することができる。溶媒が前記攪拌手段によって攪拌されることにより、混合ガスと溶媒とが接触している時間が増える為、脱水素生成物の溶解しやすく、水素ガスの分離能を向上させることができる。
【0021】
前記攪拌手段としては、回転羽等を用いることができる。
【0022】
また、前記溶媒としては、脱水素生成物を溶解できるものであれば特に限定されず、デカリンや、エタノール等の有機溶媒を用いることができる。本発明においては、エネルギー効率等の観点から前記溶媒として炭化水素系燃料を用いるのが好ましい。
【0023】
さらに、本発明の水素ガス生成装置は、前記分離タンクから排出された水素ガスを前記貯留された炭化水素系燃料中に供給するようにし、且つ、前記貯留タンクに前記水素ガスを排出する排出口を設けた構成とすることができる。
【0024】
このように、分離タンクから排出された水素ガスを前記貯留タンクの炭化水素系燃料中に供給することで、水素ガス中に微量の脱水素生成物が混在していた場合でも、脱水素生成物を炭化水素系燃料に溶解させて分離することができ、純度の高い水素ガスを排出させることができる。
【0025】
また、本発明の水素ガス生成装置は、前記分離タンク内に収液された溶媒を前記貯留タンクに貯留された炭化水素系燃料中に排出するように構成することができる。分離タンクに収液された溶媒には脱水素生成物が溶解しているため、脱水素生成物が溶解した溶媒を貯留タンクに排出することで、脱水素生成物を効率よく回収することができる。また、炭化水素系燃料と脱水素生成物を溶解した溶媒とを貯留タンクに共に貯留することができるので、従来のように水素生成用の燃料を貯留するタンクと反応生成された脱水素生成物を貯留するタンクとの両方を必要とせず、更なる小型化、軽量化を図ることができる。
【0026】
さらに、本発明の水素ガス生成装置は、前記貯留タンクに貯留された炭化水素系燃料を前記分離タンクに供給するように構成することができる。これにより、前記溶媒として炭化水素系燃料を用いた場合に、貯留タンクから炭化水素系燃料を供給することができる。また、上述のように分離タンクに収液された炭化水素系燃料を貯留タンクに排出する構成と組み合わせることにより、貯留タンク及び分離タンク間で、溶媒である炭化水素系燃料を循環させることができ、分離タンクで回収した脱水素生成物を効率よく回収すると共に、脱水素生成物の溶解濃度が増加して分離タンクの分離能が低下するのを防止することができる。
【0027】
また、本発明の水素ガス生成装置は、前記貯留タンクを複数の室に区分けし、前記複数の室の一つに前記分離タンクから排出された溶媒を貯留するように構成することができる。
【0028】
本発明の水素ガス生成装置は、前記炭化水素系燃料としてデカリンを、また、前記脱水素生成物としてナフタレンが生じる場合に好適に用いることができる。
【0029】
本発明の水素ガス生成装置によれば、炭化水素系燃料の脱水素反応を迅速かつ高効率に行なわせて水素密度の高い水素ガスを良好に水素使用装置(例えば燃料電池、水素エンジンやガソリンエンジン)に供給することが可能である。また更に、装置全体の大幅な小型化、軽量化、及び炭化水素系燃料/脱水素生成物の反応循環系を利用したクリーンシステムの構築が可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の貯留タンクを備えた水素ガス生成装置の実施形態を説明する。尚、下記の実施形態において、炭化水素系燃料として、デカリンを主成分とする燃料(以下、単に「デカリン」という。)を用いた場合を中心に説明する。但し、本発明においてはこれら実施形態に制限されるものではない。
【0031】
(第1の実施の形態)
本発明の水素ガス生成装置の第1の実施の形態を図1を参照して説明する。本実施形態は、水素ガスを燃料とする燃料電池が搭載された電気自動車に本発明の水素ガス生成装置を搭載し、タンクへの水素充填や水素分子の吸着・吸蔵によるのではなく、化学結合によりデカリン(原燃料)として水素貯蔵し、デカリンを高温触媒の存在下で反応させた場合にナフタレンと水素ガスとが生成するデカリン/ナフタレン反応を利用するものである。
【0032】
本実施形態は、複数の脱水素反応器を束状にして実装し、各脱水素反応器の外側でナフタレン混合物を燃焼させて得た燃焼熱によって脱水素反応器内でデカリンから水素を生成することができる。また、分離機能を備えた貯留タンクを用いて、水素ガスを含む混合気体から水素ガスを分離すると共に更にデカリンと生成ナフタレンとを共に貯留するように構成してある。
【0033】
図1に示すように、本実施形態における水素ガス生成装置は、内壁に触媒が設けられた円筒体及び該円筒体の内部に配置された供給孔を有するインジェクタを備え、供給されたデカリンを加熱された触媒上で脱水素反応させるn個の脱水素反応器2a〜2a、並びに前記円筒体の外壁に担持された酸化触媒とデカリン供給用の供給装置と空気供給用の供給装置とで構成された加熱器を備えた反応タンク10と、デカリンを充填し、且つ、反応タンク10から供給された水素ガスとナフタレンとを分離する分離タンク20と、反応タンク10に供給するデカリンを貯留したデカリン貯留室30aとナフタレンを含む混合物を貯留する混合物貯留室30bとに区切られ、かつ貯留されたデカリン中にデカリンの脱水素反応によって生じた水素ガスが供給されると共に、排出口から前記水素ガスを分離して排出する貯留タンク30と、を備え、排出した水素ガスを燃料電池40に供給するように構成されている。
【0034】
反応タンク10は、円柱形状に構成され、内部にn個の脱水素反応器2a〜2a(総じて2aと記すことがある。)を備え、側壁をなす曲面には空気を供給する供給装置4と、供給配管6の一端と接続され、貯留タンク30中の低純度デカリンを供給する供給装置8とが設けられている。さらに個々の脱水素反応器の外壁には酸化触媒が担持されており、供給装置8によって反応タンク内に供給されたデカリン(被燃焼成分)を供給装置4から供給された空気と混合して燃焼させ、n個の脱水素反応器の全てを均一に加熱できるように構成されている。以下、反応タンクの構成例を図2〜4を参照して説明する。
【0035】
n個の脱水素反応器2a、2a、…2aは、図2に示すように、反応タンク10の内壁に沿って互いに略平行となるように並べられて束状に配置されている。各々の脱水素反応器2aの上部端面には、脱水素反応後の水素ガス及び気相ナフタレンを含む混合気体(水素リッチガス;蒸発して残存する残存デカリンを含んでもよい)を排出するためのバルブを備えた排出管12の一端が接続され、水素リッチガスを挿通する逆止弁15を備えた排出配管14とそれぞれ連通されている。また、下部端面には、未反応デカリンを排出するためのバルブを備えた排出管16の一端が接続され、図示しないポンプを備えた戻し配管18とそれぞれ連通されている。
【0036】
脱水素反応器2a(2a〜2a)は、図3及び図4に示すように、円筒体22と、円筒体22の内壁の曲面に担持された触媒23と、管状のインジェクタ24と、円筒体22の外側に設けられた酸化触媒25と、円筒体22及び酸化触媒25との間に介在されたヒータ26とで構成されている。尚、図4は、図3の脱水素反応器2aをB−B’線で切り取ったときの概略断面図である。
【0037】
円筒体22は、両端が開口する断面円形の金属中空体であり、開口端の両方には閉塞部材27,28が取付けられている。閉塞部材27,28には、それぞれ水素リッチガスを排出するための排出管12、貯留された未反応デカリンを排出するための排出管16が設けられている。
【0038】
円筒体22は、断面円形に限らず、断面が楕円形、矩形、方形など任意の形状に構成することができる。また、開口する少なくとも一方を閉塞したり、あるいは開口端の一方若しくは両方が閉口した筒状容器を用いてもよい。中でも特に、円筒体や柱状容器が好ましい。例えば、一体成形構造のモノリス担体や、金属担体、多孔性炭素担体、セラミックス担体等の担体などで構成でき、内表面積の大きい形状のものでもよい。尚、円筒体22は、その内壁に担持された触媒23が円筒体22を通じた熱伝達によって加熱されるため、金属物質などの熱伝導性に優れた材質で構成されるのが有効である。また、触媒反応性の点からは表面積の大きい多孔性物質(多孔性炭素)で構成されるのが望ましい。
【0039】
筒形状に触媒を設けることによって、従来の平面上に触媒を担持させる場合と比し、小型にできかつ単位体積における表面積を大きく確保することができるため、小型化と同時に水素生成量をも向上させることができる。すなわち、内表面積を大きくとれることから、装置全体における単位体積当りの水素生成効率が高められ、水素生成量(生成速度)をより向上させることができる。しかも、車載には不向きであった反応容器体積をも縮小することができる。
【0040】
円筒体22は、触媒金属微粒子(触媒)を直接担持する担持体として機能させることができるが、筒状体の内壁に直接触媒を担持するのではなく、触媒金属微粒子が多孔性炭素担体等の担体に予め担持されてなる触媒を円筒体22の内壁に沿って設けるようにしてもよい。
【0041】
触媒23は、供給されたデカリンを脱水素する脱水素触媒であり、図3〜4に示すように、円筒体22の内壁の曲面全体に直接担持されており、円筒体22が触媒23を担持する担体(金属担体)の機能を担っている。
【0042】
触媒23としては、Pt、Pt−Ir、Pt−Re、Pt−W等の貴金属系の触媒金属微粒子や、これら触媒金属微粒子と活性炭繊維との混合物を用いることができる。
【0043】
触媒23を円筒体22の内壁に設ける方法としては、コーティング法が好適であり、例えば、Pt/活性炭繊維を触媒とする場合、活性炭繊維及びPtの混合物を筒状体の内壁にそのままコーティングして固定する方法、Ptが担持された活性炭スラリーを調製しこれを吸引、スプレー噴射してコーティング(塗布)、乾燥し、窒素雰囲気中で焼成して筒状体内壁面にコートする方法、等が挙げられる。
【0044】
また、触媒23として、Pt、Pt−Ir、Pt−Re、Pt−W等の貴金属系の金属を用いた炭素担持Pt触媒、炭素担持Pt−Ir複合金属触媒、炭素担持Pt−Re複合金属触媒、炭素担持Pt−W複合金属触媒、又はニッケル系金属を使用した触媒等を内壁に設けるようにすることもできる。
【0045】
インジェクタ24は、図3及び図4に示すように、断面円形の管状に構成され、管には触媒23にデカリンを放射状に供給できるように供給孔が複数設けられている。
【0046】
インジェクタ24は、円筒体22の触媒23で取り囲まれた内側に触媒面に略平行に配置されており、複数の供給孔からデカリンをパルス的に放射状に噴射して、曲面をなす触媒23全面に均一な液膜状態を形成し得るように構成されている。デカリンを触媒上に液膜状態となるように供給することによって、反応転化率が高められ、脱水素反応による水素ガスを効率良く生成することができる。インジェクタ24は、筒状体内壁の触媒全面に均一に供給可能な長さとするのが望ましい。管断面の形状は、円形のほか、楕円形、矩形、方形など任意の形状に構成でき、供給孔の個数、孔径は、触媒の表面積や供給装置から触媒までの距離などに応じて適宜決定することができる。
【0047】
各脱水素反応器のインジェクタ24は、図1に示すように、デカリンを供給するための供給配管29と接続されており、この供給配管29によって貯留タンク30と連通されている。また、個々のインジェクタ24には、それぞれ制御用のドライバ(D、D・・・D)が電気的に接続されており、インジェクタ24からのデカリン噴射量を個々にコントロールできるようになっている。
【0048】
インジェクタ24からデカリンを供給する場合には、加熱触媒表面が僅かに湿潤した状態、すなわち液膜状態となるように供給することが好ましい。尚、液膜状態とするためにインジェクタ24からデカリンを間欠的(パルス的)に噴射するとよい。僅かに湿潤した液膜状態では、過熱(デカリンの沸点を越える温度での加熱)・液膜状態での脱水素反応のとき水素ガス生成量は最大になる。これは、デカリンの蒸発速度が、基質液量(デカリンの液量)が少ない程小さくなり、蒸発速度が小さくかつ高温の状態で脱水素反応させることにより転化率が向上するからである。すなわち、蒸発速度は液量・伝熱面積・加熱源と沸点との温度差の各々に比例するので、液体デカリンの量が少なければ蒸発速度が小さくなる。液体デカリンは、加熱触媒上(例えば、200〜350℃)でも液膜状態で存在するので、触媒活性サイトは液相からのデカリンの速やかな吸着により充分に高い被覆度で常時補填される。すなわち、触媒表面上で液膜状態で脱水素反応させることにより、触媒表面上で気体で反応させるよりも優れた反応性が得られる。
【0049】
酸化触媒25は、図4に示すように、円筒体22の筒状部外側の曲面全体を覆うようにヒータ26を介在させて設けられている。
【0050】
反応タンク内に供給装置8によって供給されたナフタレン混合物(被燃焼成分)は空気と混合されて酸化触媒25上で燃焼されるが、燃焼は発熱を伴う酸化反応であり燃焼熱を放出するため、発生した燃焼熱を用いて脱水素反応器内部の触媒23が加熱される。
【0051】
酸化触媒25としては、遷移金属酸化物触媒を用いることができる。反応タンク10の供給装置8により供給されるデカリンは、貯留タンクの混合物貯留室30bに存在するナフタレン濃度の高い(純濃度の低い)デカリンであり、供給装置4から供給された空気と混合され酸化触媒25上で完全酸化されることによって、デカリン脱水素用の触媒23の加熱に必要な脱水素吸熱反応熱を供給することができる。
【0052】
ヒータ26は、円筒体22の外壁と酸化触媒25との間に設けられており、燃料電池の始動時など、反応タンク10内の温度が未だ低い時にヒータ26がオンされて加熱されることによって、酸化触媒25上でのナフタレン混合物の燃焼、すなわち酸化反応を起こさせることができる。この燃焼により所定の温度以上に反応タンク内部の温度が上昇したときには、ヒータ26はオフされるようになっている。
【0053】
複数の脱水素反応器2aは、図5に示すように、互いに間隙を有して配置され、反応タンク10内に供給されたナフタレン混合物を空気と共に燃焼させたときの燃焼熱で均一に加熱されることによって、内部の触媒23が円筒体22の外側から加熱されるようになっている。図5は、図2のA−A’線断面図である。これにより、触媒23を加熱するためのヒータ等の電熱器を使用する必要がない。反応タンク10内に配置する脱水素反応器2aの数やその間隙は、所望の脱水素反応が行い得る範囲で水素ガスの必要生成量などに応じて適宜選択することができる。
【0054】
更に、反応タンク10の側壁には、ナフタレン混合物の燃焼によって生じた燃焼廃ガスを排気する排気口35の一端が接続されている。
【0055】
また、反応タンク10を構成する脱水素反応器2aの各々は、上部端面で接続された排出管12の各々の一端と接続された排出配管14によって分離タンク20と連通されており分離タンク20のデカリン内に水素ガスとナフタレンとの混合ガスを排出できるようになっている。さらに、脱水素反応基2aの各々は、下部端面に接続された排出管16と一端で接続された戻し配管18によって貯留タンク30の混合物貯留室30bと連通されている。
【0056】
分離タンク20には、ナフタレン溶解可能な溶媒としてデカリンが充填されており、タンク内部には水素ガスの通過を妨げるために障壁31a〜31hが設けられている。分離タンク20の底面側には、脱水素反応器2aと接続された排出管12の各々の一端と接続され逆止弁15を備えた排出配管14の他端が接続されており、反応タンク10によって生成された水素ガスと気相のナフタレンとの混合ガスが供給されるように構成されている。反応タンク10から供給された混合ガスは、分離タンク20の内部に充填されたデカリン中を通過する際に、ナフタレンがデカリンに溶解し、デカリンに不溶な水素ガスと分離される。
【0057】
分離タンク20の内部に設けられた障壁31a〜31hは、長手方向が略水平になるようにタンク内の側壁に設置される。混合ガスの流通経路を確保してデカリンとの接触時間を多くするために障壁31a〜31hは、混合ガスの流通方向に向かって(図面下方から上方に向かって)交互になるように左右の側壁に設置されている。このように障壁31a〜31hを交互に設置して混合ガスがジグザグに流通するようにすることで、効率良く水素ガスの通過が妨げられ分離タンク20の水素分離能を高めることができる。尚、障壁31a〜31hの個数、大きさ等は分離タンク20のサイズに併せて適宜選定することができる。
【0058】
分離タンク20には、さらに、ポンプ33を備えた供給管32が底面側に接続されており、上面側には貯留タンク30と接続された排出管34の一端が接続されている。これら供給管32及び排出管34の他端は貯留タンク30の混合物貯留室30bに接続されており、分離タンク20中のデカリンが混合物貯留室30bと分離タンク20間を循環するように構成されている。供給管32の他端は、混合物貯留室30bの上面側の壁面に接続されており、混合物貯留室30bに貯留されたデカリンのうち比較的液面に近い側のデカリン(ナフタレン濃度が低いデカリン)を分離タンク20に供給できるようになっている。
【0059】
排出管34の他端は、混合物貯留室30bに貯留されたデカリン中にその他端が位置するように設置される。排出管34からは、ナフタレンが分離された水素ガスとナフタレンを溶解したデカリンとが排出される。ナフタレンの比重はデカリンに比して大きいことから、デカリンに溶解されたナフタレンは、貯留タンク30に排出された後、底面方向に沈降し貯留される。
【0060】
このようにデカリンを分離タンク20及び貯留タンク30間で循環させることにより、水素ガスと分離されたナフタレンを容易に回収することができ、さらに、分離タンク20内のナフタレン濃度が上昇するのを防止することができる。さらに、デカリンを循環させることで分離タンク20が反応タンク10に対してアスピレーターのような働きをし、各脱水素反応器2aに残った水素ガスや気相のナフタレンを強制的に排出させることができる。これにより、脱水素反応器2a内ではよりデカリンの脱水素反応が促進され、反応速度を向上させることができる。
【0061】
分離タンク20内のデカリンは、水素ガス生成装置の起動中常にポンプ33によって分離タンク20及び貯留タンク30間を循環している。尚、分離タンク20内のデカリンは必ずしも常に循環させなくともよく、一定間隔で循環させてもよいし、分離タンク20内のナフタレン濃度をモニターして、かかるナフタレン濃度の上昇に伴ってポンプ33をコントロールしてデカリンを循環させるように制御してもよい。
【0062】
貯留タンク30は、可動式の隔壁37によって反応タンク10に供給するデカリンを貯留するデカリン貯留室30aと、ナフタレンを含有するデカリンを貯留する混合物貯留室30bとに区切られている。貯留タンク30の壁面には、デカリンを供給するための図示を省略するバルブを備えた燃料供給管が設けられており、デカリン貯留室30aに純デカリンを供給できるようになっている。さらに、貯留タンク30の上部壁面には燃料電池40に水素を供給する水素供給管36の一端が接続されて排出口が形成されており、分離された水素ガスを、水素供給管36を挿通して燃料電池40に供給できるようになっている。
【0063】
デカリン貯留室30aは、反応タンク10に供給するためのデカリン(純デカリン)が貯留されている。デカリン貯留室30aは、反応タンク10を構成する脱水素反応器2aの各々と供給配管29を介して連結されており、脱水素反応器2aにデカリンを供給できるように構成されている。
【0064】
混合物貯留室30bには、反応タンク10より回収したナフタレンを含む未反応デカリン、及び、分離タンク20より回収したナフタレンを含むデカリンが貯留される。混合物貯留室30bの側壁には、脱水素反応器2aから未反応デカリンを回収する戻し配管18の他端が接続されている。
【0065】
さらに、混合物貯留室30bの上壁には、排出管34が、その他端がデカリン中に配置されるように接続されており、分離タンク20から排出された水素ガスをデカリン中に排出できるように構成されている。これにより、分離タンク20において分離しきれなかった微量のナフタレンが水素ガスに混在している場合であっても、さらに、デカリンにナフタレンを溶解させることで高い純度の水素ガスを排出することができる。
【0066】
このように、混合物貯留室30bにはナフタレン濃度の比較的高いデカリン(低純度デカリン)が貯留される。また、混合物貯留室30bの壁面には供給装置8を介して低純度デカリンを反応タンク10に供給する供給配管6の他端が接続されており、脱水素反応器2aの加熱に用いられる低純度デカリンを供給できるようになっている。
【0067】
混合物貯留室30bの壁面には、図示を省略するナフタレンを排出するためのバルブが設けられており、ナフタレン濃度が一定以上になった場合や、可動式の隔壁37が貯留タンク30の底面付近にまで移動した場合などに、ナフタレンを排出できるようになっている。
【0068】
混合物貯留室30bとデカリン貯留室30aとは、ポンプ38を備えた配管39によって連結されている。混合物貯留室30bには、図示を省略する濃度センサーが設置されており、室中のナフタレン濃度をモニターできるようになっている。前記濃度センサーによって、混合物貯留室30b中のナフタレン濃度が一定の閾値を超えたと検知された場合には、図示を省略するコントローラーによりポンプ38を起動し、デカリン貯留室30a中の純デカリンを混合物貯留室30bに供給する。純デカリンの供給は、混合物貯留室30b中のナフタレン濃度が一定値以下になるまで行われる。混合物貯留室30b中のナフタレン濃度の調整の際には、隔壁37が混合物貯留室30b中の低純度デカリンの容量に応じて貯留タンク30の底面側に移動するように制御される。この際、貯留タンク内のナフタレン濃度は、pHや電気伝導率等で測定することができる。
【0069】
貯留タンク30は、隔壁37によって、デカリン貯留室30aと混合物貯留室30bとに区切られている。隔壁37は、デカリン貯留室30aに貯留された純デカリンの使用による減少及び混合物貯留室30bに貯留される低純度デカリンの増加に伴って徐々に貯留タンク30の底面方向(紙面下方向)に移動する。即ち、デカリン貯留室30aと混合物貯留室30bとは、隔壁37の移動によってその容積が変動するように構成されている。具体的には、純デカリンの使用による減少に伴って隔壁37を移動し、デカリン貯留室30aの容積を縮小させると共に混合物貯留室30bの容積を拡大させる。
【0070】
また、デカリン貯留室30aに貯留された純デカリンが少なくなり、補給の必要が生じた場合には、混合物貯留室30b中の低純度デカリンをナフタレンと供に図示を省略する排出管から排出し、デカリン貯留室30aに純デカリンを補給する。この際、隔壁37は、デカリン貯留室30aの容量を確保すべく、貯留タンク30の上壁側(紙面上方)に移動し、装置外部よりデカリン貯留室30aに純デカリンが供給される。これによれば、同時に単一のタンクを有効に利用でき、装置の更なる小型・軽量化が図られる。
【0071】
本実施の形態においては、隔壁37としてナフタレン及びデカリンの移動を妨げる部材を用いており、各室間のデカリンの移動ができないように構成されている。但し、隔壁37としては、ナフタレンに非透過性であり、かつデカリンに対して安定なものであれば公知のもの(変形し難い板状のものや、伸縮可能な軟性、弾性を有するもの)から適宜選択することができ、例えば、ナフタレンのみに非透を有し、デカリンが透過可能な部材等を用いることができる。隔壁37の材質は、樹脂材、金属材、シリコーン材、ゴム材など適宜選択できる。
【0072】
また、本実施の形態においては、隔壁37を、デカリン膜面の法線方向と略平行に移動可能に構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、デカリン膜面の法線方向と隔壁の長手方向とが略平行になるように設置し、デカリンの膜面方向に移動可能な構成してもよい。
【0073】
また、貯留タンク30の混合物貯留室30bを着脱可能に構成してもよい。混合物貯留室30bは貯留タンクに収納可能なカートリッジ式に構成することもできる。これにより、ナフタレンを高濃度に含む部分(例えば交換タンク)を、デカリンで満たされたものや空のタンク(例えば交換タンク)に取り替えることが可能となる。
【0074】
本実施形態では、イグニッションスイッチがオンされると、燃料電池又は他の電源(バッテリー、キャパシタ)からの電力供給を受けて各脱水素反応器2aに設けられたヒータ26がオンされると同時に、ポンプ33を作動し分離タンク20及び混合物貯留室30b間でデカリンを循環させる。
【0075】
ヒータ26で加熱された酸化触媒25が所定の温度以上に達すると、混合物貯留室30bに貯留されていたデカリン(ナフタレンを含む低純度のデカリン)が空気と共に反応タンク10内に供給される。供給されたデカリンは酸化触媒上で燃焼(酸化)し、この燃焼熱によって、各脱水素反応器の内部に担持された触媒23が加熱される。触媒23が所定温度にまで加熱されたときには、デカリンが貯留タンク30から供給配管29を挿通して反応タンク10の脱水素反応器2a、2a、…2aに供給される。
【0076】
触媒23の前記所定温度は、200〜500℃、好ましくは200〜350℃の間の温度、更に好ましくは280℃にすることができる。この理由は、所定温度が200℃未満であると目的とする脱水素反応の高い反応速度、換言すれば水素使用装置の高性能が得られないことがあり、350℃を越えるとカーボンデポジットが生じる可能性を持ち、500℃を越えると実用的でないからである。
【0077】
各脱水素反応器2aで発生した水素リッチガス(蒸発した残存デカリンを含んでもよい。)は生成ナフタレンと共に排出管12を介して排出配管14によって、分離タンク20に供給される。分離タンク20において水素リッチガスがデカリン中を流通する際、ナフタレン及び残存デカリンは、デカリンに溶解されて水素ガスと分離される。ナフタレンを含有するデカリンと水素ガスとは、排出管34を介して、貯留タンク30の混合物貯留室30bの低純度デカリン中に排出される。低純度のデカリン中に排出され溶解されたナフタレンは混合物貯留室30bの底部に移動する。一方、デカリン難溶性の水素ガスはさらに、微量に混在してるナフタレンや残存デカリンと分離されながらデカリン中を浮上し、水素供給管36が接続された排出口から排出され、燃料電池40に供給される。
【0078】
また、混合物貯留室30bの底部に移動したナフタレン量が増加し、混合物貯留室30b内のナフタレン濃度が増加した場合は、ポンプ38の駆動により、デカリン貯留室30aから混合物貯留室30bに純デカリンが供給され、ナフタレン濃度が調整される。
【0079】
イグニッションスイッチをオフし、燃料電池40を停止させると、反応タンク10へのデカリンの供給が停止される。デカリンの供給停止後、各脱水素反応器の底部に液化して貯留された未反応デカリンは、バルブを開くと共に図示しないポンプにより排出管16と繋がる戻し配管18を挿通して貯留タンク30の混合物貯留室30bに戻される。尚、未反応デカリンの回収はイグニッションスイッチオフ後に限られず、水素ガス生成装置駆動中に行うことも可能である。
【0080】
また、デカリンとテトラリンとの混合燃料を用いることにより、デカリンの脱水素反応の前にテトラリンが脱水素反応するので、速やかに水素ガスを発生させることができる。ここで、貯留タンク30内あるいは貯留タンク30とは別のタンク内に、デカリンと分離してテトラリンを貯留し、このテトラリンを加熱された触媒上でデカリンの脱水素反応前に脱水素反応させることにより、速やかに多量の水素ガスを発生させることができ、より迅速に水素生成を行なうことができる。
【0081】
(第2の実施の形態)
本発明の水素ガス生成装置の第2の実施の形態を図6を参照して説明する。本実施形態は、第1の実施の形態における分離タンク20に転用可能な分離タンク50であり、分離タンク50以外の部材については第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。尚、燃料は第1の実施の形態で使用した燃料を用いることができる。
【0082】
図6において分離タンク50には、第1の実施の形態と同様に、ナフタレン溶解可能な溶媒としてデカリンが充填されており、タンク内部には攪拌機51a〜51dが設けられている。分離タンク50の底面側には、脱水素反応器2aと接続された排出管12の各々の一端と接続された排出配管14の他端が接続されており、反応タンク10によって生成された水素ガスと気相のナフタレンとの混合ガスが供給されるように構成されている。反応タンク10から供給された混合ガスは、分離タンク50の内部に充填されたデカリン中を攪拌機51a〜51dの各々によって攪拌されながら通過する際に、ナフタレンがデカリンに溶解し、デカリンに不溶な水素ガスと分離される。
【0083】
分離タンク50の内部に設けられた攪拌機51a〜51dは、長手方向が略水平になるようにタンク内に設置される。このように攪拌機51a〜51dを設置し攪拌することで、混合ガス中のナフタレンや残存デカリンの溶解効率を高めることができ、分離タンク50の水素分離能を高めることができる。
【0084】
また、攪拌機51a〜51dは、ポンプ33により供給されるデカリンの液流により回転するような構造であってもよいし、別途攪拌機51a〜51b用の駆動システムを設けて、電力等により回転するような構造としてもよい。本実施の形態においては、攪拌機51a〜51dとして、回転羽を有するプロペラを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、公知の攪拌機を適宜選定して用いることができる。尚、攪拌機51a〜51dの個数、大きさ等は分離タンク50のサイズに併せて適宜選定することができる。
【0085】
分離タンク50には、さらに、ポンプ33を備えた供給管32が底面側に接続されており、上面側には貯留タンク30と接続された排出管34の一端が接続されている。これら供給管32及び排出管34の他端は貯留タンク30の混合物貯留室30bに接続されており、分離タンク50中のデカリンが混合物貯留室30bと分離タンク50間を循環するように構成されている。供給管32の他端は、混合物貯留室30bの上面側の壁面に接続されており、混合物貯留室30bに貯留されたデカリンのうち比較的液面に近い側のデカリン(ナフタレン濃度が低いデカリン)を分離タンク50に供給できるようになっている。
【0086】
排出管34の他端は、混合物貯留室30bに貯留されたデカリン中にその他端が位置するように設置される。排出管34からは、ナフタレンが分離された水素ガスとナフタレンを溶解したデカリンとが排出される。デカリンに比してナフタレンの比重は大きいことから、デカリンに溶解されたナフタレンは、貯留タンク30に排出された後、底面方向に沈降し貯留される。
【0087】
このように、デカリンを分離タンク50及び貯留タンク30間で循環させることにより、水素ガスと分離されたナフタレンを容易に回収することができ、分離タンク50内のナフタレン濃度が上昇するのを防止することができる。さらに、分離タンク50内に攪拌機を設けることで、より水素ガス分離能を高めることができる。また、デカリンを循環させることで分離タンク50が反応タンク10に対してアスピレーターのような働きをし、各脱水素反応器2aに残った水素ガスや気相のナフタレンを強制的に排出させることができる。これにより、脱水素反応器2a内ではよりデカリンの脱水素反応が促進され、反応速度を向上させることができる。
【0088】
(第3の実施の形態)
本発明の水素ガス生成装置の第3の実施の形態を図7を参照して説明する。本実施形態は、第1の実施の形態における分離タンク20に転用可能な分離タンク60であり、分離タンク60以外の部材については第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。尚、燃料は第1の実施の形態で使用した燃料を用いることができる。
【0089】
図7において分離タンク60には、第1の実施の形態と同様に、ナフタレン溶解可能な溶媒としてデカリンが充填されており、タンク内部にはフィルター61a〜61hが設けられている。分離タンク60の底面側には、脱水素反応器2aと接続された排出管12の各々の一端と接続された排出配管14の他端が接続されており、反応タンク10によって生成された水素ガスと気相のナフタレンとの混合ガスが供給されるように構成されている。反応タンク10から供給された混合ガスは、分離タンク60の内部に充填されたデカリン中をフィルター61a〜61hの各々によって攪拌されながら通過する際に、ナフタレンがデカリンに溶解し、デカリンに不溶な水素ガスと分離される。
【0090】
分離タンク60の内部に設けられたフィルター61a〜61hは、長手方向が略水平になるようにタンク内に設置される。反応タンク10から供給された混合ガスは、フィルター61a〜61hを通過する際にフィルター61a〜61hの網目によって小さな気泡とされる。また、フィルター61a〜61hによって混合ガスの移動が阻害されるため、分離タンク60内での残留時間が増加する。このように分離タンク60にフィルター61a〜61hを設置することで、混合ガス中のナフタレンや残存デカリンの溶解効率を高めることができ、分離タンク60の水素分離能を高めることができる。
【0091】
また、フィルター61a〜61hの網目の粗さは、フィルター61a〜61hの全てが同じであってもよいが、分離タンク60の底面側から上面側(デカリンの液流方向)に向かって網目の粗さが細かくなるように設置するのが好ましい。尚、フィルター61a〜61hの個数、大きさ等は分離タンク60のサイズに併せて適宜選定することができる。
【0092】
分離タンク60には、さらに、ポンプ33を備えた供給管32が底面側に接続されており、上面側には貯留タンク30と接続された排出管34の一端が接続されている。これら供給管32及び排出管34の他端は貯留タンク30の混合物貯留室30bに接続されており、分離タンク60中のデカリンが混合物貯留室30bと分離タンク60間を循環するように構成されている。供給管32の他端は、混合物貯留室30bの上面側の壁面に接続されており、混合物貯留室30bに貯留されたデカリンのうち比較的液面に近い側のデカリン(ナフタレン濃度が低いデカリン)を分離タンク60に供給できるようになっている。
【0093】
排出管34の他端は、混合物貯留室30bに貯留されたデカリン中にその他端が位置するように設置される。排出管34からは、ナフタレンが分離された水素ガスとナフタレンを溶解したデカリンとが排出される。デカリンに比してナフタレンの比重は大きいことから、デカリンに溶解されたナフタレンは、貯留タンク30に排出された後、底面方向に沈降し貯留される。
【0094】
このように、デカリンを分離タンク60及び貯留タンク30間で循環させることにより、水素ガスと分離されたナフタレンを容易に回収することができ、分離タンク60内のナフタレン濃度が上昇するのを防止することができる。さらに、分離タンク60内にフィルター状の障壁を設けることで、効率良く水素ガスの通過が妨げられ、水素ガス分離能を高めることができる。また、デカリンを循環させることで分離タンク60が反応タンク10に対してアスピレーターのような働きをし、各脱水素反応器2aに残った水素ガスや気相のナフタレンを強制的に排出させることができる。これにより、脱水素反応器2a内ではよりデカリンの脱水素反応が促進され、反応速度を向上させることができる。
【0095】
上述した実施形態では、水素生成用の燃料としてデカリンを用いた例を中心に説明したが、既述のデカリン以外の炭化水素系燃料を用いた場合においても同様である。また、水素使用装置について、特に車載の燃料電池及び水素エンジンを例に説明したが、本発明は燃料電池や水素エンジン以外の、ガソリンエンジン等の内燃機関や他の水素使用装置に適用することもできる。
【0096】
また、上述の実施形態では、貯留タンクとして、隔壁によって区切られた複室の貯留タンクを用いたが、単一の貯留タンクを用いて分離タンクから直接水素使用装置に水素ガスを供給するような構成であってもよい。
【0097】
さらに、上述の実施形態では、縦置き型の分離タンクについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、横置き型の分離タンクであってもよい。また、分離タンクの構造も上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、混合ガスの流通時間を確保するために、分離タンクをジグザグ状の管で構成してもよい。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、ナフタレン等脱水素化物を効率よく水素ガスと分離・回収することが可能な水素ガス生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】反応タンクの概略構成例を拡大して示す斜視図である。
【図3】反応タンクを構成する脱水素反応器の一例を示す斜視図である。
【図4】図3のB−B’線断面図である。
【図5】図2のA−A’線断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の一部を示す概略構成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態の一部を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 反応タンク
14 排出配管
20 分離タンク
23 触媒
30 貯留タンク
30a デカリン貯留室
30b 混合物貯留室
31a〜31h 障壁
32 供給管
34 排出管
37 隔壁
51a〜51d 攪拌機
61a〜61h フィルター

Claims (11)

  1. 炭化水素系燃料を貯留する貯留タンクと、
    前記貯留タンクから供給される炭化水素系燃料を加熱された触媒上で脱水素反応し、水素ガスと気相の脱水素生成物とを生成する反応タンクと、
    前記脱水素生成物を溶解する溶媒を収液し、且つ、前記反応タンクで生成された前記水素ガスと前記気相の脱水素生成物とが供給される供給口及び前記溶媒を通過した前記水素ガスを排出する排出口を備えた分離タンクと、
    を備えた水素ガス生成装置。
  2. 前記分離タンクのタンク内に前記水素ガスの通過を妨げる障壁を設けた請求項1に記載の水素ガス生成装置。
  3. 前記障壁が網目構造を有する請求項2に記載の水素ガス生成装置。
  4. 前記分離タンクのタンク内に攪拌手段を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
  5. 前記溶媒が前記炭化水素系燃料である請求項1〜4のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
  6. 前記分離タンクから排出された水素ガスを前記貯留タンクに貯留された前記炭化水素系燃料中に供給するようにし、且つ、前記貯留タンクに前記水素ガスを排出する排出口を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
  7. 前記分離タンク内の溶媒を、前記貯留タンクに貯留された前記炭化水素系燃料中に排出するようにした請求項1〜6のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
  8. 前記貯留タンクに貯留された前記炭化水素系燃料を前記分離タンクに供給するようにした請求項1〜7のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
  9. 前記貯留タンクが複数の室に区分けされており、前記複数の室の一つに前記分離タンクから排出された溶媒を貯留するようにした請求項6〜8のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
  10. 前記炭化水素系燃料がデカリンである請求項1〜9のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
  11. 前記脱水素生成物がナフタレンである請求項1〜10のいずれかに記載の水素ガス生成装置。
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