JP2004356766A - オフセットビートキャンセラおよび直交検波回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフセットビートキャンセラにおいて、妨害波成分が大きい場合でも正常な希望波成分を生成すること。
【解決手段】オフセットビートキャンセラは、直交検波部20において、映像信号が妨害波映像信号に相当する信号成分の通過を阻止するフィルタ134経由でリミッタアンプ136へ入力されるため、希望波映像信号に対応する信号成分のみをリミッタアンプ136に入力できる。そして、リミッタアンプ136からPLL回路138へ入力される信号成分は、希望波映像信号の搬送波に相当する信号成分のみとなり、これにより、PLL回路138からの発振器出力を間違いなく希望波映像信号の搬送波を再生した信号成分とすることができる。こうして、直交検波部20による直交検波を正常に行い、最終的に映像信号から妨害波映像信号の除去された正常な希望波映像信号を生成できる。
【選択図】図2
【解決手段】オフセットビートキャンセラは、直交検波部20において、映像信号が妨害波映像信号に相当する信号成分の通過を阻止するフィルタ134経由でリミッタアンプ136へ入力されるため、希望波映像信号に対応する信号成分のみをリミッタアンプ136に入力できる。そして、リミッタアンプ136からPLL回路138へ入力される信号成分は、希望波映像信号の搬送波に相当する信号成分のみとなり、これにより、PLL回路138からの発振器出力を間違いなく希望波映像信号の搬送波を再生した信号成分とすることができる。こうして、直交検波部20による直交検波を正常に行い、最終的に映像信号から妨害波映像信号の除去された正常な希望波映像信号を生成できる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放送信号から妨害波成分を除去するオフセットビートキャンセラ、および、このオフセットビートキャンセラを構成可能な直交検波回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、近接する地域で同一の放送チャンネルを利用したテレビ放送を行う際には、各放送信号の搬送波に±10.01kHzのオフセットを設け、テレビ受像器で放送信号を再生した際に画面に現れる縞模様(ビート)を目立たなくするようにしている。しかし、妨害波成分の量が多ければビートも顕著に現れることになるし、聴視者からはよりよい画質の要求がある。
【0003】
そこで、近年では、こうしたビート障害を防止するために、ビート障害が発生する放送信号から希望波成分の搬送波を再生し、この搬送波を用いて放送信号を直交検波することにより妨害波成分を含むQ信号を生成して、更に、その生成したQ信号からフィルタにより妨害波成分を生成し、この妨害波成分を放送信号から除去するオフセットビートキャンセラが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−98061号公報
【特許文献2】
特開平9−55671号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のオフセットビートキャンセラにおいては、放送信号から妨害波成分を除去するために、放送信号から希望波成分の搬送波を再生し、その再生した搬送波を用いて放送信号を直交検波してQ信号(およびI信号)を得ている。
【0006】
この直交検波に使用される希望波成分の搬送波は、リミッタアンプおよびPLL(位相同期ループ:Phase Locked Loop )回路により再生することが一般的である。
具体的には、リミッタアンプにより放送信号から振幅変調成分の除去された搬送波に相当する信号成分(以降、「搬送波成分」とする)を抽出し、この搬送波成分を基準信号としてPLL回路へ入力することにより搬送波成分に同期した発振器出力を希望波成分の搬送波として再生する。
【0007】
このとき、リミッタアンプでは、放送信号の信号レベル(振幅)を増幅して揃える(制限する)ことにより、放送信号の搬送波成分を抽出するため、放送信号に含まれる妨害波成分がある程度大きくなると、妨害波成分の搬送波成分が残ってしまい、それぞれ所定の周波数だけオフセットを有する2つの搬送波が混合された搬送波成分が抽出されてしまう。
【0008】
このような搬送波成分を入力したPLL回路からの発振器出力は、2つの搬送波が混合されてなる搬送波成分に同期した異常な信号成分となってしまう。そのため、直交検波において正常なQ信号(およびI信号)を生成することができず、結果的に放送信号から妨害波成分の除去された正常な希望波成分を生成することができなくなってしまう。
【0009】
このように、従来のオフセットビートキャンセラでは、妨害波成分の大きさによっては、放送信号から妨害波成分の除去された正常な希望波成分を生成することができない恐れがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、オフセットビートキャンセラにおいて、妨害波成分が大きい場合でも、正常な希望波成分を生成するための技術を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するため請求項1に記載のオフセットビートキャンセラは、直交検波部と希望波生成部とからなり、直交検波部が、希望波放送信号、および、この希望波放送信号の搬送波に対して所定の周波数だけオフセットされた搬送波に重畳された妨害波放送信号が混合されてなる混合放送信号を直交検波することによってI信号およびQ信号を生成して、希望波生成部が、直交検波部により生成されたI信号およびQ信号に基づいて、希望波放送信号に相当する信号成分を生成する(または、混合放送信号から妨害波放送信号が除去された信号成分を生成する)。
【0011】
このオフセットビートキャンセラにおける直交検波部は、リミッタアンプ、発振器、位相同期回路、第1検波部、第2検波部、選択通過フィルタを備えている。これらのうち、リミッタアンプは、混合放送信号から振幅変調成分を除去することにより混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出して出力する。また、位相同期回路は、リミッタアンプにより出力される信号成分に同期した信号成分を出力する。また、第1検波部は、混合放送信号および位相同期回路から出力される信号成分を同相で混合することによりI信号を生成する。そして、混合放送信号および位相同期回路から出力される信号成分を位相差90度で混合することによりQ信号を生成する。
【0012】
さらに、この直交検波部には、妨害波放送信号に相当する周波数成分の通過を阻止し、かつ、希望波放送信号に相当する周波数成分を選択的に通過させる選択通過フィルタが、外部から入力された混合放送信号を位相同期回路まで伝送させる伝送経路中に配設されており、選択通過フィルタを通過した混合放送信号から混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出する、ように構成されている。
【0013】
このように構成されたオフセットビートキャンセラによれば、外部から入力された混合放送信号は、妨害波放送信号に相当する信号成分の通過を阻止する選択通過フィルタを通過した後で位相同期回路へ入力される。そのため、妨害波放送信号の信号レベルが大きくても、混合放送信号のうち妨害波放送信号に対応する信号成分が位相同期回路へ入力されることがなく、希望波放送信号の搬送波に相当する信号成分(搬送波成分)のみが位相同期回路へ入力される信号成分となる。これによって、位相同期回路からの発振器出力を間違いなく希望波放送信号の搬送波を再生した信号成分とすることができる。
【0014】
このように、本オフセットビートキャンセラによれば、妨害波放送信号の信号レベルに拘わらず、直交検波部による直交検波を正常に行い、最終的に放送信号から妨害波成分の除去された正常な希望波成分を生成することができる。
なお、上述したリミッタアンプは、混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出して出力するものであって、混合放送信号の信号レベル(振幅)を増幅して揃える(制限する)ことにより振幅変調(AM)成分を除去した信号成分を、混合放送信号の搬送波に相当する信号成分として抽出する。
【0015】
また、位相同期回路は、発振器出力をリミッタアンプにより出力される信号成分の位相に同期させて出力する周知のPLL(Phase Locked Loop )回路であって、これにより、リミッタアンプに入力された信号成分の搬送波を再生することができる。
【0016】
また、選択通過フィルタは、妨害波放送信号に相当する周波数成分の通過を阻止し、希望波放送信号に相当する周波数成分については通過させることのできる程度の選択性を有するフィルタである。この選択通過フィルタとしては、例えば、クリスタルフィルタなどのように単体で高い選択性を有するフィルタを採用すればよいが、複数の素子を組み合わせることにより同様の選択性を実現したフィルタを採用してもよい。
【0017】
ところで、上述の混合放送信号には、希望波放送信号と妨害波放送信号とが所定の周波数だけオフセットされた搬送波にそれぞれ重畳されているが、この混合放送信号に含まれる妨害波放送信号は、ある特定の地域Aの場合にのみ妨害波放送信号とみなされる信号成分であり、他の地域Bでは希望波放送信号とみなされる信号成分、または、放送信号とは無関係な信号成分である。
【0018】
そのため、本オフセットビートキャンセラを地域Aで使用すれば、選択通過フィルタを通過する信号成分が希望波放送信号となるため、間違いなく希望波放送信号の搬送波を直交検波に使用する搬送波として再生できる。ところが、このオフセットビートキャンセラを地域Bで使用した場合には、選択通過フィルタを通過する信号成分が希望波放送信号とは異なる周波数成分となるため、希望波放送信号とは異なる信号成分が、直交検波に使用する搬送波として再生されてしまう。
【0019】
このようなことは、選択通過フィルタの特性が一定であることに起因して起こるため、この特性を何らかの方法により変更できるように構成すれば、オフセットビートキャンセラを使用する地域(混合放送信号を受信する地域)に応じて選択通過フィルタの特性を変更することで地域に拘わらず希望波放送信号の搬送波を再生できるようになるため好適である。
【0020】
このように、選択通過フィルタの特性を変更するためには、例えば、選択通過フィルタそのものを異なる特性のものに交換できるように構成すればよい。具体的には、請求項2に記載のように、直交検波部において、選択通過フィルタを、オフセットビートキャンセラ本体に対して着脱可能に構成すればよい。
【0021】
このように構成されたオフセットビートキャンセラによれば、オフセットビートキャンセラを使用する地域に応じて、その地域の希望波放送信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波放送信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有するものに選択通過フィルタを交換することによって、地域に拘わらず希望波放送信号の搬送波を間違いなく再生できるようになる。
【0022】
また、選択通過フィルタの特性を変更するための構成としては、それぞれ通過を阻止する周波数成分および選択的に通過させる周波数成分が異なる複数の選択通過フィルタを備えておき、これら選択通過フィルタを選択的に使用できるように構成してもよい。具体的には、請求項3に記載のように、直交検波部において、複数の選択通過フィルタと、外部からの指令を受けて、リミッタアンプまで伝送される混合放送信号を通過させるべき選択通過フィルタを複数の選択通過フィルタのうちいずれかに切り替え可能な切替手段と、を備えればよい。
【0023】
このように構成されたオフセットビートキャンセラによれば、オフセットビートキャンセラを使用する可能性のある複数の地域に合わせて、それぞれ地域において希望波放送信号とされている信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波放送信号となる信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有する選択通過フィルタを複数備えておき、オフセットビートキャンセラを使用する地域に対応するものに選択通過フィルタを切替手段により切り替えることによって、地域に拘わらず希望波放送信号の搬送波を間違いなく再生できるようになる。
【0024】
なお、この構成における切替手段は、混合放送信号を通過させるべき選択通過フィルタを複数の選択通過フィルタのうちいずれかに切り替える手段であって、例えば、混合放送信号を通過させるべき選択通過フィルタを切り替えるためのスイッチなどが考えられる。この構成において、スイッチが利用者の操作により作動するものであれば、利用者のスイッチ操作を外部からの指令とみなして選択通過フィルタを切り替えることができる。また、スイッチが外部からの指令信号によって作動するものであれば、この指令信号を外部からの指令とみなして選択通過フィルタを切り替えることができる。
【0025】
また、請求項4に記載の直交検波回路は、請求項1から3のいずれかに記載の直交検波部として機能するために必要な回路が形成されてなるものである。
このように構成された直交検波回路によれば、請求項1から3のいずれかに記載のオフセットビートキャンセラの一部を構成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について例を挙げて説明する。
オフセットビートキャンセラ1は、図1に示すように、チューナ部10、直交検波部20、アナログ−デジタル(以降、A/Dとする)変換部32,34、デジタル−アナログ(以降、D/Aとする)変換部36、信号処理部40、RF変調部50および音声復調部60などを備えている。
【0027】
チューナ部10は、RF(Radio Frequency )帯域のテレビ放送信号を選局・受信してIF(Intermediate Frequency)帯域に変換する。ここで、チューナ部10がIF帯域に変換したテレビ放送信号には、映像信号(以降、「映像IF信号」とする)と音声信号(以降、「音声IF信号」とする)とが含まれており、映像IF信号は直交検波部20へ出力される一方、音声IF信号は音声復調部60で複合音声信号(音声多重信号を含む信号)に復調されてからRF変調部50へ出力される。また、映像IF信号は、希望波映像信号および妨害波映像信号それぞれが所定の周波数(10.01kHz;以降、オフセット周波数とする)だけオフセットされた搬送波にそれぞれ重畳された信号成分である。
【0028】
直交検波部20は、チューナ部10から入力された映像IF信号を直交検波することにより映像IF信号の同相成分であるI(In phase)信号、および、映像IF信号の直交成分であるQ(Quadrature phase)信号を生成するものであって詳細な説明は後述する。
【0029】
信号処理部40は、直交検波部20からA/D変換部34を介して入力されるQ信号に基づき映像IF信号に含まれる妨害波映像信号に相当する信号成分を生成する妨害波生成部42、直交検波部20からA/D変換部32を介して入力したI信号の遅延調整を行うI信号遅延線44、I信号遅延線44で遅延調整されたI信号から妨害波生成部42にて生成された信号成分を減算して除去する妨害波除去部46などからなる集積回路である。こうして、信号処理部40は、妨害波除去部46による出力信号を、映像IF信号から妨害波映像信号の除去された希望波映像信号とし、D/A変換部36を介してRF変調部50へ出力する。
【0030】
RF変調部50は、D/A変換部36を介して信号処理部40から入力した信号成分(希望波映像信号)、および、チューナ部10から音声復調部60を介して入力した複合音声信号を、RF帯域に変調して端末装置(例えば、テレビなど)へ出力する。
【0031】
以下に、上述した直交検波部20の具体的な構成を説明する。
直交検波部20は、図2に示すように、チューナ部10から出力された映像IF信号を2分配する分配回路102、この分配回路102にて分配された一方の映像IF信号を増幅する増幅回路104、増幅回路104により増幅された映像IF信号を更に2分配する分配回路106、この分配回路106にて分配された一方の映像IF信号の位相を移相させる移相器108、分配回路106にて分配された他方の映像IF信号を遅延させる遅延線110、移相器108を通過した映像IF信号と後述の搬送波再生部130にて再生された映像信号の搬送波(以降、「映像搬送波」とする)とを混合してQ信号を生成するミキサ112、遅延線110を通過した映像IF信号と映像搬送波とを混合してI信号を生成するミキサ114、ミキサ112,114にて生成されるQ信号,I信号の信号成分を選択的に通過させるLPF116,118、LPF116,118をそれぞれ通過した信号成分を所定レベルまで増幅して直交検波部20外部(A/D変換部32,34)へ出力する増幅回路120,122などの回路が形成されてなる回路基板である。
【0032】
ここで、移相器108,遅延線110は、ミキサ112,114へ入力される信号成分がそれぞれ90度(π/2)の位相差を持つように特性(移相器108:周波数特性,遅延線110:遅延量)が調整されている。
また、ミキサ112、114は、移相器108,遅延線110をそれぞれ通過した映像IF信号と、搬送波再生部130側から入力される映像搬送波とをそれぞれ混合することにより、映像IF信号を直交検波するためのものである。つまり、ミキサ112は、映像搬送波および移相器108により90度移相した映像IF信号を混合することによりQ信号を生成し、ミキサ114は、映像搬送波および遅延線110を通過した同相の映像IF信号を混合することによりI信号を生成する。
【0033】
また、この直交検波部20は、初段の分配回路102にて分配された他方の映像IF信号から映像搬送波を再生する搬送波再生部130、この搬送波再生部130にて再生された映像搬送波を移相させる可変移相器124、可変移相器124を通過した映像搬送波の位相を増幅回路120により出力されるQ信号に基づいて調整する位相調整部126、この位相調整部126を通過した映像搬送波を2分配して各ミキサ112、114へ出力する分配回路128も備えている。
【0034】
これらのうち、搬送波再生部130は、分配回路102にて分配された他方の映像IF信号を3つの伝送経路のうちいずれを通過させるかを切替可能なジャンパスイッチ132、ジャンパスイッチ132により切替可能な伝送経路それぞれに挿入されたクリスタルフィルタ134、各クリスタルフィルタ134を通過した映像IF信号の搬送波に相当する信号成分を抽出し出力するリミッタアンプ136、リミッタアンプ136により出力される信号成分に同期した信号成分を出力するPLL(Phase Locked Loop :位相同期ループ)回路138などからなる。
【0035】
この搬送波再生部130の備えるジャンパスイッチ132は、映像IF信号の伝送経路それぞれを開放している3対のジャンパピン132aと、ジャンパピン132aにより開放された区間を接続するジャンパコネクタ132bとで構成されるものである。
【0036】
また、クリスタルフィルタ134は、映像IF信号に含まれる信号成分のうち、希望波映像信号に相当する周波数成分は通過させ、この周波数成分からオフセット周波数以上離れた周波数成分については通過を阻止することができる高い選択性を有するフィルタである。
【0037】
なお、ここでいう「希望波映像信号」は、オフセットビートキャンセラ1を使用する地域によって周波数成分が異なる。つまり、映像IF信号には、希望波映像信号と妨害波映像信号とがオフセットされた搬送波にそれぞれ重畳されているが、この希望波映像信号は、ある特定の地域Aの場合にのみ希望波映像信号とみなされる信号成分であり、他の地域Bでは妨害波映像信号とみなされる信号成分、または、放送信号とは無関係な信号成分である。
【0038】
そのため、本実施形態では、特定の周波数成分と、この周波数成分からオフセット周波数だけ高い周波数成分と、オフセット周波数だけ低い周波数成分と、をそれぞれ希望波映像信号とみなして選択的に通過させることのできる3種類のクリスタルフィルタ134a〜cが配設されており、ジャンパスイッチ132によりいずれのクリスタルフィルタ134を映像IF信号の伝送経路とするかを切り替えられるように構成している。
【0039】
また、リミッタアンプ136は、クリスタルフィルタ134を通過した映像IF信号の信号レベル(振幅)を増幅して揃える(制限する)ことにより振幅変調(AM)成分を除去した信号成分を、映像IF信号の搬送波に相当する信号成分として出力する。
【0040】
そして、PLL回路138は、位相比較器,ループフィルタおよび電圧制御発振器からなる周知の回路であり、リミッタアンプ136からの入力信号に位相同期した信号成分を出力することによって、映像IF信号成分の搬送波を再生することができる。
【0041】
[効果]
このように構成されたオフセットビートキャンセラ1によれば、外部から入力された映像信号(映像IF信号)は、妨害波映像信号に相当する信号成分の通過を阻止するクリスタルフィルタ134を介してリミッタアンプ136へ入力される。そのため、妨害波映像信号の信号レベルが大きくても、映像信号のうち希望波映像信号に対応する信号成分のみをリミッタアンプ136へ入力することができる。そして、リミッタアンプ136からPLL回路138へ入力される信号成分は、希望波映像信号の搬送波に相当する信号成分のみとなり、これにより、PLL回路138からの発振器出力を間違いなく希望波映像信号の搬送波を再生した信号成分とすることができる。
【0042】
このように、本オフセットビートキャンセラ1によれば、妨害波映像信号の信号レベルに拘わらず、直交検波部20による直交検波を正常に行い、最終的に映像信号から妨害波映像信号の除去された正常な希望波映像信号を生成することができる。
【0043】
また、直交検波部20において、チューナ部10から入力した映像信号をリミッタアンプ136へ伝送させるまでの伝送経路としていずれのクリスタルフィルタ134を使用するかを、ジャンパスイッチ132により切り替えることができる。そのため、各クリスタルフィルタ134を、オフセットビートキャンセラ1を使用する可能性のある地域において希望波映像信号とされている信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波映像信号となる信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有するものとしておけば、オフセットビートキャンセラ1を使用する地域に対応するクリスタルフィルタ134に切り替えることによって、地域に拘わらず希望波映像信号の搬送波を間違いなく再生できるようになる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、外部から入力された映像信号のうち、希望波映像信号に相当する信号成分のみをリミッタアンプ136へ入力させるために、単体の素子からなるクリスタルフィルタ134を使用した構成を例示した。しかし、希望波映像信号に相当する信号成分のみをリミッタアンプ136へ入力させるためには、例えば、複数の素子を組み合わせることによりクリスタルフィルタ134と同様の選択性を実現したフィルタを採用してもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、映像IF信号をリミッタアンプ136へ伝送させるまでの伝送経路としていずれのクリスタルフィルタ134を使用するかをジャンパスイッチ132により切り替えられるように構成されたものを例示した。しかし、いずれのクリスタルフィルタ134を使用するかを切り替える構成としては、ジャンパスイッチ132以外のスイッチ類を使用した構成としてもよい。特に、スイッチとして、外部からの指令信号によって作動するものを採用した場合、指令信号を外部から供給することができれば、物理的に離れた場所からでも、クリスタルフィルタ134を切り替えることができるようになるため好適である。
【0046】
また、上記実施形態においては、映像IF信号の伝送経路中にあらかじめ特性の異なる複数のクリスタルフィルタ134が配設され、いずれかのクリスタルフィルタ134を選択的に使用できるように構成されたものを例示した。しかし、特性の異なる複数のクリスタルフィルタ134を選択的に使用できるようにするは、例えば、図3に示すように、クリスタルフィルタ134を着脱可能に構成してもよい。このように構成すれば、オフセットビートキャンセラ1を使用する地域に応じて、その地域の希望波映像信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波映像信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有するものにクリスタルフィルタ134を交換することによって、地域に拘わらず希望波映像信号の搬送波を再生できるようになる。また、この構成であれば、ジャンパスイッチ132および複数のクリスタルフィルタ134を配設するためのスペースが必要ないため、直交検波部20、ひいてはオフセットビートキャンセラ1全体を小型化することができる。なお、この場合、クリスタルフィルタ134は、分配回路102からリミッタアンプ136へ至る経路中だけでなく、リミッタアンプ136からPLL回路138へ至る経路中へ配設してもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、ジャンパスイッチ132およびクリスタルフィルタ134が、分配回路102からリミッタアンプ136へ至る経路中に配設されたものを例示した。しかし、これらジャンパスイッチ132およびクリスタルフィルタ134は、図4に示すように、リミッタアンプ136からPLL回路138へ至る経路中に配設してもよい。
【0048】
[本発明との対応関係]
以上説明した実施形態において、信号処理部40は本発明における希望波生成部である。
また、直交検波部20は本発明における直交検波回路であって、この直交検波部20のうち、PLL回路138は本発明における位相同期回路であり、移相器108およびミキサ112は本発明における第2検波部であり、ミキサ114は本発明における第1検波部であり、ジャンパスイッチ132は本発明における切替手段であり、クリスタルフィルタ134は本発明における選択通過フィルタである。
【0049】
また、チューナ部10により受信されるテレビ放送信号、および、チューナ部10によりIF帯域に変換された映像IF信号は、本発明における混合放送信号である。
【図面の簡単な説明】
【図1】オフセットビートキャンセラの構成を示すブロック図
【図2】直交検波部の内部構成を示すブロック図
【図3】別の実施形態における直交検波部の内部構成を示すブロック図
【図4】別の実施形態における直交検波部の内部構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…オフセットビートキャンセラ、10…チューナ部、20…直交検波部、32…アナログ−デジタル変換部、34…アナログ−デジタル変換部、36…デジタル−アナログ変換部、40…信号処理部、42…妨害波生成部、44…I信号遅延線、46…妨害波除去部、50…RF変調部、60…音声復調部、102…分配回路、104…増幅回路、106…分配回路、108…移相器、110…遅延線、112…ミキサ、114…ミキサ、120…増幅回路、122…増幅回路、124…可変移相器、126…位相調整部、128…分配回路、130…搬送波再生部、132…ジャンパスイッチ、132a…ジャンパピン、132b…ジャンパコネクタ、134…クリスタルフィルタ、138…PLL回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、放送信号から妨害波成分を除去するオフセットビートキャンセラ、および、このオフセットビートキャンセラを構成可能な直交検波回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、近接する地域で同一の放送チャンネルを利用したテレビ放送を行う際には、各放送信号の搬送波に±10.01kHzのオフセットを設け、テレビ受像器で放送信号を再生した際に画面に現れる縞模様(ビート)を目立たなくするようにしている。しかし、妨害波成分の量が多ければビートも顕著に現れることになるし、聴視者からはよりよい画質の要求がある。
【0003】
そこで、近年では、こうしたビート障害を防止するために、ビート障害が発生する放送信号から希望波成分の搬送波を再生し、この搬送波を用いて放送信号を直交検波することにより妨害波成分を含むQ信号を生成して、更に、その生成したQ信号からフィルタにより妨害波成分を生成し、この妨害波成分を放送信号から除去するオフセットビートキャンセラが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−98061号公報
【特許文献2】
特開平9−55671号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のオフセットビートキャンセラにおいては、放送信号から妨害波成分を除去するために、放送信号から希望波成分の搬送波を再生し、その再生した搬送波を用いて放送信号を直交検波してQ信号(およびI信号)を得ている。
【0006】
この直交検波に使用される希望波成分の搬送波は、リミッタアンプおよびPLL(位相同期ループ:Phase Locked Loop )回路により再生することが一般的である。
具体的には、リミッタアンプにより放送信号から振幅変調成分の除去された搬送波に相当する信号成分(以降、「搬送波成分」とする)を抽出し、この搬送波成分を基準信号としてPLL回路へ入力することにより搬送波成分に同期した発振器出力を希望波成分の搬送波として再生する。
【0007】
このとき、リミッタアンプでは、放送信号の信号レベル(振幅)を増幅して揃える(制限する)ことにより、放送信号の搬送波成分を抽出するため、放送信号に含まれる妨害波成分がある程度大きくなると、妨害波成分の搬送波成分が残ってしまい、それぞれ所定の周波数だけオフセットを有する2つの搬送波が混合された搬送波成分が抽出されてしまう。
【0008】
このような搬送波成分を入力したPLL回路からの発振器出力は、2つの搬送波が混合されてなる搬送波成分に同期した異常な信号成分となってしまう。そのため、直交検波において正常なQ信号(およびI信号)を生成することができず、結果的に放送信号から妨害波成分の除去された正常な希望波成分を生成することができなくなってしまう。
【0009】
このように、従来のオフセットビートキャンセラでは、妨害波成分の大きさによっては、放送信号から妨害波成分の除去された正常な希望波成分を生成することができない恐れがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、オフセットビートキャンセラにおいて、妨害波成分が大きい場合でも、正常な希望波成分を生成するための技術を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するため請求項1に記載のオフセットビートキャンセラは、直交検波部と希望波生成部とからなり、直交検波部が、希望波放送信号、および、この希望波放送信号の搬送波に対して所定の周波数だけオフセットされた搬送波に重畳された妨害波放送信号が混合されてなる混合放送信号を直交検波することによってI信号およびQ信号を生成して、希望波生成部が、直交検波部により生成されたI信号およびQ信号に基づいて、希望波放送信号に相当する信号成分を生成する(または、混合放送信号から妨害波放送信号が除去された信号成分を生成する)。
【0011】
このオフセットビートキャンセラにおける直交検波部は、リミッタアンプ、発振器、位相同期回路、第1検波部、第2検波部、選択通過フィルタを備えている。これらのうち、リミッタアンプは、混合放送信号から振幅変調成分を除去することにより混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出して出力する。また、位相同期回路は、リミッタアンプにより出力される信号成分に同期した信号成分を出力する。また、第1検波部は、混合放送信号および位相同期回路から出力される信号成分を同相で混合することによりI信号を生成する。そして、混合放送信号および位相同期回路から出力される信号成分を位相差90度で混合することによりQ信号を生成する。
【0012】
さらに、この直交検波部には、妨害波放送信号に相当する周波数成分の通過を阻止し、かつ、希望波放送信号に相当する周波数成分を選択的に通過させる選択通過フィルタが、外部から入力された混合放送信号を位相同期回路まで伝送させる伝送経路中に配設されており、選択通過フィルタを通過した混合放送信号から混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出する、ように構成されている。
【0013】
このように構成されたオフセットビートキャンセラによれば、外部から入力された混合放送信号は、妨害波放送信号に相当する信号成分の通過を阻止する選択通過フィルタを通過した後で位相同期回路へ入力される。そのため、妨害波放送信号の信号レベルが大きくても、混合放送信号のうち妨害波放送信号に対応する信号成分が位相同期回路へ入力されることがなく、希望波放送信号の搬送波に相当する信号成分(搬送波成分)のみが位相同期回路へ入力される信号成分となる。これによって、位相同期回路からの発振器出力を間違いなく希望波放送信号の搬送波を再生した信号成分とすることができる。
【0014】
このように、本オフセットビートキャンセラによれば、妨害波放送信号の信号レベルに拘わらず、直交検波部による直交検波を正常に行い、最終的に放送信号から妨害波成分の除去された正常な希望波成分を生成することができる。
なお、上述したリミッタアンプは、混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出して出力するものであって、混合放送信号の信号レベル(振幅)を増幅して揃える(制限する)ことにより振幅変調(AM)成分を除去した信号成分を、混合放送信号の搬送波に相当する信号成分として抽出する。
【0015】
また、位相同期回路は、発振器出力をリミッタアンプにより出力される信号成分の位相に同期させて出力する周知のPLL(Phase Locked Loop )回路であって、これにより、リミッタアンプに入力された信号成分の搬送波を再生することができる。
【0016】
また、選択通過フィルタは、妨害波放送信号に相当する周波数成分の通過を阻止し、希望波放送信号に相当する周波数成分については通過させることのできる程度の選択性を有するフィルタである。この選択通過フィルタとしては、例えば、クリスタルフィルタなどのように単体で高い選択性を有するフィルタを採用すればよいが、複数の素子を組み合わせることにより同様の選択性を実現したフィルタを採用してもよい。
【0017】
ところで、上述の混合放送信号には、希望波放送信号と妨害波放送信号とが所定の周波数だけオフセットされた搬送波にそれぞれ重畳されているが、この混合放送信号に含まれる妨害波放送信号は、ある特定の地域Aの場合にのみ妨害波放送信号とみなされる信号成分であり、他の地域Bでは希望波放送信号とみなされる信号成分、または、放送信号とは無関係な信号成分である。
【0018】
そのため、本オフセットビートキャンセラを地域Aで使用すれば、選択通過フィルタを通過する信号成分が希望波放送信号となるため、間違いなく希望波放送信号の搬送波を直交検波に使用する搬送波として再生できる。ところが、このオフセットビートキャンセラを地域Bで使用した場合には、選択通過フィルタを通過する信号成分が希望波放送信号とは異なる周波数成分となるため、希望波放送信号とは異なる信号成分が、直交検波に使用する搬送波として再生されてしまう。
【0019】
このようなことは、選択通過フィルタの特性が一定であることに起因して起こるため、この特性を何らかの方法により変更できるように構成すれば、オフセットビートキャンセラを使用する地域(混合放送信号を受信する地域)に応じて選択通過フィルタの特性を変更することで地域に拘わらず希望波放送信号の搬送波を再生できるようになるため好適である。
【0020】
このように、選択通過フィルタの特性を変更するためには、例えば、選択通過フィルタそのものを異なる特性のものに交換できるように構成すればよい。具体的には、請求項2に記載のように、直交検波部において、選択通過フィルタを、オフセットビートキャンセラ本体に対して着脱可能に構成すればよい。
【0021】
このように構成されたオフセットビートキャンセラによれば、オフセットビートキャンセラを使用する地域に応じて、その地域の希望波放送信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波放送信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有するものに選択通過フィルタを交換することによって、地域に拘わらず希望波放送信号の搬送波を間違いなく再生できるようになる。
【0022】
また、選択通過フィルタの特性を変更するための構成としては、それぞれ通過を阻止する周波数成分および選択的に通過させる周波数成分が異なる複数の選択通過フィルタを備えておき、これら選択通過フィルタを選択的に使用できるように構成してもよい。具体的には、請求項3に記載のように、直交検波部において、複数の選択通過フィルタと、外部からの指令を受けて、リミッタアンプまで伝送される混合放送信号を通過させるべき選択通過フィルタを複数の選択通過フィルタのうちいずれかに切り替え可能な切替手段と、を備えればよい。
【0023】
このように構成されたオフセットビートキャンセラによれば、オフセットビートキャンセラを使用する可能性のある複数の地域に合わせて、それぞれ地域において希望波放送信号とされている信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波放送信号となる信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有する選択通過フィルタを複数備えておき、オフセットビートキャンセラを使用する地域に対応するものに選択通過フィルタを切替手段により切り替えることによって、地域に拘わらず希望波放送信号の搬送波を間違いなく再生できるようになる。
【0024】
なお、この構成における切替手段は、混合放送信号を通過させるべき選択通過フィルタを複数の選択通過フィルタのうちいずれかに切り替える手段であって、例えば、混合放送信号を通過させるべき選択通過フィルタを切り替えるためのスイッチなどが考えられる。この構成において、スイッチが利用者の操作により作動するものであれば、利用者のスイッチ操作を外部からの指令とみなして選択通過フィルタを切り替えることができる。また、スイッチが外部からの指令信号によって作動するものであれば、この指令信号を外部からの指令とみなして選択通過フィルタを切り替えることができる。
【0025】
また、請求項4に記載の直交検波回路は、請求項1から3のいずれかに記載の直交検波部として機能するために必要な回路が形成されてなるものである。
このように構成された直交検波回路によれば、請求項1から3のいずれかに記載のオフセットビートキャンセラの一部を構成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について例を挙げて説明する。
オフセットビートキャンセラ1は、図1に示すように、チューナ部10、直交検波部20、アナログ−デジタル(以降、A/Dとする)変換部32,34、デジタル−アナログ(以降、D/Aとする)変換部36、信号処理部40、RF変調部50および音声復調部60などを備えている。
【0027】
チューナ部10は、RF(Radio Frequency )帯域のテレビ放送信号を選局・受信してIF(Intermediate Frequency)帯域に変換する。ここで、チューナ部10がIF帯域に変換したテレビ放送信号には、映像信号(以降、「映像IF信号」とする)と音声信号(以降、「音声IF信号」とする)とが含まれており、映像IF信号は直交検波部20へ出力される一方、音声IF信号は音声復調部60で複合音声信号(音声多重信号を含む信号)に復調されてからRF変調部50へ出力される。また、映像IF信号は、希望波映像信号および妨害波映像信号それぞれが所定の周波数(10.01kHz;以降、オフセット周波数とする)だけオフセットされた搬送波にそれぞれ重畳された信号成分である。
【0028】
直交検波部20は、チューナ部10から入力された映像IF信号を直交検波することにより映像IF信号の同相成分であるI(In phase)信号、および、映像IF信号の直交成分であるQ(Quadrature phase)信号を生成するものであって詳細な説明は後述する。
【0029】
信号処理部40は、直交検波部20からA/D変換部34を介して入力されるQ信号に基づき映像IF信号に含まれる妨害波映像信号に相当する信号成分を生成する妨害波生成部42、直交検波部20からA/D変換部32を介して入力したI信号の遅延調整を行うI信号遅延線44、I信号遅延線44で遅延調整されたI信号から妨害波生成部42にて生成された信号成分を減算して除去する妨害波除去部46などからなる集積回路である。こうして、信号処理部40は、妨害波除去部46による出力信号を、映像IF信号から妨害波映像信号の除去された希望波映像信号とし、D/A変換部36を介してRF変調部50へ出力する。
【0030】
RF変調部50は、D/A変換部36を介して信号処理部40から入力した信号成分(希望波映像信号)、および、チューナ部10から音声復調部60を介して入力した複合音声信号を、RF帯域に変調して端末装置(例えば、テレビなど)へ出力する。
【0031】
以下に、上述した直交検波部20の具体的な構成を説明する。
直交検波部20は、図2に示すように、チューナ部10から出力された映像IF信号を2分配する分配回路102、この分配回路102にて分配された一方の映像IF信号を増幅する増幅回路104、増幅回路104により増幅された映像IF信号を更に2分配する分配回路106、この分配回路106にて分配された一方の映像IF信号の位相を移相させる移相器108、分配回路106にて分配された他方の映像IF信号を遅延させる遅延線110、移相器108を通過した映像IF信号と後述の搬送波再生部130にて再生された映像信号の搬送波(以降、「映像搬送波」とする)とを混合してQ信号を生成するミキサ112、遅延線110を通過した映像IF信号と映像搬送波とを混合してI信号を生成するミキサ114、ミキサ112,114にて生成されるQ信号,I信号の信号成分を選択的に通過させるLPF116,118、LPF116,118をそれぞれ通過した信号成分を所定レベルまで増幅して直交検波部20外部(A/D変換部32,34)へ出力する増幅回路120,122などの回路が形成されてなる回路基板である。
【0032】
ここで、移相器108,遅延線110は、ミキサ112,114へ入力される信号成分がそれぞれ90度(π/2)の位相差を持つように特性(移相器108:周波数特性,遅延線110:遅延量)が調整されている。
また、ミキサ112、114は、移相器108,遅延線110をそれぞれ通過した映像IF信号と、搬送波再生部130側から入力される映像搬送波とをそれぞれ混合することにより、映像IF信号を直交検波するためのものである。つまり、ミキサ112は、映像搬送波および移相器108により90度移相した映像IF信号を混合することによりQ信号を生成し、ミキサ114は、映像搬送波および遅延線110を通過した同相の映像IF信号を混合することによりI信号を生成する。
【0033】
また、この直交検波部20は、初段の分配回路102にて分配された他方の映像IF信号から映像搬送波を再生する搬送波再生部130、この搬送波再生部130にて再生された映像搬送波を移相させる可変移相器124、可変移相器124を通過した映像搬送波の位相を増幅回路120により出力されるQ信号に基づいて調整する位相調整部126、この位相調整部126を通過した映像搬送波を2分配して各ミキサ112、114へ出力する分配回路128も備えている。
【0034】
これらのうち、搬送波再生部130は、分配回路102にて分配された他方の映像IF信号を3つの伝送経路のうちいずれを通過させるかを切替可能なジャンパスイッチ132、ジャンパスイッチ132により切替可能な伝送経路それぞれに挿入されたクリスタルフィルタ134、各クリスタルフィルタ134を通過した映像IF信号の搬送波に相当する信号成分を抽出し出力するリミッタアンプ136、リミッタアンプ136により出力される信号成分に同期した信号成分を出力するPLL(Phase Locked Loop :位相同期ループ)回路138などからなる。
【0035】
この搬送波再生部130の備えるジャンパスイッチ132は、映像IF信号の伝送経路それぞれを開放している3対のジャンパピン132aと、ジャンパピン132aにより開放された区間を接続するジャンパコネクタ132bとで構成されるものである。
【0036】
また、クリスタルフィルタ134は、映像IF信号に含まれる信号成分のうち、希望波映像信号に相当する周波数成分は通過させ、この周波数成分からオフセット周波数以上離れた周波数成分については通過を阻止することができる高い選択性を有するフィルタである。
【0037】
なお、ここでいう「希望波映像信号」は、オフセットビートキャンセラ1を使用する地域によって周波数成分が異なる。つまり、映像IF信号には、希望波映像信号と妨害波映像信号とがオフセットされた搬送波にそれぞれ重畳されているが、この希望波映像信号は、ある特定の地域Aの場合にのみ希望波映像信号とみなされる信号成分であり、他の地域Bでは妨害波映像信号とみなされる信号成分、または、放送信号とは無関係な信号成分である。
【0038】
そのため、本実施形態では、特定の周波数成分と、この周波数成分からオフセット周波数だけ高い周波数成分と、オフセット周波数だけ低い周波数成分と、をそれぞれ希望波映像信号とみなして選択的に通過させることのできる3種類のクリスタルフィルタ134a〜cが配設されており、ジャンパスイッチ132によりいずれのクリスタルフィルタ134を映像IF信号の伝送経路とするかを切り替えられるように構成している。
【0039】
また、リミッタアンプ136は、クリスタルフィルタ134を通過した映像IF信号の信号レベル(振幅)を増幅して揃える(制限する)ことにより振幅変調(AM)成分を除去した信号成分を、映像IF信号の搬送波に相当する信号成分として出力する。
【0040】
そして、PLL回路138は、位相比較器,ループフィルタおよび電圧制御発振器からなる周知の回路であり、リミッタアンプ136からの入力信号に位相同期した信号成分を出力することによって、映像IF信号成分の搬送波を再生することができる。
【0041】
[効果]
このように構成されたオフセットビートキャンセラ1によれば、外部から入力された映像信号(映像IF信号)は、妨害波映像信号に相当する信号成分の通過を阻止するクリスタルフィルタ134を介してリミッタアンプ136へ入力される。そのため、妨害波映像信号の信号レベルが大きくても、映像信号のうち希望波映像信号に対応する信号成分のみをリミッタアンプ136へ入力することができる。そして、リミッタアンプ136からPLL回路138へ入力される信号成分は、希望波映像信号の搬送波に相当する信号成分のみとなり、これにより、PLL回路138からの発振器出力を間違いなく希望波映像信号の搬送波を再生した信号成分とすることができる。
【0042】
このように、本オフセットビートキャンセラ1によれば、妨害波映像信号の信号レベルに拘わらず、直交検波部20による直交検波を正常に行い、最終的に映像信号から妨害波映像信号の除去された正常な希望波映像信号を生成することができる。
【0043】
また、直交検波部20において、チューナ部10から入力した映像信号をリミッタアンプ136へ伝送させるまでの伝送経路としていずれのクリスタルフィルタ134を使用するかを、ジャンパスイッチ132により切り替えることができる。そのため、各クリスタルフィルタ134を、オフセットビートキャンセラ1を使用する可能性のある地域において希望波映像信号とされている信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波映像信号となる信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有するものとしておけば、オフセットビートキャンセラ1を使用する地域に対応するクリスタルフィルタ134に切り替えることによって、地域に拘わらず希望波映像信号の搬送波を間違いなく再生できるようになる。
【0044】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されず、このほかにも様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態においては、外部から入力された映像信号のうち、希望波映像信号に相当する信号成分のみをリミッタアンプ136へ入力させるために、単体の素子からなるクリスタルフィルタ134を使用した構成を例示した。しかし、希望波映像信号に相当する信号成分のみをリミッタアンプ136へ入力させるためには、例えば、複数の素子を組み合わせることによりクリスタルフィルタ134と同様の選択性を実現したフィルタを採用してもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、映像IF信号をリミッタアンプ136へ伝送させるまでの伝送経路としていずれのクリスタルフィルタ134を使用するかをジャンパスイッチ132により切り替えられるように構成されたものを例示した。しかし、いずれのクリスタルフィルタ134を使用するかを切り替える構成としては、ジャンパスイッチ132以外のスイッチ類を使用した構成としてもよい。特に、スイッチとして、外部からの指令信号によって作動するものを採用した場合、指令信号を外部から供給することができれば、物理的に離れた場所からでも、クリスタルフィルタ134を切り替えることができるようになるため好適である。
【0046】
また、上記実施形態においては、映像IF信号の伝送経路中にあらかじめ特性の異なる複数のクリスタルフィルタ134が配設され、いずれかのクリスタルフィルタ134を選択的に使用できるように構成されたものを例示した。しかし、特性の異なる複数のクリスタルフィルタ134を選択的に使用できるようにするは、例えば、図3に示すように、クリスタルフィルタ134を着脱可能に構成してもよい。このように構成すれば、オフセットビートキャンセラ1を使用する地域に応じて、その地域の希望波映像信号に相当する周波数成分を選択的に通過させることができ、かつ、妨害波映像信号に相当する周波数成分の通過を阻止する特性を有するものにクリスタルフィルタ134を交換することによって、地域に拘わらず希望波映像信号の搬送波を再生できるようになる。また、この構成であれば、ジャンパスイッチ132および複数のクリスタルフィルタ134を配設するためのスペースが必要ないため、直交検波部20、ひいてはオフセットビートキャンセラ1全体を小型化することができる。なお、この場合、クリスタルフィルタ134は、分配回路102からリミッタアンプ136へ至る経路中だけでなく、リミッタアンプ136からPLL回路138へ至る経路中へ配設してもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、ジャンパスイッチ132およびクリスタルフィルタ134が、分配回路102からリミッタアンプ136へ至る経路中に配設されたものを例示した。しかし、これらジャンパスイッチ132およびクリスタルフィルタ134は、図4に示すように、リミッタアンプ136からPLL回路138へ至る経路中に配設してもよい。
【0048】
[本発明との対応関係]
以上説明した実施形態において、信号処理部40は本発明における希望波生成部である。
また、直交検波部20は本発明における直交検波回路であって、この直交検波部20のうち、PLL回路138は本発明における位相同期回路であり、移相器108およびミキサ112は本発明における第2検波部であり、ミキサ114は本発明における第1検波部であり、ジャンパスイッチ132は本発明における切替手段であり、クリスタルフィルタ134は本発明における選択通過フィルタである。
【0049】
また、チューナ部10により受信されるテレビ放送信号、および、チューナ部10によりIF帯域に変換された映像IF信号は、本発明における混合放送信号である。
【図面の簡単な説明】
【図1】オフセットビートキャンセラの構成を示すブロック図
【図2】直交検波部の内部構成を示すブロック図
【図3】別の実施形態における直交検波部の内部構成を示すブロック図
【図4】別の実施形態における直交検波部の内部構成を示すブロック図
【符号の説明】
1…オフセットビートキャンセラ、10…チューナ部、20…直交検波部、32…アナログ−デジタル変換部、34…アナログ−デジタル変換部、36…デジタル−アナログ変換部、40…信号処理部、42…妨害波生成部、44…I信号遅延線、46…妨害波除去部、50…RF変調部、60…音声復調部、102…分配回路、104…増幅回路、106…分配回路、108…移相器、110…遅延線、112…ミキサ、114…ミキサ、120…増幅回路、122…増幅回路、124…可変移相器、126…位相調整部、128…分配回路、130…搬送波再生部、132…ジャンパスイッチ、132a…ジャンパピン、132b…ジャンパコネクタ、134…クリスタルフィルタ、138…PLL回路。
Claims (4)
- 希望波放送信号、および、該希望波放送信号の搬送波に対して所定の周波数だけオフセットされた搬送波に重畳された妨害波放送信号が混合されてなる混合放送信号を直交検波することによってI信号およびQ信号を生成する直交検波部と、
該直交検波部により生成されたI信号およびQ信号に基づき、前記希望波放送信号に相当する信号成分を生成する希望波生成部と、からなり、
前記直交検波部が、前記混合放送信号から振幅変調成分を除去することにより該混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出して出力するリミッタアンプと、該リミッタアンプにより出力される信号成分に同期した信号成分を出力する位相同期回路と、前記混合放送信号および前記位相同期回路から出力される信号成分を同相で混合することによりI信号を生成する第1検波部と、前記混合放送信号および前記位相同期回路から出力される信号成分を位相差90度で混合することによりQ信号を生成する第2検波部と、
を備えてなるオフセットビートキャンセラであって、
前記直交検波部においては、前記妨害波放送信号に相当する周波数成分の通過を阻止し、かつ、前記希望波放送信号に相当する周波数成分を選択的に通過させる選択通過フィルタが、外部から入力された前記混合放送信号を前記位相同期回路まで伝送させる伝送経路中に配設されており、前記選択通過フィルタを通過した前記混合放送信号から該混合放送信号の搬送波に相当する信号成分を抽出する、ように構成されている
ことを特徴とするオフセットビートキャンセラ。 - 前記直交検波部において、前記選択通過フィルタは、当該オフセットビートキャンセラに対して着脱可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のオフセットビートキャンセラ。 - 前記直交検波部においては、
それぞれ通過を阻止する周波数成分および選択的に通過させる周波数成分が異なる複数の前記選択通過フィルタと、
外部からの指令を受けて、前記リミッタアンプまで伝送される前記混合放送信号を通過させるべき前記選択通過フィルタを、前記複数の選択通過フィルタのうちいずれかに切り替え可能な切替手段と、を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のオフセットビートキャンセラ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の直交検波部として機能するために必要な回路が形成されてなる直交検波回路。
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