JP2004356463A - 電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)先端表面に半田層又は半田バンプが形成された電気的接続用導体部Iを有する電子部材と、(B)前記電気的接続用導体部Iに対応して配設された電気的接続用導体部IIを有する被接続電子部材とを、接着剤層を介して熱圧着することにより、半田接合する電子部品の製造方法において、前記熱圧着前に、前記接着剤層における分子量200以下の成分の含有量が、3.0wt%以下であることを特徴とする電子部品の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属層と、金属層上の絶縁層に形成された導体ポストと、該導体ポストの先端表面に形成された半田層を有する接続層上の微細な半田層を用いて層間接続を行う場合において、半田接合に必要な表面清浄化機能を有する接着剤層を導体回路間に介在させ、密着させ、半田溶融温度まで加熱した後、加圧する工程を経て半田接合させて層間接続させる方法があり、この方法は、加熱工程において、金属表面清浄化機能を有する該接着剤層中で、半田層が溶融した後、加圧して溶融状態の半田層の頂点部と接続用導体部を点接触させ、その後、半田を、その接点から同心円状に濡れ広がらせて半田接合させ、さらに接着剤層を硬化させるというものであるが、加熱工程において接着剤層に起因する数十μm程度の微小ボイドが発生し、この微小ボイドは凝集して最終的には、大きなボイドとなる問題がある。これに対し、前記製造方法において、層間接続工程を高圧雰囲気下で行うことで、層間接続中に発生するボイドを抑制する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、半導体パッケージを接着するフィルム状有機ダイボンディング材において、ダイボンディング材に起因するリフロークラックを抑制する方法として、200℃2時間の加熱条件での残存揮発分量を一定量以下にする方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特願2002−200530号
【特許文献2】
特開平9−17810号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記層間接続を高圧雰囲気下で行う方法においては、ある程度の大きさのボイドの抑制には有効であるが、微小ボイドに対しては十分な解決法とは言えず、また、高圧雰囲気下で接合を行うため、高圧雰囲気で加熱加圧ができる設備が必要となる。
また、加熱により発生する残存揮発成分には、接着剤層中にある様々な分子量の成分が含まれ、その中でも低分子量成分は揮発した際に生じる気泡を形成するためのエネルギーが比較的小さく、気泡を比較的容易に生じる。また、逆に、高分子量成分は揮発した際に生じる気泡を形成するためのエネルギーが比較的大きく、気泡は生じ難く、これらの成分の含有量は、従来の方法により、残存揮発分量を規定するだけでは、半田を溶融させる温度で層間接続する際に発生する微小ボイドを十分に抑制することはできない。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、層間接合部の接続不良やクラックの原因となる微小ボイドの発生がなく、高い層間接続信頼性が得られる電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) (A)先端表面に半田層又は半田バンプが形成された電気的接続用導体部Iを有する電子部材と、(B)前記電気的接続用導体部Iに対応して配設された電気的接続用導体部IIを有する被接続電子部材とを、接着剤層を介して熱圧着することにより、半田接合する電子部品の製造方法において、前記熱圧着前に、前記接着剤層における分子量200以下の成分の含有量が、3.0wt%以下であることを特徴とする電子部品の製造方法、
(2)半田接合が、少なくとも前記半田層又は半田バンプを、前記接着剤層と接触させ、該半田層又は半田バンプを形成する半田の融点以上の温度に加熱して、粘度の低下した前記接着剤中で前記半田層又は半田バンプを溶融させたのち、圧着して行われ、さらに加熱して前記接着剤層を硬化する第(1)項記載の電子部品の製造方法、
(3)電子部品が多層配線板であって、(A)電子部材が、導体回路と絶縁層を有し、該絶縁層を貫通して該導体回路上に形成された導体ポストからなる電気的接続用導体部Iと、該導体ポストの先端表面に形成された半田層を有する接続層であり、かつ(B)被接続電子部材が、層間接続用ランドからなる電気的接続用導体部IIを有する被接続層である第(1)項または第(2)項に記載の電子部品の製造方法、
(4)接着剤層に用いる接着剤が、表面清浄化機能を有するものである第(1)項ないし第(3)項のいずれかに記載の電子部品の製造方法、
(5)接着剤層に用いる接着剤が、半田接合する際に50Pa・s以下の粘度を有する第(1)項ないし第(4)項のいずれかに記載の電子部品の製造方法、
(6)接着剤層が自立性の接着剤フィルムからなる第(1)項ないし第(5)項のいずれかに記載の電子部品の製造方法、
を提供するものである。
【0006】
【発明の実施形態】
本発明は、先端表面に半田層または半田バンプが形成された電気的接続用導体部Iを有する電子部材(A)と、前記電気的接続用導体部Iに対応して配設された電気的接続用導体部IIを有する被接続電子部材(B)とを、接着剤層を介して熱圧着することにより、半田接合する電子部品の製造方法において、前記熱圧着前に、前記接着剤層に含まれる分子量200以下の成分の量を、3.0wt%以下、好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.0%以下とすることで、熱圧着における加熱工程中に、前記接着剤層から発生する微小ボイドを低減し、微小ボイドに起因する層間接合部の接続不良や、クラックの発生等を抑制し、高い層間接続信頼性を有する電子部品を提供することができる電子部品の製造方法である。前記分子量200以下の成分としては、接着剤のモノマー成分、接着剤に含まれる不純物等の他の成分、溶剤、水分等が挙げられる。
【0007】
本発明において、接着剤層における分子量200以下の成分は、次のようにして測定される。所定の大きさの接着剤層を用意して、加熱する前に秤量(M1)し、次いで、熱風循環恒温槽中で、250℃、3分間加熱後、デシケータ中で室温まで冷却し、秤量(M2)し、次式により揮発分量(wt%)を算出する。前記接着剤層について、電子部品製造工程におけるサンプルを使用できない場合は、予め、前記電子部品製造工程における熱圧着前に行う熱履歴と同様の条件で処理を行った後に、秤量(M1)を行う。
揮発分量(wt%)=[(M1−M2)/M1]×100
さらに、前記揮発分量の測定に用いたのと同様の接着剤層を、前記同様の加熱条件で、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて、揮発分の各分子量における強度を測定し、それぞれの分子量の強度比と、前記揮発分量とから算出して、分子量200以下の成分の含有量(wt%)を得ることができる。
【0008】
本発明における多層配線板の製造方法としては、まず、金属層101と絶縁層102からなる2層構造体を用意し、前記絶縁層102の導体ポスト形成位置に絶縁層を貫通して、ビア103を形成する(第1図(a))。
前記2層構造体は、金属層101上に絶縁樹脂ワニスを、印刷、カーテンコートまたはバーコート等の方法により、直接塗布して、絶縁層を形成することにより得ることができる。さらには、市販の樹脂付銅箔(例えば、ポリイミド付銅箔)のような2層構造体を用意しても良い。また、2層構造体は、ガラスエポキシ両面銅張積層板の一方の銅箔を、全面エッチングして得ることもできる。
【0009】
前記ビア103の形成方法としては、レーザーやプラズマ等によるドライエッチングおよびケミカルエッチング等の方法が挙げられる。前記レーザーとしては、炭酸ガスレーザー、紫外線レーザーおよびエキシマレーザー等を使用することができる。ガラスエポキシ積層板のように、ガラスクロスからなる補強繊維を含む場合には、絶縁層とガラスクロスを貫通してビア103を形成することができる炭酸ガスレーザーを使用することが好ましい。ポリイミド樹脂等の絶縁層のみからなる場合には、より微細なビア103を形成できる紫外線レーザーを使用することが好ましい。また、絶縁層102を感光性樹脂とした場合には、絶縁層102を選択的に感光し、現像することでビア103を形成することもできる。
【0010】
次に、金属層101を電解めっき用リード(給電用電極)として、電解めっきにより、電気的接続用導体部Iとなる導体ポスト104をビア103内に形成し、続いて、導体ポスト104の先端表面に、絶縁層102を突出して半田層105を形成する(第1図(b))。
前記導体ポストの形成方法としては、電解めっきにより導体ポスト104を形成すれば、導体ポスト104の先端の形状を自由に制御することができ、導体ポストの高さは、絶縁層102の表層面と同じか、または、表層面より突出していることが望ましい。表層面より導体ポストを突出させることで、導体ポスト先端に形成された半田が溶融し、補強構造を形成した半田接合が得られる。前記導体ポスト104の材質としては、例えば、銅、ニッケル、金、錫、銀、パラジウム等が挙げられる。これらの内、銅を用いることで、低抵抗で安定した導体ポスト104が得られる。
前記半田層105の形成方法としては、無電解めっきにより形成する方法、金属層101を電解めっき用リード(給電用電極)として電解めっきにより形成する方法、半田を含有するペーストを印刷する方法などの方法が挙げられる。印刷による方法では、印刷用マスクを導体ポスト104に対して精度良く位置合せする必要があるが、無電解めっきや電解めっきによる方法では、導体ポスト104の先端表面以外に半田層105が形成されることがないため、導体ポスト104の微細化・高密度化にも対応しやすい。特に、電解めっきによる方法では、無電解めっきによる方法よりも、めっき可能な金属が多様多種であり、また、薬液の管理も容易であるため、非常に好適である。また、形成される半田層の厚みとしては、加熱して半田を溶融する際に、凸形状、より好ましくはドーム形状、雫状の形状を形成するのに必要な量となる厚みで形成されていれば良い。半田層105の材質としては、SnやIn、もしくはSn、Ag、Cu、Zn、Bi、Pd、Sb、Pb、In、Auの少なくとも二種からなる半田を使用することが好ましい。より好ましくは、環境に優しいPbフリー半田である。
【0011】
次に、金属層101を選択的にエッチングすることにより、導体回路106を形成して、電子部材(A)である接続層110を得る(第1図(c))。
【0012】
次に、絶縁層102の表面に接着剤層108を形成する(第1図(d))。
前記接着剤層108の形成方法としては、接着剤に使用する樹脂に応じて適した方法で良く、樹脂ワニスを印刷、カーテンコートまたはバーコート等の方法で、直接塗布したり、自立性の接着剤フィルムを、予め、作製し、真空ラミネートまたは真空プレス等の方法で積層したりする方法が挙げられる。この時、自立性の接着剤フィルムの形成方法としては、例えば、接着剤樹脂ワニスを、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基材上に塗布し乾燥してフィルムを得る方法が挙げられるが、その方法は何ら制限するところではない。
前記接着剤層108に用いる接着剤としては、電気的接続用導体部を形成する金属、即ち半田の表面清浄化機能と、接続層と被接続層との接着機能の2機能を有することが、より好ましい。前者は半田接合を実現するために重要な機能であり、後者は接続層110と被接続層120とを接着するために重要な機能である。なお、第1図に示す例では、絶縁層102の表面に、接着剤層108を形成する例を示したが、少なくとも半田層が、接着剤層と接触していれば良い。半田が接着剤層と接触していることで、半田溶融時に、同様にして溶融状態の接着剤層中で、前記半田が溶融して、凸形状を形成することができる。また、接着剤層108形成時における接着剤層の厚みは、少なくとも半田溶融時の凸形状頂点部と、相対する層間接続用ランドとが、非接触を保てる厚みより厚く形成すると良い。
本発明において、前記接着剤層108は、熱圧着前に、熱圧着時の加熱温度により前記接着剤層より発生する、分子量200以下の成分を、3.0wt%以下とする必要がある。接着剤層108中の分子量200以下の成分を3.0wt%以下にする方法としては、例えば、自立性のあるフィルム状接着剤を、熱圧着する前に、熱風循環式乾燥機により、150℃で10分間の加熱を行うことによって達成することができるが、3.0wt%以下を達成できる方法であれば、その方法は何ら制限するところではない。また、3.0wt%以下は加熱工程前に達成すればよいので、加熱工程前であれば、どの段階で達成されていてもよく、その段階は何ら制限するところではない。自立性の接着フィルムによれば、絶縁層102の上に積層する前に、乾燥機などで調整できるので、より好ましい。
【0013】
ここで、被接続電子部材(B)となる被接続層120は、電気的接続用導体部IIである層間接続用ランドを有するものであれば、どのような構造でも構わないが、図1では、接続される接続層110の導体ポスト104と接続するための層間接続用ランド107と、層間接続用ランド107を支える基材109から構成された例を示している。層間接続用ランド107は、図1に示すように、基材109と一方の面を接して基材123表面から突出していても良いし、一方の面を露出するように基材109に埋め込まれていても良い(図示無し)。前記層間接続用ランド107の材質としては、半田層105と金属接合可能な金属であればどのようなものでもよいが、例えば、Cu、Ni、Au、Sn、Ag、Pd等が挙げられ、特に銅を用いることで、低抵抗で安定した層間接続用ランド107が得られる。
【0014】
次に、接続層110の半田層105と被接続層120の層間接続用ランド107が相対するように位置合わせする(第1図(e))。
接続層と被接続層との位置合わせ方法としては、接続層110および被接続層120に、予め形成されている位置決めマークを、画像認識装置により読み取り、位置合わせする方法、位置合わせ用のピン等で位置合わせする方法等を用いることができる。
【0015】
次に、接着剤層108を介して、接続層110と被接続層120とを、少なくとも半田層105が、好ましくはそれぞれが有する半田層105および層間接続用ランド107が、接着剤層108と接触するように貼り合わせる(第1図(f))。
接続層の半田層および被接続層の層間接続用ランドと接着剤層とを接触させる方法としては、例えば、真空プレスまたは加圧式真空ラミネーターを用いて、加熱・加圧することにより、接着剤層108を軟化させる方法が挙げられる。上記工程においては、少なくとも半田層と層間接続用ランドが空気に接触せず又は接着剤層と接触していると良く、また、半田層105と層間接続用ランド107とは非接触を保たれていると良い。
【0016】
次いで、接続層110と被接続層120とを、半田層105を形成する半田の融点以上の温度に加熱し、半田を溶融させた後、加圧して圧着する(第1図(g)、(h))。
接続層と被接続との加熱、加圧工程においては、例えば、真空プレスを用いて、半田層105が、その半田の融点温度以上にまで加熱されたとき、接着剤層108に、好ましくは表面清浄化機能を有する接着剤を用いることにより、半田層105の表面の酸化膜が還元されて溶融し、接着剤層108内で、溶融した半田の表面張力により、半田層105が凸形状を形成して、加圧により半田接合ができる。接着剤層108は、半田の融点以上の温度での加熱に伴って粘度が低下していくが、軟化した接着剤層中で半田層を溶融することで、より凸形状を形成させると共に半田接合を容易にする。この時の粘度は、50Pa・s以下であることが好ましい。50Pa・sより高いと、半田接合における接着剤層中での半田層105の凸形状の形成、接着剤層と層間接続用ランド107との接触、および、溶融した半田の層間接続用ランドへの濡れ拡がりを阻害して、十分な半田接合が行われない恐れがある。
【0017】
次いで、更に加熱して接着剤層108を硬化させて、接続層110と被接続層120とを接着することができる。
【0018】
以上の工程により、電気的接続用導体部Iである層間接続用ランド107と電気的接続用導体部IIである導体ポスト104とを、半田層105にて半田接合し、電子部材(A)と被接続電子部材(B)との各層間を、微小ボイドを発生することなく接合した電子部品である多層配線板130を得ることができる。なお、第1図では、被接続層120に対して接続層110を1層のみ積層した例を示したが、第1図で得られた多層配線板130の上に、さらにもう1層または2層以上積層して、より層数の多い多層配線板を得ることもできる。
【0019】
本発明に用いる金属表面清浄化機能を有する好ましい接着剤としては、例えば、少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有する樹脂と、その硬化剤からなる樹脂組成物が挙げられる。
【0020】
本発明において好ましい接着剤に用いる少なくとも1つ以上のフェノール性水酸基を有する樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、および、ポリビニルフェノール樹脂から選ばれるのが好ましく、これらの1種以上を用いることができる。また、フェノールフタリン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸なども好ましい。
【0021】
本発明において好ましい接着剤に用いるフェノール性水酸基を有する樹脂の、硬化剤としては、エポキシ樹脂やイソシアネート樹脂等が用いられる。具体的にはいずれも、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系やレソルシノール系等のフェノールベースのものや、脂肪族、環状脂肪族や不飽和脂肪族等の骨格をベースとして変性されたエポキシ化合物やイソシアネート化合物が挙げられる。
【0022】
前記フェノール性水酸基を有する樹脂は、接着剤中に、5重量%以上80重量%以下で含まれることが好ましい。5重量%未満であると、金属表面を清浄化する作用が低下し、半田接合できなくなる恐れがある。また、80重量%より多いと、十分な硬化物が得られず、接合強度と信頼性が低下する恐れがある。前記フェノール性水酸基を有する樹脂の硬化剤の配合量は、例えば、エポキシ基当量またはイソシアネート基当量が、少なくともフェノール性水酸基を有する樹脂のヒドロキシル基当量に対し0.5倍以上、1.5倍以下が好ましいが、良好な金属接合性と硬化物物性が得られる場合は、この限りではない。また、接着剤には、上記成分の他に、無機充填材、硬化触媒、着色料、消泡剤、難燃剤、カップリング剤等の各種添加剤や、溶剤を添加しても良い。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら制限されるものではない。
(1)接着剤ワニスの調合
クレゾールノボラック樹脂[住友ベークライト(株)製、PR−HF−3、OH基当量106]106gと、フェノールフタリン[東京化成製]105gと、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂[日本化薬(株)製、RE−810NM、エポキシ当量225]450gとをメチルエチルケトン165gに溶解し、接着剤ワニスを作製した。
(2)ボイド観察用構造体の作製
銅箔(厚み25μm)に、バーコートにより、上記で得られた接着剤ワニスを塗布後、80℃で20分間乾燥し、25μ厚の接着剤層を形成し、ボイド観察用構造体を作製した。
(3)揮発成分の測定とボイド観察
上記で得られた接着剤層を、30mm×30mmの大きさに切り出し、熱風循環恒温槽中で、乾燥温度100℃、120℃および150℃で10分間加熱したサンプルを、それぞれ用意した。加熱後のサンプルの重量を測定し、これをM1とし、さらに熱風循環恒温槽中で250℃で3分間加熱し、これをM2とし、式[(M1−M2)/M1]×100=揮発分量(wt%)により、それぞれの熱処理後の揮発分量を算出した。また、同様にして得た30mm×30mmのサンプルを、100℃、120℃および150℃で10分間加熱し、これらをガスクロマトグラフ質量分析装置(GCMS(熱分解装置;フロンティア・ラボ PY−2020D型 縦型加熱炉型熱分解装置、GC;ヒューレットパッカード HP−6890型ガスクロマトグラフ、MS;ヒューレットパッカード HP−5973型質量検出器))を用いて、250℃で3分間加熱した際に発生した揮発成分の分子量およびイオン強度を測定し、各分子量におけるイオン強度比により、分子量200以下の成分の揮発分量を算出した。
ボイド観察は、上記で得たボイド観察用構造体を、熱風循環恒温槽により、100℃、120℃および150℃の、それぞれの条件で乾燥し、接着剤層上に、ガラスプレートを貼り合わせた後、250℃の熱盤上に載せ、3分間ガラスプレートの上から観察して、ボイド発生の有無を確認した(図2)。結果を下記の表に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
(4)多層配線板の製造
銅箔(金属箔101、厚み18μm)と、ポリイミド樹脂絶縁膜(絶縁膜102、厚み25μm)とからなるフレキシブルプリント配線用基板(住友ベークライト(株)製、A1フレキ)のポリイミド樹脂絶縁膜に、UV−YAGレーザーを用いて、トップ径が45μm、ボトム径が25μmのビア(ビア103)を300個形成した。ビア内部およびビア周辺部を過マンガン酸樹脂エッチング液にて清浄化した後、裏面の銅箔を電解めっき用リード(給電用電極)として、電解銅めっきを行って、ビアを銅で充填し、銅ポスト(導体ポスト104)を形成した。ここで、銅ポストの直径が45μmとなるよう、電解銅めっきの時間を調整した。次に、銅ポストの表面に、Sn−Pb共晶半田層(半田層105)を電解めっきにより、4μmの厚みで形成した。なお、半田層の先端表面の絶縁膜表面から突出している高さは、10μmであった。次に、銅箔を選択的にエッチングして、配線パターン(配線パターン106)を形成した。以上の工程により、接続層(接続層110)を得ることができた。
次に、上記で得られた接続層に対して、バーコートにより、上記で得た接着剤ワニスを、絶縁膜の表面、すなわちSn−Pb共晶半田層が形成された面に塗布後、80℃で20分間乾燥し、30μm厚の接着剤層(接着剤層108)を形成した。続いて、得られた接続層を、熱風循環乾燥機中で、100℃、120℃、および150℃で10分間乾燥した接続層を、それぞれ準備した。
一方、厚み12μm銅箔が両面に形成されたFR−5相当のガラスエポキシ両面銅張積層板(住友ベークライト製、ELC)を用い、銅箔表面に配線パターン(図示せず)および層間接続用ランドを、選択的に金メッキし、さらに金メッキをエッチングレジストとして、銅箔をエッチングして、配線パターンと層間接続用ランドを形成し、被接続層を得た。層間接続用ランドは、位置合わせ許容誤差を考慮して、300μm径とした。
次に、上記で得られたそれぞれの接続層と被接続層に、予め形成されている位置決めマークを、画像認識装置により読み取り、両者を位置合わせし、100℃の温度で仮圧着して、接続層表面と、相対する被接続層の表面とを接触させた。
仮圧着したサンプルを、本圧着する際に、半田の融点(183℃)以上に加熱、加圧工程を経て電子部品を得た。
(5)多層配線板のボイド観察
得られた多層配線板の層間接続部で引き剥がし、ボイド発生の有無を観察したところ、ボイド観察観察用構造体で得られた結果と同様の結果となった。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、接着剤層から発生するボイドを抑えることができ、確実に層間接続された多層配線板を提供できるため、電子部品の高密度集積化や、高密度実装化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層配線板の例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例におけるボイドの観察方法を示す断面図である。
【符号の説明】
101 金属層
102 絶縁層
103 ビア
104 導体ポスト
105 半田層又は半田バンプ
106 導体回路
107 層間接続用ランド
108 接着剤層
110 接続層
120 被接続層
130 多層配線板
Claims (6)
- (A)先端表面に半田層又は半田バンプが形成された電気的接続用導体部Iを有する電子部材と、(B)前記電気的接続用導体部Iに対応して配設された電気的接続用導体部IIを有する被接続電子部材とを、接着剤層を介して熱圧着することにより、半田接合する電子部品の製造方法において、前記熱圧着前に、前記接着剤層における分子量200以下の成分の含有量が、3.0wt%以下であることを特徴とする電子部品の製造方法。
- 半田接合が、少なくとも前記半田層又は半田バンプを、前記接着剤層と接触させ、該半田層又は半田バンプを形成する半田の融点以上の温度に加熱して、粘度の低下した前記接着剤中で前記半田層又は半田バンプを溶融させたのち、圧着して行われ、さらに加熱して前記接着剤層を硬化する請求項1記載の電子部品の製造方法。
- 電子部品が多層配線板であって、(A)電子部材が、導体回路と絶縁層を有し、該絶縁層を貫通して該導体回路上に形成された導体ポストからなる電気的接続用導体部Iと、該導体ポストの先端表面に形成された半田層を有する接続層であり、かつ(B)被接続電子部材が、層間接続用ランドからなる電気的接続用導体部IIを有する被接続層である請求項1または2記載の電子部品の製造方法。
- 接着剤層に用いる接着剤が、金属の表面清浄化機能を有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
- 接着剤層に用いる接着剤が、半田接合する際に50Pa・s以下の粘度を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
- 接着剤層が自立性の接着剤フィルムからなる請求項1ないし5のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
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