JP2004353588A - 内燃機関のロッカーカバーガスケットの構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガスケット(3)をシリンダヘッド(8)とロッカーカバー(1)とに挟まれる水平部分(3a)とシリンダヘッド内壁面(S)に沿って当接する垂直部分(3b)とよりなる逆L字形状の断面形状とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッドとロッカーカバーとの当接面間に挟着されるロッカーカバーガスケットの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関のシリンダヘッド上部には、通常、ロッカーアームなどの弁駆動装置が設けられており、これらを箱形状で下方が開口部となっているロッカーカバーで覆っている。そして、そのロッカーカバー内部の潤滑油、あるいはブローバイガスの外部への漏出を防止する密閉手段として、シリンダヘッドとロッカーカバーとが互いに当接する面に弾性体などのガスケットが挟着されている。
【0003】
従来のシリンダヘッドとロッカーカバーとの当接部に挟着されたガスケットの構造例として図12および図13に当該部位の断面図を示す。
図12に示す例では、ロッカーカバー1Aは板金製であり、シリンダヘッド8との当接面にはフランジ1aが形成されてその外縁部は下方に折り曲げられ、また、開口部には内面に沿って下方に延びるサポート部2Aが固着されてガスケット4の挿入部Mが全周を巡って溝状に形成されている。
また、図13に示す例では、ロッカーカバー1Bは軽合金製の鋳造品であり、シリンダヘッド8との当接面に沿って溝Mが形成され、ガスケット5はその溝Mに嵌め込まれている。
【0004】
一方、シリンダヘッド8側の当接面Hは、シリンダヘッド8の周囲4辺を形成する壁8aの上面を切削して形成されており、そして、上記例示のロッカーカバー1A、1Bは、通常複数のボルト(図示なし)などによる締結手段でシリンダヘッド8へ取り付けられている。
【0005】
したがって、この密閉面(シール面)は、互いに平面同士が当接するものであって比較的幅が狭く、かつ長手方向には取付けボルトから離れた位置では押圧力が低くなるなど不均等な面圧となり易い。なお、図示のように、ロッカーカバー1A(1B)とシリンダヘッド8とはヘッド側から振動がカバー側に伝達されて騒音が放射されるのを防ぐため隙間が設けられて、ガスケット4(5)の弾性力によって面圧が保持されており、しかもガス、熱に曝されてガスケット4(5)は劣化し易い。さらに、脱着の機会が多い部位であって当初の組み付け品質の保持が難しいなどの条件が重なり、特に当該部位の内部が油面下となるような場合(例えば、オイルパン側への戻し通路の抵抗が増大した場合、また、横型やV型機関などシリンダヘッド上面が傾斜して使用される場合もあり得る)には、さらに厳しい環境条件となる。
【0006】
なお、ロッカーカバーガスケットに関する従来技術として、取付けボルトの締め付けによるガスケットの変形を防止しシール性能を向上する技術が存在する(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−61539号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記不具合に対処するために提案するものであり、ガスケットの当接面が一平面だけでなく、かつ当接面に沿ってその幅方向にずれが生じない構造としてシール性能の向上を図ったロッカーカバーガスケットの構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関のシリンダヘッド(8)とロッカーカバー(1)との当接面間に挟着されるロッカーカバーガスケット(3)において、そのガスケット(3)をシリンダヘッド(8)とロッカーカバー(1)とに挟まれる水平部分(3a)とシリンダヘッド内壁面(S)に沿って当接する垂直部分(3b)とよりなる逆L字形状の断面形状としたことを特徴とする(請求項1)。
このような構成により、シリンダヘッド(8)とロッカーカバー(1)との間の密閉は、両者が互いに当接する面(H)に加え、シリンダヘッド内壁面(S)との2面になり、また、ガスケット(3)が当接面(H)に沿って外方に向け移動するのが防止され、組み付け品質の維持が図れてよりシール性能が向上する。
【0010】
そして、本発明は、ロッカーカバー(1)の開口部に垂直方向下方に延びるガスケットサポート部(2)を設け、前記ガスケットの垂直部分(3b)の内側にそのサポート部(2)を当接させている(請求項2)。
【0011】
また、前記ロッカーカバー(1)のガスケットサポート部(2)を下方に行くにしたがってやや外方に開く傾斜を付けて前記ガスケットの垂直部分(3b)に押圧力を与えるようにしている(請求項3)。
本発明は、以上のような構成により、ガスケット垂直部(3b)がガスケットサポート部(2)の弾性によってシリンダヘッド内壁面(S)に押圧され、当接面の面圧が高まると共に、壁面形状等の公差をも吸収し、より密閉度が高まって油漏れが防止される。また、ロッカーカバー(1)からガスケット(3)が脱落するのが防止され、ロッカーカバーのハンドリングが改善される。
【0012】
さらに、前記ガスケットの垂直部分(3b)のシリンダヘッド内壁(S)への当接面に長手方向に延伸する突起(6)を設けるのが好ましい(請求項4)。
なお、この突起(6)は、複数本設けるのが好ましく、また、ガスケット垂直部分(3b)のヘッド(S)側とサポート部(2)側との両面にそれぞれ設けても良い(請求項5)。
このような突起を設けることで、その突出部が局部的に高面圧となると共に、凹部への変形が容易となって弾性が増すことになり、公差が吸収されてよりシール性能が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、前記図12および図13で説明した従来技術と同様の構成部品には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、ロッカーカバー1とシリンダヘッド8とが互いに当接するシール面に本発明のガスケット3を挟着した状態を示している。ガスケット3は、シリンダヘッド壁部8aの上面Hに当接する水平部3aとシリンダヘッド壁部8aの内面Sに当接する垂直部3bとで逆L字状の断面形状に形成された弾性体よりなる。
【0014】
また、シリンダヘッド8の上部を覆うロッカーカバー1は板金製で、シリンダヘッドとの当接部にはフランジ部1aが形成され、その外縁部はガスケット3の外周に沿って下方に折り曲げられており、また、開口部内周に沿ってガスケットサポート部2が点溶接で固着されている。そのサポート部2は、ガスケット垂直部3bの内面に沿って下方に延伸されて、前記ロッカーカバーフランジ部3aとで全周を巡るガスケット挿入部Mが形成されている。
【0015】
そして、図2に示すようにそのサポート部2は、フリーの状態では下方に延伸された部分2aが、下方に行くにしたがってやや外方(図示左方)に開く方向に傾斜が付けられており、その弾性によってガスケット3を装着した際に、ガスケット垂直部分3bを押圧してシリンダヘッド壁の内面Sへ密着させ、シール性能が向上するように構成されている。
【0016】
また、図3に示すガスケット3Aでは、その垂直部分3bが下方に行くにしたがって壁部内面Sとの当接方向(図示左方)へ傾斜が付されたもので、前記図2のサポート部垂直部分2aの傾斜と組み合わせ、装着時には両者の弾性力で壁面Sに押圧され、シール性能がより向上する。
【0017】
さらに、図4〜図7に示す実施形態では、ガスケット垂直部分3bに、長手方向(紙面直角方向)に延伸する複数の突起6(符号6で下記6a〜6dを総称する)を設けている。
これらの実施形態のように構成すれば、突起6によって面圧が局部的に高くなり、またその間の凹部へ変形することで壁面Sまたはサポート部2への追従性が増してよりシール性能を向上させることができる。
【0018】
まず、図4に示すガスケット3Bは、(この例では内外面にそれぞれ3本の)断面形状が半円形状の突起6aが設けられている。また、図5に示すガスケット3Cでは、断面形状が三角形状の突起6bが設けられており、この例では挿入の容易さから鋸歯状に形成されている。次の図6に示すガスケット3Dは、四角形(台形)状の突起6cが、図7のガスケット3Eは、半楕円形状の突起6dがそれぞれ(内外面に各2本)設けられている。
これらの突起6の形状は、シール性能、追従性、あるいは製作の容易さや操作性などの目的によって適宜最適形状を選択することができる。
また、図8に示す実施形態は、シリンダヘッド8側にも、その壁部8aの内面Sに沿ってガスケット3Fの垂直部3bの突起6に対応した溝8mが設けられた例である。
【0019】
さらに、図9に示す実施形態では、ガスケット3Gの垂直部3bが、ロッカーカバー1のサポート部2aを挟み込んで構成されており、ガスケット3Gのロッカーカバー1への密着性を向上させている。
【0020】
上記に示した本発明の各実施形態においては、シリンダヘッド壁部8aの上面Hに加え、内面Sとの2面にガスケットの水平部3aおよび垂直部3bがそれぞれ当接し、水平部3aはボルトなどの締結手段による垂直力が、垂直部3bにはサポート部2の弾性による水平力が作用し、より高いシール性能が得られる。
これに加え、ロッカーカバー1内のガス圧によるガスケット3のはみ出し、あるいは、図10および図11に示すように取付けボルト9の締め付けの際の反力によるガスケット3にかかる回転力Tで生ずるガスケットの変形が、サポート部2および垂直部3bによって阻止される。
また、ロッカーカバー着脱の際の溝M内のガスケット3の収まりがサポート部2aの傾斜による保持で改善され、ロッカーカバー脱着時のハンドリング性が向上する。
【0021】
【発明の効果】
以下に、上記構成による本発明の効果を記す。
(1) ロッカーカバーとシリンダヘッドとが互いに平面同士が当接するシール面の1面だけではなく、水平・垂直の2面でシールするのでより確実にシールされる。
(2) ガスケット垂直部がヘッドの壁面に当接しており、内圧、あるいはハンドリングによるガスケットのずれが防止される。
(3) ロッカーカバーのサポート部の傾斜によってガスケットの脱落防止および公差の吸収が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシリンダヘッド・ロッカーカバー間ガスケットの一実施形態の挟着状態を示す断面図。
【図2】ロッカーカバーのガスケットサポート部を示す断面図。
【図3】ガスケットの実施形態を示す断面図。
【図4】ガスケット垂直部分に突起を設けたガスケットの一実施形態を示す断面図。
【図5】図4と突起形状の異なる実施形態を示す断面図。
【図6】図4と突起形状がさらに異なる実施形態を示す断面図。
【図7】図4と突起形状のさらに異なる実施形態を示す断面図。
【図8】突起に対応して壁面に溝を設けた実施形態を示す断面図。
【図9】別の実施形態のガスケットの断面図。
【図10】ボルトによる取付け部を示す断面図。
【図11】図10の平面図。
【図12】従来のロッカーカバーの一例のシール部を示す断面図。
【図13】従来のロッカーカバーの他の例のシール部を示す断面図。
【符号の説明】
1・・・ロッカーカバー
2・・・ガスケットサポート部
3・・・ガスケット
3a・・・ガスケット水平部
3b・・・ガスケット垂直部
6・・・突起
8・・・シリンダヘッド
Claims (5)
- 内燃機関のシリンダヘッドとロッカーカバーとの当接面間に挟着されるロッカーカバーガスケットにおいて、そのガスケットをシリンダヘッドとロッカーカバーとに挟まれる水平部分とシリンダヘッド内壁面に沿って当接する垂直部分とよりなる逆L字形状の断面形状としたことを特徴とするロッカーカバーガスケットの構造。
- ロッカーカバーの開口部に垂直方向下方に延びるガスケットサポート部を設け、前記ガスケットの垂直部分の内側にそのサポート部を当接させている請求項1のロッカーカバーガスケットの構造。
- 前記ロッカーカバーのガスケットサポート部を下方に行くにしたがってやや外方に開く傾斜を付けて前記ガスケットの垂直部分に押圧力を与えるようにした請求項2のロッカーカバーガスケットの構造。
- 前記ガスケットの垂直部分のシリンダヘッド内壁への当接面に長手方向に延伸する突起を設けた請求項1〜3いずれかのロッカーカバーガスケットの構造。
- 前記ガスケットの垂直部分のシリンダヘッド内壁およびガスケットサポート部への当接面にそれぞれ長手方向に延伸する突起を設けた請求項1〜3いずれかのロッカーカバーガスケットの構造。
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