JP5382927B2 - ガスケット - Google Patents
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近年は上述のような2部材間をシールするガスケットの使用環境における温度が高くなっており、ガスケットの使用環境は従来よりもより一層過酷な環境になっている。また、自動車の部品については、軽量化をして低燃費化を図るため、ガスケットが取り付けられる部品の樹脂化が進められている。このような場合にガスケットの反力が大きいと、樹脂化された部品がその反力を受けて変形し、ガスケットのシール性が低下するおそれがある。
そこで、ガスケットには、過酷な使用環境でも高いシール性が維持できる耐久性の向上が求められる。
上記特許文献2及び上記特許文献3については、補助シール部にシール機能がなく、もっぱら補助シール部は表裏を容易に認識するためのものとして記載されており、この例も主シール部のみがシール機能を発揮するものと考えられる。
そこで補助シール部にもシール機能を持たせ、低圧縮力で弾性変形し、主シール部へのオイル等の侵入を防止できる構造としたガスケットが求められる。
これによれば、2部材を締結した際に、被シール面に弾接するシールポイントが径方向にずれるので、補助シール部にかかる2部材による締結力及びこれに対する補助シール部の反力の逃げ場ができることとなる。よって、小さな力でガスケットの補助シール部を圧縮し弾性変形させることができる。このように小さな力で補助シール部を圧縮させることができるので、主に反力が生じるのは主シール部となり、補助シール部を備えていても、ガスケット全体として低反力のものを構成することができる。
例えば、シール対象となる部材が樹脂材からなるものであっても、その部材がガスケットの反力によって変形してしまうことを防ぐことができ、シール性を損なうことがない。
また圧縮された補助シール部により、被シール面間に侵入しようとするオイルや空気などを遮断することができ、主シール部の劣化を防ぐことで耐熱性を向上させることができる。よって過酷な使用環境に耐えられる耐久性と高いシール性を備えたものとすることができる。
まずは本発明の第1の実施形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。
ここでは、本発明に係るガスケットを自動車に搭載されるエンジンのシリンダヘッド2とヘッドカバー4との間に介装したヘッドカバーガスケットに適用した例を説明する。
図1において、1はエンジンのシリンダブロックであり、このシリンダブロック1の上面にはシリンダヘッドガスケット20を介してシリンダヘッド2が締付一体とされている。このシリンダヘッド2上には2本の給排気バルブ駆動用カムシャフト3、3が横設され、このカムシャフト3、3の駆動伝達側一端部は、シリンダヘッド2の外側(紙面手前側)に延出されている。この延出部分は、不図示のクランクシャフトとチェーン連結され、クランクシャフトの回転動力が伝達され、夫々が軸回転するようメタル30、30を介しシリンダヘッド2上に保持される。
そしてヘッドカバー4をシリンダヘッド2にボルト42にて締付一体とした時には、締付圧縮に伴うヘッドカバーガスケット7の弾性変形により、上記両被シール面21、43がシールされる。
ここに示すようにヘッドカバーガスケット7は、環状のガスケット溝6に嵌装し得る主シール部70と、該主シール部70の両側部に設けられる補助シール部71とを備えている。ヘッドカバーガスケット7は、NBR、H−NBR、ACM、AEM、FKM等を中心とするゴム等の弾性材を用いて形成することができる。
主シール部70は、ヘッドカバー4に凹設されたガスケット溝6に嵌め入れられるように山型形状に形成されている。
主シール部70は、ガスケット溝6に組付け時にガスケット溝6の底面部60に弾接する頂部700と、ヘッドカバー4をシリンダヘッド2に締め付け一体とする際にシリンダヘッド2側の被シール面21に弾接する底面部701とを備えている。
補助シール部71の第1の弾接部710と第2の弾接部711とは、径方向にずれて弾接するよう形成されている。補助シール部71は、主シール部70の底面部701の両側部に内外に沿って形成されたくぼみ部702を経て一旦シリンダヘッド2側に弾接した後、斜め上方に向かって立上げ形成される。このとき、シリンダヘッド2に弾接する部分が第2の弾接部711となる。そして補助シール部71は、この第2の弾接部711の弾接ポイントから斜め上方に向かって立上げ形成され、ガスケット溝6への装着状態で、ヘッドカバー4側の被シール面43に弾接する位置で屈曲して形成されている。この屈曲形成された部分が第1の弾接部710となる。そして屈曲部分を経て斜め下方に延出形成された補助シール部71の先端は被シール面21に弾接し、ここが第2の弾接部711となる。
まずヘッドカバー4をシリンダヘッド2の上に載置する際とは天地逆にした状態にし、ガスケット溝6にヘッドカバーガスケット7を半嵌装状態に組付ける。このとき、主シール部70の頂部700がガスケット溝6の底面部60に押し当てられるよう嵌め入れていく。
そしてヘッドカバーガスケット7をガスケット溝6に半嵌装に組付けた状態で、天地逆になっているヘッドカバー4を表側に返して、カムアーチブラケット5及びシリンダヘッド2の上に載置する。
また補助シール部71の第1の弾接部710及び第2の弾接部711が、被シール面43、21に圧縮された状態で弾接されるので、被シール面43、21間に侵入しようとするオイルや熱い空気などを遮断することができる。すなわち、主シール部70の底面部701或いは主シール部70が嵌装されているガスケット溝6内に、オイルや熱い空気などが侵入することを補助シール部71で阻止し、主シール部70の劣化を防ぐことでヘッドカバーガスケット7の耐熱性を向上させることができる。よって過酷な使用環境に耐えられる耐久性と高いシール性を備えたものとすることができる。
よって、自動車などのエンジンまわりの部品を樹脂化して軽量化を図ることができ、車両の低燃費化に貢献することができる。
特に以上のように図2に示すヘッドカバーガスケット7には、ヘッドカバー4側に弾接する第1の弾接部710が片側に1ヶ所、シリンダヘッド2側に弾接する第2の弾接部711が片側に2ヶ所備えていることになる。よって、補助シール部71にシールポイントが複数設けられることになるので、シール性が向上する。またこのように補助シール部71の屈曲幅が長くとれるので、補助シール部71は圧縮力を受けると、この力に追従して、補助シール部71は、内方或いは外方に向けて変形しやすいものとすることができる。この観点からも図2に示したヘッドカバーガスケット7の形状はシール性のよいものといえる。
ここに示すヘッドカバーガスケット7Aは、補助シール部71に延出部712が設けられている点で異なるものである。延出部712は、主シール部70の底面部701寄りの両側部から第1の弾接部710への立上り部分に、被シール面21、43に対して平行に突出して形成されている。
これによっても、上述の例と同様に補助シール部71のシールポイントが径方向にずれた状態となるので、小さな力で補助シール部71を圧縮し弾性変形させることができる。また延出部712を介して第1の弾接部710及び第2の弾接部711が形成されているので、ヘッドカバー4とシリンダヘッド2とを締結し、補助シール部71が圧縮され弾性変形する際の影響を主シール部70に与えにくいものとすることができる。
その他の構成及び効果は上述の例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
ここに示すヘッドカバーガスケット7Bは、補助シール部71に、主シール部70の両側部の略中央部分から第1の弾接部710へ被シール面21、43に対して平行に突出して形成された延出部712が設けられ、その延出部712からシリンダヘッド2側へ屈曲した部分を第1の弾接部710としている点で異なるものである。そしてこの屈曲部分を経て斜め下方(シリンダヘッド2側)に延出形成された補助シール部71の先端は、図4(b)に示すようにシリンダヘッド2側の被シール面21に弾接する第2の弾接部711になる。
これによっても、上述の例と同様に補助シール部71のシールポイントが径方向にずれた状態となるので、小さな力で補助シール部71を圧縮し弾性変形させることができる。またヘッドカバー4とシリンダヘッド2とを締結した際に、圧縮され弾性変形する補助シール部71の横方向への広がりが少ない(図2に示すものと比べて屈曲幅が狭い。)ので、ヘッドカバーガスケット7の設置スペースが横方向に狭い場合でも有効にシール性を発揮できる。
その他の構成及び効果は上述の例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
続いて本発明の第2の実施形態について、図5、図6を参照しながら説明する。
まず図5(a)〜(c)に示す例について説明する。図5(a)は組付け前のヘッドカバーガスケットの一部破断斜視図、図5(b)及び(c)は図2(b)と同様図である。上述の図1、図2に示す例と共通する部分は同じ符号を付し、その説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
ここに示すヘッドカバーガスケット7Cは、補助シール部71の形状が上述の例とは異なり、主シール部70の底面部701寄りの両側部から補助シール部71が湾曲して立上る形状となっており、湾曲部分がシリンダヘッド2側に弾接する第2の弾接部711となっている。そしてこの湾曲部分を経て斜め上方に延出形成された補助シール部71の先端は、図5(b)に示すようにヘッドカバー4側の被シール面43に弾接する第1の弾接部710になる。
以上によっても、上述の例と同様に補助シール部71のシールポイントが径方向にずれた状態となるので、小さな力で補助シール部71を圧縮し弾性変形させることができる。またヘッドカバーガスケット7Cの補助シール部71の形状は、主シール部70の底面部701寄りの両側部から補助シール部71が湾曲して立上る形状となっており、補助シール部71の先側が第1の弾接部710になっている。よって例えばシリンダヘッド2とヘッドカバー4との間が狭い場合でも、シリンダヘッド2の上から下への圧縮力を受けながら、第1の弾接部710は内方或いは外方(横方向)へと広がっていくので、補助シール部71が十分に圧縮され弾性変形させることができ、シール性を向上させることができる。
なお、第1の弾接部710は角部430に弾接して圧縮変形されやすいように突条部を備えたものとしてもよい。
ここに示すヘッドカバーガスケット7Dは、補助シール部71に、主シール部70の両側部の略中央から被シール面21、43に対して平行に突出して形成された延出部712が設けられる点で図5(a)〜(c)に示す例とは、異なるものである。また図5(a)〜(c)に示す例とは、補助シール部7が湾曲して形成されるのではなく、シリンダヘッド2側に屈曲して形成されている点でも異なる。
ここに示すヘッドカバーガスケット7Dは、主シール部70の両側部の略中央から延出部712を介して斜め下方、すなわちシリンダヘッド2側に向かって延出され、屈曲した後、立上る形状となっており、屈曲部分がシリンダヘッド2側に弾接する第2の弾接部711となっている。そしてこの屈曲部分を経て斜め上方に延出形成された補助シール部71の先端は、図6(b)に示すようにヘッドカバー4側の被シール面43に弾接する第1の弾接部710になる。
これによっても、上述の例と同様に補助シール部71のシールポイントが径方向にずれた状態となるので、小さな力で補助シール部71を圧縮し弾性変形させることができる。また図3の例と同様に延出部712を介して第1の弾接部710及び第2の弾接部711が形成されているので、ヘッドカバー4とシリンダヘッド2とを締結し、補助シール部71が圧縮され弾性変形する際の影響を主シール部70に与えにくい。よって主シール部70のシール性をよくすることができる。
なおこの変形例においても図5(c)に示すようにヘッドカバー4の周縁部分の角部430に補助シール部71の第1の弾接部710が弾接するようにしてもよい。
その他の構成及び効果は上述の例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
続いて本発明の第3の実施形態について、図7、図8を参照しながら説明する。
まず図7(a)、(b)に示す例について説明する。図7(a)は組付け前のヘッドカバーガスケットの一部破断斜視図、図7(b)は図2(b)と同様図である。上述の図1、図2に示す例と共通する部分は同じ符号を付し、その説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
ここに示すヘッドカバーガスケット7Eは、補助シール部71の形状が上述の例とは異なり、第1の弾接部710及び第2の弾接部711が、主シール部70の両側部から被シール面21、43に対して平行に突出して形成された延出部712の先側に形成されている。
これによっても、上述の例と同様に補助シール部71のシールポイントが径方向にずれた状態となり、第1の弾接部710が受けるヘッドカバー4からの押圧力は、延出部712や延出部712の下方に形成されるシリンダヘッド2の被シール面との間にできる空間、第2の弾接部711側へと分散され、小さな力で補助シール部71を圧縮し弾性変形させることができる。また図3及び図6の例と同様に延出部712を介して第1の弾接部710及び第2の弾接部711が形成されているので、ヘッドカバー4とシリンダヘッド2とを締結し、補助シール部71が圧縮され弾性変形する際の影響を主シール部70に与えにくい。よって主シール部70のシール性をよくすることができる。さらに補助シール部71の形成範囲を大きくとったり、設置場所に応じて延出部712の長さを変えれば期待するシール効果を発揮できるなど、設計変更がしやすい形状といえる。
ここに示すヘッドカバーガスケット7Fは、図7(a)、(b)に示した例とは延出部712から延出した一対の片の傾き方向が異なり、シリンダヘッド2側に配置される先側が主シール部70側に近づくように傾斜するテーパー状(逆ハの字状)に形成されている。
これによっても、上述の例と同様に補助シール部71のシールポイントが径方向にずれた状態となるので、小さな力で補助シール部71を圧縮し弾性変形させることができる。また図3、図6及び図7の例と同様に、延出部712を介して第1の弾接部710及び第2の弾接部711が形成されているので、ヘッドカバー4とシリンダヘッド2とを締結し、補助シール部71が圧縮され弾性変形する際の影響を主シール部70に与えにくい。よって主シール部70のシール性をよくすることができる。さらに図7の例と同様に、補助シール部71の形成範囲を大きくとったり、設置場所に応じて延出部712の長さを変えれば期待するシール効果を発揮できるなど、設計変更がしやすい形状といえる。
その他の構成及び効果は上述の例と同様であるので、共通部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記実施形態では、ヘッドカバー4がカムアーチ部40のような凹曲部を備えた例について述べたが、プラグセミサーキュラー部のような凸曲部を備えている場合にも本発明のヘッドカバーガスケット7が適用可能である。また上記実施形態では、エンジンのシリンダヘッド2とヘッドカバー4との間をシールするヘッドカバーガスケット7とした例について説明したが、これに限定されるものではない。
さらに補助シール部71が主シール部70の両側部にある例について説明したが、例えば設置環境が主シール部70を挟んで内外で異なる場合は、設置環境が厳しい方にのみ補助シール部71を設け、主シール部70の劣化を防ぐように構成したものとすることもできる。
21 被シール面
4 ヘッドカバー(2部材の一方)
43 被シール面
6 ガスケット溝
7(7A〜7F) ヘッドカバーガスケット(ガスケット)
70 主シール部
71 補助シール部
710 第1の弾接部
711 第2の弾接部
Claims (4)
- 相互に締結一体とされる2部材間に介装され、該2部材間をシールする環状弾性材製ガスケットであって、
主シール部と、該主シール部の両側部又は片側部に設けられる補助シール部とを備え、
前記補助シール部は、前記2部材の締結時に前記一方の部材の被シール面に弾接する第1の弾接部と、他方の部材の被シール面に弾接する第2の弾接部とを備え、前記第1の弾接部と前記第2の弾接部とが、径方向にずれて弾接するよう形成されており、
前記第1の弾接部或いは前記第2の弾接部が、屈曲して形成されていることを特徴とするガスケット。 - 相互に締結一体とされる2部材間に介装され、該2部材間をシールする環状弾性材製ガスケットであって、
主シール部と、該主シール部の両側部又は片側部に設けられる補助シール部とを備え、
前記補助シール部は、前記2部材の締結時に前記一方の部材の被シール面に弾接する第1の弾接部と、他方の部材の被シール面に弾接する第2の弾接部とを備え、前記第1の弾接部と前記第2の弾接部とが、径方向にずれて弾接するよう形成されており、
前記第1の弾接部及び前記第2の弾接部が、前記主シール部の前記両側部又は前記片側部から前記被シール面に対して平行に突出して形成された延出部の先側に形成されていることを特徴とするガスケット。 - 相互に締結一体とされる2部材間に介装され、該2部材間をシールする環状弾性材製ガスケットであって、
主シール部と、該主シール部の両側部又は片側部に設けられる補助シール部とを備え、
前記補助シール部は、前記2部材の締結時に前記一方の部材の被シール面に弾接する第1の弾接部と、他方の部材の被シール面に弾接する第2の弾接部とを備え、前記第1の弾接部と前記第2の弾接部とが、径方向にずれて弾接するよう形成されており、
前記第1の弾接部或いは前記第2の弾接部が、湾曲して形成されていることを特徴とするガスケット。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに1項に記載のガスケットにおいて、
前記2部材が、シリンダヘッドとヘッドカバーであって、前記ヘッドカバーの被シール面に前記主シール部が嵌装し得るよう凹設された環状ガスケット溝が形成されていることを特徴とするガスケット。
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