JP2004353070A - 構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造体を製造する際のエッチングによって構造層140が変形あるいは破壊されることを抑制する。
【解決手段】基板110上にエッチング分離層120を形成する。エッチング分離層120上に犠牲層130を形成する。犠牲層130上に構造層140を形成する。構造層140に貫通孔150を形成する。犠牲層130とエッチング分離層120のうち犠牲層130を選択的にエッチングする第1エッチング液を、貫通孔150を通じて犠牲層130に供給して、これを除去する。エッチング分離層120と基板110をエッチングする第2エッチング液を、貫通孔150を通じてエッチング分離層120と基板110に供給して、これらを除去する。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図1(a)と(b)に示すように、基板10に支持された構造層40を有し、その基板10と構造層40の間に空洞60が形成された構造体が知られている。この構造体は、構造層40上に例えば熱検知素子を形成することで、熱センサの構成要素として用いることができる。この場合、構造層40と基板10の間に空洞60が形成されているので、熱検知素子で検知しようとする熱が基板10側に逃げることを抑制できる。また、基板10側に集積回路を形成する場合は、集積回路に熱が加わることを抑制できる。特にこの構造体では、犠牲層(図2の符号30参照)を除去して形成した空洞62のみならず、基板10の一部を除去して形成した空洞64も存在するので、熱が基板10側に逃げることを効果的に抑制できる。
【0003】
また、図示は省略するが、構造層が変位可能なマスやビーム等である構造体も知られている。この構造体は、加速度センサ等の力学量センサ等に用いられる。この構造体の場合も、マスやビームの変位量を広く確保する等のために、犠牲層のみならず基板の一部を除去して空洞を形成する場合がある。
【0004】
このような構造体の従来の製造方法を図2〜図5を参照して説明する。まず、図2に示すように、単結晶シリコンからなる基板10上にポリシリコンからなる犠牲層30を形成する。次に、犠牲層30上にシリコン酸化膜からなる構造層40を形成する。次に、構造層40に貫通孔50を形成する。次に、エッチング液として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を貫通孔50を通じて犠牲層30に供給する。この結果、図3と図4に示すように、犠牲層30と基板10の一部が連続的に同じ段階でウェットエッチングされる。この場合、犠牲層30は等方性エッチングされ、第1空洞62が形成される。基板10は異方性エッチングされ、第2空洞64が形成される。第1空洞62と第2空洞64をあわせて空洞60という。エッチング時間を調節することで空洞60が所望の大きさになるように制御する。なお、図3と図4の符号62aは、第1空洞62の平面視形状の輪郭線である。符号64a、64bはそれぞれ、第2空洞64の頂面と底面の平面視形状の輪郭線である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した製造方法によると、犠牲層30と基板10をエッチングすることで、ガス(上記の場合は水素(H)ガス)が発生する。このガスは、構造層40の上面を覆うエッチング液の影響等によって、空洞60内に蓄積され易い。特に、構造層40に形成された貫通孔50の大きさが小さい場合に、空洞60内に蓄積され易くなる。空洞60内に蓄積されるガスの量が大きくなると、これに伴ってガス圧も増加する。この結果、このガス圧によって構造層40が変形したり、さらには、図5に示すように構造層40が破壊するといった製造不良が生じてしまう場合があった。
【0006】
例えば、図3〜図5に示す例では、各貫通孔50を通じて犠牲層30が徐々にエッチングされると、犠牲層30が図3の符号30xに示すように徐々に細くなっていく。この状態で空洞60内に蓄積されたガスのガス圧が構造層40に加わると、構造層40のうち、細くなった犠牲層30x上の箇所40x(特に図3(a)、図4(a)参照)に応力が集中的に加わる。この結果、応力集中箇所40xでは構造層40の破壊応力を超え、応力集中箇所40xから構造層40が破壊されてしまう場合があった。なお、図5に示す例は、構造層40が破壊される1つの例を示したものであり、別の箇所から破壊される場合も勿論ある。
【0007】
熱センサ用の構造体の場合、構造層上に熱検知素子等を形成するため、構造層は所定の強度を持つこと等が要求される。この観点からは、構造層に形成する貫通孔の孔面積の合計値は小さいことが望ましい。しかし、貫通孔50群の孔面積の合計値が小さいと、空洞60内のガスが貫通孔50群を通じて外部へ逃げにくくなる。そのため、上記した構造層の変形または破壊が生じ易い。また、力学量センサ等に用いられ、先に述べたような変位可能なマスやビームを有する構造体についても、同様の問題が生じ得る。
【0008】
また、空洞60は構造層40から基板10へ熱が逃げることを抑制する等の役割を果たす。そのため、空洞60の大きさは精度良く設定する必要がある。従来の製造方法は、エッチング時間を調節することで、空洞60の大きさを制御している。この制御方法によると、犠牲層30と基板10を精度良くエッチングすることが難しかった。その結果、空洞60の大きさにばらつきが生じ、製造不良の原因となっていた。さらに、エッチングが過度に進行した場合、発生するガス量が増加し、構造層40に加わるガス圧が高くなり、製造不良を起こす要因となっていた。
【0009】
ところで、ドライエッチングによる場合、上記のような水素ガスを発生させずに犠牲層30や基板10をエッチングできる。しかし、従来の標準的な方式のドライエッチングでは、犠牲層30を異方性エッチングしてしまう。よって、構造層40の貫通孔50の周辺の犠牲層30は除去できるが、その他の犠牲層30を除去できない。また、犠牲層30を等方性エッチングできるドライエッチングも存在するが、この場合、基板10も等方性エッチングしてしまうという問題がある。基板10が等方性エッチングされるとすると、基板10が必要以上にエッチングされないように高精度なエッチング制御を行う必要がある。そこで、本発明者らは、エッチング液を使用して犠牲層を除去することで構造体を製造する方法であることを前提として、構造層の製造不良の発生を抑制することを試みた。
【0010】
本発明は、製造不良の発生を抑制できる構造体の製造方法を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明の1つの態様の構造体の製造方法は、基板上にエッチング分離層を形成する工程と、エッチング分離層上に犠牲層を形成する工程と、犠牲層上に構造層を形成する工程と、構造層に貫通孔を形成する工程と、犠牲層とエッチング分離層のうち犠牲層を選択的にエッチングする第1エッチング液を、貫通孔を通じて犠牲層に供給する第1供給工程と、第1供給工程の後に、エッチング分離層と基板をエッチングする第2エッチング液を、貫通孔を通じてエッチング分離層と基板に供給する第2供給工程を有する。ここで、「構造層」は、基板に対して固定されたものであっても、基板に対して変位可能なものであってもよい。例えば、「構造層」には、基板に対して実質的に固定されており、熱検知素子等が載置される層が含まれる。また、「構造層」には、基板に対して変位可能なマスやビームも含まれる。また、「構造層」には、メンブレン(膜)と呼ばれるものも含まれる。
【0012】
本発明の製造方法のように、前記第1エッチング液を貫通孔を通じて犠牲層に供給すると、犠牲層が選択的にエッチングされる。これにより、基板と構造層の間に空洞が形成される。但し、前記第1エッチング液を供給しても、エッチング分離層はほとんどエッチングされない。よって、基板もエッチングされない。これに対し、前記第2エッチング液を貫通孔を通じてエッチング分離層と基板に供給すると、エッチング分離層と基板の一部がエッチングされる。これにより、基板と構造層の間にさらに広い空洞が形成される。このように、この製造方法は、犠牲層と基板の間にエッチング分離層を介在させることで、犠牲層のエッチングと基板のエッチングを分離して行う。
【0013】
このため、本発明の製造方法によると、第1エッチング液によって犠牲層をエッチングすることで発生したガスの少なくとも一部を、前記空洞から貫通孔を通じて外部に拡散させた後に、第2エッチング液によってエッチング分離層と基板をエッチングし、前記空洞内にガスを発生させることができる。この結果、従来の製造方法に比べて、構造層に加わるガス圧を減少させることができる。従って、本発明の製造方法によると、構造層の製造不良の発生を抑制できる。この結果、構造体の歩留まりを向上させることができるという効果が得られる。
【0014】
第1エッチング液は、犠牲層に比べてエッチング分離層と構造層をほとんどエッチングしない材料で形成することが好ましい。第2エッチング液は、エッチング分離層と基板に比べて構造層をほとんどエッチングしない材料で形成することが好ましい。
【0015】
第1エッチング液と第2エッチング液は、濃度の異なる同種のエッチング液であることが好ましい。上記態様によると、2種のエッチング液を用意しなくてもよいので、従来に比べて構造体の製造に要する手間をそれほど増加させずに、構造層の製造不良の発生を抑制できる。例えば、第1エッチング液の使用後に、第1エッチング液を洗浄する工程を省略できるという利点がある。
【0016】
第1エッチング液と第2エッチング液は、濃度の異なるアルカリ性エッチング液であり、基板がシリコン(単結晶シリコン等)であり、エッチング分離層がp型不純物をドープしたシリコン(単結晶シリコン等)であり、犠牲層がシリコン(ポリシリコン等)であり、構造層がシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜であることが好ましい。アルカリ性エッチング液は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、又は水酸化カリウム水溶液であることが好ましい。
上記態様によると、エッチング分離層も含めて構造体の上記部分をシリコン系材料によって形成できる。よって、製造プロセスを容易化できる。
【0017】
第1エッチング液は濃度が10wt.%以下の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であり、第2エッチング液は濃度が15wt.%以上で25wt.%以下の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であることが好ましい。エッチング分離層にドープするp型不純物の濃度は、1×1020cm−3以上であることが好ましい。
【0018】
基板に不純物をイオン注入することで、基板上にエッチング分離層を形成することが好ましい。
上記態様によると、基板上に基板とは別体の層を新たに形成し、その層にイオン注入するという工程を経てエッチング分離層を形成する場合に比べて、製造工程を簡単化できる。
【0019】
第1供給工程の終了時から所定時間経過したことを条件に、第2供給工程を行うことが好ましい。
第1供給工程による犠牲層の除去が終了したことを検知したことを条件に、第2供給工程を行うことが好ましい。この場合、第1供給工程による犠牲層の除去が終了したことを検知してから所定時間経過したことを条件に、第2供給工程を行うことがさらに好ましい。
第1供給工程で発生しているガスの量が所定量以下になったことを検知したことを条件に、第2供給工程を行うことが好ましい。この場合、第1供給工程で発生しているガスの量が所定量以下になったことを検知してから所定時間経過したことを条件に、第2供給工程を行うことがさらに好ましい。
【0020】
これらの態様によると、第2供給工程を行う前に、第1供給工程で発生したガスを前記空洞から貫通孔を通じて外部に拡散させる量を多くすることができる。そのため、前記空洞内に蓄積するガスの量を減らすことができるので、構造層に加わる圧力を低減することができる。よって、構造層の製造不良の発生をさらに抑制できる。
【0021】
本発明の1つの態様の構造体の製造方法は、所定のエッチング液によって異方性エッチングされる異方性エッチング層上に前記エッチング液によって等方性エッチングされる等方性エッチング層を形成する工程と、等方性エッチング層上に構造層を形成する工程と、構造層に貫通孔を形成する工程と、異方性エッチング層の底面に接する領域に、前記エッチング液によってほとんどエッチングされないエッチングストップ層を形成した状態で、貫通孔を通じて前記エッチング液を等方性エッチング層と異方性エッチング層に供給する工程を有する。
【0022】
所定のエッチング液によって異方性エッチングされる層をその液によってエッチングすることで、空洞を形成したい場合がある。このような場合に、構造層の下方に直接に異方性エッチング層を形成すると、その異方性エッチング層は、構造層の貫通孔によって規定される領域しかエッチングされない。この場合、例えば構造体に小さな貫通孔群しか形成できないときには、異方性エッチング層にも小さな空洞群しか形成できない。
これに対し、構造層と異方性エッチング層の間に等方性エッチング層が存在すると、異方性エッチング層は、等方性エッチング層によって規定される領域でエッチングされる。この場合、等方性エッチング層の大きさを調整することで、異方性エッチング層に所望の大きさの空洞を形成することが可能となる。
【0023】
このように、構造層と異方性エッチング層の間に等方性エッチング層が存在する構造において、上記のようなエッチングストップ層を形成すると、エッチングの進行は、このエッチングストップ層で止められる。よって、異方性エッチング層に所望の大きさの空洞を精度良く形成できる。
従来の製造方法では、エッチング液の供給量や構造層に形成する貫通孔の間隔等で制御することで、形成する空洞の大きさを調整していた。これに対し、本発明の製造方法によると、このような制御の手間を格段に減らしながらも、所望の大きさの空洞を精度良く形成できる。従って、本発明の製造方法によると、構造層の製造不良の発生を抑制できる。この結果、構造体の歩留まりを向上させることができる。
【0024】
また、本発明の製造方法によると、エッチングストップ層の位置を調整することで、エッチングにより発生するガス量を容易に調整できる。また、供給するエッチング液の量を多くしてしまっても、エッチングストップ層でエッチングを止められるから、発生するガス量を抑制できる。このため、構造層に加わるガス圧が高くなることを抑制できる。従って、構造層の製造不良の発生を抑制できる。この結果、構造体の歩留まりを向上させることができる。
【0025】
エッチング液は、等方性エッチング層と異方性エッチング層に比べてエッチングストップ層と構造層をほとんどエッチングしない材料であることが好ましい。
具体的には、エッチング液がアルカリ性エッチング液(好ましくは水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、又は水酸化カリウム水溶液)であり、等方性エッチング層がポリシリコンであり、異方性エッチング層が単結晶シリコンであり、エッチングストップ層と構造層が酸化シリコン又は窒化シリコンであることが好ましい。
【0026】
異方性エッチング層がSOI(Silicon On Insulator)基板の上側の単結晶シリコン層であり、エッチングストップ層がSOI基板の酸化シリコン層であることが好ましい。
本態様によると、SOI基板を有効に活用して、本発明の作用効果を得ることができる。
【0027】
異方性エッチング層が第1導電型半導体層であり、その第1導電型半導体層に接する第2導電型半導体層が形成されており、第1導電型半導体層と第2導電型半導体層の接合部に逆バイアス電圧を印加することで、その接合部付近にエッチングストップ層を形成することが好ましい。
本態様は、第1導電型半導体と第2導電型半導体の接合部から広がる空乏層をエッチングストップ層とするものである。本態様によると、エッチングストップ層となる酸化シリコン層等を別個に形成しなくてもよい。
【0028】
本発明の1つの態様の構造体の製造方法は、SOI(Silicon On Insulator)基板上に構造層を形成する工程と、構造層に貫通孔を形成する工程と、SOI基板の上側の単結晶シリコン層と酸化シリコン層のうち、単結晶シリコン層を選択的にエッチングするエッチング液を、貫通孔を通じて単結晶シリコン層に供給する工程を有する。なお、「SOI基板上に構造層を形成する」場合には、SOI基板上に他の層を形成し、さらにその上に構造層を形成する場合も含まれる。
本態様によると、SOI基板の単結晶シリコン層を、空洞が形成される層として利用でき、SOI基板の酸化シリコン層をエッチングストップ層として機能させることができる。
【0029】
本発明の1つの態様の構造体の製造方法は、第1導電型半導体層に接合された第2導電型半導体層を含むエッチング層上に構造層を形成する工程と、構造層に貫通孔を形成する工程と、第1導電型半導体層と第2導電型半導体層の接合部に逆バイアス電圧を印加した状態で、エッチング層をエッチングするエッチング液を、貫通孔を通じてエッチング層に供給する工程を有する。エッチング層は、例えば、第2導電型半導体層(例えば単結晶シリコン層、空洞形成層ともいう)の他に、その上に形成された犠牲層(例えばポリシリコン層)等を有していてもよい。
【0030】
構造体は、熱を直接的又は間接的に検知するセンサに使用される熱センサ用構造体であることが好ましい。
熱センサの場合、構造層上に熱検知素子を形成するため、所定の強度を確保する等の観点から、構造層に形成する貫通孔の孔面積の合計値は小さいことが望ましい。このような熱センサに、本発明に係る構造体を使用すると、特に有用な効果が得られる。
【0031】
本明細書において、第1の材料と第2の材料のうち第1の材料を選択的にエッチングするエッチング液には、第2の材料に対する第1の材料のエッチング選択比が15以上(好ましくは20以上、より好ましくは30以上)となるようなエッチング液が含まれる。
ここで、本明細書では、第1の材料のエッチング速度をXとし、第2の材料のエッチング速度をYとした場合に、X/Yを「第2の材料に対する第1の材料のエッチング選択比」という。
【0032】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本発明の第1実施形態の熱センサ用構造体の製造方法を、図6〜図12を参照して説明する。
まず、図12に示すように、n型又はp型の単結晶シリコンからなる基板110を用意する。n型とp型の選択は、基板110に集積回路を形成する場合は、その集積回路の特性に応じて行えばよい。n型の場合は、不純物濃度の限定は特にない。p型の場合は、後述するエッチング分離層120との関係から、不純物濃度は1×1019cm−3以下であることが好ましい。次に、基板110上に、厚さ100nm程度の熱酸化膜(シリコン酸化膜)111を形成する。次に、熱酸化膜111上にレジスト112を形成する。このレジスト112は、後述するエッチング分離層120を形成する予定の領域上の熱酸化膜111を露出させ、これ以外の熱酸化膜111を覆うようにフォト工程によってパターニングする。
【0033】
次に、基板110の表面部にp型不純物をイオン注入する。p型不純物は、ボロンであることが好ましい。ボロンの場合、市販のイオン注入源を容易に入手できる。ボロンを使用する場合、基板110表面から深さ500nm程度の領域の不純物濃度が、1×1020cm−3以上となるようにイオン注入することが好ましい。
【0034】
次に、図6に示すレジスト112を除去すると、図7の状態となる。次に、窒素又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気中において熱処理(活性化アニール)を行う。これにより、ドープしたp型不純物が活性化され、エッチング分離層120が形成される。熱処理の温度は850〜950℃程度が好ましい。本実施形態では、約900℃で熱処理を行う。
【0035】
なお、エッチング分離層120は、上述したように基板の一部(表面部)に形成する態様には限られない。例えば、基板110上にポリシリコン層を例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成し、そのポリシリコン層にp型不純物をドープし、熱処理を行うことで、エッチング分離層120を形成してもよい。
【0036】
次に、図7に示す熱酸化膜111を除去する。次に、図8に示すように、エッチング分離層120上に、厚さ200nm程度の犠牲層130を例えばCVD法で形成する。犠牲層130はノンドープのポリシリコンからなる。犠牲層130は、構造体に作成する空洞の大きさに合わせる。次に、犠牲層130を覆うように、厚さ200nm程度の構造層140を例えばCVD法で形成する。構造層140の表面積は、500μm×500μm程度としている。本実施形態では、構造層140はシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜からなる絶縁膜である。なお、本実施形態では、構造層140は透明である。後述するが、構造層140が透明であると、例えば光学顕微鏡によりエッチング状況を監視できるといった利点がある。
【0037】
次に、図9に示すように、フォト工程と反応性イオンエッチング(ReactiveIon Etching)によって、構造層140に直径10μm程度の複数の貫通孔150を形成する。各貫通孔150の孔面積は、上記した構造層140の表面積に比べると非常に小さい。本実施形態では、貫通孔150群は、所定間隔を置いて縦方向と横方向にマトリックス状に形成する(図12の平面図参照)。
【0038】
次に、図9に示す貫通孔150を通じて、犠牲層130に第1エッチング液を供給する。第1エッチング液は、濃度が約5wt.%の水酸化テトラメチルアンモニウム((CHNOH、以下「TMAH」という)水溶液である。第1エッチング液は、構造層140と犠牲層130とエッチング分離層120のうち、犠牲層130を選択的にエッチングする。別の表現をすると、第1エッチング液は、犠牲層130をエッチングするが、構造層140とエッチング分離層120をほとんどエッチングしない。
【0039】
上記のように第1エッチング液を供給すると、等方性エッチングによって、図10に示すように犠牲層130が選択的に除去される。この結果、犠牲層130が除去された領域に第1空洞162が形成される。
【0040】
次に、図10に示す貫通孔150を通じて、エッチング分離層120と基板110に第2エッチング液を供給する。第2エッチング液は、濃度が約20wt.%のTMAH水溶液である。第2エッチング液は、構造層140とエッチング分離層120と基板110のうち、エッチング分離層120と基板110を選択的にエッチングする。別の表現をすると、第2エッチング液は、エッチング分離層120と基板110をエッチングするが、構造層140をほとんどエッチングしない。
【0041】
上記のように第2エッチング液を供給すると、異方性エッチングによって、図11と図12に示すようにエッチング分離層120と基板110の一部が除去される。具体的には、頂面の面方位が(100)面の基板110を使用した場合、基板110のエッチングは(111)面(図11の符号Mで示す面)に囲われた状態で進行する。この結果、エッチング分離層120と基板110の一部が除去された領域に第2空洞164が形成される。なお、図12は、図11の平面図である。図11は、図12のB−B線での断面図に相当する。
【0042】
このように、エッチング分離層120は、第1エッチング液によるエッチングをストップさせるが、第2エッチング液によって最終的には除去される。なお、第1空洞162と第2空洞164を合わせたものを、空洞160とする。
【0043】
このように、第1エッチング液と第2エッチング液として濃度の異なる同種の液を用いると、2種のエッチング液を準備する煩雑な手間が省ける他、第1エッチング液の使用後に、第1エッチング液を洗浄する工程を省略できるという利点がある。
【0044】
以上により、図11と図12に示すように、基板110に支持された構造層140を有し、その基板110と構造層140の間に空洞160が形成された熱センサ用構造体が製造される。なお、エッチング分離層120は大部分が除去されているが、構造層140と基板110の間の領域に一部が残存している。
【0045】
次に、第1エッチング液及び第2エッチング液として使用するTMAH水溶液について説明する。まず、ノンドープのシリコン(単結晶シリコン、ポリシリコンを含む)のエッチング速度は、TMAH水溶液の濃度が所定値となるまでは濃度が低いほど速くなる。
【0046】
また、図13は、TMAH水溶液を使用した場合の単結晶シリコン中のボロン濃度とエッチング選択比の関係を示す。図13のグラフC、D、Eはそれぞれ、TMAH水溶液の濃度が5wt.%、20wt.%、40wt.%の場合のグラフである。図13に示すエッチング選択比は、ボロンをドープした単結晶シリコンに対するノンドープの単結晶シリコンのエッチング選択比である。
なお、図13に示すボロン濃度が約1×1019より小さい場合、図示の明瞭化のためにずらして図示されているが、実際にはグラフC、Dのエッチング選択比もグラフEと同様にほぼ1である。
【0047】
ボロン濃度が約1×1019より大きい場合は、グラフC、D、Eの順に(TMAH水溶液の濃度が低くなるほど)、エッチング選択比が大きくなる。また、各グラフC、D、Eに示すように、ボロン濃度が約1×1019より大きい場合は、ボロン濃度が増加するほどエッチング選択比が大きくなる。このように、エッチング選択比が大きくなるということは、言い換えると、ノンドープの単結晶シリコンのエッチング速度に比べて、ボロンをドープした単結晶シリコンのエッチング速度が遅くなるということである。なお、単結晶シリコンに代えてポリシリコンを用いた場合も図13のグラフと同様な特性を示す。
【0048】
図13のグラフCに示すように、TMAH水溶液の濃度が5wt.%の場合、図13に示すボロン濃度が1×1020cm−3の単結晶シリコンに対するノンドープの単結晶シリコンのエッチング選択比は約10である。つまり、ボロン濃度が1×1020cm−3の単結晶シリコンのエッチング速度に比べて、ノンドープの単結晶シリコンのエッチング速度は約10倍速い。濃度が5wt.%の場合のノンドープの単結晶シリコンのエッチング速度は約1.3μm/minである。よって、ボロン濃度が1×1020cm−3の単結晶シリコンのエッチング速度は、約1.3μm÷約10=約0.013μm/minとなる。
【0049】
図13のグラフDに示すように、TMAH水溶液の濃度が20wt.%の場合、図13に示すボロン濃度が1×1020cm−3の単結晶シリコンに対するノンドープの単結晶シリコンのエッチング選択比は約10である。濃度が20wt.%の場合のノンドープの単結晶シリコンのエッチング速度は約1.0μm/minである。よって、ボロン濃度が1×1020cm−3の単結晶シリコンのエッチング速度は、約1.0μm÷約10=約0.1μm/minとなる。
【0050】
図13のグラフEに示すように、TMAH水溶液の濃度が40wt.%の場合、図13に示すボロン濃度が1×1020cm−3の単結晶シリコンに対するノンドープの単結晶シリコンのエッチング選択比は約2である。濃度が40wt.%の場合のノンドープの単結晶シリコンのエッチング速度は約0.4μm/minである。よって、ボロン濃度が1×1020cm−3の単結晶シリコンのエッチング速度は、約0.4μm÷約2=約0.2μm/minとなる。
なお、以上の値は、TMAH水溶液の温度が90℃の場合の値である。
【0051】
以上のことを次の(I)〜(III)にまとめる。
(I)ノンドープのシリコン(単結晶シリコン、ポリシリコンを含む、以下同様)のエッチング速度は、TMAH水溶液の濃度が所定値となるまでは濃度が低いほど速くなる。
(II)ボロンを所定量以上ドープしたシリコンに対するノンドープのシリコンのエッチング選択比(図13参照)は、TMAH水溶液の濃度が低いほど高くなる。
(III)ボロンを所定量以上ドープしたシリコンのエッチング速度は、TMAH水溶液の濃度が低いほど遅くなる。これは、TMAH水溶液の濃度を低くしたときの、上記(I)に示すノンドープのシリコンのエッチング速度の増加の割合に比べて、上記(II)に示すエッチング選択比の増加の割合の方が大きいためである。
【0052】
先に述べたように、第1エッチング液は、犠牲層(ノンドープのポリシリコン)130と、エッチング分離層(p型不純物を所定量ドープした単結晶シリコン)120のうち、犠牲層130を選択的にエッチングすることが要求される。この要求を満たすためには、上記(II)に示すエッチング選択比が高いことが必要である。このためには、使用するTMAH水溶液の濃度を低くすることが好ましい。具体的には、第1エッチング液は、濃度が10wt.%以下(より好ましくは、5wt%以下)のTMAH水溶液であることが好ましい。
【0053】
また、第2エッチング液は、エッチング分離層(p型不純物を所定量ドープした単結晶シリコン)120と、基板(ノンドープの単結晶シリコン)110のいずれもエッチングすることが要求される。また、プロセス時間の短縮化等のためには、エッチング速度が速いことが好ましい。基板110のエッチング速度を速くするためには、上記(I)から、使用するTMAH水溶液の濃度を低くすることが好ましい。一方、エッチング分離層120のエッチング速度を速くするためには、上記(III)から、使用するTMAH水溶液の濃度を高くすることが好ましい。このように、両者は相反する要請を持つ。
【0054】
このような相反する要請の下、第2エッチング液は、濃度が15wt.%以上で25wt.%以下のTMAH水溶液であることが好ましい。この濃度範囲のTMAH水溶液を使用すると、エッチング分離層120と基板110の両者をある程度速い速度でエッチングできる。なお、TMAH水溶液の濃度が低くなるほど、基板110に面荒れが生じ易くなる。よって、この観点からもTMAH水溶液の濃度は15wt.%以上であることが好ましい。
【0055】
なお、上記では、エッチング液としてTMAH水溶液を使用した場合を例にして説明しているが、他のアルカリ性エッチング液を使用した場合にも、同様の効果を得ることが可能である。例えば、第1エッチング液と第2エッチング液を、濃度の異なる水酸化カリウム(KOH)水溶液で構成しても同様の効果が得られる。また、TMAH水溶液と水酸化カリウム水溶液を組合わせて使用してもよい。但し、TMAH水溶液の方が、カリウムを含む水酸化カリウム水溶液に比べて、安全性(環境)の観点からは好ましい。
【0056】
第2エッチング液は、以下の(1)〜(3)のいずれかのタイミングから供給を開始することが好ましい。
(1)第1エッチング液の供給を停止した後に直ちに第2エッチング液を供給するようにしてもよいが、第1エッチング液の供給を停止してから所定時間経過した後に第2エッチング液を供給するようにしてもよい。所定時間を経過した後に第2エッチング液を供給すると、第1エッチング液と犠牲層130の反応により発生した水素ガスが、空洞160から貫通孔150を通じて外部に十分に拡散した後に、第2エッチング液を供給できる。
【0057】
(2)第1エッチング液による犠牲層130の除去が終了した後に、第2エッチング液の供給を開始するようにしてもよい。犠牲層130の除去が終了したことの検知は、エッチングの状況を例えば光学式顕微鏡により監視することで行うとよい。この検知は、作業者が手作業で行ってもよく、画像処理装置等を使用して自動的に行ってもよい。なお、このような検知は、構造層140を透明材料で形成すると容易を行える。また、犠牲層130の除去が終了したことを検知した時点から直ちに第2エッチング液を供給するようにしてもよいが、その検知時点から所定時間を経過した後に第2エッチング液を供給するようにしてもよい。
【0058】
(3)第1エッチング液と犠牲層130の反応により発生する水素ガスの量が所定量以下(好ましくはほぼゼロ)となったことを検知した後に、第2エッチング液を供給するようにしてもよい。水素ガスの量が所定量以下となったことの検知は、例えばガス検出装置等を用いてモニタリングすることで行うとよい。また、発生する水素ガスの量が所定量以下となったことを検知した時点から直ちに第2エッチング液を供給するようにしてもよいが、その検知時点から所定時間を経過した後に第2エッチング液を供給するようにしてもよい。
【0059】
(第2実施形態)本発明の第2実施形態の構造体の製造方法を図14〜図15を参照して説明する。
まず、SOI基板(Silicon On Insulator)基板を用意する。SOI基板は、図14に示すように、単結晶シリコン基板211と、エッチングストップ層として機能する酸化シリコン層221と、空洞形成層として機能するn型又はp型の単結晶シリコン活性層231によって構成されている。次に、空洞形成層231上に、第1実施形態と同様に、ポリシリコンからなる犠牲層230と、酸化シリコンからなる構造層240を形成し、構造層240にエッチング孔250を形成する。
【0060】
次に、図15に示す貫通孔250を通じて、エッチング液としてTMAH水溶液を供給する。この結果、犠牲層230は等方性エッチングされる。そして、その犠牲層230が除去された後の空洞によって規定される範囲で、空洞形成層231が異方性エッチングされる。これに対し、構造層240とエッチングストップ層220はほとんどエッチングされない。
なお、エッチング液としては、TMAH水溶液に限らず、KOH水溶液やその他のアルカリ性エッチング液を使用してもよい。
【0061】
以上により、図15に示すように、基板210に支持された構造層240を有し、その基板210と構造層240の間に空洞260が形成された構造体が製造される。TMAH水溶液は、構造層240とエッチングストップ層220をほとんどエッチングしない。また、空洞形成層231は、TMAH水溶液によって異方性エッチングされ、犠牲層230を除去した後の空洞によって規定される範囲でしかエッチングされない。このため、本実施形態によると、空洞260の大きさを所望の大きさに精度良く設定できる。よって、製造不良品を減らすことができる。
【0062】
また、本実施形態によると、エッチングストップ層220の位置を調整することで、エッチングにより発生するガス量を容易に調整できる。また、供給するエッチング液の量を多くしてしまっても、エッチングストップ層220でエッチングを止められるから、発生するガス量を抑制できる。このため、構造層240に加わるガス圧が高くなることを抑制できる。従って、構造層240の破壊や損傷の発生を抑制できる。
【0063】
空洞形成層231の厚さを例えば1〜3μmに設定した場合、製造された構造体は、加速度センサ等の力学量センサに好適に使用できる。空洞形成層231の厚さをさらに厚く設定した場合は、力学量センサに加えて、熱センサにも好適に使用できる。
【0064】
(第3実施形態)本発明の第3実施形態の構造体の製造方法を、図16〜21を参照して説明する。n型の単結晶シリコンからなる基板(第1導電型半導体層)310上に、p型の単結晶シリコンの空洞形成層(第2導電型半導体層)331を、例えばCVD法によりエピタキシャル成長させる。n型基板310の不純物濃度は約1×1015cm−3である。p型層331の不純物濃度は約1×1015cm−3である。これらの不純物濃度は特に限定されるものではなく、エッチングスピードや基板310と空洞形成層331のpn接合部に形成する空乏層の大きさに応じて適宜設定できる。次に、第1実施形態と同様に、図17に示すようなポリシリコンからなる犠牲層330と、酸化シリコンからなる構造層340を形成する。次に、図18に示すように、基板310の裏面に電極370を形成する。この電極370と基板310の接合部は、オーミックコンタクトにするために、図示しないn型部分領域を形成しても良い。次に、フォト工程と反応性イオンエッチング(ReactiveIon Etching)によって、構造層340に直径10μm程度の複数の貫通孔350を形成する。
【0065】
次に、図19に示すように、貫通孔350を通じてエッチング液としてTMAH水溶液を供給する。この結果、第2実施形態と同様に、犠牲層330と、空洞形成層331がエッチングされる。エッチング液が供給されている間、本実施形態では、n型の基板310とp型の空洞形成層331とのpn接合部に逆バイアス電圧が印加されるように、電極370に電圧を印加している。この結果、このpn接合部からは図示しない空乏層が広がっている。この空乏層はエッチングストップ層として機能する。よって、エッチングは、空洞形成層331と基板310のpn接合部付近でストップする。この結果、空洞360が形成される。
【0066】
以上により、図19に示すように、基板310に支持された構造層340を有し、その基板310と構造層340の間に空洞360が形成された熱センサ用構造体が製造される。
【0067】
また、図20に示すように、電極371の形成する位置を、基板310の裏面ではなく、構造層340の上に形成することもできる。この場合、基板310と電極371を導通させるため、例えば電極370の下方にn型の拡散領域374を形成するとよい。さらに、図21に示すように、n型の基板310の上部に局所的にp型の不純物をイオン注入し、そのイオン注入した領域331を空洞形成層とすることもできる。電気化学エッチング法を利用した上記製造方法によると、エッチングストップ層としてシリコン酸化層等を形成しなくてもよい。
【0068】
第1〜第3実施形態の製造方法により製造した構造体を熱センサ用構造体として使用する場合は、その構造層上に、機能性材料(例えば熱検知素子(感温素子ともいえる))を形成する。具体的には、構造層上に、温接点部及び冷接点部を持つ熱電対と、熱電対の温接点部を覆う赤外線吸収膜と、熱電対の出力を取出す端子部等を形成する。これにより、熱センサの一例として赤外線センサが製造される。なお、上記した熱電対、赤外線吸収膜、端子部等を構造層上に形成した後に、貫通孔を形成してもよい。
【0069】
このような赤外線センサでは、赤外線を受光したときに熱電対の温接点部と冷接点部の間に生じる温度差によって変化する熱電対の起電力を検出することで赤外線を検知する。
【0070】
このような赤外線センサでは、出力である起電力を大きくするために、熱電対の温度差を大きくすることが望まれる。熱電対の温度差を大きくするためには、温接点部の熱を逃げにくくすることや、温接点部を温度上昇させ易くすることが有効である。温接点部の熱を逃げにくくするためには、温接点部に隣接する構造層を基板からできるだけ離すことが効果的である。温接点部を温度上昇させ易くするためには、構造層の膜厚を薄くして、構造層よりも温接点部の方に熱が伝達されるようにすることが効果的である。また、作成する熱検知素子のサイズとの関係等から、構造層の表面積を大きくしたい場合もある。
【0071】
ところで、構造層上には熱検知素子を形成するため、所定の強度を確保する等の観点からは、構造層に形成する貫通孔群の孔面積の合計値は小さいことが好ましい。この要求は、構造層の膜厚を薄くするほど大きくなる。また、この要求は、構造層の表面積を大きくするほど大きくなる。しかし、貫通孔群の孔面積の合計値を小さくすると、エッチング液を犠牲層や基板に均一的に供給しにくくなる。また、そのエッチングにより生じたガスが空洞から外部へ逃げにくくなる。
【0072】
以上のような背景の下、〔従来の技術〕に記載した製造方法によると、構造層が変形又は破壊するという製造不良が生じる場合があったのは先に述べた通りである。具体例を挙げると、図1において、構造層40として厚さ200nmのシリコン窒化膜を使用し、貫通孔50の直径を10μmとし、構造層40の表面積が500μm×500μm以上の構造体を試作した場合、犠牲層30と基板10のエッチングにより生じたガスの圧力の影響で構造層40が破壊されてしまった。
【0073】
これに対し、第1実施形態の製造方法によると、犠牲層130のエッチングと基板110のエッチングを段階的に分けて行うことができる。このため、第1エッチング液によって犠牲層130をエッチングすることで発生したガスを空洞160から貫通孔150を通じて外部に十分に拡散させた後に、第2エッチング液によって基板110をエッチングし、空洞160内にガスを発生させることができる。また、第2実施形態と第3実施形態の製造方法によれば、形成する空洞形成層231、331の厚さを制御することによって、発生するガス量を制御することができる。
【0074】
従来の製造方法に比べて、本発明の製造方法は、構造層に加わるガス圧を減少させることができる。従って、本実施形態の製造方法によると、(1)構造層と基板の距離を離すために基板のエッチング量が多い場合や、(2)貫通孔群の孔面積の合計値が小さい場合や、(3)構造層の膜厚が薄い場合や、(4)構造層の表面積が大きい場合でも、構造層の製造不良の発生を効果的に抑制できる。この結果、構造体の歩留まり、ひいてはこの構造体を含む熱センサの歩留まりを大幅に向上させることができるという効果が得られる。
【0075】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(1)例えば第1実施形態では、熱センサ用の構造体の製造方法を例にして説明したが、第1実施形態は、例えば力学量センサ用の構造体の製造方法についても適用し得る。
(2)また、第1実施形態では、エッチング分離層が1層の構成について説明した。しかしながら、構造体を構成する材料やエッチング液等を適切に選択することで、エッチング分離層が2層以上の構成も可能であり、そのような態様に対しても本発明を適用し得る。
【0076】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は従来の製造方法によって製造された構造体の平面図を示し、(b)はその構造体のA−A線断面図を示す。
【図2】(a)は従来の製造方法におけるウエットエッチング前の構造体の平面図を示し、(b)はその構造体のA−A線断面図を示す。
【図3】(a)は従来の製造方法におけるウエットエッチング初期の構造体の平面図を示し、(b)はその構造体のA−A線断面図を示す。
【図4】(a)は従来の製造方法におけるウエットエッチング中盤の構造体の平面図を示し、(b)はその構造体のA−A線断面図を示す。
【図5】(a)は従来の製造方法におけるウエットエッチング終盤の構造体の平面図を示し、(b)はその構造体のA−A線断面図を示す。
【図6】第1実施形態の製造方法におけるエッチング分離層の形成工程を示す(1)。
【図7】第1実施形態の製造方法におけるエッチング分離層の形成工程を示す(2)。
【図8】第1実施形態の製造方法における犠牲層と構造層の形成工程を示す。
【図9】第1実施形態の製造方法における構造層への貫通孔の形成工程を示す。
【図10】第1実施形態の製造方法における第1空洞の形成工程を示す。
【図11】第1実施形態の製造方法における第2空洞の形成工程を示す。
【図12】図11の平面図を示す。
【図13】単結晶シリコン中のボロン濃度とエッチング選択比の関係を示す。
【図14】第2実施形態の製造方法のエッチング孔の形成工程を示す。
【図15】第2実施形態の製造方法の空洞の形成工程を示す。
【図16】第3実施形態の製造方法の空洞形成層の形成工程を示す。
【図17】第3実施形態の製造方法の犠牲層と構造層の形成工程を示す。
【図18】第3実施形態の製造方法のエッチング孔と電極の形成工程を示す。
【図19】第3実施形態の製造方法の空洞の形成工程を示す。
【図20】第3実施形態の製造方法の変形例を示す(1)。
【図21】第3実施形態の製造方法の変形例を示す(2)。
【符号の説明】
110:基板
120:エッチング分離層
130:犠牲層
140:構造層
150:貫通孔
160:空洞
162:第1空洞
164:第2空洞

Claims (13)

  1. 基板上にエッチング分離層を形成する工程と、
    エッチング分離層上に犠牲層を形成する工程と、
    犠牲層上に構造層を形成する工程と、
    構造層に貫通孔を形成する工程と、
    犠牲層とエッチング分離層のうち犠牲層を選択的にエッチングする第1エッチング液を、貫通孔を通じて犠牲層に供給する第1供給工程と、
    第1供給工程の後に、エッチング分離層と基板をエッチングする第2エッチング液を、貫通孔を通じてエッチング分離層と基板に供給する第2供給工程を有する構造体の製造方法。
  2. 第1エッチング液と第2エッチング液は、濃度の異なる同種のエッチング液であることを特徴とする請求項1に記載の構造体の製造方法。
  3. 第1エッチング液と第2エッチング液は、濃度の異なるアルカリ性エッチング液であり、
    基板がシリコンであり、エッチング分離層がp型不純物をドープしたシリコンであり、犠牲層がシリコンであり、構造層がシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項2に記載の構造体の製造方法。
  4. 基板に不純物をイオン注入することで、基板上にエッチング分離層を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の構造体の製造方法。
  5. 第1供給工程の終了時から所定時間経過したことを条件に、第2供給工程を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造体の製造方法。
  6. 第1供給工程による犠牲層の除去が終了したことを検知したことを条件に、第2供給工程を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造体の製造方法。
  7. 第1供給工程で発生しているガスの量が所定量以下になったことを検知したことを条件に、第2供給工程を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造体の製造方法。
  8. 所定のエッチング液によって異方性エッチングされる異方性エッチング層上に前記エッチング液によって等方性エッチングされる等方性エッチング層を形成する工程と、
    等方性エッチング層上に構造層を形成する工程と、
    構造層に貫通孔を形成する工程と、
    異方性エッチング層の底面に接する領域に、前記エッチング液によってほとんどエッチングされないエッチングストップ層を形成した状態で、貫通孔を通じて前記エッチング液を等方性エッチング層と異方性エッチング層に供給する工程を有する構造体の製造方法。
  9. 異方性エッチング層がSOI(Silicon On Insulator)基板の上側の単結晶シリコン層であり、エッチングストップ層がSOI基板の酸化シリコン層である請求項8に記載の構造体の製造方法。
  10. 異方性エッチング層が第1導電型半導体層であり、その第1導電型半導体層に接する第2導電型半導体層が形成されており、
    第1導電型半導体層と第2導電型半導体層の接合部に逆バイアス電圧を印加することで、その接合部付近にエッチングストップ層を形成する請求項8に記載の構造体の製造方法。
  11. SOI(Silicon On Insulator)基板上に構造層を形成する工程と、
    構造層に貫通孔を形成する工程と、
    SOI基板の上側の単結晶シリコン層と酸化シリコン層のうち、単結晶シリコン層を選択的にエッチングするエッチング液を、貫通孔を通じて単結晶シリコン層に供給する工程を有する構造体の製造方法。
  12. 第1導電型半導体層に接合された第2導電型半導体層を含むエッチング層上に構造層を形成する工程と、
    構造層に貫通孔を形成する工程と、
    第1導電型半導体層と第2導電型半導体層の接合部に逆バイアス電圧を印加した状態で、エッチング層をエッチングするエッチング液を、貫通孔を通じてエッチング層に供給する工程を有する構造体の製造方法。
  13. 構造体は、熱を直接的又は間接的に検知するセンサに使用される熱センサ用構造体であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の構造体の製造方法。
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