JP2004352879A - 高濃度シリコーンエマルション - Google Patents
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Abstract
【課題】化粧品、離型剤、繊維処理剤などにおいて、シリコーンを配合する際に用いる高濃度シリコーンエマルションを提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルと、平均粒子径0.1〜1.0μmのシリコーン20〜60質量とを含有することを特徴とする高濃度シリコーンエマルション。
【化1】
【効果】毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができ、また、乳化剤が特定のリン酸トリエステルであるのでイオン性がなく、化粧品等に通常配合されるアニオン乃至カチオン界面活性剤と複合塩形成等の問題を起こさない。
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルと、平均粒子径0.1〜1.0μmのシリコーン20〜60質量とを含有することを特徴とする高濃度シリコーンエマルション。
【化1】
【効果】毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができ、また、乳化剤が特定のリン酸トリエステルであるのでイオン性がなく、化粧品等に通常配合されるアニオン乃至カチオン界面活性剤と複合塩形成等の問題を起こさない。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧品、離型剤、繊維処理剤などにおいて、シリコーンを配合する際に用いる高濃度シリコーンエマルションに関し、更に詳しくは、保存安定性に優れ、他の化粧品原料などへの配合時にイオン性の制約を受けない安定性に優れた高濃度シリコーンエマルションに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、泡状スタイリング剤、ジェル状スタイリング剤、染毛剤、パーマ剤等の毛髪用化粧料、または、ボディーシャンプー、クリーム等の皮膚用化粧料等の化粧品分野において、シリコーンを配合して、毛髪等にしなやかさ、つや等を付与するために、シリコーンを配合する際、シリコーンは高粘度であるので取り扱いが困難であること、また、これらの化粧品に、均一に分散させるのが困難であるので、予め、高濃度のシリコーンを水に乳化分散させ低粘度にしたエマルションとして用いることが一般的に行われている。
【0003】
このような化粧品分野等において、シリコーンを配合する際に用いられる高濃度シリコーンエマルションにあって、リン酸エステルを乳化剤とするものとしては、例えば、本願出願人によるオクタデシルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸等液晶形成性乳化剤を用いたシリコーンエマルションの製造方法(例えば、特許文献1参照)や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸またはそのアルカリ金属塩を乳化剤とするオルガノポリシロキサンのエマルションからなる化粧品原料(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−32789号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開2001−89316号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載される製造方法では、乳化剤の種類によっては、得られるシリコーンエマルションの安定性が悪く分離する場合があったり、また、シリコーンエマルションに求められる他の化粧品原料への配合安定性あるいは分散安定性に満足がいかない場合があり、配合後、配合液が増粘したり、配合液中にクリーミングが発生したり、オルガノポリシロキサン成分が配合液から分離することがあるなどの若干の課題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載されるエマルション等では、一般的にモノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステルを多く含む場合、アニオン性が強くなり、リンス等カチオン性の化粧品や油分含有率の比較的高い化粧品中での安定性が悪く、かつ毛髪になめらかさやしなやかさが発現しにくい場合があるなどの課題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、得られるシリコーンの平均粒子径が小さく、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができ、また、化粧品等に通常配合されるアニオン乃至カチオン界面活性剤と複合塩形成等の問題を起こさないで、これらのアニオン乃至カチオン界面活性剤を多量に配合することができる高濃度シリコーンエマルションを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題について鋭意研究を行った結果、特定のリン酸トリエステルと、平均粒子径を特定の範囲とすると共に、含有量を特定の範囲としたシリコーンとを含有せしめることにより、上記目的の高濃度シリコーンエマルションが得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、下記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルと、平均粒子径0.1〜1.0μmのシリコーン20〜60質量%とを含有することを特徴とする。
【化2】
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について更に詳細に説明する。
本発明の高濃度シリコーンエマルションは、下記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルと、平均粒子径0.1〜1.0μmのシリコーン20〜60質量%とを含有することを特徴とするものである。
【化3】
【0010】
本発明に用いるリン酸トリエステルは、乳化剤として用いるものであり、上記一般式(I)で示されるものであることが必要である。
上記一般式(I)において、R、R1、R2は、各々炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基を表わすが、R、R1、R2はすべて同じでも、或いはすべて異なっていても良い。
具体的には、オクチル基、2−エチルへキシル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ドコシル基等直鎖あるいは分岐鎖で、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素であり、好ましくは炭素数10〜15のアルキル基、アルケニル基である。
なお、各々炭素数が8未満では、十分な乳化力が得られず不安定となり、また、各々炭素数が22を越えるものであると、貯蔵安定性が劣ることとなり、好ましくない。
【0011】
また、上記一般式(I)において、AO、BO、DOは、各々炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表わし、すべて同じでも、或いはすべて異なっていても良い。具体的には、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、あるいは、これらの混合物を表わす。好ましくは、オキシエチレンである。
更に、l、m、nは、各々5〜30の数を表わすが、好ましくは、5〜20である。
なお、上記AO、BO、DOが各々炭素数2〜4のオキシアルキレンでない場合、または、l、m、nが各々5〜30の範囲外となる場合は、本発明の効果を発揮することができないものとなる。
【0012】
具体的に用いることができる上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルとしては、下記の化合物が例示される。なお、これらの化合物中( )内の数字は、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
具体的には、トリポリオキシエチレン(5)ヘキサデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(30)ドコサノイルエーテルリン酸エステルなどを用いることができる。これらは各単独で、または、2種以上混合して用いることができる。
なお、本発明における上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルは、相応するアルキル(アルケニル)アルコールアルコキシレートとオキシ塩化リン乃至五酸化リン等との通常の反応により得ることができるが、その際に副生する相応のリン酸ジエステル、リン酸モノエステル及び未反応の相応するアルコキシレートは本発明の効果を損なわない範囲内で含有していてもかまわない。具体的には、リン酸トリエステル、リン酸ジエステル、リン酸モノエステル及び未反応のアルコキシレート全体に対して、リン酸トリエステルを少なくとも10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、更に好ましくは、50質量%以上含む。
【0013】
上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルからなる乳化剤の量は、ベース油として使用されるシリコーン100質量部に対して、好ましくは、0.5〜70質量部を含有すれば良く、更に好ましくは、1〜30質量部である。
この乳化剤の量が0.5質量部未満であると、十分な乳化力が得られず、不安定となり、また、70質量部を越えると、シリコーン本来の効果が発揮できないこととなり、好ましくない。
【0014】
本発明に用いるシリコーンとしては、従来から知られているものが使用でき、例えば、ポリジメチルシロキサン、α、ω−ビス(ヒドロキシ)ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルシロキサンなどが挙げられ、これらは、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
これらのジオルガノポリシロキサンの粘度は、1,000mm2/s(25℃、以下同じ)程度から、1,000,000mm2/sであることが好ましい。
【0015】
本発明において、エマルション中のシリコーンの平均粒子径は、0.1〜1.0μmであることが必要であり、好ましくは、0.2〜0.7μmとすることが望ましい。
このエマルション中のシリコーンの平均粒子径を0.1μm未満の粒径にすることは、低剪断力の装置等では製造能力の面で不都合であり、また、1.0μmより大きい粒径では、貯蔵安定性の点で不充分となり、更に、皮膚や毛髪等になめらかさ、つや、しなやかさを与えるのに、好ましくない。
なお、用いるシリコーンの平均粒子径を0.1〜1.0μmに調整する方法は、本発明と同一出願人の特開平5−32789号公報記載の乳化法をはじめ、特開平10−306013号公報記載のD相乳化法、高温乳化法、転相乳化法などの一般的な方法により容易に行うことができる。
【0016】
本発明において、上記シリコーンの濃度はエマルション中において、20〜60質量%とすることが必要であり、好ましくは、25〜55質量%とすることが望ましい。
このシリコーンの濃度が20質量%未満では、化粧品等へ配合する際の経済性の点で不充分であり、また、60質量%を超えると、貯蔵安定性の点で不具合があり、好ましくない。
【0017】
本発明において、高濃度シリコーンエマルションを製造する装置としては、例えば、高圧乳化機、ホモミキサー、コロイドミルなどの高剪断力乳化装置でも製造可能であるが、本発明においてはそのような高剪断力を必要とせず、低剪断力(例えば、5m/sec以下)の一般的な攪拌装置でよく、本発明と同一出願人の特開平5−32789号公報記載のパドル形、プロペラ形、タービン形、いかり形、リボン形等の一般的な攪拌機で、製造することができる。
【0018】
本発明の高濃度シリコーンエマルションは、上記各成分を均一に混合することにより容易に製造することができるので、その製造方法は特に限定されるものではないが、上述の特開平5−32789号公報記載の方法が、特に製造時間が少なく、低粘度で、かつ経日安定性の良好な所望のエマルションが得られるため好ましい。以下に、この好ましい製造方法を例示しながら説明する。
(a)工程:まず、乳化剤の液晶を形成させる。これは、リン酸トリエステルに液晶相を形成するに足る量の水を添加することにより行うことができる。
(b)工程:次いで、上記(a)工程で得られた液晶と、エマルション化するシリコーンの一部とを均一に混合攪拌する。
(c)工程:次いで、上記(b)工程で得られた均一混合物にシリコーン残部を添加して均一に混合攪拌する。なお、この残部は一度に添加しても、さらに多段に分けて分割添加してもよい。
(d) 工程:次いで、(c)工程で得られた均一混合物に水を添加すると、転相し、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μm以下で粘度が1000mPa・s以下の低度であって経日安定性が高いシリコーンの水中油型エマルションが得られる。
【0019】
本発明の高濃度シリコーンエマルションにおいて、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品原料等に使用されている従来公知の各種界面活性剤を含有せしめることができる。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン基を含有する変性シリコーンオイル等のノニオン系界面活性剤;アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸、N‐アシルアミノ酸、アルキルスルホカルボン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸と、それらの塩等のアニオン界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、アミドアミン塩等のカチオン系界面活性剤;アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤が挙げられる。
これら界面活性剤は、単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
また、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、上記各成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、エタノールやフェノキシエタノールのようなアルコール系、グリコール系等の溶剤、p−ヒドロキシ安息香酸アルキル、安息香酸塩、クエン酸等の防腐剤、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン性デキストラン、グアーガム、ポリビニルアルコール、ベントナイト、ゼラチン、カゼイン等の増粘剤等も併用することができる。
【0021】
本発明のシリコーン高濃度エマルションのpHは、1.5〜7.0とすることが好ましい。
このエマルションのpHが1.5未満の強酸性では、リン酸トリエステル又はシリコーンの分解が生ずる可能性があり、また、7.0を越えて大であると、該エマルションの安定性に悪影響を与えることとなり、好ましくない。
【0022】
このように構成される高濃度シリコーンエマルションの利用分野としては、例えば、化粧品、離型剤、繊維処理剤等の分野が挙げられるが、特に化粧品分野において好ましく用いることができる。
すなわち、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与することに好適であるので、このような特性を生かして、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアトニック、ヘアスプレー、液状スタイリング剤、泡状スタイリング剤、ジェル状スタイリング剤、ヘアリキッド、育毛剤、養毛剤、染毛剤、パーマ剤、枝毛防止剤等の毛髪化粧品の原料、並びに、ハンドクリーム、化粧水、乳液、スキンクリーム、ファウンデーション、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、洗顔料、ボディーソープ、制汗剤等の皮膚化粧品の原料としても有用である。
【0023】
このように構成される高濃度シリコーンエマルションは、得られるシリコーンの平均粒子径が小さく、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができ、また、乳化剤が上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルであるのでイオン性がなく、化粧品等に通常配合されるアニオン乃至カチオン界面活性剤と複合塩形成等の問題を起こさないで、これらのアニオン乃至カチオン界面活性剤を多量に配合することができるものとなる。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的かつ詳細に説明するが本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〜7及び比較例1〜6〕
下記表1に示す各乳化剤〔上記一般式(I)のR、R1、R2、AO、BO、DO、l、m、nが夫々下記表1に記載されるものとなる各リン酸トリエステル〕A〜Jを用いて、下記に記載の各製造方法により各高濃度シリコーンエマルションを調製した。なお、部、%はすべて質量基準である。
【0026】
【表1】
【0027】
(実施例1)
容量500mlステンレス製ビーカーで、下記表1に示した乳化剤Aを8部と、精製水4部とを混合して液晶を形成させた。これに、油相としてジメチルシリコーン(10万mm2/s)50部を加えプロペラ撹拌機で混合した。
均一にした後、更に、ジメチルシリコーン(10万mm2/s)50部を加え混合し粘稠な透明状態になったら、希釈用精製水88部を加え、再び混合して実施例1のエマルションを得た。
なお、以下の実施例2〜7及び比較例1〜6においても、上記実施例1と同様のステンレス製ビーカー、プロペラ攪拌機、ジメチルシリコーンを用い、下記のように各エマルションを調製した。
【0028】
(実施例2)
乳化剤Aを12部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン60部を加え、混合均一にした後、更にジメチルシリコーン60部を加え混合した。次いで、希釈用精製水64部を加え再び混合し実施例2のエマルションを得た。
【0029】
(実施例3)
乳化剤Aを12部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン30部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン30部を加え混合した。次いで、希釈用精製水124部を加え、再び混合し実施例3のエマルションを得た。
【0030】
(実施例4)
乳化剤Bを30部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン50部を加え、混合均一にした後、更にジメチルシリコーン50部を加え混合した。次いで、希釈用精製水66部を加え再び混合し実施例4のエマルションを得た。
【0031】
(実施例5)
乳化剤Cを0.6部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン30部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン30部を加え混合した。次いで、希釈用精製水135.4部を加え、再び混合し実施例5のエマルションを得た。
【0032】
(実施例6)
乳化剤Dを10部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン50部を加え、混合均一にした後、更にジメチルシリコーン50部を加え混合した。次いで、希釈用精製水86部を加え、再び混合し実施例6のエマルションを得た。
【0033】
(実施例7)
乳化剤Eを30部と、精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン60部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン60部を加え混合した。次いで、希釈用精製水46部を加え、再び混合し実施例7のエマルションを得た。
【0034】
(比較例1)
乳化剤Fを8部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン40部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水108部を加え再び混合し比較例1のエマルションを得た。
【0035】
(比較例2)
乳化剤Gを10部と精製水4部とを混合し、これに油相としてジメチルシリコーン40部を加え混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水106部を加え、再び混合し比較例2のエマルションを得た。
【0036】
(比較例3)
乳化剤Aを12部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン62部を加え混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン62部を加え混合した。次いで、希釈用精製水60部を加え、再び混合し比較例3のエマルションを得た。
【0037】
(比較例4)
乳化剤Hを20部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン40部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水96部を加え再び混合し比較例4のエマルションを得た。
【0038】
(比較例5)
乳化剤Iを10部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン50部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン50部を加え混合した。次いで、希釈用精製水86部を加え、再び混合し比較例5のエマルションを得た。
【0039】
(比較例6)
乳化剤Jを20部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン40部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水96部を加え、再び混合し比較例6のエマルションを得た。
【0040】
得られた実施例1〜7及び比較例1〜6の各エマルションについて、下記方法により、平均粒子径、経日安定性、pH、製造直後の粘度及び50℃、1ヵ月後の粘度を測定等した。
これらの結果を下記表2に示す。
【0041】
(平均粒子径の測定方法)
各エマルション(25℃)を日機装社製、マイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。
【0042】
(経日安定性の評価方法)
得られた各エマルションをガラス製容器に50ml入れ、50℃の恒温槽で1ヵ月放置した後、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:50℃、1ヵ月で分離、油浮きが見られない。
×:50℃、1ヵ月で分離、または油浮きが見られる。
【0043】
(pHの測定方法)
各エマルション(25℃)をホリバ社製、ガラスpH電極を用いて測定した。
【0044】
(製造直後の粘度及び50℃、1カ月後の粘度の測定方法)
製造直後の各エマルション(25℃)及び50℃の恒温槽で1ヵ月放置した後の各粘度をTOKIMEC社製、ブルックフィールド粘度計を用いて測定した。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜7は、本発明の範囲外となる比較例1〜6に較べて、得られるシリコーンの平均粒子径は小さく、経日安定性も良好で、かつ低粘度となることが判明した。
【0047】
〔実施例8〜17及び比較例7〜11〕
以下に、本発明のシリコーンエマルション等を各種化粧料(シャンプー、リンス、化粧水、美白クリーム、ファンデーション)に配合し、下記各方法により分離安定性と使用感を評価した。
下記表3、5、7、9、11には各化粧料の配合組成を、下記表4、6、8、10、12には各化粧料の分離安定性と使用感の評価結果等を記載した。
【0048】
<分離安定性の評価方法>
各成分を配合して、均一混合した後、得られた各化粧料について、25℃にて各自特定日数経過後の外観を、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:分離、油浮きが見られない。
×:分離、または油浮きが見られる
【0049】
<使用感の評価方法>
各化粧料について、実使用して、すすぎ時のきしみのなさ、乾燥後のなめらかさ、すすぎ時のなめらかさ、肌なめらかさ、及び肌しっとり感の使用感を専門パネラー(6名)により総合的に官能評価し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:良好
△:普通
×:良くない
【0050】
〔実施例8〜9及び比較例7、シャンプーへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例1,2及び比較例1の各々を用いて、下記表3に示す各配合組成において、シリコーンエマルション以外の成分を室温下で攪拌した後、シリコーンエマルションを添加し、更に攪拌してシャンプーを調製した。
各シャンプーの評価結果(分離安定性、すすぎ時のきしみのなさ、乾燥後のなめらかさ)を下記表4に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
〔実施例10〜11及び比較例8、リンスへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例1,2及び比較例6の各々を用いて、下記表5に示す各配合組成において、精製水に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、プロピレングリコールを加え、70℃に保った水相に、シリコーンエマルション以外の成分を混合し、加熱融解し70℃に保った油相を加えホモミキサーで乳化後、攪拌しながら冷却し、ここに各シリコーンエマルションを添加して各リンスを調製した。
各リンスの評価結果(分離安定性、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ)を下記表6に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
〔実施例12〜13及び比較例9、化粧水への配合〕
シリコーンエマルションは実施例3,4及び比較例4の各々を用いて、下記表7に示す各配合組成において、精製水に1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、フェノキシエタノール、エデト酸を室温下にて溶解し水相とする。エタノールにポリオキシエチレン(20)ソルビタン、イソステアリルアルコール、カルボキシビニルポリマーを溶解しエタノール相とする。このエタノール相を水相に添加し可溶化して、更にシリコーンエマルションを添加し各化粧水を調製した。
得られた各化粧水の評価結果(分離安定性、肌なめらかさ、肌しっとり感)を下記表8に示す。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
〔実施例14〜15及び比較例10、美白クリームへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例5,6及び比較例2の各々を用いて、下記表9に示す各配合組成において、精製水にグリセリンを添加して70℃に加熱撹拌して水相とした。一方、ステアリルアルコール、ステアリン酸、スクワラン、ワセリン、モノステアリン酸グリセリン、POE(30)モノステアリルアルコールエーテル、パラオキシ安息香酸プロピルを加熱溶解し撹拌混合し、70℃に調製して油相とした。先に調製した水相を撹拌しながら、油相を徐々に添加し、予備乳化を行った。次いで、減圧下でホモミキサー処理を行い、冷却後、シリコーンエマルション、エラグ酸水分散液、エタノールを添加し、ホモミキサーで撹拌して、各美白クリームを調製した。
【0060】
なお、配合成分中の美白成分であるエラグ酸分散液は、以下の方法で製造した。
下記A液50部と、下記B液50部とを容器に入れ、室温にてパドル攪拌で良く混合し、均一なエラグ酸10%分散液を得た。
A液:エラグ酸粉末20部と精製水79.6部および第一リン酸ナトリウム0.4部を合わせ、超音波粉砕機でエラグ酸の平均粒子径が50μmになるまで微粒子化処理を行った。
B液:キサンタンガム1部、プロピレングリコール4部、フェノキシエタノール2部、精製水93部を合わせ、80℃でパドルで攪拌しながら均一溶解させた。
得られた各美白クリームの評価結果(分離安定性、肌なめらかさ、肌しっとり感)を下記表10に示す。
【0061】
【表9】
【0062】
【表10】
【0063】
〔実施例16〜17及び比較例11、ファンデーションへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例1,7及び比較例4の各々を用いて、下記表11に示す各配合組成において、水相を攪拌後、十分に粉砕された粉体部を攪拌しながら添加し、70℃でホモミキサー処理した。次いで、70℃に加温した油相を徐々に添加し70℃でホモミキサー処理した。これを攪拌しながら冷却し脱気して各のファンデーションを調製した。
得られた各ファンデーションの評価結果(分離安定性、肌なめらかさ、肌しっとり感)を下記表12に示す。
【0064】
【表11】
【0065】
【表12】
【0066】
上記表3〜表12の結果を考察すると、本発明範囲となるシリコーンエマルションを用いた実施例8〜17の各種化粧料(シャンプー、リンス、化粧水、美白クリーム、ファンデーション)は、本発明の範囲外となるシリコーンエマルションを用いた比較例7〜11の各種化粧料(シャンプー、リンス、化粧水、美白クリーム、ファンデーション)に較べて、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができることが判明した。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、低粘度で平均粒子径の細かい高濃度シリコーンエマルションを容易に製造することができると共に、低粘度であるので、シャンプー、リンス等の処方に容易に均一配合することができ、また、平均粒子径が細かいので、ヘアケア分野においては毛髪にしなやかさ、つや等の効果を十分に発揮させることができ、スキンケア分野においては、皮膚に、つやを充分に発揮することができる高濃度シリコーンエマルションが提供される。
また、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、経日安定性に優れると共に、乳化剤として用いるリン酸トリエステルは、イオン性がないので、化粧品等の各種製品において一般に配合される非イオン系界面活性剤はもちろんのこと、アニオン系、カチオン系の界面活性剤、高分子、その他の添加剤と、何ら相互作用がないので、アニオン系、カチオン系の各種添加剤の化粧品等への配合量を自由に設定できるという利点を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧品、離型剤、繊維処理剤などにおいて、シリコーンを配合する際に用いる高濃度シリコーンエマルションに関し、更に詳しくは、保存安定性に優れ、他の化粧品原料などへの配合時にイオン性の制約を受けない安定性に優れた高濃度シリコーンエマルションに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、泡状スタイリング剤、ジェル状スタイリング剤、染毛剤、パーマ剤等の毛髪用化粧料、または、ボディーシャンプー、クリーム等の皮膚用化粧料等の化粧品分野において、シリコーンを配合して、毛髪等にしなやかさ、つや等を付与するために、シリコーンを配合する際、シリコーンは高粘度であるので取り扱いが困難であること、また、これらの化粧品に、均一に分散させるのが困難であるので、予め、高濃度のシリコーンを水に乳化分散させ低粘度にしたエマルションとして用いることが一般的に行われている。
【0003】
このような化粧品分野等において、シリコーンを配合する際に用いられる高濃度シリコーンエマルションにあって、リン酸エステルを乳化剤とするものとしては、例えば、本願出願人によるオクタデシルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸等液晶形成性乳化剤を用いたシリコーンエマルションの製造方法(例えば、特許文献1参照)や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸またはそのアルカリ金属塩を乳化剤とするオルガノポリシロキサンのエマルションからなる化粧品原料(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−32789号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】
特開2001−89316号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載される製造方法では、乳化剤の種類によっては、得られるシリコーンエマルションの安定性が悪く分離する場合があったり、また、シリコーンエマルションに求められる他の化粧品原料への配合安定性あるいは分散安定性に満足がいかない場合があり、配合後、配合液が増粘したり、配合液中にクリーミングが発生したり、オルガノポリシロキサン成分が配合液から分離することがあるなどの若干の課題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載されるエマルション等では、一般的にモノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステルを多く含む場合、アニオン性が強くなり、リンス等カチオン性の化粧品や油分含有率の比較的高い化粧品中での安定性が悪く、かつ毛髪になめらかさやしなやかさが発現しにくい場合があるなどの課題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、得られるシリコーンの平均粒子径が小さく、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができ、また、化粧品等に通常配合されるアニオン乃至カチオン界面活性剤と複合塩形成等の問題を起こさないで、これらのアニオン乃至カチオン界面活性剤を多量に配合することができる高濃度シリコーンエマルションを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題について鋭意研究を行った結果、特定のリン酸トリエステルと、平均粒子径を特定の範囲とすると共に、含有量を特定の範囲としたシリコーンとを含有せしめることにより、上記目的の高濃度シリコーンエマルションが得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、下記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルと、平均粒子径0.1〜1.0μmのシリコーン20〜60質量%とを含有することを特徴とする。
【化2】
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について更に詳細に説明する。
本発明の高濃度シリコーンエマルションは、下記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルと、平均粒子径0.1〜1.0μmのシリコーン20〜60質量%とを含有することを特徴とするものである。
【化3】
【0010】
本発明に用いるリン酸トリエステルは、乳化剤として用いるものであり、上記一般式(I)で示されるものであることが必要である。
上記一般式(I)において、R、R1、R2は、各々炭素数8〜22のアルキル基、アルケニル基を表わすが、R、R1、R2はすべて同じでも、或いはすべて異なっていても良い。
具体的には、オクチル基、2−エチルへキシル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ドコシル基等直鎖あるいは分岐鎖で、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素であり、好ましくは炭素数10〜15のアルキル基、アルケニル基である。
なお、各々炭素数が8未満では、十分な乳化力が得られず不安定となり、また、各々炭素数が22を越えるものであると、貯蔵安定性が劣ることとなり、好ましくない。
【0011】
また、上記一般式(I)において、AO、BO、DOは、各々炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表わし、すべて同じでも、或いはすべて異なっていても良い。具体的には、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、あるいは、これらの混合物を表わす。好ましくは、オキシエチレンである。
更に、l、m、nは、各々5〜30の数を表わすが、好ましくは、5〜20である。
なお、上記AO、BO、DOが各々炭素数2〜4のオキシアルキレンでない場合、または、l、m、nが各々5〜30の範囲外となる場合は、本発明の効果を発揮することができないものとなる。
【0012】
具体的に用いることができる上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルとしては、下記の化合物が例示される。なお、これらの化合物中( )内の数字は、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
具体的には、トリポリオキシエチレン(5)ヘキサデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(6)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(8)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(10)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)ドデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)トリデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)テトラデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(20)ペンタデシルエーテルリン酸エステル、トリポリオキシエチレン(30)ドコサノイルエーテルリン酸エステルなどを用いることができる。これらは各単独で、または、2種以上混合して用いることができる。
なお、本発明における上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルは、相応するアルキル(アルケニル)アルコールアルコキシレートとオキシ塩化リン乃至五酸化リン等との通常の反応により得ることができるが、その際に副生する相応のリン酸ジエステル、リン酸モノエステル及び未反応の相応するアルコキシレートは本発明の効果を損なわない範囲内で含有していてもかまわない。具体的には、リン酸トリエステル、リン酸ジエステル、リン酸モノエステル及び未反応のアルコキシレート全体に対して、リン酸トリエステルを少なくとも10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、更に好ましくは、50質量%以上含む。
【0013】
上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルからなる乳化剤の量は、ベース油として使用されるシリコーン100質量部に対して、好ましくは、0.5〜70質量部を含有すれば良く、更に好ましくは、1〜30質量部である。
この乳化剤の量が0.5質量部未満であると、十分な乳化力が得られず、不安定となり、また、70質量部を越えると、シリコーン本来の効果が発揮できないこととなり、好ましくない。
【0014】
本発明に用いるシリコーンとしては、従来から知られているものが使用でき、例えば、ポリジメチルシロキサン、α、ω−ビス(ヒドロキシ)ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルシロキサンなどが挙げられ、これらは、単独で又は2種以上混合して使用することができる。
これらのジオルガノポリシロキサンの粘度は、1,000mm2/s(25℃、以下同じ)程度から、1,000,000mm2/sであることが好ましい。
【0015】
本発明において、エマルション中のシリコーンの平均粒子径は、0.1〜1.0μmであることが必要であり、好ましくは、0.2〜0.7μmとすることが望ましい。
このエマルション中のシリコーンの平均粒子径を0.1μm未満の粒径にすることは、低剪断力の装置等では製造能力の面で不都合であり、また、1.0μmより大きい粒径では、貯蔵安定性の点で不充分となり、更に、皮膚や毛髪等になめらかさ、つや、しなやかさを与えるのに、好ましくない。
なお、用いるシリコーンの平均粒子径を0.1〜1.0μmに調整する方法は、本発明と同一出願人の特開平5−32789号公報記載の乳化法をはじめ、特開平10−306013号公報記載のD相乳化法、高温乳化法、転相乳化法などの一般的な方法により容易に行うことができる。
【0016】
本発明において、上記シリコーンの濃度はエマルション中において、20〜60質量%とすることが必要であり、好ましくは、25〜55質量%とすることが望ましい。
このシリコーンの濃度が20質量%未満では、化粧品等へ配合する際の経済性の点で不充分であり、また、60質量%を超えると、貯蔵安定性の点で不具合があり、好ましくない。
【0017】
本発明において、高濃度シリコーンエマルションを製造する装置としては、例えば、高圧乳化機、ホモミキサー、コロイドミルなどの高剪断力乳化装置でも製造可能であるが、本発明においてはそのような高剪断力を必要とせず、低剪断力(例えば、5m/sec以下)の一般的な攪拌装置でよく、本発明と同一出願人の特開平5−32789号公報記載のパドル形、プロペラ形、タービン形、いかり形、リボン形等の一般的な攪拌機で、製造することができる。
【0018】
本発明の高濃度シリコーンエマルションは、上記各成分を均一に混合することにより容易に製造することができるので、その製造方法は特に限定されるものではないが、上述の特開平5−32789号公報記載の方法が、特に製造時間が少なく、低粘度で、かつ経日安定性の良好な所望のエマルションが得られるため好ましい。以下に、この好ましい製造方法を例示しながら説明する。
(a)工程:まず、乳化剤の液晶を形成させる。これは、リン酸トリエステルに液晶相を形成するに足る量の水を添加することにより行うことができる。
(b)工程:次いで、上記(a)工程で得られた液晶と、エマルション化するシリコーンの一部とを均一に混合攪拌する。
(c)工程:次いで、上記(b)工程で得られた均一混合物にシリコーン残部を添加して均一に混合攪拌する。なお、この残部は一度に添加しても、さらに多段に分けて分割添加してもよい。
(d) 工程:次いで、(c)工程で得られた均一混合物に水を添加すると、転相し、粒子の平均粒子径が0.1〜1.0μm以下で粘度が1000mPa・s以下の低度であって経日安定性が高いシリコーンの水中油型エマルションが得られる。
【0019】
本発明の高濃度シリコーンエマルションにおいて、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品原料等に使用されている従来公知の各種界面活性剤を含有せしめることができる。
このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン基を含有する変性シリコーンオイル等のノニオン系界面活性剤;アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸、N‐アシルアミノ酸、アルキルスルホカルボン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸と、それらの塩等のアニオン界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩、アミドアミン塩等のカチオン系界面活性剤;アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤が挙げられる。
これら界面活性剤は、単独で使用してもよく、また複数を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
また、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、上記各成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、エタノールやフェノキシエタノールのようなアルコール系、グリコール系等の溶剤、p−ヒドロキシ安息香酸アルキル、安息香酸塩、クエン酸等の防腐剤、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン性デキストラン、グアーガム、ポリビニルアルコール、ベントナイト、ゼラチン、カゼイン等の増粘剤等も併用することができる。
【0021】
本発明のシリコーン高濃度エマルションのpHは、1.5〜7.0とすることが好ましい。
このエマルションのpHが1.5未満の強酸性では、リン酸トリエステル又はシリコーンの分解が生ずる可能性があり、また、7.0を越えて大であると、該エマルションの安定性に悪影響を与えることとなり、好ましくない。
【0022】
このように構成される高濃度シリコーンエマルションの利用分野としては、例えば、化粧品、離型剤、繊維処理剤等の分野が挙げられるが、特に化粧品分野において好ましく用いることができる。
すなわち、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与することに好適であるので、このような特性を生かして、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアトニック、ヘアスプレー、液状スタイリング剤、泡状スタイリング剤、ジェル状スタイリング剤、ヘアリキッド、育毛剤、養毛剤、染毛剤、パーマ剤、枝毛防止剤等の毛髪化粧品の原料、並びに、ハンドクリーム、化粧水、乳液、スキンクリーム、ファウンデーション、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、洗顔料、ボディーソープ、制汗剤等の皮膚化粧品の原料としても有用である。
【0023】
このように構成される高濃度シリコーンエマルションは、得られるシリコーンの平均粒子径が小さく、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができ、また、乳化剤が上記一般式(I)で示されるリン酸トリエステルであるのでイオン性がなく、化粧品等に通常配合されるアニオン乃至カチオン界面活性剤と複合塩形成等の問題を起こさないで、これらのアニオン乃至カチオン界面活性剤を多量に配合することができるものとなる。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的かつ詳細に説明するが本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〜7及び比較例1〜6〕
下記表1に示す各乳化剤〔上記一般式(I)のR、R1、R2、AO、BO、DO、l、m、nが夫々下記表1に記載されるものとなる各リン酸トリエステル〕A〜Jを用いて、下記に記載の各製造方法により各高濃度シリコーンエマルションを調製した。なお、部、%はすべて質量基準である。
【0026】
【表1】
【0027】
(実施例1)
容量500mlステンレス製ビーカーで、下記表1に示した乳化剤Aを8部と、精製水4部とを混合して液晶を形成させた。これに、油相としてジメチルシリコーン(10万mm2/s)50部を加えプロペラ撹拌機で混合した。
均一にした後、更に、ジメチルシリコーン(10万mm2/s)50部を加え混合し粘稠な透明状態になったら、希釈用精製水88部を加え、再び混合して実施例1のエマルションを得た。
なお、以下の実施例2〜7及び比較例1〜6においても、上記実施例1と同様のステンレス製ビーカー、プロペラ攪拌機、ジメチルシリコーンを用い、下記のように各エマルションを調製した。
【0028】
(実施例2)
乳化剤Aを12部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン60部を加え、混合均一にした後、更にジメチルシリコーン60部を加え混合した。次いで、希釈用精製水64部を加え再び混合し実施例2のエマルションを得た。
【0029】
(実施例3)
乳化剤Aを12部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン30部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン30部を加え混合した。次いで、希釈用精製水124部を加え、再び混合し実施例3のエマルションを得た。
【0030】
(実施例4)
乳化剤Bを30部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン50部を加え、混合均一にした後、更にジメチルシリコーン50部を加え混合した。次いで、希釈用精製水66部を加え再び混合し実施例4のエマルションを得た。
【0031】
(実施例5)
乳化剤Cを0.6部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン30部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン30部を加え混合した。次いで、希釈用精製水135.4部を加え、再び混合し実施例5のエマルションを得た。
【0032】
(実施例6)
乳化剤Dを10部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン50部を加え、混合均一にした後、更にジメチルシリコーン50部を加え混合した。次いで、希釈用精製水86部を加え、再び混合し実施例6のエマルションを得た。
【0033】
(実施例7)
乳化剤Eを30部と、精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン60部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン60部を加え混合した。次いで、希釈用精製水46部を加え、再び混合し実施例7のエマルションを得た。
【0034】
(比較例1)
乳化剤Fを8部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン40部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水108部を加え再び混合し比較例1のエマルションを得た。
【0035】
(比較例2)
乳化剤Gを10部と精製水4部とを混合し、これに油相としてジメチルシリコーン40部を加え混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水106部を加え、再び混合し比較例2のエマルションを得た。
【0036】
(比較例3)
乳化剤Aを12部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン62部を加え混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン62部を加え混合した。次いで、希釈用精製水60部を加え、再び混合し比較例3のエマルションを得た。
【0037】
(比較例4)
乳化剤Hを20部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン40部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水96部を加え再び混合し比較例4のエマルションを得た。
【0038】
(比較例5)
乳化剤Iを10部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン50部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン50部を加え混合した。次いで、希釈用精製水86部を加え、再び混合し比較例5のエマルションを得た。
【0039】
(比較例6)
乳化剤Jを20部と精製水4部とを混合し、これに油相のジメチルシリコーン40部を加え、混合均一にした後、更に、ジメチルシリコーン40部を加え混合した。次いで、希釈用精製水96部を加え、再び混合し比較例6のエマルションを得た。
【0040】
得られた実施例1〜7及び比較例1〜6の各エマルションについて、下記方法により、平均粒子径、経日安定性、pH、製造直後の粘度及び50℃、1ヵ月後の粘度を測定等した。
これらの結果を下記表2に示す。
【0041】
(平均粒子径の測定方法)
各エマルション(25℃)を日機装社製、マイクロトラック粒度分布計を用いて測定した。
【0042】
(経日安定性の評価方法)
得られた各エマルションをガラス製容器に50ml入れ、50℃の恒温槽で1ヵ月放置した後、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:50℃、1ヵ月で分離、油浮きが見られない。
×:50℃、1ヵ月で分離、または油浮きが見られる。
【0043】
(pHの測定方法)
各エマルション(25℃)をホリバ社製、ガラスpH電極を用いて測定した。
【0044】
(製造直後の粘度及び50℃、1カ月後の粘度の測定方法)
製造直後の各エマルション(25℃)及び50℃の恒温槽で1ヵ月放置した後の各粘度をTOKIMEC社製、ブルックフィールド粘度計を用いて測定した。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表2の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜7は、本発明の範囲外となる比較例1〜6に較べて、得られるシリコーンの平均粒子径は小さく、経日安定性も良好で、かつ低粘度となることが判明した。
【0047】
〔実施例8〜17及び比較例7〜11〕
以下に、本発明のシリコーンエマルション等を各種化粧料(シャンプー、リンス、化粧水、美白クリーム、ファンデーション)に配合し、下記各方法により分離安定性と使用感を評価した。
下記表3、5、7、9、11には各化粧料の配合組成を、下記表4、6、8、10、12には各化粧料の分離安定性と使用感の評価結果等を記載した。
【0048】
<分離安定性の評価方法>
各成分を配合して、均一混合した後、得られた各化粧料について、25℃にて各自特定日数経過後の外観を、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:分離、油浮きが見られない。
×:分離、または油浮きが見られる
【0049】
<使用感の評価方法>
各化粧料について、実使用して、すすぎ時のきしみのなさ、乾燥後のなめらかさ、すすぎ時のなめらかさ、肌なめらかさ、及び肌しっとり感の使用感を専門パネラー(6名)により総合的に官能評価し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:良好
△:普通
×:良くない
【0050】
〔実施例8〜9及び比較例7、シャンプーへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例1,2及び比較例1の各々を用いて、下記表3に示す各配合組成において、シリコーンエマルション以外の成分を室温下で攪拌した後、シリコーンエマルションを添加し、更に攪拌してシャンプーを調製した。
各シャンプーの評価結果(分離安定性、すすぎ時のきしみのなさ、乾燥後のなめらかさ)を下記表4に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
〔実施例10〜11及び比較例8、リンスへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例1,2及び比較例6の各々を用いて、下記表5に示す各配合組成において、精製水に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、プロピレングリコールを加え、70℃に保った水相に、シリコーンエマルション以外の成分を混合し、加熱融解し70℃に保った油相を加えホモミキサーで乳化後、攪拌しながら冷却し、ここに各シリコーンエマルションを添加して各リンスを調製した。
各リンスの評価結果(分離安定性、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のなめらかさ)を下記表6に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
〔実施例12〜13及び比較例9、化粧水への配合〕
シリコーンエマルションは実施例3,4及び比較例4の各々を用いて、下記表7に示す各配合組成において、精製水に1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、フェノキシエタノール、エデト酸を室温下にて溶解し水相とする。エタノールにポリオキシエチレン(20)ソルビタン、イソステアリルアルコール、カルボキシビニルポリマーを溶解しエタノール相とする。このエタノール相を水相に添加し可溶化して、更にシリコーンエマルションを添加し各化粧水を調製した。
得られた各化粧水の評価結果(分離安定性、肌なめらかさ、肌しっとり感)を下記表8に示す。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
〔実施例14〜15及び比較例10、美白クリームへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例5,6及び比較例2の各々を用いて、下記表9に示す各配合組成において、精製水にグリセリンを添加して70℃に加熱撹拌して水相とした。一方、ステアリルアルコール、ステアリン酸、スクワラン、ワセリン、モノステアリン酸グリセリン、POE(30)モノステアリルアルコールエーテル、パラオキシ安息香酸プロピルを加熱溶解し撹拌混合し、70℃に調製して油相とした。先に調製した水相を撹拌しながら、油相を徐々に添加し、予備乳化を行った。次いで、減圧下でホモミキサー処理を行い、冷却後、シリコーンエマルション、エラグ酸水分散液、エタノールを添加し、ホモミキサーで撹拌して、各美白クリームを調製した。
【0060】
なお、配合成分中の美白成分であるエラグ酸分散液は、以下の方法で製造した。
下記A液50部と、下記B液50部とを容器に入れ、室温にてパドル攪拌で良く混合し、均一なエラグ酸10%分散液を得た。
A液:エラグ酸粉末20部と精製水79.6部および第一リン酸ナトリウム0.4部を合わせ、超音波粉砕機でエラグ酸の平均粒子径が50μmになるまで微粒子化処理を行った。
B液:キサンタンガム1部、プロピレングリコール4部、フェノキシエタノール2部、精製水93部を合わせ、80℃でパドルで攪拌しながら均一溶解させた。
得られた各美白クリームの評価結果(分離安定性、肌なめらかさ、肌しっとり感)を下記表10に示す。
【0061】
【表9】
【0062】
【表10】
【0063】
〔実施例16〜17及び比較例11、ファンデーションへの配合〕
シリコーンエマルションは実施例1,7及び比較例4の各々を用いて、下記表11に示す各配合組成において、水相を攪拌後、十分に粉砕された粉体部を攪拌しながら添加し、70℃でホモミキサー処理した。次いで、70℃に加温した油相を徐々に添加し70℃でホモミキサー処理した。これを攪拌しながら冷却し脱気して各のファンデーションを調製した。
得られた各ファンデーションの評価結果(分離安定性、肌なめらかさ、肌しっとり感)を下記表12に示す。
【0064】
【表11】
【0065】
【表12】
【0066】
上記表3〜表12の結果を考察すると、本発明範囲となるシリコーンエマルションを用いた実施例8〜17の各種化粧料(シャンプー、リンス、化粧水、美白クリーム、ファンデーション)は、本発明の範囲外となるシリコーンエマルションを用いた比較例7〜11の各種化粧料(シャンプー、リンス、化粧水、美白クリーム、ファンデーション)に較べて、毛髪等に付着しやすく、かつ、しなやかさ等のシリコーン本来の効果を付与し、経日安定性も良好で、かつ低粘度で、シャンプー、リンス等への配合においても、簡単な攪拌機を用いて、容易に行うことができることが判明した。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、低粘度で平均粒子径の細かい高濃度シリコーンエマルションを容易に製造することができると共に、低粘度であるので、シャンプー、リンス等の処方に容易に均一配合することができ、また、平均粒子径が細かいので、ヘアケア分野においては毛髪にしなやかさ、つや等の効果を十分に発揮させることができ、スキンケア分野においては、皮膚に、つやを充分に発揮することができる高濃度シリコーンエマルションが提供される。
また、本発明の高濃度シリコーンエマルションは、経日安定性に優れると共に、乳化剤として用いるリン酸トリエステルは、イオン性がないので、化粧品等の各種製品において一般に配合される非イオン系界面活性剤はもちろんのこと、アニオン系、カチオン系の界面活性剤、高分子、その他の添加剤と、何ら相互作用がないので、アニオン系、カチオン系の各種添加剤の化粧品等への配合量を自由に設定できるという利点を有する。
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- 2003-05-29 JP JP2003152803A patent/JP2004352879A/ja active Pending
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