JP2004352764A - 塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗料貯蔵時等或いは成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法を提供する。
【解決手段】アルキド樹脂又は脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を添加し、成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法。不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を含有せしめてなることを特徴とする、アルデヒド化合物放散量の低減可能な塗料組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】アルキド樹脂又は脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を添加し、成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法。不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を含有せしめてなることを特徴とする、アルデヒド化合物放散量の低減可能な塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜時等における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法、及びアルデヒド化合物放散量の低減可能な塗料組成物に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
近年、環境に対する関心がますます高まっており、例えば建造物の室内において壁や天井等を構成する合板などの建材、家具等から発生するホルマリンやアセトアルデヒド等による室内汚染が指摘されている。このホルマリン等は、人体に対して有害であり、建築基準法などでは室内における濃度が指針値以下となるよう規制されている。
【0003】
これに対しホルマリン等に吸着能力を有する物質を配合してなる塗料を壁や天井に塗布することによって合板などの建材から発生するホルマリン等をキャッチし、室内への放散を阻止する方策が種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
一方、アルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分は、酸化されると、その反応の過程で熱や紫外線の作用によって、アルコール、ケトン、アルデヒドなどが生成することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。その生成量はごく微量であり、これまでは問題とされていなかった。しかしながら、最近の建築基準法などにおける室内のホルマリン許容濃度が年々厳しくなっており、ホルマリン等放散阻止への更なる方策が必要になってきた。
【0005】
本発明の目的は、成膜時にアルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分から生成されるホルマリン等のアルデヒド化合物の放散量を低減する方法を提供することにある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−95980号公報
【特許文献2】
特開平10−140045号公報
【非特許文献1】
日本油化協会編集、「油脂化学便覧」、改訂3版、372〜376頁
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
1.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を添加することを特徴とする、成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法、
2.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分が、アルキド樹脂又は脂肪酸変性樹脂である1項記載の方法、
3.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料が、金属ドライヤーを含有するものである1又は2項記載の方法、
4.アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)が、アミン系化合物、結晶性層状りん酸化合物にポリアミン化合物をインターカレート又は金属イオンをインターカレートした化合物、及び光触媒活性を有する酸化チタンの群から選ばれる少なくとも1種以上である1項記載の方法、
5.硬化促進剤(b)が、1,10−フェナントロリン及び/又は2,2’−ジピリジルからなる1項記載の方法、
6.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を含有せしめてなることを特徴とする、アルデヒド化合物放散量の低減可能な塗料組成物、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分は、ホルマリンやアセトアルデヒドなどのアルデヒド化合物の放散が起こり易い酸化重合タイプの乾性油、半乾性油或いは不飽和脂肪酸を構成成分とするものであり、具体的には、アルキド樹脂、脂肪酸変性樹脂などが挙げられる。これらは、有機溶剤系又は水系のいずれであっても良い。
【0009】
アルキド樹脂としては、乾性油、半乾性油或いは不飽和脂肪酸、酸成分及びアルコール成分をそれ自体既知の方法によってエステル化してなる樹脂が挙げられる。
【0010】
上記乾性油、半乾性油或いは不飽和脂肪酸の代表例としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、支那桐油(脂肪酸)、亜麻仁油(脂肪酸)、脱水ひまし油(脂肪酸)、トール油(脂肪酸)、綿実油(脂肪酸)、大豆油(脂肪酸)、オリーブ油(脂肪酸)、サフラワー油(脂肪酸)、ひまし油(脂肪酸)または米糠油(脂肪酸)の如き、各種の(半)乾性油(脂肪酸)類などが挙げられる。これらは単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。
【0011】
さらに、水添やし油(脂肪酸)、やし油(脂肪酸)もしくはパーム油(脂肪酸)の如き不乾性油や飽和脂肪酸も併用することができる。かかる不乾性油及び飽和脂肪酸は単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。
【0012】
上記酸成分としては、例えば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、テトラクロロ(無水)フタル酸、ヘキサクロロ(無水)フタル酸、テトラブロモ(無水)フタル酸、トリメリット酸、「ハイミック酸」[日立化成工業(株)製品;「ハイミック酸」は同社の登録商標である。]、(無水)こはく酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、アジピン酸、セバチン酸またはしゅう酸などが挙げられ、これらは単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。
【0013】
上記アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールまたはソルビトールなどが挙げられ、これらは単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。また、「カージュラ E」(オランダ国シェル社製の、脂肪酸のグリシジルエステルの商品名)の如き、各種の脂肪酸グリシジルエステル類で以て代表されるような、各種のモノエポキシ化合物類も上記した酸成分と反応するものとして、アルコール成分と同様に使用できる。
【0014】
上記アルキド樹脂は、さらにポリエポキシ成分やアクリル成分で変性されたものであっても良い。
【0015】
上記アルキド樹脂の油長としては、通常、20〜80重量%なる範囲にあることが適切であり、特に40〜70重量%なる範囲が好ましい。
【0016】
脂肪酸変性樹脂としては、例えば不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分をエポキシ基含有重合性不飽和モノマーと反応させてなる脂肪酸変性モノマーを共重合成分とする脂肪酸変性アクリル樹脂、エポキシ基含有ビニル系重合体と不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分を反応させてなる脂肪酸変性ビニル系重合体、該脂肪酸変性ビニル系重合体にさらにシリコン化合物を反応させてなるシリコン変性ビニル系重合体、該脂肪酸変性ビニル系重合体にさらにイソシアネート基を有する化合物を反応させてなるウレタン変性ビニル系重合体、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分を構成成分として含有するアルキド樹脂でビニル系重合体を変性してなるアルキド変性ビニル系重合体、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分でエポキシ樹脂を変性してなる脂肪酸変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0017】
上記アルキド樹脂又は脂肪酸変性樹脂を樹脂成分の中に含む塗料の汎用的な形態としては、例えば乾性油及び/又は半乾性油変性中長油アルキド樹脂が主に用いられている合成樹脂調合ペイント、油性調合ペイント、多塩基酸成分にフタル酸を用いたフタル酸樹脂系塗料、アミノアルキド樹脂塗料、脂肪酸変性アクリル樹脂塗料、脂肪酸変性エポキシ樹脂塗料などが挙げられ、これらは錆止めや下塗り、中塗り、上塗りのいずれの用途で使用されるものであっても良い。
【0018】
上記アルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料は、必要に応じて酸化硬化反応触媒である金属ドライヤーを含有することが望ましい。金属ドライヤーとしては、例えばオクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸鉛等の有機金属化合物が挙げられ、これらは単独で又は併用して用いてよい。該金属ドライヤーの配合量は、塗料中の樹脂固形分100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部の範囲内が適当である。
【0019】
さらに上記不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料は、用途に応じて、例えば、顔料(防錆顔料、体質顔料、着色顔料など)、有機溶剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、酸化防止剤、顔料分散剤、レオロジーコントロール剤、塗液皮張り防止剤、防カビ剤、防藻剤、可塑剤、消泡剤などの塗料用添加剤を適宜含有することができる。
【0020】
本発明では上述の如き塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を添加することで、成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減させる。本明細書において、「成膜時におけるアルデヒド化合物の放散量」とは、塗料を塗布後、23±2℃・50RH%雰囲気下で7日間養生後の塗膜からのアルデヒド化合物放散量のことであり、該放散量の測定はJIS K 5601−4−1に準じて、ガラス製デシケータ−内に一定量の蒸留水又は脱イオン水を入れ、所定の表面積の試験片を設置し、24時間後の蒸留水又は脱イオン水に吸収されたホルムアルデヒド等濃度から求める「デシケーター法」によって行われるものである。
【0021】
上記アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)としては、ホルマリン等を吸着或いは分解する従来公知のものが特に制限なく使用でき、例えばアミン系化合物、結晶性層状りん酸化合物、多孔質材、光触媒などが挙げられる。これらは単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
アミン系化合物としては、例えばアミノ基、ヒドラジド基、尿素結合、アミド基またはイミド基を有する化合物などが挙げられる。アミノ基を有する化合物としては、例えばヒドロキシルアミン、クロルアミン、アンモニア、メタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ジシアノジアミド、エチレンイミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、2−アクリルアミドー2ーメチルプロパンスルホン酸、α−アミノ−ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、アセトアルデヒドアンモニア、4,7−ジアザデカン− 1,10−ジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。ヒドラジド基を有する化合物としては、例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸またはイソフタル酸ジヒドラジド、ならびにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジドなどが挙げられる。尿素結合を有する化合物としては、例えば尿素、チオ尿素、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、エチレン尿素、グアニル尿素、グアニルチオ尿素、アゾジカルボンアミド、グリコリルウレア、アセチルウレアなどが挙げられる。アミド基を有する化合物としては、例えばホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、オキサミド、オキサミン酸、コハク酸アミド、マロンアミドなどがある。イミド基を有する化合物としては、例えばスクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、1−メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、イソシアヌル酸などが挙げられる。これらのアミン系化合物は、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
結晶性層状りん酸化合物としては、例えば上述のようなポリアミン化合物を層状りん酸化合物にインターカレートした化合物、結晶性層状りん酸化合物に亜鉛や銀イオンなどの抗菌作用を有する金属イオンをインターカレートした化合物、さらに結晶性層状りん酸化合物に4級アンモニウム塩やチアゾール系化合物などをインターカレートした化合物などが挙げられる(ここで、「インターカレート」とは主に層状化合物又は層状物の層間の陽イオンとイオン交換することである)。これらは、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0024】
多孔質材としては、例えば活性アルミナ、活性白土、ゼオライト、珪藻土、活性炭、セラミック活性炭などが挙げられる。これらは、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
光触媒としては、紫外光及び/又は可視光を吸収して光触媒活性を発現し得るものであれば特に制限なく従来公知の光触媒が使用可能であり、例えば酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン−酸化ジルコニウム複合酸化物及び酸化珪素−酸化チタン複合酸化物等の酸化物半導体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して使用でき、特に光触媒活性を有する酸化チタンが好適である。該光触媒は、ゾルやゲル状で使用できるとともに粉粒状で使用してもよい。
【0026】
上記(a)成分として、さらにチタン、ジルコニウム、錫などの四価金属のりん酸塩;銅、亜鉛、マグネシウムなどの水酸化物;スルファミン酸又はスルファミン酸塩などが挙げられ、これらは単独であるいは適宜組合せて用いても良い。
【0027】
これらのうち(a)成分としては、特にアミン系化合物、結晶性層状りん酸化合物にポリアミン化合物をインターカレート又は金属イオンをインターカレートした化合物、及び光触媒活性を有する酸化チタンの群から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。
【0028】
上記(a)成分の配合量は、塗料固形分100重量部に対して、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部の範囲内が、アルデヒド化合物放散量の低減効果や塗膜の性状や外観の点から適当である。
【0029】
硬化促進剤(b)は、成膜時の酸化硬化反応の進行を促進するものであり、特に前述の金属ドライヤーと併用し、その活性を高めるものである。この併用によって、成膜時の金属ドライヤーの活性が高められ酸化硬化時に生成される過酸化物を速やかに分解して過酸化物の蓄積を予防し、結果としてアルデヒド化合物の生成が抑制される。該硬化促進剤(b)としては、例えば金属ドライヤーの活性を高める、1,10−フェナントロリン、2,2’−ジピリジル等が挙げられ、これらは単独で又は併用して用いてよい。
【0030】
上記(b)成分の配合量は、塗料中の樹脂固形分100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部の範囲内が、アルデヒド化合物放散量の低減効果や塗膜の性状や外観の点から適当である。
【0031】
本発明の塗料は、特にホルマリンの放散が問題となる屋内用途、例えば壁面、天井、ドア等の塗装に好適である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、文中「部」及び「%」は特に断りのない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0033】
実施例1〜7及び比較例1〜4
ドライヤーとしてナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、及びナフテン酸カルシウムを含む合成樹脂調合ペイント(JIS K−5516 1種)に、表1に示す各成分を同表に示す配合量で添加し、攪拌機で約15分間攪拌して各塗料を作成した。
【0034】
各塗料を市販の塗料用シンナーで約10%希釈して、JIS H−4000に規定する150×150×1mmのアルミ板に塗布量150g/m2となるように刷毛で塗装し、室温で24時間放置後、さらに塗布量150g/m2となるように刷毛で塗り重ねて各塗板を2枚ずつ作成した。これら塗板を23℃で7日間養生後、JIS K 5601−4−1の「デシケーター法」に準じて、ガラス製デシケータ−内に、各2枚ずつ塗板を、一定量の蒸留水の入った容器と共に設置し、24時間後の蒸留水に吸収されたホルムアルデヒド等濃度から、各塗板のホルムアルデヒド放散量(mg/リットル)を求めた。結果を表1に併せて示す。
【0035】
表1中の(注1)〜(注6)は下記の通りである。
(注1)「ケムキャッチH−6000HS」:大塚化学社製、ヒドラジドを主成分としたホルムアルデヒド吸着剤
(注2)「活性アルミナDN−1A」:水澤化学社製、活性酸化アルミニウム
(注3)「KフレッシュZA」:テイカ社製、アミン化合物をリン酸塩の相間にインターカレートした層状化合物
(注4)「シュークレンズKD−211G」:ラサ工業社製、二酸化珪素と酸化亜鉛の複合複塩
(注5)「セブントールNS−103」:武田薬品工業社製、チタンと亜鉛等の金属をインターカレートしたポリリン酸層状化合物
(注6)「酸化チタンAMT−100」:テイカ社製、光触媒活性を有する酸化チタン
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料において、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)及び硬化促進剤(b)を併用することによって、理由は不明であるが(b)成分の作用が促進され、結果としてアルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分から生成されるホルマリン等のアルデヒド化合物の放散量が低減されると推測される。従って、不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料を屋内用途に用いても、成膜時における塗料からのホルマリン等のアルデヒド化合物の放散量が低減され、シックハウス対策としての使用制限を回避可能である。
【0037】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜時等における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法、及びアルデヒド化合物放散量の低減可能な塗料組成物に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
近年、環境に対する関心がますます高まっており、例えば建造物の室内において壁や天井等を構成する合板などの建材、家具等から発生するホルマリンやアセトアルデヒド等による室内汚染が指摘されている。このホルマリン等は、人体に対して有害であり、建築基準法などでは室内における濃度が指針値以下となるよう規制されている。
【0003】
これに対しホルマリン等に吸着能力を有する物質を配合してなる塗料を壁や天井に塗布することによって合板などの建材から発生するホルマリン等をキャッチし、室内への放散を阻止する方策が種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
一方、アルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分は、酸化されると、その反応の過程で熱や紫外線の作用によって、アルコール、ケトン、アルデヒドなどが生成することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。その生成量はごく微量であり、これまでは問題とされていなかった。しかしながら、最近の建築基準法などにおける室内のホルマリン許容濃度が年々厳しくなっており、ホルマリン等放散阻止への更なる方策が必要になってきた。
【0005】
本発明の目的は、成膜時にアルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分から生成されるホルマリン等のアルデヒド化合物の放散量を低減する方法を提供することにある。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−95980号公報
【特許文献2】
特開平10−140045号公報
【非特許文献1】
日本油化協会編集、「油脂化学便覧」、改訂3版、372〜376頁
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
1.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を添加することを特徴とする、成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法、
2.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分が、アルキド樹脂又は脂肪酸変性樹脂である1項記載の方法、
3.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料が、金属ドライヤーを含有するものである1又は2項記載の方法、
4.アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)が、アミン系化合物、結晶性層状りん酸化合物にポリアミン化合物をインターカレート又は金属イオンをインターカレートした化合物、及び光触媒活性を有する酸化チタンの群から選ばれる少なくとも1種以上である1項記載の方法、
5.硬化促進剤(b)が、1,10−フェナントロリン及び/又は2,2’−ジピリジルからなる1項記載の方法、
6.不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を含有せしめてなることを特徴とする、アルデヒド化合物放散量の低減可能な塗料組成物、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分は、ホルマリンやアセトアルデヒドなどのアルデヒド化合物の放散が起こり易い酸化重合タイプの乾性油、半乾性油或いは不飽和脂肪酸を構成成分とするものであり、具体的には、アルキド樹脂、脂肪酸変性樹脂などが挙げられる。これらは、有機溶剤系又は水系のいずれであっても良い。
【0009】
アルキド樹脂としては、乾性油、半乾性油或いは不飽和脂肪酸、酸成分及びアルコール成分をそれ自体既知の方法によってエステル化してなる樹脂が挙げられる。
【0010】
上記乾性油、半乾性油或いは不飽和脂肪酸の代表例としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、支那桐油(脂肪酸)、亜麻仁油(脂肪酸)、脱水ひまし油(脂肪酸)、トール油(脂肪酸)、綿実油(脂肪酸)、大豆油(脂肪酸)、オリーブ油(脂肪酸)、サフラワー油(脂肪酸)、ひまし油(脂肪酸)または米糠油(脂肪酸)の如き、各種の(半)乾性油(脂肪酸)類などが挙げられる。これらは単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。
【0011】
さらに、水添やし油(脂肪酸)、やし油(脂肪酸)もしくはパーム油(脂肪酸)の如き不乾性油や飽和脂肪酸も併用することができる。かかる不乾性油及び飽和脂肪酸は単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。
【0012】
上記酸成分としては、例えば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、(無水)フタル酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、テトラクロロ(無水)フタル酸、ヘキサクロロ(無水)フタル酸、テトラブロモ(無水)フタル酸、トリメリット酸、「ハイミック酸」[日立化成工業(株)製品;「ハイミック酸」は同社の登録商標である。]、(無水)こはく酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、アジピン酸、セバチン酸またはしゅう酸などが挙げられ、これらは単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。
【0013】
上記アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールまたはソルビトールなどが挙げられ、これらは単独使用でも、あるいは2種以上の併用でも良い。また、「カージュラ E」(オランダ国シェル社製の、脂肪酸のグリシジルエステルの商品名)の如き、各種の脂肪酸グリシジルエステル類で以て代表されるような、各種のモノエポキシ化合物類も上記した酸成分と反応するものとして、アルコール成分と同様に使用できる。
【0014】
上記アルキド樹脂は、さらにポリエポキシ成分やアクリル成分で変性されたものであっても良い。
【0015】
上記アルキド樹脂の油長としては、通常、20〜80重量%なる範囲にあることが適切であり、特に40〜70重量%なる範囲が好ましい。
【0016】
脂肪酸変性樹脂としては、例えば不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分をエポキシ基含有重合性不飽和モノマーと反応させてなる脂肪酸変性モノマーを共重合成分とする脂肪酸変性アクリル樹脂、エポキシ基含有ビニル系重合体と不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分を反応させてなる脂肪酸変性ビニル系重合体、該脂肪酸変性ビニル系重合体にさらにシリコン化合物を反応させてなるシリコン変性ビニル系重合体、該脂肪酸変性ビニル系重合体にさらにイソシアネート基を有する化合物を反応させてなるウレタン変性ビニル系重合体、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分を構成成分として含有するアルキド樹脂でビニル系重合体を変性してなるアルキド変性ビニル系重合体、不飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分でエポキシ樹脂を変性してなる脂肪酸変性エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0017】
上記アルキド樹脂又は脂肪酸変性樹脂を樹脂成分の中に含む塗料の汎用的な形態としては、例えば乾性油及び/又は半乾性油変性中長油アルキド樹脂が主に用いられている合成樹脂調合ペイント、油性調合ペイント、多塩基酸成分にフタル酸を用いたフタル酸樹脂系塗料、アミノアルキド樹脂塗料、脂肪酸変性アクリル樹脂塗料、脂肪酸変性エポキシ樹脂塗料などが挙げられ、これらは錆止めや下塗り、中塗り、上塗りのいずれの用途で使用されるものであっても良い。
【0018】
上記アルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料は、必要に応じて酸化硬化反応触媒である金属ドライヤーを含有することが望ましい。金属ドライヤーとしては、例えばオクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オクチル酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸鉛等の有機金属化合物が挙げられ、これらは単独で又は併用して用いてよい。該金属ドライヤーの配合量は、塗料中の樹脂固形分100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部の範囲内が適当である。
【0019】
さらに上記不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料は、用途に応じて、例えば、顔料(防錆顔料、体質顔料、着色顔料など)、有機溶剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、酸化防止剤、顔料分散剤、レオロジーコントロール剤、塗液皮張り防止剤、防カビ剤、防藻剤、可塑剤、消泡剤などの塗料用添加剤を適宜含有することができる。
【0020】
本発明では上述の如き塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を添加することで、成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減させる。本明細書において、「成膜時におけるアルデヒド化合物の放散量」とは、塗料を塗布後、23±2℃・50RH%雰囲気下で7日間養生後の塗膜からのアルデヒド化合物放散量のことであり、該放散量の測定はJIS K 5601−4−1に準じて、ガラス製デシケータ−内に一定量の蒸留水又は脱イオン水を入れ、所定の表面積の試験片を設置し、24時間後の蒸留水又は脱イオン水に吸収されたホルムアルデヒド等濃度から求める「デシケーター法」によって行われるものである。
【0021】
上記アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)としては、ホルマリン等を吸着或いは分解する従来公知のものが特に制限なく使用でき、例えばアミン系化合物、結晶性層状りん酸化合物、多孔質材、光触媒などが挙げられる。これらは単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
アミン系化合物としては、例えばアミノ基、ヒドラジド基、尿素結合、アミド基またはイミド基を有する化合物などが挙げられる。アミノ基を有する化合物としては、例えばヒドロキシルアミン、クロルアミン、アンモニア、メタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ジシアノジアミド、エチレンイミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、2−アクリルアミドー2ーメチルプロパンスルホン酸、α−アミノ−ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、アセトアルデヒドアンモニア、4,7−ジアザデカン− 1,10−ジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。ヒドラジド基を有する化合物としては、例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸またはイソフタル酸ジヒドラジド、ならびにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジドなどが挙げられる。尿素結合を有する化合物としては、例えば尿素、チオ尿素、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、エチレン尿素、グアニル尿素、グアニルチオ尿素、アゾジカルボンアミド、グリコリルウレア、アセチルウレアなどが挙げられる。アミド基を有する化合物としては、例えばホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、オキサミド、オキサミン酸、コハク酸アミド、マロンアミドなどがある。イミド基を有する化合物としては、例えばスクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、1−メチロール−5,5−ジメチルヒダントイン、イソシアヌル酸などが挙げられる。これらのアミン系化合物は、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
結晶性層状りん酸化合物としては、例えば上述のようなポリアミン化合物を層状りん酸化合物にインターカレートした化合物、結晶性層状りん酸化合物に亜鉛や銀イオンなどの抗菌作用を有する金属イオンをインターカレートした化合物、さらに結晶性層状りん酸化合物に4級アンモニウム塩やチアゾール系化合物などをインターカレートした化合物などが挙げられる(ここで、「インターカレート」とは主に層状化合物又は層状物の層間の陽イオンとイオン交換することである)。これらは、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0024】
多孔質材としては、例えば活性アルミナ、活性白土、ゼオライト、珪藻土、活性炭、セラミック活性炭などが挙げられる。これらは、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
光触媒としては、紫外光及び/又は可視光を吸収して光触媒活性を発現し得るものであれば特に制限なく従来公知の光触媒が使用可能であり、例えば酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン−酸化ジルコニウム複合酸化物及び酸化珪素−酸化チタン複合酸化物等の酸化物半導体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上混合して使用でき、特に光触媒活性を有する酸化チタンが好適である。該光触媒は、ゾルやゲル状で使用できるとともに粉粒状で使用してもよい。
【0026】
上記(a)成分として、さらにチタン、ジルコニウム、錫などの四価金属のりん酸塩;銅、亜鉛、マグネシウムなどの水酸化物;スルファミン酸又はスルファミン酸塩などが挙げられ、これらは単独であるいは適宜組合せて用いても良い。
【0027】
これらのうち(a)成分としては、特にアミン系化合物、結晶性層状りん酸化合物にポリアミン化合物をインターカレート又は金属イオンをインターカレートした化合物、及び光触媒活性を有する酸化チタンの群から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。
【0028】
上記(a)成分の配合量は、塗料固形分100重量部に対して、0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部の範囲内が、アルデヒド化合物放散量の低減効果や塗膜の性状や外観の点から適当である。
【0029】
硬化促進剤(b)は、成膜時の酸化硬化反応の進行を促進するものであり、特に前述の金属ドライヤーと併用し、その活性を高めるものである。この併用によって、成膜時の金属ドライヤーの活性が高められ酸化硬化時に生成される過酸化物を速やかに分解して過酸化物の蓄積を予防し、結果としてアルデヒド化合物の生成が抑制される。該硬化促進剤(b)としては、例えば金属ドライヤーの活性を高める、1,10−フェナントロリン、2,2’−ジピリジル等が挙げられ、これらは単独で又は併用して用いてよい。
【0030】
上記(b)成分の配合量は、塗料中の樹脂固形分100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部の範囲内が、アルデヒド化合物放散量の低減効果や塗膜の性状や外観の点から適当である。
【0031】
本発明の塗料は、特にホルマリンの放散が問題となる屋内用途、例えば壁面、天井、ドア等の塗装に好適である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、文中「部」及び「%」は特に断りのない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0033】
実施例1〜7及び比較例1〜4
ドライヤーとしてナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、及びナフテン酸カルシウムを含む合成樹脂調合ペイント(JIS K−5516 1種)に、表1に示す各成分を同表に示す配合量で添加し、攪拌機で約15分間攪拌して各塗料を作成した。
【0034】
各塗料を市販の塗料用シンナーで約10%希釈して、JIS H−4000に規定する150×150×1mmのアルミ板に塗布量150g/m2となるように刷毛で塗装し、室温で24時間放置後、さらに塗布量150g/m2となるように刷毛で塗り重ねて各塗板を2枚ずつ作成した。これら塗板を23℃で7日間養生後、JIS K 5601−4−1の「デシケーター法」に準じて、ガラス製デシケータ−内に、各2枚ずつ塗板を、一定量の蒸留水の入った容器と共に設置し、24時間後の蒸留水に吸収されたホルムアルデヒド等濃度から、各塗板のホルムアルデヒド放散量(mg/リットル)を求めた。結果を表1に併せて示す。
【0035】
表1中の(注1)〜(注6)は下記の通りである。
(注1)「ケムキャッチH−6000HS」:大塚化学社製、ヒドラジドを主成分としたホルムアルデヒド吸着剤
(注2)「活性アルミナDN−1A」:水澤化学社製、活性酸化アルミニウム
(注3)「KフレッシュZA」:テイカ社製、アミン化合物をリン酸塩の相間にインターカレートした層状化合物
(注4)「シュークレンズKD−211G」:ラサ工業社製、二酸化珪素と酸化亜鉛の複合複塩
(注5)「セブントールNS−103」:武田薬品工業社製、チタンと亜鉛等の金属をインターカレートしたポリリン酸層状化合物
(注6)「酸化チタンAMT−100」:テイカ社製、光触媒活性を有する酸化チタン
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料において、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)及び硬化促進剤(b)を併用することによって、理由は不明であるが(b)成分の作用が促進され、結果としてアルキド樹脂や脂肪酸変性樹脂などの不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分から生成されるホルマリン等のアルデヒド化合物の放散量が低減されると推測される。従って、不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料を屋内用途に用いても、成膜時における塗料からのホルマリン等のアルデヒド化合物の放散量が低減され、シックハウス対策としての使用制限を回避可能である。
【0037】
【表1】
Claims (6)
- 不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を添加することを特徴とする、成膜時における塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法。
- 不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分が、アルキド樹脂又は脂肪酸変性樹脂である請求項1記載の方法。
- 不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料が、金属ドライヤーを含有するものである請求項1又は2記載の方法。
- アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)が、アミン系化合物、結晶性層状りん酸化合物にポリアミン化合物をインターカレート又は金属イオンをインターカレートした化合物、及び光触媒活性を有する酸化チタンの群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1記載の方法。
- 硬化促進剤(b)が、1,10−フェナントロリン及び/又は2,2’−ジピリジルからなる請求項1記載の方法。
- 不飽和脂肪酸に由来する樹脂成分を含む塗料に、アルデヒド化合物を吸着或いは分解する化合物(a)、及び硬化促進剤(b)を含有せしめてなることを特徴とする、アルデヒド化合物放散量の低減可能な塗料組成物。
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JP2003149176A JP2004352764A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 塗料からのアルデヒド化合物放散量を低減する方法 |
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JP2008189894A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-08-21 | Nippon Paint Co Ltd | アルキド系塗料組成物およびその製造方法 |
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CN103897565A (zh) * | 2013-11-15 | 2014-07-02 | 东南大学 | 一种低气味树脂涂料 |
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2003
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