JP2004352058A - 作業車両の油圧回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、小さな容量の油圧ポンプでも、十分な量の作動油を各種油圧装置に供給することが可能となる作業車両の油圧回路を提供することを課題とする。
【解決手段】作業機制御系油圧ポンプ32からの圧油を、フローデバイダ36を介して作業機の昇降を行う昇降用油圧シリンダ33と傾倒用油圧シリンダ38に供給するとともに、走行系油圧ポンプ31からの圧油を、パワーステアリング機構50と、前後進油圧クラッチ85・86と、主変速油圧クラッチ54、副変速油圧クラッチ53、四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構52と、PTO油圧クラッチ69とに、それぞれフローデバイダ57を介して供給する構成とした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ポンプから吐出される作動油を各種油圧装置に分配送油する作業車両の油圧回路の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トラクタなどの作業車両においては、作動油タンクとなるミッションケースに貯溜されている作動油を各種油圧装置に送油するための油圧ポンプとして、走行系油圧ポンプと作業機制御系油圧ポンプの二つが具備されており、これらの油圧ポンプをエンジンにより駆動するように構成していた(例えば、特許文献1参照。)。
このような二つの油圧ポンプを備えた油圧回路では、一方の走行系油圧ポンプによりパワーステアリング機構や油圧クラッチで構成されるメインクラッチ、変速機および四輪駆動時の増速機構に作動油が供給され、他方の作業機制御系油圧ポンプにより作業機の昇降を行う昇降用油圧シリンダや傾倒用油圧シリンダに作動油が供給される。そして、該油圧回路においてPTO油圧クラッチに作動油を供給するときには、図4に示すように、作業機制御系油圧ポンプ16からの作動油をフローデバイダ18を用いて分岐して、昇降用油圧シリンダ23や傾倒用油圧シリンダ24へと流れる作動油の一部をPTO油圧クラッチ19に送油可能としていた。また、走行系油圧ポンプ17からのパワーステアリング機構25を経て送油される作動油をフローデバイダ26を用いて分岐し、一方を前後進油圧クラッチ27・28に送油し、他方を主変速油圧クラッチ44、副変速油圧クラッチ45、四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構46に送油するようにしていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−170889号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した油圧ポンプからの作動油の吐出量はエンジン回転数に依存するため、エンジン回転数が低い場合は吐出量が少なく、エンジン回転数が高い場合は吐出量が多くなる。したがって、アイドリング時など、エンジン回転数が低い状態に設定されている状態で、作業機を上昇させようとした場合、作業機制御系油圧ポンプからの作動油はその一部がPTO油圧クラッチに送油されるため、作動油の供給量が不足することになる。このため、従来の作業車両の油圧回路においては、十分な量の作動油を昇降用油圧シリンダへ供給することができるように、作業機制御系油圧ポンプは、必要となる容量に対応できる大きな容量を有するものとなっていた。
また、走行系油圧ポンプからパワーステアリング機構に送油された後、作動油は二つに分岐してメインクラッチと変速機および四輪駆動時の増速機構とにそれぞれ送油されるように構成されていたので、各油圧装置に対して十分な量の作動油を確保できるように走行系油圧ポンプも大きな容量を有するものとなっていた。
このように油圧ポンプの容量を大きくしていたので、各種油圧装置への負荷が大きくなるとともに、作動油温度が上昇するという問題があった。
そこで本発明は、上述の問題を解消し、小さな容量の油圧ポンプでも、十分な量の作動油を各種油圧装置に供給することが可能となる作業車両の油圧回路を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、作業機制御系油圧ポンプからの圧油を、フローデバイダを介して作業機の昇降を行う昇降用油圧シリンダと傾倒用油圧シリンダに供給するとともに、走行系油圧ポンプからの圧油を、パワーステアリング機構と、前後進油圧クラッチと、主変速油圧クラッチ、副変速油圧クラッチ、四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構と、PTO油圧クラッチとに、それぞれフローデバイダを介して供給する構成としたものである。
【0007】
請求項2においては、前記主変速油圧クラッチと副変速油圧クラッチと四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構へ送油する油路と、前後進油圧クラッチへ送油する油路との間に、余剰油を前後進油圧クラッチへ送油するリリーフバルブを介装したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るトラクタの全体側面図、図2は走行系および作業機制御系の油圧回路図、図3は走行系の油圧回路図である。
【0009】
まず、本発明に係るトラクタ1の全体構成について図1を用いて説明する。
トラクタ1本機の前後には前輪2・2および後輪3・3が支承され、前部のボンネット6内部にはエンジン5が配置され、該ボンネット6の後方にはステアリングハンドル10が配設されている。ステアリングハンドル10の後方には座席11が配設され、座席11の側部には主変速レバー、副変速レバー、PTO操作レバー等の操作レバー群が配設されている。これらステアリングハンドル10、座席11および操作レバー群等はキャビン12内の運転部に配置されている。
【0010】
エンジン5の後部にはクラッチハウジング7が配置され、クラッチハウジング7の後部にミッションケース9が配設され、エンジン5からの駆動力を前輪2・2および後輪3・3に伝達して駆動する。
【0011】
また、前記エンジン5の駆動力はミッションケース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて、該PTO軸15から図示しないユニバーサルジョイント等を介して車両後端にトップリンク21、ロアリンク22等からなる作業機装着装置20を介して装着した作業機30を駆動するように構成している。そして、前記座席11前下方のステップ上にはクラッチを断接操作するためのクラッチペダルやブレーキペダル等が配設されている。
【0012】
次に、本発明の油圧回路について図2、図3を用いて説明する。
トラクタ1において、潤滑油を兼ねる作動油は作動油タンクを兼ねるミッションケース9内部に貯溜されており、該作動油を各種油圧装置に圧送するための油圧ポンプとして、走行系油圧ポンプ31と作業機制御系油圧ポンプ32の二つが備えられている。該走行系油圧ポンプ31と作業機制御系油圧ポンプ32はエンジン5に付設されて駆動される。
【0013】
作業機制御系の油圧回路において、前記作業機制御系油圧ポンプ32はリフトアーム33の昇降を行う昇降用油圧シリンダ34と傾倒用油圧シリンダ38とに作動油を供給するものであり、該作業機制御系油圧ポンプ32の吐出側にフローデバイダ36を介して作業機30の傾斜角度調節用の切換バルブ37が流体的に接続され、該切換バルブ37を通じて角度変更油圧シリンダ38に作動油を送油可能としている。
また、該油圧ポンプ32の吐出側には、フローデバイダ36を介して油圧制御装置40のポンプポートが流体的に接続され、該油圧制御装置40まで送油された作動油の流れを、油圧制御装置40内に備えられた上昇用比例電磁バルブ42及び下降用比例電磁バルブ43の開閉操作によって制御することで、リフトアーム33の昇降動作を制御可能としている。
【0014】
一方、走行系油圧回路において、前記走行系油圧ポンプ31はパワーステアリング機構50や油圧クラッチで構成される前進油圧クラッチ85・後進油圧クラッチ86、主変速油圧クラッチ54、副変速油圧クラッチ53、PTO油圧クラッチ69、四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構52に作動油を供給する。
【0015】
走行系油圧ポンプ31の吐出側にはフローデバイダ57が接続され、該フローデバイダ57の一方にはパワーステアリング油圧ユニット58が接続され、他方にはメインクラッチ切換バルブ84が流体的に接続されている。
前記パワーステアリング油圧ユニット58は切換バルブ59と油圧モータ60とからなり、切換バルブ59の二次側にはパワーステアリングシリンダ61が接続されている。該パワーステアリングシリンダ61のピストンロッドは前輪2のステアリング装置のナックルアームまたはタイロッドなどと連結されている。また、切換バルブ59のスプールは油圧モータ60の出力軸とステアリングハンドル10とに連結されている。
【0016】
このような構成において、パワーステアリング油圧ユニット58では、ステアリングハンドル10を回動することよって切換バルブ59が切り換えられ、走行系油圧ポンプ31からの作動油をパワーステアリングシリンダ61に送油して前輪2・2を左右に回動するとともに、油圧モータ60を作動させてステアリングハンドル10の回動に追随させることで切換バルブ59のスプールを逆方向に摺動させ、ステアリングハンドル10の切れ角に応じた前輪2・2の左右回動となるようにしている。
【0017】
そして、パワーステアリング油圧ユニット58のタンクポート(戻り油)側にはフローデバイダ62が接続され、一方はPTO切換バルブ63に流体的に接続され、他方は主変速1速バルブ73や高低切換バルブ81、前輪駆動切換バルブ78と接続されている。つまり、フローデバイダ62から一方は油路64を通じてPTO切換バルブ63に送油され、他方は油路65を通じて主変速1速バルブ73や高低切換バルブ81、前輪駆動切換バルブ78に送油される。なお、後者の油路65にはアキュムレータ66が接続されて、油圧の変動を小さくして安定した作動油を送油できるようにしている。
【0018】
前記PTO切換バルブ63は電磁バルブで構成され、該PTO切換バルブ63のソレノイド63aは運転部に配設されたPTO操作レバーに連係されている。該PTO切換バルブ63の二次側にはディレイリリーフバルブ67の背厚側とPTO油圧クラッチ69とが並列に接続されるとともに、PTOブレーキ68が接続されている。該PTOブレーキ68はシリンダの如く構成され、ヘッド側のシリンダ室にバネ68aが収納され、ロッド側のシリンダ室68bがPTO切換バルブ63の二次側と連通されている。そして、バネ68aの付勢力によってピストンロッド68cの先端がPTO油圧クラッチ69のクラッチハウジングを押圧して制動し、またシリンダ室68bに作動油を送油することでピストンロッド68cが縮小されてブレーキが解除するようにしている。
また、前記ディレイリリーフバルブ67の二次側には、PTO油圧クラッチ69に対する潤滑油路70と潤滑油圧設定用のリリーフバルブ71が接続されている。
【0019】
このような構成において、PTO油圧クラッチ69がOFFの状態では、PTO切換バルブ63は図3に示す位置となって閉じられ、油路64からの作動油はPTO切換バルブ63でブロックされて、ディレイリリーフバルブ67によって調圧される。PTOブレーキ68は、そのバネ68aの付勢力によってPTO油圧クラッチ69のクラッチハウジングを制動し、PTO軸15が慣性空転しないようにしている。つまり、PTO軸15を駆動するときにはPTOブレーキ68を解除し、PTO軸15に動力を伝達しないときには、PTOブレーキ68により制動して速やかに回転を停止するようにする。
【0020】
そして、PTO操作レバーの回動操作でソレノイド63aが作動してPTO切換バルブ63が切り換えられると、油路64からの作動油はPTO切換バルブ63からPTOブレーキ68に送油されて、該PTOブレーキ68が解除され、ディレイリリーフバルブ67により調圧された作動油にてPTO油圧クラッチ69を緩やかに係合し、PTO油圧クラッチがONとなる構成としている。
【0021】
また、前記主変速1速バルブ73と主変速2−3速バルブ74は電磁バルブで構成され、そのソレノイド73a・74aは運転部に設けた主変速レバーに連係されている。該主変速1速バルブ73の二次側には1速油圧クラッチ75と主変速2−3速バルブ74が流体的に接続され、該主変速2−3速バルブ74の二次側に2速油圧クラッチ76、3速油圧クラッチ77が接続されている。
こうして主変速レバーの回動操作に応じて主変速1速バルブ73と主変速2−3速バルブ74が切り換えられて、主変速油圧クラッチ54となる1速油圧クラッチ75、2速油圧クラッチ76、3速油圧クラッチ77のいずれかをONとできるようにしている。
【0022】
前記前輪駆動切換バルブ78は電磁バルブより構成されており、該前輪駆動切換バルブ78の二次側に4輪駆動油圧クラッチ79と前輪増速油圧クラッチ80が接続され、前輪駆動切換レバーの操作やステアリングハンドル10の回動や走行速度等によって前輪駆動切換バルブ78を切り換えるようにしている。すなわち、前輪駆動切換レバーの回動位置を2輪駆動とした場合にはソレノイド78a・78bはOFFとされて前輪駆動切換バルブ78は中立位置となり、前輪駆動切換レバーを4駆位置に回動操作することによってソレノイド78bが作動して前輪駆動切換バルブ78が切り換えられ、4輪駆動油圧クラッチ79がONとなる。
また、増速位置の場合には、作業時においてソレノイド78bを作動させて4輪駆動とし、ステアリングハンドル10が設定角度以上回動されると、ソレノイド78aが作動して前輪駆動切換バルブ78が切り換えられ、前輪増速油圧クラッチ80がONとなる。
【0023】
前記高低切換バルブ81は電磁バルブで構成され、該高低切換バルブ81のソレノイド81aは高低切換レバーに連係されている。該高低切換バルブ81の二次側には副変速クラッチ53を構成する高速油圧クラッチ82と低速油圧クラッチ83が接続され、高低切換レバーを高速側に操作すると、ソレノイド81aがONとなって高低切換バルブ81が切り換えられて、高速油圧クラッチ82がONとなる。低速側に操作すると高低切換バルブ81はOFFとなって低速油圧クラッチ83がONとなる。
【0024】
また、前記フローデバイダ57の他方の二次側には、メインクラッチ切換バルブ84が油路55にて接続され、該メインクラッチ切換バルブ84のスプールは運転部に設けたクラッチペダルと連結されている。これにより、クラッチペダルを踏み込むと、メインクラッチ切換バルブ84が切り換えられて送油が止められ、前進油圧クラッチ85又は後進油圧クラッチ86がOFFとなって、走行側にエンジン5からの動力が伝達されなくなる。
該メインクラッチ切換バルブ51の二次側には前後進切換バルブ87の作動油圧変更手段となる電磁比例バルブ88が介装され、ステアリングハンドル10を設定角度以上切った前輪増速時に作動圧力を増加するようにしている。
【0025】
そして、前記電磁比例バルブ88の二次側に前後進切換バルブ87が接続され、該前後進切換バルブ87のスプールは前後進切換レバーと接続されて、前進操作時には前後進切換バルブ87が切り換えられて前進油圧クラッチ85に送油され、該前進油圧クラッチがONとなり、後進操作時には同様に後進油圧クラッチ86がONとなる。該前進油圧クラッチ85又は後進油圧クラッチ86がONのときにはパイロット油路を介してカットオフバルブ90が切り換えられて、潤滑油を前進油圧クラッチ85と後進油圧クラッチ86に送油できるようにしている。
【0026】
ここで、前記フローデバイダ57を介して走行系油圧ポンプ31とメインクラッチ切換バルブとを接続する油路55と、フローデバイダ62を介して主変速1速バルブ73、高低切換バルブ81、前輪駆動切換バルブ78とを接続する油路65とは、開閉手段となるリリーフバルブ91を介装した油路56にて連通されて、油路65から油路55に作動油が送油可能としている。該リリーフバルブ91のスプールにはシリンダの如く構成された切換手段92が一体的に付設されており、該切換手段92のヘッド側のシリンダ室にバネ92aが収納され、ロッド側のシリンダ室92bが前後進切換バルブ87の一次側と油路93にて連通されている。そして、バネ92aの付勢力によってピストンロッド92cの先端がリリーフバルブ91のバネ91aを押圧し、リリーフバルブ91が閉じるように付勢している。また、シリンダ室92bに作動油を送油することでピストンロッド92cが縮小され、リリーフバルブ91はリリーフ可能としている。
【0027】
このような構成において、油圧ポンプ32から吐出される圧油は油圧シリンダ34・38へのみ送油されるので、油圧クラッチのON/OFFに関係なく、昇降レバーの操作等により安定して作動させることが可能であり、従来に比べてポンプ容量を低減することが可能となる。
また、油圧ポンプ31から吐出される圧油は、まずパワーステアリング油圧ユニット58とメインクラッチ切換バルブ84に送油されるが、ハンドル操作するのは主に走行中であるから、変速操作と同時に行うことは殆どないため、エンジン始動後に変速するときには、油路55(メインクラッチ切換バルブ84側)と油路64・65(PTOクラッチ69と主変速油圧クラッチ54側)に送油される。
【0028】
そして、変速操作するときはメインクラッチ切換バルブ84はOFFとしているので、圧油は主に油路64・65側へ送油可能とされており、前記主変速1速バルブ73、高低切換バルブ81、前輪駆動切換バルブ78を切り換えると、圧油は各油圧クラッチに送油されてONとなる。このとき、PTO切換バルブ63を切り換えると、下流側のリリーフバルブ71により圧油が確保されて、PTO油圧クラッチ69をONとすることができる。また、メインクラッチ切換バルブ84はOFFとしているので、油路93へ圧油が送油されないため、切換手段92には作動油が送油されず、そのバネ92aの付勢力によってリリーフバルブ91のバネ91aがピストンロッド92cを介して押圧されて、リリーフバルブ91は閉じられた状態となっている。したがって、パワーステアリング油圧ユニット58のタンクポートから流れる作動油は、フローデバイダ62を介して油路65から主変速1速バルブ73、高低切換バルブ81、前輪駆動切換バルブ78に送油される。
【0029】
次に走行するために、クラッチペダルの踏み込みを解除してメインクラッチ切換バルブ84が開かれると、油路55からの圧油は前後進切換バルブ87を介して前進油圧クラッチ85又は後進油圧クラッチ86に送油されてクラッチはONとなる。このとき、作動油が油路93を介して切換手段92に送油され、該切換手段92のバネ92aの押圧状態が解除されるので、前記油路65側の油圧が高い場合には、リリーフバルブ91がリリーフして油路56から油路55に作動油が合流して前進油圧クラッチ85又は後進油圧クラッチ86の作動に供される。そして、クラッチの接続時には前進油圧クラッチ85又は後進油圧クラッチ86のリバーサクラッチがONして動力が伝達されるが、主変速側の1速油圧クラッチ75、2速油圧クラッチ76、3速油圧クラッチ77と、4輪駆動油圧クラッチ79、前輪増速油圧クラッチ80と、高速油圧クラッチ82、低速油圧クラッチ83へ送油される圧油は確保されているため、油圧変動は小さく、これらの油圧クラッチはコンパクトに構成することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0031】
即ち、請求項1に示す如く、作業機制御系油圧ポンプからの圧油を、フローデバイダを介して作業機の昇降を行う昇降用油圧シリンダと傾倒用油圧シリンダに供給するとともに、走行系油圧ポンプからの圧油を、パワーステアリング機構と、前後進油圧クラッチと、主変速油圧クラッチ、副変速油圧クラッチ、四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構と、PTO油圧クラッチとに、それぞれフローデバイダを介して供給する構成としたので、作業機制御系油圧ポンプからPTO油圧クラッチに作動油を送油する必要がなくなるため、アイドル回転時などの低回転時に圧油の供給量不足に陥ることもなく、昇降用油圧シリンダや傾倒用油圧シリンダを安定して作動させることが可能となり、作業機制御系油圧ポンプの容量を低減することができる。これにより、作動油の油温上昇を抑えることが可能となる。また、走行系油圧ポンプは作業機制御系油圧ポンプに比べて容量が小さいため、PTO油圧クラッチへの負荷を小さくすることができる。
【0032】
請求項2に示す如く、前記主変速油圧クラッチと副変速油圧クラッチと四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構へ送油する油路と、前後進油圧クラッチへ送油する油路との間に、余剰油を前後進油圧クラッチへ送油するリリーフバルブを介装したので、リリーフバルブをリリーフすることで前者の油路から後者の油路に作動油を合流させて前後進油圧クラッチへ送油することが可能となる。よって、走行系油圧ポンプの容量を小さくすることができるので、各種油圧装置への負荷を小さくすることができるとともに、作動油の油温上昇を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトラクタの全体側面図。
【図2】走行系および作業機制御系の油圧回路図。
【図3】走行系の油圧回路図。
【図4】従来の走行系および作業機制御系の油圧回路図。
【符号の説明】
31 走行系油圧ポンプ
32 作業機制御系油圧ポンプ
34 昇降用油圧シリンダ
36 フローデバイダ
38 傾倒用油圧シリンダ
50 パワーステアリング機構
52 四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構
53 副変速油圧クラッチ
54 主変速油圧クラッチ
57 フローデバイダ
69 PTO油圧クラッチ
85 前進油圧クラッチ
86 後進油圧クラッチ

Claims (2)

  1. 作業機制御系油圧ポンプからの圧油を、フローデバイダを介して作業機の昇降を行う昇降用油圧シリンダと傾倒用油圧シリンダに供給するとともに、走行系油圧ポンプからの圧油を、パワーステアリング機構と、前後進油圧クラッチと、主変速油圧クラッチ、副変速油圧クラッチ、四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構と、PTO油圧クラッチとに、それぞれフローデバイダを介して供給する構成としたことを特徴とする作業車両の油圧回路。
  2. 前記主変速油圧クラッチと副変速油圧クラッチと四輪駆動・増速切換油圧クラッチ機構へ送油する油路と、前後進油圧クラッチへ送油する油路との間に、余剰油を前後進油圧クラッチへ送油するリリーフバルブを介装したことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の油圧回路。
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