JP2004349954A - 信号記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラグメンテーションが発生したカードへのデータ転送を保証するために消去処理は有効な手段だが、フラグメンテーションの発生状況はホスト機器側からは直接把握できず、消去処理の要否を判断できない。
【解決手段】CPU12は、データ転送速度やバッファメモリの残容量を用いてメモリカード11内のフラグメンテーションの状態を観測し、消去処理の要否を判断する。これにより、消去処理に伴う処理負荷を軽減し、且つ消去処理に伴う消費電力の増加を抑制する。こうして、フラグメンテーションが発生しているメモリカード11でも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】CPU12は、データ転送速度やバッファメモリの残容量を用いてメモリカード11内のフラグメンテーションの状態を観測し、消去処理の要否を判断する。これにより、消去処理に伴う処理負荷を軽減し、且つ消去処理に伴う消費電力の増加を抑制する。こうして、フラグメンテーションが発生しているメモリカード11でも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画及び静止画などの映像信号や音声信号の少なくとも一方を、着脱可能な記録媒体に記録するための信号記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、動画や静止画などの映像信号を記録する信号記録装置においては、記録媒体が従来の磁気テープやフィルムから、半導体メモリを使用したメモリカードへと切り替わろうとしている。
【0003】
特に、デジタルスチルカメラは、その低価格もさることながら、メディアへの切り替わりによって、従来ならば36枚程度の撮影枚数の上限を1000枚近くに引き上げ、パーソナルコンピュータとのデータ連携など、従来の機械式カメラではなし得なかった新たな使い方を利用者に提供できる。このため、このカテゴリーの商品は市場に急速に浸透した。また、データ容量の大きな動画においても同様であり、これらの映像信号をメモリカードに記録する技術が提案及び実用化されている。
【0004】
具体的には、特許文献1の例においては、静止画の撮影時の画像信号も、動画の撮影時の画像信号も、共にブロック型の信号に変換し、同じ圧縮回路でデータ圧縮することで静止画及び動画の両方を撮影可能にし、且つ記録媒体により多くの画像の記録を可能にした機器が開示されている。このような機器においては、記録媒体としてフラッシュメモリ(フラッシュEEPROM)を内蔵したメモリカードを使用する例がほとんどである。これはメモリカードが小さく軽量であるため、可搬性に優れており、記録中の耐衝撃性にも秀でているという有利な点があるからである。
【0005】
また、高速でのデータ転送を保証する手段としては、特許文献2に記載されているように、フラッシュメモリのデータを予め消去しておく方法がある。
【0006】
さらに、信号記録装置において動画記録の正常転送を実現するために、特許文献3に記載されているように、記録転送速度を検出し、動画データの転送速度を低減したり、動画の記録を禁止するなどの処理を行い、機器の異常停止を防止する技術などが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−253251号公報(第3−4頁、図1−3)
【特許文献2】
特開平5−54682号公報(第5頁)
【特許文献3】
特開平10−233986号公報(第3頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1に挙げた従来の技術においては、静止画及び動画の両方を撮影可能な機器が提案されているが、この機器で生成されたデータを高速で、且つ正常にメモリカードに書き込む技術に関しては何ら提案されていない。フラッシュメモリは構造上、メモリカードに対する累積書き込み回数が増加するにつれて、フラグメンテーション(fragmentation、例えば、ブロック分断)が増加することが一般的に知られている。このフラグメンテーションが発生しているメモリカードに対しては、内部のフラッシュメモリの書込可能な連続領域の検索に時間がかかり、期待通りの速度で記録できない可能性がある。そのため、上記に述べたようにメモリカードに対するデータ消去が事前に行われていない状況では、データ量の大きな動画像の記録などを行う際に、正常にデータを記録できないという課題が生じる。
【0009】
また、特許文献2に挙げたフラッシュメモリの消去に関しては、当然のことながら一定の時間(消去時間)が必要であり、フラッシュメモリの全容量が大きければ大きいほど、メモリカード全体の消去時間も長くなる。これは例えば、機器の使用者がメモリカードを使用するに先立って、メモリカードの全消去を行うとすると、長時間にわたって消去完了の信号を待つことになり、機器の利便性が損なわれる。しかしながら、メモリカードの消去を行なわなければ、高速度でのデータ記録が保証されがたい状況も発生しうる。この場合、例えばデータ量の大きい動画像の記録などを行なおうとすると、正常にデータが記録されなくなる恐れが生じる。さらにフラッシュメモリの消去処理は、消費電力の増加を招き、機器の動作可能時間の減少になるので、データの正常転送が保証されている場合は、必要以上の消去処理は行なわないことが望ましい。
【0010】
また、特許文献3で挙げた従来の構成では、機器の異常停止を防止するために、動画データの転送速度の低減や、動画記録の禁止などを行なうが、これではユーザの利便性、例えば転送速度の低減による画質劣化や、記録したいときに記録できないことが生じることを考慮すると、この技術をそのまま受け入れにくいものがある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、消去処理に伴う機器の処理負荷を軽減し、かつ消去処理に伴う消費電力を抑制しつつ、常に最適に正常なメモリカードへのデータ転送を実現し、動画データの転送速度の低減や動画記録の禁止などの制限を与えないようにした信号記録装置を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本願発明では、データ記録中にメモリカードから送られてくる記録準備の完了信号の周期計測を行い、記録転送レートを算出する。そして、記録に必要とされる記録転送レートを下回りそうな状況の場合にのみ、メモリカードの消去処理を行なう。また信号記録装置が映像及び音声信号を符号化したデータを一時保有する緩衝用メモリを備えることにより、緩衝用メモリの残容量に応じて、メモリカードの消去処理を行なう技術を確立するものとする。
【0013】
本願の請求項1の発明は、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方の入力信号に対し、加工処理を施す信号処理部と、前記信号処理部で加工処理されたデータを、着脱自在なメモリに書き込むためのインターフェース部と、前記メモリへのデータ転送速度を計測するデータ転送速度計測部と、信号記録装置の全体制御を行うと共に、前記データ転送速度計測部に計測指示を与え、計測により得られたデータ転送速度に基づいて消去指示を出力するシステム制御部と、を具備し、前記システム制御部は、前記メモリへのデータ転送の際に、前記データ転送速度計測部の計測結果に基づき、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理の命令を前記インターフェース部に出力することを特徴とする。
【0014】
本願の請求項2の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量とによりデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、設定されたデータ転送速度閾値1を前記データ転送速度が下回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0015】
本願の請求項3の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量によりデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、設定されたデータ転送速度閾値1を前記データ転送速度が下回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示し、設定されたデータ転送速度閾値2を前記データ転送速度が上回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して消去処理を行なわないよう前記インターフェース部に指示し、前記データ転送速度閾値1と前記データ転送速度閾値2の間に前記データ転送速度が存在する場合、前記メモリへのデータ転送の際に行なう前記インターフェース部によるメモリへの消去処理は、前回のデータ転送の際に行なった処理方法と同一の処理を行なうよう指示することを特徴とする。
【0016】
本願の請求項4の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量とによりデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、設定されたデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2を持ち、前記データ転送速度閾値1と前記データ転送速度閾値2の状態遷移に基づき、前記メモリへのデータ転送の際に、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0017】
本願の請求項5の発明は、請求項3または4の信号記録装置において、前記データ転送速度閾値1は、前記データ転送速度閾値2以下の値であることを特徴とする。
【0018】
本願の請求項6の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記信号処理部で加工処理されたデータの代わりに基準データを用い、前記インターフェース部を介して前記メモリに前記基準データをデータ転送することにより、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に基準データのデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、前記データ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に、前記メモリに対して空き領域確保のための消去処理又は全空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0019】
本願の請求項7の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記信号処理部で加工処理されたデータの代わりに基準データを用い、前記インターフェース部を介して前記メモリに前記基準データをデータ転送することにより、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に基準データのデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、前記データ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、次回に前記信号処理部が加工処理されたデータを出力し、前記メモリへのデータ転送の際に、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0020】
本願の請求項8の発明は、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方の入力信号に対し、加工処理を施す信号処理部と、前記信号処理部が出力する加工処理後のデータを一時的に保有するデータ保有部と、記データ保有部で保有されていたデータを、着脱自在なメモリに書き込むためのインターフェース部と、前記データ保有部の残容量を計測するデータ保有メモリ監視部と、信号記録装置の全体制御を行うと共に、前記メモリへのデータ転送の際に、前記データ保有メモリ監視部の監視結果に基づき、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示するシステム制御部と、を具備することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項9の発明は、請求項8の信号記録装置において、システム制御部は、前記データ保有メモリ監視部により、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値1よりも下回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項10の発明は、請求項8の信号記録装置において、システム制御部は、前記データ保有メモリ監視部により、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値1よりも下回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示し、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値2よりも上回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して消去処理を行なわないよう前記インターフェース部に指示し、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2の間に前記データ保有部の残容量が存在すると判定された場合は、前記メモリへのデータ転送の際に行なう前記インターフェース部によるメモリに対する消去処理は、前回のデータ転送の際に行なった処理と同一の処理を行なうよう指示することを特徴とする。
【0023】
本願の請求項11の発明は、請求項8の信号記録装置において、前記データ保有メモリ監視部は、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2を持ち、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2の状態遷移に基づき、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域の消去処理を行なうよう前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項12の発明は、請求項10または11の信号記録装置において、前記残容量閾値1は、前記残容量閾値2以下の値であることを特徴とする。
【0025】
本願の請求項13の発明は、請求項1〜12のいずれか1項の信号記録装置において、前記メモリは、電気的に消去、書き換え可能なフラッシュEEPROMであることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における映像及び音声信号記録装置について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施の形態における映像及び音声信号記録装置の構成を示すブロック図である。同図において、CCD(撮像素子)2は、撮影レンズ1を介して得た撮影情報を光電変換し、CCD信号(映像信号)として出力する。デジタル演算処理回路(DSP)3は、CCD2からの映像信号とマイク4からの音声信号を入力する。DSP3は、CCD2から得られた映像信号に対しては、ゲイン調整、ノイズ除去、ガンマ補正、アパーチャ処理、ニー処理等、周知のカメラ信号処理を施す。DSP3は、マイク4から得た音声信号に対しては、不要なノイズや風切り音の除去等、周知の音声信号処理を施す。
【0027】
DSP3で処理されたデジタル信号は、システムバス5を経由してシステムの作業領域として利用されるRAM6に格納される。RAM6に格納されたデジタル信号は、CODEC7内の信号処理部7a(圧縮伸張処理回路)によって画像圧縮及び音声圧縮処理などの信号処理が施され、ブロックデータに変換される。同時にCODEC7はディスプレイ8に記録画像を出力する。なお、このときの圧縮方式については特に限定する必要はないが、例えばMPEG(Motion Picture Experts Group)2方式を用いる。
【0028】
次に圧縮処理後の映像信号及び音声信号は、時間的同期をとって多重化され、1つのまとまったブロックデータに変換される。圧縮処理されたブロックデータは、コントローラ制御コマンドと共に、インターフェイス部であるメモリカードコントローラ9に転送される。コントローラ制御コマンドとは、CODEC7からメモリカード11に対してカード制御コマンドを発行するための信号である。こうしてブロックデータはメモリカードコントローラ9を介してメモリカード11に記録される。
【0029】
CPU12は、映像及び音声信号記録装置の全体制御を行うたのシステム制御部12aと、メモリカード11へのデータ転送速度の計測を行なうデータ転送速度計測部12bとを有している。システム制御部12aは、一連のシーケンスを制御しつつ、システムバス5でモニタできる信号を用いてデータ転送速度の計測を行なうようデータ転送速度計測部12bに対して指示を出す。そしてシステム制御部12aは、データ転送速度の計測結果に基づき、データ転送を行なう前に空き領域確保のための消去処理を行なうよう、メモリカードコントローラ9に対して指示する。メモリカードソケット10は、メモリカード11と電気的に接続し、メモリカード11を自由に着脱できるようにするものである。
【0030】
図2は、メモリカード11の内部の構造を示すブロック図である。メモリカード11は、映像及び音声記録装置本体に対して着脱自在な不揮発性のメモリである。同図において、メモリカードコントローラ9から転送されたカード制御コマンド及びブロックデータは、ホストインターフェイス201を介して、データバッファ203に一旦保存される。データバッファ203に保存されたカード制御コマンドやブロックデータは、メモリカード内部のコントローラ202によって判別され、夫々の処理に移される。即ちカード制御コマンドの場合はそのコマンド機能が実行され、データの場合はデータバッファ203の内容がフラッシュメモリ(フラッシュEEPROM)205に書き込まれる。情報レジスタ204は読み出し専用のレジスタであり、書き込み時のブロックサイズなどメモリカードの属性を格納している。
【0031】
以上のように構成された映像及び音声信号記録装置の動作について、タイミングチャートを用いて詳細に説明する。図3は、画像及び音声信号の記録時におけるタイミングチャートである。CODEC7の信号処理部7aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、システム制御部12aの指示によりそのブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する場合を示している。
【0032】
図3において、(a)はメモリカードコントローラ(MCC)9のデータ処理の状態を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(c)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(d)はメモリカード11の処理状態を示す。
【0033】
時間301は、CODEC7が圧縮処理後のブロックデータをコントローラ制御コマンドと共にメモリカードコントローラ9に転送する時間を表わす。時間302は、メモリカードコントローラ9がメモリカード制御コマンドをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がメモリカード制御コマンドを処理する時間と、メモリカードコントローラ9がブロックデータをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がフラッシュメモリ205の連続領域を検索してからデータバッファ203に格納されたブロックデータをフラッシュメモリ205に転送する時間との総和を表わしている。時間303は、メモリカードコントローラ9がメモリカード11からの記録準備完了信号(カードレディ信号)がHレベル(1)であることを検知して、システム制御部12aにデータ転送許可信号(ライトイネーブル信号)をHレベル(1)として出力するまでの時間を表わしている。時間304は、CODEC7がメモリカードコントローラ9からシステムバス5に対してライトイネーブル信号をHレベル(1)として出力したのを検知し、次のブロックデータの書き込を開始するまでの時間を表わしている。
【0034】
時間305は、CODEC7がメモリカードコントローラ9からのライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのを検知して書き込みを開始した時点から、同じく、メモリカードコントローラ9が次にライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのをCODEC7が検知して、次のブロックデータの書き込みを開始する時点までの時間を表わしている。この時間305は、具体的には時間301、時間302、時間303、時間304の総和である。
【0035】
RAM6に格納されたデジタル信号は、信号処理部7aによって圧縮処理されてブロックデータに変換される。CODEC7はシステム制御部7aの指示によりコントローラ制御コマンドと共にブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送する。メモリカードコントローラ9は、メモリカード11がカードレディ信号としてHレベル(1)を出力していることを確認してから、メモリカード11に対してライトコマンド(WRITE)、ブロックデータをこの順序に転送する。メモリカード11はライトコマンドを受信すると、カードレディ信号をLレベル(0)として出力し、メモリカードコントローラ9からブロックデータが転送されるのを待機する。
【0036】
メモリカード11がメモリカードコントローラ9からブロックデータを受け取ると、フラッシュメモリ205の連続領域を検索し、データバッファ203からフラッシュメモリ205へのブロックデータの転送を開始する。転送が完了したら、メモリカード11はカードレディ信号をHレベル(1)として出力する。
【0037】
図4は、信号処理部7aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11のフラグメンテーションによる転送遅延が発生している状態を示すタイミングチャートである。
【0038】
図4において、(a)は通常状態におけるメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(b)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカードコントローラ9におけるデータ処理の状態を示す。(c)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカードコントローラ9におけるライトイネーブルの信号を示す。(d)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)は通常のメモリカード11の処理状態を示す。(f)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカード11の処理状態を示す。
【0039】
図4の時間401、時間402、時間403、時間404、時間405は、それぞれ図3における時間301、時間302、時間303、時間304、時間305に対応する。時間406は、メモリコントローラ9に対してCODEC7がブロックデータの転送を開始する本来のタイミングから、フラグメンテーションの影響を受けて遅れ、CODEC7がメモリコントローラ9に対して当該ブロックデータの転送を開始するタイミングまでの区間である。この区間は転送開始タイミングの遅延時間を示している。これは、メモリカード11の内部でのフラグメンテーションの発生により、連続した空きブロックの検索に更に多くの時間を消費したからである。図4では、安定した転送状況である図3の状態と比較して、時間406相当の遅延が発生し、結果として転送効率が下がっていることが判る。
【0040】
図5は、画像及び音声信号の記録時において、CODEC7の信号処理部7aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する前に消去処理を繰り返し行うことによって、フラグメンテーションが全く発生しなくなった状態を示すタイミングチャートである。これはメモリカード11に図3の場合と同一サイズのデータを録する際の一例である。
【0041】
図5において、(a)はメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(c)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(d)は消去処理が事前に行われる場合のメモリカード11の処理状態を示す。
【0042】
時間501、時間502、時間503、時間504、時間505は、それぞれ図3における時間301、時間302、時間303、時間304、時間305に対応する。図5において、時間505が時間305に比べて短くなっている。その理由はフラグメンテーションの発生による空き領域の検索時間分の遅延が存在しないからである。詳しくは、メモリカードコントローラ9からメモリカード11のデータバッファ203への転送が完了すると同時に、メモリカード内のフラッシュメモリ205への転送も早期に完了するためである。時間506は、メモリカードコントローラ9から発行された消去コマンドによる処理時間を表わす。
【0043】
このような処理時間の短縮方法について、図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、CPU12のデータ転送速度検出部12bよって計測されたデータ転送速度に基づき、メモリカードコントローラ9が消去コマンドを発行している一例を示しているタイムチャートである。図6において、(a)はメモリカードへのデータ転送速度が変化する一例を表わす。(b)は方式1による消去コマンドの発行例を示す。(c)は方式2による消去コマンドの発行例を示す。図7において、(a)はメモリカードへのデータ転送速度が変換する一例を表わす。(b)は方式3による消去コマンドの発行例を示す。
【0044】
CPU12のデータ転送速度計測部12bはライトイネーブルの繰り返し周期を測定し、各周期の時間内にデータ転送されたデータ量により、図6(a)及び図7(a)に示すようなデータ転送速度を算出する。そしてデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2を設定する。このデータ転送速度閾値1はデータ転送速度閾値2以下の遅い値(データ転送速度閾値1≦データ転送速度閾値2)とする。例えば、データ転送速度閾値1はCODEC7が出力するデータ転送レートより少し高めの値とし、データ転送速度閾値2はCODEC7が出力するデータ転送レートより十分に余裕を持った値とする。
【0045】
(方式1)
図6(b)では、データ転送速度がデータ転送速度閾値1を1回でも下回った場合、CPU12のシステム制御部12aは、常にデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示する。この場合、図5に示す動作を行なうようになり、フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対し常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0046】
(方式2)
図6(c)では、データ転送速度がデータ転送速度閾値1を下回った場合、システム制御部12aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出し、データ転送速度がデータ転送速度閾値2を上回った場合、データ転送前の消去処理の指示を解除する。この場合、図5に示す動作と図3に示す動作を切り替えて行なうようになる。こうして消去処理が不要なデータの転送時に発生するときの問題が解消される。即ち消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理負荷など)や、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制することができる。このため、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0047】
(方式3)
図7は、データ転送速度が変動する場合、データ転送速度閾値1及びデータ転送速度閾値2を参照しながら、所定時間だけデータ転送速度の状態遷移を観測し、その結果に基づいてCPU12のシステム制御部12aがデータ転送前の消去処理指示を解除する場合の消去コマンドのタイムチャートである。具体的には、データ転送速度閾値1を下回った場合でも、すぐにシステム制御部12aはデータ転送前に消去処理を行なわないようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出し、所定時間だけデータ転送速度の状態遷移を観測し、その結果データ転送速度が低い状態が続けば、システム制御部12aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出す。同様に、データ転送速度がデータ転送速度閾値2を上回った場合でも、すぐにシステム制御部12aはデータ転送前の消去処理の指示を解除せず、所定時間、データ転送速度の状態遷移を観測し、その結果データ転送速度が高い状態が続けば、システム制御部12aはデータ転送前の消去処理の指示を解除する。
【0048】
こうして、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、時間的に短い周期で変化するデータ転送速度に対して図5に示すような動作と図3に示すような動作を頻繁に切り替えず、消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理付加など)を更に軽減することができる。更に、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0049】
このような信号処理により、本実施の形態の映像及び音声信号記録装置は、データ転送速度をデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2との比較結果に基づき、夫々の方式に基づいた効果を発揮することができる。
【0050】
方式1では、フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対し、常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0051】
方式2では、消去処理が不要なデータ転送時に発生する課題に対し、消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理負荷など)や消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0052】
方式3では、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理付加など)を更に軽減することが可能になり、かつ、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0053】
また、一連の処理のシーケンスはCPU12のシステム制御部12aによって制御されるが、勿論、ハードウェア自身によって処理を行い、CPU12が各ハードウェア間の処理タイミングの調停のみを行うという方法でも良い。
【0054】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置について説明する。図8は本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。図8においては、図1と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略する。CPU13は、図1の場合と同様にシステム制御部13aとデータ転送速度計測部13bとを有している。システム制御部13aは、映像及び音声信号記録装置の一連の動作シーケンスを制御しつつ、かつ、CODEC7からのブロックデータの代わりに、メモリカードコントローラ9を介してメモリカード11に基準データをデータ転送する機能を有するものとする。更にCPU13のデータ転送速度計測部13bは、CODEC7がブロックデータを出力していない時間に、基準データのデータ転送速度を計測するものとする。この機能を、テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能という。更にシステム制御部13aは、このテスト書き込みによるデータ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、メモリカードコントローラ9に対して消去処理の指示を行なうことを特徴とする。
【0055】
以上のように構成された本実施の形態における映像及び音声信号記録装置について、その動作を詳細に説明する。図9は複数回のテスト書き込みによるデータ転送速度の計測を実行し、そのデータ転送速度における変動の一例を示している。
【0056】
図9(a)は、テスト書き込みの結果、データ転送速度が低下していく様子を示す例である。このような場合、CODEC7の信号処理部7aがブロックデータを出力していないときには、CPU13のシステム制御部13aはメモリカードコントローラ9に対してできる限り多い空き領域の消去処理、望ましくは全空き領域の消去処理を行なうことを指示する。もしくはシステム制御部13aは、次回にCODEC7がブロックデータを出力するときには、データ転送を行なう前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対して指示する。
【0057】
図9(b)は、テスト書き込みの結果、データ転送速度が低下しない様子を示す例である。このような場合、信号処理部7aがブロックデータを出力していないとき、及び次回に信号処理部7aがブロックデータを出力するときに、システム制御部13aはデータ転送の前に消去処理を行なわないようにメモリカードコントローラ9に対して指示する。テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能を用いて、CPU13はCODEC7がブロックデータを出力していない時間内に、メモリカードのフラグメンテーションの状態を検索する。フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対しては、CODEC7がブロックデータを出力していない時間内に、システム制御部13aはできる限り多い空き領域の消去処理、望ましくは全空き領域の消去処理を指示する。そしてCODEC7がブロックデータを出力し始めるときに、システム制御部13aはデータ転送を行なう前に消去処理の指示を出し、フラグメンテーションが発生していないメモリカードに対しては、消去処理の指示を出さないようにする。
【0058】
このことにより、本実施の形態の信号記録装置は、機器が記録に関与しない時間内に、テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能を用いて、メモリカードのフラグメンテーションの状態を検索し、その結果に基づいた消去処理の指示を行なうことで、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0059】
上記の一連の処理のシーケンスはCPU13のシステム制御部13aによって制御されるが、勿論、ハードウェア自身によって処理を行い、CPU13は各ハードウェア間の処理タイミングの調停のみを行うという方式でもよい。
【0060】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3における映像及び音声信号記録装置について説明する。図10は本実施の形態における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。図1と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0061】
図10に示すCPU14はシステム制御部14aとデータ保有メモリ監視部14bとを有している。CODEC15は、信号の圧縮及び伸長を行う信号処理部15aに加えて、信号処理部15aによって生成されたブロックデータを一時的に保有するデータ保有メモリ15bを有するものとする。CPU14のシステム制御部14aは、データ保有メモリ監視部14bの監視結果に基づいて映像及び音声信号記録装置の一連の動作シーケンスを制御する。データ保有メモリ監視部14bはCODEC15内のデータ保有メモリ15bの残容量を監視する。システム制御部14aは、このデータ保有メモリ15bの残容量に基づき、データ転送を行なう前に消去処理を行なう指示をメモリカードコントローラ9に指示する。
【0062】
このような構成の映像及び音声信号記録装置の動作について、図11〜図13のタイムチャートを用いて詳細に説明する。図11は、画像及び音声信号記録時において、CODEC15の信号処理部15aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後メモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する際の動作を示すタイミングチャートである。
【0063】
図11において、(a)はデータ保有メモリ15bの残容量の推移を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(c)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(d)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)はメモリカード11の処理状態を示す。
【0064】
時間601は、CODEC15がデータ保有メモリ15b内の圧縮処理後のブロックデータをコントローラ制御コマンドと共にメモリカードコントローラ9に転送する時間である。この時間では、データ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9対しブロックデータの転送が行なわれるため、データ保有メモリ15bの残容量は増加する。
【0065】
時間602は、メモリカードコントローラ9がメモリカード制御コマンドをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がメモリカード制御コマンドを処理する時間と、メモリカードコントローラ9がブロックデータをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がフラッシュメモリ205の連続領域を検索してからデータバッファ203に格納されたブロックデータをフラッシュメモリ205に転送する時間との総和である。
【0066】
時間603は、メモリカードコントローラ9がメモリカード11からの記録準備完了信号(カードレディ信号)がHレベル(1)であることを検知して、システム制御部14aにデータ転送許可信号(ライトイネーブル信号)をHレベル(1)として出力するまでの時間を表わす。時間604は、CODEC7がメモリカードコントローラ9からシステムバス5に対してライトイネーブル信号をHレベル(1)として出力したのを検知して、次のブロックデータの書き込を開始するまでの時間である。時間602、時間603、時間604では、データ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9対しブロックデータの転送が行なわれないため、データ保有メモリ15bの残容量は減少する。
【0067】
時間605は、CODEC15がメモリカードコントローラ9からのライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのを検知して書き込を開始した時点から、同じくCODEC15が、メモリカードコントローラ9が次にライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのを検知して、次のブロックデータの書き込を開始する時点までの時間を表わす。この時間605は、具体的には時間601、時間602、時間603、時間604の総和である。
【0068】
RAM6に格納されたデジタル信号は、CODEC15の信号処理部15aによって圧縮処理されてブロックデータに変換され、データ保有メモリ15bに格納される。そしてその後CODEC15がコントローラ制御コマンドと共にブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送する。メモリカードコントローラ9は、メモリカード11がカードレディ信号をHレベル(1)として出力しているのを確認してから、メモリカード11に対してライトコマンド、ブロックデータをこの順序に転送する。
【0069】
メモリカード11は、ライトコマンドを受信すると、カードレディ信号をLレベル(0)として出力し、メモリカードコントローラ9からブロックデータが転送されるのを待機する。メモリカード11がメモリカードコントローラ9からブロックデータを受け取ると、フラッシュメモリ205の連続領域を検索し、データバッファ203からフラッシュメモリ205への転送を開始する。
【0070】
データの転送が完了したら、メモリカード11はカードレディ信号をHレベル(1)として出力する。図11では、時間601内にデータ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9に対して転送される転送データ量と、時間602、時間603、時間604の総和の時間内にCODEC15によって圧縮処理されたブロックデータがデータ保有メモリ15bに格納されるデータ量とがほぼ一致する。このような場合には、時間の経過に伴うデータ保有メモリ15bの平均残容量は増減しないこととなる。
【0071】
図12は、信号処理部15aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後メモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がフラグメンテーションによる転送遅延が発生しているメモリカード11に記録する際のタイミングチャートの一例である。
【0072】
図12において、(a)はフラグメンテーションが発生した場合、データ保有メモリ15bの残容量の推移を示す。(b)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(c)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(d)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)は通常のメモリカード11の処理状態を示す。(f)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカード11の処理状態を示す。
【0073】
時間701、時間702、時間703、時間704、時間705は、それぞれ図6における時間601、時間602、時間603、時間604、時間605に対応する。
【0074】
図12の時間706は、メモリコントローラ9に対してCODEC15がブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後転送を開始する本来のタイミングから、フラグメンテーションの影響を受けてCODEC15がメモリコントローラ9に対して当該ブロックデータの転送を開始したタイミングまでの区間を表わしている。この時間706は、転送開始タイミングの遅延時間に相当する。この場合、メモリカード11内部でのフラグメンテーションの発生により、連続した空きブロックの検索に更に多くの時間を消費するようになり、安定した転送状況である図11の状態と比較して、時間706相当の遅延が発生するので、結果として転送効率が低下する。
【0075】
図12では、時間701内にデータ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9に対して転送される転送データ量と、時間702、時間703、時間704の総和の時間内に信号処理部15aによって圧縮処理されたブロックデータがデータ保有メモリ15bに格納されるデータ量とが一致せず、時間706相当の遅延によりデータ保有メモリ15b内の残容量が減少している。このような状況が続いた場合、時間の経過に伴うデータ保有メモリ15bの平均残容量が減少し、メモリカード11へのデータ転送は破綻することなる。
【0076】
図13は、画像及び音声信号の記録時において、信号処理部15aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後メモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する前に消去処理を繰り返し行うことによって、フラグメンテーションが全く発生しない状況になったメモリカード11に対して、データを記録する際のタイミングチャートである。
【0077】
図13において、(a)はデータ保有メモリ15bの残容量の推移を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(c)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(d)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)は消去処理が事前に行われる場合のメモリカード11の処理状態を示す。
【0078】
時間801、時間802、時間803、時間804、時間805は、それぞれ図11における時間601、時間602、時間603、時間604、時間605に対応する。図13において、時間805が時間605に比べて短くなっている理由は、フラグメンテーション発生による空き領域の検索時間分の遅延が発生しないためである。この場合、メモリカードコントローラ9からのメモリカード11のデータバッファ203への転送が完了すると同時に、メモリカード内のフラッシュメモリ205への転送も完了する。
【0079】
図13の時間806は、メモリカードコントローラ9から発行された消去コマンドの処理時間を表わす。図13では、時間801内にデータ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9に対して転送される転送データ量が、時間802、時間803、時間804の総和の時間内に信号処理部15aによって圧縮処理されたブロックデータがデータ保有メモリ15bに格納されるデータ量を上回る。このため、データ保有メモリ15b内の残容量は増加している。このような状況では、時間の経過に伴うデータ保有メモリ15bの平均残容量は増加していく。
【0080】
図14及び図15は、CPU14のデータ保有メモリ監視部14bによって監視されたデータ保有メモリ15bの残容量に基づき、メモリカードコントローラ9が消去コマンドを発行している一例を示している。図14において、(a)はメモリカード11へのデータ転送速度が変化する一例を表わす。(b)は方式1による消去コマンドの発行例を示す。(c)は方式2による消去コマンドの発行例を示す。図15において、(a)はメモリカード11へのデータ転送速度が変換する一例を表わす。(b)は方式3による消去コマンドの発行例を示す。
【0081】
最もデータ保有メモリ15bの残容量が減少しているライトイネーブル信号がHレベル(1)となるタイミングにおいて、データ保有メモリ監視部14bはデータ保有メモリ15bの残容量を監視する。残容量閾値1と残容量閾値2を設定し、この残容量閾値1は残容量閾値2以下の値(残容量閾値1≦残容量閾値2)とする。例えば、残容量閾値1はデータ保有メモリ15b全体の容量に対して半分以下の値とし、残容量閾値2はデータ保有メモリ15b全体の容量に対して半分ぐらいの値とする。
【0082】
(方式1)
図14(b)では、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値1を1回でも下回った場合を示している。この場合CPU14のシステム制御部14aは、常にデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示する。その結果、図13に示す動作を行なうようになり、フラグメンテーションが発生しているメモリカード11に対し常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0083】
(方式2)
図14(c)では、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値1を下回った場合、CPU14のシステム制御部14aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示する。また、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値2を上回った場合、システム制御部14aはデータ転送前の消去処理の指示を解除する。その結果、図13に示すような動作と、図11に示す動作とを切り替えて行なうようになり、消去処理が不要なデータ転送時に発生する処理負荷、(消去処理に伴うCPU14の処理負荷など)や、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制することができる。その結果、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0084】
(方式3)
図15では、以下のような動作を示している。即ち、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値1を下回った場合でも、すぐにCPU14のシステム制御部14aはデータ転送前に消去処理を行なわないようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出し、所定時間、データ保有メモリ15bの残容量の状態遷移を観測し、その結果システム制御部14aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出す。同様に、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値2を上回った場合でも、システム制御部14aはすぐにデータ転送前の消去処理の指示を解除せず、所定時間、データ保有メモリ15bの残容量の状態遷移を観測し、その結果システム制御部14aはデータ転送前の消去処理の指示を解除する。
【0085】
このように、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、時間的に短い周期で変化するデータ転送速度に対して図13に示すような動作と、図11に示すような動作を頻繁に切り替えず、消去処理に伴う処理負荷(CPU14の付加負荷など)を更に軽減できる。かつ、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0086】
このような処理により、本実施の形態の信号記録装置は、データ保有メモリ15bの残容量を残容量閾値1と残容量閾値2との比較結果に基づき、方式1では、フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対し、常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0087】
方式2では、消去処理が不要なデータ転送時に発生する処理負荷(CPU14の処理負荷など)や、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0088】
方式3では、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、消去処理に伴う処理負荷(CPU14の付加など)を更に軽減しすることができ、かつ、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0089】
なお、一連の処理のシーケンスはCPU14のシステム制御部14aによって制御されるが、勿論、ハードウェア自身によって処理を行い、CPU14は各ハードウェア間の処理タイミングの調停のみを行う方法でも良い。
【0090】
なお、上記各実施の形態において、映像信号及び音声信号はCCD2及びマイク4を使って得るとして説明した。しかしこれに限るものではなく、例えばTVチューナーや外部ビデオ入力部を有し、TV放送や他の機器を経由して入力される映像信号及び音声信号を圧縮処理してメモリカード11に記録するような方式でも、同様の機能が得られる。
【0091】
また、メモリカード11は、半導体メモリ、例えばフラッシュメモリ(フラッシュEEPROM)を内蔵するメモリ手段として説明した。しかしこれに限るものではなく、他の記憶媒体でもフラグメンテーションが発生することでデータ転送速度が変わる媒体においても、同様の機能が得られる。
【0092】
また、映像信号及び音声信号を記録する信号記録装置をもとに説明を行った。しかしこれに限るものではなく、映像信号のみ、又は音声信号のみを記録する信号記録装置においても、同様の機能が得られる。また、映像信号は、動画、静止画のいずれでもよい。
【0093】
また、映像信号及び音声信号の圧縮方法としてMPEG2方式を挙げた。しかしこれに限るものではなく、例えば、映像信号に関してはMPEG4方式、モーションJPEG方式、JPEG方式、JPEG2000方式等、他の圧縮方式を用いた場合でも、同様の機能が得られる。
【0094】
【発明の効果】
以上のように、本発明の信号記録装置によれば、データ転送速度をデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2とで比較した結果を時間的に長い周期で計測することで、メモリカード内のフラグメンテーションの状態を観測し、消去処理の要否を判断することで、消去処理に伴う処理負荷を更に軽減することができる。また消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。また、動画データの転送速度の低減や、動画記録の禁止などを行なわないため、操作に対する利便性が向上するという効果も得られる。
【0095】
また、本発明の信号記録装置によれば、信号記録装置が記録に関与しない時間内に、テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能を用いて、メモリカードのフラグメンテーションの状態を検索し、その結果に基づいた消去処理の指示を行なうことで、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。また、信号記録装置が記録に関与しない時間内に消去処理を行なうため、利用者が記録を開始し始めるときには、フラグメンテーションが発生していないメモリカードを提供できる。このため、操作に対する利便性が向上するという効果も得られる。
【0096】
また、本発明の信号記録装置によれば、データ保有メモリの残容量を残容量閾値1と残容量閾値2とで比較した結果を時間的に長い周期で計測することで、メモリカード内のフラグメンテーションの状態を観測し、消去処理の要否を判断することで、消去処理に伴う処理負荷を更に軽減することができる。また、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。また、動画データの転送速度の低減や、動画記録の禁止などを行なわないため、操作に対する利便性が向上するという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。
【図2】各実施の形態の映像及び音声信号記録装置に用いられるメモリカードの内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1のメモリカードに対し、通常のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図4】実施の形態1のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生している場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図5】実施の形態1のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生しないようにした場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図6】実施の形態1のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その1)である。
【図7】実施の形態1のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その2)である。
【図8】本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置の処理内容を示す概念図である。
【図10】本発明の実施の形態3における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。
【図11】実施の形態3のメモリカードに対し、通常のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図12】実施の形態3のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生している場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図13】実施の形態3のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生しないようにした場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図14】実施の形態3のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その1)である。
【図15】実施の形態3のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その2)である。
【符号の説明】
1 レンズ
2 CCD
3 DSP
4 マイク
5 システムバス
6 RAM
7、15 CODEC
7a,15a 信号処理部
8 ディスプレイ
9 メモリカードコントローラ
10 メモリカードソケット
11 メモリカード
12、13、14 CPU
12a,13a,14a システム制御部
12b,13b データ転送速度計測部
14b データ保有メモリ監視部
15b データ保有メモリ
201 ホストインターフェイス
202 コントローラ
203 データバッファ
204 情報レジスタ
205 フラッシュメモリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画及び静止画などの映像信号や音声信号の少なくとも一方を、着脱可能な記録媒体に記録するための信号記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、動画や静止画などの映像信号を記録する信号記録装置においては、記録媒体が従来の磁気テープやフィルムから、半導体メモリを使用したメモリカードへと切り替わろうとしている。
【0003】
特に、デジタルスチルカメラは、その低価格もさることながら、メディアへの切り替わりによって、従来ならば36枚程度の撮影枚数の上限を1000枚近くに引き上げ、パーソナルコンピュータとのデータ連携など、従来の機械式カメラではなし得なかった新たな使い方を利用者に提供できる。このため、このカテゴリーの商品は市場に急速に浸透した。また、データ容量の大きな動画においても同様であり、これらの映像信号をメモリカードに記録する技術が提案及び実用化されている。
【0004】
具体的には、特許文献1の例においては、静止画の撮影時の画像信号も、動画の撮影時の画像信号も、共にブロック型の信号に変換し、同じ圧縮回路でデータ圧縮することで静止画及び動画の両方を撮影可能にし、且つ記録媒体により多くの画像の記録を可能にした機器が開示されている。このような機器においては、記録媒体としてフラッシュメモリ(フラッシュEEPROM)を内蔵したメモリカードを使用する例がほとんどである。これはメモリカードが小さく軽量であるため、可搬性に優れており、記録中の耐衝撃性にも秀でているという有利な点があるからである。
【0005】
また、高速でのデータ転送を保証する手段としては、特許文献2に記載されているように、フラッシュメモリのデータを予め消去しておく方法がある。
【0006】
さらに、信号記録装置において動画記録の正常転送を実現するために、特許文献3に記載されているように、記録転送速度を検出し、動画データの転送速度を低減したり、動画の記録を禁止するなどの処理を行い、機器の異常停止を防止する技術などが提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−253251号公報(第3−4頁、図1−3)
【特許文献2】
特開平5−54682号公報(第5頁)
【特許文献3】
特開平10−233986号公報(第3頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1に挙げた従来の技術においては、静止画及び動画の両方を撮影可能な機器が提案されているが、この機器で生成されたデータを高速で、且つ正常にメモリカードに書き込む技術に関しては何ら提案されていない。フラッシュメモリは構造上、メモリカードに対する累積書き込み回数が増加するにつれて、フラグメンテーション(fragmentation、例えば、ブロック分断)が増加することが一般的に知られている。このフラグメンテーションが発生しているメモリカードに対しては、内部のフラッシュメモリの書込可能な連続領域の検索に時間がかかり、期待通りの速度で記録できない可能性がある。そのため、上記に述べたようにメモリカードに対するデータ消去が事前に行われていない状況では、データ量の大きな動画像の記録などを行う際に、正常にデータを記録できないという課題が生じる。
【0009】
また、特許文献2に挙げたフラッシュメモリの消去に関しては、当然のことながら一定の時間(消去時間)が必要であり、フラッシュメモリの全容量が大きければ大きいほど、メモリカード全体の消去時間も長くなる。これは例えば、機器の使用者がメモリカードを使用するに先立って、メモリカードの全消去を行うとすると、長時間にわたって消去完了の信号を待つことになり、機器の利便性が損なわれる。しかしながら、メモリカードの消去を行なわなければ、高速度でのデータ記録が保証されがたい状況も発生しうる。この場合、例えばデータ量の大きい動画像の記録などを行なおうとすると、正常にデータが記録されなくなる恐れが生じる。さらにフラッシュメモリの消去処理は、消費電力の増加を招き、機器の動作可能時間の減少になるので、データの正常転送が保証されている場合は、必要以上の消去処理は行なわないことが望ましい。
【0010】
また、特許文献3で挙げた従来の構成では、機器の異常停止を防止するために、動画データの転送速度の低減や、動画記録の禁止などを行なうが、これではユーザの利便性、例えば転送速度の低減による画質劣化や、記録したいときに記録できないことが生じることを考慮すると、この技術をそのまま受け入れにくいものがある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、消去処理に伴う機器の処理負荷を軽減し、かつ消去処理に伴う消費電力を抑制しつつ、常に最適に正常なメモリカードへのデータ転送を実現し、動画データの転送速度の低減や動画記録の禁止などの制限を与えないようにした信号記録装置を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本願発明では、データ記録中にメモリカードから送られてくる記録準備の完了信号の周期計測を行い、記録転送レートを算出する。そして、記録に必要とされる記録転送レートを下回りそうな状況の場合にのみ、メモリカードの消去処理を行なう。また信号記録装置が映像及び音声信号を符号化したデータを一時保有する緩衝用メモリを備えることにより、緩衝用メモリの残容量に応じて、メモリカードの消去処理を行なう技術を確立するものとする。
【0013】
本願の請求項1の発明は、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方の入力信号に対し、加工処理を施す信号処理部と、前記信号処理部で加工処理されたデータを、着脱自在なメモリに書き込むためのインターフェース部と、前記メモリへのデータ転送速度を計測するデータ転送速度計測部と、信号記録装置の全体制御を行うと共に、前記データ転送速度計測部に計測指示を与え、計測により得られたデータ転送速度に基づいて消去指示を出力するシステム制御部と、を具備し、前記システム制御部は、前記メモリへのデータ転送の際に、前記データ転送速度計測部の計測結果に基づき、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理の命令を前記インターフェース部に出力することを特徴とする。
【0014】
本願の請求項2の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量とによりデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、設定されたデータ転送速度閾値1を前記データ転送速度が下回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0015】
本願の請求項3の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量によりデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、設定されたデータ転送速度閾値1を前記データ転送速度が下回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示し、設定されたデータ転送速度閾値2を前記データ転送速度が上回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して消去処理を行なわないよう前記インターフェース部に指示し、前記データ転送速度閾値1と前記データ転送速度閾値2の間に前記データ転送速度が存在する場合、前記メモリへのデータ転送の際に行なう前記インターフェース部によるメモリへの消去処理は、前回のデータ転送の際に行なった処理方法と同一の処理を行なうよう指示することを特徴とする。
【0016】
本願の請求項4の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量とによりデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、設定されたデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2を持ち、前記データ転送速度閾値1と前記データ転送速度閾値2の状態遷移に基づき、前記メモリへのデータ転送の際に、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0017】
本願の請求項5の発明は、請求項3または4の信号記録装置において、前記データ転送速度閾値1は、前記データ転送速度閾値2以下の値であることを特徴とする。
【0018】
本願の請求項6の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記信号処理部で加工処理されたデータの代わりに基準データを用い、前記インターフェース部を介して前記メモリに前記基準データをデータ転送することにより、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に基準データのデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、前記データ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に、前記メモリに対して空き領域確保のための消去処理又は全空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0019】
本願の請求項7の発明は、請求項1の信号記録装置において、前記データ転送速度計測部は、前記信号処理部で加工処理されたデータの代わりに基準データを用い、前記インターフェース部を介して前記メモリに前記基準データをデータ転送することにより、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に基準データのデータ転送速度を計測するものであり、前記システム制御部は、前記データ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、次回に前記信号処理部が加工処理されたデータを出力し、前記メモリへのデータ転送の際に、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0020】
本願の請求項8の発明は、映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方の入力信号に対し、加工処理を施す信号処理部と、前記信号処理部が出力する加工処理後のデータを一時的に保有するデータ保有部と、記データ保有部で保有されていたデータを、着脱自在なメモリに書き込むためのインターフェース部と、前記データ保有部の残容量を計測するデータ保有メモリ監視部と、信号記録装置の全体制御を行うと共に、前記メモリへのデータ転送の際に、前記データ保有メモリ監視部の監視結果に基づき、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示するシステム制御部と、を具備することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項9の発明は、請求項8の信号記録装置において、システム制御部は、前記データ保有メモリ監視部により、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値1よりも下回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項10の発明は、請求項8の信号記録装置において、システム制御部は、前記データ保有メモリ監視部により、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値1よりも下回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示し、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値2よりも上回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して消去処理を行なわないよう前記インターフェース部に指示し、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2の間に前記データ保有部の残容量が存在すると判定された場合は、前記メモリへのデータ転送の際に行なう前記インターフェース部によるメモリに対する消去処理は、前回のデータ転送の際に行なった処理と同一の処理を行なうよう指示することを特徴とする。
【0023】
本願の請求項11の発明は、請求項8の信号記録装置において、前記データ保有メモリ監視部は、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2を持ち、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2の状態遷移に基づき、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域の消去処理を行なうよう前記インターフェース部に指示することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項12の発明は、請求項10または11の信号記録装置において、前記残容量閾値1は、前記残容量閾値2以下の値であることを特徴とする。
【0025】
本願の請求項13の発明は、請求項1〜12のいずれか1項の信号記録装置において、前記メモリは、電気的に消去、書き換え可能なフラッシュEEPROMであることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における映像及び音声信号記録装置について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施の形態における映像及び音声信号記録装置の構成を示すブロック図である。同図において、CCD(撮像素子)2は、撮影レンズ1を介して得た撮影情報を光電変換し、CCD信号(映像信号)として出力する。デジタル演算処理回路(DSP)3は、CCD2からの映像信号とマイク4からの音声信号を入力する。DSP3は、CCD2から得られた映像信号に対しては、ゲイン調整、ノイズ除去、ガンマ補正、アパーチャ処理、ニー処理等、周知のカメラ信号処理を施す。DSP3は、マイク4から得た音声信号に対しては、不要なノイズや風切り音の除去等、周知の音声信号処理を施す。
【0027】
DSP3で処理されたデジタル信号は、システムバス5を経由してシステムの作業領域として利用されるRAM6に格納される。RAM6に格納されたデジタル信号は、CODEC7内の信号処理部7a(圧縮伸張処理回路)によって画像圧縮及び音声圧縮処理などの信号処理が施され、ブロックデータに変換される。同時にCODEC7はディスプレイ8に記録画像を出力する。なお、このときの圧縮方式については特に限定する必要はないが、例えばMPEG(Motion Picture Experts Group)2方式を用いる。
【0028】
次に圧縮処理後の映像信号及び音声信号は、時間的同期をとって多重化され、1つのまとまったブロックデータに変換される。圧縮処理されたブロックデータは、コントローラ制御コマンドと共に、インターフェイス部であるメモリカードコントローラ9に転送される。コントローラ制御コマンドとは、CODEC7からメモリカード11に対してカード制御コマンドを発行するための信号である。こうしてブロックデータはメモリカードコントローラ9を介してメモリカード11に記録される。
【0029】
CPU12は、映像及び音声信号記録装置の全体制御を行うたのシステム制御部12aと、メモリカード11へのデータ転送速度の計測を行なうデータ転送速度計測部12bとを有している。システム制御部12aは、一連のシーケンスを制御しつつ、システムバス5でモニタできる信号を用いてデータ転送速度の計測を行なうようデータ転送速度計測部12bに対して指示を出す。そしてシステム制御部12aは、データ転送速度の計測結果に基づき、データ転送を行なう前に空き領域確保のための消去処理を行なうよう、メモリカードコントローラ9に対して指示する。メモリカードソケット10は、メモリカード11と電気的に接続し、メモリカード11を自由に着脱できるようにするものである。
【0030】
図2は、メモリカード11の内部の構造を示すブロック図である。メモリカード11は、映像及び音声記録装置本体に対して着脱自在な不揮発性のメモリである。同図において、メモリカードコントローラ9から転送されたカード制御コマンド及びブロックデータは、ホストインターフェイス201を介して、データバッファ203に一旦保存される。データバッファ203に保存されたカード制御コマンドやブロックデータは、メモリカード内部のコントローラ202によって判別され、夫々の処理に移される。即ちカード制御コマンドの場合はそのコマンド機能が実行され、データの場合はデータバッファ203の内容がフラッシュメモリ(フラッシュEEPROM)205に書き込まれる。情報レジスタ204は読み出し専用のレジスタであり、書き込み時のブロックサイズなどメモリカードの属性を格納している。
【0031】
以上のように構成された映像及び音声信号記録装置の動作について、タイミングチャートを用いて詳細に説明する。図3は、画像及び音声信号の記録時におけるタイミングチャートである。CODEC7の信号処理部7aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、システム制御部12aの指示によりそのブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する場合を示している。
【0032】
図3において、(a)はメモリカードコントローラ(MCC)9のデータ処理の状態を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(c)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(d)はメモリカード11の処理状態を示す。
【0033】
時間301は、CODEC7が圧縮処理後のブロックデータをコントローラ制御コマンドと共にメモリカードコントローラ9に転送する時間を表わす。時間302は、メモリカードコントローラ9がメモリカード制御コマンドをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がメモリカード制御コマンドを処理する時間と、メモリカードコントローラ9がブロックデータをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がフラッシュメモリ205の連続領域を検索してからデータバッファ203に格納されたブロックデータをフラッシュメモリ205に転送する時間との総和を表わしている。時間303は、メモリカードコントローラ9がメモリカード11からの記録準備完了信号(カードレディ信号)がHレベル(1)であることを検知して、システム制御部12aにデータ転送許可信号(ライトイネーブル信号)をHレベル(1)として出力するまでの時間を表わしている。時間304は、CODEC7がメモリカードコントローラ9からシステムバス5に対してライトイネーブル信号をHレベル(1)として出力したのを検知し、次のブロックデータの書き込を開始するまでの時間を表わしている。
【0034】
時間305は、CODEC7がメモリカードコントローラ9からのライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのを検知して書き込みを開始した時点から、同じく、メモリカードコントローラ9が次にライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのをCODEC7が検知して、次のブロックデータの書き込みを開始する時点までの時間を表わしている。この時間305は、具体的には時間301、時間302、時間303、時間304の総和である。
【0035】
RAM6に格納されたデジタル信号は、信号処理部7aによって圧縮処理されてブロックデータに変換される。CODEC7はシステム制御部7aの指示によりコントローラ制御コマンドと共にブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送する。メモリカードコントローラ9は、メモリカード11がカードレディ信号としてHレベル(1)を出力していることを確認してから、メモリカード11に対してライトコマンド(WRITE)、ブロックデータをこの順序に転送する。メモリカード11はライトコマンドを受信すると、カードレディ信号をLレベル(0)として出力し、メモリカードコントローラ9からブロックデータが転送されるのを待機する。
【0036】
メモリカード11がメモリカードコントローラ9からブロックデータを受け取ると、フラッシュメモリ205の連続領域を検索し、データバッファ203からフラッシュメモリ205へのブロックデータの転送を開始する。転送が完了したら、メモリカード11はカードレディ信号をHレベル(1)として出力する。
【0037】
図4は、信号処理部7aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11のフラグメンテーションによる転送遅延が発生している状態を示すタイミングチャートである。
【0038】
図4において、(a)は通常状態におけるメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(b)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカードコントローラ9におけるデータ処理の状態を示す。(c)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカードコントローラ9におけるライトイネーブルの信号を示す。(d)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)は通常のメモリカード11の処理状態を示す。(f)はフラグメンテーションが発生した場合のメモリカード11の処理状態を示す。
【0039】
図4の時間401、時間402、時間403、時間404、時間405は、それぞれ図3における時間301、時間302、時間303、時間304、時間305に対応する。時間406は、メモリコントローラ9に対してCODEC7がブロックデータの転送を開始する本来のタイミングから、フラグメンテーションの影響を受けて遅れ、CODEC7がメモリコントローラ9に対して当該ブロックデータの転送を開始するタイミングまでの区間である。この区間は転送開始タイミングの遅延時間を示している。これは、メモリカード11の内部でのフラグメンテーションの発生により、連続した空きブロックの検索に更に多くの時間を消費したからである。図4では、安定した転送状況である図3の状態と比較して、時間406相当の遅延が発生し、結果として転送効率が下がっていることが判る。
【0040】
図5は、画像及び音声信号の記録時において、CODEC7の信号処理部7aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する前に消去処理を繰り返し行うことによって、フラグメンテーションが全く発生しなくなった状態を示すタイミングチャートである。これはメモリカード11に図3の場合と同一サイズのデータを録する際の一例である。
【0041】
図5において、(a)はメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(c)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(d)は消去処理が事前に行われる場合のメモリカード11の処理状態を示す。
【0042】
時間501、時間502、時間503、時間504、時間505は、それぞれ図3における時間301、時間302、時間303、時間304、時間305に対応する。図5において、時間505が時間305に比べて短くなっている。その理由はフラグメンテーションの発生による空き領域の検索時間分の遅延が存在しないからである。詳しくは、メモリカードコントローラ9からメモリカード11のデータバッファ203への転送が完了すると同時に、メモリカード内のフラッシュメモリ205への転送も早期に完了するためである。時間506は、メモリカードコントローラ9から発行された消去コマンドによる処理時間を表わす。
【0043】
このような処理時間の短縮方法について、図6及び図7を用いて説明する。図6及び図7は、CPU12のデータ転送速度検出部12bよって計測されたデータ転送速度に基づき、メモリカードコントローラ9が消去コマンドを発行している一例を示しているタイムチャートである。図6において、(a)はメモリカードへのデータ転送速度が変化する一例を表わす。(b)は方式1による消去コマンドの発行例を示す。(c)は方式2による消去コマンドの発行例を示す。図7において、(a)はメモリカードへのデータ転送速度が変換する一例を表わす。(b)は方式3による消去コマンドの発行例を示す。
【0044】
CPU12のデータ転送速度計測部12bはライトイネーブルの繰り返し周期を測定し、各周期の時間内にデータ転送されたデータ量により、図6(a)及び図7(a)に示すようなデータ転送速度を算出する。そしてデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2を設定する。このデータ転送速度閾値1はデータ転送速度閾値2以下の遅い値(データ転送速度閾値1≦データ転送速度閾値2)とする。例えば、データ転送速度閾値1はCODEC7が出力するデータ転送レートより少し高めの値とし、データ転送速度閾値2はCODEC7が出力するデータ転送レートより十分に余裕を持った値とする。
【0045】
(方式1)
図6(b)では、データ転送速度がデータ転送速度閾値1を1回でも下回った場合、CPU12のシステム制御部12aは、常にデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示する。この場合、図5に示す動作を行なうようになり、フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対し常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0046】
(方式2)
図6(c)では、データ転送速度がデータ転送速度閾値1を下回った場合、システム制御部12aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出し、データ転送速度がデータ転送速度閾値2を上回った場合、データ転送前の消去処理の指示を解除する。この場合、図5に示す動作と図3に示す動作を切り替えて行なうようになる。こうして消去処理が不要なデータの転送時に発生するときの問題が解消される。即ち消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理負荷など)や、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制することができる。このため、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0047】
(方式3)
図7は、データ転送速度が変動する場合、データ転送速度閾値1及びデータ転送速度閾値2を参照しながら、所定時間だけデータ転送速度の状態遷移を観測し、その結果に基づいてCPU12のシステム制御部12aがデータ転送前の消去処理指示を解除する場合の消去コマンドのタイムチャートである。具体的には、データ転送速度閾値1を下回った場合でも、すぐにシステム制御部12aはデータ転送前に消去処理を行なわないようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出し、所定時間だけデータ転送速度の状態遷移を観測し、その結果データ転送速度が低い状態が続けば、システム制御部12aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出す。同様に、データ転送速度がデータ転送速度閾値2を上回った場合でも、すぐにシステム制御部12aはデータ転送前の消去処理の指示を解除せず、所定時間、データ転送速度の状態遷移を観測し、その結果データ転送速度が高い状態が続けば、システム制御部12aはデータ転送前の消去処理の指示を解除する。
【0048】
こうして、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、時間的に短い周期で変化するデータ転送速度に対して図5に示すような動作と図3に示すような動作を頻繁に切り替えず、消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理付加など)を更に軽減することができる。更に、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0049】
このような信号処理により、本実施の形態の映像及び音声信号記録装置は、データ転送速度をデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2との比較結果に基づき、夫々の方式に基づいた効果を発揮することができる。
【0050】
方式1では、フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対し、常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0051】
方式2では、消去処理が不要なデータ転送時に発生する課題に対し、消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理負荷など)や消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0052】
方式3では、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、消去処理に伴う処理負荷(CPU12の処理付加など)を更に軽減することが可能になり、かつ、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0053】
また、一連の処理のシーケンスはCPU12のシステム制御部12aによって制御されるが、勿論、ハードウェア自身によって処理を行い、CPU12が各ハードウェア間の処理タイミングの調停のみを行うという方法でも良い。
【0054】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置について説明する。図8は本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。図8においては、図1と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略する。CPU13は、図1の場合と同様にシステム制御部13aとデータ転送速度計測部13bとを有している。システム制御部13aは、映像及び音声信号記録装置の一連の動作シーケンスを制御しつつ、かつ、CODEC7からのブロックデータの代わりに、メモリカードコントローラ9を介してメモリカード11に基準データをデータ転送する機能を有するものとする。更にCPU13のデータ転送速度計測部13bは、CODEC7がブロックデータを出力していない時間に、基準データのデータ転送速度を計測するものとする。この機能を、テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能という。更にシステム制御部13aは、このテスト書き込みによるデータ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、メモリカードコントローラ9に対して消去処理の指示を行なうことを特徴とする。
【0055】
以上のように構成された本実施の形態における映像及び音声信号記録装置について、その動作を詳細に説明する。図9は複数回のテスト書き込みによるデータ転送速度の計測を実行し、そのデータ転送速度における変動の一例を示している。
【0056】
図9(a)は、テスト書き込みの結果、データ転送速度が低下していく様子を示す例である。このような場合、CODEC7の信号処理部7aがブロックデータを出力していないときには、CPU13のシステム制御部13aはメモリカードコントローラ9に対してできる限り多い空き領域の消去処理、望ましくは全空き領域の消去処理を行なうことを指示する。もしくはシステム制御部13aは、次回にCODEC7がブロックデータを出力するときには、データ転送を行なう前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対して指示する。
【0057】
図9(b)は、テスト書き込みの結果、データ転送速度が低下しない様子を示す例である。このような場合、信号処理部7aがブロックデータを出力していないとき、及び次回に信号処理部7aがブロックデータを出力するときに、システム制御部13aはデータ転送の前に消去処理を行なわないようにメモリカードコントローラ9に対して指示する。テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能を用いて、CPU13はCODEC7がブロックデータを出力していない時間内に、メモリカードのフラグメンテーションの状態を検索する。フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対しては、CODEC7がブロックデータを出力していない時間内に、システム制御部13aはできる限り多い空き領域の消去処理、望ましくは全空き領域の消去処理を指示する。そしてCODEC7がブロックデータを出力し始めるときに、システム制御部13aはデータ転送を行なう前に消去処理の指示を出し、フラグメンテーションが発生していないメモリカードに対しては、消去処理の指示を出さないようにする。
【0058】
このことにより、本実施の形態の信号記録装置は、機器が記録に関与しない時間内に、テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能を用いて、メモリカードのフラグメンテーションの状態を検索し、その結果に基づいた消去処理の指示を行なうことで、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0059】
上記の一連の処理のシーケンスはCPU13のシステム制御部13aによって制御されるが、勿論、ハードウェア自身によって処理を行い、CPU13は各ハードウェア間の処理タイミングの調停のみを行うという方式でもよい。
【0060】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3における映像及び音声信号記録装置について説明する。図10は本実施の形態における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。図1と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0061】
図10に示すCPU14はシステム制御部14aとデータ保有メモリ監視部14bとを有している。CODEC15は、信号の圧縮及び伸長を行う信号処理部15aに加えて、信号処理部15aによって生成されたブロックデータを一時的に保有するデータ保有メモリ15bを有するものとする。CPU14のシステム制御部14aは、データ保有メモリ監視部14bの監視結果に基づいて映像及び音声信号記録装置の一連の動作シーケンスを制御する。データ保有メモリ監視部14bはCODEC15内のデータ保有メモリ15bの残容量を監視する。システム制御部14aは、このデータ保有メモリ15bの残容量に基づき、データ転送を行なう前に消去処理を行なう指示をメモリカードコントローラ9に指示する。
【0062】
このような構成の映像及び音声信号記録装置の動作について、図11〜図13のタイムチャートを用いて詳細に説明する。図11は、画像及び音声信号記録時において、CODEC15の信号処理部15aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後メモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する際の動作を示すタイミングチャートである。
【0063】
図11において、(a)はデータ保有メモリ15bの残容量の推移を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(c)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(d)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)はメモリカード11の処理状態を示す。
【0064】
時間601は、CODEC15がデータ保有メモリ15b内の圧縮処理後のブロックデータをコントローラ制御コマンドと共にメモリカードコントローラ9に転送する時間である。この時間では、データ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9対しブロックデータの転送が行なわれるため、データ保有メモリ15bの残容量は増加する。
【0065】
時間602は、メモリカードコントローラ9がメモリカード制御コマンドをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がメモリカード制御コマンドを処理する時間と、メモリカードコントローラ9がブロックデータをメモリカード11内のデータバッファ203に転送する時間と、メモリカード11内のコントローラ202がフラッシュメモリ205の連続領域を検索してからデータバッファ203に格納されたブロックデータをフラッシュメモリ205に転送する時間との総和である。
【0066】
時間603は、メモリカードコントローラ9がメモリカード11からの記録準備完了信号(カードレディ信号)がHレベル(1)であることを検知して、システム制御部14aにデータ転送許可信号(ライトイネーブル信号)をHレベル(1)として出力するまでの時間を表わす。時間604は、CODEC7がメモリカードコントローラ9からシステムバス5に対してライトイネーブル信号をHレベル(1)として出力したのを検知して、次のブロックデータの書き込を開始するまでの時間である。時間602、時間603、時間604では、データ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9対しブロックデータの転送が行なわれないため、データ保有メモリ15bの残容量は減少する。
【0067】
時間605は、CODEC15がメモリカードコントローラ9からのライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのを検知して書き込を開始した時点から、同じくCODEC15が、メモリカードコントローラ9が次にライトイネーブル信号がHレベル(1)であるのを検知して、次のブロックデータの書き込を開始する時点までの時間を表わす。この時間605は、具体的には時間601、時間602、時間603、時間604の総和である。
【0068】
RAM6に格納されたデジタル信号は、CODEC15の信号処理部15aによって圧縮処理されてブロックデータに変換され、データ保有メモリ15bに格納される。そしてその後CODEC15がコントローラ制御コマンドと共にブロックデータをメモリカードコントローラ9に転送する。メモリカードコントローラ9は、メモリカード11がカードレディ信号をHレベル(1)として出力しているのを確認してから、メモリカード11に対してライトコマンド、ブロックデータをこの順序に転送する。
【0069】
メモリカード11は、ライトコマンドを受信すると、カードレディ信号をLレベル(0)として出力し、メモリカードコントローラ9からブロックデータが転送されるのを待機する。メモリカード11がメモリカードコントローラ9からブロックデータを受け取ると、フラッシュメモリ205の連続領域を検索し、データバッファ203からフラッシュメモリ205への転送を開始する。
【0070】
データの転送が完了したら、メモリカード11はカードレディ信号をHレベル(1)として出力する。図11では、時間601内にデータ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9に対して転送される転送データ量と、時間602、時間603、時間604の総和の時間内にCODEC15によって圧縮処理されたブロックデータがデータ保有メモリ15bに格納されるデータ量とがほぼ一致する。このような場合には、時間の経過に伴うデータ保有メモリ15bの平均残容量は増減しないこととなる。
【0071】
図12は、信号処理部15aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後メモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がフラグメンテーションによる転送遅延が発生しているメモリカード11に記録する際のタイミングチャートの一例である。
【0072】
図12において、(a)はフラグメンテーションが発生した場合、データ保有メモリ15bの残容量の推移を示す。(b)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(c)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(d)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)は通常のメモリカード11の処理状態を示す。(f)はフラグメンテーションが発生した場合、メモリカード11の処理状態を示す。
【0073】
時間701、時間702、時間703、時間704、時間705は、それぞれ図6における時間601、時間602、時間603、時間604、時間605に対応する。
【0074】
図12の時間706は、メモリコントローラ9に対してCODEC15がブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後転送を開始する本来のタイミングから、フラグメンテーションの影響を受けてCODEC15がメモリコントローラ9に対して当該ブロックデータの転送を開始したタイミングまでの区間を表わしている。この時間706は、転送開始タイミングの遅延時間に相当する。この場合、メモリカード11内部でのフラグメンテーションの発生により、連続した空きブロックの検索に更に多くの時間を消費するようになり、安定した転送状況である図11の状態と比較して、時間706相当の遅延が発生するので、結果として転送効率が低下する。
【0075】
図12では、時間701内にデータ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9に対して転送される転送データ量と、時間702、時間703、時間704の総和の時間内に信号処理部15aによって圧縮処理されたブロックデータがデータ保有メモリ15bに格納されるデータ量とが一致せず、時間706相当の遅延によりデータ保有メモリ15b内の残容量が減少している。このような状況が続いた場合、時間の経過に伴うデータ保有メモリ15bの平均残容量が減少し、メモリカード11へのデータ転送は破綻することなる。
【0076】
図13は、画像及び音声信号の記録時において、信号処理部15aがRAM6に格納されたデジタル信号を圧縮処理によってブロックデータに変換し、このブロックデータをデータ保有メモリ15bに格納し、その後メモリカードコントローラ9に転送し、メモリカードコントローラ9がメモリカード11に記録する前に消去処理を繰り返し行うことによって、フラグメンテーションが全く発生しない状況になったメモリカード11に対して、データを記録する際のタイミングチャートである。
【0077】
図13において、(a)はデータ保有メモリ15bの残容量の推移を示す。(b)はメモリカードコントローラ9のデータ処理の状態を示す。(c)はメモリカードコントローラ9のライトイネーブルの信号を示す。(d)はメモリカードコントローラ9が出力するカードレディの信号である。(e)は消去処理が事前に行われる場合のメモリカード11の処理状態を示す。
【0078】
時間801、時間802、時間803、時間804、時間805は、それぞれ図11における時間601、時間602、時間603、時間604、時間605に対応する。図13において、時間805が時間605に比べて短くなっている理由は、フラグメンテーション発生による空き領域の検索時間分の遅延が発生しないためである。この場合、メモリカードコントローラ9からのメモリカード11のデータバッファ203への転送が完了すると同時に、メモリカード内のフラッシュメモリ205への転送も完了する。
【0079】
図13の時間806は、メモリカードコントローラ9から発行された消去コマンドの処理時間を表わす。図13では、時間801内にデータ保有メモリ15bからメモリカードコントローラ9に対して転送される転送データ量が、時間802、時間803、時間804の総和の時間内に信号処理部15aによって圧縮処理されたブロックデータがデータ保有メモリ15bに格納されるデータ量を上回る。このため、データ保有メモリ15b内の残容量は増加している。このような状況では、時間の経過に伴うデータ保有メモリ15bの平均残容量は増加していく。
【0080】
図14及び図15は、CPU14のデータ保有メモリ監視部14bによって監視されたデータ保有メモリ15bの残容量に基づき、メモリカードコントローラ9が消去コマンドを発行している一例を示している。図14において、(a)はメモリカード11へのデータ転送速度が変化する一例を表わす。(b)は方式1による消去コマンドの発行例を示す。(c)は方式2による消去コマンドの発行例を示す。図15において、(a)はメモリカード11へのデータ転送速度が変換する一例を表わす。(b)は方式3による消去コマンドの発行例を示す。
【0081】
最もデータ保有メモリ15bの残容量が減少しているライトイネーブル信号がHレベル(1)となるタイミングにおいて、データ保有メモリ監視部14bはデータ保有メモリ15bの残容量を監視する。残容量閾値1と残容量閾値2を設定し、この残容量閾値1は残容量閾値2以下の値(残容量閾値1≦残容量閾値2)とする。例えば、残容量閾値1はデータ保有メモリ15b全体の容量に対して半分以下の値とし、残容量閾値2はデータ保有メモリ15b全体の容量に対して半分ぐらいの値とする。
【0082】
(方式1)
図14(b)では、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値1を1回でも下回った場合を示している。この場合CPU14のシステム制御部14aは、常にデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示する。その結果、図13に示す動作を行なうようになり、フラグメンテーションが発生しているメモリカード11に対し常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0083】
(方式2)
図14(c)では、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値1を下回った場合、CPU14のシステム制御部14aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示する。また、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値2を上回った場合、システム制御部14aはデータ転送前の消去処理の指示を解除する。その結果、図13に示すような動作と、図11に示す動作とを切り替えて行なうようになり、消去処理が不要なデータ転送時に発生する処理負荷、(消去処理に伴うCPU14の処理負荷など)や、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制することができる。その結果、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0084】
(方式3)
図15では、以下のような動作を示している。即ち、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値1を下回った場合でも、すぐにCPU14のシステム制御部14aはデータ転送前に消去処理を行なわないようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出し、所定時間、データ保有メモリ15bの残容量の状態遷移を観測し、その結果システム制御部14aはデータ転送前に消去処理を行なうようにメモリカードコントローラ9に対し指示を出す。同様に、データ保有メモリ15bの残容量が残容量閾値2を上回った場合でも、システム制御部14aはすぐにデータ転送前の消去処理の指示を解除せず、所定時間、データ保有メモリ15bの残容量の状態遷移を観測し、その結果システム制御部14aはデータ転送前の消去処理の指示を解除する。
【0085】
このように、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、時間的に短い周期で変化するデータ転送速度に対して図13に示すような動作と、図11に示すような動作を頻繁に切り替えず、消去処理に伴う処理負荷(CPU14の付加負荷など)を更に軽減できる。かつ、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0086】
このような処理により、本実施の形態の信号記録装置は、データ保有メモリ15bの残容量を残容量閾値1と残容量閾値2との比較結果に基づき、方式1では、フラグメンテーションが発生しているメモリカードに対し、常に安定したデータ転送を保証することができる。
【0087】
方式2では、消去処理が不要なデータ転送時に発生する処理負荷(CPU14の処理負荷など)や、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0088】
方式3では、方式2よりも時間的に長い周期でフラグメンテーションの状態を観測することで、消去処理に伴う処理負荷(CPU14の付加など)を更に軽減しすることができ、かつ、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。
【0089】
なお、一連の処理のシーケンスはCPU14のシステム制御部14aによって制御されるが、勿論、ハードウェア自身によって処理を行い、CPU14は各ハードウェア間の処理タイミングの調停のみを行う方法でも良い。
【0090】
なお、上記各実施の形態において、映像信号及び音声信号はCCD2及びマイク4を使って得るとして説明した。しかしこれに限るものではなく、例えばTVチューナーや外部ビデオ入力部を有し、TV放送や他の機器を経由して入力される映像信号及び音声信号を圧縮処理してメモリカード11に記録するような方式でも、同様の機能が得られる。
【0091】
また、メモリカード11は、半導体メモリ、例えばフラッシュメモリ(フラッシュEEPROM)を内蔵するメモリ手段として説明した。しかしこれに限るものではなく、他の記憶媒体でもフラグメンテーションが発生することでデータ転送速度が変わる媒体においても、同様の機能が得られる。
【0092】
また、映像信号及び音声信号を記録する信号記録装置をもとに説明を行った。しかしこれに限るものではなく、映像信号のみ、又は音声信号のみを記録する信号記録装置においても、同様の機能が得られる。また、映像信号は、動画、静止画のいずれでもよい。
【0093】
また、映像信号及び音声信号の圧縮方法としてMPEG2方式を挙げた。しかしこれに限るものではなく、例えば、映像信号に関してはMPEG4方式、モーションJPEG方式、JPEG方式、JPEG2000方式等、他の圧縮方式を用いた場合でも、同様の機能が得られる。
【0094】
【発明の効果】
以上のように、本発明の信号記録装置によれば、データ転送速度をデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2とで比較した結果を時間的に長い周期で計測することで、メモリカード内のフラグメンテーションの状態を観測し、消去処理の要否を判断することで、消去処理に伴う処理負荷を更に軽減することができる。また消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。また、動画データの転送速度の低減や、動画記録の禁止などを行なわないため、操作に対する利便性が向上するという効果も得られる。
【0095】
また、本発明の信号記録装置によれば、信号記録装置が記録に関与しない時間内に、テスト書き込みによるデータ転送速度の計測機能を用いて、メモリカードのフラグメンテーションの状態を検索し、その結果に基づいた消去処理の指示を行なうことで、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。また、信号記録装置が記録に関与しない時間内に消去処理を行なうため、利用者が記録を開始し始めるときには、フラグメンテーションが発生していないメモリカードを提供できる。このため、操作に対する利便性が向上するという効果も得られる。
【0096】
また、本発明の信号記録装置によれば、データ保有メモリの残容量を残容量閾値1と残容量閾値2とで比較した結果を時間的に長い周期で計測することで、メモリカード内のフラグメンテーションの状態を観測し、消去処理の要否を判断することで、消去処理に伴う処理負荷を更に軽減することができる。また、消去処理に伴う消費電力の増加を抑制しつつ、フラグメンテーションが発生しているメモリカードでも、常に安定かつ最適なデータ転送を保証することができる。また、動画データの転送速度の低減や、動画記録の禁止などを行なわないため、操作に対する利便性が向上するという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。
【図2】各実施の形態の映像及び音声信号記録装置に用いられるメモリカードの内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1のメモリカードに対し、通常のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図4】実施の形態1のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生している場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図5】実施の形態1のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生しないようにした場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図6】実施の形態1のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その1)である。
【図7】実施の形態1のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その2)である。
【図8】本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2における映像及び音声信号記録装置の処理内容を示す概念図である。
【図10】本発明の実施の形態3における映像及び音声信号記録装置のブロック図である。
【図11】実施の形態3のメモリカードに対し、通常のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図12】実施の形態3のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生している場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図13】実施の形態3のメモリカードに対し、フラグメンテーションが発生しないようにした場合のデータ転送手順を示すタイミングチャートである。
【図14】実施の形態3のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その1)である。
【図15】実施の形態3のメモリカードに対し、消去コマンド発行タイミングの一例を示すタイミングチャート(その2)である。
【符号の説明】
1 レンズ
2 CCD
3 DSP
4 マイク
5 システムバス
6 RAM
7、15 CODEC
7a,15a 信号処理部
8 ディスプレイ
9 メモリカードコントローラ
10 メモリカードソケット
11 メモリカード
12、13、14 CPU
12a,13a,14a システム制御部
12b,13b データ転送速度計測部
14b データ保有メモリ監視部
15b データ保有メモリ
201 ホストインターフェイス
202 コントローラ
203 データバッファ
204 情報レジスタ
205 フラッシュメモリ
Claims (13)
- 映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方の入力信号に対し、加工処理を施す信号処理部と、
前記信号処理部で加工処理されたデータを、着脱自在なメモリに書き込むためのインターフェース部と、
前記メモリへのデータ転送速度を計測するデータ転送速度計測部と、
信号記録装置の全体制御を行うと共に、前記データ転送速度計測部に計測指示を与え、計測により得られたデータ転送速度に基づいて消去指示を出力するシステム制御部と、を具備し、
前記システム制御部は、
前記メモリへのデータ転送の際に、前記データ転送速度計測部の計測結果に基づき、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理の命令を前記インターフェース部に出力することを特徴とする信号記録装置。 - 前記データ転送速度計測部は、
前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量とによりデータ転送速度を計測するものであり、
前記システム制御部は、
設定されたデータ転送速度閾値1を前記データ転送速度が下回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする請求項1記載の信号記録装置。 - 前記データ転送速度計測部は、
前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量によりデータ転送速度を計測するものであり、
前記システム制御部は、
設定されたデータ転送速度閾値1を前記データ転送速度が下回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示し、設定されたデータ転送速度閾値2を前記データ転送速度が上回った場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して消去処理を行なわないよう前記インターフェース部に指示し、前記データ転送速度閾値1と前記データ転送速度閾値2の間に前記データ転送速度が存在する場合、前記メモリへのデータ転送の際に行なう前記インターフェース部によるメモリへの消去処理は、前回のデータ転送の際に行なった処理方法と同一の処理を行なうよう指示することを特徴とする請求項1記載の信号記録装置。 - 前記データ転送速度計測部は、
前記メモリから出力される記録準備完了信号の時間間隔とその時間間隔内にデータ転送されたデータ量とによりデータ転送速度を計測するものであり、
前記システム制御部は、
設定されたデータ転送速度閾値1とデータ転送速度閾値2を持ち、前記データ転送速度閾値1と前記データ転送速度閾値2の状態遷移に基づき、前記メモリへのデータ転送の際に、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする請求項1記載の信号記録装置。 - 前記データ転送速度閾値1は、前記データ転送速度閾値2以下の値であることを特徴とする請求項3または4に記載の信号記録装置。
- 前記データ転送速度計測部は、
前記信号処理部で加工処理されたデータの代わりに基準データを用い、前記インターフェース部を介して前記メモリに前記基準データをデータ転送することにより、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に基準データのデータ転送速度を計測するものであり、
前記システム制御部は、
前記データ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に、前記メモリに対して空き領域確保のための消去処理又は全空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする請求項1記載の信号記録装置。 - 前記データ転送速度計測部は、
前記信号処理部で加工処理されたデータの代わりに基準データを用い、前記インターフェース部を介して前記メモリに前記基準データをデータ転送することにより、前記信号処理部が加工処理されたデータを出力していない時間に基準データのデータ転送速度を計測するものであり、
前記システム制御部は、
前記データ転送速度の計測を複数回行なった結果に基づき、次回に前記信号処理部が加工処理されたデータを出力し、前記メモリへのデータ転送の際に、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする請求項1記載の信号記録装置。 - 映像信号及び音声信号の少なくともいずれか一方の入力信号に対し、加工処理を施す信号処理部と、
前記信号処理部が出力する加工処理後のデータを一時的に保有するデータ保有部と、
前記データ保有部で保有されていたデータを、着脱自在なメモリに書き込むためのインターフェース部と、
前記データ保有部の残容量を計測するデータ保有メモリ監視部と、
信号記録装置の全体制御を行うと共に、前記メモリへのデータ転送の際に、前記データ保有メモリ監視部の監視結果に基づき、前記メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示するシステム制御部と、を具備することを特徴とする信号記録装置。 - システム制御部は、
前記データ保有メモリ監視部により、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値1よりも下回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示することを特徴とする請求項8記載の信号記録装置。 - システム制御部は、
前記データ保有メモリ監視部により、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値1よりも下回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域確保のための消去処理を前記インターフェース部に指示し、前記データ保有部の残容量が設定された残容量閾値2よりも上回ったと判定された場合、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して消去処理を行なわないよう前記インターフェース部に指示し、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2の間に前記データ保有部の残容量が存在すると判定された場合は、前記メモリへのデータ転送の際に行なう前記インターフェース部によるメモリに対する消去処理は、前回のデータ転送の際に行なった処理と同一の処理を行なうよう指示することを特徴とする請求項8記載の信号記録装置。 - 前記データ保有メモリ監視部は、
前記残容量閾値1と前記残容量閾値2を持ち、前記残容量閾値1と前記残容量閾値2の状態遷移に基づき、前記メモリへのデータ転送の際に、メモリに対して予め特定サイズの空き領域の消去処理を行なうよう前記インターフェース部に指示することを特徴とする請求項8記載の信号記録装置。 - 前記残容量閾値1は、前記残容量閾値2以下の値であることを特徴とする請求項10または11記載の信号記録装置。
- 前記メモリは、
電気的に消去、書き換え可能なフラッシュEEPROMであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の信号記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003143667A JP2004349954A (ja) | 2003-05-21 | 2003-05-21 | 信号記録装置 |
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JP2003143667A JP2004349954A (ja) | 2003-05-21 | 2003-05-21 | 信号記録装置 |
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JP (1) | JP2004349954A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106789108A (zh) * | 2016-12-06 | 2017-05-31 | 迈普通信技术股份有限公司 | 一种通信设备及其电源管理方法 |
-
2003
- 2003-05-21 JP JP2003143667A patent/JP2004349954A/ja active Pending
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CN106789108A (zh) * | 2016-12-06 | 2017-05-31 | 迈普通信技术股份有限公司 | 一种通信设备及其电源管理方法 |
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