JP2004349617A - リアクトル用圧粉鉄心 - Google Patents

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哲雄 河野
Satoru Kanzaki
哲 神崎
Kazuo Asaka
一夫 浅香
Chio Ishihara
千生 石原
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Abstract

【課題】圧粉鉄心を活用して、低騒音のリアクトル鉄心を提供する。
【構成】リアクトルの厚さより小さい厚さの2個以上の圧粉鉄心からなる鉄心要素13、14、15をそなえる。この鉄心要素を組み合わせて所定のリアクトルの形状に構成させた単位鉄心10を形成する。同じ鉄心要素13、14、15を前記単位鉄心10と異なる組み合わせ方で同一形状に構成した別の単位鉄心20を形成させる。前記単位鉄心10、20を、鉄心要素13、14、15の組み合わせによる突き合わせ部Aの位置が相互に異なるように配置して交互に必要な厚さに重ね、重ね合わせた方向に圧着させる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧粉鉄心を使用したリアクトルの鉄心に係り、とくに低騒音のリアクトルを得られる鉄心に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リアクトルの鉄心は、U形あるいはE形とI形に打抜成形した薄鉄板を必要な厚さに積層し、U形の積層鉄心相互またはE形とI形の積層鉄心を突き合わせるようにして構成されているが、積層が面倒であり、突き合わせ部の積層面を平面に加工する必要があった。
また特性改善のため、
【特許文献1】特開平7−307232号公報に示されているように圧粉鉄心を用い、鉄心自体の磁気抵抗を利用したリアクトルが提案されている。しかし、従来の圧粉鉄心を用いたリアクトル鉄心は、特許文献1のように圧粉鉄心によって鉄心自体を一体に形成するか、前記のU形あるいはE形とI形の積層鉄心と同様に、積層された鉄心と同形の圧粉鉄心を製作し、U形の鉄心相互またはE形とI形の鉄心を突き合わせて構成させる構造のものが採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、リング状や日字状に一体に構成された鉄心では、コイルを巻き付ける時に手で直接巻き付けるか、あるいはトロイダル巻線機等の特殊な巻線機が必要であり、電力用など大形になる場合や構造が特殊な場合はトロイダル巻線機の適用が困難になっている。
また、U字形鉄心やE形とI形に成形した圧粉鉄心を突き合わせてリアクトル鉄心を形成する場合は、コイルをあらかじめ成形して鉄心脚に挿入することができるとともに、鉄心自体の磁気抵抗を利用してギャップレス構造にすることが可能であるが、たとえば、図7に示すように、積層鉄心あるいは圧粉鉄心で形成されたE形鉄心71の脚部の端面とI形鉄心72の側面との突き合わせ部分Aは、3カ所の突き合わせ面Aを均一な平面にする必要があり、精密な加工をして相互の締め付けを十分に行っても、実際には完全にギャップを無くすことは極めて難かしく、残存するギャップにより磁気騒音を発生し、低騒音形のリアクトルを製作することが困難であった。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決し、圧粉鉄心の特徴を活用し、従来の巻線方法を適用できる低騒音形のリアクトル鉄心を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、リアクトルの厚さより小さい厚さの圧粉鉄心からなる2個以上の鉄心要素をそなえ、この鉄心要素を組み合わせて所定のリアクトルに応じた形状に構成した単位鉄心と、前記単位鉄心と異なる組み合わせ方で同一形状に構成した別の単位鉄心とをそなえ、前記単位鉄心相互を、鉄心要素の組み合わせによって生じる突き合わせ部の位置を異ならせて必要な厚さに重ね、重ね合わせた方向に圧着固定させるようにしている。
【0006】
したがって、リング状鉄心では、両側の脚の長さを異ならせた圧粉鉄心からなる2個の鉄心要素をそなえ、長さの異なる脚の端面相互を突き合わせてリング状の単位鉄心を形成させ、この単位鉄心の複数個を、相互に突き合わせ部の位置を変えて所要の厚さに重ね、重ね合わせた方向に締め付けて圧着固定させる。
また、角形鉄心では、長さの異なる短冊状の圧粉鉄心からなる鉄心要素をそなえ、1つの鉄心要素の端面を他の鉄心要素の側面に突き合わせ、鉄心要素を互いに直角方向に連結させて所定形状に組み合わせた単位鉄心を形成させ、この単位鉄心と組み合わせを変えて同一の形状にした他の単位鉄心とを、相互に突き合わせ部の位置を変えて所要の厚さに重ね、重ねた方向に圧着させている。
【0007】
【発明の実施の態様】
これを図に示す実施例について説明する。
図1(a)(b)は、リング状のリアクトル鉄心を構成する各単位鉄心の例を示す斜視図で、単位鉄心1、2は、いずれも圧粉鉄心からなる鉄心要素11と12で形成され、単位鉄心1は、左側で鉄心要素11の短い脚と鉄心要素12の長い脚を突き合わせており、単位鉄心2は、右側で鉄心要素11の短い脚と鉄心要素12の長い脚を突き合わせている。なお、3は締め付け孔、Aは突き合わせ部である。
この単位鉄心1と2を、図2に示すように交互に複数個(図では3個)重ねて所定の厚さのリアクトル鉄心を形成させる。したがって、各単位鉄心の突き合わせ部Aが相互に重ならない位置に配置されており、締め付け孔3に図示していないボルトなどでを通し、重ね方向に圧着して固定させる。
【0008】
図3(a)(b)は、角形のリアクトル鉄心例を構成する単位鉄心10および単位鉄心20の正面図である。13、14、15は圧粉鉄心からなる短冊状の鉄心要素で、それぞれ長さを異ならせた同一の適宜の厚さに形成している。
単位鉄心10は、鉄心要素13の両端面に、それぞれ鉄心要素14の下方の側面を突き合わせ、中央の上側面に他の鉄心要素14の下端面を突き合わせて、中央脚が高いE形に形成し、前記中央の鉄心要素14の上部側面の両側に、鉄心要素15、15の一方端面を突き合わせ、この鉄心要素15、15の他方の側面を前記鉄心要素14、14の上端面にそれぞれ突き合わせねことによって角形に形成されている。
また、単位鉄心20は、前記単位鉄心10と上下を対象にして鉄心要素13、14、15を組み合わせることにより突き合わせ位置を単位鉄心10と異ならせて形成している。3は締め付け孔、Aは突き合わせ部である。
このように、単位鉄心10と単位鉄心20は、鉄心要素13、14、15の組み合わせを変えて、突き合わせ部Aが相互に異なる位置になるようにしており、単位鉄心10と単位鉄心20を図4のように重ねたときに、突き合わせ部Aは相互に重ならず、他の単位鉄心の鉄心要素の面に接するように位置される。
【0009】
図5は、図4の鉄心を用い、コイル6と締め付け金具4、5および締め付けねじ7を加えてリアクトルを構成したときの断面図で、図4のX−X線に沿う断面を示している。
単位鉄心10の上部の鉄心要素15、15と単位鉄心20の鉄心要素13を除いた状態で重ね、下方の締め付け金具4、4で仮締めしてリアクトルコイル6を挿入し、鉄心要素15、13を押し込んで、上部の締め付け金具5、5を当て、上下の締め付け金具4、5を締め付けねじ7で締め付けている。
【0010】
図6は、本発明鉄心の磁束の流れを示す説明図で、図2に示したリアクトル鉄心の脚を一部拡大して示している。
圧粉鉄心からなる単位鉄心1、2の鉄心要素11、12の突き合わせ部AにおけるギャップGの少なくとも片側には、重ね合わせによる微小なギャップgで別の単位鉄心の鉄心要素が接している。このため、たとえば単位鉄心2の鉄心要素12を通る磁束φは、突き合わせ部Aでは殆どが微小ギャップgを通って両側の単位鉄心1にバイパス通路Bを形成して流れ、ギャップGに流れる磁束は著しく減少する。バイパス通路Bは鉄心の面相互が密着した微小なギャップgで形成されているため磁気抵抗が殆ど無く、他の単位鉄心の磁束も同様に突き合わせ部でバイパスされ、電力用として大きな磁束が流れる場合でも騒音を著しく小さくすることができる。
図4に示される角形のリアクトルについても同様である。
【0011】
なお、単位鉄心相互の締め付け圧着は、締め付け孔に限られず適宜の手段で行うことができる。また、以上の説明では、ノーマルモードリアクトルに応用する場合について述べているが、本発明の鉄心は、単相交流回路および直流回路においては、2個のリアクトルコイルを同一の鉄心脚に起磁力を互いに打ち消すように巻き付けることによりコモンモードリアクトルを構成することができ、また、3相交流回路では、R相、S相、T相のリアクトルコイルを各相の起磁力が加わるように巻装することにより3相回路のコモンモードリアクトルを構成することができる。
【0012】
【発明の効果】
このように本発明は、リアクトルの厚さより小さい厚さの圧粉鉄心からなる2個以上の鉄心要素を組み合わせて所定のリアクトル形状に応じて構成した単位鉄心と、前記単位鉄心と異なる組み合わせ方で同一形状に構成した別の単位鉄心とを、鉄心要素の組み合わせによる突き合わせ部の位置を異ならせて必要な厚さに重ね合わせ、単位鉄心相互を圧着固定させるようにしているので、鉄心要素の突き合わせ部に残存するギャップの少なくとも片側に、別の鉄心要素の面が圧着されて微小なギャップで接しているため、鉄心を通る磁束は、突き合わせ部では圧着した他の鉄心要素にバイパスして磁気抵抗が殆ど無く、ギャップレスの状態を保持して圧粉鉄心自体の磁気抵抗を活用したリアクトルを構成でき、突き合わせ部におけるギャップによる騒音を低下させ、小電流のリアクトルは勿論、大電流のリアクトルにおいても低騒音のリアクトルを実現できる効果が得られる。
【0013】
また、単位鉄心は複数個の鉄心要素で組み立てられているので、鉄心にコイルを巻装する場合に、特殊な巻線機を必要とせず、成形コイルを使用することができ、単位鉄心相互を連結する締め付け箇所も少なく、製作が容易で、安価に提供できるなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるリング鉄心を構成する単位鉄心の例を示す斜視図である。
【図2】図1の単位鉄心によるリアクトル鉄心の斜視図である。
【図3】本発明による角形鉄心を構成する単位鉄心の例を示す正面図である。
【図4】図3の単位鉄心によるリアクトル鉄心の斜視図である。
【図5】図4の鉄心を用いたリアクトルの例で、図4のX−X線に沿う断面図を示している。
【図6】本発明鉄心の磁束の流れを示す説明図である。
【図7】従来の鉄心の例を示す正面図である。
【符号の説明】
1、2 単位鉄心
11、12 鉄心要素
10・20 単位鉄心
13、14、15 鉄心要素
3 締め付け孔
4、5 締め付け金具
6 リアクトルコイル
7 締め付けねじ
A 突き合わせ部

Claims (3)

  1. リアクトルの厚さより小さい厚さの圧粉鉄心からなる2個以上の鉄心要素をそなえ、この鉄心要素を組み合わせて所定のリアクトルに応じた形状の単位鉄心を形成し、前記単位鉄心と異なる組み合わせ方で同一形状に構成した別の単位鉄心とをそなえ、前記単位鉄心相互を、鉄心要素の組み合わせによる突き合わせ部の位置を異ならせて必要な厚さに重ね、重ね合わせた方向に圧着固定させたことを特徴とするリアクトル用圧粉鉄心。
  2. 前記鉄心要素が、両側の脚の長さを異ならせた圧粉鉄心からなる2脚鉄心であり、2個の鉄心要素を、長さの異なる脚の端面相互を突き合わせてリング状の単位鉄心を構成している請求項1のリアクトル用圧粉鉄心。
  3. 前記鉄心要素が、長さの異なる圧粉鉄心からなる短冊状鉄心であり、それぞれ鉄心要素の端面を他の鉄心要素の側面に突き合わせて、所定のリアクトル形状に組み合わせて角形の単位鉄心を構成している請求項1のリアクトル用圧粉鉄心。
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