JPH1092674A - 零相変流器 - Google Patents

零相変流器

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JPH1092674A
JPH1092674A JP8246239A JP24623996A JPH1092674A JP H1092674 A JPH1092674 A JP H1092674A JP 8246239 A JP8246239 A JP 8246239A JP 24623996 A JP24623996 A JP 24623996A JP H1092674 A JPH1092674 A JP H1092674A
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JP
Japan
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core
bobbin
phase current
coil
zero
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Application number
JP8246239A
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Inventor
Susumu Okada
將 岡田
Kazuhiro Ishii
和宏 石井
Masanori Kawamura
昌典 河村
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の零相変流器は、鉄心が一体成形となっ
ており、鉄心の全周に亘って等ピッチで均一に出力巻線
を施すことが非常に難しく、そのため負荷電流通電時の
残留特性が悪く、また、巻線作業はトロイダル巻線機に
よるので、巻線コストが高くなるという問題点があっ
た。 【解決手段】 短冊形状磁性板1a、1b、1c、1d
の積層構造である中空部が矩形のコア、このコアの四辺
にそれぞれ設置したボビンにコイルを巻回したボビンコ
イル2a、2b、2c、2d、コアの中空部面を垂直に
貫通する導体3a、3b、3cを備え、コアは短冊形状
磁性板1a乃至1dの積層構造であると共に、短冊形状
磁性板の接合方法はダブルラップジョイントまたはバッ
トラップジョイントにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】送・配電線路において地絡事
故が生じたり人体に感電があった場合のみに流れる零相
電流を検出する零相変流器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は、例えば、特開昭51−1032
26号公報に開示されている従来の零相変流器を示す構
成図である。図において、11は環状鉄心、21は出力
巻線(二次導体)、3a、3bは環状鉄心11の中空部
を貫通する一次導体である。環状鉄心11の材料は、高
透磁率のパーマロイが広く使用されており、この他、珪
素鋼、フェライト、アモルファス合金等も用いられてい
る。環状鉄心11の成型法は材料により異なり、フェラ
イトは焼結によるが、パーマロイ、珪素鋼等の金属磁性
体は打ち抜き板を積層するか、トロイダル状に巻き込む
方法が用いられる。なお、図7(a)は環状鉄心11が
分割されていないもの、(b)は分割されているものの
例である。また、図では2個の一次導体が示されている
が、三相の場合は、3個の一次導体を鉄心の中空部を貫
通するように配置して使用される。
【0003】次に動作について説明する。導体3aと3
bに互いに逆向きで大きさが等しい負荷電流のみが流れ
ている場合、これらの電流により環状鉄心11内に発生
する磁束は打ち消しあい、出力巻線21には電圧は誘起
されない。例えば、地絡事故が発生して、一次導体3a
と3bの電流に差が生じる(零相電流が流れる)と、出
力巻線21に電圧が誘起される。零相変流器を搭載した
漏電遮断器はこの原理を活用し、地絡事故が生じたり人
体に感電があった場合、即座に給電を止め、回路や人命
を保護する機能を有するものである。
【0004】なお、上記従来例は、鉄心中空部が丸穴の
場合であるが、これを角穴にしたことを特徴とする零相
変流器として、図8に示す実開昭60−66019号公
報に開示されているものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような零相変流
器の特性としては、負荷電流のみが流れているときに発
生する残留電圧が小さいこと、零相電流に対する出力感
度が高いことが重要である。残留電圧は出力巻線の不均
一や、環状鉄心に対する一次導体位置の非対称性等が原
因で生じ、漏電遮断器の誤動作の原因となるので、極力
小さくしなければならない。図7(a)に示す環状鉄心
は、コアの透磁率が高く、零相電流に対する出力感度が
高いという長所を有するものの、残留電圧を小さくする
ため、環状鉄心の全周に亘って出力巻線を均一に施すこ
とが非常に難しく、また、トロイダル巻線機を使用する
必要があり、巻線のための貯線作業が巻線作業に付随す
るので、巻線作業に時間が長くかかり、製作価格が高く
なるという欠点があった。
【0006】次いで、図7(b)に示す分割型の環状鉄
心は、スピンドル型の巻線機が使用でき、巻線時間が短
縮できるという長所を有するものの、コアの2個所に比
透磁率が1の若干の空隙ができるので残留電圧が大きく
なり、コアの実効透磁率が低下し、零相電流に対する出
力感度が低下するという問題点を有していた。
【0007】さらに、図8に示す角筒鉄心は、コーナ部
が4個所あるため、鉄心の全周に亘って等ピッチで均一
に巻線を施すことが非常に難しく、残留特性が悪く、し
かも巻線はトロイダル巻線機によるので、巻線費用が高
くなるという問題点があった。
【0008】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、巻線コストが安価で、負荷電流
通電時の残留電圧が小さく、零相電流に対する出力感度
が高い零相変流器を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る零相変流
器は、中空部が矩形のコア、このコアの四辺にそれぞれ
設置したボビンにコイルを巻回したボビンコイル、コア
の中空部面を垂直に貫通する導体を備え、コアは短冊形
状磁性板の積層構造であると共に、短冊形状磁性板の接
合方法はダブルラップジョイントまたはバットラップジ
ョイントである。
【0010】また、対向する二つのボビンコイルの巻数
和と他の対向する二つのボビンコイルの巻数和との巻数
比は、零相変流器の残留電圧が最小となるように設定し
たものである。
【0011】また、中空部が矩形のコア、このコアの上
辺または下辺のいずれかと、左辺及び右辺にそれぞれ設
置したボビンにコイルを巻回したボビンコイル、コアの
上下辺にほぼ平行配置され中空部を貫通する導体を備
え、コアは短冊形状磁性板の積層構造であると共に、短
冊形状磁性板の接合方法はダブルラップジョイントまた
はバットラップジョイントである。
【0012】また、中空部が矩形のコア、このコアの上
辺または下辺のいずれかと、左辺及び右辺にそれぞれ設
置したボビンにコイルを巻回したボビンコイル、コアの
上下辺にほぼ平行配置され中空部を貫通する導体を備
え、コアは短冊形状磁性板と凹形状磁性板とを交互に積
層したものであると共に、上辺または下辺のいずれかは
短冊形状磁性板とし、残りの三辺は凹形状磁性板で構成
するものである。
【0013】また、対向する二つのボビンコイルの巻数
和と残りのボビンコイルの巻数との巻数比は、零相変流
器の残留電圧が最小となるように設定したものである。
【0014】また、コア及びボビンコイルの表面を磁気
シールドするものである。
【0015】また、ボビンコイルは端子付きである。
【0016】
【発明の実施の形態】 実施の形態1.以下、本発明の実施の形態を図について
説明する。図1は、本発明の実施の形態1による零相変
流器(ボビンコイル型)を示す構成図である。図におい
て、1a、1b、1c、1dはパーマロイ、珪素鋼、鉄
系及びコバルト系アモルファス合金などの同一寸法の短
冊形状磁性板で、この短冊形状磁性板1aから1dで本
変流器のコアを形成している。2a、2b、2c、2d
は、短冊形状磁性板1aから1dのそれぞれに貫接され
たボビン(巻枠)にコイル(二次導体)を巻回したボビ
ンコイル、3a、3b、3cは三相のU、V、W相に対
応する(一次)導体である。なお、図中矢印は、一次導
体に負荷電流が流れた時のコアとコア窓を還流する磁束
線の模式図である。また、Wcはコア幅、Lbはボビン
コイルの巻線長、Lcは磁性板1枚当たりの平均磁路長
であり、このコア全体の平均磁路長は4×Lcとなる。
【0017】また図2は、上記図1における短冊形状磁
性板1aから1dの接合方法を示す図であり、(a)は
ダブルラップジョイント(図1も同じ)、(b)はバッ
トラップジョイントである。磁性板のコア長は、ダブル
ラップジョイントの場合はLc+Wc、バットラップジ
ョイントの場合はLcとなる。なお、零相変流器は一般
に商用周波数で使用されるので、短冊形状磁性板1aか
ら1dの厚みは渦電流損失による磁気特性の劣化が問題
にならない程度の十分の数ミリ以下のものが使用され
る。
【0018】一体成形された鉄心にトロイダル状にコイ
ルを巻いた従来例と違って、本実施の形態によれば、短
冊形状磁性板を積層した鉄心の各辺にボビンを設置し、
これにコイルを巻くので、スピンドル型の巻線機等を持
ちいることができ、巻線時間の短縮、巻線費用の低減を
実現し、且つコイルを均一に巻くことができる。よっ
て、負荷電流通電時の残留電圧の低減を実現することが
可能である。
【0019】次に、本発明の零相変流器の設計思想を理
解するために重要な残留電圧の発生のメカニズムと低減
の方法を以下に述べる。図1に示すように、正方形のコ
ア窓を窓面に垂直に貫通する一次導体U、V、Wに、 Iu=Isin(ωt−2π/3) (1) Iv=Isin(ωt) (2) Iw=Isin(ωt+2π/3) (3) (1)から(3)式で表される三相の負荷電流が流れた
とき、V相導体位置を座標軸の(0、0)にとり、導体
間距離をrとすると、コアの任意の位置(x、y)のx
軸方向、y軸方向の磁界成分Hx、Hyは(4)、
(5)式で与えられる。 Hx=I{y/[(x+r)2+y2]・sin(ωt−2π/3) +y/(x2+y2)・sin(ωt) +y/[(x−r)2+y2]・sin(ωt+2π/3)} (4) Hy=I{(x+r)/[(x+r)2+y2]・sin(ωt−2π/3) +x/(x2+y2)・sin(ωt) +(x−r)/[(x−r)2+y2]・sin(ωt+2π/3)}(5) (4)、(5)式から想定される、コアが未飽和の時の
コア及びコア窓内の磁束線図を図3に示す。また、U−
V間のみ負荷電流が流れたとき(つまり単相)の磁束線
図を図4に示す。
【0020】次に、三相の負荷電流が流れたときのボビ
ンコイル2aから2dの誘起電圧E1からE4は、各ボ
ビンコイルの巻数は同じ、巻線ピッチが同じ、各ボビン
コイルの巻線長:Lb、平均磁路長:4Lc、V相導体
がコア窓内の中点に位置、各導体が上下辺コアに平行に
配置、コア透磁率は一定、コイルへの鎖交磁束が印加磁
界に比例するとすると、コイルの巻線長Lbについて
(4)、(5)式を定積分することにより得られ、
(6)から(9)式のようになる。 E1=KI{2arctan(Lb/Lc)−arctan[(Lb+r)/Lc] −arctan(Lb−r)/Lc]}・sin(ωt) (6) E2=2KI{arctan(Lb/Lc)・sin(ωt) −arctan[Lb/(Lc+r)]・sin(ωt−2π/3) −arctan[Lb/(Lc−r)]・sin(ωt+2π/3)}(7) E3=E1 (8) E4=2KI{arctan(Lb/Lc)・sin(ωt) −arctan[Lb/(Lc+r)]・sin(ωt+2π/3) −arctan[Lb/(Lc−r)]・sin(ωt−2π/3)}(9) ここでKは、周波数、コイルの巻数、コア断面積の積に
比例する定数である。従って、全誘起電圧E=E1+E
3+E2+E4は次の(10)式で与えられる。 E=KI{4arctan(Lb/Lc)−2arctan[(Lb+r)/Lc] −2arctan[(Lb−r)/Lc] +4arctan(Lb/Lc)−2arctan[Lb/(Lc+r)] −2arctan[Lb/(Lc−r)]} (10) ここに、ボビンコイル2aとボビンコイル2cとをシリ
ーズに繋いで得られる誘起電圧E1+E3と、ボビンコ
イル2bとボビンコイル2dをシリーズに繋いで得られ
る誘起電圧E2+E4は互いに逆相となるので、全誘起
電圧Eは、言い換えれば、前記両誘起電圧の差であり、
これが残留電圧となる。
【0021】また、一次導体U−V間のみに負荷電流が
流れたとき(つまり単相の場合)の各ボビンコイルの誘
起電圧は(11)から(14)式で与えられる。 E1=KI{2arctan(Lb/Lc)−arctan[(Lb+r)/Lc] −arctan[(Lb−r)/Lc]} (11) E2=2KI{arctan(Lb/Lc)−arctan[(Lb/(Lc+r)]} (12) E3=E1 (13) E4=2KI{arctan(Lb/Lc)−arctan[(Lb/(Lc−r)]} (14) (11)、(13)式のE1、E3は、三相の場合の
(6)、(8)式のE1、E3と同じである。一方、
(12)、(14)式のE2、E4は、三相の場合の
(7)、(9)式のE2、E4と異なるが、E2+E4
で対比すると同一である。従って、全誘起電圧E=E1
+E2+E3+E4は、 E=KI{4arctan(Lb/Lc)−2arctan[(Lb+r)/Lc] −2arctan[(Lb−r)/Lc] +4arctan(Lb/Lc)−2arctan[Lb/(Lc+r)] −2arctan[Lb/(Lc−r)]} (15) となり、(10)式と同じとなる。よって、全コイルの
誘起電圧でみた残留電圧特性はU、V、W相に三相の負
荷電流が流れたときとU、V相間(又はV、W相間)に
単相負荷電流が流れたときとは等価であると言える。
【0022】(10)、(15)式を見ると、誘起電圧
(残留電圧)Eは、定数K、コイルの巻線長Lb、コア
長Lcに依存していることが分かる。そこでまず、コイ
ルの巻線長Lbとコア長Lcを調整することで誘起電圧
(残留電圧)Eを0にする方法について検討する。(1
0)、(15)式より、コイルの巻線長Lbとコア長L
cを調整して最も簡単に全誘起電圧、即ち残留電圧を0
にする方法は、Lb=Lcにしたときであることが分か
る。Lb=Lcにするためには、コア幅Wcを極端に小
さくして、コア長Lcの長さいっぱいにコイルを巻回せ
ば良いが、現実的には不可能である。また、コイルの巻
線長Lbを各ボビンコイルごとに、Lb1からLb4と
変化させて残留電圧を0にすることも考えられるが、製
作過程が複雑になるので採用しない。
【0023】次に、定数Kを各ボビンコイルごとにK
1、K2、K3、K4と変えることにより、誘起電圧
(残留電圧)Eを0にする方法について検討する。定数
Kは、前述したように、周波数、コア断面積、コイルの
巻数に依存するパラメータであるが、周波数とコア断面
積を変えることは困難なので一定値として扱う。従っ
て、各ボビンコイルの誘起電圧E1からE4の大小は、
コイルの巻数の影響が支配的であることが分かる。各ボ
ビンコイルの誘起電圧E1からE4は、式(16)から
(19)のようになる(三相の場合)。 E1=K1・I{2arctan(Lb/Lc)−arctan[(Lb+r)/Lc] −arctan(Lb−r)/Lc]}・sin(ωt) (16) E2=2・K2・I{arctan(Lb/Lc)・sin(ωt) −arctan[Lb/(Lc+r)]・sin(ωt−2π/3) −arctan[Lb/(Lc−r)]・sin(ωt+2π/3)}(17) E3=E1 (18) E4=2・K4・I{arctan(Lb/Lc)・sin(ωt) −arctan[Lb/(Lc+r)]・sin(ωt+2π/3) −arctan[Lb/(Lc−r)]・sin(ωt−2π/3)}(19) 誘起電圧(残留電圧)Eは、前述したように、対向する
二つのボビンコイルE1+E3、E2+E4の両誘起電
圧の差であるため、K1、K2、K3、K4を調整する
ことにより0にすることができる。どの程度調整するか
は、Lb、Lcの値によっても変わる。具体的には、対
向する二つのボビンコイルの巻数和と他の対向する二つ
のボビンコイルの巻数和との巻数比を調整することによ
り、コア幅Wcが広くても残留電圧を0にできる。具体
的数値を(10)式に代入して求めると、Lc=28m
m、Lb=19mm、r=6mmの時、ボビンコイル2
a、2cの巻数を、ボビンコイル2b、2dの巻数より
11%多くすることにより、残留電圧を0にできること
が分かる。
【0024】さらに筆者らは、コア幅Wcが4mm、コ
ア長さLc+Wcが32mm、厚さ0.35mmのパー
マロイコアを5枚積層したダブルラップジョイントのコ
アとし、コイルの巻線長Lbが19mmで、ボビンコイ
ル2a、2cの巻数が250T、ボビンコイル2b、2
dの巻数が225Tの零相変流器を作製した。この零相
変流器に60Hz、22mA(rms)の零相電流を通
電したとき、2次負担抵抗680Ωの両端に10数mV
(rms)の出力電圧を得た。また、導体間距離rが6
mmの三相一次導体に、60Hz、400A(rms)
の三相平衡電流を通電したとき、2次負担抵抗680Ω
の両端の残留電圧は0.1mV(rms)以下であり、
コアの断面積、コアの磁路長、巻数がほぼ同じ従来の環
状鉄心からなる零相変流器と、零相電流に対する出力感
度が同じで残留電圧は約10分の1という優れた特性を
示した。 零相電流に対する出力感度が高いのは、コー
ナの接合部の積層コア間の接合面積が、上記従来例に示
す図9の分割型環状磁芯より大きくとれるので、接合部
空隙の磁気抵抗の増大による実効透磁率の低下が小さい
ことが理由である。
【0025】実施の形態2.上記実施の形態1では、コ
ア窓が正方形のものについて、即ち各辺のコア長Lcが
同一の場合について説明したが、コア窓が長方形のもの
でも同様の効果が得られる。長方形窓の長辺をコアの上
下辺として、この上下辺にほぼ平行に一次導体を並べて
配置した構成の零相変流器を漏電遮断器に搭載する場
合、コア窓幅が広いので一次導体の挿入がしやすく、さ
らに漏電遮断器の薄型化に適するという効果が得られ
る。一方、長方形窓の短辺をコアの上下辺として、この
上下辺にほぼ平行に一次導体を並べて配置した構成のも
のは、導体と上下辺コア間の窓内空間が長いので、負荷
電流により発生するコア内からコア窓を還流する磁束に
対する磁気抵抗が高く、残留電圧が小さくなるという効
果が得られる。
【0026】コア窓の形状が長方形の零相変流器の残留
電圧Eは、上・下辺コアに平行に間隔rで一次導体が配
置、上・下辺コアのコア長をLl、コイルの巻線長をL
x、左・右辺コアのコア長をLs、コイルの巻線長をL
yとすると、(20)式で表される。 E=KI{4arctan(Lx/Ls)−2arctan[(Lx+r)/Ls] −2arctan[(Lx−r)/Ls] +4arctan(Ly/Ll)−2arctan[Ly/(Ll+r)] −2arctan[Ly/(Ll−r)]} (20) 誘起電圧E1+E3と誘起電圧E2+E4は、コア窓が
正方形の場合と同様、コア長、コイルの巻数、コイルの
巻線長に依存するので、(20)式において、誘起電圧
E1+E3とE2+E4との差が極小となるように、コ
イルの巻数を調整して、各ボビンコイルごとに定数Kを
K1からK4と変えることにより残留電圧の低減が実現
できる。また、コイルの巻数は変えないで、コイルの巻
線長Lx、Lyと、コア長Ll、Lsを変えて残留電圧
を最小にする方法もあり得るが、製作過程が複雑となり
好ましくない。Lx、Ly、Ll、Lsを製作簡単な値
としておき、コイルの巻数を各コイルごとに調整するほ
うが製作が容易となって好ましい。
【0027】実施の形態3.図5は、本発明の実施の形
態2による零相変流器を示す構成図であり、図6は、図
5の磁性板の接合方法を示す図である。図において、1
eは凹形状磁性板である。上記実施の形態1との相違点
は、図6に示すように、短冊形状磁性板1aと凹形状磁
性板1eとを交互に積層する点と、図5に示すように、
ボビンコイルは、短冊形状磁性板1aと、凹形状磁性板
1eの左辺及び右辺の合計3個設置する点である。
【0028】ボビンコイル型零相変流器の残留電圧は、
ほぼ大きさの等しい誘起電圧E1+E3とE2+E4の
差が原因で発生することは、上記実施の形態1で詳述し
た。本実施の形態のような3ボビンコイル型は、図6に
示すように、ボビンコイル2aは対向するボビンコイル
を持たない。しかし、上記実施の形態1で説明したよう
に、一次導体が上下辺コアに平行でコア窓の中央に位置
しているとき、誘起電圧E1とE3は大きさが同じであ
るので、3ボビンコイル型のボビンコイル2aの巻数
は、4ボビンコイル型のボビンコイル2aの巻数のほぼ
2倍に設定すれば良いことが分かる。ボビンコイルがコ
ア窓内の中央に対称配置していない場合、誘起電圧E1
(又はE3)は導体位置により、大きく変動するので、
ボビンコイル2a(又はボビンコイル2c)の巻数は導
体位置に応じてE=E1(またはE3)+E2+E4が
極小になるように設定する。コアは短冊形状磁性板と凹
形状磁性板との交互積層により形成されるので、磁性板
の接合個所が4ボビンコイル型の半分の2個所になるの
で、4ボビンコイル型より実効透磁率が高くなる、コア
の組立がしすいという効果が得られる。
【0029】なお、本実施の形態では、短冊形状磁性板
と凹形状磁性板との交互積層としたが、上記実施の形態
1に示すように、短冊形状磁性板のみでコアを構成し
て、ボビンコイルは、コアの上辺または下辺のいずれか
一方と、左辺及び右辺の合計3個設置しても良い。ま
た、本実施の形態では、正方形コアの場合について説明
したが、上記実施の形態2のような長方形コアとし、残
留電圧が0となるように、コア長Lc、コイルの巻数、
コイルの巻線長Lbのそれぞれを調整しても良い。
【0030】また、上記実施の形態1から3では、一次
導体がコア窓の中央に対称配置されている場合について
示したが、導体間隔が一定で上下、左右にずれた構成で
も、各ボビンコイルの誘起電圧は異なった値となるが、
各ボビンコイルをシリーズに接続して得られる全誘起電
圧Eは同じとなり、上記実施の形態1から3と同様の効
果が得られる。
【0031】実施の形態4.本実施の形態は、鉄心及び
ボビンコイル表面を、珪素鋼等で磁気シールドするもの
であり、上記実施の形態1から3と同様の効果が得られ
ると共に、一次導体に巨大な負荷電流が流れたとき、零
相変流器鉄心の磁気飽和による残留特性の低下を防止す
るのに有用である。
【0032】実施の形態5.本実施の形態は、ボビンコ
イルにあらかじめ端子が付いたものを用いるものであ
り、上記実施の形態1から3と同様の効果が得られると
共に、零相変流器をプリント基板に直接はんだ付けで固
定できるので、生産性が向上するという効果が得られ
る。
【0033】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によ
れば、中空部が矩形のコア、このコアの四辺にそれぞれ
設置したボビンにコイルを巻回したボビンコイル、コア
の中空部面を垂直に貫通する導体を備え、コアは短冊形
状磁性板の積層構造であると共に、短冊形状磁性板の接
合方法はダブルラップジョイントまたはバットラップジ
ョイントであるので、コイルの巻線コストが安く且つ巻
線ピッチを均一にすることができ、負荷電流通電時の残
留電圧を著しく小さくする効果が得られる。
【0034】また、請求項2記載の発明によれば、対向
する二つのボビンコイルの巻数和と他の対向する二つの
ボビンコイルの巻数和との巻数比は、零相変流器の残留
電圧が最小となるように設定したので、負荷電流通電時
の残留電圧を著しく小さくでき、零相電流が流れたとき
の出力感度を大きくできる効果が得られる。
【0035】また、請求項3記載の発明によれば、中空
部が矩形のコア、このコアの上辺または下辺のいずれか
と、左辺及び右辺にそれぞれ設置したボビンにコイルを
巻回したボビンコイル、コアの上下辺にほぼ平行配置さ
れ中空部を貫通する導体を備え、コアは短冊形状磁性板
の積層構造であると共に、短冊形状磁性板の接合方法は
ダブルラップジョイントまたはバットラップジョイント
であるので、コイルの巻線コストが安く且つ巻線ピッチ
を均一にすることができ、負荷電流通電時の残留電圧を
著しく小さくする効果が得られる。
【0036】また、請求項4記載の発明によれば、中空
部が矩形のコア、このコアの上辺または下辺のいずれか
と、左辺及び右辺にそれぞれ設置したボビンにコイルを
巻回したボビンコイル、コアの上下辺にほぼ平行配置さ
れ中空部を貫通する導体を備え、コアは短冊形状磁性板
と凹形状磁性板とを交互に積層したものであると共に、
上辺または下辺のいずれかは短冊形状磁性板とし、残り
の三辺は凹形状磁性板で構成するので、コイルの巻線コ
ストが安く且つ巻線ピッチを均一にすることができ、負
荷電流通電時の残留電圧を著しく小さくする効果が得ら
れる。
【0037】また、請求項5記載の発明によれば、対向
する二つのボビンコイルの巻数和と残りのボビンコイル
の巻数との巻数比は、零相変流器の残留電圧が最小とな
るように設定したので、負荷電流通電時の残留電圧を著
しく小さくでき、零相電流が流れたときの出力感度を大
きくできる効果が得られる。
【0038】また、請求項6記載の発明によれば、コア
及びボビンコイルの表面を磁気シールドするので、一次
導体に巨大負荷電流が流れたとき、コアの磁気飽和によ
る残留電圧特性の低下を防止する効果が得られる。
【0039】また、請求項7記載の発明によれば、ボビ
ンコイルは端子付きであるので、零相変流器をプリント
基板に直接はんだ付けでき、生産性が向上する効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による零相変流器を示
す構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1による零相変流器を説
明するための図である。
【図3】 本発明の実施の形態1による零相変流器を説
明するための図である。
【図4】 本発明の実施の形態1による零相変流器を説
明するための図である。
【図5】 本発明の実施の形態2による零相変流器を示
す構成図である。
【図6】 本発明の実施の形態2による零相変流器を説
明するための図である。
【図7】 従来の零相変流器を示す構成図である。
【図8】 従来の零相変流器を示す構成図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d 短冊形状磁性板、1e、凹形
状磁性板、2a、2b、2c、2d ボビンコイル、3
a、3b、3c 一次導体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空部が矩形のコア、このコアの四辺に
    それぞれ設置したボビンにコイルを巻回したボビンコイ
    ル、前記コアの中空部面を垂直に貫通する導体を備え、
    前記コアは短冊形状磁性板の積層構造であると共に、前
    記短冊形状磁性板の接合方法はダブルラップジョイント
    またはバットラップジョイントであることを特徴とする
    零相変流器。
  2. 【請求項2】 対向する二つのボビンコイルの巻数和と
    他の対向する二つのボビンコイルの巻数和との巻数比
    は、零相変流器の残留電圧が最小となるように設定した
    ことを特徴とする請求項1記載の零相変流器。
  3. 【請求項3】 中空部が矩形のコア、このコアの上辺ま
    たは下辺のいずれかと、左辺及び右辺にそれぞれ設置し
    たボビンにコイルを巻回したボビンコイル、前記コアの
    上下辺にほぼ平行配置され前記中空部を貫通する導体を
    備え、前記コアは短冊形状磁性板の積層構造であると共
    に、前記短冊形状磁性板の接合方法はダブルラップジョ
    イントまたはバットラップジョイントであることを特徴
    とする零相変流器。
  4. 【請求項4】 中空部が矩形のコア、このコアの上辺ま
    たは下辺のいずれかと、左辺及び右辺にそれぞれ設置し
    たボビンにコイルを巻回したボビンコイル、前記コアの
    上下辺にほぼ平行配置され前記中空部を貫通する導体を
    備え、前記コアは短冊形状磁性板と凹形状磁性板とを交
    互に積層したものであると共に、上辺または下辺のいず
    れかは前記短冊形状磁性板とし、残りの三辺は前記凹形
    状磁性板で構成することを特徴とする零相変流器。
  5. 【請求項5】 対向する二つのボビンコイルの巻数和と
    残りのボビンコイルの巻数との巻数比は、零相変流器の
    残留電圧が最小となるように設定したことを特徴とする
    請求項3または4記載の零相変流器。
  6. 【請求項6】 コア及びボビンコイルの表面を磁気シー
    ルドすることを特徴とする請求項1から5のいずれか一
    項に記載の零相変流器。
  7. 【請求項7】 ボビンコイルは端子付きであることを特
    徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の零相変
    流器。
JP8246239A 1996-09-18 1996-09-18 零相変流器 Pending JPH1092674A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004349617A (ja) * 2003-05-26 2004-12-09 System Giken:Kk リアクトル用圧粉鉄心

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