JP3128589B2 - 超伝導ウィグラーの励磁方法 - Google Patents

超伝導ウィグラーの励磁方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁場強度により臨
界電流が存在する超伝導巻線を用いて形成した超伝導ウ
ィグラーの励磁方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蓄積リングの直線部に挿入してシンクロ
トロン放射を起こさせるウィグラーは、蓄積リングの直
線部に入れて偏向磁石と独立に磁場を選べるので放射光
のスペクトルを制御しやすいこと、電子軌道に多数の波
動を作ることができるので放射強度を上げることができ
ることなど、シンクロトロン放射の利用にとって利点が
多い。なお、ウィグラーのコイルに用いる鉄心は非線形
の飽和特性を有し調整の目的には有利であるが約2Tで
飽和し、またコイルに用いる銅線は水冷しても電流密度
を2A/mm2と以上にすることは困難である。従っ
て、放射スペクトルを単波長側に広げるため大きな磁場
強度を発生する小型の装置を得ようとする場合には、2
00〜300A/mm2程度の高い電流密度を有する超
伝導巻線をウィグラー中央の周期部分に利用した超伝導
ウィグラーが用いられる。
【0003】このようなウィグラーは蓄積リングの直線
部に挿入して使うので、ここを電子が通過するとき変位
も偏向も受けないことが、蓄積リングの理想的な閉軌道
を変化させないための条件となる。この条件を満たすた
めは、電子の軌道に沿った磁場の積分がゼロであり、か
つ軌道方向の磁場分布がウィグラーの中心に対して対称
であることが好ましい。そこで通常、ウィグラーの磁石
は周期磁場を発生して所要の波長の放射を得る中央の部
分とその中央部分の両端にあって電子軌道に沿った磁場
の積分をゼロにする条件を満足させるための両端部分に
分けて設置される。普通、両端部分の偏向角を中央部分
の半分にするため、磁石の磁場の強さと磁場の長さの積
が中央部分の半分になるように選ぶことになる。すなわ
ち、電子は両端部分のうちの入り口側部分で所定の偏向
角ψが与えられ、中央部分でその2倍の偏向角2ψで交
互に逆向きに振られ、最後に両端部分の出口側で偏向角
ψだけ振り戻されて元の軌道と一致する。
【0004】このように両端部分は中央部の半分だけ電
子を偏向させて元の軌道に戻すことが目的であるが、実
際には中央部の磁場の不整分や周囲の環境の影響を考慮
する必要がある。このためそれぞれ独立の補助電源を用
意しなければならなかった。すなわち、シンクロトロン
放射を利用するため蓄積リングに挿入して用いる超伝導
ウィグラーを励磁する従来の励磁方法では、図7に略解
するように、超伝導ウィグラーの中央コイルと両端コイ
ルを直列に接続しその両端に主電源を繋ぎ、さらに両端
コイル部分それぞれに別の補助電源を並列に繋いで励磁
回路を構成し、主電源からの電流で両コイルを励磁し、
さらに両端コイル部分には正負に調整した補助電源から
の電流を重畳して流して励磁することによりウィグラー
内の磁場調整を行うようにしていた。あるいは微妙な調
整を可能とするために別に補正コイルを付加することに
より対処していた。補助電源を用いた磁場調整で電子軌
道に沿った磁場分布の第1次積分値をほぼゼロにするこ
とにより、ウィグラー内で変位する電子軌道を元の状態
に戻して蓄積リング内の周回軌道を維持する。このよう
な従来の励磁方法は、電流の大きさと向きを変えること
ができるバイポーラ型の補助電源装置を両端コイル毎に
設置してそれぞれ独立に設定調整して励磁電流を加減す
るものであるため、電源装置が3基以上必要となり、設
備的負荷が大きくなるばかりか磁場調整にも高度な制御
技術が必要であった。
【0005】一方、超伝導電線は磁場強度に従って臨界
電流密度が決まっているため、巻線部分が置かれる磁場
の強度が大きいところでは断面積を大きくして電流密度
を小さくする必要があった。ところが、上記のような従
来の超伝導ウィグラーでは、中央コイルに流れる電流は
一定であるため巻線が履歴する最大の磁場強度に合わせ
て線材の断面積を選択する必要があった。しかし、超伝
導線は高価であるため、ウィグラー内に励起される磁場
の強度が大きい場合に巻線全体が最大磁場強度における
必要断面積を有するようにすると経済性が劣り実用に耐
えなかった。そこで、ウィグラー内の磁場分布に従った
グレーディングをして巻線の断面積を変化させ、あるい
は性能の異なる線材を使用して、励磁電流の密度がその
位置における臨界電流密度を越えないように設計してい
た。なお、グレーディングにより高価な超伝導電線の量
を節減することが出来るが、線材断面積の異なる線材を
半田を介して接合するため高度な加工技術が必要とされ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、超伝導ウィグラーを励磁するため
に設置する電源装置を少なくして調整を容易にするよう
な励磁方法を提供するところにある。また、ウィグラー
内の磁場強度が大きい場合にも中央コイルに用いる超伝
導巻線の径を変化させる方法によらずに、超伝導材料を
節約して高い経済性を達成できる超伝導ウィグラーの励
磁方法と励磁システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、超伝導巻線を用いた中央コイルにより強度な磁場を
発生する超伝導ウィグラーの本発明に係る励磁方法は、
中央コイルの超伝導巻線が中央コイルを励磁したときに
磁場強度が大きくなる領域に存在する第1の巻線部分と
磁場強度がより小さくなる領域に存在する第2の巻線部
分の少なくとも2個の部分からなり、第1巻線部分に第
1の励磁電流を流し、第2巻線部分に第1励磁電流より
大きな励磁電流を流すようにしたことを特徴とする。第
2巻線部分に流す励磁電流は第1励磁電流に第2の励磁
電流を重畳したものであることが好ましい。さらに、第
1巻線部分のコイル線材断面積と第2巻線部分のコイル
線材断面積が同じ値を有するようにしてもよい。また、
超伝導ウィグラーがさらに両端コイルを備え、両端コイ
ルが第2巻線部分と直列に接続していて、上記の第2電
流が両端コイルにも流れるようにすることが好ましい。
なお、超伝導ウィグラー中の電子軌道に沿う磁場分布の
第一次積分値がゼロに近くなるように第1励磁電流と第
2励磁電流を選択することが好ましい。
【0008】さらに、上記課題を解決するため、超伝導
巻線を用いた中央コイルにより強度な磁場を発生する超
伝導ウィグラーの本発明に係る励磁システムは、中央コ
イルおよび両端コイルをそれぞれ電子軌道を挟んで対向
して配設し、電子軌道に沿って対称な磁場分布を形成す
るように構成して、各個の中央コイルの超伝導巻線の中
間に電極タップを備え、中央コイルを励磁したときに磁
場強度が大きくなる領域に巻回した第1の巻線部分の端
部の間に第1の電源を接続し、磁場強度がより小さくな
る領域に巻回した第2の巻線部分の端部同士を接続し
て、前記電極タップに前記両端コイルを接続し、両端コ
イルの他端の間に第2の電源を接続して、第1巻線部分
に第1の励磁電流を流し、第2巻線部分に第1励磁電流
と第2の励磁電流を加えた電流を流すようにすることを
特徴とする。また、本発明の超伝導ウィグラー励磁シス
テムは、超伝導ウィグラー中の電子軌道に沿う磁場分布
の第一次積分値がゼロに近くなるように第1励磁電流と
第2励磁電流を選択することがより好ましい。
【0009】本発明の超伝導ウィグラーの励磁方法によ
り、中央コイルの超伝導巻線を少なくとも2分して磁場
強度が大きい領域に存在する第1巻線部分に流す励磁電
流をより小さくする一方磁場強度がより小さい周縁領域
の電流を大きくすることにより所要の磁場強度を確保す
るようにしたため、超伝導巻線の存在する場所の磁場強
度が大きく臨界電流密度が小さい領域では超伝導巻線中
の電流密度が小さく、磁場強度が低下して臨界電流密度
が比較的大きい領域では超伝導巻線中の電流密度がより
大きくなるように設計することができ、総合するとより
大きな磁場強度をウィグラー中に形成することが可能と
なった。さらに、従来は巻線に同じ電流を流すことから
磁場強度の最大値を基準として断面積を決めて高価な超
伝導線材を浪費する結果になっていたが、本発明によれ
ば大きな電流を流す部分の磁場強度が比較的低いため電
流密度を大きくすることが可能となり線材を節約できる
ようになった。
【0010】また、第2巻線部分に第1巻線に流す第1
励磁電流と第2の励磁電流を加えた電流を流すようにし
た場合は、中央コイルの部分ごとに異なる電流を印加す
る目的に対してより小さい容量の電源装置を最小限の個
数用意することにより対処することができるため、経済
的に優れた装置を得ることができる。さらに、第1巻線
部分のコイル線材断面積と第2巻線部分のコイル線材断
面積が同じ値を有するようにした場合は、中央部分のコ
イル巻線を連続した1本の線材から形成することがで
き、グレーディングにより巻線太さを変化させないため
線材相互を半田接合する必要がなく超伝導コイルの加工
が容易になった。また、超伝導ウィグラーが備える両端
コイルを中央コイルの第2巻線部分と直列に接続して、
第2励磁電流を両端コイルに直列に流すようにした場合
は、第2励磁電流を調整して両端コイルの磁場調整を行
うことができるから、電源装置を共用できることに加え
て調整操作が容易になった。なお、超伝導ウィグラー中
の電子軌道に沿う磁場分布の第一次積分値がゼロに近く
なるように第1励磁電流と第2励磁電流を選択すること
により、電子軌道を元の軌道位置に戻すことができる。
【0011】さらに、本発明の超伝導ウィグラー励磁シ
ステムにより、電子軌道に沿って対称な磁場分布を形成
するように構成した中央コイルおよび両端コイルにおい
て、中央コイルを励磁したときに磁場強度が大きくなる
領域に巻回した中央コイルの第1巻線部分に第1電源を
直列接続して、磁場強度がより小さくなる領域に巻回し
た第2巻線部分の端部同士を接続し第1巻線部分と第2
巻線部分の間に設けた電極タップに両端コイルを接続
し、両端コイルの他端同士の間に第2の電源を直列接続
して、第1巻線部分に第1励磁電流を流すとともに第2
巻線部分に第1励磁電流と第2励磁電流を加えた電流を
流すようにしたから、従来と比較して細い超伝導線材を
用いても臨界電流密度を越えないで十分大きな磁場強度
を確保するような装置を得ることができた。また、超伝
導ウィグラー中の電子軌道に沿う磁場分布の第一次積分
値がゼロに近くなるように第1励磁電流と第2励磁電流
を選択するように構成し超伝導ウィグラー励磁システム
によれば、ウィグラーを挿入したことにより変更された
蓄積リングの電子軌道を着実に元の軌道位置に戻すこと
ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面によって本発明に係る
超伝導ウィグラーの励磁方法と励磁システムを詳細に説
明する。図1は内部の主要部を点線で表した本発明の超
伝導ウィグラーの斜視図、図2は電子軌道に沿って鉛直
面で切断して表したコイル配置図、図3は本発明の励磁
回路図である。また、図4は本発明の対象となった超伝
導ウィグラーにおける磁場の電子軌道に沿った分布図、
図5は第1励磁電流と第2励磁電流の関係を磁場強度を
パラメータとして表した図、図6は中央コイルの負荷曲
線を超伝導線材の臨界電流とともに表した線図である。
【0013】本発明の超伝導ウィグラー励磁方法を適用
した一つの例として8Tの磁場強度を発生する鉄心入り
のいわゆる単周期超伝導ウィグラーについて説明する。
図1および図2を参照すると、ウィグラー1は、真空を
保持して内部を電子ビームが通過するアルミニウム製の
ビームダクト2を挟んで2個のC字型の鉄心3が配設さ
れていて、中央にビームダクト2を垂直方向に挟んで1
対の中央コイル4が、また中央コイル4を水平方向に挟
むようにして両側にそれぞれ1対の両端コイル5、6が
設けられている。中央コイル4の部分には強い磁場が発
生するため引力で変位しないようにスペーサ7が設けら
れている。また、ウィグラー1は超伝導状態を維持する
ため4隅のサポート8を用いて全体を図示しないクライ
オスタット中に懸架して液体ヘリウムに浸漬して用い
る。
【0014】中央コイル4とその両端に設けられる両端
コイル5、6は、電子ビームの走行方向に中央コイル4
の中心を通る垂直面に対して対称にかつ電子ビームの走
行面に対して対称に配置される。中央コイル4は同形状
の超伝導線材を使用して、内側の磁場強度の大きい部分
にインナーコイル41を巻回し外側の磁場強度が小さい
部分にアウターコイル42を巻回した2層構造になって
いて、対向する1対でビームダクト内に強力な磁場を形
成する。コイルには鉄心を挿入してもよい。インナーコ
イル41とアウターコイル42の中間にはタップ端子4
3を設けてある。超伝導線材として、直径0.85mm
のNbTi線を用いた銅比0.5のものなどが利用でき
る。両端コイル5、6はC字型鉄心3の両側の先端部分
に銅線を巻回したもので、それぞれ1対のコイルが対向
して設けられてビームダクト内の入口側と出口側でほぼ
同じ強さの磁場をほぼ同じ長さにわたって発生するよう
に構成されている。
【0015】これらコンポーネントは図3に示す電気回
路に従って電源に接続され励磁される。1対の中央コイ
ル4はアウターコイル42側の端で互いに接続され、他
方のインナーコイル41側の端の間に第1の電源91が
接続されている。第1電源91には並列に保護抵抗器9
2が設けられ、電源91を切り離すときには一方のイン
ナーコイル41と第1電源91の間に挿入された緊急遮
断器93によりコイルに流れていた電流を保護抵抗器9
2に導いてエネルギを速やかに吸収して停止できるよう
にしてある。インナーコイル41とアウターコイル42
の間の端子43にはそれぞれ両端コイル5、6が接続さ
れ、両端コイル5、6の間に第2の電源94が接続され
ている。第2電源94にも同様に保護抵抗器95が緊急
遮断器96を介して並列に接続されている。
【0016】ウィグラー1の磁場調整は次のようにして
行うことができる。初めに第2電源94により中央コイ
ル4のアウターコイル部分42と両端コイル5、6に対
し所定の電流を流す。次いで、あるいは同時に、第1電
源91から中央コイル4に通電すると、中央コイルのイ
ンナーコイル41に第1電源91からの電流が流れ、ア
ウターコイル42に第1電源91からの電流と第2電源
94からの電流が重畳して流れ、両端コイル5、6に第
2電源94からの電流が流れる。第1電源91と第2電
源94の電流を加減して電子軌道に沿った磁場の積分値
がゼロになるようにすることにより、ウィグラー1を挿
入する前の蓄積リングの電子軌道の位置に戻すことがで
きる。このとき、磁場について電子軌道に沿った1次積
分をゼロにすれば電子軌道はウィグラー1の出口で元の
位置に一致し、さらに2次積分をゼロにすれば電子軌道
の向きも同時に元のものに復元する。
【0017】本実施例では、第1電源91から100A
の電流を流し、第2電源94から160Aの電流を流し
て電子軌道中の最強磁場を8Tとした。このとき、アウ
ターコイル42に流れる電流は260A、インナーコイ
ル41に流れる電流は100Aとなる。ウィグラー内の
電子軌道に沿った磁場は図4に示すような分布を示すよ
うになる。中央コイル4や両端コイル5、6は対称に形
成されているため、電子軌道に沿った分布は中央コイル
4の中心線を挟んで対称形になっている。第1電源91
と第2電源94の電流は、ウィグラー1の構築が終了し
た時に行う磁場測定試験と一緒に校正を行って電子軌道
に沿った磁場の1次積分がゼロになる値を予め求めてお
くことにより決めることができる。図5はこのような校
正の例であって、第1電源91と第2電源94からコイ
ル4、5、6に電流を流して、電子軌道に沿った磁場強
度を連続的に測定し、1次積分値がゼロになる組み合わ
せをプロットしたものである。そのときに得られる最大
磁場強度の値を添えて表示してある。第2電源94の電
流値が小さいうちは中央コイル4の励磁能力が大きいた
め、第1電源91から逆方向の電流を流さないと磁場の
積分値はゼロにならない。第2電源94の電流値が16
0Aのとき第1電源91の電流が100Aであれば磁場
の積分値がゼロとなり、このとき電子が受ける最大磁場
強度が8Tとなることがわかる。
【0018】なお、上記の条件において、超伝導線材と
して直径0.85mmのものを使用すると、低磁場部分
にあるアウターコイル部分42の電流密度は458A/
mm2となるが、高磁場部分にあるインナーコイル部分
41の電流密度は176A/mm2となり、実質的に中
央コイル4のグレーディングが可能となる。このとき用
いられた中央コイル4の負荷曲線を図6に示した。図は
横軸に電流(A)をとり縦軸に磁場強度をとって、電子
軌道中の最大磁場強度を8Tとする場合のインナーコイ
ル41とアウターコイル42の負荷曲線をプロットした
ものである。電流を100A流したときにインナーコイ
ル41の受ける最大経験磁場はほぼ8.5Tであるが、
260A流したアウターコイル42では約6.6Tと磁
場強度が小さくなっている。これらの電流値はいずれも
同じ図中に表示した超伝導線材の磁場強度に対応する臨
界電流に対して十分なマージンを有する小さな電流であ
り、インナーコイル41とアウターコイル42はいずれ
も超伝導状態を維持できることがわかる。
【0019】上記実施例の説明は、簡単のため3対の磁
極で構成される単周期ウィグラーに基づいて行ったが、
磁極の対数を多くして磁場の周期数を増やして放射強度
を上げた多周期ウィグラーについても本発明の技術的思
想をそのまま適用できることはいうまでもない。また、
両端コイルは鉄心型のものを使用したが、超伝導線材に
よるものであってもよいこともいうまでもない。
【0020】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の超伝導ウィ
グラーの励磁方法及び励磁システムにより、超伝導線材
の臨界電流密度に対して十分マージンを持った細い巻線
を用いたウィグラーコイルの製作が可能となり、特に中
央コイルを細い単線で形成することも可能となり、小型
で能力の高い超伝導ウィグラーが容易かつ経済的に作製
できるようになった。また、ウィグラーコイルに励磁電
流を供給する電源装置の小型化と必要数の減少をもたら
し、磁場調整が容易になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】内部の主要部を点線で表した本発明実施例にお
ける超伝導ウィグラーの斜視図である。
【図2】本実施例の超伝導ウィグラーにおいて電子軌道
に沿って鉛直面で切断して表したコイル配置図である。
【図3】本実施例の励磁回路図である。
【図4】本発明の対象となった超伝導ウィグラーにおけ
る電子軌道に沿った磁場分布図である。
【図5】磁場強度をパラメータとしてコイルの励磁電流
の関係を表した図である。
【図6】中央コイルの負荷曲線を超伝導線材の臨界電流
とともに表した線図である。
【図7】従来の超伝導ウィグラーの励磁回路図である。
【符号の説明】
1 超伝導ウィグラー 2 ビームダクト 3 鉄心 4 中央コイル 41 インナーコイル 42 アウターコイル 43 端子 5、6 両端コイル 7 スペーサ 8 サポート 91 第1電源 92 保護抵抗器 93 緊急遮断器 94 第2電源 95 保護抵抗器 96 緊急遮断器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 13/04 H05H 7/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超伝導巻線を用いた中央コイルにより強
    度な磁場を発生する超伝導ウィグラーの励磁方法におい
    て、前記中央コイルの超伝導巻線が該中央コイルを励磁
    したときに磁場強度が大きくなる領域に存在する第1の
    巻線部分と磁場強度がより小さくなる領域に存在する第
    2の巻線部分の少なくとも2個の部分からなり、前記第
    1巻線部分に第1の励磁電流を流し、前記第2巻線部分
    に該第1励磁電流より大きい励磁電流を流すようにした
    超伝導ウィグラーの励磁方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超伝導ウィグラーの励磁
    方法において、前記第2巻線に流す励磁電流が前記第1
    励磁電流に第2の励磁電流を加えた電流であることを特
    徴とする超伝導ウィグラーの励磁方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の超伝導ウィグラーの励磁
    方法であって、該超伝導ウィグラーがさらに両端コイル
    を備え、該両端コイルが前記第2巻線部分と直列に接続
    していて、前記第2励磁電流が両端コイルにも流れるよ
    うにしたことを特徴とする超伝導ウィグラーの励磁方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の超
    伝導ウィグラーの励磁方法において、前記第1巻線部分
    のコイル線材断面積と第2巻線部分のコイル線材断面積
    が同じ値を有することを特徴とする超伝導ウィグラーの
    励磁方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の超
    伝導ウィグラーの励磁方法であって、前記第1励磁電流
    と第2励磁電流ないし前記第2巻線部分に流す励磁電流
    を選択して前記超伝導ウィグラー中の電子軌道に沿う磁
    場分布の第一次積分値がゼロに近くなるようにすること
    を特徴とする超伝導ウィグラーの励磁方法。
  6. 【請求項6】 超伝導巻線を用いた中央コイルおよび両
    端コイルをそれぞれ電子軌道を挟み対向して配設し、該
    電子軌道に沿って対称な磁場分布を形成する超伝導ウィ
    グラーにおいて、前記各個の中央コイルの超伝導巻線の
    中間に電極タップを備え、中央コイルを励磁したときに
    磁場強度が大きくなる領域に巻回した第1の巻線部分の
    端部の間に第1の電源を接続し、磁場強度がより小さく
    なる領域に巻回した第2の巻線部分の端部同士を接続し
    て、前記電極タップに前記両端コイルを接続し該両端コ
    イルの他端の間に第2の電源を接続して、前記第1巻線
    部分に第1の励磁電流を流し、前記第2巻線部分に該第
    1励磁電流と第2の励磁電流を加えた電流を流すように
    した超伝導ウィグラー励磁システム。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の超伝導ウィグラー励磁シ
    ステムであって、前記超伝導ウィグラー中の電子軌道に
    沿う磁場分布の第一次積分値がゼロに近くなるように前
    記第1励磁電流と第2励磁電流を選択することを特徴と
    する超伝導ウィグラー励磁システム。
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