JP2004347358A - 変位測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度で再現性に優れた原点検出を可能にする。
【解決手段】メイントラック用検出器21から出力される2相メイン信号A1,A2を内挿回路31に供給して原点パルス信号Zのパルス幅に対応する位相差を有する2相の内挿メイン信号A1’,B1’を生成する。サブトラック用検出器22から出力される2相の原点検出用信号A2,B2を内挿回路32に供給して原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差よりも大きい位相差を有する2相の内挿原点検出用信号A2’,B2’を生成する。これら内挿信号A1’,B1’,A2’,B2’から特定の位相タイミングに内挿された第1及び第2の内挿パルス信号P1,P2を生成し、これらの位相が一致したときに原点パルス信号Zを出力する。
【選択図】 図4
【解決手段】メイントラック用検出器21から出力される2相メイン信号A1,A2を内挿回路31に供給して原点パルス信号Zのパルス幅に対応する位相差を有する2相の内挿メイン信号A1’,B1’を生成する。サブトラック用検出器22から出力される2相の原点検出用信号A2,B2を内挿回路32に供給して原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差よりも大きい位相差を有する2相の内挿原点検出用信号A2’,B2’を生成する。これら内挿信号A1’,B1’,A2’,B2’から特定の位相タイミングに内挿された第1及び第2の内挿パルス信号P1,P2を生成し、これらの位相が一致したときに原点パルス信号Zを出力する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電式、電磁誘導式、磁気インピーダンス式、レーザ干渉式及びその他の方式によるエンコーダ等の変位測定装置に関し、特に原点検出を伴う変位測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被測定物の相対移動量を測定するための変位測定装置、特にインクリメンタル型のエンコーダでは、メインスケールとこれに対向するインデックススケールとに原点を検出するための原点検出用パターンを形成しておき、電源投入時や任意の時点で、原点検出用パターンを検出し、その原点検出パルスをトリガ信号としてゼロセットやプリセット等を行うようにしている。
【0003】
この種の原点検出を伴う光電式エンコーダでは、スケール間のギャップが広くても、急峻な原点検出パルスが再現性良く得られることが必要である。例えば、下記特許文献1に開示された光電式エンコーダでは、メインスケールから得られた変位信号と原点補助信号とで原点検出パルスを生成することにより、原点検出パルスを変位信号(メイン信号)の周期に基づくパルス幅まで急峻にしている。また、この変位測定装置は、原点検出パルスが変位信号と同期しているため、再現性にも優れるという利点がある。
【0004】
また、特許文献2に開示された変位測定装置は、メイン信号の特定の位相領域、例えば主信号が2相出力信号である場合、A相と、これより90°位相が進んだB相とが共に正となる位相領域で原点検出パルスが出力されるように、メイン信号の位相を切り替えるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−122908号公報(段落0008〜0009、図3)
【特許文献2】
特開2002−116060公報(段落0026、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された変位測定装置では、原点検出パルスの分解能がメインスケールから得られる変位信号(メイン信号)の分解能に制限されるので、メイン信号を分割してより高精度な測定を行う場合の原点検出パルスとしては、精度的な要求を満たさないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示された変位測定装置では、メイン信号の特定の位相領域と原点検出パルスの出力タイミングとの同期は図っているものの、原点検出パルスの出力タイミングがメイン信号の特定の位相領域内でばらつくことがある。このようなバラツキが生じる原因としては、原点検出用パターンの検出信号の変動が挙げられ、この検出信号の変動は、スケールと検出器とのギャップ変動、ローリング、ピッチング、温度変動等によって発生する。このような原点検出パルスの出力タイミングにバラツキが生じると、得られる測定値が原点検出のたびに異なってしまい、再現性が低下する。特に微細測定を可能にするため、メイン信号を高分割して最小読取り値をより細かくした変位測定装置では、原点検出パルスの出力タイミングのバラツキが、数カウント分の指示値のバラツキにつながるので、測定精度に大きな影響を与えてしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、高精度で再現性に優れた原点検出が可能な変位測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る変位測定装置は、測定軸に沿った変位測定用のメイントラックが形成されると共にこのメイントラックによる変位測定範囲の一部にのみ原点検出用のサブトラックが形成されたメインスケールと、このメインスケールに対して相対移動可能に配置され前記メイントラックと対向して前記メインスケールに対する相対移動によって第1の波長の多相メイン信号を出力するメイントラック用検出器と、このメイントラック用検出器と共に前記メインスケールに対して相対移動可能に配置され前記サブトラックと対向して前記サブトラックに対する相対移動によって前記第1の波長とは異なる第2の波長の多相原点検出用信号を出力するサブトラック用検出器と、前記多相メイン信号から前記多相メイン信号の特定の位相タイミングに内挿された第1の内挿パルス信号を生成すると共に前記多相原点検出用信号から前記多相原点検出用信号の特定の位相タイミングに内挿された第2の内挿パルス信号を生成し、前記第1及び第2の内挿パルス信号の位相が一致したときに前記第1及び第2の内挿パルス信号から原点パルス信号を生成し出力する原点検出回路とを備えたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、本発明では、メインスケールに、変位測定用のメイントラックと共に原点検出用のサブトラックが、その変位測定範囲の一部にのみ形成され、メイントラックの検出信号であるメイン信号と、サブトラックの検出信号である原点検出用信号とは、波長が異なっている。そして、多相のメイン信号からメイン信号の特定の位相タイミングに同期した第1の内挿パルス信号が生成されると共に、多相の原点検出用信号から原点検出用信号の特定の位相タイミングに同期した第2の内挿パルス信号が生成され、両内挿パルスの位相が一致したときに原点パルス信号を出力するようにしている。
【0011】
本発明によれば、第1及び第2の内挿パルスが、メイン信号の特定の位相タイミングに内挿されたものであるから、メイン信号よりも高精度のパルスであり、これら第1及び第2の内挿パルスから作られた原点パルス信号も、また高精度のパルスとなる。しかも、原点パルス信号は、メイン信号の特定の位相タイミングと同期しているので、測定値の最小桁まで移動方向に依存せず、再現性を確保することができる。
【0012】
なお、本発明の一実施形態においては、前記原点検出回路は、前記多相メイン信号を合成して前記メイン信号に内挿され前記原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差を有する2相の内挿メイン信号を生成する第1の内挿回路と、前記複数の原点検出用信号を合成して前記原点検出用信号に内挿され前記原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差よりも大きい位相差を有する2相の内挿原点検出用信号を生成する第2の内挿回路と、前記2相の内挿メイン信号をそれぞれ2値化して2相のメイン位相信号を生成する第1の位相信号生成回路と、前記2相の内挿原点検出用信号をそれぞれ2値化して2相の原点検出用位相信号を生成する第2の位相信号生成回路と、前記2相のメイン位相信号及び原点検出用位相信号から前記第1及び第2の内挿パルス信号を生成すると共に前記第1及び第2の内挿パルス信号のいずれか一方を他方のゲート信号とすることにより、前記ゲート信号でゲートされた他方の内挿パルス信号を前記原点パルス信号として出力する原点パルス生成回路とを備えることにより構成することができる。ここで、第1及び第2の内挿回路としては、抵抗分割回路を用いることができ、原点検出回路を極めて簡単な構成とすることができる。
【0013】
なお、サブトラックは、メインスケールの全長にわたって設ける必要は無く、第1の波長をλ1、第2の波長をλ2、λ2>λ1としたとき、サブトラックの測定軸方向の長さDが、D≦λ1×λ2/(λ2−λ1)に設定され、この長さDの範囲内で、第1及び第2の内挿パルスの位相が1回だけ一致するように形成することもできる。このため、サブトラックに要求される精度を確保するための製造技術は、スケール全体に形成される場合よりも低くて良く、処理回路の構成も簡単になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る変位測定装置について説明する。
図1は、本発明を反射型光電式リニアエンコーダに適用した実施形態におけるスケール部分と検出ヘッド部分を示す模式的平面図である。
図1において、測定軸X方向に延びるメインスケール1に対して、検出ヘッド2が、測定軸X方向に移動可能に所定ギャップを介して対向配置されている。メインスケール1は、ガラス等からなるスケール基板11上に変位測定用のメイントラック12及び原点検出用のサブトラック13を形成したものである。メイントラック12は、反射部12aと非反射部12bとを所定のピッチλ1で交互に配置して構成されている。また、サブトラック12bは、メイントラック12による測定範囲の原点検出すべき1箇所又は複数箇所に孤立的に設けられている。サブトラック13は、反射部13aと非反射部13bとをピッチλ1とは異なる所定のピッチλ2で交互に配置して構成されている。サブトラック13の測定軸X方向の長さDは、λ2>λ1としたとき、例えば下記数1の条件を満たす長さとする。
【0015】
【数1】
D≦λ1×λ2/(λ2−λ1)
【0016】
そして、この長さDの範囲内で、メイントラック12の反射部12a、非反射部12bの位相が、サブトラック13の反射部13a、非反射部13bの位相と1回だけ一致するように形成する。
【0017】
検出ヘッド2は、メインスケール1に対して相対移動可能に配置され、メイントラック12と対向し測定軸X方向の移動によって第1の波長λ1の2相メイン信号A1,B1を出力するメイントラック用検出器21と、サブトラック13と対向し測定軸X方向の移動によって第2の波長λ2の2相原点検出用信号A2,B2を出力するサブトラック用検出器22とを備えている。図2は、このうちメイントラック用検出器21を模式的に拡大して示す側面図である。メイントラック用検出器21は、LED等の光源23からの光を、ピッチλ1で形成された透過型光学格子である光源用インデックス24を介してメインスケール12に照射する。メインスケール12から反射された光は、アモルファスシリコン等の受光素子アレイ25がピッチλ1で形成された受光部26にて受光される。なお、図では詳細に示されていないが、光源用インデックス24は、位相を90°ずらして2種類形成され、これに対応するように受光部26も2つ形成されており、これにより、2つの受光部26から2相のメイン信号A1,B1が出力されるように構成されている。
【0018】
なお、サブトラック用検出器22についても、図2に示す構成とすることができるが、図3に示すように、メイントラック用検出器21の光源用インデックス24と、サブトラック用検出器22の光源用インデックス27とに共通の光源29からの光を照射してメイントラック12及びサブトラック13をそれぞれ受光部26,28で受光する構成とすることにより、検出ヘッド2の構成を簡素化することができる。
【0019】
図4は、原点検出回路の構成を示す回路図である。
メイントラック用検出器21から出力される2相メイン信号A1,B1及びサブトラック用検出器22から出力される2相原点検出用信号A2,B2は、それぞれ内挿回路31,32に入力されている。内挿回路31,32は、それぞれ3つの抵抗R11,R12,R13及びR21,R22,R23を直列に接続してなる抵抗分割回路により構成され、抵抗分割回路の各両端に信号A1,B1及びA2,B2がそれぞれ供給され、中間点からそれぞれ2相の内挿メイン信号A1’、B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’が出力されるように構成されている。
【0020】
内挿メイン信号A1’、B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’は、それぞれ位相信号生成回路33及び34に入力されている。位相信号生成回路33,34は、それぞれ2つのコンパレータ33a,33b及び34a,34bからなり、内挿メイン信号A1’、B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’を、それぞれ基準レベル(例えば0レベル)でスライスして、2値化された位相情報を含むメイン位相信号φA1、φB1及び原点検出用位相信号φA2、φB2を出力する。これらのメイン位相信号φA1、φB1及び原点検出用位相信号φA2、φB2は、原点パルス生成回路35に入力されている。原点パルス生成回路35は、3つのANDゲート35a,35b,35cから構成されている。ANDゲート35aは、メイン位相信号φA1、φB1を入力し、位相信号φA1と、位相信号φB1の反転信号とを論理積して、第1の内挿パルスP1を出力する。ANDゲート35bは、原点検出用位相信号φA2、φB2を入力し、位相信号φA2と、位相信号φB2の反転信号とを論理積して、第2の内挿パルスP1を出力する。ANDゲート35cは、これら第1及び第2の内挿パルスP1,P2を論理積して原点パルス信号Zを出力する。
【0021】
次に、このように構成された原点検出回路の動作について説明する。
図5(a)は、メイントラック用検出器21から出力される2相のメイン信号A1,B1、同図(c)は、サブトラック用検出器22から出力される2相の原点検出用信号A2,B2をそれぞれ示す波形図である。同図に示すように、メイン信号A1,B1は、波長λ1のサイン波であり、互いに90°の位相差を有する。また、原点検出用信号A2,B2は、波長λ2のサイン波であり、互いに90°の位相差を有する。メイン信号A1,B1が内挿回路31に入力されると、抵抗分割回路の各中間点での信号は、両者の抵抗比に応じた合成出力となる。
いま、メイン信号A1,B1を、
【0022】
【数2】
A1=A cosθ
B1=A sinθ
【0023】
とし、抵抗分割回路の各抵抗値をR1,R2,R3とすると、内挿メイン信号A1’B1’は、次のように表わすことができる。
【0024】
【数3】
A1’=B sin(θ+α)
B1’=C sin(θ+β)
但し、
B=A・√{R12+(R2+R3)2}/(R1+R2+R3)
C=A・√{(R1+R2)2+R32}/(R1+R2+R3)
【0025】
抵抗値R1,R2,R3を任意の値に設定することにより、α,βを任意の値に設定することができる。図5(b)は、メイン信号A1,B1を位相シフトして、内挿メイン信号A1’B1’を生成した例を示している。同様にして、原点検出用信号A2,B2についても、内挿回路32で任意に位相シフトすることにより、図5(d)に示すような内挿原点検出用信号A2’B2’が得られる。
【0026】
このようにして求められた内挿メイン信号A1’,B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’は、位相信号生成回路33,34により基準レベルで2値化されて、図6に示すように、位相信号φA1、φB1及びφA2、φB2が生成される。これらの位相信号φA1、φB1及びφA2、φB2は、内挿メイン信号A1’,B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’の位相情報のみを保持している。これら位相信号φA1、φB1及びφA2、φB2が原点パルス生成回路35のANDゲート35a,35bに与えられ、図6(a)に示すように、位相信号φA1、φB1の位相がずれている部分のみがアクティブとなる第1のパルスP1が生成されると共に、図6(b)に示すように、位相信号φA2、φB2の位相がずれている部分のみがアクティブとなる第2のパルスP2が生成される。これら第1及び第2のパルスP1,P2は、メイン信号A1,B1及び原点検出用信号A2,B2の特定の位相タイミングに同期したパルスとなる。また、第2のパルスP2のパルス幅は、第1のパルスP1のパルス幅よりも大きく設定されている。この位相タイミング及びパルス幅は、前述した内挿回路31,32の抵抗値によって任意の値に設定することが可能である。
【0027】
図7は、このようにして生成された第1のパルスP1及び第2のパルスP2並びにこれらパルスP1,P2から生成される原点パルス信号Zを示す波形図である。第1のパルスP1と第2のパルスP2とは、その周期がそれぞれλ1,λ2と異なっているため、両者の位相が合致したタイミングでANDゲート35cから原点パルス信号Zが出力される。
【0028】
いま、一例として波長λ1=20.0μm、波長λ2=20.5μmに設定したとすると、数1からサブトラック13の長さDは、
【0029】
【数4】
【0030】
となり、サブトラック13の長さDをD≦820μmに設定すれば、長さDの範囲で1つの原点パルス信号Zを生成することができる。図8は、第1及び第2のパルスP1,P2の位相と、原点パルス信号Zの生成タイミングを示した図である。図中ハッチングで示した部分がパルスがアクティブになる位相である。この図から明らかなように、第1のパルスP1のアクティブになる位相と第2のパルスP2のアクティブになる位相とを内挿回路31,32の抵抗値によって任意に設定することにより、任意の場所で原点パルス信号Zを出力させることができる。一例としては、最も測定精度が高くなるメイン信号A1,B2に対して45°±5°の範囲に発生するパルスとする。
【0031】
そして、この装置によれば、原点パルス信号Zは、第1のパルスP1を第2のパルスP2でゲートすることにより生成されたものであるから、メイン信号A1,B1の特定の位相タイミングに同期し、且つメイン信号A1,B1の周期よりも十分に短い高精度なパルスとなる。しかも、その構成も簡単であるという利点がある。
また、第1の波長と第2の波長との比λ1/λ2が一定であれば、波長λ1,λ2が異なっても、内挿回路31,32の設定抵抗値を共通とすることができるので、図4に示した原点検出回路をIC化することもできる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、内挿回路31,32として抵抗直列回路を使用した。このように内挿回路31,32を抵抗直列回路で構成すると、前述のように比較的簡単な回路で原点検出が可能であるが、この他、A/Dコンバータ及びFM変調方式の内挿回路を用いた場合でも、高精度な原点検出が可能である。
以下、一例を示す。いま、第1の波長と第2の波長の比λ1/λ2が、
【0033】
【数5】
λ1/λ2=128/129=256/258
【0034】
であるとし、D1をλ1の位相を表わす8ビットのディジタルデータ(00〜FFh)、D2をλ2の位相を表わす8ビットのディジタルデータ(00〜FFh)とする。この場合、図9に示すように、データD1の更新周期は、λ1/256、データD2の更新周期は、λ2/256=(λ1×258/256)/256となる。ここで、図示のように、
・D1=80hのとき、P1発生
・D2=80hのとき、P2発生
と設定すると、上記と同様に、
・P1のパルス幅=λ1/256
・P2のパルス幅=λ2/256
となる。原点Zを、
Z=P1(論理積)P2
とすると、P2の周期は、λ2=(1+2/256)λ1であるため、λ1とλ2の位相が一致したとき、すなわちD1=D2=80hのときのみ、原点Zにパルスが発生する。
【0035】
以上の方法の場合、メイントラック及びサブトラックに、A/Dコンバータ又はFM変調による内挿回路が必要であるが、メイントラックは既に最小分解能を得るため、内挿回路を有しているのが一般的であるため、サブトラックのみへの内挿回路の追加で上記方式は実現可能である。
【0036】
なお、本発明は、上述した光電式リニアエンコーダに限定されるものではなく、変位信号として多相(例えば2相、3相、4相等)のメイン信号(例えば正弦波状信号)が得られる各種エンコーダ(光電式、電磁誘導式、磁気インピーダンス式、レーザ干渉式及びその他の方式)などに適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、第1及び第2の内挿パルスが、メイン信号の特定の位相タイミングに内挿されたものであるから、メイン信号よりも高精度のパルスであり、これら第1及び第2の内挿パルスから原点パルス信号を生成するので、原点パルス信号を高精度のパルスとすることができ、しかも、原点パルス信号は、メイン信号の特定の位相タイミングと同期しているので、測定値の最小桁まで移動方向に依存せず、再現性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る反射型光電式リニアエンコーダのメインスケール及び検出ヘッド部分を示す概略的な平面図である。
【図2】同メインスケール及び検出ヘッド部分の概略的な側面図である。
【図3】同メインスケール及び検出ヘッド部分の変形例を示す概略的な側面図である。
【図4】本実施形態に係る原点検出回路の回路図である。
【図5】同原点検出回路に入力されるメイン信号A1,B1、原点検出用信号A2,B2及びそれらの内挿信号A1’,B1’,A2’,B2’を示す波形図である。
【図6】同内挿信号A1’,B1’,A2’,B2’、位相信号φA1,φB1,φA2,φB2並びに第1及び第2のパルスP1,P2を示す波形図である。
【図7】同第1及び第2のパルスP1,P2と原点検出パルスZとを示す波形図である。
【図8】同第1及び第2のパルスP1,P2の位相と原点検出パルスZとを示すタイミング図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る位相を示すディジタルデータD1,D2と原点検出パルスとの関係を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1…メインスケール、2…検出ヘッド、11…スケール基板、12…メイントラック、13…サブトラック、21…メイントラック用検出器、22…サブトラック用検出器、31,32…内挿回路、33,34…位相信号生成回路、35…原点パルス生成回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電式、電磁誘導式、磁気インピーダンス式、レーザ干渉式及びその他の方式によるエンコーダ等の変位測定装置に関し、特に原点検出を伴う変位測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被測定物の相対移動量を測定するための変位測定装置、特にインクリメンタル型のエンコーダでは、メインスケールとこれに対向するインデックススケールとに原点を検出するための原点検出用パターンを形成しておき、電源投入時や任意の時点で、原点検出用パターンを検出し、その原点検出パルスをトリガ信号としてゼロセットやプリセット等を行うようにしている。
【0003】
この種の原点検出を伴う光電式エンコーダでは、スケール間のギャップが広くても、急峻な原点検出パルスが再現性良く得られることが必要である。例えば、下記特許文献1に開示された光電式エンコーダでは、メインスケールから得られた変位信号と原点補助信号とで原点検出パルスを生成することにより、原点検出パルスを変位信号(メイン信号)の周期に基づくパルス幅まで急峻にしている。また、この変位測定装置は、原点検出パルスが変位信号と同期しているため、再現性にも優れるという利点がある。
【0004】
また、特許文献2に開示された変位測定装置は、メイン信号の特定の位相領域、例えば主信号が2相出力信号である場合、A相と、これより90°位相が進んだB相とが共に正となる位相領域で原点検出パルスが出力されるように、メイン信号の位相を切り替えるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−122908号公報(段落0008〜0009、図3)
【特許文献2】
特開2002−116060公報(段落0026、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された変位測定装置では、原点検出パルスの分解能がメインスケールから得られる変位信号(メイン信号)の分解能に制限されるので、メイン信号を分割してより高精度な測定を行う場合の原点検出パルスとしては、精度的な要求を満たさないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示された変位測定装置では、メイン信号の特定の位相領域と原点検出パルスの出力タイミングとの同期は図っているものの、原点検出パルスの出力タイミングがメイン信号の特定の位相領域内でばらつくことがある。このようなバラツキが生じる原因としては、原点検出用パターンの検出信号の変動が挙げられ、この検出信号の変動は、スケールと検出器とのギャップ変動、ローリング、ピッチング、温度変動等によって発生する。このような原点検出パルスの出力タイミングにバラツキが生じると、得られる測定値が原点検出のたびに異なってしまい、再現性が低下する。特に微細測定を可能にするため、メイン信号を高分割して最小読取り値をより細かくした変位測定装置では、原点検出パルスの出力タイミングのバラツキが、数カウント分の指示値のバラツキにつながるので、測定精度に大きな影響を与えてしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、高精度で再現性に優れた原点検出が可能な変位測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る変位測定装置は、測定軸に沿った変位測定用のメイントラックが形成されると共にこのメイントラックによる変位測定範囲の一部にのみ原点検出用のサブトラックが形成されたメインスケールと、このメインスケールに対して相対移動可能に配置され前記メイントラックと対向して前記メインスケールに対する相対移動によって第1の波長の多相メイン信号を出力するメイントラック用検出器と、このメイントラック用検出器と共に前記メインスケールに対して相対移動可能に配置され前記サブトラックと対向して前記サブトラックに対する相対移動によって前記第1の波長とは異なる第2の波長の多相原点検出用信号を出力するサブトラック用検出器と、前記多相メイン信号から前記多相メイン信号の特定の位相タイミングに内挿された第1の内挿パルス信号を生成すると共に前記多相原点検出用信号から前記多相原点検出用信号の特定の位相タイミングに内挿された第2の内挿パルス信号を生成し、前記第1及び第2の内挿パルス信号の位相が一致したときに前記第1及び第2の内挿パルス信号から原点パルス信号を生成し出力する原点検出回路とを備えたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、本発明では、メインスケールに、変位測定用のメイントラックと共に原点検出用のサブトラックが、その変位測定範囲の一部にのみ形成され、メイントラックの検出信号であるメイン信号と、サブトラックの検出信号である原点検出用信号とは、波長が異なっている。そして、多相のメイン信号からメイン信号の特定の位相タイミングに同期した第1の内挿パルス信号が生成されると共に、多相の原点検出用信号から原点検出用信号の特定の位相タイミングに同期した第2の内挿パルス信号が生成され、両内挿パルスの位相が一致したときに原点パルス信号を出力するようにしている。
【0011】
本発明によれば、第1及び第2の内挿パルスが、メイン信号の特定の位相タイミングに内挿されたものであるから、メイン信号よりも高精度のパルスであり、これら第1及び第2の内挿パルスから作られた原点パルス信号も、また高精度のパルスとなる。しかも、原点パルス信号は、メイン信号の特定の位相タイミングと同期しているので、測定値の最小桁まで移動方向に依存せず、再現性を確保することができる。
【0012】
なお、本発明の一実施形態においては、前記原点検出回路は、前記多相メイン信号を合成して前記メイン信号に内挿され前記原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差を有する2相の内挿メイン信号を生成する第1の内挿回路と、前記複数の原点検出用信号を合成して前記原点検出用信号に内挿され前記原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差よりも大きい位相差を有する2相の内挿原点検出用信号を生成する第2の内挿回路と、前記2相の内挿メイン信号をそれぞれ2値化して2相のメイン位相信号を生成する第1の位相信号生成回路と、前記2相の内挿原点検出用信号をそれぞれ2値化して2相の原点検出用位相信号を生成する第2の位相信号生成回路と、前記2相のメイン位相信号及び原点検出用位相信号から前記第1及び第2の内挿パルス信号を生成すると共に前記第1及び第2の内挿パルス信号のいずれか一方を他方のゲート信号とすることにより、前記ゲート信号でゲートされた他方の内挿パルス信号を前記原点パルス信号として出力する原点パルス生成回路とを備えることにより構成することができる。ここで、第1及び第2の内挿回路としては、抵抗分割回路を用いることができ、原点検出回路を極めて簡単な構成とすることができる。
【0013】
なお、サブトラックは、メインスケールの全長にわたって設ける必要は無く、第1の波長をλ1、第2の波長をλ2、λ2>λ1としたとき、サブトラックの測定軸方向の長さDが、D≦λ1×λ2/(λ2−λ1)に設定され、この長さDの範囲内で、第1及び第2の内挿パルスの位相が1回だけ一致するように形成することもできる。このため、サブトラックに要求される精度を確保するための製造技術は、スケール全体に形成される場合よりも低くて良く、処理回路の構成も簡単になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る変位測定装置について説明する。
図1は、本発明を反射型光電式リニアエンコーダに適用した実施形態におけるスケール部分と検出ヘッド部分を示す模式的平面図である。
図1において、測定軸X方向に延びるメインスケール1に対して、検出ヘッド2が、測定軸X方向に移動可能に所定ギャップを介して対向配置されている。メインスケール1は、ガラス等からなるスケール基板11上に変位測定用のメイントラック12及び原点検出用のサブトラック13を形成したものである。メイントラック12は、反射部12aと非反射部12bとを所定のピッチλ1で交互に配置して構成されている。また、サブトラック12bは、メイントラック12による測定範囲の原点検出すべき1箇所又は複数箇所に孤立的に設けられている。サブトラック13は、反射部13aと非反射部13bとをピッチλ1とは異なる所定のピッチλ2で交互に配置して構成されている。サブトラック13の測定軸X方向の長さDは、λ2>λ1としたとき、例えば下記数1の条件を満たす長さとする。
【0015】
【数1】
D≦λ1×λ2/(λ2−λ1)
【0016】
そして、この長さDの範囲内で、メイントラック12の反射部12a、非反射部12bの位相が、サブトラック13の反射部13a、非反射部13bの位相と1回だけ一致するように形成する。
【0017】
検出ヘッド2は、メインスケール1に対して相対移動可能に配置され、メイントラック12と対向し測定軸X方向の移動によって第1の波長λ1の2相メイン信号A1,B1を出力するメイントラック用検出器21と、サブトラック13と対向し測定軸X方向の移動によって第2の波長λ2の2相原点検出用信号A2,B2を出力するサブトラック用検出器22とを備えている。図2は、このうちメイントラック用検出器21を模式的に拡大して示す側面図である。メイントラック用検出器21は、LED等の光源23からの光を、ピッチλ1で形成された透過型光学格子である光源用インデックス24を介してメインスケール12に照射する。メインスケール12から反射された光は、アモルファスシリコン等の受光素子アレイ25がピッチλ1で形成された受光部26にて受光される。なお、図では詳細に示されていないが、光源用インデックス24は、位相を90°ずらして2種類形成され、これに対応するように受光部26も2つ形成されており、これにより、2つの受光部26から2相のメイン信号A1,B1が出力されるように構成されている。
【0018】
なお、サブトラック用検出器22についても、図2に示す構成とすることができるが、図3に示すように、メイントラック用検出器21の光源用インデックス24と、サブトラック用検出器22の光源用インデックス27とに共通の光源29からの光を照射してメイントラック12及びサブトラック13をそれぞれ受光部26,28で受光する構成とすることにより、検出ヘッド2の構成を簡素化することができる。
【0019】
図4は、原点検出回路の構成を示す回路図である。
メイントラック用検出器21から出力される2相メイン信号A1,B1及びサブトラック用検出器22から出力される2相原点検出用信号A2,B2は、それぞれ内挿回路31,32に入力されている。内挿回路31,32は、それぞれ3つの抵抗R11,R12,R13及びR21,R22,R23を直列に接続してなる抵抗分割回路により構成され、抵抗分割回路の各両端に信号A1,B1及びA2,B2がそれぞれ供給され、中間点からそれぞれ2相の内挿メイン信号A1’、B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’が出力されるように構成されている。
【0020】
内挿メイン信号A1’、B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’は、それぞれ位相信号生成回路33及び34に入力されている。位相信号生成回路33,34は、それぞれ2つのコンパレータ33a,33b及び34a,34bからなり、内挿メイン信号A1’、B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’を、それぞれ基準レベル(例えば0レベル)でスライスして、2値化された位相情報を含むメイン位相信号φA1、φB1及び原点検出用位相信号φA2、φB2を出力する。これらのメイン位相信号φA1、φB1及び原点検出用位相信号φA2、φB2は、原点パルス生成回路35に入力されている。原点パルス生成回路35は、3つのANDゲート35a,35b,35cから構成されている。ANDゲート35aは、メイン位相信号φA1、φB1を入力し、位相信号φA1と、位相信号φB1の反転信号とを論理積して、第1の内挿パルスP1を出力する。ANDゲート35bは、原点検出用位相信号φA2、φB2を入力し、位相信号φA2と、位相信号φB2の反転信号とを論理積して、第2の内挿パルスP1を出力する。ANDゲート35cは、これら第1及び第2の内挿パルスP1,P2を論理積して原点パルス信号Zを出力する。
【0021】
次に、このように構成された原点検出回路の動作について説明する。
図5(a)は、メイントラック用検出器21から出力される2相のメイン信号A1,B1、同図(c)は、サブトラック用検出器22から出力される2相の原点検出用信号A2,B2をそれぞれ示す波形図である。同図に示すように、メイン信号A1,B1は、波長λ1のサイン波であり、互いに90°の位相差を有する。また、原点検出用信号A2,B2は、波長λ2のサイン波であり、互いに90°の位相差を有する。メイン信号A1,B1が内挿回路31に入力されると、抵抗分割回路の各中間点での信号は、両者の抵抗比に応じた合成出力となる。
いま、メイン信号A1,B1を、
【0022】
【数2】
A1=A cosθ
B1=A sinθ
【0023】
とし、抵抗分割回路の各抵抗値をR1,R2,R3とすると、内挿メイン信号A1’B1’は、次のように表わすことができる。
【0024】
【数3】
A1’=B sin(θ+α)
B1’=C sin(θ+β)
但し、
B=A・√{R12+(R2+R3)2}/(R1+R2+R3)
C=A・√{(R1+R2)2+R32}/(R1+R2+R3)
【0025】
抵抗値R1,R2,R3を任意の値に設定することにより、α,βを任意の値に設定することができる。図5(b)は、メイン信号A1,B1を位相シフトして、内挿メイン信号A1’B1’を生成した例を示している。同様にして、原点検出用信号A2,B2についても、内挿回路32で任意に位相シフトすることにより、図5(d)に示すような内挿原点検出用信号A2’B2’が得られる。
【0026】
このようにして求められた内挿メイン信号A1’,B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’は、位相信号生成回路33,34により基準レベルで2値化されて、図6に示すように、位相信号φA1、φB1及びφA2、φB2が生成される。これらの位相信号φA1、φB1及びφA2、φB2は、内挿メイン信号A1’,B1’及び内挿原点検出用信号A2’,B2’の位相情報のみを保持している。これら位相信号φA1、φB1及びφA2、φB2が原点パルス生成回路35のANDゲート35a,35bに与えられ、図6(a)に示すように、位相信号φA1、φB1の位相がずれている部分のみがアクティブとなる第1のパルスP1が生成されると共に、図6(b)に示すように、位相信号φA2、φB2の位相がずれている部分のみがアクティブとなる第2のパルスP2が生成される。これら第1及び第2のパルスP1,P2は、メイン信号A1,B1及び原点検出用信号A2,B2の特定の位相タイミングに同期したパルスとなる。また、第2のパルスP2のパルス幅は、第1のパルスP1のパルス幅よりも大きく設定されている。この位相タイミング及びパルス幅は、前述した内挿回路31,32の抵抗値によって任意の値に設定することが可能である。
【0027】
図7は、このようにして生成された第1のパルスP1及び第2のパルスP2並びにこれらパルスP1,P2から生成される原点パルス信号Zを示す波形図である。第1のパルスP1と第2のパルスP2とは、その周期がそれぞれλ1,λ2と異なっているため、両者の位相が合致したタイミングでANDゲート35cから原点パルス信号Zが出力される。
【0028】
いま、一例として波長λ1=20.0μm、波長λ2=20.5μmに設定したとすると、数1からサブトラック13の長さDは、
【0029】
【数4】
【0030】
となり、サブトラック13の長さDをD≦820μmに設定すれば、長さDの範囲で1つの原点パルス信号Zを生成することができる。図8は、第1及び第2のパルスP1,P2の位相と、原点パルス信号Zの生成タイミングを示した図である。図中ハッチングで示した部分がパルスがアクティブになる位相である。この図から明らかなように、第1のパルスP1のアクティブになる位相と第2のパルスP2のアクティブになる位相とを内挿回路31,32の抵抗値によって任意に設定することにより、任意の場所で原点パルス信号Zを出力させることができる。一例としては、最も測定精度が高くなるメイン信号A1,B2に対して45°±5°の範囲に発生するパルスとする。
【0031】
そして、この装置によれば、原点パルス信号Zは、第1のパルスP1を第2のパルスP2でゲートすることにより生成されたものであるから、メイン信号A1,B1の特定の位相タイミングに同期し、且つメイン信号A1,B1の周期よりも十分に短い高精度なパルスとなる。しかも、その構成も簡単であるという利点がある。
また、第1の波長と第2の波長との比λ1/λ2が一定であれば、波長λ1,λ2が異なっても、内挿回路31,32の設定抵抗値を共通とすることができるので、図4に示した原点検出回路をIC化することもできる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、内挿回路31,32として抵抗直列回路を使用した。このように内挿回路31,32を抵抗直列回路で構成すると、前述のように比較的簡単な回路で原点検出が可能であるが、この他、A/Dコンバータ及びFM変調方式の内挿回路を用いた場合でも、高精度な原点検出が可能である。
以下、一例を示す。いま、第1の波長と第2の波長の比λ1/λ2が、
【0033】
【数5】
λ1/λ2=128/129=256/258
【0034】
であるとし、D1をλ1の位相を表わす8ビットのディジタルデータ(00〜FFh)、D2をλ2の位相を表わす8ビットのディジタルデータ(00〜FFh)とする。この場合、図9に示すように、データD1の更新周期は、λ1/256、データD2の更新周期は、λ2/256=(λ1×258/256)/256となる。ここで、図示のように、
・D1=80hのとき、P1発生
・D2=80hのとき、P2発生
と設定すると、上記と同様に、
・P1のパルス幅=λ1/256
・P2のパルス幅=λ2/256
となる。原点Zを、
Z=P1(論理積)P2
とすると、P2の周期は、λ2=(1+2/256)λ1であるため、λ1とλ2の位相が一致したとき、すなわちD1=D2=80hのときのみ、原点Zにパルスが発生する。
【0035】
以上の方法の場合、メイントラック及びサブトラックに、A/Dコンバータ又はFM変調による内挿回路が必要であるが、メイントラックは既に最小分解能を得るため、内挿回路を有しているのが一般的であるため、サブトラックのみへの内挿回路の追加で上記方式は実現可能である。
【0036】
なお、本発明は、上述した光電式リニアエンコーダに限定されるものではなく、変位信号として多相(例えば2相、3相、4相等)のメイン信号(例えば正弦波状信号)が得られる各種エンコーダ(光電式、電磁誘導式、磁気インピーダンス式、レーザ干渉式及びその他の方式)などに適用可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、第1及び第2の内挿パルスが、メイン信号の特定の位相タイミングに内挿されたものであるから、メイン信号よりも高精度のパルスであり、これら第1及び第2の内挿パルスから原点パルス信号を生成するので、原点パルス信号を高精度のパルスとすることができ、しかも、原点パルス信号は、メイン信号の特定の位相タイミングと同期しているので、測定値の最小桁まで移動方向に依存せず、再現性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る反射型光電式リニアエンコーダのメインスケール及び検出ヘッド部分を示す概略的な平面図である。
【図2】同メインスケール及び検出ヘッド部分の概略的な側面図である。
【図3】同メインスケール及び検出ヘッド部分の変形例を示す概略的な側面図である。
【図4】本実施形態に係る原点検出回路の回路図である。
【図5】同原点検出回路に入力されるメイン信号A1,B1、原点検出用信号A2,B2及びそれらの内挿信号A1’,B1’,A2’,B2’を示す波形図である。
【図6】同内挿信号A1’,B1’,A2’,B2’、位相信号φA1,φB1,φA2,φB2並びに第1及び第2のパルスP1,P2を示す波形図である。
【図7】同第1及び第2のパルスP1,P2と原点検出パルスZとを示す波形図である。
【図8】同第1及び第2のパルスP1,P2の位相と原点検出パルスZとを示すタイミング図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る位相を示すディジタルデータD1,D2と原点検出パルスとの関係を示すタイミング図である。
【符号の説明】
1…メインスケール、2…検出ヘッド、11…スケール基板、12…メイントラック、13…サブトラック、21…メイントラック用検出器、22…サブトラック用検出器、31,32…内挿回路、33,34…位相信号生成回路、35…原点パルス生成回路。
Claims (3)
- 測定軸に沿った変位測定用のメイントラックが形成されると共にこのメイントラックによる変位測定範囲の一部にのみ原点検出用のサブトラックが形成されたメインスケールと、
このメインスケールに対して相対移動可能に配置され前記メイントラックと対向して前記メインスケールに対する相対移動によって第1の波長の多相メイン信号を出力するメイントラック用検出器と、
このメイントラック用検出器と共に前記メインスケールに対して相対移動可能に配置され前記サブトラックと対向して前記サブトラックに対する相対移動によって前記第1の波長とは異なる第2の波長の多相原点検出用信号を出力するサブトラック用検出器と、
前記多相メイン信号から前記多相メイン信号の特定の位相タイミングに内挿された第1の内挿パルス信号を生成すると共に前記多相原点検出用信号から前記多相原点検出用信号の特定の位相タイミングに内挿された第2の内挿パルス信号を生成し、前記第1及び第2の内挿パルス信号の位相が一致したときに前記第1及び第2の内挿パルス信号から原点パルス信号を生成し出力する原点検出回路と
を備えたことを特徴とする変位測定装置。 - 前記原点検出回路は、
前記多相メイン信号を合成して前記メイン信号に内挿され前記原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差を有する2相の内挿メイン信号を生成する第1の内挿回路と、
前記複数の原点検出用信号を合成して前記原点検出用信号に内挿され前記原点パルス信号のパルス幅に対応する位相差よりも大きい位相差を有する2相の内挿原点検出用信号を生成する第2の内挿回路と、
前記2相の内挿メイン信号をそれぞれ2値化して2相のメイン位相信号を生成する第1の位相信号生成回路と、
前記2相の内挿原点検出用信号をそれぞれ2値化して2相の原点検出用位相信号を生成する第2の位相信号生成回路と、
前記2相のメイン位相信号及び原点検出用位相信号から前記第1及び第2の内挿パルス信号を生成すると共に前記第1及び第2の内挿パルス信号のいずれか一方を他方のゲート信号とすることにより、前記ゲート信号でゲートされた他方の内挿パルス信号を前記原点パルス信号として出力する原点パルス生成回路と
を備えたものであることを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。 - 前記第1の波長をλ1、第2の波長をλ2、λ2>λ1としたとき、前記サブトラックの測定軸方向の長さDが、
D≦λ1×λ2/(λ2−λ1)
に設定され、この長さDの範囲内で、前記第1及び第2の内挿パルスの位相が1回だけ一致するように前記メインスケールに前記サブトラックが形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。
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