JP2004346449A - ケーブル部材用ポリエステルモノフィラメント - Google Patents

ケーブル部材用ポリエステルモノフィラメント Download PDF

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JP2004346449A JP2003143997A JP2003143997A JP2004346449A JP 2004346449 A JP2004346449 A JP 2004346449A JP 2003143997 A JP2003143997 A JP 2003143997A JP 2003143997 A JP2003143997 A JP 2003143997A JP 2004346449 A JP2004346449 A JP 2004346449A
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超 浅井
Hirotoku Yamada
廣徳 山田
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Abstract

【課題】高ヤング率かつ高引掛強度および低収縮率の各特性を均衡に備えたケーブル部材用ポリエステルモノフィラメントの提供。
【解決手段】エチレン−2,6−ナフタレート単位を85モル%以上含有するポリエステルを溶融紡糸してなるモノフィラメントであって、JIS L1013に準じて測定したヤング率が10000N/mm以上、JIS L1013に準じて測定した180℃での乾熱収縮率が8%以下、JIS L1013に準じて測定した引掛強度が0.5cN/dtex以上であることを特徴とするケーブル部材用ポリエステルモノフィラメント。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケーブル部材用ポリエステルモノフィラメントに関するものである。さらに詳しくは、高ヤング率、低収縮率および高引掛強度の各特性を均衡に備え、光ファイバーケーブル内のテンションメンバーなどのケーブル部材として使用する際に、耐久性に優れ、ケーブル部材への加工時に湾曲、曲げによる光損失を生じることがないばかりか、ケーブル部材にフィブリル化、割れ、ささくれ等の問題を発生することがないケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、FTTH(fiber to the home)に使用される通信ケーブルには、多大な情報を瞬時に送受信するために光ファイバーケーブルが使用されている。そして、この光ファイバーケーブルに使用されるテンションメンバーに対する要求性能としては、光ファイバーの微少な伸びを保護するために高ヤング率が挙げられ、この性能を満たす素材としては鋼線などが多く使用されているが、電柱からの引込み線に使用される光ファイバーケーブル(例えばドロップケーブル)に、テンションメンバーとして鋼線を使用した場合には、電柱からの電圧誘引が起こった際に、家庭内の電化製品が電圧により故障や破損する問題があるため、最近では、テンションメンバーなどのケーブル材料を絶縁材料に互換する要請が高まっている。
【0003】
このような要請を満たすテンションメンバーに使用するケーブル部材としては、ガラスロッド(GFRP)やケブラーロッド(KFRP)など(例えば、特許文献1参照)が挙げられるが、これを使用した光ファイバーケーブルを各家庭内に引き込む場合には、90°または180°にケーブルが曲げられるため、曲げに対する強度、つまり180°の曲げに対する強度(引掛強度)が高いことも要求性能の一つとして挙げられる。しかしながら、前記GFRPやKFRPは、180°などに曲げた時の引掛強度が低くなるため、他の材料の選択が必要となってきている。
【0004】
一方、ポリエステル繊維は、その優れた物理特性・化学特性から種々の産業資材として使用されており、ポリエステル繊維の中でも代表的なポリエチレンテレフタレートモノフィラメントの製造方法(例えば、特許文献2および3参照)についても知られている。そして、これらの従来技術においては、上述の高ヤング率化の要請に対し、延伸倍率を上げることにより対処しているが、この場合には延伸切れなどの操業性の悪化が顕著に発現してしまうため、ケーブル部材として適用するための高ヤング率化には限界があった。
【0005】
また、ポリエステル繊維に対する高引掛強度の要請に対しては、延伸倍率を下げることにより、引張伸度を上げるなどの手法がとられているが、この場合には高ヤング率を同時に維持することができなかった。
【0006】
つまり、ポリエステル繊維の高ヤング率化と高引掛強度は二律背反の関係にあり、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメントにおいて高ヤング率と高引掛強度を同時に満足するには限界があった。
【0007】
さらに、光ファイバーケーブルを製造する際には、ケーブルの絶縁材料(シースなど)の熱が直接ケーブル部材に伝わるため、ケーブル部材の収縮率が高いと作成ケーブルが湾曲し、これにより光損失が発生することから、ケーブル部材に対するさらなる要求性能の一つとして、低収縮率が挙げられる。
【0008】
ポリエステル繊維に対する低収縮化の要請に対しては、弛緩熱処理工程の温度を上げるか、あるいは弛緩熱処理倍率を下げることなどにより、弛緩熱処理効率を良くする手法がとられているが、この場合には高延伸倍率での高ヤング率の効果がうち消されてしまい、高ヤング率を維持することができなかった。
【0009】
つまり、ポリエステル繊維の高ヤング率化と低熱収縮率とは二律背反の関係にあり、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメントにおいて高ヤング率と低熱収縮率を同時に満足するには限界があった。
【0010】
一方、最近では、ポリエステル繊維の一つとして、ポリエチレンナフタレート繊維やモノフィラメント(例えば、特許文献4および5参照)が提案されているが、これらはいずれもマルチフィラメントや線径の小さいモノフィラメントに関するものであり、汎用的な繊度や直径を有するモノフィラメントの分野には言及するものではないばかりか、高ヤング率、低収縮率および高引掛強度を同時に満たすモノフィラメントについては何ら開示するものではなかった。
【0011】
さらに、ポリエチレンナフタレートモノフィラメントからなるケーブル部材(例えば、特許文献6参照)についても提案されているが、このケーブル部材は、高ヤング率および低熱収縮率については満たすものの、引掛強度に関する改良については、何ら開示するものではなかった。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−171673号公報
【特許文献2】
特開平6−220718号公報
【特許文献3】
特開平10−168661号公報
【特許文献4】
特許第2948006号公報
【特許文献5】
特開平11−279833号公報
【特許文献6】
特開2002−266164号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。
【0014】
したがって、本発明の目的は、高ヤング率、低収縮率および高引掛強度の各特性を均衡に備え、光ファイバーケーブル内のテンションメンバーなどのケーブル部材として使用する際に、耐久性に優れ、ケーブル部材への加工時に湾曲、曲げによる光損失を生じることがないばかりか、ケーブル部材にフィブリル化、割れ、ささくれ等の問題を発生することがないケーブル部材用ポリエステルモノフィラメントを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成すべく鋭意検討した結果、ポリエチレンナフタレートを通常の溶融紡糸、冷却、延伸、熱処理して得られるポリエステルモノフィラメントが、高ヤング率を維持し高引掛強度および低熱収縮率の各特性を均衡に備えたものであり、通信ケーブル部材のテンションメンバー、介在線、引き裂き線等のケーブル部材として使用した際に最良の効果を発現することを見出し、本発明に到達した。
【0016】
すなわち、本発明のケーブル部材用ポリエステルモノフィラメントは、エチレン−2,6−ナフタレート単位を85モル%以上含有するポリエステルを溶融紡糸してなるモノフィラメントであって、JIS L1013に準じて測定したヤング率が10000N/mm以上、JIS L1013に準じて測定した180℃での乾熱収縮率が8%以下、JIS L1013に準じて測定した引掛強度が0.5cN/dtex以上であることを特徴とする。
【0017】
そして、本発明のケーブル部材用ポリエステルモノフィラメントにおいては、JIS L1013に準じて測定したヤング率が12000N/mm以上、JIS L1013に準じて測定した180℃での乾熱収縮率が5%以下、JIS L1013に準じて測定した引掛強度が0.5cN/dtex以上であること、
繊維直径が0.05〜4.00mmであること、およびJIS L1013に準じて測定した引張強度が3.0cN/dtex以上、引張伸度が2%以上であることが、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明で使用するポリエチレンナフタレートポリマーは、ポリエチレン−2,6−ナフタレート単位を85モル%以上含有するポリマーである。
【0020】
なお、ポリエチレンナフタレートポリマーは、15モル%未満であれば、他のジカルボン酸成分およびジオール成分を含有することができ、ここでいう他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびデカリンジカルボン酸などが、他のジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族グリコール、o−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ジフェニルスルホンなどの芳香族グリコール、およびヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのジフェノール類などが挙げられ、これらは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0021】
しかし、ポリエチレン−2,6−ナフタレート単位の含有量が上記範囲未満のポリエチレンナフタレートの場合は、ポリエチレンナフタレートポリマー特有の高ヤング率が得られにくく、モノフィラメント自体の強度やタフネスが大幅に低下する傾向となる。
【0022】
つまり、上記のポリエチレン−2,6−ナフタレート単位が85モル%以上のポリエチレンナフタレートポリマーであれば、ケーブル部材の要望の高ヤング率や高引掛強度および低熱収縮率や高強度を満足したポリエステルモノフィラメントを得ることができる。
【0023】
本発明のポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、JIS L1013に準じて測定したヤング率が10000N/mm以上、好ましくは12000N/mm以上、さらに好ましくは15000N/mm以上であり、従来にない優れた特性を発現するものである。
【0024】
なお、ヤング率が上記の範囲未満では、従来のポリエチレンテレフタレートモノフィラメントが発現する最大のヤング率とほぼ同等のレベルであるため、ポリエチレンナフタレートモノフィラメントとしての利点が得られないばかりか、ケーブル部材の高ヤング率の要望を満たすことができないため好ましくない。
【0025】
つまり、ヤング率が10000N/mm以上であれば、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメントでは到底到達することができなかった近年のケーブル部材の要望に対し十分に対応することができ、各種のケーブル部材用途に容易に展開が可能となるのである。
【0026】
また、本発明のポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、JIS L1013に準じて測定した180℃での乾熱収縮率が8%以下、好ましくは5%以下であることも特徴である。180℃での乾熱収縮率が上記範囲を越えると、ケーブル加工時に作成ケーブルが湾曲し、これにより光損失が発生するため好ましくない。
【0027】
つまり、180℃での乾熱収縮率が8%以下であれば、作成ケーブルが湾曲することもなく、曲げによる光損失もないため、安心してケーブルが作成できるのである。
【0028】
さらに、本発明のポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、JIS L1013に準じて測定した引掛強度が0.5cN/dtex以上であることも特徴である。なお、引掛強度が上記範囲未満の場合は、GFRPに代表される剛直な繊維やロッド等と同様な特性を示すことにより、モノフィラメント自体を曲げる際にフィブリル化、割れ、ささくれなどの問題が発生しやすくなり、ケーブル製造時においてフィブリルしたモノフィラメントが指に刺さる等の安全性低下や加工作業性の低下が生じてしまい、ケーブル部材への展開が難しくなるため好ましくない。
【0029】
つまり、引掛強度が0.5cN/dtex以上であれば、モノフィラメントが柔軟に湾曲するので、加工時の安全面での問題もないので加工作業性が極めて向上し、さらにはケーブルを180°に曲げれることになるのである。
【0030】
なお、本発明で使用するケーブル部材用ポリエチレンナフタレートを構成するポリマーには、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、フッ化リチウム、カオリン、タルク等の無機粒子、耐熱剤、耐候剤、耐光剤、耐加水分解剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、平滑剤、ワックス類、シリコーンオイル、界面活性剤、染料、顔料などの公知の添加剤成分を必要に応じて任意に添加することができる。
【0031】
さらに、ポリエチレンナフタレートポリマーには、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリメチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートまたはその2種類以上の共重合またはブレンドなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・12、ナイロン12、ナイロン6・10、ナイロン10、またはその2種類以上の共重合またはブレンドなどのポリアミド、ポリプロピレン、低密度および高密度ポリエチレン、シンジオタクチックまたはアタクチックまたはイソタクチックポリスチレンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドなどのポリサルファイド、ポリスチレン・ポリブタジエン・ポリスチレンブロックコポリマー、ポリスチレン・ポリイソプレン・ポリスチレンブロックコポリマーなどのスチレン系熱可塑性エラストマー、エチレン・プロピレン・ジエチレンコポリマーなどのオレフィン系ゴムとポリプロピレンまたはエチレンなどのポリオレフィンとのブレンドなどのポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエーテルエステル、ポリウレタン、ポリカボネート、ポリアリレート、エチレンテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライドなどのフッ素樹脂、およびシリコン樹脂などの他の熱可塑性樹脂やガラス繊維や炭素繊維などの補強繊維を、必要に応じて15重量%以下ブレンドして使用することもできる。
【0032】
本発明のケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、直径が0.05〜4.00mm、特に0.20〜2.00mm、引張強度が3.0cN/dtex以上、特に3.5cN/dtex以上、引張伸度が2%以上、特に5%以上であることがさらに好ましい。
【0033】
ここで、引張強度が3.0cN/dtex未満および引張伸度が2%未満の場合は、モノフィラメントの脆性破壊やタフネスが低いことにより、ケーブル部材の必要最低限の強伸度が維持できないため、各種ケーブル部材への展開が難しい傾向となる。
【0034】
つまり、引張強度が3.0cN/dtex以上、引張伸度が2%以上であるポリエチレンナフタレートモノフィラメントであれば、必要最低限の特性を満たすため、容易にケーブル部材へ展開することができる。
【0035】
そして、本発明のケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、直径を上記の範囲とすることにより、ケーブル部材用のモノフィラメントとして好適な性能を発揮する。
【0036】
また、本発明のケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントの断面形状については、特に限定されるものではなく、例えば丸形、楕円形、三角・四角・六角などの多角形、星形・十・Y・H形・花びら形・6葉・8葉・13葉・帽子形などの異形断面、および中空形などを挙げることができ、これらの形状を一部変更したものや合成したものでもよい。また、ケーブル部材への使用にあたっては、これらの各種の断面形状を組み合わせてもよい。
【0037】
また、光ケーブル心線の接続には、色調により光心線を区分および識別することがあるので、本発明のケーブル部材用ポリエステルモノフィラメントは、色調も特に限定はしない。例えば透明、白、青、赤、黒、黄、緑、紫、橙、水色、茶、桃、黄緑などを挙げることができる。
【0038】
かくして得られる本発明のケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、容易に高次加工ができるため、各種の通信ケーブル部材として展開することができる。
【0039】
このケーブル部材としては特に制限はなく、なかでも光ファイバ通信ケーブル内には光ファイバの補強などを目的に使用される補強線またはテンションメンバー、さらには光ファイバの隙間を埋める目的に使用される介在線およびケーブルの外層被覆を剥離するために用いられる引き裂き線などがあるが、本発明のケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、これらの補強線、介在線および引き裂き線などの用途に有効に展開することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、上記および下記に記載の本発明のケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントの各種特性の測定方法は次の方法にしたがって行なった。
[直径(mm)]
デジタルマイクロメーター(MITUTOYO製)を用いて、モノフィラメントの長さ方向に5回測定した平均値。
[引張強伸度(cN/dtex、%)]
JIS L1013 の引張強さおよび伸び率項目に準じて測定した。
[引掛強度(cN/dtex)]
JIS L1013 の引掛強さ項目に準じて測定した。
[ヤング率 (N/mm)]
JIS L1013 の初期引張抵抗度項目の見掛けヤング率に準じて測定した。
[乾熱収縮率(%)]
JIS L1013 の乾熱収縮率項目のB法に準じて測定した。
[外観変化]
両端に0.005cN/dtexの荷重をかけたモノフィラメントを、外径50mmのパイプに五周巻き付けて5分間放置した後、パイプからモノフィラメントを外し、そのモノフィラメントの外観を目視で観察することにより、次の三規準に評価した。
【0041】
○・・フィブリルや割れなどの外観変化が全くなく、ケーブル部材として好適に使用できる。
【0042】
△・・フィブリルや割れなどの外観変化が多少認められるが、ケーブル部材として使用することはできる。
【0043】
×・・フィブリルや割れなどの外観変化が多く認められ、ケーブル部材として使用できない。
[ケーブルへの加工性]
モノフィラメントの表面に、ポリエチレンを厚さ0.1mmで溶融被覆した後、モノフィラメントの湾曲度合を目視で観察することにより、次の三規準に評価した。
【0044】
○・・モノフィラメントに湾曲が全くなく、ケーブル部材として好適に使用できる。
【0045】
△・・モノフィラメントに湾曲が多少認められるが、ケーブル部材として使用することはできる。
【0046】
×・・モノフィラメントに湾曲が多く認められ、ケーブル部材として使用できない。
[原料A]
ポリエチレン−2,6−ナフタレート単位が92モル%であるポリエチレンナフタレート樹脂(東洋紡績社製NS653A)。
[原料B]
ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ社製T750M)。
【0047】
[実施例1]
原料Aを通常のエクストルーダー型紡糸機で300℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径1.5mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度64℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0048】
得られた未延伸糸を120℃で4.9倍に1段延伸した後、200℃で1.05倍に熱処理し、速度150m/分で巻取ることによりポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0049】
得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表1に示す。
【0050】
[実施例2]
原料Aを通常のエクストルーダー型紡糸機で300℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径3.0mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度64℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0051】
得られた未延伸糸120℃で4.9倍に1段延伸した後、200℃で1.05倍に熱処理し、速度110m/分巻取ることによりポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0052】
得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表1に示す。
【0053】
[実施例3]
原料Aを通常のエクストルーダー型紡糸機で300℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径3.5mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度64℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0054】
得られた未延伸糸を120℃で4.9倍に1段延伸した後、200℃で1.05倍に熱処理し、速度70m/分で巻取ることによりポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0055】
得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表1に示す。
【0056】
[実施例4]
原料Aを通常のエクストルーダー型紡糸機で300℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径5.0mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度64℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0057】
得られた未延伸糸を120℃で4.9倍に1段延伸した後、200℃で1.05倍に熱処理し、速度60m/分で巻取ることによりポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0058】
得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表1に示す。
【0059】
[実施例5]
原料Aを通常のエクストルーダー型紡糸機で300℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径15mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度64℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0060】
得られた未延伸糸を120℃で4.9倍に1段延伸した後、200℃で1.05倍に熱処理し、速度30m/分で巻取ることによりポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0061】
得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 2004346449
【0063】
[比較例1]
実施例1において、得られた未延伸糸を140℃で4.0倍に1段延伸した後、240℃で0.95倍に弛緩熱処理に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0064】
この場合には、延伸点が不安定のため均一なモノフィラメントが得られなかったが、少量得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表2に示す。
【0065】
[比較例2]
原料Aを通常のエクストルーダー型紡糸機で300℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径1.5mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度64℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0066】
得られた未延伸糸を140℃で6.0倍、180℃で1.5倍、220℃で1.11倍に3段延伸した後、240℃で0.98倍にに弛緩熱処理し、速度150m/分で巻取ることによりポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0067】
得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表2に示す。
【0068】
[比較例3]
原料Aを通常のエクストルーダー型紡糸機で300℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径1.5mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度64℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0069】
得られた未延伸糸を140℃で6.0倍、180℃で1.5倍、220℃で1.11倍に3段延伸し、速度150m/分で巻取ることによりポリエチレンナフタレートモノフィラメントを製造した。
【0070】
得られたポリエチレンナフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表2に示す。
【0071】
[比較例4]
原料Bを通常のエクストルーダー型紡糸機で280℃にて溶融し、ギアポンプを経て口径0.7mmφの口金から紡出し、冷却溶媒温度70℃の水冷却浴槽で冷却した。
【0072】
得られた未延伸糸を93℃で3.0倍に1段延伸し、さらに200℃で1.93倍に2段延伸した後、250℃で0.75倍に弛緩熱処理し、速度150m/分で巻取ることによりポリエチレンテレフタレートモノフィラメントを製造した。
【0073】
得られたポリエチレンテレフタレートモノフィラメントについて、特性を評価した結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 2004346449
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のケーブル部材用ポリエチレンナフタレートモノフィラメントは、ポリエチレンテレフタレートでは到底発現し得ない高ヤング率かつ高引掛強度および低収縮率の特性を均衡に具備するものである。したがって、ケーブル部材として使用する際に、耐久性に優れ、ケーブル部材への加工時に湾曲、曲げによる光損失を生じることがないばかりか、ケーブル部材にフィブリル化、割れ、ささくれ等の問題を発生することがなく、容易に高次加工ができるため、テンションメンバー、介在線、引き裂き線などのケーブル部材へ展開が可能である。

Claims (4)

  1. エチレン−2,6−ナフタレート単位を85モル%以上含有するポリエステルを溶融紡糸してなるモノフィラメントであって、JIS L1013に準じて測定したヤング率が10000N/mm以上、JIS L1013に準じて測定した180℃での乾熱収縮率が8%以下、JIS L1013に準じて測定した引掛強度が0.5cN/dtex以上であることを特徴とするケーブル部材用ポリエステルモノフィラメント。
  2. JIS L1013に準じて測定したヤング率が12000N/mm以上、JIS L1013に準じて測定した180℃での乾熱収縮率が5%以下、JIS L1013に準じて測定した引掛強度が0.5cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル部材用ポリエステルモノフィラメント。
  3. 繊維直径が0.05〜4.00mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル部材用ポリエステルモノフィラメント。
  4. JIS L1013に準じて測定した引張強度が3.0cN/dtex以上、引張伸度が2%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル部材用ポリエステルモノフィラメント。
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