JP4010699B2 - 共重合ポリエチレンナフタレート繊維 - Google Patents

共重合ポリエチレンナフタレート繊維 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は共重合ポリエチレンナフタレート繊維に関する。更に詳しくは本発明は、高いヤング率、耐加水分解性を保持しつつ、改善された耐屈曲疲労性、結節強度、引掛強度を有する共重合ポリエチレンナフタレート繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンナフタレート繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維に比べて高強度、高ヤング率を有し、且つ高い耐加水分解性能を有しており、特に産業資材用途として注目されている。
【0003】
しかしながら、ポリエチレンナフタレート繊維は高強度、高ヤング率といった優れた性能を有している反面、糸の伸度、タフネスが低いことから耐疲労性、特に耐屈曲疲労性や耐摩擦疲労性が著しく低く、長期的な連続使用には適していないということが大きな問題となっていた。
【0004】
この問題を解決すべく例えば特開平10−17661号公報では、ポリエチレンナフタレートポリマーにダイマージオールを共重合することによって耐屈曲疲労性や耐摩擦疲労性を改良することが提案されている。
【0005】
この方法によれば、キャンバス、スクリーン紗といった高ヤング率を特に必要とされない用途には有用な繊維を提供することはできるものの、例えば高密度に織り込まれているシートベルトなど、耐屈曲疲労性と高強度、高ヤング率とを併せ持つことが要求される用途においてはポリエチレンナフタレート繊維本来の高ヤング率が発揮されず、性能も不十分となる。
【0006】
一方、特開平10−88422号公報では、ポリエチレンナフタレート未延伸繊維に対して3段以上の延伸を行なって、高温雰囲気下でのモジュラス低下を抑制したポリエチレンナフタレート繊維を得る方法が提案されているが、この方法でも、該繊維の耐屈曲疲労性については改善することはできていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高いヤング率、耐加水分解性を保ちつつ、ポリエチレンナフタレート繊維の欠点である耐屈曲疲労性、結節強度、引掛強度が改良された共重合ポリエチレンナフタレート繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術が有していた問題を解決し、高ヤング率、耐加水分解性を保持しつつ耐屈曲疲労性、結節強度、引掛強度の改善されたポリエチレンナフタレート繊維を提供すべく鋭意研究した結果、特定成分を共重合した共重合ポリエチレンナフタレート繊維が上記問題点を解決することができることを見出し、本発明に達した。
【0009】
即ち、本発明の目的は、
主たるジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸、主たるグリコール成分としてエチレングリコール、共重合成分としてイソフタル酸成分からなる共重合ポリエチレンナフタレートよりなる繊維であって、該イソフタル酸成分の共重合量が全酸成分を基準として0.1〜7モル%であり、且つ、下記(a)〜(f)の要件を同時に満足する、共重合ポリエチレンナフタレート繊維により達成される。
(a)繊維の固有粘度が0.5〜1.5の範囲にあること。
(b)繊維のヤング率が2000〜4000kg/mm2の範囲にあること。
(c)結節強度が引張強度の1/2以上であること。
(d)引掛強度が引張強度の2/5以上であること。
(e)広角X線回折における100面(A)と010面(B)との結晶サイズ(nm)の積が20〜60nm2の範囲にあること。
(f)広角X線回折における100面(A)と010面(B)の結晶サイズ(nm)とが下記式を満足するような関係にあること。
【0010】
【数2】
010面(B)≧100面(A)×2.1
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の繊維が満足すべき各要件について詳細に説明する。
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維の固有粘度は0.5〜1.5である必要がある。固有粘度が0.5未満の場合、十分な引張強度、耐屈曲疲労性が得られず、逆に1.5を越える場合には紡糸時のパック圧上昇が激しくなり、安定して製糸することが難しく、ひいては生産性の低下を引き起こす。該固有粘度の好ましい範囲は0.52〜1.40であり、更に好ましくは0.55〜1.30の範囲である。なお、ここで繊維の固有粘度とは、延伸糸を溶解させて測定したものである。
【0012】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維は、ヤング率が2000〜4000kg/mm2の範囲内にあることが必要である。該ヤング率が2000kg/mm2未満であると最終的に得られる産業用資材の性能、耐久性が不十分となり、逆に4000kg/mm2を越えると得られる繊維の剛直性が高すぎる為、製品加工の際の加工性が低下し好ましくない。該ヤング率の好ましい範囲は2100〜3000kg/mm2の範囲であり、更に好ましくは2200〜2800kg/mm2の範囲である。
【0013】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維は結節強度が引張強度の1/2以上である必要がある。
【0014】
すなわち、ヤング率が前記した範囲にあるときに、引張強度に対して結節強度が小さすぎる、具体的には結節強度が引張強度の1/2以下であると、耐屈曲疲労性に劣り好ましくない。好ましくは結節強度が引張強度の5/9以上であり、更に好ましくは5/8以上である。
【0015】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維は引掛強度が引張強度の2/5以上である必要がある。
【0016】
すなわち、ヤング率が前記した範囲にあるときに、引張強度に対して引掛強度が小さすぎる、具体的には引掛強度が引張強度の2/5未満である場合には、耐屈曲疲労性に劣り好ましくない。好ましくは引掛強度が引張強度の10/23以上であり、更に好ましくは10/21以上である。
【0017】
本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、広角X線回折における100面(A)面と010面(B)の結晶サイズの積が20〜60nm2の範囲にあることが必要である。該結晶サイズの積が20nm2未満であると、繊維の耐屈曲疲労性、強度が低下する。逆に、60nm2を越えた場合でも、繊維の強度が低下し好ましくない。該結晶サイズの積の好ましい範囲は22〜50nm2の範囲であり、更に好ましい範囲は24〜40nm2の範囲である。
【0018】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維は、更に、上述の広角X線回折における100(A)面と010(B)面の結晶サイズ(nm)が下記式を満足する必要がある。
【0019】
【数3】
010面(B)≧100面(A)×2.1
ここで010面(B)の結晶サイズが100面(A)の結晶サイズの2.1倍未満であると、繊維の耐屈曲疲労性が低下する。010面(B)の結晶サイズは100面(A)の結晶サイズの2.2倍以上であることが好ましく、2.3倍以上であることが更に好ましい。
【0020】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維の繊維密度は特に制限はないが1.350〜1.380g/cm3の範囲にあることが好ましい。該密度の更に好ましい範囲は1.352〜1.370g/cm3である。
【0021】
本発明において繊維とする共重合ポリエチレンナフタレートは、主たるジカルボン酸成分をナフタレンジカルボン酸とし、主たるグリコール成分をエチレングリコールとする共重合ポリエチレンナフタレートである。
【0022】
なお、本発明において、”主たる”とは、該成分が全成分を基準として90モル%以上、好ましくは95モル%以上を占めていることをいう。
【0023】
本発明において、ナフタレンジカルボン酸としては、たとえば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができ、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0024】
更に、本発明の共重合ポリエチレンナフタレートは、該共重合成分としてのイソフタル酸成分を、全酸成分を基準として、0.1〜7モル%を占めるように共重合する必要がある。該共重合量が0.1モル%未満であると、最終的に得られる延伸糸の耐屈曲疲労性の指標となる、結節強度と引掛強度とが向上せず、逆に7モル%を越える場合には、最終的に得られる延伸糸のヤング率が低下し、また耐加水分解性も低下する為好ましくない。該イソフタル酸成分の共重合量は好ましくは0.3〜6モル%であり、更に好ましくは0.5〜5モル%である。
【0025】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートは、前記のナフタレンジカルボン酸および/またはその低級アルキルエステルを主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分と、共重合成分としてのイソフタル酸成分とを重縮合反応させることにより製造できる。
【0026】
上記ナフタレンジカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、例えばジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステルを挙げることができる。好ましくは、ジメチルエステルである。
【0027】
上記イソフタル酸成分としてはイソフタル酸および/またはその低級アルキルエステルが挙げられ、低級アルキルエステルとしては、例えばジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステルを挙げることができる。好ましくは、ジメチルエステルである。
【0028】
ここで本発明の共重合共重合ポリエチレンナフタレートを製造する際の共重合成分としてのイソフタル酸成分の種類、添加時期については特に制限はないが、直接重合法の場合はエステル化反応前から終了後の間にイソフタル酸として、エステル交換法の場合はエステル交換反応前にイソフタル酸低級アルキルエステルとして添加するか、エステル交換反応終了後にイソフタル酸として添加するのが好ましい。
【0029】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートを製造する際には、一般のポリエステルの製造と同様、常法に従って製造すればよく、製造方法としてエステル交換法を採用するときは、エステル交換反応触媒としてカルシウム化合物、マンガン化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、コバルト化合物などを用いることが好ましく、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもどちらでもよく、また、その使用量は、ポリエチレンナフタレートの全酸成分を基準として0.01〜0.1モル%とすることが好ましい。
【0030】
エステル交換法を採用した場合には、リン酸化合物や亜リン酸化合物で上記エステル交換反応触媒を失活させることが好ましく、その使用量は使用したエステル交換触媒のモル数に対してリン元素として70〜150モル%の範囲が好ましい。
【0031】
また、重縮合反応触媒としては、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物等を用いることが好ましく、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもどちらでもよく、また、その使用量は全酸成分を基準として0.003〜0.1モル%とすることが好ましい。
【0032】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば全ジカルボン酸成分の総量の5モル%以下、好ましくは3モル%以下の割合で、他のジカルボン酸成分が共重合されていてもよく、他のジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、5−スルホキシイソフタル酸金属塩、5−スルホキシイソフタル酸ホスホニウム塩等の芳香族ジカルボン酸成分、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分などを挙げることができ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもどちらでも良い。
【0033】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば全グリコール成分の総量の5モル%以下、好ましくは3モル%以下の割合で、他のグリコール成分が共重合されていてもよく、他のグリコール成分としては、例えばプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール成分、o−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ジフェニルスルホン等の芳香族グリコール成分、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホン等のジフェノール類等を挙げることができ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもどちらでも良い。
【0034】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートは実質的に線状であるが、本発明の効果を損なわないかぎりで、例えば全酸成分を基準として1モル%以下、好ましくは0.5モル%以下の範囲で、3官能基以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエリスリトール等が共重合されていてもよい。
【0035】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートは、本発明の効果を損なわない範囲で、好ましくは3重量%未満の範囲でポリエチレンナフタレート以外のポリマーをブレンドしても良い。ポリエチレンナフタレート以外のポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン等のポリエステル、あるいはこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリオレフィン、あるいはこれらの共重合体、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド、あるいはこれらの共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリスルホン等を挙げることができるが、就中、ポリエチレンナフタレートとの相溶性の観点からポリエステルやポリエーテル、ポリカーボネートとすることが好ましい。
【0036】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートは目的、用途に応じては固相重合も好ましく実施される。
【0037】
本発明に使用する共重合ポリエチレンナフタレートには、必要に応じて滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等の添加剤を配合することが出来る。これらの中でも艶消剤とし酸化チタンを少量添加することは好ましく実施される。
【0038】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維を製造するに際し、溶融紡糸−延伸の工程については特に制限はなく、通常のポリエステル繊維を製造する従来公知の工程で製造することができ、例えば紡糸後、未延伸糸を巻き取り別途延伸する方法、未延伸糸をいったん巻き取ることなく連続して延伸を行う方法、溶融紡糸後、凝固浴中で未延伸糸を冷却固化させた後、加熱媒体中または加熱ローラー等の接触加熱下、あるいは非接触型ヒーターで延伸する方法などが採用される。
【0039】
ここで、溶融紡糸した未延伸糸を延伸する際に、トータル延伸倍率が5.5〜8.0倍の範囲内となるように設定すれば、最終的に得られる繊維の繊維強度と耐屈曲疲労性とをさらに高い水準にて両立させることができるとともに、延伸工程における断糸率も低く、生産性が更に向上する。該トータル延伸倍率は更に好ましくは5.7〜7.5倍の範囲であり、特に好ましくは6.0〜7.0倍の範囲である。
【0040】
該延伸工程は一段延伸のみでも、また二段以上の延伸段階を経ても良く、例えば二段延伸する方法を採用する場合は一段目の延伸倍率を4.0〜5.5倍、二段目の延伸倍率を1.0〜1.8倍程度とし、トータル延伸倍率を5.5〜8.0倍に調整すればよい。
【0041】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維の製造方法において、紡糸時に使用する口金の形状については制限はなく、円形、異形、中実、中空等をいずれを採用することができる。また溶融紡糸の際にカルボジイミド等の加水分解抑制剤、ビスオキサゾリン等の鎖延長剤を添加しても良い。
【0042】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレートの繊度には特に制限はないが、本発明の共重合ポリエチレンナフタレートは高いヤング率を有して且つ高い耐屈曲疲労性を有している為、この高いヤング率の効果をより発現させる為、単繊維繊度は2〜15De程度とする方が、より本発明の共重合ポリエチレンナフタレートの高ヤング率を発現させることが出来るので好ましい。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。なお、例中の各値は以下の方法に従って測定した。
【0044】
(1)固有粘度:
フェノール/テトラクロロエタン(重量比6:4)混合溶媒中、35℃にて常法に従って測定した。
【0045】
(2)ジエチレングリコール(DEG)の含有量:
抱水ヒドラジンを用いてポリマーを分解し、ガスクロマトグラフィーとしては日立製作所製263−70型を用いて定量した。
【0046】
(3)X線回折:
理学電気工業社製「Rigaku Rotaflex」を用いて測定を行った。
【0047】
(4)引張強度、引張伸度、結節強度、引掛強度:
JIS L1070記載の方法に準拠して測定を行った。
【0048】
(5)ヤング率:
JIS L1073記載の方法に準拠して初期引張抵抗度を測定し、該値から見掛ヤング率を算出して求めた。
【0049】
(6)耐加水分解性:
延伸糸をオートクレーブ中135℃で40時間湿熱処理し、湿熱処理前後の延伸糸についてJIS L1070記載の方法に準拠して引張強度を測定し、湿熱処理における強度保持率を算出した。
【0050】
(7)耐屈曲疲労性:
下記式のいずれもを同時に満足するものを○、どちらかひとつでも満足しなものは×とした。
【0051】
【数4】
結節強度≧引張強度×0.5
【0052】
【数5】
引掛強度≧引張強度×0.4
【0053】
[実施例1]
重合:
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル99重量部とエチレングリコール67重量部とを、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03重量部、酢酸ナトリウム0.0057重量部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチルホスフェート0.023重量部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。
【0054】
ついで、三酸化アンチモン0.024重量部、イソフタル酸0.68重量部を添加し、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.62、DEG共重合量1.3モル%の共重合ポリエチレンナフタレートポリマーを得た。
【0055】
製糸:
得られた共重合ポリエチレンナフタレートポリマーのぺレットを180℃で3時間乾燥させた後、孔径0.3mm、孔数120ホールの紡糸口金を用い、310℃の雰囲気下で溶融紡糸を行って、600m/分の速度で引き取り、一旦巻き取ることなく引き続いて150℃に加熱された加熱ローラー上で表2に示す第一段延伸倍率(DR1)で延伸し、引続いて200℃に加熱された加熱ローラー上で表2に示す第二段延伸倍率(DR2)で延伸し、更に240℃に加熱された加熱ローラー上で定長熱処理して、約500De/120filの延伸糸を得た。得られた繊維の特性を表2に示す。
【0056】
[実施例2]
実施例1において、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの使用量を97重量部とし、イソフタル酸の使用量を2.04重量部とし、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行って延伸糸を得た。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示す。
【0057】
[実施例3]
実施例1において、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの使用量を95重量部とし、イソフタル酸の使用量を3.4重量部とし、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行なって延伸糸を得た。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示す。
【0058】
[実施例4]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル95重量部、イソフタル酸ジメチル3.98重量部およびエチレングリコール67重量部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03重量部、酢酸ナトリウム0.0057重量部を使用して、常法に従ってエステル交換反応させた後、トリメチルフォスフェート0.023重量部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。
【0059】
ついで、三酸化アンチモン0.024重量部を添加し、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.63、DEG共重合量1.3モル%の共重合ポリエチレンナフタレートを得た。得られた共重合ポリエチレンナフタレートポリマーのぺレットを180℃で3時間乾燥させた後、孔径0.3mm、孔数120ホールの紡糸口金を用い、310℃の雰囲気下で溶融紡糸を行って、600m/分の速度で引き取り、一旦巻き取ることなく引き続いて150℃に加熱された加熱ローラー上で表2に示す第一段延伸倍率(DR1)で延伸し、引続いて200℃に加熱された加熱ローラー上で表2に示す第二段延伸倍率(DR2)で延伸し、更に240℃に加熱された加熱ローラー上で定長熱処理して、約500De/120filの延伸糸を得た。得られた繊維の特性を表2に示す。
【0060】
[実施例5]
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸85.9重量部、イソフタル酸2.04重量部、エチレングリコール30重量部を常温でスラリー化し、撹拌機付オートクレーブに仕込み、3kg/cm2の加圧下270℃にてエステル化反応させた。
【0061】
ついで、三酸化アンチモン0.024重量部を添加し、引き続き高温高真空下で常法にて重縮合反応を行い、固有粘度0.62、DEG共重合量2.2モル%の共重合ポリエチレンナフタレートを得た。得られた共重合ポリエチレンナフタレートポリマーのぺレットを180℃で3時間乾燥させた後、孔径0.3mm、孔数120ホールの紡糸口金を用い、310℃の雰囲気下で溶融紡糸を行って、600m/分の速度で引き取り、一旦巻き取ることなく引き続いて150℃に加熱された加熱ローラー上で表2に示す第一段延伸倍率(DR1)で延伸し、引続いて200℃に加熱された加熱ローラー上で表2に示す第二段延伸倍率(DR2)で延伸し、更に240℃に加熱された加熱ローラー上で定長熱処理して、約500De/120filの延伸糸を得た。得られた繊維の特性を表2に示す。
【0062】
[実施例6]
実施例1において、三酸化アンチモン0.024重量部から代えて、チタンテトラブトキシドを0.006重量部添加し、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行った。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示す。
【0063】
[実施例7]
実施例1において、エステル交換反応終了後、艶消剤として酸化チタンの20%エチレングリコールスラリーを0.25重量部添加し、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行なった。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示す。
【0064】
[比較例1、2]
実施例1において、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの使用量を100重量部にしてイソフタル酸を添加せずにポリエチレン−2,6−ナフタレートホモポリマーを製造し、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行って延伸糸を得た。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示すが、得られた延伸糸は結節強度、引掛強度がともに不十分なものであった。
【0065】
[比較例3]
実施例1において、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの使用量を90重量部とし、イソフタル酸の使用量を6.8重量部とし、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行って延伸糸を得た。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示すが、得られた延伸糸はヤング率が不十分であった。
【0066】
[比較例4]
実施例1において、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの使用量を97重量部とし、イソフタル酸0.68重量部から代えてテレフタル酸2.04重量部を添加し、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行なって延伸糸を得た。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示すが、得られた延伸糸は結節強度、引掛強度がともに不十分なものであった。
【0067】
[比較例5]
実施例1において、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの使用量を97重量部とし、イソフタル酸0.68重量部から代えてアジピン酸1.8重量部を添加し、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行なって延伸糸を得た。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示す得られた延伸糸はヤング率が不十分であるとともに結晶サイズ積も小さく、強度が不十分であった。
【0068】
[比較例6]
実施例1において、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルの使用量を97重量部とし、イソフタル酸の使用量を2.04重量部とし、延伸時の倍率を表2記載の通りに変更したこと以外は同様の操作を行って延伸糸を得た。得られたポリマー、繊維の特性を表1、2に示す得られた延伸糸はヤング率が不十分なものであった。
【0069】
表2からも明らかなとおり、本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維は強度、ヤング率、耐加水分解性を保持したまま、高い結節強度、引掛強度を有していることがわかる。
【0070】
【表1】
Figure 0004010699
【0071】
【表2】
Figure 0004010699
【0072】
【発明の効果】
本発明の共重合ポリエチレンナフタレート繊維は高いヤング率を保持しつつ、優れた結節強度、引掛強度を有しており、この繊維はタイヤコード、シートベルト、ベルト材、キャンバス、スクリーン紗、成形材料補強材等各種産業用資材として幅広い用途に好適に使用することができる。特にシートベルト等の高密度の織物などに好適に使用することが出来る。

Claims (1)

  1. 主たるジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸、主たるグリコール成分としてエチレングリコール、共重合成分としてイソフタル酸成分からなる共重合ポリエチレンナフタレートよりなる繊維であって、該イソフタル酸成分の共重合量が全酸成分を基準として0.1〜7モル%であり、且つ、下記(a)〜(f)の要件を同時に満足する、共重合ポリエチレンナフタレート繊維。
    (a)繊維の固有粘度が0.5〜1.5の範囲にあること。
    (b)繊維のヤング率が2000〜4000kg/mm2の範囲にあること。
    (c)結節強度が引張強度の1/2以上であること。
    (d)引掛強度が引張強度の2/5以上であること。
    (e)広角X線回折における100面(A)と010面(B)との結晶サイズ(nm)の積が20〜60nm2の範囲にあること。
    (f)広角X線回折における100面(A)と010面(B)の結晶サイズ(nm)とが下記式を満足するような関係にあること。
    Figure 0004010699
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