JP2004346014A - ペルフルオロジビニルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素樹脂やフッ素ゴムのモノマーとして有用なペルフルオロジビニルエーテルを、工業的に有利に、高収率で製造できる方法を提供すること。
【解決手段】下式(1)で表される化合物を熱分解すること特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・(1)
CF2=CFOCF=CF2・・・(2)
【選択図】なし
【解決手段】下式(1)で表される化合物を熱分解すること特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・(1)
CF2=CFOCF=CF2・・・(2)
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はペルフルオロジビニルエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペルフルオロジビニルエーテル(本発明における式(2)で表される化合物。)は、フッ素樹脂のモノマーや合成ゴムの架橋剤として有用な化合物である。ペルフルオロジビニルエーテルの製造方法としては、CF2ClCFClOCFClCF2Clを脱塩素化する方法(たとえば、非特許文献1参照。)、FCOCF2CF2OCF(CF3)COFをアルカリ炭酸塩または酸化亜鉛存在下で熱分解する方法(たとえば、特許文献1参照。)などが知られている。
【0003】
【非特許文献1】
「ジャーナル オブ フルオリン ケミストリー(Journal of Fluorine Chemistry)」,米国,1975年,第6巻,37頁
【特許文献1】
イギリス国特許第1094500号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法を工業的に実施しようとする場合には、原料調達が困難である、または副反応がおこりやすく収率が低下する、等の問題があった。
本発明は、上記問題点を解決する目的でなされたものであり、ペルフルオロジビニルエーテルを工業的に有利に、高収率で製造できる方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入手が容易な式(1)で表される化合物を用いて、副反応を抑制しながら高収率で、かつ工業的に有利な方法でペルフルオロジビニルエーテルを製造する方法を提供する。すなわち本発明は以下の発明を提供する。
【0006】
1.下式(1)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
【0007】
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・式(1)
CF2=CFOCF=CF2・・・式(2)
【0008】
2.前記式(1)で表される化合物を、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下に熱分解することを特徴とする上記1に記載の製造方法。
3.ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上を充填した反応器中に、前記式(1)で表される化合物を連続的に供給して熱分解することを特徴とする上記2に記載の製造方法。
4.下式(4−1)で表される化合物、下式(4−2)で表される化合物、または下式(4−3)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
CF2=CFOCF=CF2・・・式(2)
【0009】
【化2】
ただし、Maは−Si(R1)(R2)(R3)(ただし、R1〜R3は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される基を示す。Mbはアルカリ金属原子を示す。Mcはアルカリ土類金属原子を示す。
5.下式(1)で表される化合物を、式R−OHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を得て、該式(3)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
【0010】
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・式(1)
ROCOCF(CF3)OCF(CF3)COOR・・式(3)
CF2=CFOCF=CF2・・式(2)
ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5の1価有機基を示す。
6.式(1)で表される化合物が、下式(5)で表される化合物と下式(6)で表される化合物とを反応させて下式(7)で表される化合物を得て、つぎに該式(7)で表される化合物をペルフルオロ化して式(8)で表される化合物を得て、さらに該式(8)で表される化合物のエステル結合を分解することにより得られた化合物である上記1〜3および5のいずれかに記載の製造方法。
HOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OH・・式(5)
RfCOF・・式(6)
RfCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCORf・・式(7)
RfCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCORf・・式(8)
ただし、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価有機基を示す。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、熱分解反応を利用した式(2)で表される化合物の製造方法を提供する。本発明の方法は、下記方法1〜4である。
方法1;下式(1)で表される化合物を熱分解する方法。
方法2;下式(1)で表される化合物をガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下に熱分解する方法。
【0012】
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・式(1)
【0013】
方法3;下式(4−1)で表される化合物、下式(4−2)で表される化合物、または下式(4−3)で表される化合物を熱分解する方法。
【0014】
【化3】
ここで、Maは−Si(R1)(R2)(R3)で表される基を示す。ただし、R1〜R3は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。Mbはアルカリ金属原子を示す。Mcはアルカリ土類金属原子を示す。Rは水素原子または炭素数1〜5の1価有機基を示す。
方法4;下式(1)で表される化合物を、式R−OHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を生成させ、つぎに該式(3)で表される化合物を熱分解する方法。
【0015】
ROCOCF(CF3)OCF(CF3)COOR・・・式(3)
【0016】
方法1においては、式(1)で表される化合物を直接加熱することにより熱分解反応させて式(2)で表される化合物とする。該熱分解の反応温度が高すぎると、さらなる分解反応が起こって、目的化合物である式(2)で表される化合物の選択率が低下するおそれがある。一方、反応温度が低すぎる場合には、熱分解反応の進行が遅くなるおそれがある。このため、熱分解反応の反応温度は150℃〜400℃が好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。
方法1の反応は、気相、液相、または固相のいずれにおいても実施でき、気相反応で実施するのが好ましい。
【0017】
方法1の反応を気相反応で実施する場合には、式(1)で表される化合物を、反応に影響を及ぼさない不活性ガス等により希釈して熱分解することが好ましい。該不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス等が好ましい。
【0018】
式(1)で表される化合物を不活性ガスで希釈する場合、式(1)で表される化合物の濃度が高すぎる場合には、反応基質が分子間相互作用により高分子量化して熱分解反応が起きにくくなり、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、式(1)で表される化合物の濃度が低すぎる場合には、目的生成物の沸点が低いため、その回収率が低下するおそれがある。したがって、不活性ガスと反応基質の総量に対する反応基質の濃度は、5モル%〜50モル%が好ましく、5モル%〜10モル%がより好ましい。気相反応によって方法1を実施する場合の反応時間は1〜300秒が好ましい。また反応圧力は特に限定されず、減圧、大気圧、加圧のいずれの条件下で実施できる。
【0019】
方法2においては、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下で、式(1)で表される化合物を熱分解する。
より具体的には、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上を充填した反応器中に、式(1)で表される化合物を連続的に供給することにより熱分解することが好ましい。このように、式(1)で表される化合物を連続的に供給して熱分解することにより、効率よく反応を行うことができ、しかも副反応がおきにくく、目的化合物をより高収率で製造できる。
【0020】
方法2で用いるガラスビーズとしては、流動性に優れた直径1mm以下のものが好ましく、直径0.2mm以下のものがより好ましい。ガラスビーズの組成は特に限定されず、アルカリ分が含まれていることが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。アルカリ金属酸化物としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。アルカリ土類金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が挙げられる。
【0021】
また、方法2において、上記ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物を、固定床法で使用してもよいし、流動床法で使用してもよい。流動床法で使用する場合には、流動床反応器を用いることが望ましい。その際、上記ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物は、流動化が容易な形状や大きさの固体または結晶が好ましい。ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物の使用量は、式(1)で表される化合物に対して当モル以上が好ましい。
【0022】
方法2は気相、液相、または固相で反応を実施することが好ましく、気相または液相で実施するのが特に好ましい。方法2の熱分解の反応温度は、気相反応では100℃〜400℃が好ましく150℃〜350℃が特に好ましい。液相反応における反応温度は0〜50℃が好ましい。
該反応温度は、反応時に存在させたガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物の種類および組み合わせにより適宜変更されうる。また方法2における熱分解反応の反応時間は特に限定されず、1秒〜300秒程度が好ましく、3秒〜120秒が特に好ましい。反応圧力は特に限定されず減圧〜大気圧が好ましい。加圧条件で反応を実施する場合には、生成する式(1)で表される化合物を反応系中から速やかに抜き出しながら反応を行うのが好ましい。
【0023】
方法2においては、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下で式(1)で表される化合物を熱分解することにより、中間体として前記式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物が生成しうる。すなわち、ガラスビーズの存在下で熱分解した場合には、中間体として、式(4−1)で表される化合物が生成しうる。アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属酸化物を使用した場合には、式(4−2)で表される化合物が生成しうる。アルカリ土類金属炭酸塩またはアルカリ土類金属酸化物を使用した場合には、式(4−3)で表される化合物が生成しうる。
【0024】
ここで式(4−1)におけるMaは、−Si(R1)(R2)(R3)で表される基を示し、該基中のR1〜R3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R1〜R3としては、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。またR1〜R3は同一の基が好ましい。
式(4−1)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0025】
【化4】
【0026】
式(4−2)におけるMbとしては、ナトリウム原子またはカリウム原子が好ましい。式(4−2)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0027】
【化5】
【0028】
式(4−3)にけるMcとしては、マグネシウム原子、カルシウム原子等が好ましく、マグネシウム原子が特に好ましい。式(4−3)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0029】
【化6】
方法2において生成しうる式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物は、反応中に生成しうる中間体であるが、これらの中間体は生成するとほぼ同時に分解されうる。したがって該方法2の熱分解反応は中間体を取り出したり生成を確認することなしに1段階の反応として実施できる。しかし必要に応じて、中間体を取り出してもよく、また生成を確認してもよい。
【0030】
方法3は、前記式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物を加熱することによって熱分解する方法である。ここで用いられる式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物は、方法2において説明したとおりである。方法3において用いる式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物は、方法2において生成する中間体を取り出したものであっても、該方法2以外の方法で製造したものであってもよい。方法2以外の方法で式(4−2)で表される化合物を得る方法としては、式(1)で表される化合物と、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属アルコラートとを反応させる方法、式(1)で表される化合物と、弱酸のアルカリ金属塩(たとえば、CH3COOK等が挙げられる)とを反応させる方法等が挙げられる。同様に式(4−3)で表される化合物を得る方法としては、式(1)で表される化合物と、アルカリ土類金属水酸化物やアルカリ土類金属アルコラートとを反応させる方法、式(1)で表される化合物と、弱酸のアルカリ土類金属塩とを反応させる方法等が挙げられる。
【0031】
方法3は液相または固相で反応を実施することが好ましい。たとえば熱分解反応は、式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物をそのまま加熱してもよく、または、溶媒に分散または溶解させた後に加熱してもよい。
式(4−1)〜式(4−3)を分散または溶解させる溶媒としては、ジオキサン等のエーテル系溶媒、グライム系溶媒、炭化水素系溶媒、スルホラン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性の極性溶媒、含フッ素不活性オイル等が好ましい。また、これらの溶媒を2種以上混合したものを用いてもよい。溶媒を使用する場合には、副反応により含水素化合物が生成することを防ぐために、溶媒から水やプロトン性化合物を可能な限り排除しておくことが好ましい。
方法3における熱分解反応の反応温度は、方法1における理由と同様の理由により150℃〜400℃が好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。方法3における反応時間は10分〜10時間が好ましく、反応系中の熱伝導の大小または反応スケール等により適宜変更するのが好ましい。反応圧力は特に限定されず減圧〜大気圧が好ましい。加圧条件で反応を実施する場合には、生成する式(2)で表される化合物を反応系中から速やかに抜き出しながら反応を行うのが好ましい。
【0032】
方法4は、式(1)で表される化合物と式R−OHで表される化合物と反応させて式(3)で表される化合物を生成させ、該式(3)で表される化合物を熱分解する方法である。
【0033】
式(3)におけるRは炭素数1〜5の1価有機基であり、有機基とは、炭素原子1必須とする基をいう。Rとしては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、または炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、なかでもメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、またはn−ペンチル基が特に好ましい。
式R−OHで表される化合物としては、Rが水素原子である場合の水、またはRが炭素数1〜5のアルキル基である場合のアルコール類が好ましい。該アルコール類としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0034】
式(1)で表される化合物と式R−OHで表される化合物との反応はエステル化反応であり、後述するエステル化反応と同様の手法および条件で実施できる。このエステル化反応は除酸剤の存在下で実施することが好ましい。該除酸剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリアルキルアミン、フッ化ナトリウム等が挙げられる。
エステル化反応の反応温度は0℃〜80℃が好ましい。また、式(1)で表される化合物に対する式R−OHで表される化合物の使用量は、0.95〜10倍モルが好ましい。このエステル化反応は気相でも液相でも実施できる。
【0035】
エステル化反応で生成する式(3)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CH3OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COOCH3、
CH3CH2OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COOCH2CH3、
H(CH2)3OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COO(CH2)3H、
H(CH2)4OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COO(CH2)4H、
H(CH2)5OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COO(CH2)5H。
【0036】
方法4においては、つぎに式(3)で表される化合物を熱分解する。式(3)で表される化合物の熱分解反応は、気相、液相、または固相のいずれにおいても実施でき、気相反応で実施するのが好ましい。熱分解反応の反応温度は、方法1における理由と同様の理由により150℃〜400℃が好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。気相反応で実施する場合の反応時間は1〜300秒が好ましい。また反応圧力は特に限定されず、減圧、大気圧、加圧のいずれの条件下で実施できる。
方法4において熱分解反応を気相反応で実施する場合には、式(3)で表される化合物を、反応に影響を及ぼさない不活性ガス等により希釈して熱分解することが好ましい。該不活性ガスとしては、方法1と同様の例が挙げられる。また、該不活性ガスによる式(3)で表される化合物の希釈率も、方法1における場合と同様である。
これら方法1〜4の反応においては、いずれの反応工程においても、連続的に原料を供給しながら反応を行う方法で実施しても、原料を一括で仕込んで反応を行う方法で実施してもよい。
【0037】
以上の方法1〜4により、式(1)で表される化合物を熱分解して式(2)で表される化合物を得ることができる。
本発明の方法により製造される式(2)で表される化合物(ペルフルオロジビニルエーテル)は、フッ素樹脂やフッ素ゴムの架橋性成分として好適に用いうる。また、式(2)で表される化合物を炭化水素単量体と共重合して、公知の主鎖に含フッ素環状構造を含む重合体(たとえば、特許2841396号公報に記載される重合体等。)を得ることができる。
【0038】
本発明の反応に用いる式(1)で表される化合物は、以下の方法により製造される化合物であるのが好ましい。
すなわち、下式(5)で表される化合物と下式(6)で表される化合物とを反応させて下式(7)で表される化合物を得て、つぎに該式(7)で表される化合物をペルフルオロ化して下式(8)で表される化合物を得て、そして、該式(8)で表される化合物のエステル結合を分解することにより式(1)で表される化合物を得る方法である。
【0039】
HOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OH・・(5)
RfCOF・・(6)
RfCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCORf・・(7)
RfCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCORf・・(8)
ただし、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価有機基を示す。
【0040】
ここで「ペルフルオロ化」とは、フッ素化されうる基中に存在するフッ素化されうる部分の全てがフッ素化されることをいう。フッ素化されうる基としては、C−H部分を有する有機基、炭素−炭素不飽和結合が存在する有機基等が挙げられる。フッ素化されうる基がペルフルオロ化した場合には、C−H部分を有する基においては、該部分の実質的に全てがC−Fに変換され、炭素−炭素不飽和結合の実質的に全てにフッ素原子が付加する。
【0041】
ペルフルオロ化された1価有機基(Rf)としては、ペルフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキル基、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されたアルキル基がペルフルオロ化された基等が挙げられる。
Rfの具体例としては、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CClF2、−CF2CBrF2、−CF2CFClCF2Cl、−CF(CF3)2、−CF2CF(CF3)2、−CF(CF3)CF2CF3、−C(CF3)3、−CF(CF3)[OCF2CF(CF3)]bOCF2CF2CF3(bは0〜1の整数を示す。)、−(CF2)dOCF3(dは1〜8の整数を示す。)等が挙げられる。
【0042】
前記式(5)で表される化合物は、ジプロピレングリコールの異性体のひとつであり、公知の化合物である。該化合物は、市販のジプロピレングリコールから入手する、または、公知の方法により合成する、方法により入手するのが好ましい。式(5)で表される化合物を市販のジプロピレングリコールから入手する場合には、複数の異性体の混合物である市販のジプロピレングリコールから式(5)で表される化合物を分離するのが好ましい。分離方法としては蒸留法が好ましい。本発明においては、市販のジプロピレングリコールの異性体混合物をそのまま使用して上記反応を行い、後の反応工程を行った後に、異性体由来の生成物を分離除去してもよい。
式(5)で表される化合物とエステル化反応させる式(6)で表される化合物としては、市販品を使用してもよいし、公知の方法により合成して使用してもよい。また、式(6)で表される化合物は、後述する式(7)で表される化合物のエステル結合の分解反応でも得られることから、該反応で得た式(6)で表される化合物を再利用する方法は好ましい方法として挙げられる。
【0043】
式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物とのエステル化反応は、公知のエステル化反応の条件により実施できる。反応温度の下限は−50℃が好ましく、上限は+100℃が好ましい。また、反応時間は、原料の供給速度と反応する化合物の使用量に応じて適宜変更されうる。反応圧力は常圧〜2MPa(ゲージ圧。以下、圧力はゲージ圧で記載する。)が好ましい。
式(5)で表される化合物の量は、式(6)で表される化合物に対して0.5倍モル以下にするのが好ましい。式(6)で表される化合物に対して0.3〜0.5倍モルとするのが特に好ましい。
エステル化反応では、フッ化水素(HF)が発生するため、アルカリ金属フッ化物(NaF、KF等が好ましい。)やトリアルキルアミン等をHF捕捉剤として反応系中に存在させてもよい。
【0044】
エステル化反応により得た式(7)で表される化合物は、式(6)で表される含フッ素化合物と、式(5)で表される2価アルコールとが、2つのエステル結合を形成した化合物である。式(7)で表される化合物のフッ素含量は、20質量%〜60質量%が好ましい。式(7)で表される化合物の分子量は200〜1100の範囲が好ましい。
【0045】
つぎに式(7)で表される化合物をフッ素化反応によってペルフルオロ化する。該フッ素化反応の方法としては、フッ素化反応の収率が格段に高いことから、液相中でフッ素と反応させる液相フッ素化法により行うことが好ましい。
液相フッ素化法におけるフッ素は、フッ素ガスをそのまま用いるか、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスがより好ましい。
【0046】
液相フッ素化法における液相としては、前記の式(6)で表される化合物、反応の基質である式(7)で表される化合物、反応に関与しない有機溶媒、反応生成物である式(8)で表される化合物であるのが好ましい。
反応に関与しない有機溶媒としては、液相フッ素化の溶媒として用いられる公知の溶媒が採用でき、たとえば、CF2ClCFCl2等のクロロフルオロカーボン類、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のパーフルオロカーボン類等が挙げられる。液相フッ素化反応における液相としては、後処理が容易であることから、式(6)で表される化合物を用いることがより好ましい。
液相の使用量としては、式(7)で表される化合物の総質量に対して、5倍質量以上が好ましく、特に1×101〜1×105倍質量が好ましい。
【0047】
液相フッ素化法の手法は、特に限定されない。たとえば、反応器にフッ素化反応溶媒と式(7)で表される化合物とを仕込み、フッ素ガスをフッ素化反応溶媒中に連続的に供給しながら反応させる方法によって行うことができる。また、反応器にフッ素化反応溶媒を仕込んで、つぎにフッ素ガスと式(7)で表される化合物とを、所定のモル比で連続的にフッ素化反応溶媒中に供給する方法によっても行うことができる。このうち、反応収率と選択率の点から後者の方法が好ましい。
【0048】
フッ素化反応に用いるフッ素の量は、選択率の点から、式(7)で表される化合物中に含まれる水素原子量に対して、反応の最初から最後まで常に過剰当量となるように保たれていることが好ましい。より具体的には、フッ素量を、該水素原子量に対して1.05倍当量以上(すなわち、1.05倍モル以上。)となるように保たれていることが好ましい。
【0049】
フッ素化反応の反応温度は、反応収率、選択率、および工業的実施のしやすさの点から、−50℃〜100℃が好ましく、−20℃〜50℃がより好ましい。フッ素化反応の反応圧力は特に限定されず、反応温度と同様の観点から、常圧〜2MPaにすることが特に好ましい。
【0050】
フッ素化反応においては、通常、水素原子がフッ素原子に置換されてHFが副生する。このHFを除去するための方法としては、前記のHFを除去する方法と同様の方法を用いることができる。
【0051】
フッ素化反応では式(7)で表される化合物がペルフルオロ化して下式(8)で表される化合物が生成する。つぎに該式(8)で表される化合物は、2つのエステル結合を分解反応により切断して式(1)で表される化合物を生成させる。
エステル結合の分解反応は公知の方法を用いて行うことができ、気相または液相で熱分解する方法、求核剤もしくは求電子剤の存在下で熱分解する方法等を用いうる。
【0052】
また、上記エステル結合の分解反応を求核剤または求電子剤の存在下で行う方法を用いる場合には、無溶媒で行っても、反応溶媒の存在下で行ってもよく、無溶媒で行うのがより好ましい。無溶媒で反応を行ったときには、フッ素化反応による生成物自身が溶媒として機能し、エステル結合の分解反応における生成物から溶媒を分離する手間を省略できるため好ましい。
【0053】
求核剤としてはF−が好ましく、特にアルカリ金属のフッ化物由来のF−が好ましい。アルカリ金属のフッ化物としては、NaF、NaHF2、KF、CsFが好ましく、経済性の点ではNaFが、反応活性の点ではKFが特に好ましい。
【0054】
式(8)で表される化合物のエステル結合の分解反応では、目的とする式(1)で表される化合物と、式(6)で表される化合物とが生成する。さらに式(6)で表される化合物は、前記のエステル化反応で再利用できることから分解反応生成物中の式(1)で表される化合物と(6)で表される化合物とは分離するのが好ましい。分離方法としては、蒸留法が好ましい。
ジプロプレングリコールを用いて式(1)で表される化合物を入手する方法は、ジプロピレングリコールが入手容易でありかつ安価であることから、経済性に優れた方法である。また、該方法は、反応の収率もよいことから、工業的な実施に適用した場合にも有利な方法である。式(1)で表される化合物は、2つの不斉炭素原子を有することから異性体が存在するが、本発明における式(1)で表される化合物は、異性体を区別することなく使用できる。
【0055】
【実施例】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下において、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンをR−113と記し、圧力はゲージ圧で記す。また、ガスクロマトグラフィをGCと記し、GC分析におけるピーク面積比をGC分析値とする。また、ガスクロマトグラフィ−質量分析をGC−MSと記す。
【0056】
[製造例1]式(1)で表される化合物の製造
(1−1)エステル化反応による(CF3)2CFCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)2の合成例
ハステロイC製の2LのオートクレーブにHOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OH(450g)を入れ、反応器を冷却して、密閉撹拌下、内温が30℃以下に保たれるようにゆっくりと(CF3)2CFCOF(1160g)を導入した。
さらに30℃で3時間の撹拌を行った後、反応で生じたHFを窒素ガスのバブリングによって系外に追い出した。その後、さらに、密閉撹拌下、内温が30℃以下に保たれるようにゆっくりと(CF3)2CFCOF(720g)を再導入し、さらに30℃で3時間の撹拌を行った後、反応で生じたHFを窒素ガスのバブリングによって系外に追い出して生成物を得た。
生成物をGC分析した結果、(CF3)2CFCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)2が99.8%生成しており、未反応のHOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OHは検出されなかった。この生成物は精製することなく、以下の反応に使用した。
【0057】
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):4.3(4H)、3.9〜3.8(2H)、1.2(6H)。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−74.9〜−75.0(12F)、−182.2〜−182.3(2F)。
【0058】
(1−2)フッ素化反応による(CF3)2CFCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)2の合成例
500mLのニッケル製オートクレーブを用意し、オートクレーブのガス出口に、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。
まず、オートクレーブにR−113(312g)を加え、25℃に保ちながら撹拌した。ここに、窒素ガスを室温で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガス(以下、20%希釈フッ素ガスと記す。)を室温で流速9.33L/hで1時間吹き込んだ。つぎに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、(1−1)で得た生成物(5g)をR−113(100g)に溶解した溶液を2.9時間かけて注入した。
【0059】
つぎに、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながらオートクレーブ内圧力を0.15MPaまで昇圧して、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液を25℃から40℃にまで昇温しながら9mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。
続いて、反応器内圧力を0.15MPaに、反応器内温度を40℃に保ちながら、前記ベンゼン溶液を6mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。さらに同様の操作を1回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.21g、R−113の注入総量は21mLであった。
【0060】
さらに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら1時間撹拌を続けた。つぎに、反応器内圧力を常圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。生成物を19F−NMRで分析した結果、標記化合物が収率90%で含まれていることを確認した。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−74.6(12F)、−77.6〜−82.5(6F)、−84.9〜−87.0(4F)、−141.3〜−142.4(2F)、−181.5(2F)。
【0061】
(1−3)エステル結合の分解反応による式(1)で表される化合物の合成例コンデンサ−を備えた2Lのフラスコ内に、(1−2)で得られた(CF3)2CFCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)2(2000g)を仕込み、フッ化カリウム(31.3g)を加え、熱媒温度を100〜130℃に保って加熱撹拌を行った。生成するガスは、−78℃に冷却したステンレス(SUS316)製トラップで回収し、反応が進行してガスの生成が見られなくなったところで反応を終了した。次いで、トラップに回収した分解生成物を蒸留精製し、式(1)で表される化合物(760g、純度99.8%)を得た。該生成物は2種の立体異性体(以下、異性体1、異性体2と記す。)の混合物であった。
異性体1;19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):26.3(2F)、−82.1(6F)、−130.4(2F)、
異性体2;19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):26.1(2F)、−81.9(6F)、−135.6(2F)。
【0062】
[実施例1]式(2)で表される化合物の合成例1
内径5.2cmの環状反応管中にソーダガラスビーズ(商標:岳南#150)800mlを充填し、330℃に加熱した。反応器下部より窒素ガスを流して(流量2.7mol/h)流動床状態とし、製造例1で得た式(1)で表される化合物を窒素ガスに同伴させて流すことにより反応を行った。このとき、流速は115g/hr(すなわち、約0.37mol/hr。)とした。
【0063】
式(1)で表される化合物を837g(すなわち、2.7mol。)反応させ、反応器出口からの反応粗ガスをドライアイス冷却トラップにより回収した。その後、液体窒素冷却トラップを接続して、窒素ガスのみを1時間供給して反応器中に残存する反応成分ガスを全て捕集した。窒素ガストラップは、反応終了後ドライアイス冷却温度まで徐々に昇温し、この温度で気化する成分をすべてパージした後に捕集ガスとして回収した。
ドライアイス冷却トラップと液体窒素冷却トラップに回収された粗生成物を合わせて、粗生成物の粗液(492g)として回収した。この回収液をGCで分析したところCF2=CFOCF=CF2の生成が認められ、選択率は87%であった。
【0064】
[実施例2]式(2)で表される化合物の合成例2
上記製造例1で得た式(1)で表される化合物(31g)を、メタノール(100ml)中へ氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。さらに20%水酸化カリウムメタノール溶液(110g)を滴下したところ、フェノールフタレンは赤色に変わった。
反応粗液からメタノールを留去して塩を生成させ、生成した塩を真空乾燥した。さらに、この塩を粉砕し、丸底型フラスコ(容量:300ml)に仕込み、減圧しながら240℃で8時間反応させた。この反応生成物をドライアイスメタノールトラップにより捕集したところ、16.2gの反応生成物を得た。この反応生成物を精製蒸留して、式(2)で表される化合物(13.4g、純度99.8%)を得た。
【0065】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、入手が容易で安価に製造可能な式(1)で表される化合物を用いて、フッ素樹脂やフッ素ゴムのモノマーとして有用なペルフルオロジビニルエーテルを、工業的に有利に、かつ高収率で製造できる。
【発明の属する技術分野】
本発明はペルフルオロジビニルエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペルフルオロジビニルエーテル(本発明における式(2)で表される化合物。)は、フッ素樹脂のモノマーや合成ゴムの架橋剤として有用な化合物である。ペルフルオロジビニルエーテルの製造方法としては、CF2ClCFClOCFClCF2Clを脱塩素化する方法(たとえば、非特許文献1参照。)、FCOCF2CF2OCF(CF3)COFをアルカリ炭酸塩または酸化亜鉛存在下で熱分解する方法(たとえば、特許文献1参照。)などが知られている。
【0003】
【非特許文献1】
「ジャーナル オブ フルオリン ケミストリー(Journal of Fluorine Chemistry)」,米国,1975年,第6巻,37頁
【特許文献1】
イギリス国特許第1094500号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法を工業的に実施しようとする場合には、原料調達が困難である、または副反応がおこりやすく収率が低下する、等の問題があった。
本発明は、上記問題点を解決する目的でなされたものであり、ペルフルオロジビニルエーテルを工業的に有利に、高収率で製造できる方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入手が容易な式(1)で表される化合物を用いて、副反応を抑制しながら高収率で、かつ工業的に有利な方法でペルフルオロジビニルエーテルを製造する方法を提供する。すなわち本発明は以下の発明を提供する。
【0006】
1.下式(1)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
【0007】
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・式(1)
CF2=CFOCF=CF2・・・式(2)
【0008】
2.前記式(1)で表される化合物を、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下に熱分解することを特徴とする上記1に記載の製造方法。
3.ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上を充填した反応器中に、前記式(1)で表される化合物を連続的に供給して熱分解することを特徴とする上記2に記載の製造方法。
4.下式(4−1)で表される化合物、下式(4−2)で表される化合物、または下式(4−3)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
CF2=CFOCF=CF2・・・式(2)
【0009】
【化2】
ただし、Maは−Si(R1)(R2)(R3)(ただし、R1〜R3は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表される基を示す。Mbはアルカリ金属原子を示す。Mcはアルカリ土類金属原子を示す。
5.下式(1)で表される化合物を、式R−OHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を得て、該式(3)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
【0010】
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・式(1)
ROCOCF(CF3)OCF(CF3)COOR・・式(3)
CF2=CFOCF=CF2・・式(2)
ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5の1価有機基を示す。
6.式(1)で表される化合物が、下式(5)で表される化合物と下式(6)で表される化合物とを反応させて下式(7)で表される化合物を得て、つぎに該式(7)で表される化合物をペルフルオロ化して式(8)で表される化合物を得て、さらに該式(8)で表される化合物のエステル結合を分解することにより得られた化合物である上記1〜3および5のいずれかに記載の製造方法。
HOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OH・・式(5)
RfCOF・・式(6)
RfCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCORf・・式(7)
RfCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCORf・・式(8)
ただし、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価有機基を示す。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、熱分解反応を利用した式(2)で表される化合物の製造方法を提供する。本発明の方法は、下記方法1〜4である。
方法1;下式(1)で表される化合物を熱分解する方法。
方法2;下式(1)で表される化合物をガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下に熱分解する方法。
【0012】
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・式(1)
【0013】
方法3;下式(4−1)で表される化合物、下式(4−2)で表される化合物、または下式(4−3)で表される化合物を熱分解する方法。
【0014】
【化3】
ここで、Maは−Si(R1)(R2)(R3)で表される基を示す。ただし、R1〜R3は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。Mbはアルカリ金属原子を示す。Mcはアルカリ土類金属原子を示す。Rは水素原子または炭素数1〜5の1価有機基を示す。
方法4;下式(1)で表される化合物を、式R−OHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を生成させ、つぎに該式(3)で表される化合物を熱分解する方法。
【0015】
ROCOCF(CF3)OCF(CF3)COOR・・・式(3)
【0016】
方法1においては、式(1)で表される化合物を直接加熱することにより熱分解反応させて式(2)で表される化合物とする。該熱分解の反応温度が高すぎると、さらなる分解反応が起こって、目的化合物である式(2)で表される化合物の選択率が低下するおそれがある。一方、反応温度が低すぎる場合には、熱分解反応の進行が遅くなるおそれがある。このため、熱分解反応の反応温度は150℃〜400℃が好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。
方法1の反応は、気相、液相、または固相のいずれにおいても実施でき、気相反応で実施するのが好ましい。
【0017】
方法1の反応を気相反応で実施する場合には、式(1)で表される化合物を、反応に影響を及ぼさない不活性ガス等により希釈して熱分解することが好ましい。該不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス等が好ましい。
【0018】
式(1)で表される化合物を不活性ガスで希釈する場合、式(1)で表される化合物の濃度が高すぎる場合には、反応基質が分子間相互作用により高分子量化して熱分解反応が起きにくくなり、目的化合物の収率が低下するおそれがある。一方、式(1)で表される化合物の濃度が低すぎる場合には、目的生成物の沸点が低いため、その回収率が低下するおそれがある。したがって、不活性ガスと反応基質の総量に対する反応基質の濃度は、5モル%〜50モル%が好ましく、5モル%〜10モル%がより好ましい。気相反応によって方法1を実施する場合の反応時間は1〜300秒が好ましい。また反応圧力は特に限定されず、減圧、大気圧、加圧のいずれの条件下で実施できる。
【0019】
方法2においては、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下で、式(1)で表される化合物を熱分解する。
より具体的には、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上を充填した反応器中に、式(1)で表される化合物を連続的に供給することにより熱分解することが好ましい。このように、式(1)で表される化合物を連続的に供給して熱分解することにより、効率よく反応を行うことができ、しかも副反応がおきにくく、目的化合物をより高収率で製造できる。
【0020】
方法2で用いるガラスビーズとしては、流動性に優れた直径1mm以下のものが好ましく、直径0.2mm以下のものがより好ましい。ガラスビーズの組成は特に限定されず、アルカリ分が含まれていることが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。アルカリ金属酸化物としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。アルカリ土類金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が挙げられる。
【0021】
また、方法2において、上記ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物を、固定床法で使用してもよいし、流動床法で使用してもよい。流動床法で使用する場合には、流動床反応器を用いることが望ましい。その際、上記ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物は、流動化が容易な形状や大きさの固体または結晶が好ましい。ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物の使用量は、式(1)で表される化合物に対して当モル以上が好ましい。
【0022】
方法2は気相、液相、または固相で反応を実施することが好ましく、気相または液相で実施するのが特に好ましい。方法2の熱分解の反応温度は、気相反応では100℃〜400℃が好ましく150℃〜350℃が特に好ましい。液相反応における反応温度は0〜50℃が好ましい。
該反応温度は、反応時に存在させたガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物の種類および組み合わせにより適宜変更されうる。また方法2における熱分解反応の反応時間は特に限定されず、1秒〜300秒程度が好ましく、3秒〜120秒が特に好ましい。反応圧力は特に限定されず減圧〜大気圧が好ましい。加圧条件で反応を実施する場合には、生成する式(1)で表される化合物を反応系中から速やかに抜き出しながら反応を行うのが好ましい。
【0023】
方法2においては、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下で式(1)で表される化合物を熱分解することにより、中間体として前記式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物が生成しうる。すなわち、ガラスビーズの存在下で熱分解した場合には、中間体として、式(4−1)で表される化合物が生成しうる。アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属酸化物を使用した場合には、式(4−2)で表される化合物が生成しうる。アルカリ土類金属炭酸塩またはアルカリ土類金属酸化物を使用した場合には、式(4−3)で表される化合物が生成しうる。
【0024】
ここで式(4−1)におけるMaは、−Si(R1)(R2)(R3)で表される基を示し、該基中のR1〜R3は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R1〜R3としては、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。またR1〜R3は同一の基が好ましい。
式(4−1)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0025】
【化4】
【0026】
式(4−2)におけるMbとしては、ナトリウム原子またはカリウム原子が好ましい。式(4−2)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0027】
【化5】
【0028】
式(4−3)にけるMcとしては、マグネシウム原子、カルシウム原子等が好ましく、マグネシウム原子が特に好ましい。式(4−3)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0029】
【化6】
方法2において生成しうる式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物は、反応中に生成しうる中間体であるが、これらの中間体は生成するとほぼ同時に分解されうる。したがって該方法2の熱分解反応は中間体を取り出したり生成を確認することなしに1段階の反応として実施できる。しかし必要に応じて、中間体を取り出してもよく、また生成を確認してもよい。
【0030】
方法3は、前記式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物を加熱することによって熱分解する方法である。ここで用いられる式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物は、方法2において説明したとおりである。方法3において用いる式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物は、方法2において生成する中間体を取り出したものであっても、該方法2以外の方法で製造したものであってもよい。方法2以外の方法で式(4−2)で表される化合物を得る方法としては、式(1)で表される化合物と、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属アルコラートとを反応させる方法、式(1)で表される化合物と、弱酸のアルカリ金属塩(たとえば、CH3COOK等が挙げられる)とを反応させる方法等が挙げられる。同様に式(4−3)で表される化合物を得る方法としては、式(1)で表される化合物と、アルカリ土類金属水酸化物やアルカリ土類金属アルコラートとを反応させる方法、式(1)で表される化合物と、弱酸のアルカリ土類金属塩とを反応させる方法等が挙げられる。
【0031】
方法3は液相または固相で反応を実施することが好ましい。たとえば熱分解反応は、式(4−1)〜式(4−3)で表される化合物をそのまま加熱してもよく、または、溶媒に分散または溶解させた後に加熱してもよい。
式(4−1)〜式(4−3)を分散または溶解させる溶媒としては、ジオキサン等のエーテル系溶媒、グライム系溶媒、炭化水素系溶媒、スルホラン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性の極性溶媒、含フッ素不活性オイル等が好ましい。また、これらの溶媒を2種以上混合したものを用いてもよい。溶媒を使用する場合には、副反応により含水素化合物が生成することを防ぐために、溶媒から水やプロトン性化合物を可能な限り排除しておくことが好ましい。
方法3における熱分解反応の反応温度は、方法1における理由と同様の理由により150℃〜400℃が好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。方法3における反応時間は10分〜10時間が好ましく、反応系中の熱伝導の大小または反応スケール等により適宜変更するのが好ましい。反応圧力は特に限定されず減圧〜大気圧が好ましい。加圧条件で反応を実施する場合には、生成する式(2)で表される化合物を反応系中から速やかに抜き出しながら反応を行うのが好ましい。
【0032】
方法4は、式(1)で表される化合物と式R−OHで表される化合物と反応させて式(3)で表される化合物を生成させ、該式(3)で表される化合物を熱分解する方法である。
【0033】
式(3)におけるRは炭素数1〜5の1価有機基であり、有機基とは、炭素原子1必須とする基をいう。Rとしては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、または炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、なかでもメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、またはn−ペンチル基が特に好ましい。
式R−OHで表される化合物としては、Rが水素原子である場合の水、またはRが炭素数1〜5のアルキル基である場合のアルコール類が好ましい。該アルコール類としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0034】
式(1)で表される化合物と式R−OHで表される化合物との反応はエステル化反応であり、後述するエステル化反応と同様の手法および条件で実施できる。このエステル化反応は除酸剤の存在下で実施することが好ましい。該除酸剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリアルキルアミン、フッ化ナトリウム等が挙げられる。
エステル化反応の反応温度は0℃〜80℃が好ましい。また、式(1)で表される化合物に対する式R−OHで表される化合物の使用量は、0.95〜10倍モルが好ましい。このエステル化反応は気相でも液相でも実施できる。
【0035】
エステル化反応で生成する式(3)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
CH3OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COOCH3、
CH3CH2OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COOCH2CH3、
H(CH2)3OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COO(CH2)3H、
H(CH2)4OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COO(CH2)4H、
H(CH2)5OCOCF(CF3)CFOCF(CF3)COO(CH2)5H。
【0036】
方法4においては、つぎに式(3)で表される化合物を熱分解する。式(3)で表される化合物の熱分解反応は、気相、液相、または固相のいずれにおいても実施でき、気相反応で実施するのが好ましい。熱分解反応の反応温度は、方法1における理由と同様の理由により150℃〜400℃が好ましく、200℃〜350℃が特に好ましい。気相反応で実施する場合の反応時間は1〜300秒が好ましい。また反応圧力は特に限定されず、減圧、大気圧、加圧のいずれの条件下で実施できる。
方法4において熱分解反応を気相反応で実施する場合には、式(3)で表される化合物を、反応に影響を及ぼさない不活性ガス等により希釈して熱分解することが好ましい。該不活性ガスとしては、方法1と同様の例が挙げられる。また、該不活性ガスによる式(3)で表される化合物の希釈率も、方法1における場合と同様である。
これら方法1〜4の反応においては、いずれの反応工程においても、連続的に原料を供給しながら反応を行う方法で実施しても、原料を一括で仕込んで反応を行う方法で実施してもよい。
【0037】
以上の方法1〜4により、式(1)で表される化合物を熱分解して式(2)で表される化合物を得ることができる。
本発明の方法により製造される式(2)で表される化合物(ペルフルオロジビニルエーテル)は、フッ素樹脂やフッ素ゴムの架橋性成分として好適に用いうる。また、式(2)で表される化合物を炭化水素単量体と共重合して、公知の主鎖に含フッ素環状構造を含む重合体(たとえば、特許2841396号公報に記載される重合体等。)を得ることができる。
【0038】
本発明の反応に用いる式(1)で表される化合物は、以下の方法により製造される化合物であるのが好ましい。
すなわち、下式(5)で表される化合物と下式(6)で表される化合物とを反応させて下式(7)で表される化合物を得て、つぎに該式(7)で表される化合物をペルフルオロ化して下式(8)で表される化合物を得て、そして、該式(8)で表される化合物のエステル結合を分解することにより式(1)で表される化合物を得る方法である。
【0039】
HOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OH・・(5)
RfCOF・・(6)
RfCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCORf・・(7)
RfCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCORf・・(8)
ただし、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価有機基を示す。
【0040】
ここで「ペルフルオロ化」とは、フッ素化されうる基中に存在するフッ素化されうる部分の全てがフッ素化されることをいう。フッ素化されうる基としては、C−H部分を有する有機基、炭素−炭素不飽和結合が存在する有機基等が挙げられる。フッ素化されうる基がペルフルオロ化した場合には、C−H部分を有する基においては、該部分の実質的に全てがC−Fに変換され、炭素−炭素不飽和結合の実質的に全てにフッ素原子が付加する。
【0041】
ペルフルオロ化された1価有機基(Rf)としては、ペルフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキル基、フッ素原子以外のハロゲン原子で置換されたアルキル基がペルフルオロ化された基等が挙げられる。
Rfの具体例としては、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CClF2、−CF2CBrF2、−CF2CFClCF2Cl、−CF(CF3)2、−CF2CF(CF3)2、−CF(CF3)CF2CF3、−C(CF3)3、−CF(CF3)[OCF2CF(CF3)]bOCF2CF2CF3(bは0〜1の整数を示す。)、−(CF2)dOCF3(dは1〜8の整数を示す。)等が挙げられる。
【0042】
前記式(5)で表される化合物は、ジプロピレングリコールの異性体のひとつであり、公知の化合物である。該化合物は、市販のジプロピレングリコールから入手する、または、公知の方法により合成する、方法により入手するのが好ましい。式(5)で表される化合物を市販のジプロピレングリコールから入手する場合には、複数の異性体の混合物である市販のジプロピレングリコールから式(5)で表される化合物を分離するのが好ましい。分離方法としては蒸留法が好ましい。本発明においては、市販のジプロピレングリコールの異性体混合物をそのまま使用して上記反応を行い、後の反応工程を行った後に、異性体由来の生成物を分離除去してもよい。
式(5)で表される化合物とエステル化反応させる式(6)で表される化合物としては、市販品を使用してもよいし、公知の方法により合成して使用してもよい。また、式(6)で表される化合物は、後述する式(7)で表される化合物のエステル結合の分解反応でも得られることから、該反応で得た式(6)で表される化合物を再利用する方法は好ましい方法として挙げられる。
【0043】
式(5)で表される化合物と式(6)で表される化合物とのエステル化反応は、公知のエステル化反応の条件により実施できる。反応温度の下限は−50℃が好ましく、上限は+100℃が好ましい。また、反応時間は、原料の供給速度と反応する化合物の使用量に応じて適宜変更されうる。反応圧力は常圧〜2MPa(ゲージ圧。以下、圧力はゲージ圧で記載する。)が好ましい。
式(5)で表される化合物の量は、式(6)で表される化合物に対して0.5倍モル以下にするのが好ましい。式(6)で表される化合物に対して0.3〜0.5倍モルとするのが特に好ましい。
エステル化反応では、フッ化水素(HF)が発生するため、アルカリ金属フッ化物(NaF、KF等が好ましい。)やトリアルキルアミン等をHF捕捉剤として反応系中に存在させてもよい。
【0044】
エステル化反応により得た式(7)で表される化合物は、式(6)で表される含フッ素化合物と、式(5)で表される2価アルコールとが、2つのエステル結合を形成した化合物である。式(7)で表される化合物のフッ素含量は、20質量%〜60質量%が好ましい。式(7)で表される化合物の分子量は200〜1100の範囲が好ましい。
【0045】
つぎに式(7)で表される化合物をフッ素化反応によってペルフルオロ化する。該フッ素化反応の方法としては、フッ素化反応の収率が格段に高いことから、液相中でフッ素と反応させる液相フッ素化法により行うことが好ましい。
液相フッ素化法におけるフッ素は、フッ素ガスをそのまま用いるか、不活性ガスで希釈されたフッ素ガスを用いることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガスが好ましく、経済的な理由から窒素ガスがより好ましい。
【0046】
液相フッ素化法における液相としては、前記の式(6)で表される化合物、反応の基質である式(7)で表される化合物、反応に関与しない有機溶媒、反応生成物である式(8)で表される化合物であるのが好ましい。
反応に関与しない有機溶媒としては、液相フッ素化の溶媒として用いられる公知の溶媒が採用でき、たとえば、CF2ClCFCl2等のクロロフルオロカーボン類、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)等のパーフルオロカーボン類等が挙げられる。液相フッ素化反応における液相としては、後処理が容易であることから、式(6)で表される化合物を用いることがより好ましい。
液相の使用量としては、式(7)で表される化合物の総質量に対して、5倍質量以上が好ましく、特に1×101〜1×105倍質量が好ましい。
【0047】
液相フッ素化法の手法は、特に限定されない。たとえば、反応器にフッ素化反応溶媒と式(7)で表される化合物とを仕込み、フッ素ガスをフッ素化反応溶媒中に連続的に供給しながら反応させる方法によって行うことができる。また、反応器にフッ素化反応溶媒を仕込んで、つぎにフッ素ガスと式(7)で表される化合物とを、所定のモル比で連続的にフッ素化反応溶媒中に供給する方法によっても行うことができる。このうち、反応収率と選択率の点から後者の方法が好ましい。
【0048】
フッ素化反応に用いるフッ素の量は、選択率の点から、式(7)で表される化合物中に含まれる水素原子量に対して、反応の最初から最後まで常に過剰当量となるように保たれていることが好ましい。より具体的には、フッ素量を、該水素原子量に対して1.05倍当量以上(すなわち、1.05倍モル以上。)となるように保たれていることが好ましい。
【0049】
フッ素化反応の反応温度は、反応収率、選択率、および工業的実施のしやすさの点から、−50℃〜100℃が好ましく、−20℃〜50℃がより好ましい。フッ素化反応の反応圧力は特に限定されず、反応温度と同様の観点から、常圧〜2MPaにすることが特に好ましい。
【0050】
フッ素化反応においては、通常、水素原子がフッ素原子に置換されてHFが副生する。このHFを除去するための方法としては、前記のHFを除去する方法と同様の方法を用いることができる。
【0051】
フッ素化反応では式(7)で表される化合物がペルフルオロ化して下式(8)で表される化合物が生成する。つぎに該式(8)で表される化合物は、2つのエステル結合を分解反応により切断して式(1)で表される化合物を生成させる。
エステル結合の分解反応は公知の方法を用いて行うことができ、気相または液相で熱分解する方法、求核剤もしくは求電子剤の存在下で熱分解する方法等を用いうる。
【0052】
また、上記エステル結合の分解反応を求核剤または求電子剤の存在下で行う方法を用いる場合には、無溶媒で行っても、反応溶媒の存在下で行ってもよく、無溶媒で行うのがより好ましい。無溶媒で反応を行ったときには、フッ素化反応による生成物自身が溶媒として機能し、エステル結合の分解反応における生成物から溶媒を分離する手間を省略できるため好ましい。
【0053】
求核剤としてはF−が好ましく、特にアルカリ金属のフッ化物由来のF−が好ましい。アルカリ金属のフッ化物としては、NaF、NaHF2、KF、CsFが好ましく、経済性の点ではNaFが、反応活性の点ではKFが特に好ましい。
【0054】
式(8)で表される化合物のエステル結合の分解反応では、目的とする式(1)で表される化合物と、式(6)で表される化合物とが生成する。さらに式(6)で表される化合物は、前記のエステル化反応で再利用できることから分解反応生成物中の式(1)で表される化合物と(6)で表される化合物とは分離するのが好ましい。分離方法としては、蒸留法が好ましい。
ジプロプレングリコールを用いて式(1)で表される化合物を入手する方法は、ジプロピレングリコールが入手容易でありかつ安価であることから、経済性に優れた方法である。また、該方法は、反応の収率もよいことから、工業的な実施に適用した場合にも有利な方法である。式(1)で表される化合物は、2つの不斉炭素原子を有することから異性体が存在するが、本発明における式(1)で表される化合物は、異性体を区別することなく使用できる。
【0055】
【実施例】
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下において、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンをR−113と記し、圧力はゲージ圧で記す。また、ガスクロマトグラフィをGCと記し、GC分析におけるピーク面積比をGC分析値とする。また、ガスクロマトグラフィ−質量分析をGC−MSと記す。
【0056】
[製造例1]式(1)で表される化合物の製造
(1−1)エステル化反応による(CF3)2CFCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)2の合成例
ハステロイC製の2LのオートクレーブにHOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OH(450g)を入れ、反応器を冷却して、密閉撹拌下、内温が30℃以下に保たれるようにゆっくりと(CF3)2CFCOF(1160g)を導入した。
さらに30℃で3時間の撹拌を行った後、反応で生じたHFを窒素ガスのバブリングによって系外に追い出した。その後、さらに、密閉撹拌下、内温が30℃以下に保たれるようにゆっくりと(CF3)2CFCOF(720g)を再導入し、さらに30℃で3時間の撹拌を行った後、反応で生じたHFを窒素ガスのバブリングによって系外に追い出して生成物を得た。
生成物をGC分析した結果、(CF3)2CFCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCOCF(CF3)2が99.8%生成しており、未反応のHOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OHは検出されなかった。この生成物は精製することなく、以下の反応に使用した。
【0057】
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:CDCl3、基準:TMS)δ(ppm):4.3(4H)、3.9〜3.8(2H)、1.2(6H)。
19F−NMR(282.6MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−74.9〜−75.0(12F)、−182.2〜−182.3(2F)。
【0058】
(1−2)フッ素化反応による(CF3)2CFCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)2の合成例
500mLのニッケル製オートクレーブを用意し、オートクレーブのガス出口に、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻すための液体返送ラインを設置した。
まず、オートクレーブにR−113(312g)を加え、25℃に保ちながら撹拌した。ここに、窒素ガスを室温で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガス(以下、20%希釈フッ素ガスと記す。)を室温で流速9.33L/hで1時間吹き込んだ。つぎに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、(1−1)で得た生成物(5g)をR−113(100g)に溶解した溶液を2.9時間かけて注入した。
【0059】
つぎに、20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながらオートクレーブ内圧力を0.15MPaまで昇圧して、ベンゼン濃度が0.01g/mLであるR−113溶液を25℃から40℃にまで昇温しながら9mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。
続いて、反応器内圧力を0.15MPaに、反応器内温度を40℃に保ちながら、前記ベンゼン溶液を6mL注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、0.3時間撹拌を続けた。さらに同様の操作を1回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.21g、R−113の注入総量は21mLであった。
【0060】
さらに20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら1時間撹拌を続けた。つぎに、反応器内圧力を常圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。生成物を19F−NMRで分析した結果、標記化合物が収率90%で含まれていることを確認した。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−74.6(12F)、−77.6〜−82.5(6F)、−84.9〜−87.0(4F)、−141.3〜−142.4(2F)、−181.5(2F)。
【0061】
(1−3)エステル結合の分解反応による式(1)で表される化合物の合成例コンデンサ−を備えた2Lのフラスコ内に、(1−2)で得られた(CF3)2CFCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCOCF(CF3)2(2000g)を仕込み、フッ化カリウム(31.3g)を加え、熱媒温度を100〜130℃に保って加熱撹拌を行った。生成するガスは、−78℃に冷却したステンレス(SUS316)製トラップで回収し、反応が進行してガスの生成が見られなくなったところで反応を終了した。次いで、トラップに回収した分解生成物を蒸留精製し、式(1)で表される化合物(760g、純度99.8%)を得た。該生成物は2種の立体異性体(以下、異性体1、異性体2と記す。)の混合物であった。
異性体1;19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):26.3(2F)、−82.1(6F)、−130.4(2F)、
異性体2;19F−NMR(282.7MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):26.1(2F)、−81.9(6F)、−135.6(2F)。
【0062】
[実施例1]式(2)で表される化合物の合成例1
内径5.2cmの環状反応管中にソーダガラスビーズ(商標:岳南#150)800mlを充填し、330℃に加熱した。反応器下部より窒素ガスを流して(流量2.7mol/h)流動床状態とし、製造例1で得た式(1)で表される化合物を窒素ガスに同伴させて流すことにより反応を行った。このとき、流速は115g/hr(すなわち、約0.37mol/hr。)とした。
【0063】
式(1)で表される化合物を837g(すなわち、2.7mol。)反応させ、反応器出口からの反応粗ガスをドライアイス冷却トラップにより回収した。その後、液体窒素冷却トラップを接続して、窒素ガスのみを1時間供給して反応器中に残存する反応成分ガスを全て捕集した。窒素ガストラップは、反応終了後ドライアイス冷却温度まで徐々に昇温し、この温度で気化する成分をすべてパージした後に捕集ガスとして回収した。
ドライアイス冷却トラップと液体窒素冷却トラップに回収された粗生成物を合わせて、粗生成物の粗液(492g)として回収した。この回収液をGCで分析したところCF2=CFOCF=CF2の生成が認められ、選択率は87%であった。
【0064】
[実施例2]式(2)で表される化合物の合成例2
上記製造例1で得た式(1)で表される化合物(31g)を、メタノール(100ml)中へ氷浴で冷却しながらゆっくり添加した。さらに20%水酸化カリウムメタノール溶液(110g)を滴下したところ、フェノールフタレンは赤色に変わった。
反応粗液からメタノールを留去して塩を生成させ、生成した塩を真空乾燥した。さらに、この塩を粉砕し、丸底型フラスコ(容量:300ml)に仕込み、減圧しながら240℃で8時間反応させた。この反応生成物をドライアイスメタノールトラップにより捕集したところ、16.2gの反応生成物を得た。この反応生成物を精製蒸留して、式(2)で表される化合物(13.4g、純度99.8%)を得た。
【0065】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、入手が容易で安価に製造可能な式(1)で表される化合物を用いて、フッ素樹脂やフッ素ゴムのモノマーとして有用なペルフルオロジビニルエーテルを、工業的に有利に、かつ高収率で製造できる。
Claims (6)
- 下式(1)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・式(1)
CF2=CFOCF=CF2・・・式(2) - 前記式(1)で表される化合物を、ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上の存在下に熱分解することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- ガラスビーズ、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、およびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種以上を充填した反応器中に、前記式(1)で表される化合物を連続的に供給して熱分解することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
- 下式(1)で表される化合物を、式R−OHで表される化合物と反応させて下式(3)で表される化合物を得て、該式(3)で表される化合物を熱分解することを特徴とする下式(2)で表されるペルフルオロジビニルエーテルの製造方法。
FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF・・・式(1)
ROCOCF(CF3)OCF(CF3)COOR・・・式(3)
CF2=CFOCF=CF2・・・式(2)
ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5の1価有機基を示す。 - 式(1)で表される化合物が、下式(5)で表される化合物と下式(6)で表される化合物とを反応させて下式(7)で表される化合物を得て、つぎに該式(7)で表される化合物をペルフルオロ化して式(8)で表される化合物を得て、さらに該式(8)で表される化合物のエステル結合を分解することにより得られた化合物である請求項1〜3および5のいずれかに記載の製造方法。
HOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OH・・式(5)
RfCOF・・式(6)
RfCOOCH2CH(CH3)OCH(CH3)CH2OCORf・・式(7)
RfCOOCF2CF(CF3)OCF(CF3)CF2OCORf・・式(8)
ただし、Rfは炭素数1〜10のペルフルオロ化された1価有機基を示す。
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