JP2004345639A - 四輪駆動車両に於ける旋回制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回操作を簡便にすると共に枕地の荒れを防止する。
【解決手段】ステアリングハンドルの操舵角を検出する手段と、旋回時に前輪の回転速度を増速する前輪増速手段と、旋回時に旋回内側の後輪を制動する手段と、旋回時に作業機の上昇を行なう手段とを備えた四輪駆動車両に於いて、ステアリングの操舵角が設定値以上になったことを前記操舵角検出手段が検出すると、先ず作業機の上昇を行なう手段を作動させ、作業機の上昇後に前輪増速手段を作動させ、同時に旋回内側の後輪を制動させる制御部を設ける。
【選択図】図4

Description

この発明は、四輪駆動車両に於ける旋回制御装置に関するものであり、特に、ステアリングの操舵角を検出して前輪の増速、旋回内側の後輪制動、並びに作業機の上昇を行うようにした四輪駆動車両に於ける旋回制御装置に関するものである。
従来、トラクタ等の四輪駆動車両の後輪には、左右独立して作動可能な一対のブレーキ装置が設けられており、畦際において、機体を旋回させるときにはオペレータが片側のブレーキペダルを踏み込んで旋回内側の後輪を制動し、機体の旋回半径を小さくするようにしている。また、前輪の回転速度を後輪の略二倍に増速する前輪増速装置を設け、旋回時間を短縮するものも知られている。このような技術を開示するものとして、例えば、特許文献1に示すようなものがある。
特開平1−141505号公報
従来は畦際で機体を旋回させる場合、作業機の上昇操作、片方のブレーキペダルの踏み込み操作、前輪の増速操作、並びにステアリング操作を同時に行わなければならず、操作が煩雑である。また、特許文献1に記載された公知技術は前輪の切れ角が所定の角度に達すると前輪増速装置が働き、その後、遅れて対地作業機が自動上昇するものであって、作業機の上昇操作の前に前輪増速が作動するから作業機の切り上げ箇所が大きく傾斜して残ることになり、枕地の仕上げ作業が困難となる不具合があった。
そこで、耕耘作業中の四輪駆動車両の旋回性能を高めつつ、旋回操作を簡便にするとともに、圃場の荒れを防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、この発明はこの課題を解決することを目的とする。
この発明は、前記課題を解決するために、以下のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1の発明は、ステアリングハンドルの操舵角を検出する手段と、旋回時に前輪の回転速度を増速する前輪増速手段と、旋回時に旋回内側の後輪を制動する手段と、旋回時に作業機の上昇を行なう手段とを備えた四輪駆動車両に於いて、ステアリングの操舵角が設定値以上になったことを前記操舵角検出手段が検出すると、先ず作業機の上昇を行なう手段を作動させ、作業機の上昇後に前輪増速手段を作動させ、同時に旋回内側の後輪を制動させる制御部を設けたことを特徴とする四輪駆動車両に於ける旋回制御装置とする。
この発明は、前記の如く、四輪駆動車両の旋回制御に於いて、先ず、作業機の上昇を行った後、前輪増速と旋回内側の後輪制動が行われるため、旋回開始時に作業機が引き摺られたり、あるいは作業機の切り上げ箇所が大きく傾斜して残るような不具合は解消されるのであり、このようにして旋回した箇所の凹凸が減少し、枕地部分の仕上げが容易になって作業性の向上に寄与できる。
(実施例1)
以下、本発明の一実施例を図面に従って詳述する。図1は四輪駆動車両の一例としてトラクタに於ける制御系のブロック図であり、制御部の入力側に設けられた耕深調整ダイヤルでロータリの耕深量を設定し、上げ位置調整ダイヤルで作業機の最上げ位置を設定する。
そして、リフトアームセンサにより作業機の高さを検出し、リヤカバーセンサによりロータリの耕深量を検出する。
また、ステアリングの操舵角を検出する手段として操舵角センサを設け、旋回時に旋回内側の後輪を制動する手段をオン・オフするためのオートブレーキスイッチを設ける。更に、通常の制御モードからチェックモードへ移行するためのチェックスイッチを設けるとともに、作業機を最上げ位置まで上昇させたり、或いはポジションレバーにて設定された位置まで作業機を下降させたりするための昇降スイッチを設ける。
一方、制御部の出力側には作業機上昇用のソレノイドと作業機下降用のソレノイドが設けられている。また、前記オートブレーキスイッチがオンのときに旋回内側の後輪を独立して制動する手段として、右ブレーキ用のソレノイドと左ブレーキ用のソレノイドを設けるとともに、旋回時に前輪の回転速度を増速する手段として前輪倍速装置を設け、この前輪倍速装置をオン・オフするための倍速用のソレノイドを設ける。
前記左右ブレーキ用のソレノイドと倍速用のソレノイドには、高速センサの検出値によって開閉されるスイッチを接続してあり、機体が高速走行しているときには、前記旋回内側の後輪を制動する手段と、旋回時に前輪の回転速度を増速する手段とが作動しないようにしてある。図2は制御全体のフローチャートであり、先ず各センサ類の検出値を読み込み(ステップ101)、チェックスイッチ及び昇降スイッチの双方がオンのときであって、且つ、電源投入直後であるときには(ステップ102→103)、現在の各センサ値を夫々の基準値としてEEPROMに記録する(ステップ104)。このチェックモードのときは、ステアリングハンドルを左右中立位置(直進状態)にしておき、操舵角センサの基準値として記録する。
一方、ステップ102にて何れか一方若しくは双方のスイッチがオフである場合と、ステップ103にて電源投入直後でない場合には、センサ処理(ステップ105)、ポジション制御またはデプス制御(ステップ106)、前輪増速制御(ステップ107)、オートブレーキ制御(ステップ108)、オートリフト制御(ステップ109)の各処理を行った後にステップ101へ戻る。
図3乃至図6は各サブルーチンのフローチャートであり、先ずポジション制御またはデプス制御のルーチンに於いては、リフトアーム目標値とリフトアームセンサの検出値とを比較し、偏差に応じて作業機上昇用のソレノイドへ上昇信号を出力するか、若しくは作業機下降用のソレノイドへ下降信号を出力するか、或いは偏差が不感帯域にあるときは信号を出力しないように制御する。そして、後述するオートリフト制御のルーチンに於いてUPモードがセットされた場合には、前記上げ位置調整ダイヤルの設定値をリフトアーム目標値にし、作業機上昇用のソレノイドへ上昇信号を出力して作業機を最上げ位置まで上昇させる。
次に前輪増速制御及びオートブレーキ制御について説明する。双方のルーチンは、後述するオートリフト制御のルーチンに於いて作業機上昇フラグが1にセットされた場合にのみ実行されるものである。前輪増速制御に於いては、作業機上昇フラグが1にセットされ、且つ、前記操舵角センサの検出値が設定値以上になったときに、倍速用のソレノイドをオンして倍速装置を作動させ、前輪の回転速度を後輪の略二倍に増速する。
一方、オートブレーキ制御に於いては、前記作業機上昇フラグが1にセットされ、且つ、作業機上昇タイマがカウント中の一定時間内に、操舵角センサの検出値が設定値以上になったときに、左右何れか一方のブレーキ用のソレノイドがオンして旋回内側の後輪が制動される。そして、作業機上昇タイマがカウント終了したときには、左右双方のブレーキ用のソレノイドがオフになり、後輪の片側制動は行われない。
更に、オートリフト制御について説明すれば、先ずオートブレーキスイッチがオンであり(ステップ201)、且つ、リヤカバーセンサからの信号入力があるときに(ステップ202)次のステップへ進行する。これは、ロータリ作業時のみ本制御が動作するようにしたものであり、例えば肥料散布等の他の作業時にはオートリフト制御をはじめとする旋回制御は動作しない。
次に、作業機上昇操作があった直後ではなく(ステップ203)、且つ、作業機下降タイマがカウント終了した後であって(ステップ204)、操舵角センサの検出値が直進状態から外れたときに(ステップ205)、UPモードをセットする(ステップ206)。
これは、作業機上昇操作があった直後はUPモードをセットしないようにし、前述したポジション制御に於いて、上げ位置調整ダイヤルの設定値をリフトアーム目標値にせず、作業機の最上げを回避する。
また、後述する作業機下降操作があった直後に作業機下降タイマをスタートさせ(ステップ208→209)、該作業機下降タイマがカウント終了しないとき、即ち、作業機を下降して接地させた後の一定時間内はUPモードをセットしないようにし、不慣れなオペレータが旋回後に機体を蛇行させた場合であっても、作業機が再び上昇しないようにする。
そして、ステップ207にて作業機上昇タイマをスタートさせるとともに、作業機上昇フラグを1にセットする。次に、作業機下降操作があった直後であればステップ208からステップ209へ進み、作業機下降タイマをスタートさせるとともに前記作業機上昇タイマをクリアし、更に、作業機上昇フラグを0に戻す。
また、作業機下降操作があった直後ではない場合であっても、操舵角センサの検出値が直進状態に復帰した場合には、ステップ210からステップ209へ戻る。
これは、作業機が下降しているときや、ステアリングの操舵角が一旦直進状態まで戻されたときには、作業機上昇フラグを0に戻して前輪増速制御及びオートブレーキ制御を動作させないようにしたものである。即ち、旋回が終了したときには作業機を下降しながらステアリング操作が為されるのであるが、不慣れなオペレータがステアリングを操作し過ぎた場合であっても、オートブレーキ制御が動作しないようにしている。
斯くして、ロータリ作業中のトラクタが旋回制御を行う場合には、作業機の自動上昇若しくはオペレータによる上昇操作が最優先され、然る後に前輪増速制御及びオートブレーキ制御が行われることになる。ここで、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサについて説明する。図7はステアリングコラム11の内部を示したものであり、ステアリングシャフト12の中間部にピッチの粗い螺子部13を設け、この螺子部13へボス14を螺合する。該ボス14の外側面にはピン15を突設してあり、前記ステアリングコラム11の背面側(運転席側)に穿設されたスライド溝16にピン15を係合する。更に、このピン15の先端部に操舵角センサ17を連結する。
而して、ステアリングホイール18を操舵してステアリングシャフト12を回転させれば、前記螺子部13に係合しているボス14が上下動し、該ボス14に突設したピン15が前記スライド溝16内を上下に移動する。図8及び図9は前記操舵角センサ17を示し、ステアリングコラム11のスライド溝16の近傍位置にブラケット19を固設し、このブラケット19に前記操舵角センサ17がビス止めされている。該操舵角センサ17は回転型のポテンショメータを使用し、センサシャフト20が運転席側へ突出するように取り付けてある。そして、このセンサシャフト20へ検出アーム21の一端部を固着し、該検出アーム21の他端部に係止溝21aを開穿するとともに、前記スライド溝16から突出したピン15を該係止溝21aへ係合させる。また、前記ステアリングホイール18を中立位置にして機体が直進状態にあるときに、ステアリングコラム11と検出アーム21とが直交するように、前記操舵角センサ17をセットしておく。
而して、前記ステアリングホイール18を左右何れかへ操舵すればピン15がスライド溝16に沿って上下動し、検出アーム21が回動して操舵角センサ17の検出値が変化する。該操舵角センサ17の検出値に基づき、制御部にてステアリングの操舵角を算出する。このとき、前記ステアリングホイール18の操舵量に比例してピン15が均等の割合にて上下動するが、同一の操舵量であってもステアリングホイール18が中立位置に近いときには検出アーム21の回転角が大きい。
即ち、ステアリングの操舵角が中立位置付近での操舵角センサ17の分解能が高くなり、微小の操舵角の変化を細かく検出することができる。
尚、本実施例に於いては前記操舵角センサ17に回転型のポテンショメータを使用しているが、特に之に限定されるべきではない。図示は省略するが、例えば直線動作型のポテンショメータを前記ステアリングコラム11の軸方向へ取り付けてもよい。然るときは、センサアームがステアリングコラム11と平行に直線移動するため、検出部をコンパクトに構成することができる。
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
本発明の一実施例を示し、制御系のブロック図。 制御全体のフローチャート。 ポジション制御またはデプス制御のフローチャート。 前輪増速制御のフローチャート。 オートブレーキ制御のフローチャート。 オートリフト制御のフローチャート。 ステアリングコラムの内部を示す一部切欠側面図。 操舵角センサの取付状態を示すステアリングコラムの要部背面図。 操舵角センサの取付状態を示すステアリングコラムの要部側面図。
符号の説明
11 ステアリングコラム
12 ステアリングシャフト
14 ボス
15 ピン
17 操舵角センサ

Claims (1)

  1. ステアリングハンドルの操舵角を検出する手段と、旋回時に前輪の回転速度を増速する前輪増速手段と、旋回時に旋回内側の後輪を制動する手段と、旋回時に作業機の上昇を行なう手段とを備えた四輪駆動車両に於いて、ステアリングの操舵角が設定値以上になったことを前記操舵角検出手段が検出すると、先ず作業機の上昇を行なう手段を作動させ、作業機の上昇後に前輪増速手段を作動させ、同時に旋回内側の後輪を制動させる制御部を設けたことを特徴とする四輪駆動車両に於ける旋回制御装置。
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