JP2004343147A - 窒化物半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【構成】 n側の窒化物半導体層と、p側の窒化物半導体層との間に活性層を有する窒化物半導体素子において、前記n側の窒化物半導体層には、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積層されたn側多層膜層を有し、前記第1の窒化物半導体層、または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚が100オングストローム以下である。特に多層膜を超格子構造とすることにより活性層の結晶性が良くなるので素子の効率が向上する。
【選択図】 図1
Description
実施例1.
図1を元に実施例1について説明する。
続いて、温度を510℃まで下げ、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用い、基板1上にGaNよりなるバッファ層2を約200オングストロームの膜厚で成長させる。なおこの低温で成長させる第1のバッファ層2は基板の種類、成長方法等によっては省略できる。
バッファ層2成長後、TMGのみ止めて、温度を1050℃まで上昇させる。1050℃になったら、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガスを用い、アンドープGaNよりなる第2のバッファ層3を1μmの膜厚で成長させる。第2のバッファ層は先に成長させた第1のバッファ層よりも高温、例えば900℃〜1100℃で成長させ、InXAlYGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaN、X値が0.2以下のAlXGa1−XNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。また膜厚は特に問うものではなく、バッファ層よりも厚膜で成長させ、通常0.1μm以上の膜厚で成長させる。
続いて1050℃で、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガス、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1019/cm3ドープしたGaNよりなるn側コンタクト層を3μmの膜厚で成長させる。このn側コンタクト層4も第2のバッファ層3と同様に、InXAlYGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaN、X値が0.2以下のAlXGa1−XNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。膜厚は特に問うものではないが、n電極を形成する層であるので1μm以上の膜厚で成長させることが望ましい。さらにn型不純物濃度は窒化物半導体の結晶性を悪くしない程度に高濃度にドープすることが望ましく、1×1018/cm3以上、5×1021/cm3以下の範囲でドープすることが望ましい。
次にシランガスのみを止め、1050℃で同様にしてアンドープGaNよりなる第3のバッファ層5を100オングストロームの膜厚で成長させる。この第3のバッファ層5もInXAlYGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaN、X値が0.2以下のAlXGa1−XN、またはY値が0.1以下のInYGa1−YNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。このアンドープGaN層を成長させることにより、高濃度で不純物をドープしたn側コンタクト層4の上に直接活性層を成長させるのと異なり、下地の結晶性が良くなるため、次に成長させる窒化物半導体を成長しやすくする。このように、アンドープの窒化物半導体層よりなる第2のバッファ層3の上に、高濃度でn型不純物をドープした窒化物半導体よりなるn側コンタクト層4、次にアンドープの窒化物半導体(n側多層膜層も含む。)よりなる第3のバッファ層5を積層した3層構造とすると、LED素子にした場合にVfが低下しやすい傾向にある。なおn側多層膜層6をアンドープにする場合は第3のバッファ層5を省略することができる。
次に、温度を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い、アンドープIn0.03Ga0.97Nよりなる第1の窒化物半導体層を25オングストローム成長させ、続いて温度を上昇させ、その上にGaNよりなる第2の窒化物半導体層を25オングストローム成長させる。そしてこれらの操作を繰り返し、第1+第2の順で交互に10層づつ積層した超格子構造よりなるn側多層膜を500オングストロームの膜厚で成長させる。
次に、アンドープGaNよりなる障壁層を200オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用いアンドープIn0.4Ga0.6Nよりなる井戸層を30オングストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を5層、井戸層4層交互に積層して、総膜厚1120オングストロームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させる。活性層7は障壁層から積層したが、積層順は井戸層から積層して、井戸層で終わってもよく、また井戸層から積層して障壁層で終わる場合、障壁層から積層して井戸層で終わっても良く積層順は特に問わない。井戸層の膜厚としては100オングストローム以下、好ましくは70オングストローム以下、さらに好ましくは50オングストローム以下に調整する。100オングストロームよりも厚いと、出力が向上しにくい傾向にある。一方、障壁層の厚さは300オングストローム以下、好ましくは250オングストローム以下、最も好ましくは200オングストローム以下に調整する。
次に、TMG、TMA、アンモニア、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを5×1019/cm3ドープしたp型Al0.05Ga0.95Nよりなる第3の窒化物半導体層を25オングストロームの膜厚で成長させ、続いてCp2Mg、TMAを止めアンドープGaNよりなる第4の窒化物半導体層を25オングストロームの膜厚で成長させる。そしてこれらの操作を繰り返し、第3+第4の順で交互に4層ずつ積層した超格子よりなるp側多層膜層8を200オングストロームの膜厚で成長させる。
続いて1050℃で、TMG、アンモニア、Cp2Mgを用い、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層8を700オングストロームの膜厚で成長させる。p側コンタクト層8もInXAlYGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすく、またp電極材料と好ましいオーミック接触が得られやすい。
図2は実施例2に係るLED素子の構造を示す模式断面図である。このLED素子は、実施例1において、第3のバッファ層5を成長させず、さらにp側多層膜層8を超格子構造とせずに、Mgを5×1019/cm3ドープしたp型Al0.1Ga0.9N層よりなるp側クラッド層8’を200オングストロームの膜厚で成長させる他は、同様にしてLED素子を作製したところ、同じく20mAにおいて、Vfは3.3Vと非常に良好な値を示し、出力も1.8倍以上に向上した。
実施例1において、n側多層膜層6を成長する際に、第2の窒化物半導体層のみを、Siを1×1018/cm3ドープしたGaNとする。また、p側多層膜層を超格子構造とせずに、Mgを5×1019/cm3ドープしたp型Al0.1Ga0.9N層よりなるp側クラッド層8’を200オングストロームで成長させる他は同様にして、LED素子を作製したところ、実施例2とほぼ同等の特性を有するLED素子が得られた。
実施例1において、n側多層膜層6を成長する際に、第1の窒化物半導体層をSiを1×1018/cm3ドープしたIn0.03Ga0.97層とし、第2の窒化物半導体層を、Siを5×1018/cm3ドープしたGaNとする。また、p側多層膜層を超格子構造とせずに、Mgを5×1019/cm3ドープしたp型Al0.1Ga0.9N層よりなるp側クラッド層8’とする他は同様にして、LED素子を作製したところ、20mAにおいてVfは3.4V、出力は従来のものに比較して、1.5倍以上と優れた特性を示した。
実施例1において、第3のバッファ層5を成長させず、さらにp側多層膜層8を成長する際に、第4の窒化物半導体層にMgを1×1019/cm3ドープしたp型GaN層を成長させる他は同様にしてLED素子を作製したところ、実施例1とほぼ同等の特性を有するLED素子が得られた。
実施例1において、第3のバッファ層5を成長させず、さらにp側多層膜層8を成長する際に、アンドープAl0.05Ga0.95Nよりなる第3の窒化物半導体層を25オングストロームと、アンドープGaNよりなる第4の窒化物半導体層を25オングストロームとでそれぞれ2層づつ交互に積層して総膜厚100オングストロームとする他は同様にしてLED素子を作製したところ、実施例4とほぼ同等の特性を有するLED素子が得られた。
実施例1において、n側多層膜層6を成長させる際、アンドープIn0.03Ga0.97Nよりなる第1の窒化物半導体層を50オングストローム成長させ、次にアンドープGaNよりなる第2の窒化物半導体層を25オングストローム成長させる。続いてアンドープIn0.03Ga0.97N層を45オングストローム成長させ、続いてアンドープGaN層を25オングストローム成長させ、次にアンドープIn0.03Ga0.97N層を40オングストローム成長させる。このようにして第1の窒化物半導体層のみを5オングストロームずつ薄くして、5オングストロームまで成長させ、第1の層と第2の層とを交互に10層づつ積層した超格子構造よりなるn側多層膜を合計525オングストロームの膜厚で成長させる。
実施例1において、n側多層膜層6を成長させる際、アンドープIn0.03Ga0.97Nよりなる第1の窒化物半導体層を25オングストローム成長させ、次にアンドープGaNよりなる第2の窒化物半導体層を25オングストローム成長させる。続いてInのモル比を若干多くしたInGaN層を25オングストローム成長させ、続いてアンドープGaN層を25オングストローム成長させる。このようにして第1の窒化物半導体層のIn組成を徐々に増加させて成長させ、第1の層と、第2の層とを交互に10層ずつ積層し、最終的に第1の層がIn0.3Ga0.7Nとなるようにして、総膜厚500オングストロームのn側多層膜を成長させる。
実施例7において、p側多層膜層8を多層膜層とせずに、Mgを5×1019/cm3ドープしたp型Al0.1Ga0.9N層よりなるp側クラッド層8’を200オングストロームの膜厚で成長させる他は、同様にしてLED素子を作製したところ、実施例2とほぼ同等の特性を有するLED素子が得られた。
実施例8において、p側多層膜層8を多層膜層とせずに、Mgを5×1019/cm3ドープしたp型Al0.1Ga0.9N層よりなるp側クラッド層8’を200オングストロームの膜厚で成長させる他は、同様にしてLED素子を作製したところ、実施例2とほぼ同等の特性を有するLED素子が得られた。
実施例8において、n側多層膜を構成する第1の窒化物半導体のIn組成を実施例8と逆にし、さらにp側多層膜を構成する第3の窒化物半導体のAl組成を逆にする。つまり第1の窒化物半導体層のInを活性層に接近するに従って少なくなるようにし、第3の窒化物半導体層のAl組成を活性層から離れるに従って少なくなるようにする他は同様にしてLED素子を作製したところ、実施例8とほぼ同等の特性を有するLED素子が得られた。
実施例1において、n側多層膜層6を成長させる際に、アンドープIn0.2Ga0.8Nよりなる第1の窒化物半導体層を25オングストローム成長させ、次にアンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる第2の窒化物半導体層を25オングストローム成長させる他は、実施例1と同様にしてLED素子を作製したところ、実施例1のものとほぼ同等の特性を有する素子が得られた。
実施例1において、p側多層膜層8を成長させる際、MgドープAl0.05Ga0.95Nよりなる第1の窒化物半導体層を25オングストローム成長させ、次にアンドープIn0.1Ga0.9Nよりなる第2の窒化物半導体層を25オングストローム成長させる他は、実施例1と同様にしてLED素子を作製したところ、実施例1のものとほぼ同様の特性を有する素子が得られた。
実施例1において、n側多層膜層6を成長させる際、アンドープIn0.03Ga0.97Nよりなる第1の窒化物半導体層の膜厚を200オングストローム成長させる他は、実施例1と同様にしてLED素子を作製したところ、実施例1のものとはほぼ同等の特性を有する素子が得られた。
実施例1において、p側多層膜層8を成長させる際、MgドープAl0.05Ga0.95Nよりなる第1の窒化物半導体層の膜厚を200オングストローム成長させる他は、実施例1と同様にしてLED素子を作製したところ、実施例1のものとほぼ同様の特性を有する素子が得られた。
本発明にかかる実施例16の窒化物半導体素子は、図3に示すレーザダイオードである。
(1)3μmの厚さのSiドープのGaNよりなるn型GaN層52、
(2)0.1μmの厚さのIn0.1Ga0.9N層53、
(3)第1の窒化物半導体層と第2の窒化物半導体層とからなる超格子構造のn側多層膜層54、
(4)Siがドープされた0.1μmの厚さのn型GaN光ガイド層55、
(5)In0.4Ga0.6N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸構造の活性層56、(6)Mgがドープされた200オングストロームの厚さのAl0.2Ga0.8N層57、
(7)Mgがドープされた0.1μmの厚さのp型GaN光ガイド層58、
(8)第3の窒化物半導体層と第4の窒化物半導体層からなる超格子構造のp側多層膜層59、
(9)Mgがドープされた0.05μmの厚さのp型GaNコンタクト層60、以上の各層を成長させることにより作製される。
2・・・第1のバッファ層
3・・・第2のバッファ層
4・・・n側コンタクト層
5・・・第3のバッファ層
6・・・n側多層膜層
7・・・活性層
8・・・p側多層膜層
8’・・p側クラッド層
9・・・p側コンタクト層
10・・・全面電極
11・・・p電極
12・・・n電極
Claims (16)
- n側の窒化物半導体層と、p側の窒化物半導体層との間に活性層を有する窒化物半導体素子において、前記n側の窒化物半導体層には、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積層されたn側多層膜層を有し、前記第1の窒化物半導体層、または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚が100オングストローム以下であることを特徴とする窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体層がInXGa1−XN(0<X<1)よりなり、前記第2の窒化物半導体層がInYGa1−YN(0≦Y<1、Y<X)よりなることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体層または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚が、近接する第1の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層同士で互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体層、または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方のIII族元素の組成が、近接する第1の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層の同一III族元素の組成同士で互いに異なることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体素子。
- 前記n側多層膜層が活性層に接して形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体層および第2の窒化物半導体層がアンドープであることを特徴とする請求項1乃至5の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層のいずれか一方に、n型不純物がドープされていることを特徴とする請求項1乃至5の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1の窒化物半導体層および第2の窒化物半導体層の両方にn型不純物がドープされていることを特徴とする請求項1乃至5の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記p側の窒化物半導体層には、Alを含む第3の窒化物半導体層と、第3の窒化物半導体と異なる組成を有する第4の窒化物半導体層とが積層されてなるp側多層膜層を有し、前記第3の窒化物半導体層、または前記第4の窒化物半導体の層の内の少なくとも一方の膜厚が100オングストローム以下であることを特徴とする請求項1乃至8の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第3の窒化物半導体層がAlaGa1−aN(0<a≦1)よりなり、前記第4の窒化物半導体層がInbGa1−bN(0≦b<1、b<a)よりなることを特徴とする請求項9に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第3の窒化物半導体層、または前記第4の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚が、近接する第3の窒化物半導体層または第4の窒化物半導体層同士で互いに異なることを特徴とする請求項9または10に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第3の窒化物半導体層、または前記第4の窒化物半導体層の内の少なくとも一方のIII族元素の組成が、近接する第3の窒化物半導体層または第4の窒化物半導体層の同一III族元素の組成同士で互いに異なることを特徴とする請求項9または10に記載の窒化物半導体素子。
- 前記p側多層膜層が活性層に接して形成されていることを特徴とする請求項9乃至12の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第3の窒化物半導体層および第4の窒化物半導体層がアンドープであることを特徴とする請求項9乃至13の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第3の窒化物半導体層または第4の窒化物半導体層のいずれか一方に、p型不純物がドープされていることを特徴とする請求項9乃至13の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
- 前記第3の窒化物半導体層および第4の窒化物半導体層の両方にp型不純物がドープされていることを特徴とする請求項9乃至13の内のいずれか1項に記載の窒化物半導体素子。
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