JP2004341084A - トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、トナー中の顔料を微分散させ、着色力、透明性にすぐれたトナーの製造方法を提供することにある。また、水系の重合トナーの製造方法において、トナー表面に着色剤の浮きだしがなく、帯電性や環境安定性に優れたトナーの製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は少なくとも顔料および樹脂を含有するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。さらに本発明は少なくとも顔料を分散させた重合性単量体組成物を光、または熱により重合反応させ、トナーを作製するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は少なくとも顔料および樹脂を含有するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。さらに本発明は少なくとも顔料を分散させた重合性単量体組成物を光、または熱により重合反応させ、トナーを作製するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷の如き画像形成方法において、静電荷像を現像するためのトナー、またはトナージェット方式の画像形成方法におけるトナー像を形成するためのトナーの製造方法に関し、特にトナーで形成されたトナー像を転写材の如きプリントシートに加熱加圧定着させる定着方式に供されるトナーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録体上の電気的、あるいは磁気的潜像を顕像化するために、トナーといった検電性、あるいは感磁気性の微粒子を該潜像に吸着させて可視像とする画像形成方法がある。その代表的なものとしては電子写真法が挙げられ、例えば米国特許2、297、691号明細書に記載されているように、多数の方法が知られている。この電子写真法においては、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成し、必要に応じて紙などの転写材にこのトナー画像を転写した後、加熱、加圧、あるいは溶剤蒸気を用いてトナー画像を転写材料に定着することにより、複写物を得るといったものである。近年、上述の技術がその印字品質の高さ、静粛性といったことからコンピューター、ワードプロセッサー等の出力手段、いわゆるプリンターに使用されるようになっている。通常、プリンター及び若しくは複写機に使用されるトナーは、主成分が樹脂及び磁性体、カーボンブラック、染料、顔料等の着色剤、及びワックス類からなる微粒子であり、通常その粒径は6−30μmの範囲である。トナーは、一般に熱可塑性樹脂中に染顔料あるいは磁性体からなる着色剤を混合、溶融し、着色剤を均一に分散させた後、微粉砕、分級する事により所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。この方法は技術として比較的安定しており、各材料、各工程の管理も比較的容易に行うことができる。一方、重合法によるトナーの製造方法、いわゆる懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、例えば特公昭36−10231号公報、特公昭51−14895号公報、特開昭53−177735号公報、特開昭53−17736号公報、及び特開昭53−17737号公報に記載されている。この方法は、結着樹脂、染料、顔料などの着色剤、例えば磁性体、カーボンブラック、帯電制御剤、ワックスやシリコーンオイルなどの離型剤等トナー中に内包すべき物質を必要に応じて重合開始剤や分散剤とともに重合性単量体中に溶解、あるいは分散させて重合性組成物とし、分散安定剤を含有する水系連続相に分散装置を使用して分散させ、微粒子の分散体とし、この分散体を重合させて固化する事によって所望の粒径、組成を有するトナー粒子を得るものである。この方法は粉砕工程が無いためエネルギーの節約、工程収率の向上、コスト削減といった効果が期待されるものである。
【0003】
印字品質を高める方法としては前述のトナーの粒子径を小さくし、前述の潜像を細かく忠実に再現するための技術が盛んに検討されている。粒子径を小さくすると、単位面積あたりのトナー消費量を少なくすることが可能である一方、転写材上のトナー層厚が薄くなるために、トナー単位体積あたりの着色力を上げる必要がある。その手段としては、着色剤である染顔料の仕込量をアップすることが一般的であるが、さらに染顔料自体の着色力をアップし、OHPの透過性を向上させる手段として、トナー内部の染顔料の分散性を向上させることが盛んに研究されている。一般に顔料トナーにおいては顔料と樹脂とをなじみやすくするために、あらかじめ顔料の表面処理を行っている。前記重合トナーの製造方法においては、顔料を重合性単量体中に機械的剪断力をかけて分散させ、顔料分散剤を顔料表面に吸着させることで顔料の再凝集を防いでいる。顔料分散剤はその機能を発揮するためには、分子中に顔料に強固に吸着する化学構造と、顔料分散の際に用いる溶媒や樹脂への親和性をもち、顔料の再凝集を防ぐための立体障害となりうる化学構造が必要である。フタロシアニン系顔料や、カーボンブラックなどには、フタロシアニン系色素の誘導体が広く用いられている。さまざまな溶媒や樹脂に対して汎用性をもたせるために、顔料吸着性をもつものと、溶媒や樹脂への親和性をもち立体障害となりうる樹脂材料等を分けて添加し、それぞれを酸塩基相互作用により結合させて顔料分散剤としての機能を発現させているのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような2成分系の顔料分散剤を用いる場合には、両者を結合している酸塩基による結合を切断しない条件で顔料分散体を作製し、その条件を維持することが必要であり、特に水系の溶媒での顔料分散においては、溶媒のpHや添加樹脂の官能基等にも十分な注意が必要となる。また、両者が解離した状態で顔料分散を行った場合でもフタロシアニン誘導体の極性基の作用によりある程度の分散状態は得られるが、乾燥、成型、重合反応等の後工程における顔料の再凝集、特に水系での重合法トナーの製造方法においては、顔料表面の極性基の存在により、トナー表面への顔料の浮きだしが生じ、帯電性や環境安定性に問題を生じる場合がある。
【0005】
したがって本発明は上記の問題点を解決したトナーの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、トナー中の顔料を微分散させ、着色力、透明性にすぐれたトナーの製造方法を提供することにある。
【0007】
また本発明の目的は、水系の重合トナーの製造方法において、トナー表面に着色剤の浮きだしがなく、帯電性や環境安定性に優れたトナーの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成することができる。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも顔料および樹脂を含有するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0010】
また、本発明は少なくとも顔料を分散させた重合性単量体組成物を光、または熱により重合反応させ、トナーを作製するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の特徴は、着色剤である顔料に吸着するためのフタロシアニン系の分子骨格と、熱によりラジカルを発生する官能基を有し、重合過程において、顔料粒子表面からポリマーが成長し、顔料の凝集を防いでいる点にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用できる顔料分散剤は化式1または化式2の構造を有しており、化式1または化式2におけるR1〜R4は少なくとも1個が置換基Xであるが、置換基Xの数は前記溶媒との親和性を強める一方で、顔料への吸着力を阻害する場合があるため、1または2個が置換基Xであることがより好ましい。その他の置換基はHである。また、化式2中の金属Mは2価の金属あるいは3〜4価の置換金属またはオキシ金属であり、例えばCu、Al、Fe、Co、Ni、Zn、Mg、Mn、Pd等の金属、TiCl2、SnCl2などの金属塩化物、TiO、MnOなどの金属酸化物等が挙げられる。
本発明に用いることができる置換基Yとしては、重合時の温度により分解し、ラジカル、アニオン、またはカチオンを発生する官能基を有するものであれば何でも良い。例えば、アゾ基、過酸化基、過硫酸基、ケト基(αジケト基)等が挙げられる。
【0014】
本発明の顔料の表面処理方法としては、化式1または化式2の顔料分散剤を含有すること以外は公知の組成、すなわち、顔料、樹脂、顔料分散剤、その他添加剤、溶媒からなるものが使用可能であり、製造方法としても公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒中に顔料分散剤および、必要に応じて樹脂を溶かし込み、攪拌しながら顔料粉末を徐々に加え十分に溶媒になじませる。さらにボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料粒子表面に顔料分散剤を吸着させ、顔料を安定に微分散することができる。粉砕トナーの場合にはここで得られた顔料分散ペーストをトナーバインダーである樹脂と他の添加剤とともに混合し、熱および機械的剪断力により溶融混練し分散させることが可能であり、粉砕分級工程を経てトナーとする。一方、水系の重合法トナー、特に懸濁重合法トナーの製造方法においては、重合性単量体を用いた顔料分散ペーストを重合開始剤とともに、トナー粒子を分散させる分散剤を含有する水系溶媒中に添加し、光や熱により重合反応させトナー粒子を得ることができる。
【0015】
本発明に用いることのできる顔料としては、公知の顔料が利用できるが、特にフタロシアニン系顔料およびカーボンブラック等の有色顔料に好ましく用いられる。
【0016】
本発明の顔料の表面処理に用いることのできる溶媒としては、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサンテトラヒドロフラン等のエーテル類、メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。またこれらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。
【0017】
また、該溶媒が重合性単量体であることにより、本発明は好適に達成できる。
【0018】
本発明に用いることができる重合性単量体は、付加重合系あるいは縮合重合系単量体である。好ましくは、付加重合系単量体である。具体的にはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n− ヘキシルスチレン、p−n− オクチルスチレン、p−n− ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ピプロピル、メタクリル酸−n− オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロぺニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などを挙げることが出来る。
【0019】
本発明の顔料分散剤の製造方法としては、公知の手法が利用可能である。フタロシアニン骨格中の4個のベンゼン核の水素の反応性を利用して、クロロ化やスルホン化して誘導体を合成する手法があるが、より好ましくは、フタロシアニンの原料としてトリメリト酸無水物および無水フタル酸を用いることにより、容易にカルボキシル化フタロシアニンが合成できる。このカルボキシル基は酸ハロゲン化物をへて、Friedel−Crafts反応などによりハロゲンを容易にアルキル基に置換することができる。例えば、ポリスチレン基の導入に際しては、フェニル基のパラ位の水素は無水塩化アルミニウム存在下で容易に置換され、目的物を得ることができる。
【0020】
本発明の顔料分散剤により表面処理された顔料の添加量は、トナーバインダーまたは重合性単量体100部当たり3〜20部添加することが好ましい。
【0021】
本発明のトナーの製造方法に用いる重合開始剤としては公知の重合開始剤を挙げることができる。具体的には、2、2−アゾビスイソブチロニトリル、2、2−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2、2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1、1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2、2−アゾビスイソブチレート、4、4−アゾビス−4−シアノバレル酸、2、2−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アルカリ金属、金属水酸化物、グリニャール試薬等の求核試薬、プロトン酸、ハロゲン化金属、安定カルボニウムイオン等が挙げられる。重合開始剤の濃度は単量体に対して0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
【0022】
本発明の重合法トナーの製造方法に用いる連鎖移動剤としては公知の連鎖移動剤を挙げることができる。
【0023】
更に本発明では様々な特性付与を目的として、以下に示すようなトナーの添加剤を用いることもできる。
【0024】
トナーの摩擦帯電特性を安定化するために、あらかじめ樹脂粒子に荷電制御剤を含有させておいても良い。この場合、トナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。樹脂粒子の作製に重合法を用いる場合には、重合阻害性がない荷電制御剤が特に好ましい。具体的には、ネガ系制御剤としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の金属化合物;スルホン酸、カルボン酸を側鎖にもつ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が好ましい。ポジ系制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましい。これら荷電制御剤は、結着樹脂100部に対し0.5乃至10部添加することが好ましい。
【0025】
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等)が好適に用いられる。これらは疎水化処理を行ったものがより好ましい。研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)が好適に用いられる。滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッカビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)が好適に用いられる。荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)、カーボンブラック等が好適に用いられる。
【0026】
これらの流動付与剤は、トナー粒子100部に対し0.1乃至10部用いられ、好ましくは0.1乃至5部が用いられる。これらの添加剤は、単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
【0027】
本発明のトナーは一成系分現像剤として用いることもできるし、キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることもできる。
【0028】
本発明で使用する摩擦帯電量の測定方法を記載する。トナーとキャリアを現像剤化するとき適当な混合量(2〜15重量%)となるように混合し、ターブラミキサーで180秒混合する。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、摩擦帯電量を下記式を用いて算出する。
【0029】
Q(μC/g)=(C×V)/(W1−W2)
(式中W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施例をもって説明するが本発明は実施例によって制限されるものではない。なお、実施例中で使用する部はすべて重量部を示す。
【0031】
(実施例1)
顔料分散剤の製造例1
以下に示す方法により(化式3)の構造を有する顔料分散剤の合成を行った。
【0032】
(1)カルボキシアミド化Cuフタロシアニンの合成
トリメリト酸無水物116.4g(0.606mol), 無水フタル酸 269.1g(1.818mol), 尿素 932.9g(15.55mol), CuCl2 78.4g(0.583mol), モリブデン酸アンモン 9.2g(7.4mmol), ニトロベンゼン 7L を10L反応容器に仕込み、150〜170℃で3時間撹拌させた。析出した結晶を濾取し、ニトロベンゼン臭がなくなるまでメタノール洗浄した。その後、水洗、メタノール洗浄し、これを60℃で24時間減圧乾燥させ、目的物293.9gをえた。
【0033】
(2)カルボキシル化Cuフタロシアニンの合成
カルボキシアミド化Cuフタロシアニン 292.9g, 水酸化カリウム477.5g(7.25mol), 水 198ml, トリエチレングリコール3L を5L反応容器に仕込み、120℃で24時間撹拌させた。室温に冷却し、結晶を濾取し、熱水で洗浄した。この結晶を水に懸濁させた後、6N塩酸でpH1にした。結晶を濾過し、希塩酸で洗浄した後、メタノール洗浄し、これを60℃で24時間減圧乾燥させ、目的物161.5gを得た。
【0034】
(3)酸塩素化Cuフタロシアニン誘導体の合成
カルボキシル化Cuフタロシアニン40.0g, トルエン400ml, 塩化チオニル120mlを反応容器に仕込み、次いでピリジン2mlを滴下し、10時間還流を行った。反応物はエバポレータにより濃縮し、目的物50.2g を得た。
【0035】
(4)Cuフタロシアニン−アゾ基誘導体の合成
トルエン500ml、THF500ml、4’,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)30.0g、酸塩素化Cuフタロシアニン誘導体50gを反応容器に仕込み、撹拌しながらTEA20mlを添加し、室温で1時間撹拌した。メタノール2Lを加えて反応を停止させ、メタノールで洗浄濾過を繰り返し、室温で12時間減圧乾燥を行い、目的物37.0gを得た。この最終生成物のIRスペクトルおよび元素分析、質量分析を行ったところ、1個のCuフタロシアニン骨格あたり1個から2個のアゾ基が付加していることがわかった。
【外5】
【0036】
[(M;Cu、R1〜R4中に平均1〜2個の置換基Xが導入された混合物(その他はH)]
顔料ペーストの作製例1
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストaを作製した。
【0037】
トナーの作製例1
イオン交換水710部に0.1M−Na3PO4 水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて11,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2 水溶液70部を徐々に添加し、Ca3 (PO4)2 を含む分散媒体を得た。
【0038】
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、開始剤2,2′−アゾビスイソブチロニトリル10部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。前記ホモミキサーの2Lフラスコ中で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後バドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で3時間反応させた後、80℃で10時間重合させた。重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩酸を加えて、Ca3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗乾燥することにより、重合トナーを得た。
【0039】
作製したトナーの評価
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.5μmを有していた。トナー表面を電子走査型顕微鏡(SEM)により観察したところ、顔料粒子は観察されなかった。さらに、粒子の断面を染色超薄切片法により透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、スチレン−アクリル樹脂を主体とする表層部とワックスを主体とする中心部に分かれており、カプセル構造が確認された。また、スチレン−アクリル樹脂層には約50〜100nmの顔料粒子が均一に微分散されており、ワックスの界面に顔料粒子の堆積が観察されなかった。
【0040】
得られたトナー100部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.6部を外添した。このトナー7部に対し、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体で表面被覆した、粒径45μmのフェライトキャリア93部を混合し、現像剤とした。得られた現像剤1gをブローオフ法により帯電量を測定したところ、−21.5μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて画像出しを行った。現像条件は温度23℃/湿度60%RHの環境下で現像コントラスト300Vで行なった。得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもかぶりの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。また、OHPシートに同様に画像出しを行い、OHPにて投影してみたところ、透明性の高いシアン色の投影画像が得られた。
【0041】
(実施例2)
顔料分散剤の製造例2
製造例1で用いた4’,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)30.0gの代わりに、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル] 21.0gを用いた以外は製造例1と同様に合成を行い、(化式6)の構造を有する顔料分散剤30.5gを得た。
【外6】
【0042】
[M;Cu、R1〜R4中に平均1〜2個の置換基Xが導入された混合物(その他はH)]
顔料ペーストの作製例2
スチレンモノマー 320部
n−ブチルアクリレート 80部
化式7の顔料分散剤 4部
カーボンブラック 20部
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストbを作製した。
【0043】
トナーの作製例2
トナーの作製例1と同様にCa3 (PO4)2 を含む分散媒体を得た。
【0044】
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、開始剤2,2′−アゾビスイソブチロニトリル10部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。前記ホモミキサーの2Lフラスコ中で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後バドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で3時間反応させた後、80℃で10時間反応させた。重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩酸を加えて、Ca3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗乾燥することにより、重合トナーを得た。
【0045】
作製したトナーの評価
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.1μmを有していた。実施例1と同様にトナー表面をSEMにより観察したところ、実施例1と同様に顔料粒子は観察されなかった。さらに、実施例1と同様に粒子の断面をTEMにより観察したところ、実施例1と同様のカプセル構造が確認され、スチレン−アクリル樹脂層には約25〜100nmの顔料粒子が均一に微分散されており、ワックスの界面に顔料粒子の堆積が観察されなかった。
【0046】
実施例1と同様に現像剤を作製したところ、帯電量は−19.0μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様の画像出しを行った。得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもかぶりの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。
【0047】
(比較例1)
顔料ペーストの作製例3
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストdを作製した。
【0048】
トナーの作製例3
トナーの作製例1と同様にCa3 (PO4)2 を含む分散媒体を得た。
【0049】
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに実施例1と同様に開始剤を加え、造粒および重合、洗浄、乾燥を経て、重合トナーを得た。
【0050】
作製したトナーの評価
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.4μmを有していた。実施例1と同様にトナー表面をSEMにより観察したところ、約50〜100nmの粒径をもつ顔料粒子が多数観察された。さらに、実施例1と同様に粒子の断面をTEMにより観察したところ、実施例1と同様のカプセル構造が確認されたが、ワックスがトナー表面に飛び出したものが若干認められた。また、スチレン−アクリル樹脂層には約50〜100nmの顔料粒子が均一に微分散されていたが、ワックスとの界面に顔料粒子が多数堆積しているのが観察された。
【0051】
実施例1と同様に現像剤を作製したところ、帯電量は−13.9μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様の画像出しを行った。得られた画像はトナー載り量も適当であったが、若干のかぶりが発生した。また、高温高湿(30℃/75%)環境下では、かぶりが悪化するのが観察され、実施例1のトナーに比べ、トナーの環境特性に劣っていることが明らかになった。一方、OHPシート上への画像出しでは、実施例1と同様の透明性が確認された。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、トナー中の顔料を微分散させ、着色力、透明性にすぐれたトナーの製造方法を提供することができた。さらに、水系の重合トナーの製造方法において、トナー表面に着色剤の浮きだしがなく、帯電性や環境安定性に優れたトナーの製造方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷の如き画像形成方法において、静電荷像を現像するためのトナー、またはトナージェット方式の画像形成方法におけるトナー像を形成するためのトナーの製造方法に関し、特にトナーで形成されたトナー像を転写材の如きプリントシートに加熱加圧定着させる定着方式に供されるトナーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録体上の電気的、あるいは磁気的潜像を顕像化するために、トナーといった検電性、あるいは感磁気性の微粒子を該潜像に吸着させて可視像とする画像形成方法がある。その代表的なものとしては電子写真法が挙げられ、例えば米国特許2、297、691号明細書に記載されているように、多数の方法が知られている。この電子写真法においては、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成し、必要に応じて紙などの転写材にこのトナー画像を転写した後、加熱、加圧、あるいは溶剤蒸気を用いてトナー画像を転写材料に定着することにより、複写物を得るといったものである。近年、上述の技術がその印字品質の高さ、静粛性といったことからコンピューター、ワードプロセッサー等の出力手段、いわゆるプリンターに使用されるようになっている。通常、プリンター及び若しくは複写機に使用されるトナーは、主成分が樹脂及び磁性体、カーボンブラック、染料、顔料等の着色剤、及びワックス類からなる微粒子であり、通常その粒径は6−30μmの範囲である。トナーは、一般に熱可塑性樹脂中に染顔料あるいは磁性体からなる着色剤を混合、溶融し、着色剤を均一に分散させた後、微粉砕、分級する事により所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。この方法は技術として比較的安定しており、各材料、各工程の管理も比較的容易に行うことができる。一方、重合法によるトナーの製造方法、いわゆる懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、例えば特公昭36−10231号公報、特公昭51−14895号公報、特開昭53−177735号公報、特開昭53−17736号公報、及び特開昭53−17737号公報に記載されている。この方法は、結着樹脂、染料、顔料などの着色剤、例えば磁性体、カーボンブラック、帯電制御剤、ワックスやシリコーンオイルなどの離型剤等トナー中に内包すべき物質を必要に応じて重合開始剤や分散剤とともに重合性単量体中に溶解、あるいは分散させて重合性組成物とし、分散安定剤を含有する水系連続相に分散装置を使用して分散させ、微粒子の分散体とし、この分散体を重合させて固化する事によって所望の粒径、組成を有するトナー粒子を得るものである。この方法は粉砕工程が無いためエネルギーの節約、工程収率の向上、コスト削減といった効果が期待されるものである。
【0003】
印字品質を高める方法としては前述のトナーの粒子径を小さくし、前述の潜像を細かく忠実に再現するための技術が盛んに検討されている。粒子径を小さくすると、単位面積あたりのトナー消費量を少なくすることが可能である一方、転写材上のトナー層厚が薄くなるために、トナー単位体積あたりの着色力を上げる必要がある。その手段としては、着色剤である染顔料の仕込量をアップすることが一般的であるが、さらに染顔料自体の着色力をアップし、OHPの透過性を向上させる手段として、トナー内部の染顔料の分散性を向上させることが盛んに研究されている。一般に顔料トナーにおいては顔料と樹脂とをなじみやすくするために、あらかじめ顔料の表面処理を行っている。前記重合トナーの製造方法においては、顔料を重合性単量体中に機械的剪断力をかけて分散させ、顔料分散剤を顔料表面に吸着させることで顔料の再凝集を防いでいる。顔料分散剤はその機能を発揮するためには、分子中に顔料に強固に吸着する化学構造と、顔料分散の際に用いる溶媒や樹脂への親和性をもち、顔料の再凝集を防ぐための立体障害となりうる化学構造が必要である。フタロシアニン系顔料や、カーボンブラックなどには、フタロシアニン系色素の誘導体が広く用いられている。さまざまな溶媒や樹脂に対して汎用性をもたせるために、顔料吸着性をもつものと、溶媒や樹脂への親和性をもち立体障害となりうる樹脂材料等を分けて添加し、それぞれを酸塩基相互作用により結合させて顔料分散剤としての機能を発現させているのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような2成分系の顔料分散剤を用いる場合には、両者を結合している酸塩基による結合を切断しない条件で顔料分散体を作製し、その条件を維持することが必要であり、特に水系の溶媒での顔料分散においては、溶媒のpHや添加樹脂の官能基等にも十分な注意が必要となる。また、両者が解離した状態で顔料分散を行った場合でもフタロシアニン誘導体の極性基の作用によりある程度の分散状態は得られるが、乾燥、成型、重合反応等の後工程における顔料の再凝集、特に水系での重合法トナーの製造方法においては、顔料表面の極性基の存在により、トナー表面への顔料の浮きだしが生じ、帯電性や環境安定性に問題を生じる場合がある。
【0005】
したがって本発明は上記の問題点を解決したトナーの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、トナー中の顔料を微分散させ、着色力、透明性にすぐれたトナーの製造方法を提供することにある。
【0007】
また本発明の目的は、水系の重合トナーの製造方法において、トナー表面に着色剤の浮きだしがなく、帯電性や環境安定性に優れたトナーの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成することができる。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも顔料および樹脂を含有するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0010】
また、本発明は少なくとも顔料を分散させた重合性単量体組成物を光、または熱により重合反応させ、トナーを作製するトナーの製造方法であって、該顔料は化式1または化式2で表される顔料分散剤によりあらかじめ表面処理されてなることを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の特徴は、着色剤である顔料に吸着するためのフタロシアニン系の分子骨格と、熱によりラジカルを発生する官能基を有し、重合過程において、顔料粒子表面からポリマーが成長し、顔料の凝集を防いでいる点にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用できる顔料分散剤は化式1または化式2の構造を有しており、化式1または化式2におけるR1〜R4は少なくとも1個が置換基Xであるが、置換基Xの数は前記溶媒との親和性を強める一方で、顔料への吸着力を阻害する場合があるため、1または2個が置換基Xであることがより好ましい。その他の置換基はHである。また、化式2中の金属Mは2価の金属あるいは3〜4価の置換金属またはオキシ金属であり、例えばCu、Al、Fe、Co、Ni、Zn、Mg、Mn、Pd等の金属、TiCl2、SnCl2などの金属塩化物、TiO、MnOなどの金属酸化物等が挙げられる。
本発明に用いることができる置換基Yとしては、重合時の温度により分解し、ラジカル、アニオン、またはカチオンを発生する官能基を有するものであれば何でも良い。例えば、アゾ基、過酸化基、過硫酸基、ケト基(αジケト基)等が挙げられる。
【0014】
本発明の顔料の表面処理方法としては、化式1または化式2の顔料分散剤を含有すること以外は公知の組成、すなわち、顔料、樹脂、顔料分散剤、その他添加剤、溶媒からなるものが使用可能であり、製造方法としても公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒中に顔料分散剤および、必要に応じて樹脂を溶かし込み、攪拌しながら顔料粉末を徐々に加え十分に溶媒になじませる。さらにボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料粒子表面に顔料分散剤を吸着させ、顔料を安定に微分散することができる。粉砕トナーの場合にはここで得られた顔料分散ペーストをトナーバインダーである樹脂と他の添加剤とともに混合し、熱および機械的剪断力により溶融混練し分散させることが可能であり、粉砕分級工程を経てトナーとする。一方、水系の重合法トナー、特に懸濁重合法トナーの製造方法においては、重合性単量体を用いた顔料分散ペーストを重合開始剤とともに、トナー粒子を分散させる分散剤を含有する水系溶媒中に添加し、光や熱により重合反応させトナー粒子を得ることができる。
【0015】
本発明に用いることのできる顔料としては、公知の顔料が利用できるが、特にフタロシアニン系顔料およびカーボンブラック等の有色顔料に好ましく用いられる。
【0016】
本発明の顔料の表面処理に用いることのできる溶媒としては、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサンテトラヒドロフラン等のエーテル類、メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等が挙げられる。またこれらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。
【0017】
また、該溶媒が重合性単量体であることにより、本発明は好適に達成できる。
【0018】
本発明に用いることができる重合性単量体は、付加重合系あるいは縮合重合系単量体である。好ましくは、付加重合系単量体である。具体的にはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n− ヘキシルスチレン、p−n− オクチルスチレン、p−n− ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ピプロピル、メタクリル酸−n− オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロぺニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などを挙げることが出来る。
【0019】
本発明の顔料分散剤の製造方法としては、公知の手法が利用可能である。フタロシアニン骨格中の4個のベンゼン核の水素の反応性を利用して、クロロ化やスルホン化して誘導体を合成する手法があるが、より好ましくは、フタロシアニンの原料としてトリメリト酸無水物および無水フタル酸を用いることにより、容易にカルボキシル化フタロシアニンが合成できる。このカルボキシル基は酸ハロゲン化物をへて、Friedel−Crafts反応などによりハロゲンを容易にアルキル基に置換することができる。例えば、ポリスチレン基の導入に際しては、フェニル基のパラ位の水素は無水塩化アルミニウム存在下で容易に置換され、目的物を得ることができる。
【0020】
本発明の顔料分散剤により表面処理された顔料の添加量は、トナーバインダーまたは重合性単量体100部当たり3〜20部添加することが好ましい。
【0021】
本発明のトナーの製造方法に用いる重合開始剤としては公知の重合開始剤を挙げることができる。具体的には、2、2−アゾビスイソブチロニトリル、2、2−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2、2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1、1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2、2−アゾビスイソブチレート、4、4−アゾビス−4−シアノバレル酸、2、2−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アルカリ金属、金属水酸化物、グリニャール試薬等の求核試薬、プロトン酸、ハロゲン化金属、安定カルボニウムイオン等が挙げられる。重合開始剤の濃度は単量体に対して0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
【0022】
本発明の重合法トナーの製造方法に用いる連鎖移動剤としては公知の連鎖移動剤を挙げることができる。
【0023】
更に本発明では様々な特性付与を目的として、以下に示すようなトナーの添加剤を用いることもできる。
【0024】
トナーの摩擦帯電特性を安定化するために、あらかじめ樹脂粒子に荷電制御剤を含有させておいても良い。この場合、トナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。樹脂粒子の作製に重合法を用いる場合には、重合阻害性がない荷電制御剤が特に好ましい。具体的には、ネガ系制御剤としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等の金属化合物;スルホン酸、カルボン酸を側鎖にもつ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が好ましい。ポジ系制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましい。これら荷電制御剤は、結着樹脂100部に対し0.5乃至10部添加することが好ましい。
【0025】
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等)が好適に用いられる。これらは疎水化処理を行ったものがより好ましい。研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)が好適に用いられる。滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッカビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)が好適に用いられる。荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)、カーボンブラック等が好適に用いられる。
【0026】
これらの流動付与剤は、トナー粒子100部に対し0.1乃至10部用いられ、好ましくは0.1乃至5部が用いられる。これらの添加剤は、単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
【0027】
本発明のトナーは一成系分現像剤として用いることもできるし、キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることもできる。
【0028】
本発明で使用する摩擦帯電量の測定方法を記載する。トナーとキャリアを現像剤化するとき適当な混合量(2〜15重量%)となるように混合し、ターブラミキサーで180秒混合する。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、摩擦帯電量を下記式を用いて算出する。
【0029】
Q(μC/g)=(C×V)/(W1−W2)
(式中W1は吸引前の重量でありW2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施例をもって説明するが本発明は実施例によって制限されるものではない。なお、実施例中で使用する部はすべて重量部を示す。
【0031】
(実施例1)
顔料分散剤の製造例1
以下に示す方法により(化式3)の構造を有する顔料分散剤の合成を行った。
【0032】
(1)カルボキシアミド化Cuフタロシアニンの合成
トリメリト酸無水物116.4g(0.606mol), 無水フタル酸 269.1g(1.818mol), 尿素 932.9g(15.55mol), CuCl2 78.4g(0.583mol), モリブデン酸アンモン 9.2g(7.4mmol), ニトロベンゼン 7L を10L反応容器に仕込み、150〜170℃で3時間撹拌させた。析出した結晶を濾取し、ニトロベンゼン臭がなくなるまでメタノール洗浄した。その後、水洗、メタノール洗浄し、これを60℃で24時間減圧乾燥させ、目的物293.9gをえた。
【0033】
(2)カルボキシル化Cuフタロシアニンの合成
カルボキシアミド化Cuフタロシアニン 292.9g, 水酸化カリウム477.5g(7.25mol), 水 198ml, トリエチレングリコール3L を5L反応容器に仕込み、120℃で24時間撹拌させた。室温に冷却し、結晶を濾取し、熱水で洗浄した。この結晶を水に懸濁させた後、6N塩酸でpH1にした。結晶を濾過し、希塩酸で洗浄した後、メタノール洗浄し、これを60℃で24時間減圧乾燥させ、目的物161.5gを得た。
【0034】
(3)酸塩素化Cuフタロシアニン誘導体の合成
カルボキシル化Cuフタロシアニン40.0g, トルエン400ml, 塩化チオニル120mlを反応容器に仕込み、次いでピリジン2mlを滴下し、10時間還流を行った。反応物はエバポレータにより濃縮し、目的物50.2g を得た。
【0035】
(4)Cuフタロシアニン−アゾ基誘導体の合成
トルエン500ml、THF500ml、4’,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)30.0g、酸塩素化Cuフタロシアニン誘導体50gを反応容器に仕込み、撹拌しながらTEA20mlを添加し、室温で1時間撹拌した。メタノール2Lを加えて反応を停止させ、メタノールで洗浄濾過を繰り返し、室温で12時間減圧乾燥を行い、目的物37.0gを得た。この最終生成物のIRスペクトルおよび元素分析、質量分析を行ったところ、1個のCuフタロシアニン骨格あたり1個から2個のアゾ基が付加していることがわかった。
【外5】
【0036】
[(M;Cu、R1〜R4中に平均1〜2個の置換基Xが導入された混合物(その他はH)]
顔料ペーストの作製例1
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストaを作製した。
【0037】
トナーの作製例1
イオン交換水710部に0.1M−Na3PO4 水溶液450部を投入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて11,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2 水溶液70部を徐々に添加し、Ca3 (PO4)2 を含む分散媒体を得た。
【0038】
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、開始剤2,2′−アゾビスイソブチロニトリル10部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。前記ホモミキサーの2Lフラスコ中で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後バドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で3時間反応させた後、80℃で10時間重合させた。重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩酸を加えて、Ca3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗乾燥することにより、重合トナーを得た。
【0039】
作製したトナーの評価
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.5μmを有していた。トナー表面を電子走査型顕微鏡(SEM)により観察したところ、顔料粒子は観察されなかった。さらに、粒子の断面を染色超薄切片法により透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、スチレン−アクリル樹脂を主体とする表層部とワックスを主体とする中心部に分かれており、カプセル構造が確認された。また、スチレン−アクリル樹脂層には約50〜100nmの顔料粒子が均一に微分散されており、ワックスの界面に顔料粒子の堆積が観察されなかった。
【0040】
得られたトナー100部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.6部を外添した。このトナー7部に対し、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体で表面被覆した、粒径45μmのフェライトキャリア93部を混合し、現像剤とした。得られた現像剤1gをブローオフ法により帯電量を測定したところ、−21.5μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて画像出しを行った。現像条件は温度23℃/湿度60%RHの環境下で現像コントラスト300Vで行なった。得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもかぶりの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。また、OHPシートに同様に画像出しを行い、OHPにて投影してみたところ、透明性の高いシアン色の投影画像が得られた。
【0041】
(実施例2)
顔料分散剤の製造例2
製造例1で用いた4’,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)30.0gの代わりに、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル] 21.0gを用いた以外は製造例1と同様に合成を行い、(化式6)の構造を有する顔料分散剤30.5gを得た。
【外6】
【0042】
[M;Cu、R1〜R4中に平均1〜2個の置換基Xが導入された混合物(その他はH)]
顔料ペーストの作製例2
スチレンモノマー 320部
n−ブチルアクリレート 80部
化式7の顔料分散剤 4部
カーボンブラック 20部
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストbを作製した。
【0043】
トナーの作製例2
トナーの作製例1と同様にCa3 (PO4)2 を含む分散媒体を得た。
【0044】
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、開始剤2,2′−アゾビスイソブチロニトリル10部を加えて溶解し、単量体組成物を調製した。前記ホモミキサーの2Lフラスコ中で調製した分散媒に、上記単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気としたTKホモミキサーを用いて10000rpmで20分間撹拌し、単量体組成物を造粒した。その後バドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃で3時間反応させた後、80℃で10時間反応させた。重合反応終了後、反応生成物を冷却し、塩酸を加えて、Ca3(PO4)2を溶解し、濾過・水洗乾燥することにより、重合トナーを得た。
【0045】
作製したトナーの評価
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.1μmを有していた。実施例1と同様にトナー表面をSEMにより観察したところ、実施例1と同様に顔料粒子は観察されなかった。さらに、実施例1と同様に粒子の断面をTEMにより観察したところ、実施例1と同様のカプセル構造が確認され、スチレン−アクリル樹脂層には約25〜100nmの顔料粒子が均一に微分散されており、ワックスの界面に顔料粒子の堆積が観察されなかった。
【0046】
実施例1と同様に現像剤を作製したところ、帯電量は−19.0μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様の画像出しを行った。得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもかぶりの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。
【0047】
(比較例1)
顔料ペーストの作製例3
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストdを作製した。
【0048】
トナーの作製例3
トナーの作製例1と同様にCa3 (PO4)2 を含む分散媒体を得た。
【0049】
これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに実施例1と同様に開始剤を加え、造粒および重合、洗浄、乾燥を経て、重合トナーを得た。
【0050】
作製したトナーの評価
得られたトナーの粒径をコールターカウンターで測定したところ、重量平均径8.4μmを有していた。実施例1と同様にトナー表面をSEMにより観察したところ、約50〜100nmの粒径をもつ顔料粒子が多数観察された。さらに、実施例1と同様に粒子の断面をTEMにより観察したところ、実施例1と同様のカプセル構造が確認されたが、ワックスがトナー表面に飛び出したものが若干認められた。また、スチレン−アクリル樹脂層には約50〜100nmの顔料粒子が均一に微分散されていたが、ワックスとの界面に顔料粒子が多数堆積しているのが観察された。
【0051】
実施例1と同様に現像剤を作製したところ、帯電量は−13.9μC/gであった。この現像剤を用いてキヤノン製フルカラー複写機CLC−500改造機を用いて実施例1と同様の画像出しを行った。得られた画像はトナー載り量も適当であったが、若干のかぶりが発生した。また、高温高湿(30℃/75%)環境下では、かぶりが悪化するのが観察され、実施例1のトナーに比べ、トナーの環境特性に劣っていることが明らかになった。一方、OHPシート上への画像出しでは、実施例1と同様の透明性が確認された。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、トナー中の顔料を微分散させ、着色力、透明性にすぐれたトナーの製造方法を提供することができた。さらに、水系の重合トナーの製造方法において、トナー表面に着色剤の浮きだしがなく、帯電性や環境安定性に優れたトナーの製造方法を提供することができた。
Claims (3)
- 懸濁重合法を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2003135327A JP2004341084A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | トナーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003135327A JP2004341084A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | トナーの製造方法 |
Publications (1)
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JP2004341084A true JP2004341084A (ja) | 2004-12-02 |
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ID=33525618
Family Applications (1)
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JP2003135327A Withdrawn JP2004341084A (ja) | 2003-05-14 | 2003-05-14 | トナーの製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004341084A (ja) |
-
2003
- 2003-05-14 JP JP2003135327A patent/JP2004341084A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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