JP2004177889A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒度分布がシャープで、着色力及び着色効率に優れ、トナー粒子内に顔料が均一に微分散され、帯電特性に優れたトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】顔料に吸着するポルフィリン類骨格Xと、解離してラジカルまたはアニオンまたはカチオンを生成する反応性基Yを少なくとも含有する置換基Zとを有する顔料分散剤と、重合性単量体とを含む単量体組成物を、有機溶媒と高分子分散安定剤とを含有する反応媒体中に添加し、重合性単量体を溶解、重合してトナー粒子を得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電印刷の如き画像形成方法において、静電荷像を現像するためのトナー、またはトナージェット方式の画像形成方法におけるトナー像を形成するためのトナーの製造方法に関し、特にトナーで形成されたトナー像を転写材の如きプリントシートに加熱加圧定着させる定着方式に供されるトナーの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録体上の電気的、或いは磁気的潜像を顕像化するために、トナーといった検電性、或いは感磁気性の微粒子を該潜像に吸着させて可視像とする画像形成方法がある。その代表的なものとしては電子写真法が挙げられ、例えば特許文献1に記載されているように、多数の方法が知られている。この電子写真法においては、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像してトナー像を形成し、必要に応じて紙などの転写材にこのトナー画像を転写した後、加熱、加圧、或いは溶剤蒸気を用いてトナー画像を転写材料に定着することにより、複写物を得るといったものである。
【0003】
近年、上述の技術がその印字品質の高さ、静粛性といったことからコンピューター、ワードプロセッサー等の出力手段、いわゆるプリンターに使用されるようになっている。印字品質を高める方法としては前述のトナーの粒子径を小さくし、前述の潜像を細かく忠実に再現するための技術が盛んに検討されている。通常、プリンター及び若しくは複写機に使用されるトナーは、主成分が樹脂及び磁性体、カーボンブラック、染料、顔料等の着色剤、及びワックス類からなる微粒子であり、通常その粒径は6〜30μmの範囲である。トナーは、一般に熱可塑性樹脂中に染顔料或いは磁性体からなる着色剤を混合、溶融し、着色剤を均一に分散させた後、微粉砕、分級することにより所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。この方法は技術として比較的安定しており、各材料、各工程の管理も比較的容易に行うことができるが、その粒径が樹脂の機械的粉砕に依存しているため、6μm以下などと粒径を細かくしようとすれば収率が極端に低下する。なぜなら、電子写真に用いるために該トナーを摩擦帯電部材により帯電させる場合、粒子径が小さいほど帯電量が高くなるという性質から、トナーに均一帯電を行うために粒度分布をシャープにする必要が生じ、分級工程において多量の微粉及び粗粉の除去が必要となるためである。
【0004】
近年、上述の欠点を改善したものとして重合法によるトナーの製造方法、いわゆる懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、例えば特許文献2乃至6に記載されている。この方法は、結着樹脂、染料、顔料などの着色剤、例えば磁性体、カーボンブラック、帯電制御剤、ワックスやシリコーンオイルなどの離型剤等トナー中に内包すべき物質を必要に応じて重合開始剤や分散剤とともに重合性単量体中に溶解、或いは分散させて重合性組成物とし、分散安定剤を含有する水系連続相に分散装置を使用して分散させ、微粒子の分散体とし、この分散体を重合させて固化することによって所望の粒径、組成を有するトナー粒子を得るものである。この方法は粉砕工程が無いためエネルギーの節約、工程収率の向上、コスト削減といった効果が期待されるものであるが、撹拌状態、製造スケールといった製造条件によって製造物の粒径分布が変動し粒径分布が比較的広がったものが得られる場合が多く、且つさらに高画質、高精細な複写画像を得るために要求される所望の粒度分布に調節するための分級工程を行う場合が多い。
【0005】
さらに粒径分布のシャープな重合法トナーを製造する方法として、例えば、特許文献7乃至11で提案されているいわゆる分散重合法を用いる方法がある。これは非水系の溶媒中において高分子安定剤と単量体及び開始剤、着色剤、荷電制御剤等を溶解させた均一系から重合反応を熱或いは光等で開始させ、粒子の核となるものを生成し、その粒子がそれぞれ成長することによって粒度分布の揃ったトナー粒子を製造する方法である。分散重合法は粒径1〜10μm程度の単分散粒子を作製する有力な方法とされている。粒度分布が非常にシャープなため、トナーの帯電量分布もシャープとなり、現像におけるドット再現性、転写の忠実性、定着性が他法と比べ優れている。しかし分散重合法は、その粒子形成機構により反応系内の不純物を排除しやすいという特徴を持っており、電子写真用トナーの製造方法として用いる場合には、反応系内に不溶となりやすい顔料などの着色剤が入りにくいことが欠点となってしまう。
【0006】
近年そのことを改善するべく、いくつかの提案がなされている。例えば、特許文献12においては顔料粒子の表面を粒子に取り込まれやすいように処理するという提案がなされている。これによれば、顔料分散剤にラジカル重合性基を有するものを用いることによって、粒子内部に顔料を含有する粒子径の揃ったトナー粒子が得られると記載されている。しかし、実際はわずかに粒子に取り込むことができている状況であって、更なる着色効率の向上が望まれている。
【0007】
また、従来の方法で着色を行う場合には重合反応初期における顔料の取り込み効率が悪いため、結果的に顔料が表面近傍に多く付着したようなものとなりやすく、顔料の種類によってはトナー表面の環境特性が悪く帯電制御しにくい場合があった。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第2,297,691号明細書
【特許文献2】
特公昭36−10231号公報
【特許文献3】
特公昭51−14895号公報
【特許文献4】
特開昭53−177735号公報
【特許文献5】
特開昭53−17736号公報
【特許文献6】
特開昭53−17737号公報
【特許文献7】
特公平6−17373号公報
【特許文献8】
特開昭61−18965号公報
【特許文献9】
特開昭61−18966号公報
【特許文献10】
特開昭61−228458号公報
【特許文献11】
特開昭62−73276公報
【特許文献12】
特許第2633383号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決したトナーの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、粒度分布がシャープで且つ、着色力の優れたトナーの製造方法を提供することにある。
【0011】
また本発明の目的は、着色効率に優れた単分散トナーの製造方法を提供することにある。
【0012】
また本発明の目的は、粒子内に顔料が均一に微分散されたトナーの製造方法を提供することにある。
【0013】
さらに本発明の目的は、帯電特性に優れた単分散トナーの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成することができる。
【0015】
本発明は、重合性単量体と顔料と顔料分散剤を少なくとも含有する単量体組成物を、少なくとも有機溶媒と高分子分散安定剤とを有する反応媒体中に添加し、該反応媒体中で少なくとも該重合性単量体を溶解して重合し、生成した重合体を該反応媒体中から析出させてトナー粒子を生成するトナーの製造方法であって、該顔料分散剤が、少なくともポルフィリン類骨格Xと、解離してラジカルまたはアニオンまたはカチオンを生成する反応性基Yを少なくとも含有する置換基Zとを有することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の特徴は、顔料分散剤が、顔料に強固に吸着するポルフィリン類骨格Xと、重合反応過程において解離してラジカル、アニオン、またはカチオン等を生成する反応性基Yを有する置換基Zとを有していることにある。この顔料への強固な吸着と、反応性基Yの働きにより、重合反応の初期過程、或いは粒子形成過程において、顔料を積極的に粒子内部に均一に取り込ませることが可能となったと考えられる。
【0018】
本発明のトナーの製造方法は、顔料の分散工程において、本発明の顔料分散剤を用いること以外は公知の方法が利用可能である。例えば、重合性単量体中に顔料分散剤及び必要に応じて高分子安定剤、その他添加物を溶かし込み、攪拌しながら顔料粉末を徐々に加え十分に溶媒になじませる。さらにボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料粒子表面に顔料分散剤を吸着させ、顔料を安定に微分散させた単量体組成物を得る。次いで該組成物を有機溶媒、高分子分散安定剤等からなる反応媒体と混合し、重合開始剤を添加し、緩やかに撹拌させながら光や熱により重合体を析出させ、着色重合トナー粒子を得る方法である。
【0019】
本発明に用いられる顔料分散剤が有するポルフィリン類骨格Xは、具体的にはポルフィン類、アザポルフィン類、またはそれらの誘導体が挙げられるが、中でもフタロシアニンの骨格を有するものが最も好ましい。
【0020】
また、Xの中心部は金属または含金属化合物で置換されていてもよく、2価の金属或いは3〜4価の置換金属またはオキシ金属であり、例えばCu、Al、Fe、Co、Ni、Zn、Mg、Mn、Pd等の金属、TiCl、SnClなどの金属塩化物、TiO、MnOなどの金属酸化物等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる顔料分散剤は、置換基Zの構成要素として、ラジカル、アニオン、またはカチオンを生成する反応性基Yを有していることが必要である。具体的には、重合開始剤として機能する基、例えば、熱や光によりラジカル、カチオン、及びアニオン等を発生する基が挙げられる。このようなものとしては、例えば、アゾ基、過酸化基(パーオキシ基)、ケト基(α−ジケト基)、及び過硫酸基等の重合開始基が含まれる。反応性基Yは通常、ラジカル発生基である。尚、これらの反応性基Yの反応性を発揮するものとしては、下記式(1)で示されるような対象構造を有するものが有効である。
【0022】
置換基Z:−A−Y−B (1)
【0023】
上記式中、反応性基Yは−R−D−R−であり、Dは解離性基を示し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、アルキレン基またはフェニル基を示す。例えば、シアノ基、ハロゲン基、アミノ基等の電子吸引性基が挙げられる。
【0024】
上記式(1)において、Dがアゾ基(−N=N−)の場合、Rは該アゾ基の隣接炭素原子にメチル基及びシアノ基を有する炭素数1〜4のアルキレン(メチレン基を含む)基が好ましい。また、Dが過酸化基(−O−O−)の場合、Rは該過酸化基の隣接炭素原子にメチル基を有するアルキル基(例えば、1,1−ジメチル−1−フェニルメチル基、1,1−ジメチルエチル基等)が好ましい。尚、Dが、下記に示すエステル型の過酸化基である場合、Rは、フェニル基または長鎖アルキル基(例えば、ラウリル基等)であってもよく、Dが下記に示すジケト基の場合、Rはフェニル基であってもよい。
【0025】
【化1】
Figure 2004177889
【0026】
また、本発明に用いられる顔料分散剤を構成する置換基Zの基本骨格がオリゴマー或いはポリマーであることにより、さらに好ましく本発明の目的が達成される。本発明に用いられる有機溶媒と高分子分散安定剤を含有する反応媒体及び重合性単量体に親和性を示すものであればよく、公知のオリゴマーまたはポリマーに反応性基Yを有する置換基が付加、またはグラフトしていればよい。特にスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、またはそれらの誘導体の重合体またはこれらの共重合体の構造を有するものが有効である。反応性基Yを有する置換基を導入する際は、基本骨格のオリゴマーまたはポリマーに、あとから付加反応させてもよいし、反応性基をもったモノマーを共重合させてもよい。また、顔料分散剤が、本発明で使用する高分子分散安定剤を構成する繰り返し単位の少なくとも1種の構造を有することでさらに好ましく本発明の目的を達成することができる。置換基Zの基本骨格の具体例としては、ポリスチレン、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸等のポリスチレン誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル類、ポリビニルアセタール類、ポリカルボン酸ビニル類、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポリ−2−アルキル−2−オキサゾリン類、ポリビニルホルムアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン類、セルロース誘導体などを挙げることができる。
【0027】
本発明に用いられる顔料分散剤を構成するオリゴマー或いはポリマーの数平均分子量は300乃至30000であることが好ましく、高分子安定剤の数平均分子量と同等或いはそれ以下が好ましい。数平均分子量が300よりも小さくても実質上問題はないが、顔料分散液の安定性の観点からは300以上が好ましい。30000より大きいと顔料分散剤の顔料への吸着性が阻害され、分散効果に支障がある。またトナー粒子中への取り込み性が低下し、トナーの着色力が得られにくくなる。
【0028】
本発明で使用する顔料分散剤の製造方法としては特に制限されず、反応によって得られた化合物が、前記構造に対応する部位を有していればよい。
【0029】
本発明のトナーの製造方法に用いることのできる重合性単量体は、付加重合系或いは縮合重合系単量体である。好ましくは、付加重合系単量体である。具体的にはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロぺニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などを挙げることが出来る。
【0030】
本発明に用いることのできる顔料としては、公知の顔料が利用できるが、特にフタロシアニン系顔料及びカーボンブラック等の有色顔料が好ましく用いられる。顔料の添加量は、重合性単量体100質量部当たり5〜20質量部添加することが好ましい。
【0031】
本発明のトナーの製造方法に用いることのできる有機溶媒は、主として単量体及び重合体の溶解性から決められるものである。具体的には、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル類、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、ジメチルグリコール、トリオキサンテトラヒドロフラン等のエーテル類、メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄、窒素含有有機化合物類等から選ばれる。またこれらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。溶媒に対する前記重合性単量体濃度は、溶媒に対して1質量%〜80質量%、好ましくは10質量%〜65質量%である。
【0032】
本発明のトナーの製造方法に用いる高分子分散安定剤としては公知のものが使用可能である。具体例としては、ポリスチレン、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸等のポリスチレン誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル類、ポリビニルアセタール類、ポリカルボン酸ビニル類、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポリ−2−アルキル−2−オキサゾリン類、ポリビニルホルムアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン類、セルロース誘導体などを挙げることができる。2種類以上の高分子分散安定剤を同時に用いてもよいし、共重合体でもよい。
【0033】
特に好ましくは、高分子分散安定剤が下記式(2)乃至(5)のいずれかで示される構造を有する少なくとも1種の繰り返し単位を含むポリマーであるものが顔料の取り込み性に特に効果があり、トナーの着色力向上、顔料の取り込み効率が飛躍的に向上する。
【0034】
【化2】
Figure 2004177889
【0035】
高分子分散安定剤はその数平均分子量が5000乃至50000の範囲で効果を生じる。数平均分子量が50000を超えると反応媒体の粘度が高くなり過ぎ、粒度分布がばらつき易い。また、数平均分子量が5000より小さい場合でも析出する粒子の分散安定効果が得られないために良好な粒度分布が得られない。
【0036】
また、高分子分散安定剤の濃度は前記有機溶媒に対して0.1〜50質量%が好ましい。より好ましくは0.1〜30質量%である。
【0037】
本発明のトナーの製造方法に用いる重合開始剤としては公知の重合開始剤を挙げることができる。具体的には、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート、4,4−アゾビス−4−シアノバレル酸、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アルカリ金属、金属水酸化物、グリニャール試薬等の求核試薬、プロトン酸、ハロゲン化金属、安定カルボニウムイオン等が挙げられる。重合開始剤の濃度は重合性単量体に対して0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0038】
また、本発明のトナーの製造方法には、必要に応じて公知の連鎖移動剤を用いることができる。
【0039】
さらに本発明により得られるトナーには、以下に示すような添加剤を用いることもできる。
【0040】
トナーの摩擦帯電特性を安定化するために、予めトナー粒子に荷電制御剤を含有させておいても良い。この場合、トナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。トナー粒子の作製に重合法を用いる場合には、重合阻害性がない荷電制御剤が特に好ましい。具体的には、ネガ系制御剤としては、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸等の金属化合物;スルホン酸、カルボン酸を側鎖にもつ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が好ましい。ポジ系制御剤としては、四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が好ましい。これら荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対し0.5乃至10質量部となるように、添加することが好ましい。
【0041】
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等)が好適に用いられる。これらは疎水化処理を行ったものがより好ましい。研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素等)、炭化物(炭化ケイ素等)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)が好適に用いられる。滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等)が好適に用いられる。荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)、カーボンブラック等が好適に用いられる。
【0042】
これらの添加剤は、トナー粒子100質量部に対し0.1乃至10質量部用いられ、好ましくは0.1乃至5質量部が用いられる。これらの添加剤は、単独で使用しても良いし、複数を併用しても良い。
【0043】
本発明により得られるトナーは一成系分現像剤として用いることもできるし、キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることもできる。
【0044】
本発明により得られるトナーの摩擦帯電量の測定方法を記載する。
【0045】
トナーとキャリアを現像剤化する時に適当な混合量(トナーが2〜15質量%)となるように混合し、ターブラミキサーで180秒混合する。この時、1成分現像剤用トナーの場合には標準キャリアとしてTEFV(パウダーテック社製)を用いる。この混合粉体(現像剤)を底部に635メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の質量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、摩擦帯電量を下記式を用いて算出する。
【0046】
Q〔μC/g〕=(C×V)/(W−W
(上記式中、Wは吸引前の質量でありWは吸引後の質量であり、Cはコンデンサーの容量、Vはコンデンサーに蓄積された電位である。)
【0047】
以下に、本発明の実施態様の例を示す。
【0048】
〔実施態様1〕
重合性単量体と顔料と顔料分散剤を少なくとも含有する単量体組成物を、少なくとも有機溶媒と高分子分散安定剤とを含有する反応媒体中に添加し、該反応媒体中で少なくとも該重合性単量体を溶解して重合し、生成した重合体を該反応媒体中から析出させてトナー粒子を生成するトナーの製造方法であって、
該顔料分散剤が、少なくともポルフィン類骨格Xと、解離してラジカルまたはアニオンまたはカチオンを生成する反応性基Yを少なくとも含有する置換基Zとを有することを特徴とするトナーの製造方法。
【0049】
〔実施態様2〕
該ポルフィン類骨格Xが、置換されていてもよいフタロシアニンまたは金属フタロシアニンであることを特徴とする実施態様1のトナーの製造方法。
【0050】
〔実施態様3〕
該置換基Zがオリゴマーまたはポリマーであることを特徴とする実施態様1または2のトナーの製造方法。
【0051】
〔実施態様4〕
該置換基Zが前記高分子分散安定剤を構成する繰り返し単位の少なくとも1種の構造を有することを特徴とする実施態様3のトナーの製造方法。
【0052】
〔実施態様5〕
該置換基Zおよび該高分子分散安定剤を構成する繰り返し単位が下記式(2)乃至(5)のいずれかで示される構造を有する少なくとも1種の繰り返し単位を含む実施態様4のトナーの製造方法。
【0053】
【化3】
Figure 2004177889
【0054】
【実施例】
以下に本発明を実施例をもって説明するが本発明は実施例によって制限されるものではない。尚、実施例中で使用する部はすべて質量部を示す。
【0055】
(顔料分散剤の製造例1)
以下に示す方法により、ポルフィン類骨格Xが銅フタロシアニンであり、置換基Zがスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(共重合質量比=2:8)の骨格に下記式(6)で示される反応性基Yを有する置換基がグラフトされた顔料分散剤の合成を行った。
【0056】
【化4】
Figure 2004177889
【0057】
▲1▼カルボキシアミド化Cuフタロシアニンの合成
トリメリト酸無水物 116.4g(0.606mol)
無水フタル酸 269.1g(1.818mol)
尿素 932.9g(15.55mol)
CuCl 78.4g(0.583mol)
モリブデン酸アンモン 9.2g(7.4mmol)
ニトロベンゼン 7リットル
を10リットルの反応容器に仕込み、150〜170℃で3時間撹拌させた。析出した結晶を濾取し、ニトロベンゼン臭がなくなるまでメタノール洗浄した。その後、水洗、メタノール洗浄し、これを60℃で24時間減圧乾燥させ、目的物293.9gを得た。
【0058】
▲2▼カルボキシル化Cuフタロシアニンの合成
カルボキシアミド化Cuフタロシアニン 292.9g
水酸化カリウム 477.5g(7.25mol)
水 198ml
トリエチレングリコール 3リットル
を5リットル反応容器に仕込み、120℃で24時間撹拌させた。室温に冷却し、結晶を濾取し、熱水で洗浄した。この結晶を水に懸濁させた後、6N塩酸でpH=1にした。結晶を濾過し、希塩酸で洗浄した後、メタノール洗浄し、これを60℃で24時間減圧乾燥させ、目的物161.5gを得た。
【0059】
▲3▼酸塩素化Cuフタロシアニンの合成
カルボキシル化Cuフタロシアニン 40.0g
トルエン 400ml
塩化チオニル 120ml
を反応容器に仕込み、次いでピリジン2mlを滴下し、10時間還流を行った。反応物はエバポレータにより濃縮し、目的物50.2gを得た。
【0060】
▲4▼変性スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体へのグラフト化反応
ニトロベンゼン 120ml
塩化アルミニウム 12.0g
スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体 36.0g
(共重合質量比=2:8、Mw=6200)
を500ml反応容器にとり、良く撹拌した後、▲3▼で得られた酸塩素化Cuフタロシアニン6.0gを投入し、室温で約6時間撹拌した。その後、THF120mlを加えピーカーに移した後、メタノール約200mlを加え、吸引濾過した。濾液n−ヘキサン2000mlで再沈し、デカンテーションを行った。同様にn−ヘキサンにより2回洗浄を行い、80℃で20時間減圧乾燥し、目的物A48.0gを得た。
【0061】
▲5▼アゾ基のグラフト化反応
塩化メチレン350mlに4’,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)4.9gを溶かし込み、内温を0〜10℃に冷却しながら塩化チオニルを5.25ml、さらにピリジンを数滴加え、45分間撹拌した。室温に戻し約1時間放置した後、▲4▼で得られた化合物A28.0gを撹拌しながら投入し、約2時間半反応させた。飽和重ソー水700mlで中和し、pHを6とした。吸引濾過した後、イオン水で洗浄濾過を2回繰り返した。さらにアセトンで溶解し不溶分を濾別したのち、濾液を室温で乾燥させ、目的物21.8gを得た。この最終生成物のIRスペクトル及び元素分析、質量分析を行ったところ、1個の銅フタロシアニン骨格あたり1〜2個ポリマー置換された化合物であることがわかった。また、Tg−DTA測定により、約113℃に発熱ピークを示し、アゾ基が導入されていることが確認された。
【0062】
(顔料分散剤の製造例2)
以下に示す方法により、ポルフィン類骨格Xが銅フタロシアニンであり、前記式(6)で示される反応性基Yを有する置換基Zが直接共有結合した顔料分散剤の合成を行った。
【0063】
塩化メチレン350mlに4’,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)4.9gを溶かし込み、内温を0〜10℃に冷却しながら塩化チオニルを5.25ml、さらにピリジンを数滴加え、45分間撹拌した。室温に戻し約1時間放置した後、製造例1の▲3▼で得られた酸塩素化Cuフタロシアニン30.0gを撹拌しながら投入し、約2時間半反応させた。飽和重ソー水700mlで中和し、pHを6とした。吸引濾過した後、イオン水で洗浄濾過を2回繰り返した。さらにアセトンで溶解し不溶分を濾別したのち、濾液を室温で乾燥させ、目的物15.3gを得た。この最終生成物のIRスペクトル及び元素分析、質量分析を行ったところ、1個の銅フタロシアニン骨格あたり1〜2個置換された化合物であることがわかった。また、Tg−DTA測定により、約121℃に発熱ピークを示し、アゾ基が導入されていることが確認された。
【0064】
〔実施例1〕
(顔料分散ペーストの作製例1)
メタノール 100部
スチレンモノマー 80部
顔料分散剤a 2部
銅フタロシアニン 12部
(C.I.ピグメントブルー15:3)
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストaを作製した。上記顔料分散剤aは、ポルフィン類骨格XがCuフタロシアニンで、置換基Zはスチレン−アクリル酸−α−メチルスチレン共重合体(共重合質量比=2:1.5:1、Mn=12300、Mw=17700)の基本骨格に前記式(6)で示される反応性基Yがグラフトした構造を有している。
【0065】
得られた顔料分散ペーストaをガラス板上にワイヤーバーを用いて均一に塗布し、自然乾燥した後、光沢値を測定したところ、110であり、良好な平滑性を示した。また、アルミ箔上に同様に塗布したものをSEM(走査型電子顕微鏡)観察したところ、粒径は約50nmであり、顔料が細かく均一に分散されていることがわかった。
【0066】
(トナーの作製例1)
還流管、温度計、窒素導入管の付いたセパラブルフラスコに、
メタノール 215部
スチレン−アクリル酸−α−メチルスチレン共重合体 35部
(共重合質量比=2:1.5:1、Mn=21600,Mw=34400)
スチレンモノマー 40部
n−ブチルアクリレート 20部
顔料分散ペーストa 97部
ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯塩 3部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 6部
を攪拌しながら混合し、窒素バブリングを20ml/minで約30分行った。その後、溶液温度を65℃まで昇温し、約20時間還流した。重合反応後得られた反応混合物をメタノールで繰り返し濾過して高分子分散安定剤であるスチレン−アクリル酸−α−メチルスチレン共重合体を洗浄した。濾過の際、遊離顔料等が少なかったため迅速な洗浄操作が可能であった。その後、得られたトナーをさらに真空乾燥してトナー粒子を得た。得られた粉体の個数平均粒径は3.88μm、標準偏差は0.55で非常に粒度分布のシャープなトナーであった。また、得られたトナー粒子の断面をTEMで観察したところ、粒子中央付近から多くの銅フタロシアニンの顔料粒子が観察され、着色剤の内添化が高効率に行われたことが確認できた。
【0067】
(トナーの評価)
得られたトナー100部に対し解砕処理したBET比表面積が360m/gの疎水性シリカ2部を小型高速攪拌器で混合して外添した。トナー4部に対して、平均粒径が36μmのフェライトキャリア96部をポリ瓶に入れ、ターブラーミキサーで混合撹拌し現像剤を作製した。得られた現像剤1gをブローオフ法により帯電量を測定したところ、−27.3μc/gであった。
【0068】
この現像剤をキヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC−500改造機に入れ画像出しを行った。現像条件は、交番電界2kV(ピーク間電圧)、周波数2kHzの矩形波であり、及び現像バイアス−460Vとなるように設定した。さらに、トナー現像コントラスト(Vcont)300V、カブリ取り電圧(Vback)100Vとした。この現像条件で、感光体上のデジタル潜像を現像し、最適化された転写電流値、定着器温度、プロセススピードにより転写、定着を行った。原稿台にテストチャートを載せ、上記条件によりハードコピーを行った結果、得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもかぶりの発生もなく、濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。
【0069】
〔比較例1〕
顔料分散剤aを使用せずに実施例1と同様に顔料分散ペーストを作製した。実施例1と同様に分散性を評価したところ、顔料分散ペーストの光沢値は75であり、平滑性が得られなかった。SEM観察によれば、50〜200nm程度の顔料粒子が混在しており、顔料の凝集が顕著であった。これを用いて実施例1と同様にトナーを作製した。トナーの濾過洗浄操作時にトナーから遊離した顔料が濾紙に詰まりやすく、操作に時間がかかった。作製したトナーは、粒径が4.1μmで、標準偏差は0.34であった。また、トナー粒子の超薄切片を作製し、TEMで粒子の断面を観察したところ、銅フタロシアニンの顔料粒子はトナーの内部にも存在したが、多くのものは表面近傍に固まって存在していた。実施例1と同様に現像剤を作製したところ、トナーの帯電量は−20.5μc/gであった。これを用いて画像出しの評価を行ったところ、画像濃度は実施例1に比べると劣っており、高温高湿下では、かぶりが発生した。
【0070】
〔実施例2〕
(顔料分散ペーストの作製例2)
メタノール 100部
スチレンモノマー 80部
顔料分散剤b 2部
Alフタロシアニン 12部
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストbを作製した。上記顔料分散剤bは、ポルフィン類骨格XがAlフタロシアニンで、置換基Zはスチレン−2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(共重合質量比=3:7、Mn=29300、Mw=54700)の基本骨格に下記式(7)がグラフトした構造を有している。
【0071】
【化5】
Figure 2004177889
【0072】
得られた顔料分散ペーストbを実施例1と同様に光沢値を測定したところ、112であり、良好な平滑性を示した。また、SEM観察したところ、実施例1と同様に顔料が細かく均一に分散されていることがわかった。
【0073】
(トナーの作製例2)
還流管、温度計、窒素導入管の付いたセパラブルフラスコに、
メタノール 215部
スチレン−2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体 35部
(共重合質量比=3:7、Mn=10300,Mw=19200)
スチレンモノマー 40部
n−ブチルアクリレート 20部
顔料分散ペーストb 97部
ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯塩 3部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 6部
を攪拌しながら混合し、窒素バブリングを20ml/minで約30分行った。その後、溶液温度を65℃まで昇温し、約20時間還流した。重合反応後得られた反応混合物をメタノールで繰り返し濾過して高分子分散安定剤であるスチレン−2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体を洗浄した。実施例1と同様に濾過の際、遊離顔料等が少なかったため迅速な洗浄操作が可能であった。その後、得られたトナーをさらに真空乾燥してトナー粒子を得た。得られた粉体の個数平均粒径は3.39μm、標準偏差は0.48で非常に粒度分布のシャープなトナーであった。また、得られたトナー粒子の断面をTEMで観察したところ、粒子中央付近から多くのAlフタロシアニンの顔料粒子が観察され、着色剤の内添化が高効率に行われたことが確認できた。
【0074】
(トナーの評価)
実施例1と同様に現像剤を作製し、帯電量を測定したところ、−25.0μc/gであった。この現像剤をキヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC−500改造機に入れ、実施例1と同様な条件で画像出しを行った。その結果、得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもかぶりの発生もなくや濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。
【0075】
〔実施例3〕
(顔料分散ペーストの作製例3)
メタノール 100部
スチレンモノマー 80部
顔料分散剤c 2部
銅フタロシアニン 12部
(C.I.ピグメントブルー15:3)
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストcを作製した。顔料分散剤cは、ポルフィン類骨格XがCuフタロシアニンで、置換基Zはスチレン−2−アクリル酸共重合体(共重合質量比=6:4、Mn=8700、Mw=12900)の基本骨格に前記式(6)で示される反応性基Yがグラフトした構造を有している。
【0076】
得られた顔料分散ペーストcを実施例1と同様に光沢値を測定したところ、109であり、良好な平滑性を示した。また、SEM観察したところ、実施例1と同様に顔料が細かく均一に分散されていることがわかった。
【0077】
(トナーの作製例3)
顔料ペーストaの代わりに顔料ペーストcを用いる以外は実施例1と同様にトナーを作製した。実施例1と同様に濾過の際、遊離顔料等が少なかったため迅速な洗浄操作が可能であった。その後、得られたトナーをさらに真空乾燥してトナー粒子を得た。得られた粉体の個数平均粒径は4.11μm、標準偏差は0.52で非常に粒度分布のシャープなトナーであった。また、得られたトナー粒子の断面をTEMで観察したところ、粒子中央付近から多くの銅フタロシアニンの顔料粒子が観察され、着色剤の内添化が高効率に行われたことが確認できた。
【0078】
(トナーの評価)
実施例1と同様に現像剤を作製し、帯電量を測定したところ、−26.5μc/gであった。この現像剤を実施例1と同様な条件で画像出しを行った結果、得られた画像はトナー載り量も適当であって、濃度も高く、細線の再現性も良好で、高品質な画像が得られた。本評価を、低温低湿(15℃/15%)、高温高湿(30℃/75%)でも行ったところ、いずれもかぶりの発生もなくや濃度変化も少なく、トナーが良好な帯電特性を示していることがわかった。
【0079】
〔比較例2〕
(顔料分散ペーストの作製例4)
メタノール 100部
スチレンモノマー 80部
顔料分散剤d 2部
銅フタロシアニン 12部
(C.I.ピグメントブルー15:3)
を容器中でよくプレミクスした後に、それを20℃以下に保ったままビーズミルで約4時間分散し、顔料分散ペーストdを作製した。顔料分散剤dは、ポルフィン類骨格XがCuフタロシアニンで、置換基Zがスチレン−アクリル酸−α−メチルスチレン共重合体(共重合質量比=2:1.5:1、Mn=12300、Mw=17700)である化合物である。
【0080】
得られた顔料分散ペーストdを実施例1と同様に光沢値を測定したところ、111であり、良好な平滑性を示した。また、SEM観察したところ、実施例1と同様に顔料が細かく均一に分散されていることがわかった。
【0081】
(トナーの作製例4)
顔料ペーストaの代わりに顔料ペーストdを用いる以外は実施例1と同様にトナーを作製した。得られた粉体の個数平均粒径は4.02μm、標準偏差は0.52で非常に粒度分布のシャープなトナーであったが、粒子の断面をTEMで観察したところ、顔料の取り込み効率は実用上問題のないレベルであったが、若干粒子表面に堆積した顔料が観察された。
【0082】
(トナーの評価)
実施例1と同様に現像剤を作製し、帯電量を測定したところ、−19.1μc/gであった。この現像剤を実施例1と同様な条件で画像出しを行った結果、得られた画像の着色力(単位載り量あたりの画像濃度)が若干劣っていた。高温高湿(30℃/75%)でも画像出しを行ったところ、若干のかぶりが発生した。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、粒度分布がシャープで、着色力及び着色効率に優れ、トナー粒子内に顔料が均一に分散され、帯電特性に優れたトナーの製造方法が提供される。

Claims (1)

  1. 重合性単量体と顔料と顔料分散剤を少なくとも含有する単量体組成物を、少なくとも有機溶媒と高分子分散安定剤とを含有する反応媒体中に添加し、該反応媒体中で少なくとも該重合性単量体を溶解して重合し、生成した重合体を該反応媒体中から析出させてトナー粒子を生成するトナーの製造方法であって、
    該顔料分散剤が、少なくともポルフィリン類骨格Xと、解離してラジカルまたはアニオンまたはカチオンを生成する反応性基Yを少なくとも含有する置換基Zとを有することを特徴とするトナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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