JP2004046131A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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木谷 智江
Takeshi Omura
大村 健
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Abstract

【課題】本発明の目的は、静電荷像現像用トナーの保存安定性に優れ、排紙された転写紙の貼り付きが無く、熱定着時に臭気が発生しない静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、ヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ、重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いられる静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式による画像形成方法では、デジタル技術の進展により、デジタル方式の画像形成が主流となってきている。デジタル方式の画像形成方法は、1200dpi(dpiとは1インチ即ち2.54cmあたりのドット数)等の1画素の小さなドット画像を顕像化することを基本としており、これらの小さなドット画像を忠実に再現する高画質技術が要求されている。
【0003】
この様な高画質化の観点から静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーとも云う)の小粒径化が進められている。これまでの電子写真画像の形成には、結着樹脂と顔料とを混合、混練後に粉砕して得られるトナー粉体を分級工程で分級した、いわゆる粉砕トナーが主として用いられてきた。しかし、この様な製造工程を経て得られるトナーは、トナー粒子の小粒径化や粒度分布の均一化には限界がある。従って、この様な粉砕トナーを用いた電子写真画像では、十分な高画質化の達成は困難である。
【0004】
近年、トナー粒子の小粒径化、粒度分布及び形状の均一化を達成する手段として、懸濁重合法や乳化重合法により得られる重合トナーが注目されている。
【0005】
この重合法トナーには樹脂粒子と必要に応じて着色剤粒子とを会合あるいは塩析/融着させて不定形化したトナーを調製する方法や、ラジカル重合性単量体に着色剤を混合分散し、得られた分散液を溶液中に所望のトナー粒径になるような液滴に分散し、これを懸濁重合する方法がある。これらの中でも前者の重合法は不定形化されたトナーを形成する方法として好ましい方法であり、該重合法では溶液中で水溶性の重合開始剤を使用して重合を行う。この際、分子量分布を制御するために連鎖移動剤が使用され、好適な連鎖移動剤としてメルカプタン系の化合物が使用されている。
【0006】
しかし、重合で用いられる重合性単量体や連鎖移動剤等の揮発性物質は、トナー製造時にトナー粒子から完全に除去するのが難しく、トナー粒子中に取り込まれそのまま残存しやすい。
【0007】
重合性単量体や連鎖移動剤等の揮発性物質を多量に含有するトナーは、トナー保存中にトナーの凝集が発生しやすく、凝集したトナーを用いた現像剤では画像形成時に画質が低下し、良質の画像が得られなくなったり、熱定着時にトナー中に残存する揮発性物質や重合性単量体が揮発して臭気が発生したり、高速両面プリント時に転写体(例えば転写紙)のプリント面がタッキング(貼り付き)するといった問題が生じやすい。
【0008】
なお、上記の重合性単量体や連鎖移動剤等の揮発性物質をトナー中に含有することに起因する問題は、結着樹脂と着色剤とを溶融混練、粉砕してなるいわゆる粉砕トナーでは特に問題視されていなかった。その理由としては、粉砕トナーに使用される結着樹脂は既に乾燥されている場合が多く、若し未反応の重合性単量体等の揮発性物質を含んでいたとしても、トナーを製造する際の溶融混練工程での加熱により除去されると判断される。
【0009】
しかし、重合トナーでは製造時に溶融混練工程が無いため、トナー中の未反応の重合性単量体や揮発性物質を除去しきれず、トナー中に残存してしまうため上記の問題が発生すると判断される。
【0010】
上記課題に対し、トナー中の残留スチレンモノマー量を規定する方法(例えば、特許文献1参照)や残存モノマー量を規定する方法(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、これらの技術では、熱定着時の臭気発生や、高速両面プリント時に転写体のプリント面がタッキングするといった問題は解決できず、性能としては十分とは云えなかった。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−251037号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2002−49176号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、その目的とするところは、トナーの保存安定性に優れ、排紙された転写紙の貼り付きが無く、熱定着時に臭気が発生しないトナー、該トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0015】
1.結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、ヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ、重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0016】
2.前記1項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、水系媒体に分散された着色剤および結着樹脂を含むトナー粒子を水系媒体から分離する工程、および分離されたトナー粒子を乾燥する工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0017】
3.前記1項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、樹脂粒子と着色剤粒子からトナー粒子分散液を得る塩析/融着工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0018】
4.前記1項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、単量体から樹脂粒子を得る重合工程;樹脂粒子および着色剤粒子からトナー粒子分散液を得る塩析/融着工程;トナー粒子の分散液からトナー粒子を濾別し、トナー粒子から不純物を除去する濾過・洗浄工程;および洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する工程;を含み、該重合工程で、重合開始剤と炭素原子数が5ないし10のアルキルメルカプタン連鎖移動剤を使用することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0019】
5.前記重合工程で、重合開始剤を複数回添加することを特徴とする前記4項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0020】
6.前記乾燥する工程で、乾燥が減圧で行われることを特徴とする前記4項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0021】
7.静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、該静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む現像剤で現像してトナー画像を形成する工程、該トナー画像を転写体上に転写する工程、該転写体上のトナー画像を熱定着する工程を含む画像形成方法において、静電荷像現像用トナーとして、前記1項に記載の静電荷像現像用トナーを用い、該熱定着されたトナー画像を冷却する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【0022】
8.静電潜像担持体上に静電潜像を形成する機器、該静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む現像剤で現像してトナー画像を形成する機器、該トナー画像を転写体上に転写する機器、該転写体上のトナー画像を熱定着する機器を含む画像形成装置において、静電荷像現像用トナーとして、前記1項に記載の静電荷像現像用トナーを用い、該熱定着されたトナー画像を冷却する装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【0023】
9.前記1項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、単量体から樹脂粒子を得る重合工程;樹脂粒子および着色剤粒子からトナー粒子分散液を得る塩析/融着工程;トナー粒子の分散液からトナー粒子を濾別し、トナー粒子から不純物を除去する濾過・洗浄工程;および洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する工程;を含み、該重合工程で、重合開始剤と炭素原子数が5ないし10のアルキルメルカプタン連鎖移動剤を使用し、該重合開始剤を複数回添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0024】
10.前記乾燥する工程で、乾燥が減圧で行われることを特徴とする前記9項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【0025】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、トナー中に残存する揮発性物質の全量と重合性単量体の量を制御することが重要であることを見出した。二成分系現像剤中のキャリアへの付着物及び現像剤搬送部材や現像剤層規制部材への付着物を解析した結果、重合性単量体等を含む揮発性物質の含有量が多いトナーが付着していることが分かってきた。即ち、トナー中に残存した重合性単量体等を含む揮発性物質は、保存時にトナー凝集を発生させたり、トナーを転写紙上に熱定着する際に臭気を発生する他、該トナー中の低分子量の結着樹脂を溶解し、溶解したトナーが上記現像剤のキャリアや現像剤搬送部材や現像剤層規制部材へ付着して画像劣化を促進したり、高速プリンタで両面プリントを行ったとき、排紙された転写紙が転写紙同士で貼り付いて揃えにくくなることが判明した。これらのトナーの問題を抑制するためには、用いる結着樹脂の分子量自体を増加する方法があるが、この方法ではトナーの軟化点が高くなるため、定着性が低下するという問題が発生してしまう。
【0026】
トナー中の揮発性物質と重合性単量体の残存量について鋭意検討した結果、トナー中の揮発性物質全量が350ppm以下、好ましくは100〜300ppm、揮発性物質中の重合性単量体量が50ppm以下、好ましくは1〜20ppm、より好ましくは2〜10ppmにすることにより本発明の目的が達成できることを見出した。
【0027】
トナー中に含まれる揮発性物質の例としては、未反応の重合性単量体や連鎖移動剤、トナー製造時の副生成物、製造に用いた有機溶剤等を挙げることができる。
【0028】
重合性単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどの重合性単量体、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどの架橋性の重合性単量体を挙げることができる。
【0029】
連鎖移動剤としては、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタンなど、トナー製造時の副生成物としては、例えば、ブタノール、ドデカノール、ドデカナール、アクリル酸エステル、ベンズアルデヒドなど、製造に用いた有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどを挙げることができる。
【0030】
揮発性物質の全量および重合性単量体の量を上記の範囲にする方法としては、単純に加熱することや重合時間を延長すること、さらには重合開始剤量を増量する等種々の方法がある。しかし、これらの方法では完全ではなく、本発明者らは鋭意検討した結果、重合工程で重合開始剤を複数回添加すること、連鎖移動剤として炭素数5〜10のアルキルメルカプタンを使用すること、乾燥工程で減圧乾燥を行うことで本発明の目的を達成できることを見出した。
【0031】
即ち、本発明では水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用して重合反応を行うが、この際、重合開始剤により供給されるラジカルが少なくなると、重合性単量体の重合転化率が向上せず、最終的に微量の重合性単量体が残存する。このため、複数回に分けて重合開始剤を添加し、ラジカルを複数回供給することで残存する重合性単量体を減少させ、揮発性物質及び重合性単量体の残存量を低減することができることを見出した。具体的には、重合転化率が90%以上進行した時点でさらに重合開始剤を追加添加することが好ましい。重合転化率は、重合中の試料から、一定量をサンプリングし、この質量を精密に測定した後、乾燥させて、乾燥後の質量を測定して、仕込量との関係を踏まえて、質量法により測定することができる。
【0032】
追加で添加する水溶性重合開始剤は初期に添加された水溶性重合開始剤の10〜100質量%が好ましく、さらに好ましくは、20〜80質量%である。この添加量が過小の場合には残存量を低減する効果がなく、過度の場合には末端基に重合開始剤端部が付着し、帯電性に影響を与えることがある。
【0033】
しかし、上記方法だけではトナー中の残存揮発性物質の量を上記範囲にすることは難しく、重合工程で用いる連鎖移動剤として炭素数5〜10のアルキルメルカプタンを使用し、さらに、乾燥工程時に減圧乾燥を行うことで達成できることを見出した。
【0034】
本発明において、トナー中に残存する揮発性物質及び重合性単量体の定量に用いられるヘッドスペース式とは、トナーを開閉容器中に封入し、複写機等の熱定着時程度に加温し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、揮発成分量を測定するとともに、本発明のヘッドスペース法では、MS(質量分析)も行うものである。結着樹脂由来の不純物や微量の添加物量を測定する方法としては、溶媒により結着樹脂又はトナーを溶解して、ガスクロマトグラフに注入する方法も良く知られているが、この方法では溶媒のピークに不純物や測定しようとする微量の添加物成分のピークが隠れてしまうことがあり、トータルの揮発性成分量を測定するには適さない。本発明で用いるヘッドスペース法ではガスクロマトグラフにより、揮発成分の全ピークを観測することを可能にするとともに、電磁気的相互作用を利用した分析方法を用いることによって残存成分の定量化により高度な精度を付与することを達成したものである。
【0035】
以下に、ヘッドスペース法による測定法を詳細に説明する。
〈測定方法〉
1.試料の採取
20mlヘッドスペース用バイアルに0.8gの試料を採取する。試料量は、0.01gまで秤量する(単位質量あたりの面積を算出するのに必要)。専用クリンパーを用いてバイアルをセプタムを用いてシールする。
2.試料の加温
170℃の恒温槽に試料を立てた状態で入れ、30分間加温する。
3.ガスクロマトグラフ分離条件の設定
質量比で15%になるようにシリコンオイルSE−30でコーティングした担体を内径3mm、長さ3mのカラムに充填したものを分離カラムとして用いる。該分離カラムをガスクロマトグラフに装着し、Heをキャリアとして、50ml/分で流す。分離カラムの温度を40℃にし、15℃/分で260℃まで昇温させながら測定する。260℃到達後5分間保持する。
4.試料の導入
バイアルビンを恒温槽から取り出し、直ちにガスタイトシリンジで1mlを注入する。
5.計算
この発明においては、n−ヘキサンのピークからn−ヘキサデカンのピークの間に検出される物質を揮発性物質の全量として定量する。
【0036】
重合性単量体の定量には、重合に用いた重合性単量体を基準物質とし、予め検量線を作成し、それぞれ各成分の濃度を求める。
6.機材
(1)ヘッドスペース条件
ヘッドスペース装置
ヒューレットパッカード株式会社製HP7694
「Head Space Sampler」
温度条件
トランスファーライン:200℃
ループ温度:200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
(2)GC/MS条件
GC  ヒューレットパッカード株式会社製HP5890
MS  ヒューレットパッカード株式会社製HP5971
カラム:HP−624 30m×0.25mm
オーブン温度:40℃で3分保持し、この後10℃/minで200℃まで16分で昇温する。この後、200℃で保持する。
【0037】
測定モード:SIM
本発明における実際の測定では、前記のオーブン温度プログラムで、基準サンプルのn−ヘキサン、n−ヘキサデカンの前測定を行い、両物質のピークの検出時間を事前に確認する。その後、サンプル測定を前記オーブン温度プログラムで行い、n−ヘキサンのピーク検出時間からn−ヘキサデカンのピーク検出時間の間に検出される物質のピーク総面積を、トルエン検量線で換算する。1ピーク当たりトルエン換算量で0.1ppm以上のピークを対象とする。この間に検出される揮発性物質と重合性単量体を定量する。
【0038】
次に、本発明に係る特定化合物について説明する。
(結着樹脂)
本発明のトナーを構成する結着樹脂としては、以下に説明する重合性単量体を重合して得られたもので、ガラス転移点が20〜90℃のものが好ましく、軟化点が80〜220℃のものが好ましい。軟化点は高化式フローテスターで測定することができる。さらに、この結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量が数平均分子量(Mn)で1,000〜100,000、重量平均分子量(Mw)で2,000〜1,000,000のものが好ましい。
【0039】
(着色剤)
本発明のトナーを構成する着色剤としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を用いることができる。
【0040】
無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0041】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉を挙げることができる。
【0042】
これらの無機顔料は所望に応じて単独又は複数を選択併用することが可能である。又、顔料の添加量はトナー全体量に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0043】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0044】
有機顔料及び染料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0045】
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等を挙げることができる。
【0046】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等を挙げることができる。
【0047】
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等を挙げることができる。
【0048】
又、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、又、これらの混合物も用いることができる。
【0049】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独又は複数を選択併用することが可能である。又、顔料の添加量は、トナー全体量に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0050】
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素株式会社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達株式会社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等を挙げることができる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素株式会社製の「プレンアクトAL−M」等を挙げることができる。
【0051】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0052】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0053】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0054】
(重合性単量体)
本発明に係る結着樹脂の作製に用いられる重合性単量体としては、疎水性単量体を必須構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。又、下記の酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有する単量体を少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0055】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。又、要求される特性を満たすように、1種又は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0056】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0057】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体等を挙げることができる。
【0058】
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等を挙げることができる。
【0059】
ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等を挙げることができる。
【0060】
ビニルエーテル系単量体としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等を挙げることができる。
【0061】
モノオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。
【0062】
ジオレフィン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができる。
【0063】
(2)架橋性単量体
結着樹脂の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものを挙げることができる。
【0064】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、例えば、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物等を挙げることができる。
【0065】
(a)の−COO基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0066】
(b)の−SOH基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては例えば、スルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
【0067】
(4)塩基性極性基を有する単量体
塩基性極性基を有する単量体としては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有する単量体として好ましい。
【0068】
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0069】
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0070】
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0071】
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等
(重合開始剤)
本発明に係るラジカルを供給できる重合開始剤としては、水溶性であれば特に限定されず公知のものを使用することができる。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。更に、上記重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
【0072】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50〜90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いることで、室温又はそれ以上の温度で重合することも可能である。
【0073】
(連鎖移動剤)
本発明に係る連鎖移動剤としては、炭素数5〜10のアルキルメルカプタンを用いることができる。
【0074】
炭素数5〜10のアルキルメルカプタンとしては、具体的には、n−ペンチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ノニルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、2−エチルヘキシルメルカプタン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0075】
連鎖移動剤の使用量は、ラジカル重合性単量体組成物に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜4質量%がより好ましい。0.01質量%未満では効果を発揮するのが難しく、5質量%を越えると未反応の状態で連鎖移動剤が残存し好ましくない。
【0076】
(水系媒体)
本発明に係る水系媒体とは、水、有機溶媒、これらの混合液等が挙げられるが、水系溶媒であることが好ましい。水系溶媒とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる結着樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0077】
《トナーの製造方法》
本発明のトナーの製造方法について説明する。
【0078】
本発明のトナーは結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を含む。トナー粒子の他に滑り剤など外添剤を含むこともある。又、トナー粒子は荷電調節剤などの内添剤といわれる添加剤を含むこともある。
【0079】
トナーの製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合粒子を凝集/融着する方法、結着樹脂を溶解し、液中分散させる溶解懸濁法等を挙げることができるが、揮発性物質をトナー中に残存させにくいトナーの製造方法としては、乳化重合粒子を凝集/融着する方法が好ましい。
【0080】
本発明のトナーの製造方法の一例を以下に示す。
トナーの製造工程は、主に、以下に示す工程より構成されている。
【0081】
1:離型剤及び/又は結晶性ポリエステルが最外層以外の領域(中心部または中間層)に含有されている複合樹脂粒子を得るための多段重合工程
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程
3:トナー粒子の分散液系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を減圧乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に、必要に応じ外添剤を添加する工程
から構成される。
【0082】
以下、各工程について、詳細に説明する。
〔多段重合工程〕
多段重合工程は、多段重合法により、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成することにより、複合樹脂粒子を製造する工程である。
【0083】
本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。
【0084】
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。
【0085】
〈二段重合法〉
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、二段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と1層の被覆層より構成されるものである。
【0086】
この方法を具体的に説明すると、先ず、離型剤を単量体Lに溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体に油滴分散させた後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
【0087】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0088】
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、三段重合法で得られる複合樹脂粒子は、核と2層の被覆層から構成されるものである。
【0089】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、溶液に添加するとともに、上記水系媒体に、離型剤を単量体Mに溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、離型剤を含有する結着樹脂(単量体Mの重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0090】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第3段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の結着樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、第2段重合を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
【0091】
離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体に、離型剤を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
【0092】
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒子または被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
【0093】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
【0094】
なお、離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有しないものを得るためにも採用することができる。
【0095】
この重合工程で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0096】
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃である。
【0097】
また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲にあることが好ましい。
〔塩析/融着工程〕
この塩析/融着工程は、前記多段重合工程によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に進行させる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
【0098】
本発明でいう塩析とは、水溶液中に分散した状態にある複合樹脂粒子を塩の作用を利用して凝集させることをいう。また、融着とは、上記塩析によって凝集した樹脂粒子同士の粒子間界面を消失させることをいう。本発明の塩析/融着とは、塩析と融着の2つの工程が順次に起こること、または順次におこさせる行為をさす。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する結着樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0099】
この塩析/融着工程では、複合樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0100】
着色剤粒子は、水溶液中に分散された状態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散される水系媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0101】
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0102】
複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
【0103】
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0104】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
【0105】
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0106】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を減圧乾燥処理する工程である。
【0107】
この工程で使用される減圧乾燥機としては、例えば、減圧スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。具体的には、減圧可能な静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機或いは攪拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0108】
減圧乾燥時の条件は、乾燥温度がトナーに用いた結着樹脂のTg以下であればよく、減圧度、乾燥時間等は特に限定されず、適宜設定することができる。
【0109】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0110】
本発明のトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
【0111】
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。このため、本発明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
【0112】
更に、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、転写体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性および巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像が得られる。
【0113】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水溶液中に油滴分散を行うことが好ましい。界面活性剤としては特に限定されず使用することができ、例えば、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0114】
イオン性界面活性剤としては、具体的には、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)等を挙げることができる。
【0115】
又、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0116】
これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は他の目的で使用してもよい。
【0117】
(凝集剤)
本発明で用いられる凝集剤としては、下記に示す金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0118】
金属塩としては、一価の金属、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えば、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等を挙げることができる。
【0119】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等を挙げることができる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0120】
臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17,601」(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0121】
本発明に係るトナーの製造方法では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然のことながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0122】
凝集剤として用いる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0123】
(離型剤)
本発明のトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中において融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
【0124】
該離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等を挙げることができる。これらの中で好ましい化合物としては、下記一般式(1)で表されるエステル系化合物を挙げることができる。
【0125】
一般式(1)
−(OCO−R
一般式(1)において、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R、Rは、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。Rは、炭素数1〜40が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。Rは、炭素数1〜40が好ましく、16〜30がより好ましく、18〜26がさらに好ましい。
【0126】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0127】
【化1】
Figure 2004046131
【0128】
【化2】
Figure 2004046131
【0129】
上記化合物の添加量は、トナー全体量に対し1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、は3〜15質量%がさらに好ましい。
【0130】
(水に無限溶解する溶媒)
水に対して無限溶解する溶媒としては、本発明では形成された結着樹脂を溶解しないものの中から選択される。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。これらの中では、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0131】
(荷電制御剤)
本発明のトナーは結着樹脂及び着色剤を含有するものであるが、必要に応じて荷電制御剤等を含有することもできる。
【0132】
該荷電制御剤としては、種々の公知のものの中で、水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等を挙げることができる。
【0133】
(外添剤)
又、本発明のトナーは、形成したトナーに外添剤を添加し、高速撹拌等の方法で外添剤をトナー表面に付着させて用いることができる。外添剤をトナー表面に付着させることによりより良好な画像を得ることができる。
【0134】
この外添剤としては、例えば、無機微粒子や有機微粒子等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0135】
無機微粒子としては、具体的には、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機微粒子が好ましく、さらに、これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等によって疎水化処理されていることがより好ましい。疎水化処理の程度としては特に限定されるものでは無いが、メタノールウェッタビリティーとして40〜95のものが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸せきされているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
【0136】
疎水化度=〔a/(a+50)〕×100%
有機微粒子としては、具体的には、スチレン樹脂微粒子、スチレンアクリル樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子ウレタン樹脂微粒子等が好ましく用いられる。
【0137】
この外添剤の添加量は、トナー中に対し0.1〜5.0質量%が好ましく、0.5〜4.0質量%がより好ましい。又、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0138】
(現像剤)
本発明のトナーは、一成分現像剤、或いは二成分現像剤として用いることができる。
【0139】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μmの磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも用いることができる。
【0140】
又、本発明のトナーは、磁性粒子であるキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの体積平均粒径としては15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
【0141】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス」(シンパティック株式会社製)により測定することができる。
【0142】
又、キャリアとしては、磁性粒子を樹脂でコーティングしたもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを用いることもできる。コーティング用の樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等を挙げることができる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0143】
次に、本発明のトナーを用いる画像形成方法及び画像形成装置について説明する。
【0144】
図1は本発明のトナーを用いる画像形成方法の一例を示す画像形成装置の断面構成図である。
【0145】
図1に示す画像形成装置は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B(図示省略)、画像形成部C、転写紙搬送手段としての転写紙搬送部Dから構成されている。
【0146】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台111上に載置された原稿は原稿搬送ローラ112によって1枚宛分離搬送され読み取り位置113aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ112によって原稿排紙皿114上に排出される。
【0147】
一方、プラテンガラス113上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット115の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット116の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0148】
読み取られた画像は、投影レンズ117を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0149】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、静電潜像担持体であるドラム状の感光体(以下、感光体ドラムとも云う)121と、その外周に、帯電手段である帯電器122、現像手段である現像装置123、転写手段である転写器124、分離手段である分離器125、クリーニング装置126及びPCL(プレチャージランプ)127が各々動作順に配置されている。感光体121は、光導電性化合物をドラム基体上に塗布形成したもので、例えば有機感光体(OPC)が好ましく使用され、図示の時計方向に駆動回転される。
【0150】
回転する感光体121へは帯電器122による一様帯電がなされた後、露光光学系130により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である露光光学系130は図示しないレーザーダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー131、fθレンズ(符号なし)、シリンドリカルレンズ(符号なし)を経て反射ミラー132により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体121に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体121の回転(副走査)によって潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い潜像を形成する。
【0151】
感光体121上の潜像は現像装置123によって反転現像が行われ、感光体121の表面に可視像のトナー像が形成される。転写紙搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写紙Pが収納された転写紙収納手段としての給紙ユニット141(A)、141(B)、141(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット142が設けられていて、それらの何れかから選択された転写紙Pは案内ローラ143によって搬送路140に沿って給紙され、給紙される転写紙の傾きと偏りの修正を行うレジストローラ対144によって転写紙Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路140、転写前ローラ143a及び転写進入ガイド板146に案内され、感光体121上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写器124によって転写紙Pに転写され、次いで分離器125によって除電されて転写紙Pは感光体121面より分離し、搬送装置145により定着器150に搬送される。
【0152】
定着器150は定着ローラ151と加圧ローラ152とを有しており、転写紙Pを定着ローラ151と加圧ローラ152との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを熔着させる。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは、冷却器163により冷却され排紙トレイ164上に排出される。排紙トレイ164に排紙された転写紙Pは、手で揃えられ使用される。この際、連続プリント時における排紙直後の転写紙が80℃以下になるように冷却器により冷却することが好ましい。
【0153】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0154】
《トナー粒子調製》
〔トナー粒子1の調製〕
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C1021(OCHCHOSONa)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
【0155】
この界面活性剤溶液に、イオン交換水300gに重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる重合性単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水100gにKPS3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。この段階での重合転化率は98%であった。これを「樹脂粒子(1H)」とする。
【0156】
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
【0157】
次いで、この乳化液にイオン交換水150gに重合開始剤(KPS)5.0gを溶解した開始剤溶液とイオン交換水750gとを添加し、この系を80℃にて加熱攪拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水50gにKPSの1.5gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。これを「樹脂粒子(1HM)」とする。
【0158】
上記「樹脂粒子(1HM)」を乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲まれなかった例示化合物19)を主成分とする粒子(400〜1000nm)が観察された。
【0159】
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した「樹脂粒子(1HM)」に、イオン交換水200gに重合開始剤(KPS)6.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水65gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱し2時間攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。この樹脂粒子を「樹脂粒子(1HML)」とする。
【0160】
〈ラテックス(1L)の調製〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、イオン交換水400gに重合開始剤(KPS)14.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水200gにKPSの4.4gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱し2時間撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。このラテックスを「ラテックス(1L)」とする。
【0161】
この「ラテックス(1L)」を構成する樹脂粒子は、数平均分子量(Mn)で11,000に分子量ピークを有するものであり、またこの樹脂粒子の質量平均粒径は128nmであった。
【0162】
(着色剤の分散)
アニオン系界面活性剤Aの90.0gを、イオン交換水1600gに撹拌、溶解した。この溶液を撹拌しながら、C.I.ピグメントブルー15:3を400g徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液1」という。)を調製した。この「着色剤分散液1」における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で110nmであった。
【0163】
(凝集・融着工程)
前記調製した「樹脂粒子(1HML)」420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、上記調製した「着色剤分散液1」166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.0に調整した。
【0164】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を、攪拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この水溶液を60分間かけて90℃まで昇温し、粒子の成長を開始した。その状態で、「コールターカウンターTA−2」にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmになった時点で、停止剤として塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成処理として、液温度98℃にて2時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させた。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却した。
【0165】
(シェリング工程)
上記により、凝集・融着を行った粒子に、前記調製した「ラテックス(1L)」96gを添加し、3時間に亘り加熱、撹拌を継続し、「樹脂粒子(1HML)」の凝集粒子表面に「ラテックス(1L)」をシェリングさせた。次いで、塩化ナトリウム40.2gを添加し、8℃/分の降温条件で30℃まで冷却し、次いで、塩酸を添加してpHを2.0に調整して、撹拌を停止した。
【0166】
(乾燥工程)
以上のようにしてシェリングした融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、減圧乾燥機を用いて乾燥を行い、トナー粒子中の残存揮発性物資と重合性単量体を除去した後、ヘンシェルミキサーで解砕し、45μmメッシュの篩で篩分けすることにより「トナー粒子1」を調製した。なお、乾燥は約10kPaに減圧し、45℃で10時間保持して行った。
【0167】
〔トナー粒子2の調製〕
「トナー粒子1」の調製で用いた連鎖移動剤のn−ペンチルメルカプタンをn−オクチルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子2」を調製した。
【0168】
〔トナー粒子3の調製〕
「トナー粒子1」の調製で用いた連鎖移動剤のn−ペンチルメルカプタンをn−デシルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子3」を調製した。
【0169】
〔トナー粒子4の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥温度を45℃から30℃に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子4」を調製した。
【0170】
〔トナー粒子5の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から5時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子5」を調製した。
【0171】
〔トナー粒子6の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から5時間に、乾燥温度を45℃から30℃に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子6」を調製した。
【0172】
〔トナー粒子7の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の乾燥時間を10時間から20時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子7」を調製した。
【0173】
〔トナー粒子8の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した核粒子の調製、中間層の形成、外層の形成、ラテックスの調製を以下のように変更し、乾燥工程の乾燥時間を10時間から20時間に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子8」を調製した。
【0174】
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C1021(OCHCHOSONa)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
【0175】
この界面活性剤溶液に、イオン交換水300gに重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる重合性単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水50gにKPSの3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃にて加熱撹拌して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水50gにKPSの3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。この段階での重合転化率は99%であった。これを「樹脂粒子(8H)」とする。
【0176】
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記樹脂粒子(8H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
【0177】
次いで、この乳化液にイオン交換水150gに重合開始剤(KPS)5.0gを溶解した開始剤溶液とイオン交換水750gとを添加し、この系を80℃にて加熱攪拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水25gにKPSの1.5gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて加熱撹拌して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水25gにKPSの1.5gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を75℃に加熱して2時間撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は98%であった。これを「樹脂粒子(8HM)」とする。
【0178】
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した「樹脂粒子(8HM)」に、イオン交換水200gに重合開始剤(KPS)6.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水32.5gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水32.5gにKPSの2.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して2時間攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この段階での重合転化率は99%であった。この樹脂粒子を「樹脂粒子(8HML)」とする。
【0179】
〈ラテックス(8L)の調製〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、イオン交換水400gに重合開始剤(KPS)14.8gを溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃に加熱撹拌して重合を開始し、重合転化率が94%に達した時点でさらにイオン交換水200gにKPSの4.4gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して重合を行い、重合転化率が97%に達した時点でさらにイオン交換水100gにKPSの3.0gを溶解した開始剤溶液を添加し、この系を80℃に加熱して2時間撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。この段階での重合転化率は99%であった。このラテックスを「ラテックス(8L)」とする。
【0180】
〔トナー粒子9の調製〕
「トナー粒子1」の調製で設定した核粒子の調製、中間層の形成、外層の形成、ラテックスの調製を以下のように変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして「トナー粒子9」を調製した。
【0181】
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C1021(OCHCHOSONa)7.08gをイオン交換水3010gに溶解した界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
【0182】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「樹脂粒子(9H)」とする。
【0183】
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸15.4g、n−ペンチルメルカプタン5.6gからなる単量体混合液に、離型剤として前記例示化合物19)を72.0g添加し、80℃で加温、溶解して単量体溶液1を調製した。次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.6gを、イオン交換水2700gに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である「前記樹脂粒子(9H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会株式会社製)により、上記調製した単量体溶液1を混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子を含む乳化液を調製した。
【0184】
次いで、この乳化液に重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240gに溶解した開始剤溶液とイオン交換水750gとを添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「樹脂粒子(9HM)」とする。
【0185】
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した「樹脂粒子(9HM)」に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200gに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−ペンチルメルカプタン10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。この樹脂粒子を「樹脂粒子(9HML)」とする。
【0186】
〈ラテックス(9L)の調製〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水400gに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−ペンチルメルカプタン20.0gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(9L)」とする。
【0187】
〔トナー粒子10の調製〕
上記「トナー粒子1」の調製において、連鎖移動剤として用いたn−ペンチルメルカプタンをn−ドデシルメルカプタンに変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして、「トナー粒子10」を調製した。
【0188】
〔トナー粒子11の調製〕
上記「トナー粒子1」の調製で設定した乾燥工程の減圧条件(約10kPa)を常圧条件に変更した以外は「トナー粒子1」と同様にして、「トナー粒子11」を調製した。
【0189】
《トナー、現像剤の調製》
上記調製した「トナー粒子1〜11」に対して、それぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1〜11」を調製した。
【0190】
次いで、上記調製した各トナーに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、それぞれトナー濃度が6%の「現像剤1〜11」を調製した。
【0191】
上記のようにして調製した各トナーの詳細を、表1に示す。
【0192】
【表1】
Figure 2004046131
【0193】
《評価結果》
(トナーの保存安定性)
上記で調製した各トナー2gをサンプル管に取り、タッピングデンサーで500回振とうした後、55℃、35%RHの環境下で2時間放置した。次いで、48μmメッシュの篩いに入れ、一定の振動条件で篩い、メッシュ上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定し、これをトナー凝集率とし、下記に記載の基準に則りトナーの保存安定性の評価を行った。
【0194】
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの保存安定性が極めて良好、画像形成時に問題なし)
○:トナー凝集率が15〜45質量%(トナーの保存安定性が良好、画像形成時に問題なし)
△:トナー凝集率が46〜60質量%(トナーの保存安定性がやや悪く、画像形成時に若干の問題があるが使用許容の範囲)
×:トナー凝集率が60質量%を越える(トナーの保存安定性が悪く、画像形成時に問題が発生するので使用不可)
(排紙された転写紙の貼り付き)
評価機は、デジタル複写機「7065」(コニカ株式会社製)を改造し、熱定着後に冷却器を取り付け、排紙された転写紙の表面温度が75℃になるように調整したプリンタを用いた。
【0195】
プリントは、温度33℃、湿度80%RHの環境下で、画素率が7%の画像(文字画像、人物顔画像、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるオリジナル画像)を64g/mの転写紙(A4版)に、連続500枚の両面プリントを行った。
【0196】
500枚プリント終了後、排紙トレイ上の500枚の転写紙を揃える際の揃えやすさにより貼り付きを評価した。
【0197】
◎:転写紙の両端を持ち、端部をテーブルに10回たたくと転写紙が均一に揃う
○:転写紙の両端を持ち、端部をテーブルに10回、上方面から手で5回叩くと転写紙が均一に揃う
△:転写紙の両端を持ち、端部をテーブルに10回、上方面から手で10回叩くと転写紙が均一に揃う
×:転写紙の両端を持ち、端部をテーブルに10回、上方面から手で10回叩いても転写紙の表裏がトナーで貼り付いているため均一に揃わない
(臭気)
床が5m×5m、高さが2mの密閉された部屋の中で、デジタル複写機「7065」(コニカ株式会社製)を改造し、定着器の定着温度を175℃に設定し、定着後の転写紙を冷却する冷却器を取り付け、排紙された転写紙の表面温度が75℃になるように調整したプリンタで、ベタ黒50%の画像を連続して1000枚プリントを行った。
【0198】
臭気の評価は、1000枚のプリント終了時に30名の評価員により、臭気を感じた人数で行った。
【0199】
◎:1名の評価員も臭気を感じなかった
○:3名以下の評価員が臭気を感じた
×:4名以上の評価員が臭気を感じた
評価結果を表2に示す。
【0200】
【表2】
Figure 2004046131
【0201】
表2より明らかなように、本発明のトナーは、比較例に対し、トナーの保存安定性に優れ、排紙された転写紙が揃えやすく(排紙された転写紙の貼り付きが無く)且つ定着時に臭気が感じられないことが判る。
【0202】
【発明の効果】
実施例により実証されたように、本発明のトナー、トナーの製造方法、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置は、トナーの保存安定性に優れ、排紙された転写紙の貼り付きが無く、熱定着時に臭気が発生しない等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーを用いる画像形成方法の一例を示す画像形成装置の断面構成図である。
【符号の説明】
121 感光体
122 帯電器
123 現像装置
124 転写器
125 分離器
126 クリーニング装置
127 PCL(プレチャージランプ)
130 露光光学系
150 定着器
163 冷却器
P 転写紙

Claims (10)

  1. 結着樹脂と着色剤を構成成分とするトナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、ヘッドスペース法により測定した揮発性物質の全量が350ppm以下、且つ、重合性単量体の量が50ppm以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、水系媒体に分散された着色剤および結着樹脂を含むトナー粒子を水系媒体から分離する工程、および分離されたトナー粒子を乾燥する工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、樹脂粒子と着色剤粒子からトナー粒子分散液を得る塩析/融着工程を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、単量体から樹脂粒子を得る重合工程;樹脂粒子および着色剤粒子からトナー粒子分散液を得る塩析/融着工程;トナー粒子の分散液からトナー粒子を濾別し、トナー粒子から不純物を除去する濾過・洗浄工程;および洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する工程;を含み、該重合工程で、重合開始剤と炭素原子数が5ないし10のアルキルメルカプタン連鎖移動剤を使用することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記重合工程で、重合開始剤を複数回添加することを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記乾燥する工程で、乾燥が減圧で行われることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程、該静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む現像剤で現像してトナー画像を形成する工程、該トナー画像を転写体上に転写する工程、該転写体上のトナー画像を熱定着する工程を含む画像形成方法において、静電荷像現像用トナーとして、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを用い、該熱定着されたトナー画像を冷却する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
  8. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する機器、該静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む現像剤で現像してトナー画像を形成する機器、該トナー画像を転写体上に転写する機器、該転写体上のトナー画像を熱定着する機器を含む画像形成装置において、静電荷像現像用トナーとして、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを用い、該熱定着されたトナー画像を冷却する装置を有することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、単量体から樹脂粒子を得る重合工程;樹脂粒子および着色剤粒子からトナー粒子分散液を得る塩析/融着工程;トナー粒子の分散液からトナー粒子を濾別し、トナー粒子から不純物を除去する濾過・洗浄工程;および洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する工程;を含み、該重合工程で、重合開始剤と炭素原子数が5ないし10のアルキルメルカプタン連鎖移動剤を使用し、該重合開始剤を複数回添加することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  10. 前記乾燥する工程で、乾燥が減圧で行われることを特徴とする請求項9に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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