JP2004340261A - 変速ギヤ装置のギヤ支持構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】同一の変速軸、たとえば変速出力軸6に、個々に空転可能に嵌合する2個の変速ギヤを隣接配置した変速ギア装置のギヤ支持構造である。隣接する変速ギヤとしては、たとえば変速出力軸6上の出力側3速ギヤ43と出力側4速ギヤ44が適応対象となり、出力側3速ギヤ43のボス85を出力側4速ギヤ44まで軸方向に延長し、出力側4速ギヤ44のボス86を、上記出力側3速ギヤ43のボス85の外周面に空転可能に嵌合する。好ましくは、出力側4速ギヤ44と出力側3速ギヤ43のうち、大きい外径の変速ギヤのボスを小さい外径の変速ギヤまで軸方向に延長する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてモーターサイクル、騎乗形三,四輪走行車又はトラクタや耕運機等の農業用車輌に適用される変速ギヤ装置のギヤ支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
変速ギヤ装置内には、周知のように変速軸として、変速入力軸及び変速出力軸等が配置されると共に、シフトフォーク、シフトロッド及びチェンジドラム等のようなシフト機構が配置されている。そして各変速軸上には、変速段数に応じて複数の変速ギヤがそれぞれ配置されており、一部の変速ギヤは、動力伝達経路を切り換えるために、シフトフォーク等により軸方向に移動操作されるようになっている(たとえば特許文献1等参照。)。
【0003】
図3は、前進6段式変速ギヤ装置のギヤ配置の一例を示しており、変速出力軸106には、軸方向の右側から順に出力側の1速ギヤ141、5速ギヤ145、3速ギヤ143、4速ギヤ144、6速ギヤ146及び2速ギヤ142が配置されている。5速ギヤ145と6速ギヤ146は、軸方向移動可能に変速出力軸106にスプライン嵌合すると共に、軸方向両端部にそれぞれ噛合機構用のドグ爪150,151,152,153を一体に備えている。左右両端の1速ギヤ141と2速ギヤ142は、変速出力軸106に空転可能に嵌合すると共に軸方向移動不能に係止され、また、前記5速ギヤ145と6速ギヤ146のドグ爪150,152が係合可能となっている。中央の3速ギヤ143と4速ギヤ144は、互いに隣接配置されると共に、変速出力軸106に対して個々独立に空転可能に嵌合し、かつ、軸方向移動不能に係止され、また、前記5速ギヤ145と6速ギヤ146のドグ爪151,153が係合可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−215151号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図3の出力側3速ギヤ143及び4速ギヤ144のように、変速出力軸106に対して個々独立に空転する変速ギヤであって、互いに隣接配置される変速ギヤについて、変速ギヤ装置の軸方向寸法のコンパクト性を保とうとすれば、摺動可能な5速ギヤ145及び6速ギヤ146等との位置関係から、出力側3速ギヤ143及び4速ギヤ144の各ボス160,161の長さは制限されてしまう。
【0006】
上記のようにボス160,161の長さが制限されると、変速出力軸6の撓みや出力軸ボス160、161と変速出力軸106との嵌合部のクリアランス等の関係から、出力側3速ギヤ143及び出力側4速ギヤ144にスラスト推力が生じ、スラスト推力の増加によるギヤの倒れや片当りによるギヤの噛合騒音が発生する場合がある。
【0007】
一方、出力側3速ギヤ143と4速ギヤ144の各ボス160,161をそれぞれ長く確保すると、変速ギヤ装置の軸方向の寸法が大形化してしまう。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、変速ギヤ装置の軸方向のコンパクト性を維持しつつ、隣接配置された2個の変速ギヤの倒れ現象を防止できるようにすることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願請求項1に係る発明は、同一の変速軸に、個々に空転可能に嵌合する2個の変速ギヤを隣接配置した変速ギア装置のギヤ支持構造において、一方の変速ギアのボスを他方の変速ギヤまで軸方向に延長し、他方の変速ギヤのボスを、一方の変速ギヤのボスの外周面に空転可能に嵌合したことを特徴としている。
【0010】
上記構成のように、隣接する変速ギヤのボス同士を内外に重なるように形成することにより、いずれの変速ギヤのボスも長くすることができ、これにより両変速ギヤのスラスト推力の増加によるギヤの倒れや片当りによるギヤの噛合騒音の発生を抑制できる。
【0011】
また、径方向の外側に形成される他方の変速ギヤのボスは、一方の変速ギヤのボスに対し相対回転することになるので、従来のように変速軸に対して相対回転する場合に比べ、相対回転数を減らすことができ、それにより嵌合部における耐摩耗性の表面処理コストを抑えることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の変速ギヤ装置のギヤ支持構造において、2個の変速ギヤは外径が異なっており、大きい外径の変速ギヤのボスを小さい外径の変速ギヤまで軸方向に延長し、小さい外径の変速ギヤのボスを大きい外径の変速ギヤのボスの外周に嵌合している。
【0013】
変速ギヤは外径が大きくなるに従い倒れ量が増すが、上記構成によると、外径の大きい変速ギヤのボスの長さを、外径の小さい変速ギヤのボスよりも長く形成することができ、外径の大きさに応じて、有効に倒れ防止効果を発揮させることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の変速ギヤ装置のギヤ支持構造において、2個の変速ギヤが配置される変速軸は、変速出力軸となっている。
【0015】
変速軸に対して、個々に空転可能に嵌合する2つの変速ギヤを隣接配置する構造は、主として変速出力軸上のギヤ配置であり、また、出力軸側の変速ギヤは、入力軸側に比べ、変速軸に対する相対回転速度が変化する機会が多く、本発明を変速出力軸側の変速ギヤに適用することにより、十分な前記効果を期待することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[変速ギヤ装置全体の構成]
図1は変速ギヤ装置を、各軸心を通る面で切断した断面展開図であり、この図1において、クランクケース1と一体に形成された変速ギヤケース(ミッションケース)2内には、変速軸として、変速入力軸5及び変速出力軸6が水平左右方向に延びる姿勢で互いに平行配置されると共に、入力軸側のシフトロッド7、出力軸側のシフトロッド8及びチェンジドラム9も平行に配置されている。
【0017】
変速入力軸5は変速ギヤケース2から右方に突出しており、該突出部分に取り付けられたクラッチ12及びクラッチギヤ(図示せず)等を介してクランク軸に動力伝達可能に連結し、矢印R1方向に回転するようになっている。
【0018】
変速出力軸6は変速ギヤケース2から左方に突出し、出力スプロケット13及びチェーン(図示せず)等を介して後輪に動力伝達可能に連結している。
【0019】
入力軸側のシフトロッド7には1本のシフトフォーク(シフト部材)21が軸方向移動可能に嵌合し、出力側のシフトロッド8には2本のシフトフォーク(シフト部材)22,23が軸方向移動可能に嵌合している。
【0020】
チェンジドラム9は、チェンジ操作機構(図示せず)を介してチェンジペダルに連結し、チェンジペダルの踏込み又は引上げ動作により、所定回動量ずつ回動するようになっている。チェンジドラム9には3本のシフト用カム溝16,17,18が形成されており、各カム溝16,17,18には、各シフトフォーク21,22,23の各駆動ピンがそれぞれ係合している。
【0021】
この変速ギヤ装置は前進6段切換であり、変速入力軸5上には、入力側変速ギヤとして、右端から順に入力側1速ギヤ31、5速ギヤ35、3速ギヤ33、4速ギヤ34、6速ギヤ36及び2速ギヤ32が配置され、これら変速ギヤはいずれもスパーギヤ(平歯車)が使用されている。入力側1速ギヤ31は、変速入力軸5の右側軸受26に隣接配置されると共に変速入力軸5と一体成形されている。入力側5速ギヤ35は入力側1速ギヤ31に隣接配置されると共に変速入力軸5に対して相対回転可能に嵌合し、かつ、軸方向移動不能に係止されている。入力側3速ギヤ33と入力側4速ギヤ34は、一体物として形成されると共に変速入力軸5に対して軸方向移動可能にスプライン嵌合しており、かつ、両ギヤ33,34間にはシフト操作用の環状溝51が形成され、該環状溝51には前記入力側シフトフォーク21が係合している。入力側6速ギヤ36は、入力側2速ギヤ32に隣接配置されると共に変速入力軸5に対して相対回転可能に嵌合し、かつ、軸方向移動不能に係止されている。入力側2速ギヤ32は変速入力軸5の左側軸受27に隣接配置されると共に変速入力軸5にスプライン嵌合し、かつ、軸方向移動不能に係止されている。
【0022】
入力側3速ギヤ33の右端面と入力側5速ギヤ35の左端面には、互いに噛み合い可能なドグ爪65,66が一体に形成されており、両ドグ爪65,66により、入力側3速ギヤ33と入力側5速ギヤ35の間を動力伝達可能に連結するドグ爪式噛合い機構56が構成されている。
【0023】
入力側4速ギヤ34の左端面と入力側6速ギヤ36の右端面にも、互いに噛み合い可能なドグ爪67,68が一体に形成されており、両ドグ爪67,68により、入力側4速ギヤ34と入力側6速ギヤ36の間を動力伝達可能に連結するドグ爪式噛合い機構57が構成されている。
【0024】
変速出力軸6上には、出力側変速ギヤとして、上記各入力側変速ギヤ31,35,33,34,36,32にそれぞれ噛み合う位置に、右側から順に出力側1速ギヤ41、5速ギヤ45、3速ギヤ43、4速ギヤ44、6速ギヤ46及び2速ギヤ42が配置され、これら変速ギヤはいずれもスパーギヤ(平歯車)が使用されている。出力側1速ギヤ41は、変速出力軸6の右側軸受28に隣接配置されると共に変速出力軸6に対して相対回転可能に嵌合し、かつ、軸方向移動不能に係止されている。出力側5速ギヤ45は変速出力軸6に対して軸方向移動可能にスプライン嵌合すると共に環状溝52が形成され、該環状溝52には右方の出力側シフトフォーク22が係合している。出力側3速ギヤ43と出力側4速ギヤ44は、互いに隣接配置されると共に変速出力軸6に対して個々独立に回転可能(空転可能)となっており、しかも、軸方向移動不能に係止されている。出力側6速ギヤ46は変速出力軸6に対して軸方向移動可能にスプライン嵌合すると共に環状溝53が形成され、該環状溝53には左方の出力側シフトフォーク23が係合している。出力側2速ギヤ42は、変速出力軸6の左側軸受29に隣接配置されると共に変速出力軸6に対して相対回転可能に嵌合し、かつ、軸方向移動不能に係止されている。
【0025】
出力側5速ギヤ45の右端面と出力側1速ギヤ41の壁には、互いに係合可能なドグ爪70と係合孔71が形成されており、該ドグ爪70と係合孔71により、出力側5速ギヤ45と出力側1速ギヤ41の間を動力伝達可能に連結するドグ爪式噛合い機構58が構成されている。
【0026】
出力側5速ギヤ45の左端部と出力側3速ギヤ43の壁には、互いに係合可能なドグ爪72と係合孔73が形成されており、該ドグ爪72と係合孔73により、出力側5速ギヤ45と出力側3速ギヤ43の間を動力伝達可能に連結するドグ爪式噛合い機構59が構成されている。
【0027】
出力側6速ギヤ46の右端部と出力側4速ギヤ44の壁には、互いに係合可能なドグ爪74と係合孔75が形成されており、該ドグ爪74と係合孔75により、出力側6速ギヤ46と出力側4速ギヤ44の間を動力伝達可能に連結するドグ爪式噛合い機構60が構成されている。
【0028】
出力側6速ギヤ46の左端面と出力側2速ギヤ42の壁には、互いに係合可能なドグ爪76と係合孔77が形成されており、該ドグ爪76と係合孔77により、出力側2速ギヤ42と出力側6速ギヤ46の間を動力伝達可能に連結するドグ爪式噛合い機構61が構成されている。
【0029】
[出力側3速ギヤと4速ギヤの支持構造]
図2は変速出力軸6の概ね出力側3速ギヤ43と出力側4速ギヤ44の縦断面拡大部分図であり、これら両出力側変速ギヤ(43,44)の支持構造に本発明を適用しており、以下その支持構造を詳しく述べる。
【0030】
図2において、変速出力軸6の外周スプライン歯6aには、出力側3速ギヤ43から出力側4速ギヤ44に亘るスプラインブッシュ80がスプライン嵌合している。該スプラインブッシュ80の左端部は、外向きのフランジ部80aを一体に有すると共にスナップリング81により軸方向に係止されており、スプラインブッシュ80の右端部は、抜止めリング82を介してスナップリング83により軸方向に係止されている。
【0031】
出力側3速ギヤ43のボス85は、出力側4速ギヤ44内の位置まで軸方向の左方に延び、前記スプラインブッシュ80の外周面に回転可能(空転可能)に嵌合しており、上記ボス85の軸方向の両端面は前記フランジ部80a及び抜止めリング82により、軸方向移動不能に係止されている。
【0032】
一方、出力側4速ギヤ44のボス86は、出力側3速ギヤ43の左側壁面まで軸方向の右方に延び、前記出力側3速ギヤ43のボス85の外周面に相対回転可能に嵌合している。上記出力側4速ギヤ44のボス86軸方向の両端面は前記フランジ部80a及び出力側3速ギヤ43の左側壁面により、軸方向移動不能に係止されている。
【0033】
両ボス86,85間の嵌合部(88)は、表面硬化処理により直接回転可能に嵌合することも可能であるが、該実施の形態では、たとえば遊嵌ブッシュ88を介在させてある。なお、遊嵌ブッシュ88の代わりにニードルベアリングを配置することも可能である。
【0034】
【作用】
図1において、第1速位置にシフトする場合には、出力側5速ギヤ45を右方に移動して、出力側5速ギヤ45と出力側1速ギヤ41をドグ爪式噛合い機構58により連結する。動力伝達経路は、変速入力軸5→入力側1速ギヤ31→出力側1速ギヤ41→ドグ爪式噛合い機構58→出力側5速ギヤ45→変速出力軸6となる。
【0035】
上記第1速位置では、図2において、出力側3速ギヤ43及び出力側4速ギヤ44は、トルク伝達には関っておらず、入力側3速ギヤ33及び入力側4速ギヤ34により、いずれも空転している。具体的には、出力側3速ギヤ43は変速出力軸6に対して相対的に速い回転速度で空転し、出力側4速ギヤ44は、出力側3速ギヤ43に対して、相対的に少し速い回転速度で空転している。
【0036】
第2速位置にシフトする場合には、図1において、出力側6速ギヤ46を左方に移動して、出力側6速ギヤ46と出力側2速ギヤ42をドグ爪式噛合い機構61により連結する。動力伝達経路は、変速入力軸5→入力側2速ギヤ32→出力側2速ギヤ42→ドグ爪式噛合い機構61→出力側6速ギヤ46→変速出力軸6となる。
【0037】
上記第2速位置の場合は前記第1速位置の場合と同様に、図2において、出力側3速ギヤ43及び出力側4速ギヤ44は、トルク伝達には関っておらず、入力側3速ギヤ33及び入力側4速ギヤ34により、いずれも空転している。
【0038】
第3速位置にシフトする場合には、図1の出力側5速ギヤ45を左方に移動して、出力側5速ギヤ45と出力側3速ギヤ43をドグ爪式噛合い機構59により連結する。動力伝達経路は、変速入力軸5→入力側3速ギヤ33→出力側3速ギヤ43→ドグ爪式噛合い機構59→出力側5速ギヤ45→変速出力軸6となる。
【0039】
上記第3速位置では、図2において、出力側3速ギヤ43はトルク伝達に関った状態であり、変速出力軸6と同期回転している。一方、出力側4速ギヤ44は、トルク伝達には関っておらず、入力側4速ギヤ34により空転している。具体的には、出力側4速ギヤ44は、出力側3速ギヤ43に対して、相対的に少し速い回転速度で空転している。
【0040】
この第3速位置において、たとえば変速出力軸6の撓み等で発生するスラスト力等により、あるいは入力側3速ギヤ33との噛み合い部で発生するスラスト力等により、出力側3速ギヤ43を倒すように力が加わっても、ボス85を軸方向に長く確保してあるので、倒れ量を小さい値に抑えることができる。
【0041】
第4速位置にシフトする場合には、出力側6速ギヤ46を右方に移動して、出力側6速ギヤ46と出力側4速ギヤ44をドグ爪式噛合い機構60により連結する。動力伝達経路は、変速入力軸5→入力側4速ギヤ34→出力側4速ギヤ44→ドグ爪式噛合い機構60→出力側6速ギヤ46→変速出力軸6となる。
【0042】
上記第4速位置では、図2において、出力側4速ギヤ44はトルク伝達に関った状態であり、変速出力軸6と同期回転している。一方、出力側3速ギヤ43は、トルク伝達には関っておらず、入力側4速ギヤ34により空転している。具体的には、変速出力軸6に対して空転している出力側3速ギヤ43に対して、出力側4速ギヤ44は出力側3速ギヤ43よりも少し速い回転速度で相対的に回転している。
【0043】
この第4速位置において、たとえば変速出力軸6の撓み等に起因して発生するスラスト力等により、出力側4速ギヤ44を倒すように力が加わっても、ボス86を軸方向に長く確保してあるので、倒れ量を小さい値に抑えることができる。
【0044】
第5速位置にシフトする場合には、図1において、入力側3速ギヤ33を右方に移動して、入力側3速ギヤ33と入力側5速ギヤ35をドグ爪式噛合い機構56により連結する。動力伝達経路は、前述のように、変速入力軸5→入力側3速ギヤ33→ドグ爪式噛合い機構56→入力側5速ギヤ35→出力側5速ギヤ45→変速出力軸6となる。
【0045】
上記第5速位置の場合は前記第1速位置の場合と同様に、図2において、出力側3速ギヤ43及び出力側4速ギヤ44は、トルク伝達には関っておらず、入力側3速ギヤ33及び入力側4速ギヤ34により、いずれも空転している。
【0046】
第6速位置にシフトする場合には、図1の入力側3速ギヤ33及び4速ギヤ34を左方に移動して、入力側6速ギヤ36と入力側4速ギヤ34を、ドグ爪式噛合い機構57により連結する。動力伝達経路は、変速入力軸5→入力側4速ギヤ34→ドグ爪式噛合い機構57→入力側6速ギヤ36→出力側6速ギヤ46→変速出力軸6となる。
【0047】
上記第6速位置の場合も前記第1速位置の場合と同様に、図2において、出力側3速ギヤ43及び出力側4速ギヤ44は、トルク伝達には関っておらず、入力側3速ギヤ33及び入力側4速ギヤ34により、いずれも空転している。
【0048】
【その他の発明の実施の形態】
(1)前記実施の形態は、入力側変速ギヤ及び出力側変速ギヤとしてスパーギヤを使用した例であるが、たとえば入力側3速ギヤ33の歯に若干(1°〜3°)のねじれ角を付与し、出力側3速ギヤ43の歯にも対応するねじれ角を付与し、これにより動力伝達中における入力側3速ギヤ33に生じる軸方向のスラスト推力を減少させるように構成した変速ギヤ装置にも適用できる。
【0049】
(2)図1及び図2では、変速出力軸上の出力側3速ギヤと出力側4速ギヤに適用した例を示しているが、本発明は変速出力軸上の変速ギヤには限定されず、変速入力軸上の変速ギヤにも適用可能である。
【0050】
(3)図1のような変速装置において、入力側3速ギヤ33と入力側4速ギヤ34の軸方向の位置関係が逆の構造にも適用することは可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、(1)同一の変速軸に、個々に空転可能に嵌合する2個の変速ギヤを隣接配置した変速ギア装置のギヤ支持構造において、一方の変速ギアのボスを他方の変速ギヤまで軸方向に延長し、他方の変速ギヤのボスを、一方の変速ギヤのボスの外周面に空転可能に嵌合しているので、いずれの変速ギヤのボスも長くすることができ、これによりスラスト推力増加による変速ギヤの倒れや片当りによるギヤの噛合い騒音の発生を防止することができる。
【0052】
(2)径方向の外側に形成される他方の変速ギヤのボスは、一方の変速ギヤのボスに対し相対回転することになるので、従来のように変速軸に対して相対回転する場合に比べ、相対回転数を減らすことができ、それにより嵌合部における耐摩耗性の表面処理コストを抑えることができる。
【0053】
(3)2個の変速ギヤは外径が異なっており、大きい外径の変速ギヤのボスを小さい外径の変速ギヤまで軸方向に延長し、小さい外径の変速ギヤのボスを大きい外径の変速ギヤのボスの外周に嵌合していると、外径の大きい変速ギヤのボスの長さを、外径の小さい変速ギヤのボスよりも長く形成することができ、外径の大きさに応じて、有効に倒れ防止効果を発揮させることができる。
【0054】
(4)変速軸に対して、個々に空転可能に嵌合する2つの変速ギヤを隣接配置する構造は、主として変速出力軸上のギヤ配置であり、また、出力軸側の変速ギヤは、入力軸側に比べ、変速軸に対する相対回転速度が変化する機会が多く、本発明を変速出力軸側の変速ギヤに適用することにより、十分な前記効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車輌用変速ギヤ装置を、各軸を通る面で切断した断面展開図である。
【図2】図1の変速出力軸部分の縦断面拡大図である。
【図3】従来例の変速出力軸部分の縦断面拡大図である。
【符号の説明】
2 変速ギヤケース
5 変速入力軸(変速軸)
6 変速出力軸(変速軸)
43、44 出力側3速ギヤ、出力側4速ギヤ(変速ギヤの例)
85,86 ボス
Claims (3)
- 同一の変速軸に、個々に空転可能に嵌合する2個の変速ギヤを隣接配置した変速ギア装置のギヤ支持構造において、
一方の変速ギアのボスを他方の変速ギヤまで軸方向に延長し、
他方の変速ギヤのボスを、一方の変速ギヤのボスの外周面に空転可能に嵌合したことを特徴とする変速ギヤ装置のギヤ支持構造。 - 2個の変速ギヤは外径が異なっており、大きい外径の変速ギヤのボスを小さい外径の変速ギヤまで軸方向に延長し、小さい外径の変速ギヤのボスを大きい外径の変速ギヤのボスの外周に嵌合したことを特徴とする請求項1記載の変速ギヤ装置にギヤ支持構造。
- 2個の変速ギヤが配置される変速軸は、変速出力軸であることを特徴とする請求項1又は2記載の変速ギヤ装置のギヤ支持構造。
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