JP2004339984A - 圧縮比を変更可能な内燃機関と圧縮比制御方法 - Google Patents

圧縮比を変更可能な内燃機関と圧縮比制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの圧縮比の高低変更に用いる機器の小型化を図る。
【解決手段】圧縮比を低圧縮比の側へ変更する場合(ステップS200の否定判定)と、高圧縮比の側への圧縮比変更であっても燃焼圧Pが低い場合(ステップS230での否定判定)は、圧縮比変更のためのモータ制御を継続実行して、現状の圧縮比εiを目標圧縮比εtに変更する。しかしながら、高圧縮比の側への変更であってその際の燃焼圧Pが規定の燃焼圧P0以上であれば、圧縮比変更のためのモータ制御を一時停止する(ステップS240)。これにより、燃焼圧Pが高い状況下では、高圧縮比の側への圧縮比変更が制限され、圧縮比は、モータ制御の一時停止を受けた時点で定まる圧縮比εLmまでしか高圧縮比側に変更されない。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮比を変更可能な内燃機関とその圧縮比制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、圧縮比を変更可能な機能を有する種々の内燃機関(可変圧縮比エンジン)が提案されている。圧縮比を高く設定すると効率よく動力を得ることができるが、ノッキングが発生しやすい。このため、圧縮比は、運転条件に応じて変更される。具体的には、内燃機関の負荷が低い場合には、ノッキングが発生しにくいため圧縮比は高く設定される。これにより、燃費が向上する。一方、内燃機関の負荷が高い場合には、ノッキングが発生しやすいため圧縮比は低く設定される。
【0003】
このように圧縮比を変更するに当たり、クランクシャフトを支持するクランクケースと、ピストンヘッド側のシリンダブロックとを、シリンダボア方向に近接・離間する圧縮比変更機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−26981号公報
【0005】
この特許文献1では、クランクケースとシリンダブロックの両機関部材間に偏心カムシャフトを介装し、このカムシャフトへの動力伝達にウォームとウォームホイールを用いている。そして、ウォームをモータ等の駆動源に連結し、ウォームホイールを駆動対象機器(偏心カムシャフト)に連結し、モータの正逆回転により偏心カムシャフトを回転させ、その偏心カムに倣って上記両機関部材を近接・離間させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の可変圧縮比エンジンでは、燃焼室の燃焼圧はピストンとシリンダ、即ちクランクケースとシリンダブロックの相対位置が広がるように作用する。よって、この燃焼圧に起因する力は、高圧縮比から低圧縮比側への圧縮比変更の際に、圧縮比変更機構に必要とされる駆動力に対して補助的に働くようになる。
【0007】
その一方、圧縮比を低圧縮比から高圧縮比側に変更する場合は、燃焼圧に起因した力は圧縮比変更機構の駆動を妨げるよう作用する。こうした場合は、燃焼圧に抗して圧縮比変更機構を駆動させる必要があるので、圧縮比変更機構へは大きな駆動力を伝達することが不可欠となる。ところで、エンジン負荷が高い状況では、エンジン負荷に応じて燃焼圧も高くなり、燃焼圧に起因する力も増すことから、高エンジン負荷の状況で圧縮比を高圧縮比の側に変更する場合が、圧縮比変更機構への伝達駆動力が最も大きくなる。このため、圧縮比変更機構で変更し得る上下限の圧縮比範囲において圧縮比を一律に高低変更するためには、駆動源には、伝達すべき最大の駆動力を支障無く発揮できる高い動力特性が必要となるので、駆動源の大型化、延いては圧縮比変更機構を含めたエンジン周りの大型化を招いていた。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、圧縮比の高低変更に用いる機器の小型化を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の圧縮比を変更可能な内燃機関とその圧縮比制御方法では、圧縮比を変更する状況になると、圧縮比変更のための駆動源の回転駆動力を伝達手段を介して伝達駆動力として圧縮比変更機構に伝達する。これにより圧縮比変更機構は、ピストンヘッド側の機関部材とクランクケース側の機関部材の少なくとも一方を駆動して両機関部材間の相対的な位置関係を変更し、これにより燃焼室容積を変えて圧縮比を高圧縮比と低圧縮比との間に亘って変更する。こうした圧縮比変更に際しては、内燃機関の運転状態に応じた目標圧縮比を求め、圧縮比がこの目標圧縮比となるように、圧縮比変更機構が駆動源の動力により駆動する。
【0010】
本発明は、このように圧縮比を高低変更するのであるが、圧縮比変更機構で変更し得る上下限の圧縮比範囲において圧縮比を一律に高低変更するのではない。つまり、圧縮比を高圧縮比の側の目標圧縮比に高める際には、次のようにする。こうした状況では、燃料の燃焼圧に起因する力は、伝達手段を介した圧縮比変更機構への駆動源の回転駆動力のトルク伝達を阻害するよう作用する。よって、本発明は、この燃焼圧に起因する力に応じて、圧縮比の高圧縮比側への変更に制限を加え、高圧縮比側への圧縮比変更機構の駆動のために駆動源に要求されるトルクの低減を図るのである。
【0011】
このため、本発明によれば、駆動源には高い動力特性を必要とせず、駆動源の小型化を可能とする。そして、こうした駆動源であっても、上記のように制限を受けた圧縮比(高圧縮比)にまでは、圧縮比を低圧縮比側から変更できるので、この制限を受けた圧縮比(高圧縮比)と圧縮比変更機構で変更し得る下限圧縮比との間においては、圧縮比を高低変更できる。
【0012】
その一方、内燃機関の負荷低減により燃焼圧に起因する力が低減すれば、圧縮比の高圧縮比側への変更に制限を加える必要が無くなると共に、燃焼圧に起因する力に抗して圧縮比を高圧縮比の側に変更するために要求される駆動源の駆動力も小さくなる。よって、燃焼圧に起因する力が低減した状況であれば、駆動源が小型であってもその有する動力特性により、圧縮比変更機構で変更し得る下限圧縮比と上限圧縮比(若しくは、この上限圧縮比に近い圧縮比)との間において、圧縮比を高低変更できる。
【0013】
このように燃焼圧に起因する力に応じた圧縮比の高圧縮比側への変更制限は、内燃機関の負荷が内燃機関の運転に際して要求頻度が高い常用の負荷領域より高い負荷領域において、行うようにすることができる。このように負荷が内燃機関の常用の負荷領域より高い状況は、燃焼圧に起因する力も大きいので、上記したような圧縮比の変更制限、延いては駆動源のトルク低減が有効に機能し、駆動源の小型化がより確実となる。
【0014】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の別の圧縮比を変更可能な内燃機関では、内燃機関の運転に際して要求頻度が高い常用の負荷領域より高い負荷領域において圧縮比を高圧縮比の側に変更する状況下では、前記伝達手段を介して前記駆動源が前記圧縮比変更機構に伝達し得る伝達トルク範囲内で高圧縮比の側への圧縮比変更を行い、圧縮比を前記圧縮比変更機構で変更し得る最高圧縮比より低い中間圧縮比とする。つまり、燃焼圧に起因する力に応じて高圧縮比側への圧縮比変更に制限を加える代わりに、上記の高い負荷領域における高圧縮比の側への圧縮比変更を、最高圧縮比より低い中間圧縮比への圧縮比変更とするのである。こうしても、駆動源には、高い負荷領域において圧縮比を最高圧縮比まで変更できる動力特性が不要となるので、駆動源の小型化を図ることができる。
【0015】
このように圧縮比を最高圧縮比より低い中間圧縮比に変更するに際しては、内燃機関の運転状態に応じて定まる目標圧縮比を、内燃機関の負荷が上記した高い負荷領域では低減補正するようにすればよい。或いは、内燃機関の運転状態に応じて目標圧縮比を定めるマップ等を、高い負荷領域における圧縮比の高圧縮比の側への変更時には、目標圧縮比が中間圧縮比とされたものに変更するようにし、この変更後のマップで高い負荷領域における圧縮比の高圧縮比の側への変更時の目標圧縮比を中間圧縮比として定めるようにすることもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の形態を実施例に基づき説明する。図1は第1実施例に係る可変圧縮比エンジン100の概略分解斜視図、図2はこの可変圧縮比エンジン100の概略構成を示す概略斜視図である。
【0017】
本実施例の可変圧縮比エンジン100は、シリンダブロック103をロアケース(クランクケース)104に対してシリンダ102の軸方向に移動させることで燃焼室容積を変え、圧縮比を変更する。このため、本実施例の可変圧縮比エンジン100は、ロアケース104に対してシリンダブロック103を移動させる圧縮比変更機構を備える。この圧縮比変更機構については後述する。
【0018】
ロアケース104に対してシリンダブロック103がシリンダ102の軸方向に移動するため、シリンダ102上部に配置された吸排気バルブの開閉を行う図示しないカムシャフトにあっても、ロアケース104に対して移動することとなる。カムシャフトの駆動力は、ロアケース104内に配置されたクランクシャフト115からチェーンやベルトを介して伝達されるため、これに対する考慮も本実施例のエンジンではなされている。こうした構成については、本発明の要旨と直接関係しないので、その説明については省略する。
【0019】
なお、シリンダブロック103がロアケース104に対して移動可能とされていること、および、その移動機構(圧縮比変更機構)を備えていること、カムシャフトへの変動力の伝達、以外の部分に関しては、通常のエンジンと変わるところはない。よって、これらについても説明は省略する。
【0020】
図1に示すように、可変圧縮比エンジン100は、シリンダブロック103の両側下部に複数の隆起部130を備え、この各隆起部130にカム収納孔105を有する。カム収納孔105は、円形を有しており、シリンダ102の軸方向に対して直角に、かつ、複数のシリンダ102(本実施例の可変圧縮比エンジン100は四気筒エンジン)の配列方向に平行になるようにそれぞれ形成されている。カム収納孔105は、シリンダブロック103の両側に形成されており、片側の複数のカム収納孔105は全て同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック103の両側のカム収納孔105の一対の軸線は平行である。
【0021】
ロアケース104には、上述したカム収納孔105が形成された複数の隆起部130の間に位置するように、立壁部132が形成されている。各立壁部132のロアケース104外側に向けられた表面には、半円形の凹部が形成されている。また、各立壁部132には、ボルト106によって取り付けられるキャップ107が用意されており、キャップ107にあっても半円形の凹部を有している。各立壁部132にキャップ107を取り付けると、両部材で円形の軸受収納孔108が形成される。軸受収納孔108の形状は、上述したカム収納孔105と同一である。
【0022】
複数の軸受収納孔108は、カム収納孔105と同様に、シリンダブロック103をロアケース104に取り付けたときにシリンダ102の軸方向に対して直角に、かつ、複数のシリンダ102の配列方向に平行になる。これらの複数の軸受収納孔108も、シリンダブロック103の両側に形成されることとなり、片側の複数の軸受収納孔108は全て同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック103の両側の軸受収納孔108の一対の軸線は平行である。また、両側のカム収納孔105の間の距離と、両側の軸受収納孔108との問の距離は同一である。
【0023】
交互に配置される二列のカム収納孔105と軸受収納孔108には、それぞれカム軸109が挿通される。カム軸109は、図1に示すように、軸部109aに、カム部109bと可動軸受部109cとを有する。カム部109bは、軸部109aの中心軸に対して偏心された状態で軸部109aに固定され、正円形のカムプロフィールを有する。可動軸受部109cは、このカム部109bと同一外形を有し、軸部109aに対して回転可能に取り付けられる。本実施例では、カム部109bと可動軸受部109cとが交互に配置されている。一対のカム軸109は、シリンダ102を挟んで鏡像の関係を有している。また、カム軸109の端部には、後述するウォームホイール110の取付部109dが形成されている。軸部109aの中心軸と取付部109dの中心とは偏心しており、全カム部109bの中心と取付部109dの中心とは一致している。
【0024】
可動軸受部109cも、軸部109aに対して偏心されておりその偏心量はカム部109bと同一である。実際にカム軸109を構築するには、最も端部の一つのカム部109bが予め一体的に結合された状態でカム軸109が製造され、これに可動軸受部109cと他のカム部109bとが交互に挿入される。そして、カム部109bのみが図示するようにビスなどで軸部109aに固定される。この場合、カム部固定は他の方法、例えば、圧入や溶接でも良い。軸部109a上のカム部109bの数は、シリンダブロック103片側のカム収納孔105の数と一致する。また、カム部109bの厚さも、対応する各カム収納孔105の長さと一致する。同様に、軸部109a上の可動軸受部109cの数は、ロアケース104片側に形成される軸受収納孔108の数と一致する。また、可動軸受部109cの厚さも、対応する各軸受収納孔108の長さと一致する。
【0025】
各カム軸109において、複数のカム部109bの偏心方向は同一である。また、可動軸受部109cの外形は、カム部109bと同一正円であるので、可動軸受部109cを回転させることで、複数のカム部109bの外表面と複数の可動軸受部109cの外側面とを一致させることができる。この状態で、シリンダブロック103とロアケース104とを組み合わせて複数のカム収納孔105と複数の軸受収納孔108とで形成される長孔にカム軸109が挿入されて組み立てられる。なお、カム軸109をシリンダブロック103およびロアケース104に対して配置させた後にキャップ107を取り付けても良い。
【0026】
カム収納孔105、軸受収納孔108、カム部109bおよび可動軸受部109cの形状は全て同一の正円形である。また、シリンダブロック103は、ロアケース104に対してスライド可能であるが、両者の摺動面には、シリンダ内面とピストンとの間の気密を確保するピストンリングのような部材を配置して気密性を確保する。なお、ピストンリング以外の他の手法によって、例えば、Oリングのようなゴム製ガスケット等によって、シールを行っても良い。
【0027】
各カム軸109は、その軸部109a端部の取付部109dにウォームホイール110を有する。このウォームホイール110は、キーにて位置決めされた上で、取付部109dにボルト固定されている。
【0028】
一対のカム軸109に対応するそれぞれのウォームホイール110には、ウォーム111a,111bが噛み合っている。ウォーム111a,111bは、正逆回転可能な単一のサーボモータ112の出力軸と連結されている。ウォーム111a,111bは、互いに逆方向に回転する蝶旋溝を有している。このため、サーボモータ112を回転させると、一対のカム軸109は、ウォームホイール110の回転を受け、互いに逆方向に回転する。サーボモータ112は、シリンダブロック103などに固定されており、シリンダブロック103と一体的に移動する。
【0029】
次に、本実施例の可変圧縮比エンジン100における圧縮比変更の様子について説明する。図3は可変圧縮比エンジン100にて圧縮比を変更する際の機器駆動の様子を説明する説明図である。なお、図3(a)〜図3(c)に、シリンダブロック103と、ロアケース104と、これら両者の間に構築されたカム軸109などからなる圧縮比変更機構とを断面示する。そして、これら図においては、カム軸109における軸部109aの中心軸を符号Aで、カム部109bの中心をBで、可動軸受部109cの中心をCで表す。
【0030】
図3(a)は、軸部109aの延長線上から見て全てのカム部109bおよび可動軸受部109cの外周が一致した状態を示している。このとき、ここでは左右一対の軸部109aは、カム収納孔105および軸受収納孔108の外側に位置している。各軸部がこうした位置関係にある時を、カム軸角度がゼロ度(0゜)とする。
【0031】
図3(a)の状態から、軸部109a(および軸部109aに固定されたカム部109b)が図中の矢印X+の方向に回転すると、図3(b)の状態となる。このとき、軸部109aに対して、カム部109bと可動軸受部109cの偏心方向にズレが生じるので、ロアケース104に対してシリンダブロック103を上死点側にスライドさせることができる。そして、そのスライド量は、図3(c)のような状態となるまでカム軸109を矢印X+の回転方向に回転させたときが最大となり、カム部109bや可動軸受部109cの偏心量の二倍となる。カム部109bおよび可動軸受部109cは、それぞれカム収納孔105および軸受収納孔108の内部で回転し、それぞれカム収納孔105および軸受収納孔108の内部で軸部109aの位置が移動するのを許容している。
【0032】
図3の各図から明らかなように、図3(a)では、シリンダブロック103とロアケース104、延いてはピストン上死点位置との相対距離が短くなるので、燃焼室容積が減少して圧縮比は高い状態である。その一方、図3(c)のようにシリンダブロック103がピストン上死点位置から離れるほど、燃焼室容積が増えて圧縮比は低い状態となる。つまり、図3(a)から図3(c)にシリンダブロック103が駆動することで、圧縮比は高圧縮比から低圧縮比に推移する。
【0033】
こうした低圧縮比側への圧縮比推移を起こす場合のカム軸109の回転方向は図3の矢印X+方向であり、この際、サーボモータ112は正回転するとする。また、図3(c)に示す各軸部の位置関係をカム軸角度+90゜とする。
【0034】
シリンダブロック103は、このカム軸を経てサーボモータ112の回転駆動力を上向きに受けて、ロアケース104から離れるよう上昇する。この際、燃焼室の燃焼圧に起因した力は、シリンダブロック103をロアケース104から上昇させようとする方向に働くことから、低圧縮比側への圧縮比推移の場合には、燃焼圧は、シリンダブロック103が受ける駆動力と同じ向きに働くことになる。この場合、上記の各軸部の回転とシリンダブロック103のスライド移動を起こすことから、こうした部材移動に伴う摩擦力も起き、この摩擦力は、シリンダブロック103の移動、即ちカム軸を介したモータ駆動力伝達を阻害するよう作用する。
【0035】
なお、カム部109bと可動軸受部109cとが完全に一致した状態(図3(a))では、一本のカム軸109に取り付けられた複数の可動軸受部109cが、シリンダを上下にスライドさせずに空転してしまう可能性もある。このため、本実施例のエンジンの圧縮比変更機構では、図3(a)のように、カム部109bと可動軸受部109cとを完全に一致させる状態を生じさせない。例えば、図3(a)の状態のカム軸109の回転位置を基準0°とした場合(一対のカム軸109で正方向は逆回転方向)、図3(c)の状態の回転位置は矢印X+に沿った正方向の90°となるが、図3(a)に示す0゜の近辺(例えば、5゜程度)を使用しないようにして5°〜90°の範囲でカム軸回転を実現することで、上述したような問題を解消し得る。実際のシリンダブロック103のスライド量は、数mmとすることを検討しているので、5°〜90°の範囲で規定の圧縮比範囲が得られるよう、カム部109bや可動軸受部109cの偏心量を定めれば良く、実際の設計に当たってこのことはなんら問題ない。
【0036】
また、図3(c)の状態からシリンダブロック103のスライド量を元の状態に戻して圧縮比を高めるには、サーボモータ112を逆回転させる。こうすれば、カム軸109の軸部109aやカム部109bおよび可動軸受部109cは、図中の矢印X−の方向に逆回転駆動する。これにより、シリンダブロック103は図3(a)の状態に戻り、圧縮比は高圧縮比から低圧縮比に推移する。こうした正逆のカム軸109の制御範囲は、既述したとおり5°〜90°のカム軸角度である。
【0037】
図3(a)の状態への高圧縮比から低圧縮比への圧縮比推移を起こす場合、シリンダブロック103は、上記のカム軸を経てサーボモータ112の回転駆動力を下向きに受けて、ロアケース104に近づくよう降下する。この際にあっても、燃焼室の燃焼圧は、シリンダブロック103をロアケース104から上昇させようとする方向に働くことから、高圧縮比側への圧縮比推移の場合には、シリンダブロック103は、燃焼圧に抗してロアケース104の側に駆動することになる。
【0038】
なお、ロアケース104に対してシリンダブロック103を下死点側にスライドさせて使用しても良い。この場合のカム軸109の制御範囲は−5°〜−90°(355°〜270°)のカム軸角度とすればよい。また、ロアケース104に対してシリンダブロック103を上死点側にスライドさせて使用する場合に、カム軸109の制御範囲を90°〜175°等として使用してもよい。
【0039】
上述したような圧縮比変更機構を用いることによって、シリンダブロック103をロアケース104に対して、シリンダ102の軸線方向にスライドさせることができる。この結果、圧縮比を可変制御することが可能となる。
【0040】
次に、可変圧縮比エンジン100の圧縮比を変更制御するための電気的な構成について説明する。図4は可変圧縮比エンジン100の圧縮比変更制御に関与する機器構成を概略的に説明するブロック図である。
【0041】
図示するように、可変圧縮比エンジン100は、圧縮比変更や図示しないスロットルバルブの駆動等を統括制御するECU160を備える。このECU160は、マイクロコンピュータを中心とする論理演算回路として構成され、スロットルバルブ駆動用の図示しないアクチュエータやスロットルセンサ161、アクセルセンサ162の他、エンジン回転数とクランク角を検出する回転数・クランク角センサ163、圧縮比変更のためのサーボモータ112とその回転角度を検出するモータ回転角センサ164と等と接続されている。ECU160は、モータ回転角センサ164からのセンサ出力に基づきサーボモータ112の実際の回転角度位置を算出し、当該算出位置からエンジンの実際の圧縮比εを演算する。なお、圧縮比算出に当たっては、モータ回転角センサ164に替え、次のように構成することもできる。つまり、シリンダの燃焼室に電磁式の隙間センサを組み込み、実際の圧縮比蛩を燃焼室におけるピストン位置のセンサ出力から算出するようにすることもできる。
【0042】
次に、上記した構成を有する可変圧縮比エンジン100における圧縮比の変更の様子とその圧縮比推移の間にシリンダブロック103とロアケース104に作用する力の関係について説明する。図5はエンジンに要求される負荷(エンジン負荷)が高い状況下での圧縮比変更に関与する種々のトルクの関係を示す説明図である。
【0043】
上記した各カム軸部をカム軸角度0〜90°に亘って回転させ、圧縮比を下限圧縮比εL〜上限圧縮比εMの間で変更する場合、各カム軸部の回転駆動とシリンダブロック103のスライド移動を起こすことから、こうした部材移動に伴う摩擦力が発生する。また、燃焼圧に起因する力も発生する。こうした摩擦力や燃焼圧に起因した力は、上記の各カム軸部のカム軸回転角度(即ち、圧縮比)に対応して定まり、これら力は、上記の各カム軸部の回転を経たシリンダブロック103への駆動トルク伝達に関与する。つまり、上記の摩擦力は、カム軸部の回転駆動やシリンダブロック103のスライド移動を阻害する力であるので、こうした部材移動を起こすためのトルク伝達の妨げとなる。このため、サーボモータ112には、こうした部材移動に伴う摩擦力に抗したトルクが求められ、この様子を図5に+側のトルクとして示す。また、燃焼圧に起因した力については、既述したようにシリンダブロック103をロアケース104から上昇させようとする方向に働くので、低圧縮比側への圧縮比推移に際しては、各カム軸部を介したトルク伝達に有利に作用する。この燃焼圧に起因した力がトルク伝達に関与する様子は、摩擦力の場合と逆となることから、図5には−側のトルクとして示す。
【0044】
今、エンジン負荷が高い場合において圧縮比を上限圧縮比εMの側から下限圧縮比εLの側に低下させる状況を考える。こうした状況において、高圧縮比の側では、燃焼圧に起因した力が関与するトルクは、摩擦力に抗するためのトルクに勝り、その向きについても低圧縮比への変更側と一致することから、サーボモータ112の回転駆動力を、燃焼圧に起因した力の補助を受けてシリンダブロック103に伝達すれば足り、サーボモータ112には、燃焼圧に起因した力が関与するトルクカーブに合わせたトルクを発生させればよい。
【0045】
下限圧縮比εの側から上限圧縮比εMの側への圧縮比の変更に際しては、摩擦力と燃焼圧に起因した力に抗するためのトルクが必要となるので、サーボモータ112には、燃焼圧に起因した力が関与するトルクカーブに、摩擦力に抗するためのトルクを合わせたようなトルクを発生させる必要がある。
【0046】
つまり、エンジン負荷が高い場合における状況下で下限圧縮比εと上限圧縮比εMとの間において圧縮比を高低変更するためには、図5に示したようなトルク特性(低圧縮比側への変更と高圧縮比側への変更の両トルク特性)を正逆回転により発揮できるようなサーボモータ112を採用する必要がある。ところで、高圧縮比側への変更には、既述したように摩擦力と燃焼圧に起因した力に抗する必要があるので、サーボモータ112には、高圧縮比側へのトルク特性を得ることができるよう、図示する−側の最大トルク(T−max)の発揮能力(動力特性)が求められる。
【0047】
こうしたサーボモータ112を用いれば、+側においてもその最大トルク(T+max)とでき、エンジン負荷が高い場合における状況下で下限圧縮比εと上限圧縮比εMとの間において圧縮比を高低変更できる。こうしたトルク特性は、シリンダブロック103のスライド移動(カム軸部の回転)で変更し得る上下限の圧縮比範囲において圧縮比を一律に高低変更するものであることから、従来は、こうした観点からモータ選定をしており、このためモータの小型化が進まないでいた。しかしながら、本実施例では、以下に説明する圧縮比の変更制限制御により、モータの小型化を達成することがきる。
【0048】
ここで、本実施例の可変圧縮比エンジン100における圧縮比変更のための制御内容について説明する。図6は圧縮比変更制御を示すフローチャート、図7は圧縮比制御の内容を説明するための説明図である。
【0049】
図6に示す圧縮比変更制御ルーチンは、所定時間ごとに繰り返し実行されるものであり、まず、回転数・クランク角センサ163からのエンジン回転数読み込み、アクセル踏込状況を出力するアクセルセンサ162やスロットルセンサ161或いは図示しない吸気管負圧センサからのセンサ出力に応じたエンジン負荷(トルク)の読み込みを行う(ステップS100)。続いて、読み込んだ回転数・トルクと、この両者を圧縮比に関連付けた図7に示すマップとに基づいて、目標とする圧縮比εtを演算する(ステップS110)。この目標圧縮比算出のためのマップは、エンジン冷却水温度、吸入空気温度、或いはエミッション等の状況に応じて複数用意され、その時のエンジン運転状況に併せて適宜切り換えられる。
【0050】
次に、モータ回転角センサ164からのサーボモータ112の現状回転角度位置を読み込み、これに基づいて現状圧縮比を演算する(ステップS120)。次いで、演算した圧縮比εiと目標圧縮比εtとの一致状況に基づいて、圧縮比の変更を要するか否かを判定する(ステップS130)。ここで、上記の両圧縮比が一致していなければ、圧縮比変更を要すると判定し、ECU160は、圧縮比を目標圧縮比εtとするための変更制御を行い(ステップS140)、上記の各処理を繰り返す。このステップS140での制御は、以下に説明するようサーボモータ112を駆動制御するものであるが、後述の制限制御によりモータ駆動は制限され、これに伴い圧縮比の変更も制限される。この点については、後述する。
【0051】
このステップ140では、現状の圧縮比εiを目標圧縮比εtとするに必要なパルス数の駆動信号を、その回転方向をも含めてサーボモータ112に出力する。つまり、現状の圧縮比より低圧縮比側に変更する場合、ECU160は、カム軸109の軸部109aやカム部109bおよび可動軸受部109cが図3における矢印X+の方向に回転駆動するよう、サーボモータ112の回転方向を決定し、圧縮比変更に要するパルス数の駆動信号を出力する。ECU160は、こうしたサーボモータ112の回転制御を行うに当たり、出力したパルス数とモータ回転角センサ164からのパルス数を参酌し、サーボモータ112をフィードバック制御する。
【0052】
一方、高圧縮比側に変更する場は、ECU160は、カム軸109の軸部109aやカム部109bおよび可動軸受部109cが図3における矢印X−の方向に逆回転駆動するよう、サーボモータ112の回転方向を決定し、圧縮比変更に要するパルス数の駆動信号を出力する。この場合、ECU160は、低圧縮比側への圧縮比推移の場合と逆向きにサーボモータ112を回転制御(フィードバック制御)する。こうした制御により、可変圧縮比エンジン100は、サーボモータ112を駆動源とする圧縮比変更機構により既述したようにシリンダブロック103を上下動させ、エンジンの圧縮比を高低変更する。
【0053】
本実施例では、上記したような目標圧縮比への圧縮比変更制御と並行して、次のような圧縮比変更の制限制御も実行する。図8は圧縮比変更を制限する制御の内容を示すフローチャートである。
【0054】
図8に示す圧縮比変更の制限制御は、図6の圧縮比変更制御との実行タイミングを取りつつの所定時間ごとに繰り返し実行され、まず、現在の状況が高圧縮比の側への変更状況であるか否かを判定する(ステップS200)。この判定は、図6で説明した目標圧縮比εtと現在の圧縮比εiとを対比することで下される。或いは、図6のステップS100〜120の処理を行って、高圧縮比の側への変更状況か否かを判定するようにすることもできる。
【0055】
このステップS200で否定判定した場合は、圧縮比を低圧縮比の側へ変更するものであり、この場合は、既述したステップS140での圧縮比変更のためのモータ制御を継続実行する(ステップS210)。これにより、ECU160は、現状の圧縮比εiを目標圧縮比εtとするに必要なパルス数の駆動信号の出力を経て、現状の圧縮比εiをこれより低い目標圧縮比εtに変更する(ステップS140参照)。つまり、圧縮比は、低圧縮比の側への変更であれば何の制限を行うことなく、現状の圧縮比εiより低い目標圧縮比εtに変更される。
【0056】
一方、ステップS200で高圧縮比の側への変更であると肯定判定した場合は、現状の燃焼圧Pを読み込み(ステップS220)、その燃焼圧Pが規定の燃焼圧P0以上であるか否かを判定する(ステップS230)。この場合、燃焼圧Pは、エンジン気筒内の内圧を検出する図示しないセンサからの出力により求められる他、回転数・クランク角センサ163から読み込んだエンジン回転数や図示しないセンサからの吸気管負圧、スロットルセンサ161からのスロットル開度等に基づいて、燃焼圧Pを図示しないマップから推定するようにすることができる。
【0057】
燃焼圧Pが規定燃焼圧P0より低ければ、ステップS230では否定判定され、既述したステップS210に移行し、圧縮比変更のためのモータ制御を継続実行する。ステップS230での否定判定は、ステップS200での高圧縮比の側への変更判定に続くものであることから、この場合の圧縮比変更は、現状の圧縮比εiより高い目標圧縮比εtへのものであるが、燃焼圧Pがあまり高くないので、制限を受けずに実行されることになる。
【0058】
しかしながら、ステップS230で燃焼圧Pが規定の燃焼圧P0以上であると判定した場合は、既述したステップS140での圧縮比変更のためのモータ制御を一時停止する(ステップS240)。ECU160は、現状の圧縮比εiをこれより高い目標圧縮比εtに変更するようステップS140に基づきモータ制御を行うが、その制御の過程でステップS240によりモータ制御を一時停止させる。よって、燃焼圧Pが高い状況下では、高圧縮比の側への圧縮比変更が制限され、圧縮比は、モータ制御の一時停止を受けた時点で定まる圧縮比までしか高圧縮比側に変更されないことになる。
【0059】
上記した圧縮比変更の制限の様子について図面を用いて説明する。図9はエンジン負荷が高い場合における図5のトルクの関係を示しつつ圧縮比変更を制限した場合の圧縮比の変更の様子を説明する説明図である。
【0060】
今、現状の圧縮比εiが、シリンダブロック103のスライド移動により変更し得る下限圧縮比εL、或いはその近傍の圧縮比εL1にあり、図6のステップS110で目標圧縮比εtが上限圧縮比εMの近傍の圧縮比とされたとする。このように、現状の圧縮比が低く、これを高圧縮比の側に変更する状況では、エンジン負荷が高いものの圧縮比が低いことから燃焼圧Pはそれほど高くなく、図8のステップS230では否定判定される。よって、圧縮比はステップS240での制限を受けることなく、高圧縮比の側への圧縮比変更のトルク線図(高圧縮側トルク線図)に沿って図示するようにεL2、εL3・・と高圧縮比の側に変更される。
【0061】
ところが、圧縮比が図中の圧縮比εLmまで高圧縮比の側に変更されると、こうした圧縮比増大により燃焼圧Pも高くなり、ステップS230では肯定判定に転ずる。よって、この時点で圧縮比変更のためのモータ駆動が一時停止されるので(ステップS240)、それ以上の高圧縮比の側への圧縮比変更は制限され、圧縮比は圧縮比εLmまでしか高くならない。つまり、目標圧縮比εtはこの圧縮比εLmより高いものの、実際の圧縮比は目標圧縮比εtより低い圧縮比εLmに制限される。
【0062】
こうして高圧縮比の側への圧縮比変更が制限されると、サーボモータ112は、圧縮比を低圧縮比の側から上記の圧縮比εLmまで変更するためのトルク特性を発揮できればよい。そして、この場合の−側の最大トルク(TL−max)は、圧縮比をシリンダブロック103のスライド移動で変更し得る上限圧縮比εMまで変更するための最大トルク(T−max)より小さくなる。この結果、サーボモータ112を、その要求特性が低くなる分、小型のものとすることができる。そして、このような小型のサーボモータ112であっても、図示する下限圧縮比εLと圧縮比εLmとの間において圧縮比を支障無く高低変更できる。
【0063】
ところで、図9に示したトルク特性は、図5で説明したようにエンジン負荷が高い状況のものであるが、運転者によるアクセルの踏み戻し等によりエンジン負荷が低下すると、次のようになる。図10はエンジン負荷低減時における圧縮比の変更の様子を説明する説明図である。
【0064】
この図10では、サーボモータ112のトルク特性(−側、+側の最大トルク)は、上記した図9におけるものと同じであり、エンジン負荷が図9の約85%に低減したことを想定したものである。
【0065】
このようにエンジン負荷が低減すると燃焼圧Pも低下するので、この燃焼圧Pに抗してシリンダブロック103をスライドさせて圧縮比を高めるために必要なトルクは低減する。このため、低圧縮比の側から高圧縮比の側に圧縮比を変更する際の図10のトルク線図(高圧縮側トルク線図)は、図9に示したものよりも控えられることになる。
【0066】
目標圧縮比εtが図9の場合と同様に上限圧縮比εMの近傍の圧縮比である場合、現状の圧縮比が低い状況からの高圧縮比側への変更は、上記したように図8のステップS230の否定判定を経ることで、制限を受けず、圧縮比はεL2、εL3・・と高圧縮比側トルク線図に沿って高圧縮比の側に変更される。
【0067】
圧縮比が、高エンジン負荷の図9ではその変更が制限されていた図中の圧縮比εLmとなっても、図10ではエンジン負荷の低減により燃焼圧Pも低減していることから、ステップS230では否定判定のままである。よって、圧縮比はステップS240での制限を受けることなく、高圧縮側トルク線図に沿って目標圧縮比εtの側に変更される。そして、この高圧縮比側トルク線図における目標圧縮比εtのモータトルクは、図示するモータトルク特性の−側最大トルクTL−maxより小さいので、サーボモータ112を引き続き駆動制御することで、圧縮比を上限圧縮比εM、或いはその近傍の目標圧縮比εtまで変更することができる。つまり、本実施例によれば、エンジン負荷が高負荷の状況から低減するような状況となれば、高エンジン負荷下では制限されていた圧縮比変更を解除し、より広い範囲に亘って圧縮比を高低変更することができるようになる。しかも、こうした圧縮比変更を小型のサーボモータ112で実現することができる。
【0068】
そして、図10で説明したようなエンジン負荷が高負荷から低減(例えば、約85%の低減)したようなエンジン負荷の状況は、可変圧縮比エンジン100を搭載した車両の通常の走行時において、可変圧縮比エンジン100の運転に際して要求頻度が高い常用の負荷領域とほぼ一致する。よって、エンジン負荷がこうした常用の負荷領域より高い負荷領域にあると、図9で説明したように燃焼圧Pに応じて圧縮比の変更が制限されることになる。
【0069】
図示する常用のエンジン負荷領域に含まれるエンジン負荷域は、軽負荷から中負荷の負荷領域で、エンジン回転数も低速から中速の領域であることから、車両を市街地や高速道路等で走行させる際に極めて頻繁に現れる。例えば、市街地走行では、その走行過程でおよそ90〜95%の範囲で現れるエンジン負荷域である。よって、こうした通常の車両走行の状態では、既述したように圧縮比を上限圧縮比εM、或いはその近傍まで広い範囲に亘って変更することができるので、燃費向上の点から好ましい。
【0070】
ここで、上記した圧縮比の変更の様子を、エンジン負荷との関係で説明する。図11は図8から図10で説明した圧縮比変更の様子をエンジン負荷と関連付けて説明するための説明図である。
【0071】
既述したようにエンジン負荷が高い状況で圧縮比を低圧縮比から高圧縮比の側に変更する場合は(図9参照)、高エンジン負荷の状況下での高圧縮比化により燃焼圧Pが規定の燃焼圧P0以上となると、圧縮比の高圧縮比化がεLm(<上限圧縮比εM)に制限され、圧縮比は中間域の圧縮比とされる。つまり、図11に示すように、エンジン負荷が高く回転数が比較的低い領域では、ノッキング回避のために圧縮比は低圧縮比とされ、この領域より僅かにエンジン負荷が低い領域或いは高エンジン負荷・高回転数領域では、圧縮比は中間域の圧縮比(<εLm)となる。そして、エンジン負荷が低い領域、即ち上記したように要求頻度が高く常用の負荷領域では、図10で説明したように圧縮比を上限圧縮比εMまで変更可能であることから、圧縮比を高圧縮比とでき、燃費を有効に向上することができる。
【0072】
次に、変形例について説明する。上記実施例では、燃焼圧Pに応じてモータ駆動の一時停止・継続制御を切り替えて高圧縮比の側への圧縮比変更に制限を加えたが、次のように変形することができる。図12は第1の変形例における圧縮比変更制御の内容を説明するフローチャートである。
【0073】
第1の変形例は、燃焼圧Pに応じて目標圧縮比εtを低減補正するものである。つまり、図12に示すように、目標圧縮比εtの演算(ステップS110)に続いて、図8における制限制御と同様にして、圧縮比の変更状況の判定(ステップS111)、燃焼圧Pの読み込み(ステップS112)、燃焼圧Pの比較判定(ステップS113)を行うようにする。そして、ステップS111での低圧縮比側への変更判定、ステップS113での低燃焼圧下での高圧縮比側への変更判定の場合には、ステップS120に移行して、ステップS110で求めた目標圧縮比εtに何の変更も加えないようにする。そして、ステップS113での肯定判定に続いては、ステップS110で求めた目標圧縮比εtを、サーボモータ112が発揮し得るトルク(TL−max;図9参照)で変更可能な圧縮比εLmに低減補正する(ステップS114)。これにより、圧縮比は、低減補正後の目標圧縮比εt(=εLm)に変更される。こうした変形例でも、小型のサーボモータ112でありながら圧縮比を既述したように変更できる。
【0074】
また、次のような変形も可能である。この変形例は、図6の目標圧縮比εtの演算(ステップS110)に際し、圧縮比の変更状況に応じてその演算手法を次のように切り替える。まず、目標圧縮比εtの演算に先立ち、図8における制限制御と同様にして、圧縮比の変更状況の判定、燃焼圧Pの読み込み、燃焼圧Pの比較判定を行うようにし、低圧縮比側への圧縮比変更および低燃焼圧下での高圧縮比側への圧縮変更の場合には、先に説明したとおり、図7のマップを用いて目標圧縮比εtを演算する。そして、高燃焼圧下での高圧縮比側への圧縮比変更であれば、目標圧縮比εt自体をサーボモータ112が発揮し得るトルク(TL−max;図9参照)で変更可能な圧縮比εLmとして算出する。つまり、この場合には、図6におけるステップS110での目標圧縮比εt算出に際し、参照するマップを図7に示したものから変更し、図11に相当する目標圧縮比算出用のマップを用いるようにする。こうすれば、エンジン負荷が高く燃焼圧が高い状況下での高圧縮比化に際して、直接的に圧縮比εLmを目標圧縮比εtとして燃焼圧を図11に示す中間域の圧縮比とできる。この変形例でも、小型のサーボモータ112でありながら圧縮比を既述したように変更できる。
【0075】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0076】
例えば、上記の実施例では、ロアケース104に対してシリンダブロック103を上死点側にスライドさせて圧縮比を高低変更し、その際の各カム軸部の制御角度(カム軸角度)を0°〜90°としたが、シリンダブロック103を下死点側にスライドさせる構成を採ることもできる。この場合は、各カム軸部の制御角度(カム軸角度)は−0°〜−90°となる。
【0077】
また、上述した実施例においては、カム部109b−シリンダブロック103、可動軸受部109c−ロアケース104の組み合わせで圧縮比変更機構を構築したが、カム部−ロアケース、可動軸受部−シリンダブロックの組み合わせで圧縮比変更機構を構築しても良い。また、カム部109bの形状は正円であることが好ましいが、正円でなくでも機能し得る。例えば、上述した実施例において、長径がカム部109bと同じ長さを有する楕円や卵形をしていても機能し得る。
【0078】
さらに、上記の実施例の可変圧縮比エンジンにあっては、V型エンジンや水平対向型エンジンにも容易に適用できる。この場合、各バンク毎に上述した一対のカム軸を配置しても良いし、V型エンジンの場合は両バンクの基部に一対のカム軸を配置して、両バンクによって形成される中心角の中央方向にV型のバンク全体をスライドさせて圧縮比を変えてもよい。
【0079】
また、次のような変形例とすることもできる。図10で説明したように、本実施例の可変圧縮比エンジン100では、サーボモータ112を小型化しても、エンジン負荷の低減を契機に圧縮比をシリンダブロック103のスライド移動により実現し得る上下限の圧縮比の範囲で変更できる。よって、小型のサーボモータ112を採用した上で、エンジン運転に際してエンジン負荷に制限をかけるように変形する。こうすれば、小型のサーボモータ112で、圧縮比を上下限の圧縮比の範囲で常に変更できることから、この変形例の可変圧縮比エンジン100をハイプリッド車両に適用すると次の利点がある。
【0080】
こうしたハイブリッド車両では、電動機の駆動力を動力としてエンジン動力と併用できるので、可変圧縮比エンジン100については、エンジン負荷に制限をかけた運転を行い、動力としてエンジン負荷が不足すればこの不足分を電動機の駆動力でアシストするようにする。こうすれば、サーボモータ112の小型化に加え、圧縮比の広範囲の高低変更による燃費向上やノッキング回避を好適に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る可変圧縮比エンジン100の概略分解斜視図である。
【図2】この可変圧縮比エンジン100の概略構成を示す概略斜視図である。
【図3】可変圧縮比エンジン100にて圧縮比を変更する際の機器駆動の様子を説明する説明図である。
【図4】可変圧縮比エンジン100の圧縮比変更制御に関与する機器構成を概略的に説明するブロック図である。
【図5】エンジンに要求される負荷(エンジン負荷)が高い状況下での圧縮比変更に関与する種々のトルクの関係を示す説明図である。
【図6】圧縮比変更制御を示すフローチャートである。
【図7】圧縮比制御の内容を説明するための説明図である。
【図8】圧縮比変更を制限する制御の内容を示すフローチャートである。
【図9】エンジン負荷が高い場合における図5のトルクの関係を示しつつ圧縮比変更を制限した場合の圧縮比の変更の様子を説明する説明図である。
【図10】エンジン負荷低減時における圧縮比の変更の様子を説明する説明図である。
【図11】図8から図10で説明した圧縮比変更の様子をエンジン負荷と関連付けて説明するための説明図である。
【図12】変形例における圧縮比変更制御の内容を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
100…可変圧縮比エンジン
102…シリンダ
103…シリンダブロック
104…ロアケース
105…カム収納孔
106…ボルト
107…キャップ
108…軸受収納孔
109…カム軸
109a…軸部
109b…カム部
109c…可動軸受部
109d…取付部
110…ウォームホイール
111a,111b…ウォーム
112…サーボモータ
115…クランクシャフト
130…隆起部
132…立壁部
161…スロットルセンサ
162…アクセルセンサ
163…回転数・クランク角センサ
164…モータ回転角センサ

Claims (4)

  1. 圧縮比を変更するときには、駆動源の回転駆動力を圧縮比変更機構に伝達し、該圧縮比変更機構により、ピストンヘッド側の機関部材とクランクケース側の機関部材の少なくとも一方を駆動することで、前記両機関部材間の相対的な位置関係を変更して燃焼室容積を変え、圧縮比を変更する内燃機関における圧縮比制御方法であって、
    内燃機関の運転状態に応じた目標圧縮比を設定する工程と、
    圧縮比を高圧縮比の側の前記目標圧縮比に変更する際には、前記燃焼室における燃料の燃焼圧に起因する力に応じて、圧縮比の高圧縮比側への変更を制限する工程を有する圧縮比制御方法。
  2. 圧縮比を変更する内燃機関であって、
    圧縮比変更のための回転駆動力を発生する駆動源と、
    該回転駆動力を伝達する伝達手段と、
    ピストンヘッド側の機関部材とクランクケース側の機関部材の少なくとも一方を、前記伝達手段からの伝達駆動力により駆動することで、前記両機関部材間の相対的な位置関係を変更して燃焼室容積を変え、圧縮比を変更する圧縮比変更機構と、
    圧縮比が、内燃機関の運転状態に応じて定まる目標圧縮比となるよう前記駆動源を制御する駆動源制御手段とを備え、
    該駆動源制御手段は、
    圧縮比を高圧縮比の側の前記目標圧縮比に変更する際には、前記燃焼室における燃料の燃焼圧に起因する力に応じて、圧縮比の高圧縮比側への変更を制限する圧縮比制限手段を有する内燃機関。
  3. 請求項2記載の内燃機関であって、
    前記圧縮比制限手段は、
    内燃機関の負荷が内燃機関の運転に際して要求頻度が高い常用の負荷領域より高い負荷領域において、圧縮比を高圧縮比の側に変更する際に作動する内燃機関。
  4. 圧縮比を変更する内燃機関であって、
    圧縮比変更のための駆動力を発生する駆動源と、
    該駆動力を伝達する伝達手段と、
    ピストンヘッド側の機関部材とクランクケース側の機関部材の少なくとも一方を、前記伝達手段からの伝達駆動力により駆動することで、前記両機関部材間の相対的な位置関係を変更して燃焼室容積を変え、圧縮比を変更する圧縮比変更機構と、
    該圧縮比変更機構による圧縮比変更を起こすために前記駆動源を制御する駆動源制御手段とを備え、
    該駆動源制御手段は、
    内燃機関の運転に際して要求頻度が高い常用の負荷領域より高い負荷領域において圧縮比を高圧縮比の側に変更する状況下では、前記伝達手段を介して前記駆動源が前記圧縮比変更機構に伝達し得る伝達トルク範囲内で高圧縮比の側への圧縮比変更を行い、圧縮比を前記圧縮比変更機構で変更し得る最高圧縮比より低い中間圧縮比とする内燃機関。
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