JP2009264258A - 内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置 - Google Patents

内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機械圧縮比変更機構の駆動源の大型化の抑制と機械圧縮比変更機構による機関性能の向上とを好適に両立させることを可能にする機械圧縮比変更機構の制御装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの可動の機関部材により気筒内の燃焼室を区画形成し、該機関部材を相対移動させて前記燃焼室の容積を変更することにより前記内燃機関の圧縮比を変更可能な機械圧縮比変更機構を有する内燃機関と、前記機関部材を相対移動させる駆動力を出力する駆動源と、前記駆動源の出力する駆動力を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記機械圧縮比変更機構によって前記内燃機関の圧縮比を所定の目標圧縮比まで変化させる際に、前記駆動源の駆動力により前記機関部材を所定の動作状態で相対移動させることが可能な動作可能条件が成立するときに、前記機関部材を相対移動させる駆動力を前記駆動源に出力させる。
【選択図】図8

Description

本発明は、内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置に関する。
内燃機関の圧縮比を機械的に変更可能な機械圧縮比変更機構が種々提案されている。例えば、特許文献1には、シリンダブロックとクランクケースとをシリンダの軸線方向に相対移動可能に構成し、モータの駆動力によってシリンダブロックとクランクケースとを相対移動させることにより、内燃機関の圧縮比を機械的に変更可能とした機械圧縮比変更機構が記載されている。この機械圧縮比変更機構では、シリンダブロックとクランクケースとを近接又は離間させることによって、圧縮比を高圧縮比側又は低圧縮比側に変更することができる。
このような構成を有する機械圧縮比変更機構の場合、筒内圧はシリンダブロックとクランクケースとを離間させる力として機械圧縮比変更機構に作用する。この筒内圧に起因する力は、シリンダブロックとクランクケースとを近接させる場合(圧縮比を高圧縮比側に変更する場合)には、シリンダブロックとクランクケースとの相対移動に対する抵抗力となる。機械圧縮比変更機構の駆動源としてのモータには、この抵抗力に抗してシリンダブロックとクランクケースとを相対移動させるために十分な駆動力を出力可能であることが求められる。従って、筒内圧が大きくなる高負荷や高圧縮比の運転条件等を含むより広範な運転条件下で最適な圧縮比変更を行うためには、大きな体格のモータを搭載する必要があり、機械圧縮比変更機構の大型化や消費電力の増大等の問題が生じる可能性があった。
これに対し、特許文献2には、機械圧縮比変更機構に搭載するモータの小型化を可能にする技術として、筒内圧が所定の基準値を超えて高くなる運転条件下において、高圧縮比側の目標圧縮比に制限を課すようにした圧縮比の制御方法が記載されている。
特開2003−206771号公報 特開2004−339984号公報
上記特許文献2に記載の圧縮比の制御方法では、高圧縮比側への圧縮比変更に制限が課されるため、モータの小型化のトレードオフとして、機械圧縮比変更機構による燃費やドライバビリティ等の機関性能の向上効果が十分に得られなくなる可能性があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、機械圧縮比変更機構の駆動源の大型化の抑制と機械圧縮比変更機構による機関性能の向上とを好適に両立させることを可能にする機械圧縮比変更機構の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置は、
少なくとも1つの可動の機関部材により気筒内の燃焼室を区画形成し、該機関部材を相対移動させて前記燃焼室の容積を変更することにより前記内燃機関の圧縮比を変更可能な機械圧縮比変更機構を有する内燃機関と、
前記機関部材を相対移動させる駆動力を出力する駆動源と、
前記駆動源の出力する駆動力を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記機械圧縮比変更機構によって前記内燃機関の圧縮比を所定の目標
圧縮比まで変化させる際に、前記駆動源の駆動力により前記機関部材を所定の動作状態で相対移動させることが可能な動作可能条件が成立するときに、前記機関部材を相対移動させる駆動力を前記駆動源に出力させることを特徴とする。
ここで、「所定の動作状態」とは、少なくとも内燃機関の圧縮比が目標圧縮比に近付くように機械圧縮比変更機構が動作している状態を意味する。例えば、機関部材の相対移動の加速度が正である状態や、機関部材の相対移動の速度が0より大きい状態を例示できる。従って、「動作可能条件」は、駆動源に駆動力を出力させた場合に、機械圧縮比変更機構の可動機関部材を正の速度で相対移動させたり、或いは相対移動を加速させたりすることが可能な状況等で成立する条件である。逆に、「動作可能条件」が成立しない状況とは、駆動源に駆動力を出力させても、機械圧縮比変更機構の可動機関部材を相対移動させることができなかったり、或いは相対移動が減速したりしてしまう状況等である。
上記のような構成を有する機械圧縮比変更機構の場合、内燃機関の運転条件や駆動源の性能等の諸条件によっては、内燃機関の圧縮比を目標圧縮比に変化させる際に、機関部材の相対移動に対する抵抗力が駆動源の駆動力を上回る場合がある。その場合、駆動源に駆動力を出力させても、所定の動作状態で機関部材を相対移動させることができない。すなわち、動作可能条件が成立しない。しかしながら、そのような動作可能条件が成立しない状態は、必ずしも連続的に生起するとは限らず、断続的に生起する状況も考えられる。つまり、圧縮比を目標圧縮比に変化させる際に、動作可能条件が成立しない状態が持続するのではなく、動作可能条件が成立する状態も、同様に断続的に生起する状況も考えられる。
上記の構成によれば、圧縮比を目標圧縮比まで変化させる際に、動作可能条件が成立する機会が存在するならば、その機会に駆動源に駆動力を出力させて機関部材を相対移動させることにより、内燃機関の圧縮比を目標圧縮比に向かって変化させることができる。これにより、動作可能条件が成立しない状態が生じる条件下であっても、内燃機関の圧縮比を目標圧縮比に向かって断続的・漸近的に変化させることがでる。これにより、目標圧縮比を達成することができ、機械圧縮比変更機構による燃費等の機関性能の向上効果を好適に得ることが可能となる。
しかも、上記構成によれば、駆動源として、機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動に対する抵抗力を上回る駆動力を常に出力可能であるような駆動源を採用する必要はない。すなわち、駆動源は、内燃機関の圧縮比を目標圧縮比に変化させる際に、動作可能条件が成立しない状態が全く生じないようにすることができる駆動力を出力可能である必要はない。制御手段が上記の制御を行うようにすれば、駆動源は、内燃機関の圧縮比を目標圧縮比に変化させる際に、少なくとも動作可能条件が成立する機会を存在せしめることができる駆動力を出力可能であれば良い。従って、大出力の駆動源を搭載する必要がなくなるので、駆動源の大型化や電力消費の増大等の問題が生じることを抑制できる。
動作可能条件が成立するか否かは、機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動に対する抵抗力と、当該抵抗力に抗して機関部材を相対移動させる駆動力と、の大小関係に依っている。そこで、本発明の制御手段は、機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動に対する抵抗力の大きさが所定の基準値以下である場合に、動作可能条件が成立すると判定し、こうして動作可能条件の成立を判定した場合に駆動源に駆動力を出力させて機関部材を相対移動せしめるようにしてもよい。
ここで、抵抗力の「基準値」は、抵抗力がその値である時にその抵抗力に抗して駆動源の駆動力によって機関部材を上述の「所定の動作状態」で相対移動させることが可能な値の上限値に基づいて定められる。抵抗力には、機械圧縮比変更機構の可動部において生じ
る摩擦力や、筒内圧に起因して機関部材に作用する力等が含まれる。従って、この抵抗力の「基準値」は、駆動源の性能や、駆動力の機関部材への伝達効率や、機械圧縮比変更機構の可動部の機械的な構成等を考慮して定められる。抵抗力がこの基準値以下であるか否かの判定は、抵抗力を測定又はそれに相関する量に基づく推定により取得する手段を備え、該取得された抵抗力と基準値との比較に基づいて行うことができる。
機械圧縮比変更機構の機械的構成によっては、筒内圧に起因して機械圧縮比変更機構に作用する力が抵抗力の主要因となる。そこで、本発明の制御手段は、筒内圧に起因して生じ、機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動に対する抵抗として作用する力の大きさが所定の基準値以下である場合に、動作可能条件が成立すると判定し、こうして動作可能条件の成立を判定した場合に駆動源に駆動力を出力させて機関部材を相対移動せしめるようにしてもよい。
ここで、筒内圧に起因する力の「基準値」は、筒内圧に起因して生じる力がその値である時に生じる抵抗力に抗して駆動源の駆動力によって機関部材を「所定の動作状態」で相対移動させることが可能な値の上限値に基づいて定められる。筒内圧に起因する力がこの基準値以下であるか否かの判定は、筒内圧に起因する力を測定又はそれに相関する量に基づく推定により取得する手段を備え、該取得された抵抗力と基準値との比較に基づいて行うことができる。
筒内圧に起因する力に相関する量としては筒内圧がある。そこで、機械圧縮比変更機構が、筒内圧が大きくなるほど機関部材の相対移動に対する抵抗力(或いは筒内圧に起因する力)が大きくなる構成を有する場合には、本発明の制御手段は、筒内圧の大きさが所定の基準値以下である場合に、動作可能条件が成立すると判定し、こうして動作可能条件の成立を判定した場合に駆動源に駆動力を出力させて機関部材を相対移動せしめるようにしても良い。
ここで、筒内圧の「基準値」は、筒内圧がその値である時に生じる抵抗力に抗して駆動源の駆動力によって機関部材を「所定の動作状態」で相対移動させることが可能な値の上限値に基づいて定められる。筒内圧がこの基準値以下であるか否かの判定は、筒内圧を測定又はそれに相関する量に基づいて推定により取得する手段を備え、該取得された筒内圧と基準値との比較に基づいて行うことができる。
なお、内燃機関が複数の気筒を有し、各気筒内の燃焼室を区画形成する機関部材が、機械圧縮比変更機構の可動機関部材を共有している場合、各気筒内の燃焼室の筒内圧に起因して、機関部材の相対移動に対する抵抗力が生じる。従って、このような構成を有する内燃機関に本発明を適用する場合には、本発明の制御手段は、各気筒の筒内圧の和が所定の基準値以下である場合に、動作可能条件が成立すると判定することが好適である。
筒内圧は内燃機関の燃焼サイクルの時期に応じて周期的に変動する。筒内圧に起因する力や、筒内圧に起因する力を主要因とする抵抗力についても同様に燃焼サイクルの時期に応じて周期的に変動する。従って、本発明の制御手段は、動作可能条件の成立の判定を、内燃機関の燃焼サイクルに基づいて判定するようにしても良い。
例えば、内燃機関のクランク角度が、抵抗力が上述した「基準値」以下となる所定の基準範囲内の角度である場合に、前記動作可能条件が成立すると判定することができる。
ここで、「基準範囲」は、クランク角度がその範囲内の角度であれば、抵抗力が上述した「基準値」以下であると判定可能なように定められる範囲である。この基準範囲は、機関部材の相対移動に対する抵抗力とクランク角度との対応関係を求め、当該対応関係に基
づいて運転条件等に応じて可変の角度範囲としても良いし、一般に抵抗力が基準値以下となる蓋然性が高いと考えられる一定の角度範囲として定めても良い。
このように燃焼サイクル(クランク角度)と関連付けて動作可能条件の成立の有無を判定することにより、抵抗力や筒内圧等を測定したり推定したりする必要がなくなるので、動作可能条件の成立判定を簡単化することができる。
機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動に対する抵抗力の主要因として筒内圧に起因する力が作用する場合、筒内圧が高くなる高負荷運転時や高圧縮比設定時等の条件下において、抵抗力が駆動源の駆動力を上回り、機械圧縮比変更機構の機関部材を相対移動させることができなくなる場合がある。しかしながら、筒内圧は1燃焼サイクルにおいて常に一定値をとるわけではなく、吸気・圧縮・膨張・排気の燃焼サイクル中の時期に応じて変動する。
具体的には、圧縮行程末期から膨張行程初期にかけての圧縮上死点近傍の時期において筒内圧は急激に高くなるが、その他の時期においては、駆動源の駆動力を上回るほどの高い筒内圧にはならない。従って、圧縮上死点近傍の時期において発生する巨大な抵抗力に抗して機関部材を相対移動させることが可能な駆動力を駆動源が出力することができなくても、圧縮上死点近傍以外の時期における抵抗力に抗して機関部材を相対移動させることが可能な駆動力を出力することができれば、当該圧縮上死点近傍以外の時期に当該駆動力によって機関部材を相対移動させることにより、断続的に圧縮比を目標圧縮比に向かって変化させることができる。
そこで、本発明の制御手段は、内燃機関のクランク角度が圧縮上死点近傍の所定範囲内の角度ではない場合に、前記動作可能条件が成立すると判定するようにしても良い。
ここで、「圧縮上死点近傍の所定範囲」は、クランク角度がその範囲外の角度であれば駆動源の駆動力によって機械圧縮比変更機構の機関部材を上記「所定の動作状態」で相対移動させることができると判定可能なクランク角度の範囲である。この「所定範囲」は、クランク角度と筒内圧、筒内圧に起因する力、抵抗力、駆動源の駆動力、機械圧縮比変更機構の可動部における摩擦力等を考慮して、運転条件に応じた可変の角度範囲として定めても良いし、或いは、一般的に動作可能条件が成立すると考えられる筒内圧となるようなある一定のクランク角度範囲として定めても良い。
こうすることにより、駆動源の大型化を抑制しつつ、機関性能を最適化可能な目標圧縮比まで内燃機関の圧縮比を変化させることが可能となる。
動作可能条件が成立しない場合には、駆動源に駆動力を出力させても機械圧縮比変更機構の機関部材を「所定の動作状態」で相対移動させることはできない。すなわち、駆動源に駆動力を出力させても、圧縮比は変化しなかったり、或いは変化速度が減速して好適に圧縮比を変化させることができなかったりする。このため、動作可能条件が成立しない場合に駆動源に駆動力を出力させても、その駆動力は無駄に消費されることになる。
そこで、本発明の制御手段は、動作可能条件が成立しない場合、駆動源に出力させる駆動力を低減する駆動制限制御を行うようにしてもよい。ここで、「駆動力を低減する」とは、駆動源に出力させる駆動力を、動作可能条件が成立する場合に機関部材を相対移動させるべく駆動源に出力させる駆動力と比較して小さい駆動力とすることを意味する。
こうすることで、圧縮比の変更に寄与しない無駄な駆動力の出力を抑制することができるので、駆動源に供給するエネルギー(電力等)の消費量を削減することができる。
なお、機械圧縮比変更機構の構成によっては、現状の可動機関部材の位置を保持するために駆動力を必要とするものと、ギヤ等に可動機関部材の保持機構を有し、可動機関部材の保持に駆動力を必要としないものとがある。保持機構を有さない機械圧縮比変更機構の場合には、動作可能条件が成立しない場合においても、最低限可動機関部材を現状の位置に保持可能な程度の駆動力を駆動源に出力させることが好ましい。一方、保持機構を有する機械圧縮比変更機構の場合には、動作可能条件が成立しない場合に、駆動力をゼロ又は微小な駆動力としても良い。こうすることにより、より一層駆動源のエネルギー消費を抑制できる。
内燃機関が低速運転状態である場合には1回転当たりの時間が比較的長いため、機械圧縮比変更機構の動作が停止し易い。従って、低速運転状態の場合には、上記駆動制限制御を行うことによるエネルギー消費量の削減効果が特に高くなる。そこで、本発明の制御手段は、内燃機関の回転数が所定の基準回転数より低い低速運転時に、前記駆動制限制御を行うようにしても良い。
また、機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動の速度が低速である場合には、相対移動の速度が高速である場合と比較して、抵抗力が大きくなったときに短時間で相対移動が停止してしまい、結果として機関部材が所定の動作状態で相対移動できない期間(すなわち、動作可能条件が成立しない期間)が長くなる。従って、機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動の速度が低速である場合には、上記駆動制限制御を行うことによるエネルギー消費量の削減効果が特に高くなる。そこで、本発明の制御手段は、機械圧縮比変更機構の機関部材の相対移動の速度が所定の基準速度より遅い場合に、前記駆動制限制御を行うようにしても良い。
また、内燃機関の筒内圧が大きくなる運転条件では、筒内圧が小さい運転条件の場合と比較して、動作可能条件が成立しない状態が生じやすく、結果として1燃焼サイクルにおいて動作可能条件が成立しない期間が長くなる。従って、内燃機関の筒内圧が高くなる運転条件では、上記駆動制限制御を行うことによるエネルギー消費量の削減効果が特に高くなる。そこで、本発明の制御手段は、内燃機関の筒内圧が高くなり易い高負荷運転状態や内燃機関の圧縮比が高い値に設定されている場合に、前記駆動制限制御を行うようにしても良い。
本発明により、機械圧縮比変更機構の駆動源の大型化を抑制と機械圧縮比変更機構による機関性能の向上とを好適に両立させることが可能になる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
まず、図1〜図3を参照して、本実施例のエンジン及び機械圧縮比変更機構の概略構成について説明する。図1はエンジンの概略構成を示す斜視図である。図2は本実施例に係るエンジン及び機械圧縮比変更機構の概略分解斜視図である。図3はエンジン及び機械圧縮比変更機構の断面図である。
図1に示すエンジン100は、シリンダブロック103に4つのシリンダ102を有する4気筒エンジンである。各シリンダ102の内部にはピストン170(図3)が摺動可
能に挿入され、ピストン170はコンロッド171(図3)を介してクランクシャフト115に接続されている。クランクシャフト115はクランクケース104の内部に配置されている。
シリンダブロック103とクランクケース104とは、サーボモータ112の駆動力によって、シリンダ102の軸線方向(ピストン170のストローク方向)に相対的にスライド移動可能に構成されている。サーボモータ112から出力される駆動力(トルク)は、ウォーム111a及び111b、ウォームホイール110を含む動力伝達機構(後述)を介して、シリンダブロック103及びクランクケース104に伝達され、当該伝達された駆動力によって、シリンダブロック103とクランクケース104とが相対的にスライド移動する。サーボモータ112の駆動力の伝達機構及びシリンダブロック103及びクランクケース104のスライド移動機構について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、シリンダブロック103は側面下部に複数の隆起部130を備え、この各隆起部130にカム収納孔105を有する。カム収納孔105は、断面円形であり、シリンダ102の軸方向に対して直角に、かつ、複数のシリンダ102の配列方向に平行になるように、同一軸線上に配列形成されている。このような構成を有する隆起部130及びカム収納孔105の配列は、シリンダブロック103の両側面下部に形成されている。両側面における隆起部130及びカム収納孔105が配列形成されている一対の軸線は平行である。
クランクケース104には、上述したカム収納孔105が形成された複数の隆起部130の間に位置するように、立壁部132が形成されている。各立壁部132のクランクケース104外側に向けられた表面には、断面半円形の凹部が形成されている。また、各立壁部132には、ボルト106によって取り付けられるキャップ107が用意されており、キャップ107にあっても惰面半円形の凹部を有している。各立壁部132にキャップ107を取り付けると、両部材で断面円形の軸受収納孔108が形成される。軸受収納孔108の形状は、上述したカム収納孔105と同一である。
複数の軸受収納孔108は、カム収納孔105と同様に、シリンダブロック103をクランクケース104に取り付けたときにシリンダ102の軸方向に対して直角に、かつ、複数のシリンダ102の配列方向に平行になる。これらの複数の軸受収納孔108も、シリンダブロック103の両側に形成されることとなり、片側の複数の軸受収納孔108は全て同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック103の両側の軸受収納孔108の一対の軸線は平行である。また、両側のカム収納孔105の間の距離と、両側の軸受収納孔108との問の距離は同一である。
交互に配置される二列のカム収納孔105と軸受収納孔108には、それぞれカム軸109が挿通される。カム軸109は、図1に示すように、軸部109aに、カム部109bと可動軸受部109cとを有する。カム部109bは、軸部109aの中心軸に対して偏心された状態で軸部109aに固定され、正円形のカムプロフィールを有する。可動軸受部109cは、このカム部109bと同一外形を有し、軸部109aに対して回転可能に取り付けられる。本実施例では、カム部109bと可動軸受部109cとが交互に配置されている。一対のカム軸109は、シリンダ102を挟んで鏡像の関係を有している。また、カム軸109の端部には、後述するウォームホイール110の取付部109dが形成されている。軸部109aの中心軸と取付部109dの中心とは偏心しており、全カム部109bの中心と取付部109dの中心とは一致している。
可動軸受部109cも、軸部109aに対して偏心されておりその偏心量はカム部109bと同一である。実際にカム軸109を構築するには、最も端部の一つのカム部109
bが予め一体的に結合された状態でカム軸109が製造され、これに可動軸受部109cと他のカム部109bとが交互に挿入される。そして、カム部109bのみが図示するようにビスなどで軸部109aに固定される。この場合、カム部固定は他の方法、例えば、圧入や溶接でも良い。軸部109a上のカム部109bの数は、シリンダブロック103片側のカム収納孔105の数と一致する。また、カム部109bの厚さも、対応する各カム収納孔105の長さと一致する。同様に、軸部109a上の可動軸受部109cの数は、クランクケース104片側に形成される軸受収納孔108の数と一致する。また、可動軸受部109cの厚さも、対応する各軸受収納孔108の長さと一致する。
各カム軸109において、複数のカム部109bの偏心方向は同一である。また、可動軸受部109cの外形は、カム部109bと同一正円であるので、可動軸受部109cを回転させることで、複数のカム部109bの外表面と複数の可動軸受部109cの外側面とを一致させることができる。この状態で、シリンダブロック103とクランクケース104とを組み合わせて複数のカム収納孔105と複数の軸受収納孔108とで形成される長孔にカム軸109が挿入されて組み立てられる。なお、カム軸109をシリンダブロック103およびクランクケース104に対して配置させた後にキャップ107を取り付けても良い。
カム収納孔105、軸受収納孔108、カム部109bおよび可動軸受部109cの形状は全て同一の正円形である。また、シリンダブロック103は、クランクケース104に対してスライド可能であるが、両者の摺動面には、シリンダ内面とピストンとの間の気密を確保するピストンリングのような部材を配置して気密性を確保する。なお、ピストンリング以外の他の手法によって、例えば、Oリングのようなゴム製ガスケット等によって、シールを行っても良い。
各カム軸109は、その軸部109a端部の取付部109dにウォームホイール110を有する。このウォームホイール110は、キーにて位置決めされた上で、取付部109dにボルト固定されている。
一対のカム軸109に対応するそれぞれのウォームホイール110には、ウォーム111a,111bが噛み合っている。ウォーム111a,111bは、正逆回転可能な単一のサーボモータ112の出力軸と連結されている。ウォーム111a,111bは、互いに逆方向に回転する蝶旋溝を有している。このため、サーボモータ112から回転駆動力が出力されると、一対のカム軸109は、ウォームホイール110の回転を受け、互いに逆方向に回転する。サーボモータ112は、シリンダブロック103などに固定されており、シリンダブロック103と一体的に移動する。
図3(a)〜図3(c)は、シリンダブロック103と、クランクケース104と、これら両者の間に構築されたカム軸109などからなる機械圧縮比変更機構とを断面示する図である。各図においては、カム軸109における軸部109aの中心軸を符号Aで、カム部109bの中心をBで、可動軸受部109cの中心をCで表す。
図3(a)は、軸部109aの延長線上から見て全てのカム部109bおよび可動軸受部109cの外周が一致した状態を示している。このとき、ここでは左右一対の軸部109aは、カム収納孔105および軸受収納孔108の外側に位置している。各軸部がこうした位置関係にある時を、カム軸角度がゼロ度(0゜)とする。
図3(a)の状態では、シリンダブロック103と、クランクケース104延いてはピストン上死点位置と、の相対距離が短いので、燃焼室容積が小さく、圧縮比は高い状態である。一方、図3(c)の状態では、シリンダブロック103とピストン上死点位置との
距離が長くなり、燃焼室容積が大きく、圧縮比は低い状態となる。つまり、図3(a)の位置から図3(c)の位置にシリンダブロック103が移動することで、シリンダブロック103とクランクケース104との相対的な位置関係が変化し、エンジン100の圧縮比は高圧縮比から低圧縮比に変化する。
図3(a)の状態から、軸部109a(および軸部109aに固定されたカム部109b)が図中の矢印X+の方向に回転すると、図3(b)の状態となる。このとき、軸部109aに対して、カム部109bと可動軸受部109cの偏心方向にズレが生じるので、クランクケース104に対してシリンダブロック103が上死点側にスライドする。すなわちクランクケース104とシリンダブロック103とが離間するように相対移動する。そして、そのスライド量は、図3(c)の状態となるまでカム軸109を矢印X+の回転方向に回転させたときが最大となり、カム部109bや可動軸受部109cの偏心量の二倍となる。カム部109bおよび可動軸受部109cは、それぞれカム収納孔105および軸受収納孔108の内部で回転し、それぞれカム収納孔105および軸受収納孔108の内部で軸部109aの位置が移動するのを許容している。
このように、低圧縮比側へ圧縮比を変化させる場合のカム軸109の回転方向(図3の矢印X+方向)にカム軸109を回転させる際のサーボモータ112の回転方向を、サーボモータ112の正回転とする。また、図3(c)に示す各軸部の位置関係をカム軸角度+90゜とする。サーボモータ112から出力されるトルクは、カム軸109を介して、シリンダブロック103をクランクケース104から離間させる向きにスライド移動させる駆動力として伝達される。
図3(c)の状態から図3(a)の状態に変化させてエンジン100の圧縮比を高圧縮比側へ変化させるには、サーボモータ112を逆回転させる。こうすれば、カム軸109の軸部109aやカム部109bおよび可動軸受部109cは、図中の矢印X−の方向に逆回転駆動する。これにより、シリンダブロック103は図3(a)の状態に戻り、圧縮比は低圧縮比から高圧縮比に変化する。
図3(c)の低圧縮比の状態から、図3(a)の高圧縮比の状態へ圧縮比を変化させる場合、サーボモータ112から出力されるトルクは、カム軸109を介して、シリンダブロック103をクランクケース104に近接させる向きにスライド移動させる駆動力として伝達される。
なお、カム部109bと可動軸受部109cとが完全に一致した状態(図3(a))では、一本のカム軸109に取り付けられた複数の可動軸受部109cが、シリンダを上下にスライドさせずに空転してしまう可能性もある。このため、本実施例のエンジンの機械圧縮比変更機構では、図3(a)のように、カム部109bと可動軸受部109cとを完全に一致させる状態を生じさせない。例えば、図3(a)の状態のカム軸109の回転位置を基準0°とした場合(一対のカム軸109で正方向は逆回転方向)、図3(c)の状態の回転位置は矢印X+に沿った正方向の90°となるが、図3(a)に示す0゜の近辺(例えば、5゜程度)を使用しないようにして5°〜90°の範囲でカム軸回転を実現することで、上述したような問題を解消し得る。実際のシリンダブロック103のスライド量は、数mmとすることを検討しているので、5°〜90°の範囲で規定の圧縮比範囲が得られるよう、カム部109bや可動軸受部109cの偏心量を定めれば良く、実際の設計に当たってこのことは何ら問題ない。
また、機械圧縮比変更機構の構成としては、クランクケース104に対してシリンダブロック103を下死点側にスライドさせる構成を採用することもできる。この場合のカム軸109の制御範囲は−5°〜−90°(355°〜270°)のカム軸角度とすればよ
い。また、クランクケース104に対してシリンダブロック103を上死点側にスライドさせて使用する場合に、カム軸109の制御範囲を90°〜175°等として使用してもよい。
以上説明した構成により、サーボモータ112の出力する駆動力によりシリンダブロック103とクランクケース104とをシリンダ102の軸線方向に相対的にスライド移動させ、燃焼室容積を変化させることによって、エンジン100の圧縮比を機械的に変更可能な、機械圧縮比変更機構が実現される。
本実施例では、この機械圧縮比変更機構を駆動制御することにより、エンジン100の圧縮比を所定の目標圧縮比に変更する圧縮比可変制御を行う。
図4は、本実施例の圧縮比可変制御を行うための制御ブロック図を示す図である。
図4のECU160は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等の既知の構成を有するコンピュータである。ECU160には、スロットルセンサ161、アクセル開度センサ162、クランク角度センサ163、サーボモータ112の回転角度を取得するモータ回転角センサ164、エンジン100の冷却水温を取得する水温センサ165、エンジン100の燃焼室内の筒内圧を取得する筒内圧センサ166等の各種センサが接続され、これら各種センサからの出力信号がECU160に入力される。また、ECU160には、サーボモータ112等の各種機器が接続され、これら各種機器の動作がECU160から出力される制御信号により制御される。
ECU160のROMには、図5に示すような、エンジン回転数及びエンジン負荷に応じて目標圧縮比を定めた目標圧縮比マップが格納されている。目標圧縮比マップは、回転数及び負荷の他に、冷却水温、吸気温度、吸気圧等の運転条件に応じて更に細かく最適な目標圧縮比を定めた複数のマップから構成されるようにしても良い。目標圧縮比は、回転数、負荷、その他の運転条件毎に、燃費性能、耐ノック性能、エミッション、ドライバビリティ等の機関性能を最適化することが可能な圧縮比として予め適合等により定められ、マップ化されている。
ECU160は、各種センサから入力される検出信号に基づいて、エンジン100の運転条件及び現在の実際の圧縮比を取得する。現在の実際の圧縮比は、モータ回転角センサ164からのセンサ出力からサーボモータ112の回転角度位置を算出し、算出された回転角度位置に基づいてエンジン100の実際の圧縮比を算出することによって取得する。
さらに、ECU160は、上記取得したエンジン100の運転条件に応じた目標圧縮比を、上述したマップを参照して決定する。そして、機械圧縮比変更機構を動作させてエンジン100の圧縮比を当該目標圧縮比まで変化させるために必要な駆動力を算出し、当該算出された駆動力をサーボモータ112に出力させるようにサーボモータ112に制御信号を出力する。
次に、本実施例におけるサーボモータ112に出力させる駆動力の制御について説明する。
機械圧縮比変更機構によってエンジン100の圧縮比を変更する場合には、シリンダブロック103のスライド移動に対する抵抗力が作用する。この抵抗力に抗してシリンダブロック103をスライド移動させることが可能な駆動力をサーボモータ112が出力する場合に、機械圧縮比変更機構によって実際にエンジン100の圧縮比を変更することができる。サーボモータ112の出力する駆動力がこの抵抗力より小さい場合には、シリンダ
ブロック103のスライド移動は減速又は停止する。シリンダブロック103のスライド移動が停止すると、エンジン100の圧縮比は変化しなくなる。
抵抗力の主要因としては、機械圧縮比変更機構におけるカム軸109等の可動部において発生する摩擦力がある。摩擦力は可動部が運動する場合必ず発生する力であり、圧縮比を低圧縮比側に変更する場合においても、高圧縮比側に変更する場合においても、同様に抵抗力の要因となる。
また、本実施例の機械圧縮比変更機構の構成の場合、ピストン運動による燃焼室内ガスの圧縮や燃焼室内の燃料燃焼に伴って生じる筒内圧が、シリンダブロック103とクランクケース104とを離間させる向きの力として作用する。
圧縮比を低圧縮比側へ変化させる場合には、この筒内圧に起因する力は、サーボモータ112がシリンダブロック103を移動させる向き(クランクケース104から離間させる向き)と同じ向きの力として機械圧縮比変更機構に作用する。すなわち、圧縮比を低圧縮比側に変更する場合には、筒内圧に起因する力は、シリンダブロック103とクランクケース104との相対移動を補助する力として作用することになる。
一方、圧縮比を高圧縮比側へ変化させる場合には、この筒内圧に起因する力は、サーボモータ112がシリンダブロック103を移動させる向き(クランクケース104に近接させる向き)と反対向きの力として作用する。すなわち、圧縮比を高圧縮比側に変更する場合には、筒内圧に起因する力は、シリンダブロック103とクランクケース104との相対移動に対する抵抗力として作用することになる。従って、圧縮比を高圧縮比側に変化させる場合には、筒内圧に起因する力も上記摩擦力に加えて抵抗力の主要因となる。
筒内圧に起因する力の大きさは、各シリンダ102における筒内圧に応じて決まる。本実施例の機械圧縮比変更機構の場合、4気筒エンジンの全てのシリンダ102が単一のシリンダブロック103内に形成されているので、筒内圧に起因してシリンダブロック103に作用する力の大きさは、各シリンダ102の筒内圧の和に応じて決まる。
筒内圧は、エンジン100の高負荷運転状態や圧縮比が高い状態において、高くなる。従って、機械圧縮比変更機構に作用する抵抗力の大きさは、エンジン100の高負荷運転状態や圧縮比が高い状態において、大きくなる。従って、エンジン100の高負荷運転状態や圧縮比が高い状態において圧縮比を高圧縮比側の目標圧縮比に変化させる場合には、このような大きな抵抗力に抗してシリンダブロック103をスライド移動させることが可能な駆動力をサーボモータ112に出力させる必要がある。
そのため、従来の技術では、このような抵抗力が大きくなる運転条件下において圧縮比の変更を可能とするために、大出力の大型モータを搭載したり、或いは、このようなモータの大型化を回避するために、抵抗力が大きくなる運転条件下においては圧縮比変更における目標圧縮比に制限を課したりしていた。しかしながら、前者ではモータの大型化による装置全体の大型化やコストの増大につながるという問題があり、後者では最適な圧縮比に変化させることができない場合があるため機関性能の向上効果を十分に得られないという問題がある。
ここで、筒内圧は一定値ではなく、燃焼サイクル中のどの時期にあるか(すなわちクランク角度)に応じて変化する。一般的に、燃焼サイクル中の圧縮行程から膨張行程にかけての時期(圧縮上死点前後の時期とも言える)において筒内圧は急激に大きくなる一方、それ以外の時期における筒内圧はそれほど大きくはならない。従って、機械圧縮比変更機構に作用する抵抗力の大きさも、筒内圧に起因する力がその主要因となる高圧縮比側への
圧縮比変更時においては、燃焼サイクル中の時期に応じて変化すると考えられる。
このことに着目すると、例えばエンジン100の高負荷運転時や高圧縮比設定時において、機械圧縮比変更機構に作用する抵抗力が急激に大きくなる時(例えば圧縮上死点近傍の時期)に、その大きな抵抗力に抗してシリンダブロック103をスライド移動させることができる駆動力を出力可能な性能をサーボモータ112が有していなくても、それ以外の抵抗力がそれほど大きくない時(例えば圧縮上死点近傍以外の時期)に、その抵抗力に抗してシリンダブロック103をスライド移動させることができる駆動力を出力可能な性能をサーボモータ112が有しているのであれば、当該抵抗力がそれほど大きくない機会を捉えて断続的にシリンダブロック103をスライド移動させるように機械圧縮比変更機構を駆動制御することによって、目標圧縮比まで圧縮比を変化させることが可能である。しかもこの場合、サーボモータ112は、エンジン100の高負荷運転時や高圧縮比設定時等の抵抗力が大きくなる運転条件下において、1燃焼サイクル中に少なくともサーボモータ112の駆動力が機械圧縮比変更機構に作用する抵抗力より大きくなる期間を存在せしめることができるだけの駆動力を出力可能な性能を有していれば良いので、サーボモータ112を大型化する必要もない。
このような機械圧縮比変更機構の駆動制御を行うことによって、サーボモータ112の大型化を抑制しつつ、より広範な運転条件下において、圧縮比を目標圧縮比まで変化させる圧縮比可変制御を好適に実行することが可能となる。
図6は、エンジン100の運転条件が高負荷運転状態の場合と低負荷運転状態の場合との2通りについて、機械圧縮比変更機構によりエンジン100の圧縮比を高圧縮比側に変化させる場合における、筒内圧、抵抗力、サーボモータ112が出力する駆動力(トルク)、可変圧縮比機構の動作速度(シリンダブロック103のスライド移動速度)、及びエンジン100の圧縮比の、時間変化の様子を例示した図である。
図6(A)は、各気筒の筒内圧の時間変化を表す図である。図6(A)の曲線Phn(n=1、2、3、4)は、高負荷運転状態におけるn番気筒の筒内圧を表している。また、曲線Pln(n=1、2、3、4)は、低負荷運転状態におけるn番気筒の筒内圧を表している。横軸はクランク角度を表す。図6では、1番気筒の圧縮上死点をクランク角度0°としている。図6(A)に示すように、4気筒エンジンである本実施例のエンジン100では、クランク角度で180°毎に、1番気筒、3番気筒、4番気筒、2番気筒の順番で点火が行われ、約180°毎に各気筒の筒内圧のピークが現れる。ここでは、各気筒の圧縮上死点において筒内圧がピークになると考える。図示するように、高負荷運転状態では低負荷運転状態よりもピーク時の筒内圧が高くなっている。
図6(B)は、抵抗力の時間変化を表す図である。図6(B)の曲線Fhは高負荷運転状態における抵抗力を表し、曲線Flは低負荷運転状態における抵抗力を表す。ここでは、高圧縮比側への圧縮比変更の場合について考えているので、この抵抗力の大きさは、上述した摩擦力及び筒内圧に起因する力を主要因として決まる。また、上述したように、筒内圧に起因する力は各気筒の筒内圧の和に相関する。従って、図6(B)に示すように、抵抗力の大きさはクランク角度で180°毎に周期的にピークを有して時間変化する。図示するように、高負荷運転状態では低負荷運転状態よりもピーク時の抵抗力が大きくなっている。
図6(B)において、破線の直線は、サーボモータ112によって出力可能な駆動力Fmを表している(詳細には、サーボモータ112によって出力可能なトルクをシリンダブロック103をスライド移動させる駆動力に変換した値を意味する)。図示するように、サーボモータ112は、低負荷運転時には、抵抗力(Fl)より大きな駆動力を常に出力
することができる。従って、低負荷運転時においては、サーボモータ112の出力する駆動力によって常にシリンダブロック103をスライド移動させることが可能である。このように、サーボモータ112の駆動力が抵抗力を上回る条件を「動作可能条件」と称することにする。図6に例示した低負荷運転状態の場合には、常時動作可能条件が成立している。
従って、図6(C)の曲線Vlで示すように、低負荷運転状態におけるシリンダブロック103のスライド移動速度は、各気筒の筒内圧が高くなる各気筒の圧縮上死点前後の時期に多少減速するものの、常に正の速度である。従って、エンジン100の圧縮比は、図6(D)の実線εlで示すように、連続的に目標圧縮比εTRGに向かって変化する。
一方、図6(B)を参照すると、高負荷運転時には、サーボモータ112は、抵抗力(Fh)より大きな駆動力を常に出力することはできず、クランク角度がθnからθn’(n=1、2、3、4)にかけての期間は、抵抗力Fhが駆動力Fmを上回る。すなわち、クランク角度θがθn≦θ≦θn’である期間には、動作可能条件が成立しない。よって、高負荷運転時においては、シリンダブロック103のスライド移動速度は、図6(C)の曲線Vhで示すように、動作可能条件が成立しないクランク角度θがθn≦θ≦θn’である期間には減速又は停止することになる。
従って、エンジン100の圧縮比は、図6(D)の実線εhで示すように、クランク角度θがθn≦θ≦θn’である期間には変化せず、断続的に目標圧縮比εTRGに向かって変化する。なお、より正確には、抵抗力がサーボモータ112の駆動力を上回った時点(θ=θn)においてスライド移動が減速し始めてからスライド移動が停止するまでには若干のタイムラグが存在し、そのタイムラグの期間にはシリンダブロック103が若干スライド移動するため、これに伴って圧縮比も若干変化する。図6(D)では、この動作可能条件が不成立になってからの若干の圧縮比の変化については簡単のために無視した。
このように、断続的な変化ではあるが、高負荷運転条件下においても、エンジン100の圧縮比を目標圧縮比まで変化させることができる。なお、実際にはシリンダブロック103のスライド移動は、図6(C)に図示するように、定速運動ではなく加速度運動するので、実際の圧縮比の変化は図6(D)に図示したような直線的な変化にはならないと考えられるが、図6では簡単のために圧縮比の変化を直線的に表現した。
以上説明したように、本実施例のサーボモータ112の駆動力制御を行うことによって、筒内圧が高くなる高負荷運転状態において常に抵抗力を上回る駆動力を出力可能な大型のモータを搭載する必要がなく、装置の大型化やコストの増大を好適に抑制可能であるとともに、高負荷運転状態における高圧縮比側への圧縮比変更に際して目標圧縮比に制限が課されることもないので、圧縮比を可変制御することによる機関性能の向上効果を十分に得ることが可能となる。
このように、本実施例の機械圧縮比変更機構に搭載されるサーボモータ112は、抵抗力が大きくなる高負荷運転状態等の運転条件下における高圧縮比側への圧縮比変更では、圧縮上死点近傍においてシリンダブロック103をスライド移動させることができるほどの駆動力を出力できない場合がある。このように、動作可能条件が成立しない時期においては、サーボモータ112に駆動力を出力させるべく電力を印加しても、シリンダブロック103のスライド移動は停止又は減速してしまうため、エンジン100の圧縮比を好適に変化させることはできない。従って、動作可能条件が成立しない時にサーボモータ112に駆動力を出力させても、圧縮比を変更させるという点において、その駆動力は無駄に消費されることになる。
そこで、本実施例では、動作可能条件が成立しない期間(ここではクランク角度θがθn≦θ≦θn’である期間)においては、図6(E)の実線Thに示すように、サーボモータ112に出力させる駆動力を0に制御する駆動制限制御を行うようにした。これにより、無駄な駆動力の出力を抑制することができるので、サーボモータ112の電力消費量を削減することができる。
なお、本実施例の機械圧縮比変更機構は、シリンダブロック103の位置を現状位置に保持するための機構を有しており、シリンダブロック103の位置を現在位置に保持するためにサーボモータ112の駆動力を必要としない構成であるとする。従って、動作可能条件が成立しない時にサーボモータ112に出力させる駆動力を0に制御しても、筒内圧に起因する力等によってシリンダブロック103の位置が変化してしまうことはない。
このような保持機構を有していない機械圧縮比変更機構の場合には、動作可能条件が成立しない期間において、シリンダブロック103の位置を保持するために最低限必要な駆動力のみをサーボモータ112に出力させるような駆動制限制御を行うようにしてもよい。こうすることにより、動作可能条件が成立しない期間において、筒内圧に起因する力等によってシリンダブロック103の位置が変化してしまうことを抑制できる。
なお、図6(E)には、サーボモータ112の駆動力制御として、駆動制限制御を行う場合についてのみ図示したが、本発明の本質的な効果、すなわち動作可能条件が成立しなくなる機会が存在するような運転条件下での圧縮比変更(例えば高負荷運転状態における高圧縮比側への圧縮比変更)においても駆動源の大型化を必要とせずに圧縮比の目標圧縮比まで変化を達成できる、という効果を得るために、駆動制限制御は必ずしも必須ではない。駆動制限制御を行うことによって、エネルギー効率を向上させることができるという効果を奏する。
以上説明した本実施例の機械圧縮比変更機構の駆動制御の実行手順について、図7のフローチャートに基づいて説明する。図7に示す機械圧縮比変更機構の駆動制御ルーチンはECU160のROMに格納されたプログラムであり、ECU160によってエンジン100の稼働中所定期間毎に繰り返し実行される。
ステップS101において、ECU160は、エンジン100の運転状態を取得する。具体的には、上述した各種センサから入力される検出信号を読み込み、スロットル開度、アクセル開度、クランク角度θ、サーボモータの回転角度、冷却水温、吸気温度、吸気圧、トランスミッションの状態、エンジン回転数、エンジン要求負荷、現在のエンジン100の圧縮比ε等の情報を算出・取得する。
ステップS102において、ECU160は、エンジン100の圧縮比を変更すべきか否か判定する。すなわち、ステップS101で取得したエンジン運転状態に応じて、上述した目標圧縮比マップから目標圧縮比εTRGを読み込み、この目標圧縮比εTRGとステップS101で取得した現在のエンジン100の圧縮比εとが一致しているか否かを判定する。本ステップにおいて肯定判定(圧縮比を変更すべきと判定)された場合には、ECU160はステップS103に進む。一方、本ステップにおいて否定判定(圧縮比を変更する必要なしと判定)された場合には、ECU160は本ルーチンを一旦抜ける。
ステップS103において、ECU160は、サーボモータ112に出力させるべき駆動力を算出する。すなわち、圧縮比εを目標圧縮比εTRGに一致させるべく、機械圧縮比変更機構を駆動するために必要なサーボモータ112の駆動力を算出し、当該算出された駆動力をサーボモータ112に出力させるための制御信号を算出する。例えば、サーボモータ112をPWM制御によって制御する場合には、サーボモータ112に入力すべき
デューティ比を算出する。
ステップS104において、ECU160は、動作可能条件が成立の有無を判定する。本実施例では、現在のクランク角度θが動作可能条件を満たすクランク角度範囲(θn≦θ≦θn’)に含まれる角度であるか否かを判定する。本ステップにおいて動作可能条件が成立していない(θ<θn、θn’<θ)と判定された場合には、ECU160はステップS105に進む。本ステップにおいて動作可能条件が成立している(θn≦θ≦θn’)と判定された場合には、ECU160はステップS106に進む。
ステップS105において、ECU160は、駆動制限制御を実行する。すなわち、ステップS103において算出したサーボモータに出力させるべき駆動力にかかわらず、サーボモータ112の出力する駆動力をゼロにすべく制御信号を出力する。PWM制御を行っている場合には、デューティ比を0に設定する。
ステップS106において、ECU160は、ステップS103で算出した駆動力をサーボモータ112に出力させるべくサーボモータ112に制御信号を出力する。
以上のルーチンを実行することにより、動作可能条件が成立しない機会が存在する高負荷運転状態等の運転条件下においても、動作可能条件が成立する機会を捉えてサーボモータ112に駆動力を出力させ、圧縮比を目標圧縮比に向かって断続的に変化させることができる。動作可能条件が成立しない時にはサーボモータ112の駆動が停止されるので、サーボモータ112の電力消費量を削減することができる。
高負荷運転状態における高圧縮比側への圧縮比変更のように、動作可能条件が成立しない期間が存在する運転条件下における圧縮比変更では、動作可能条件が成立しない期間において圧縮比の変化が停止したり減速したりするため、上記のように圧縮比が目標圧縮比に到達するまでに比較的長い時間を要する。そこで、図8(E)の実線Th’で示すように、動作可能条件が成立しない期間が存在する運転条件下における圧縮比変更(例えば高負荷運転状態における高圧縮比側への圧縮比変更)では、動作可能条件が成立する期間においてサーボモータ112に出力させる駆動力を増加させて、動作可能条件が成立しない期間が存在しない運転条件下における圧縮比変更(例えば、低負荷運転状態における高圧縮比側への圧縮比変更)においてサーボモータ112に出力させる駆動力(実線Tl)より大きくしても良い。
こうすることで、図8(C)の曲線Vh’で示すように、動作可能条件が成立する期間におけるシリンダブロック103のスライド移動速度が増加するので、図8(D)の実線εh’で示すように、圧縮比が目標圧縮比に到達するまでに要する時間を短縮することができる。
この時、図8(E)の実線Th’で示すように、動作可能条件が成立しない期間において駆動制限制御も行うようにすれば、動作可能条件が成立する期間においてサーボモータ112に出力させる駆動力を増大させるための電力消費量の増加分を、駆動制限制御による電力消費量の削減分で相殺することができるので、エネルギー効率の点でより好適である。
上記実施例では、動作可能条件の成立の有無を、抵抗力と駆動力との大小関係に基づいて判定する場合について説明した。従って、例えば図6(C)に示すように、抵抗力が駆動力を上回ってからシリンダブロック103のスライド移動速度が急速に減速して停止するまで期間は、動作可能条件が成立しない期間に含まれている。しかしながら、動作可能
条件の成立の有無の判定方法は、この例に限られない。例えば、シリンダブロック103のスライド移動速度が0より大きい期間として、動作可能条件が成立する期間を定めることもできる。その場合、前記のスライド移動速度が減速してから停止するまでの期間は動作可能条件が成立する期間に含まれることになる。
また、図7のフローチャートで示した機械圧縮比変更機構の駆動制御では、抵抗力が駆動力を超えるクランク角度の範囲(θn≦θ≦θn’)を予め求めておき、この範囲と現在のクランク角度との比較に基づいて、動作可能条件の成立を判定している。この判定方法は、予め抵抗力とクランク角度との対応関係等を実験や適合等により調べて、抵抗力が駆動力を超えると判定可能な基準となるクランク角度範囲(θn≦θ≦θn’)を求めておき、実際に動作可能条件の成立の有無を判定する場面では、この基準となるクランク角度範囲と現在のクランク角度との比較をするだけで済むので、簡単なシステムで本実施例の制御を実現できる。
しかしながら、動作可能条件の成立判定の方法はこれに限られるものではなく、例えば、抵抗力を測定するセンサをシリンダブロック103その他の機械圧縮比変更機構の構成部品に取り付け、実際の抵抗力を測定し、抵抗力の測定値と駆動力との比較に基づいて判定することもできる。また、抵抗力に相関する量を測定し、その量の測定値に基づいて判定することもできる。例えば、高負荷運転状態や圧縮比の高い運転条件下では、抵抗力の主要因は筒内圧に起因する力である。従って、筒内圧を測定するセンサを取り付けて測定により取得し、又は筒内圧を他の物理量に基づく推定により取得し、取得された筒内圧を基準値と比較することによって、動作可能条件の成立判定を行うこともできる。筒内圧に基づいて判定する場合には、4気筒全ての筒内圧の和に基づいて判定することが好ましいが、図6(B)に示すように、抵抗力のピークは各気筒の筒内圧のピークとほぼ一致しているので、各気筒個別の筒内圧に基づいて判定することも可能である。
また、同じく図6(B)に示すように、抵抗力の主要因が筒内圧に起因する力である場合には、筒内圧が大きくなる時に抵抗力も大きくなる。つまり、筒内圧が大きくなる条件を抵抗力が大きくなる条件と同一視して動作可能条件の成立判定をすることもできる。例えば、一般的に圧縮上死点前後の時期において筒内圧が高くなるので、クランク角度が圧縮上死点前後の一定の角度範囲内に入っているか否かに基づいて、動作可能条件の成立判定をすることもできる。
上記実施例では、駆動制限制御においてサーボモータ112に出力させる駆動力を0又はシリンダブロック103の位置を保持するために最低限必要な駆動力に制御する例について説明したが、駆動制限制御が行われない場合にサーボモータ112に出力させる駆動力より小さい駆動力であれば電力消費量の削減効果が得られるので、駆動制限制御においてサーボモータ112に出力させる駆動力は上記の例に限定されるものではない。
エンジン100が低速運転状態である場合には1回転当たりの時間が比較的長いため、機械圧縮比変更機構の動作が停止し易い。従って、低速運転状態の場合には、上記駆動制限制御を行うことによるエネルギー消費量の削減効果が特に高くなる。そこで、本実施例において、特にエンジン100の回転数が所定の基準回転数より低い低速運転時において、駆動制限制御を行うようにしても良い。
また、シリンダブロック103のスライド移動速度が低速である場合には、移動速度が高速である場合と比較して、抵抗力がサーボモータ112の駆動力より大きくなった時に、より短時間でスライド移動が停止すると考えられる。つまり、動作可能条件が成立しない期間が長くなり易い。従って、シリンダブロック103のスライド移動速度が低速である場合には、上記駆動制限制御を行うことによるエネルギー消費量の削減効果が特に高く
なる。そこで、本実施例において、シリンダブロック103のスライド移動速度が所定の基準速度より遅い場合に、駆動制限制御を行うようにしても良い。
また、エンジン100の筒内圧が高くなる運転条件では、筒内圧が低い運転条件の場合と比較して、動作可能条件が成立しなくなる状態が生じ易く、動作可能条件が成立しない期間が長くなり易い。従って、エンジン100の筒内圧が高くなる運転条件では、上記駆動制限制御を行うことによるエネルギー消費量の削減効果が特に高くなる。そこで、本実施例において、エンジン100の筒内圧が高くなり易い高負荷運転状態や高圧縮比設定状態等の運転条件において、駆動制限制御を行うようにしても良い。
本実施例においては、シリンダブロック103が、本発明における「可動の機関部材」に相当する。シリンダブロック103がクランクケース104に対してシリンダ102の軸線方向に移動することが、本発明における「機関部材の相対移動」に相当する。シリンダブロック103をクランクケース104に対してシリンダ102の軸線方向に移動させることを可能にする上記説明したカム軸109等の機構が、本発明における「機械圧縮比変更機構」に相当する。サーボモータ112が、本発明における「駆動源」に相当する。ECU160が、本発明における「制御手段」に相当する。
実施例に係るエンジンの概略構成を示す斜視図である。 実施例に係るエンジン及び機械圧縮比変更機構の概略分解斜視図である。 実施例に係るエンジン及び機械圧縮比変更機構の断面図である。 実施例に係る圧縮比可変制御を行うための制御ブロック図である。 実施例に係る目標圧縮比マップを示す概念図である。 実施例1に係る圧縮比可変制御を行った場合の各気筒の筒内圧、機械圧縮比変更機構にかかる抵抗力、シリンダブロックのスライド移動速度、内燃機関の圧縮比、サーボモータの出力駆動力の時間変化の様子を例示するタイムチャートである。 実施例1に係る圧縮比可変制御ルーチンを表すフローチャートである。 実施例2に係る圧縮比可変制御を行った場合の各気筒の筒内圧、機械圧縮比変更機構にかかる抵抗力、シリンダブロックのスライド移動速度、内燃機関の圧縮比、サーボモータの出力駆動力の時間変化の様子を例示するタイムチャートである。
符号の説明
100 エンジン
102 シリンダ
103 シリンダブロック
104 クランクケース
105 カム収納孔
106 ボルト
107 キャップ
108 軸受収納孔
109 カム軸
109a 軸部
109b カム部
109c 可動軸受部
109d 取付部
110 ウォームホイール
111a、111b ウォーム
112 サーボモータ
115 クランクシャフト
130 隆起部
132 立壁部
160 ECU
161 スロットルセンサ
162 アクセル開度センサ
163 クランク角度センサ
164 モータ回転各センサ
165 水温センサ
166 筒内圧センサ
170 ピストン
171 コンロッド

Claims (11)

  1. 少なくとも1つの可動の機関部材により気筒内の燃焼室を区画形成し、該機関部材を相対移動させて前記燃焼室の容積を変更することにより前記内燃機関の圧縮比を変更可能な機械圧縮比変更機構を有する内燃機関と、
    前記機関部材を相対移動させる駆動力を出力する駆動源と、
    前記駆動源の出力する駆動力を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記機械圧縮比変更機構によって前記内燃機関の圧縮比を所定の目標圧縮比まで変化させる際に、前記駆動源の駆動力により前記機関部材を所定の動作状態で相対移動させることが可能な動作可能条件が成立するときに、前記機関部材を相対移動させる駆動力を前記駆動源に出力させることを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記所定の動作状態とは、前記機関部材の相対移動の速度が0より大きい状態及び/又は前記機関部材の相対移動の加速度が正の状態であることを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記制御手段は、前記機関部材の相対移動に対する抵抗として前記機械圧縮比変更機構に作用する抵抗力の大きさが所定の基準値以下である場合に、前記動作可能条件が成立すると判定することを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  4. 請求項1又は2において、
    前記制御手段は、前記内燃機関の筒内圧に起因して生じ、前記機関部材の相対移動に対する抵抗として前記機械圧縮比変更機構に作用する抵抗力の大きさが所定の基準値以下である場合に、前記動作可能条件が成立すると判定することを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  5. 請求項1又は2において、
    前記制御手段は、前記内燃機関の筒内圧の大きさが所定の基準値以下である場合に、前記動作可能条件が成立すると判定することを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  6. 請求項1又は2において、
    前記内燃機関は複数の気筒を有し、
    前記制御手段は、前記複数の気筒の各筒内圧の和が所定の基準値以下である場合に、前記動作可能条件が成立すると判定することを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  7. 請求項1又は2において、
    前記制御手段は、前記内燃機関のクランク角度が、前記機関部材の相対移動に対する抵抗として前記機械圧縮比変更機構に作用する抵抗力が所定の基準値以下となる所定の基準範囲内の角度である場合に、前記動作可能条件が成立すると判定することを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  8. 請求項1又は2において、
    前記制御手段は、前記内燃機関のクランク角度が圧縮上死点近傍の所定範囲内の角度ではない場合に、前記動作可能条件が成立すると判定することを特徴とする内燃機関の機械
    圧縮比変更機構の制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において、
    前記制御手段は、前記動作可能条件が成立しない場合、前記駆動源に出力させる駆動力を、前記動作可能条件が成立する場合に前記駆動源に出力させる駆動力より小さい駆動力に制御する駆動制限制御を行うことを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項において、
    前記制御手段は、前記動作可能条件が成立しない場合、前記駆動源に出力させる駆動力を、ゼロ又は所定の微小な駆動力に制御する駆動制限制御を行うことを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
  11. 請求項9又は10において、
    前記制御手段は、前記内燃機関の回転数が所定の基準回転数より低い低速運転時、前記内燃機関の負荷が所定の基準負荷より高い高負荷運転時、前記内燃機関の圧縮比が所定の基準圧縮比より高い高圧縮比設定時、又は前記機関部材の相対移動の速度が所定の基準速度より遅い場合の少なくともいずれかの場合に、前記駆動制限制御を行うことを特徴とする内燃機関の機械圧縮比変更機構の制御装置。
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