JP4333129B2 - エンジンの圧縮比変更方法と可変圧縮比エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの圧縮比を変更する可変圧縮比エンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
可変圧縮比エンジンでは、運転状況に応じた圧縮比変更を行うことで、種々の利点が得られる。例えば、ノッキングの発生しやすい高負荷時には圧縮比を低くすることで、燃料の自己着火を抑制し、これによりノッキングの発生も抑制できる。低負荷時では圧縮比を高めると、混合気温度の上昇を招いて燃料の燃焼性が高まる。このため、負荷変動を起こしやすい加速走行時等にあっては、負荷変動(低負荷から高負荷に変動)に応じて圧縮比を高圧縮比から低圧縮比に変更制御することが行われている。こうした負荷変動に応じた圧縮比制御を行うことで、燃費の向上やドライバビリティの向上を実現している。
【0003】
こうした従来の可変圧縮比エンジンでは、圧縮比変更のための駆動源の駆動力を、ウォームとこれに噛み合うウォームホイールで、圧縮比変更機構に伝達して圧縮比を変更している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−26981号公報
【0005】
一般に、こうした動力伝達にウォームとウォームホイールを用いるに当たっては、ウォームをモータ等の駆動源に連結し、ウォームホイールを駆動対象機器(圧縮比変更機構)に連結し、両者のギヤ比は大きくされている。このようにすれば、モータの高回転をウォームとウォームホイールで減速して圧縮比変更機器に伝達できる。可変圧縮比エンジンについても同様であり、モータと圧縮比変更機構との間に、ギヤ比の大きなウォームとウォームホイールが組み込まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来の可変圧縮比エンジンでは、燃焼室の燃焼圧がピストンとシリンダの相対位置が広がるように作用することから、この燃焼圧は、高圧縮比から低圧縮比側への圧縮比変更の際に、圧縮比変更機構に必要とされる駆動力に対して補助的に働くようになる。その一方、圧縮比を低圧縮比から高圧縮比側に変更する場合は、この燃焼圧に抗して圧縮比変更機構を駆動させる必要があるので、圧縮比変更機構へは大きな駆動力を伝達することが不可欠となる。つまり、低圧縮比側への圧縮比変更と高圧縮比側への圧縮比変更とでは、圧縮比変更機構に伝達すべき駆動力に大小の相違がある。
【0007】
また、圧縮比の低圧縮比側への変更を要する状況は、エンジン負荷が高負荷であることから、低圧縮比への変更が緩慢では、ノッキングを招きやすい。よって、ノッキング回避の観点から、低圧縮比側への圧縮比変更には迅速性が求められる。その一方、圧縮比の高圧縮比側への変更を要する場合は、低負荷であることからノッキングは起き難いので、高圧縮比側への圧縮比変更に特段の迅速性は要しない。
【0008】
圧縮比の高低変更を行うに当たっては、その変更方向で、必要とされる駆動力と迅速性が共に相違する。こうした要求を満たしつつ変速比の大きなウォームとウォームホイールで圧縮比変更機構に駆動力を伝達して圧縮比を変更するには、駆動源に高い動力特性と応答性の他、広範囲の回転数での回転特性が必要となる。このため、駆動源の大型化、延いては圧縮比変更機構を含めたエンジン周りの大型化を招いたり、駆動源の回転制御の複雑化を招いていた。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、エンジンの圧縮比の高低変更に際しての制御の簡略化や、機器の小型化を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の圧縮比変更方法と可変圧縮比エンジンでは、圧縮比を変更する状況になると、圧縮比変更のための駆動源の回転駆動力を伝達手段を介して伝達駆動力として圧縮比変更機構に伝達する。圧縮比変更機構は、この伝達駆動力を受けて圧縮比変更のために燃焼室容積を可変するよう燃焼室の軸方向に駆動して、圧縮比を高圧縮比と低圧縮比との間に亘って変更する。この際、圧縮比変更機構は、高圧縮比から低圧縮比側への圧縮比変更の際の伝達駆動力を、燃焼室の軸方向に作用する燃焼室内の燃焼圧と同じ向きに伝達手段から受けて駆動し、圧縮比を低圧縮比に変更する。低圧縮比から高圧縮比側への圧縮比変更の際には、伝達駆動力を燃焼圧が作用する軸方向の向きと逆の向きに伝達手段から受けて駆動して、圧縮比を高圧縮比に変更する。
【0011】
このようにした圧縮比変更を図るに当たり、本発明の圧縮比変更方法と可変圧縮比エンジンは、伝達手段を、回転駆動力を伝達する際の伝達トルクを変えて回転駆動力伝達可能とした上で、圧縮比を低圧縮比から高圧縮比に変更する高圧縮比化状況では、駆動源の回転駆動力を、圧縮比を高圧縮比から低圧縮比に変更する低圧縮比化状況よりも高いトルクで圧縮比変更機構に伝達駆動力として伝達する。よって、こうした圧縮比変更に際し、伝達トルク制御を要するに過ぎず、駆動源についてはその回転駆動力の発生に当たり特段の制御が不要となる。しかも、低圧縮比化状況では、燃焼圧を伝達駆動力と同じ向きに受けるので、圧縮比変更機構は、燃焼圧を受ける分だけ迅速に圧縮比を低圧縮比側に変更する。その一方、高圧縮比化状況では、駆動源の回転駆動力を伝達手段により駆動源の回転駆動力を伝達する際の伝達トルクを低圧縮比化状況よりも高めるので、圧縮比変更機構には伝達トルクが高まった分だけ大きな駆動力を伝達して、圧縮比を高圧縮比側に変更する。
【0012】
つまり、本発明によれば、駆動源制御を簡略化した上で、低圧縮比化状況での迅速な低圧縮比側への変更と、高圧縮比化状況での駆動力増大を図ることができる。この結果、駆動源を、高い動力特性や応答性および広範囲の回転数での回転特性を有するものとすることが不要となるので、駆動源、延いては圧縮比変更機構を含めたエンジン周りの小型化を図ることができる。
【0013】
上記した本発明の可変圧縮比エンジンでは、次のようにすることができる。即ち、伝達手段は、前記駆動源の回転駆動力を変速比を変えて伝達する可変速伝達機器を備え、該可変速伝達機器を、変速比が前記高圧縮比化状況では前記低圧縮比化状況よりも大きくなるよう、制御する。こうすれば、圧縮比変更機器への伝達駆動力を、高圧縮比化状況と低圧縮比化状況に応じて変速比により容易に大小変更でき、機器構成の簡略化を図ることができる。
【0014】
また、正逆方向の回転駆動力を発生可能な駆動源とした上で、前記可変速伝達機器は、前記回転駆動力を正回転方向と逆回転方向に選択してそれぞれ伝達する第1、第2のワンウェイクラッチと、各ワンウェイクラッチに対応して設けられ、異なる変速比で前記回転駆動力を伝達する第1、第2のギヤとを備え、前記伝達手段は、前記駆動源の回転駆動力方向を、前記高圧縮比化状況では前記変速比が大きい側の回転方向とし、前記低圧縮比化状況では前記変速比が小さい側の回転方向となるように、前記駆動源を駆動制御するようにすることもできる。こうすれば、駆動源の正逆回転制御という簡便な駆動制御で、圧縮比変更機器への伝達駆動力を、高圧縮比化状況と低圧縮比化状況に応じて変速比により容易に大小変更でき、機器構成のより一層の簡略化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の形態を実施例に基づき説明する。図1は第1実施例に係る可変圧縮比エンジン100の概略分解斜視図、図2はこの可変圧縮比エンジン100の概略構成を一部分解斜視図を含めて示す概略斜視図である。
【0016】
この第1実施例の可変圧縮比エンジン100は、シリンダブロック103をロアケース(クランクケース)104に対してシリンダ102の軸方向に移動させることで圧縮比を変更する。このため、本実施例の可変圧縮比エンジン100は、ロアケース104に対してシリンダブロック103を移動させる圧縮比変更機構を備える。この圧縮比変更機構については後述する。
【0017】
ロアケース104に対してシリンダブロック103がシリンダ102の軸方向に移動するため、シリンダ102上部に配置された吸排気バルブの開閉を行う図示しないカムシャフトにあっても、ロアケース104に対して移動することとなる。カムシャフトの駆動力は、ロアケース104内に配置されたクランクシャフト115からチェーンやベルトを介して伝達されるため、これに対する考慮も本実施例のエンジンではなされている。この点についても、本発明の要旨と直接関係しないので、その説明については省略する。
【0018】
なお、シリンダブロック103がロアケース104に対して移動可能とされていること、および、その移動機構(圧縮比変更機構)を備えていること、カムシャフトへの変動力の伝達、以外の部分に関しては、通常のエンジンと変わるところはない。よって、これらについても説明は省略する。
【0019】
図1に示すように、可変圧縮比エンジン100は、シリンダブロック103の両側下部に複数の隆起部を備え、この各隆起部にカム収納孔105を有する。カム収納孔105は、片側に五つずつ形成されている。カム収納孔105は、円形を有しており、シリンダ102の軸方向に対して直角に、かつ、複数のシリンダ102(本実施例の可変圧縮比エンジン100は四気筒エンジン)の配列方向に平行になるようにそれぞれ形成されている。カム収納孔105は、シリンダブロック103の両側に形成されており、片側の複数のカム収納孔105は全て同一軸線上に位置している。そして、シリンダブロック103の両側のカム収納孔105の一対の軸線は平行である。
【0020】
ロアケース104には、上述したカム収納孔105が形成された複数の隆起部の間に位置するように、立壁部が形成されている。各立壁部のロアケース104外側に向けられた表面には、半円形の凹部が形成されている。また、各立壁部には、ボルト106によって取り付けられるキャップ107が用意されており、キャップ107にあっても半円形の凹部を有している。各立壁部にキャップ107を取り付けると、両部材で円形の軸受収納孔108が形成される。軸受収納孔108の形状は、上述したカム収納孔105と同一である。
【0021】
複数の軸受収納孔108は、カム収納孔105と同様に、シリンダブロック103をロアケース104に取り付けたときにシリンダ102の軸方向に対して直角に、かつ、複数のシリンダ102の配列方向に平行になる。これらの複数の軸受収納孔108も、シリンダブロック103の両側に形成されることとなり、片側の複数の軸受収納孔108は全て同一軸線上に位置している。軸受収納孔108は、片側に四つずつ形成される。そして、シリンダブロック103の両側の軸受収納孔108の一対の軸線は平行である。また、両側のカム収納孔105の間の距離と、両側の軸受収納孔108との問の距離は同一である。
【0022】
交互に配置される二列のカム収納孔105と軸受収納孔108には、それぞれカム軸109が挿通される。カム軸109は、図1に示すように、軸部109aに、カム部109bと可動軸受部109cとを有する。カム部109bは、軸部109aの中心軸に対して偏心された状態で軸部109aに固定され、正円形のカムプロフィールを有する。可動軸受部109cは、このカム部109bと同一外形を有し、軸部109aに対して回転可能に取り付けられる。本実施例では、カム部109bと可動軸受部109cとが交互に配置されている。一対のカム軸109は、シリンダ102を挟んで鏡像の関係を有している。また、カム軸109の端部には、後述するウォームホイール110の取付部109dが形成されている。軸部109aの中心軸と取付部109dの中心とは偏心しており、全カム部109bの中心と取付部109dの中心とは一致している。
【0023】
可動軸受部109cも、軸部109aに対して偏心されておりその偏心量はカム部109bと同一である。実際にカム軸109を構築するには、最も端部の一つのカム部109bが予め一体的に結合された状態でカム軸109が製造され、これに可動軸受部109cと他のカム部109bとが交互に挿入される。そして、カム部109bのみが図示するようにビスなどで軸部109aに固定される。この場合、カム部固定は他の方法、例えば、圧入や溶接でも良い。軸部109a上のカム部109bの数は、シリンダブロック103片側のカム収納孔105の数と一致する。また、カム部109bの厚さも、対応する各カム収納孔105の長さと一致する。同様に、軸部109a上の可動軸受部109cの数は、ロアケース104片側に形成される軸受収納孔108の数と一致する。また、可動軸受部109cの厚さも、対応する各軸受収納孔108の長さと一致する。
【0024】
各カム軸109において、複数のカム部109bの偏心方向は同一である。また、可動軸受部109cの外形は、カム部109bと同一正円であるので、可動軸受部109cを回転させることで、複数のカム部109bの外表面と複数の可動軸受部109cの外側面とを一致させることができる。この状態で、シリンダブロック103とロアケース104とを組み合わせて複数のカム収納孔105と複数の軸受収納孔108とで形成される長孔にカム軸109が挿入されて組み立てられる。なお、カム軸109をシリンダブロック103およびロアケース104に対して配置させた後にキャップ107を取り付けても良い。
【0025】
カム収納孔105、軸受収納孔108、カム部109bおよび可動軸受部109cの形状は全て同一の正円形である。また、シリンダブロック103は、ロアケース104に対してスライド可能であるが、両者の摺動面には、シリンダ内面とピストンとの間の気密を確保するピストンリングのような部材を配置して気密性を確保する。なお、ピストンリング以外の他の手法によって、例えば、Oリングのようなゴム製ガスケット等によって、シールを行っても良い。
【0026】
各カム軸109は、その軸部109a端部の取付部109dにウォームホイール110を有する。このウォームホイール110は、キーにて位置決めされた上で、取付部109dにボルト固定されている。
【0027】
一対のカム軸109に対応するそれぞれのウォームホイール110には、ウォーム111a,111bが噛み合っている。ウォーム111a,111bは、後述の変速比切替ボックス120を介在させて、正逆回転可能な単一のサーボモータ112の出力軸と連結されている。ウォーム111a,111bは、互いに逆方向に回転する蝶旋溝を有している。このため、サーボモータ112を回転させると、一対のカム軸109は、ウォームホイール110の回転を受け、互いに逆方向に回転する。サーボモータ112と変速比切替ボックス120は、シリンダブロック103などに固定されており、シリンダブロック103と一体的に移動する。
【0028】
変速比切替ボックス120は、図2に示すように、ウォーム111a,111bのギヤ軸111cの側のギヤ群と、サーボモータ112の出力軸側のギヤ群を有する。ギヤ軸111cの側のギヤ群は、大径ギヤ121に嵌合固定された第1ワンウェイクラッチ122と、小径ギヤ123に嵌合固定された第2ワンウェイクラッチ124とを有する。これらギヤ・ワンウェイクラッチは、嵌合状態でギヤ軸111cに装着固定される。この場合、第1ワンウェイクラッチ122は、ある方向の回転方向(説明の便宜上、この回転方向を正転方向という)の側にのみ回転を許容し、この正転方向でギヤ軸111cと一体で回転する。第2ワンウェイクラッチ124は、この逆に、逆転方向の側にのみ回転を許容し、この逆転方向でギヤ軸111cと一体で回転する。従って、ギヤ軸111cは、第1、第2のワンウェイクラッチの回転許容方向に依存して正逆方向に回転し、ウォーム111a,111bは、回転駆動力をカム軸109ごとのウォームホイール110に伝達する。なお、各ワンウェイクラッチを介した駆動力伝達の様子については、圧縮比変更の様子と併せて後述する。
【0029】
サーボモータ112の出力軸側のギヤ群は、ギヤ軸111cの側の大径ギヤ121と噛み合い当該ギヤにモータ回転を伝達する小径の第1駆動ギヤ125と、小径ギヤ123と噛み合い当該ギヤにモータ回転を伝達する大径の第2駆動ギヤ126とを有する。よって、既述した大径ギヤ121と小径ギヤ123に嵌合固定されたワンウェイクラッチにより、サーボモータ112の正逆方向の回転駆動力は、上記第1、第2の駆動ギヤに噛み合う大径ギヤ121或いは小径ギヤ123を経てウォーム111a,111bからウォームホイール110に伝達される。これにより、一対のカム軸109は正逆のいずれかの方向にそれぞれ回転する。
【0030】
上記した構成の変速比切替ボックス120は、第1駆動ギヤ125と大径ギヤ121の変速比と、第2駆動ギヤ126と小径ギヤ123の変速比を異なるものとし、前者の変速比が大きく後者が小さくなるようにした。よって、第1ワンウェイクラッチ122により正転方向の回転駆動力の伝達を行う場合、その回転駆動力は、サーボモータ112の回転を減速してウォーム111a,111b、引いてはカム軸109に伝達される。このため、カム軸109は低速度で回転する。しかも、上記ギヤの変速比の関係から、ウォーム111a,111bには大きなトルクでサーボモータ112の駆動力が伝達される。一方、第2ワンウェイクラッチ124により逆転方向の回転駆動力を伝達する場合は、増速して回転駆動力が伝達され、カム軸109は正転方向回転の場合より大きな速度で回転する。
【0031】
次に、本実施例の可変圧縮比エンジン100における圧縮比変更の様子について説明する。図3は可変圧縮比エンジン100にて圧縮比を変更する際の機器駆動の様子を説明する説明図である。なお、図3(a)〜図3(c)に、シリンダブロック103と、ロアケース104と、これら両者の間に構築されたカム軸109などからなる圧縮比変更機構とを断面示する。そして、これら図においては、カム軸109における軸部109aの中心軸を符号aで、カム部109bの中心をbで、可動軸受部109cの中心をcで表す。
【0032】
図3(a)は、軸部109aの延長線上から見て全てのカム部109bおよび可動軸受部109cの外周が一致した状態を示している。このとき、ここでは左右一対の軸部109aは、カム収納孔105および軸受収納孔108の外側に位置している。
【0033】
図3(a)の状態から、軸部109a(および軸部109aに固定されたカム部109b)が図中の矢印X+の方向に回転すると、図3(b)の状態となる。このとき、軸部109aに対して、カム部109bと可動軸受部109cの偏心方向にズレが生じるので、ロアケース104に対してシリンダブロック103を上死点側にスライドさせることができる。そして、そのスライド量は、図3(c)のような状態となるまでカム軸109を矢印X+の回転方向に回転させたときが最大となり、カム部109bや可動軸受部109cの偏心量の二倍となる。カム部109bおよび可動軸受部109cは、それぞれカム収納孔105および軸受収納孔108の内部で回転し、それぞれカム収納孔105および軸受収納孔108の内部で軸部109aの位置が移動するのを許容している。
【0034】
図3の各図から明らかなように、図3(a)では、シリンダブロック103とロアケース104、延いてはピストン上死点位置との相対距離が短くなるので、燃焼室容積が減少して圧縮比は高い状態である。その一方、図3(c)のようにシリンダブロック103がピストン上死点位置から離れるほど、燃焼室容積が増えて圧縮比は低い状態となる。つまり、図3(a)から図3(c)にシリンダブロック103が駆動することで、圧縮比は高圧縮比から低圧縮比に推移する。
【0035】
こうした低圧縮比側への圧縮比推移を起こす場合のカム軸109の回転方向は図3の矢印X+方向であり、こうしたカム軸駆動をもたらす状態では、変速比切替ボックス120では小径ギヤ123が第2ワンウェイクラッチ124により回転する側の回転を起こすよう、サーボモータ112は回転する。
【0036】
シリンダブロック103は、このカム軸を経てサーボモータ112の回転駆動力を上向きに受けて、ロアケース104から離れるよう上昇する。この際、燃焼室の燃焼圧は、シリンダブロック103をロアケース104から上昇させようとする方向に働くことから、低圧縮比側への圧縮比推移の場合には、燃焼圧は、シリンダブロック103が受ける駆動力と同じ向きに働くことになる。
【0037】
なお、カム部109bと可動軸受部109cとが完全に一致した状態(図3(a))では、一本のカム軸109に取り付けられた複数の可動軸受部109cが、シリンダを上下にスライドさせずに空転してしまう可能性もある。このため、本実施例のエンジンの圧縮比変更機構では、図3(a)のように、カム部109bと可動軸受部109cとを完全に一致させる状態を生じさせない。例えば、図3(a)の状態のカム軸109の回転位置を基準0°とした場合(一対のカム軸109で正方向は逆回転方向)、図3(c)の状態の回転位置は矢印X+にそった正方向の90°となるが、実際の制御範囲を5°以上としておけば、上述したような問題を解消し得る。また、上述したように、実際のシリンダブロック103のスライド量は、数mmとすることを検討しているので、0°±5°程度(同様に180°±5°程度)が使用できなくても問題はない。
【0038】
また、図3(c)の状態からスライド量を0に戻すには、サーボモータ112を、上記の場合の逆のモータ逆転方向に逆回転させる。こうすれば、変速比切替ボックス120では、モータ逆転方向のサーボモータ112の回転駆動力が、大径ギヤ121と第1ワンウェイクラッチ122によりギヤ軸111cに伝達され、カム軸109の軸部109aやカム部109bおよび可動軸受部109cは、図中の矢印X−の方向に逆回転駆動する。これにより、シリンダブロック103は図3(a)の状態に戻り、圧縮比は高圧縮比から低圧縮比に推移する。こうした正逆のカム軸109の制御範囲は5°〜90°である。
【0039】
図3(a)の状態への高圧縮比から低圧縮比への圧縮比推移を起こす場合、シリンダブロック103は、上記のカム軸を経てサーボモータ112の回転駆動力を下向きに受けて、ロアケース104に近づくよう降下する。この際にあっても、燃焼室の燃焼圧は、シリンダブロック103をロアケース104から上昇させようとする方向に働くことから、高圧縮比側への圧縮比推移の場合には、シリンダブロック103は、燃焼圧に抗してロアケース104の側に駆動することになる。
【0040】
なお、ロアケース104に対してシリンダブロック103を下死点側にスライドさせて使用しても良い。この場合のカム軸109の制御範囲は−5°〜−90°(355°〜270°)とすればよい。また、ロアケース104に対してシリンダブロック103を上死点側にスライドさせて使用する場合に、カム軸109の制御範囲を90°〜175°等として使用してもよい。
【0041】
上述したような圧縮比変更機構を用いることによって、シリンダブロック103をロアケース104に対して、シリンダ102の軸線方向にスライドさせることができる。この結果、圧縮比を可変制御することが可能となる。ある寸法のエンジンで数mmのスライド量を実現して圧縮比の可変範囲を試算したところ、9〜14.5程度の可変範囲を確保できることが算出された。また、このような圧縮比変更機構によれば、シリンダを傾けるようなことをしないため、燃焼圧に起因する過大なモーメントが加わるような箇所も存在せず、カム軸109などを用いた簡便な機構で可変圧縮比エンジンを構築することができる。
【0042】
次に、可変圧縮比エンジン100の圧縮比を変更制御するための電気的な構成について説明する。図4は可変圧縮比エンジン100の圧縮比変更制御に関与する機器構成を概略的に説明するブロック図である。
図示するように、可変圧縮比エンジン100は、圧縮比変更や図示しないスロットルバルブの駆動等を統括制御するECU160を備える。このECU160は、マイクロコンピュータを中心とする論理演算回路として構成され、スロットルバルブ駆動用の図示しないアクチュエータやスロットルセンサ161、アクセルセンサ162の他、エンジン回転数とクランク角を検出する回転数・クランク角センサ163、圧縮比変更のためのサーボモータ112とその回転角度を検出するモータ回転角センサ164と等と接続されている。ECU160は、モータ回転角センサ164からのセンサ出力に基づきサーボモータ112の実際の回転角度位置を算出し、当該算出位置からエンジンの実際の圧縮比εを演算する。なお、圧縮比算出に当たっては、モータ回転角センサ164に替え、次のように構成することもできる。つまり、シリンダの燃焼室に電磁式の隙間センサを組み込み、実際の圧縮比蛩を燃焼室におけるピストン位置のセンサ出力から算出するようにすることもできる。
【0043】
ここで、本実施例の可変圧縮比エンジン100における圧縮比変更の様子について説明する。図5は圧縮比変更制御を示すフローチャート、図6は圧縮比制御の内容を説明するための説明図である。
【0044】
図5に示す圧縮比変更制御ルーチンは、所定時間ごとに繰り返し実行されるものであり、まず、回転数・クランク角センサ163からのエンジン回転数読み込み、アクセル踏込状況を出力するアクセルセンサ162やスロットルセンサ161或いは図示しない吸気管負圧センサからのセンサ出力に応じたトルクの読み込みを行う(ステップS100)。続いて、読み込んだ回転数・トルクと、この両者を圧縮比に関連付けた図6に示すマップとに基づいて、目標とする圧縮比εtを演算する(ステップS110)。この目標圧縮比算出のためのマップは、エンジン冷却水温度、吸入空気温度、或いはエミッション等の状況に応じて複数用意され、その時のエンジン運転状況に併せて適宜切り換えられる。
【0045】
次に、モータ回転角センサ164からのサーボモータ112の現状回転角度位置を読み込み、これに基づいて現状圧縮比を演算する(ステップS120)。次いで、演算した圧縮比εiと目標圧縮比εtとの一致状況に基づいて、圧縮比の変更を要するか否かを判定する(ステップS130)。ここで、上記の両圧縮比が一致していなければ、圧縮比変更を要すると判定し、ECU160は、圧縮比を目標圧縮比εtとするための変更指令をサーボモータ112に出力し(ステップS140)、上記の各処理を繰り返す。
【0046】
このステップ140では、現状の圧縮比εiを目標圧縮比εtとするに必要なパルス数の駆動信号を、その回転方向をも含めてサーボモータ112に出力する。つまり、現状の圧縮比より低圧縮比側に変更する場、ECU160は、サーボモータ112の回転駆動力が小径ギヤ123と第2ワンウェイクラッチ124によりギヤ軸111cに伝達され、カム軸109の軸部109aやカム部109bおよび可動軸受部109cが図3における矢印X+の方向に回転駆動するよう、サーボモータ112の回転方向を決定し、圧縮比変更に要するパルス数の駆動信号を出力する。ECU160は、こうしたサーボモータ112の回転制御を行うに当たり、出力したパルス数とモータ回転角センサ164からのパルス数を参酌し、サーボモータ112をフィードバック制御する。
【0047】
一方、高圧縮比側に変更する場は、ECU160は、サーボモータ112の回転駆動力が大径ギヤ121と第1ワンウェイクラッチ122によりギヤ軸111cに伝達され、カム軸109の軸部109aやカム部109bおよび可動軸受部109cが図3における矢印X−の方向に逆回転駆動するよう、サーボモータ112の回転方向を決定し、圧縮比変更に要するパルス数の駆動信号を出力する。この場合、ECU160は、低圧縮比側への圧縮比推移の場合と逆向きにサーボモータ112を回転制御(フィードバック制御)する。こうした制御により、可変圧縮比エンジン100は、サーボモータ112を駆動源とする圧縮比変更機構により既述したようにシリンダブロック103を上下動させ、エンジンの圧縮比を高低変更する。
【0048】
以上説明したように、本実施例の可変圧縮比エンジン100では、低圧縮比から高圧縮比の側への圧縮比変更状況では、サーボモータ112の回転駆動力が大径ギヤ121と第1ワンウェイクラッチ122によりギヤ軸111cに伝達されるよう、サーボモータ112をある方向(正転方向)に回転制御することで、このサーボモータ112の回転駆動力の回転数を、大径ギヤ121と第1駆動ギヤ125で定まる大きな変速比で落とし、ウォーム111a,111b、引いてはカム軸109を低速度で回転駆動する。これにより、シリンダブロック103は比較的ゆっくりと上昇して、圧縮比は高圧縮比に変更される。高圧縮比の側への圧縮比変更状況では、エンジンは低負荷運転であることから、圧縮比がゆっくりと高圧縮比に推移しても、ノッキングの発生は起きにくく支障はない。
【0049】
その一方、高圧縮比から低圧縮比の側への圧縮比変更状況では、サーボモータ112の回転駆動力が小径ギヤ123と第2ワンウェイクラッチ124によりギヤ軸111cに伝達されるよう、サーボモータ112を逆転方向に回転制御することで、このサーボモータ112の回転駆動力の回転数を、小径ギヤ123と第2駆動ギヤ126で定まる小さな変速比で高め、ウォーム111a,111b、引いてはカム軸109を高速度で回転駆動する。これにより、シリンダブロック103は迅速に降下して、圧縮比は低圧縮比に変更される。しかも、この低圧縮比側への変更状況では、シリンダブロック103に対して、燃焼圧と変速比切替ボックス120を経たサーボモータ112の伝達駆動力とが同じ側に作用するので、燃焼圧を受ける分だけより一層迅速に圧縮比を低圧縮比側に変更できる。この結果、圧縮比の低圧縮比化が求められる高負荷運転状況に運転状態が推移した際には、迅速な低圧縮比化によりノッキングを有効に回避できる。
【0050】
また、こうした低圧縮比側への変更と高圧縮比側への変更とで、サーボモータ112は、その回転方向の正逆制御と圧縮比変更に必要な回転制御を受けるに過ぎず、圧縮比変更方向に応じた特段の制御は不要である。しかも、高圧縮比側への変更状況では、サーボモータ112の回転駆動力を、大径ギヤ121と第1駆動ギヤ125で定まる変速比の高いトルクで、ウォーム111a,111b、引いてはカム軸109に伝達するので、大きな駆動力でシリンダブロック103を燃焼圧に抗して確実に上昇させて、圧縮比を高圧縮比に変更できる。
【0051】
こうしたことから、本実施例の可変圧縮比エンジン100によれば、サーボモータ112をほぼ定常の回転数で駆動制御しつつその正逆転制御を行うだけで、低圧縮比側への圧縮比変更の迅速化と、大きな駆動力による高圧縮比側への確実な圧縮比変更を両立することができる。この結果、サーボモータ112には、高いモータ動力特性や応答性および広範囲の回転数での回転特性が必要とされないので、サーボモータ112、延いてはウォームホイール110等を有する圧縮比変更機構を含めたエンジン周りの小型化を図ることができる。
【0052】
また、本実施例の可変圧縮比エンジン100は、圧縮比の高低変更に際して、ギヤとワンウェイクラッチを有する変速比切替ボックス120を用いればよいので、機器構成の簡略化を図ることができる。しかも、正逆方向のワンウェイクラッチ採用とモータの正逆回転制御で、カム軸109への駆動力の伝達状況を、圧縮比の変更状況に応じて変速比により容易に変更できるので、機器構成をより一層簡略化できる。
【0053】
次に、第2実施例について説明する。この実施例は、圧縮比変更をコンロッドの屈曲を経て行う点に特徴がある。図7は第2実施例に係る可変圧縮比エンジン200の構成を概略的に示す説明図である。
【0054】
図示するように、この可変圧縮比エンジン200は、シリンダブロック222とシリンダヘッド224を備え、そのシリンダ226にピストン228を組み込んで備える。ピストン228は、屈曲可能に構成されたコンロッド227を介してクランクシャフト229と連結され、シリンダ内でのピストン228の上下往復動は、コンロッド227を経てクランクシャフト229の回転運動に変換される。コンロッド227は、後述する圧縮比変更機構230を構成し、その屈曲程度の変更を経てピストン228の上死点位置および下死点位置を同時に変化させる。これにより、可変圧縮比エンジン200は、燃焼室容積を増減させ圧縮比を変更することができる。この詳細は後述する。
【0055】
次に、圧縮比変更のための構成について詳述する。図8はコンロッド227を含む圧縮比変更機構230を示す概略斜視図、図9はこの圧縮比変更機構230における駆動力の伝達の様子と圧縮比変更の様子を説明する説明図である。
【0056】
図8に示すように、圧縮比変更機構230は、コンロッド227を、ピストン228の側の第1コンロッド231と第2コンロッド232とを連結して構成する。第1コンロッド231は、その上部の小端部233で、ピストン228とピストンピン234により回動可能に連結されている。第2コンロッド232は、その下部の大端部235で、クランクシャフト229の図示しないクランクピンと回転可能に連結されている。また、この第1、第2の両コンロッドは、第1コンロッド下端側と第2コンロッド上端側でコンロッドピン236を介して互いに回動可能に連結されており、この連結箇所でリンク機構を構成している。
【0057】
第1コンロッド231は、下端側に突出部231aを備え、この突出部231aで、コントロールロッド237の一端側とピン238により回動可能に連結されている。コントロールロッド237は他端側に貫通孔237aを備え、この貫通孔237aには、コントロールシャフト239が回動可能に嵌合組み付けされている。そして、第1、第2の両コンロッドの連結箇所に構成されるリンク機構には、突出部231aやピン238も含まれ、コントロールロッド237は、このリンク機構に連結されていることになる。
【0058】
この他、圧縮比変更機構230はコントロールシャフトガイド240を有し、当該シャフトガイドをシリンダブロック222(図7参照)に回動可能に支持する。このコントロールシャフトガイド240は、その両端部と途中複数箇所に断面円形の軸受部241を備え、隣り合う軸受部241の間を、断面三日月形に切欠形成した連結部242とする。連結部242は、エンジンの気筒数と同じ数だけ用意され、各連結部の切欠領域243にコントロールシャフト239が位置するよう、このコントロールシャフト239はコントロールシャフトガイド240に嵌合・固定されている。つまり、コントロールシャフト239はコントロールシャフトガイド240の回動中心軸(中心軸)Xから偏心した位置に嵌合・固定される。よって、コントロールシャフトガイド240が回動することで、コントロールシャフト239は中心軸Yに対して揺動してその位置を変え、これによりコントロールロッド237はピン238を介して第1コンロッド231を第2コンロッド232に対して屈曲変位させる。こうしてコンロッド227が屈曲すると、その屈曲程度に応じてピストン228の上死点位置と下死点位置長は同時に変わり、可変圧縮比エンジン200は圧縮比を変更する。この場合、圧縮比変更、即ちコントロールシャフトガイド240の回動状況は、エンジンの運転状態に応じてECU(図示略)により制御される。
【0059】
なお、コントロールシャフト239が揺動する際に、コントロールロッド237が連結部242と干渉しないよう、連結部242は、その断面形状および寸法が設定されている。
【0060】
可変圧縮比エンジン200は、上記の圧縮比変更機構230においてコントロールシャフト239の揺動(即ち、圧縮比可変)を起こすため、図7および図9に示すように、そのアクチュエータとしてのサーボモータ112とウォームギア247を有する。また、可変圧縮比エンジン200は、既述した可変圧縮比エンジン100と同様、サーボモータ112とウォームギア247との間に変速比切替ボックス120を有する。
【0061】
ウォームギア247は、変速比切替ボックス120からのギヤ軸111cに連結されたウォーム248と、コントロールシャフトガイド240に連結された直結されたウォームホイール249とで構成される。従って、コントロールシャフトガイド240は、サーボモータ112の回転に伴って回転し、その回転方向と回転角はモータ制御により定まる。この際、サーボモータ112の回転駆動力は変速比切替ボックス120により第1実施例の可変圧縮比エンジン100と同様に伝達される。
【0062】
サーボモータ112の回転駆動力が変速比切替ボックス120を経てウォーム248に伝達され、当該ウォームが回転すると、コントロールシャフトガイド240はこの回転程度に応じた角度だけ回転し、既述したように、コントロールシャフト239とコントロールロッド237を変位させる。このコントロールロッド237の変位によりコンロッド227の屈曲状態が定まり、エンジンの圧縮比εが変化する。本実施例では、コントロールシャフト239は、コントロールシャフトガイド240の中心軸Y周りに略3時の方向から略6時の方向の90°の範囲で変位可能であり、6時の方向ほど圧縮比εが高くなるように設定されている。この回転方向は、可変圧縮比エンジン100と同様、サーボモータ112の回転方向で定まり、変速比切替ボックス120の有する既述したギヤ構成から、モータの回転駆動力の伝達トルクについても高圧縮比側への変更状況で大きくなる。
【0063】
次に、上記したコンロッド屈曲タイプの可変圧縮比エンジン200における燃焼室燃焼圧とサーボモータ112から伝達される駆動力の関係について説明する。図10は第2実施例に係る可変圧縮比エンジン200の要部を模式的に示すと共に高圧縮比・低圧縮比の状況下での作動状況を説明する説明図である。
【0064】
図10に示すように、可変圧縮比エンジン200の圧縮比が高圧縮比にある場合では、コントロールシャフト239は、ウォームホイール249、延いてはコントロールシャフトガイド240の中心軸Y周りに略8時の方向に位置する。そして、図示するようにピストン228が上死点にある状況下では、コンロッド227は、ピストン228におけるピストンピン234の中心を通る鉛直線から角度θだけ第1コンロッド231を反時計方向に位置させる。よって、第1、第2のコンロッドを連結するコンロッドピン236は上記の鉛直線の右側に位置し、第2コンロッド232は、このコンロッドピン236からクランクシャフト229のクランクピン229aに向けて屈曲して延びている。
【0065】
一方、可変圧縮比エンジン200の圧縮比が低圧縮比にある場合では、コントロールシャフト239は図示する略5時の方向に位置してコンロッドピン236を図中右方向に位置変位させる。よって、第1コンロッド231は、高圧縮比の場合より大きな角度θをなして反時計方向に位置し、これに伴い、第2コンロッド232は、図示するピストン228の上死点の状況下において、より屈曲して図示するような位置関係を採る。
【0066】
コントロールシャフト239並びに第1コンロッド231、コンロッドピン236等が上記位置関係にあると、燃料の燃焼圧は、ピストン228を押し下げよる力(ピストン押下力PF)として作用する。このピストン押下力PFは、ピストンピン234の中心を通る鉛直線方向に沿った力であり、第1コンロッド231の軸に沿った分力Fとピストン周壁に向かうピストンサイドフォース(図示略)に分解される。この分力Fは、コンロッドピン236において第1コンロッド231のほぼ延長線にそった方向の力となり、第2コンロッド232の軸に沿った分力Tと、コントロールロッド237の軸に沿った分力Sに分解される。この分力Sは、図示するように、コンロッドピン236がピストンピン234の中心を通る鉛直線の右方にある限りにおいては、コントロールロッド237を引っ張る側に、このコントロールロッド237に対して作用する。
【0067】
燃焼圧によるピストン押し下げによりクランクシャフト229は回転し、コンロッドピン236がピストンピン234の中心を通る鉛直線の左方に位置することになる。よって、ピストン押下力PFが作用したままであるならば、分力Sはコントロールロッド237を押し戻す側の力となる。しかしながら、上記のピストン押下力PFは、膨張行程の直前から徐々に上昇して燃料爆発時にピークとなり、膨張行程の後半ではほぼ消失する。このため、コンロッドピン236が上記鉛直線の左方に位置変位しても、コントロールロッド237が分力Sにより押し戻されようとする事態は、実質的に起きない。
【0068】
圧縮比を高圧縮比の側から低圧縮比の側に変更する状況では、可変圧縮比エンジン200は、図10の高圧縮比状態にあり、圧縮比変更機構230は、サーボモータ112(図9参照)の回転駆動力の伝達をウォームギア247を経て受け、コントロールシャフトガイド240を図中矢印HYの方向に回転させる。この回転駆動力を受けるコントロールロッド237は、コンロッドピン236を図10の低圧縮比状態に示すように位置変位させる。
【0069】
こうしたコンロッドピン236の位置変位の際には、ピストン228に作用する燃焼圧によるピストン押下力PFの分力Sも、既述したようにコントロールロッド237にこれを引っ張る側に作用する。この分力Sが作用する方向は、コントロールシャフトガイド240(ウォームホイール249)を矢印HYの方向に回転させようとする向きに合致する。よって、サーボモータ112によるウォームホイール249の駆動力と分力Sによるコントロールロッド237の引っ張り力とが、ウォームホイール249に対して略同じ回転方向の力として作用する。このため、この第2実施例にあっても、高圧縮比の側から低圧縮比に圧縮比変更を行う際には、燃焼圧を圧縮比変更のための駆動力として補助的に用いることができる。
【0070】
以上説明した第2実施例の可変圧縮比エンジン200であっても、既述した可変圧縮比エンジン100と同様、圧縮比制御を実行する上記したECU160の他、種々のセンサを備え、図4、図5で説明したようにエンジンの運転状況に応じて圧縮比を種々変更する。よって、この第2実施例によっても、変速比切替ボックス120を用いてサーボモータ112から圧縮比変更機構230に駆動力を伝達すると共に、サーボモータ112の正逆回転制御を通した圧縮比の高低変更を行うので、第1実施例と同様の既述した効果(例えば、構成の簡略化等)を奏することができる。
【0071】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0072】
例えば、上述した第1実施例においては、カム部109b−シリンダブロック103、可動軸受部109c−ロアケース104の組み合わせで圧縮比変更機構を構築したが、カム部−ロアケース、可動軸受部−シリンダブロックの組み合わせで圧縮比変更機構を構築しても良い。また、カム部109bの形状は正円であることが好ましいが、正円でなくでも機能し得る。例えば、上述した実施例において、長径がカム部109bと同じ長さを有する楕円や卵形をしていても機能し得る。
【0073】
さらに、第1実施例のタイプの可変圧縮比エンジンにあっては、V型エンジンにも容易に適用できる。この場合、各バンク毎に上述した一対のカム軸を配置しても良いし、両バンクの基部に一対のカム軸を配置して、両バンクによって形成される中心角の中央方向にV型のバンク全体をスライドさせて圧縮比を変えてもよい。
【0074】
また、モータ駆動力を圧縮比変更機構に伝達するに当たり、正逆のワンウェイクラッチを併用した変速比切替ボックス120を採用し、モータを正逆回転制御する例について説明したが、次のようにすることもできる。
変速比切替ボックス120に代わり、リバースギヤ機構と正転・逆転時で変速比を切り換えるギヤ機構を有するギヤボックスを採用し、サーボモータを一方方向に定常運転するようにすることもできる。或いは、正逆方向の回転を同じ電力で起こす際に、正逆方向で発生トルクが相違するリラクタンスモータを用いれば、高圧縮比側への変更時には大きなトルクを発生し、低圧縮比側への変更時には小さなトルクで高速回転するようにできる。この場合には、変速比切替ボックス等は不要であり、モータの正逆回転制御だけで済む。
【0075】
更に、コンロッド屈曲タイプの第2実施例の可変圧縮比エンジン200にあっては、コンロッドの屈曲の様子を、次のように変形することもできる。図11は変形例の可変圧縮比エンジン200Aの要部を模式的に示すと共に高圧縮比・低圧縮比の状況下での作動状況を説明する説明図である。
【0076】
図示するように、この変形例では、可変圧縮比エンジン200Aの圧縮比が高圧縮比にある場合では、コンロッド227は、ピストン228におけるピストンピン234の中心を通る鉛直線から角度θだけ第1コンロッド231を時計方向に位置させ、コンロッドピン236をこの鉛直線の左側に位置させている。よって、既述した分力Sは、コントロールロッド237をコントロールシャフトガイド240の側に押し戻す方向に作用する。しかしながら、この変形例では、コントロールシャフト239は、高圧縮比で略5時方向に位置し、低圧縮比で略7時方向に位置し、高圧縮比から低圧縮比への変更時には、図中矢印HYのように回転駆動する。従って、この変形例にあっても、燃焼圧によるピストン228に作用するピストン押下力PFの分力Sがコントロールロッド237に作用する方向は、低圧縮比側へのコントロールシャフトガイド240(ウォームホイール49)の回転向きに合致する。このため、コンロッドピン236等が図11に示すような位置関係を採っても、高圧縮比の側から低圧縮比に圧縮比変更を行う際には、燃焼圧を圧縮比変更のための駆動力として補助的に用いることができるので、既述した実施例と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例に係る可変圧縮比エンジン100の概略分解斜視図である。
【図2】 この可変圧縮比エンジン100の概略構成を一部分解斜視図を含めて示す概略斜視図である。
【図3】 可変圧縮比エンジン100にて圧縮比を変更する際の機器駆動の様子を説明する説明図である。
【図4】 可変圧縮比エンジン100の圧縮比変更制御に関与する機器構成を概略的に説明するブロック図である。
【図5】 圧縮比変更制御を示すフローチャートである。
【図6】 圧縮比制御の内容を説明するための説明図である。
【図7】 第2実施例に係る可変圧縮比エンジン200の構成を概略的に示す説明図である。
【図8】 コンロッド227を含む圧縮比変更機構230を示す概略斜視図である。
【図9】 この圧縮比変更機構230における駆動力の伝達の様子と圧縮比変更の様子を説明する説明図である。
【図10】 第2実施例に係る可変圧縮比エンジン200の要部を模式的に示すと共に高圧縮比・低圧縮比の状況下での作動状況を説明する説明図である。
【図11】 変形例の可変圧縮比エンジン200Aの要部を模式的に示すと共に高圧縮比・低圧縮比の状況下での作動状況を説明する説明図である。
【符号の説明】
100…可変圧縮比エンジン
102…シリンダ
103…シリンダブロック
104…ロアケース
105…カム収納孔
106…ボルト
107…キャップ
108…軸受収納孔
109…カム軸
109a…軸部
109b…カム部
109c…可動軸受部
109d…取付部
110…ウォームホイール
111a,111b…ウォーム
111c…ギヤ軸
112…サーボモータ
115…クランクシャフト
120…変速比切替ボックス
121…大径ギヤ
122…第1ワンウェイクラッチ
123…小径ギヤ
124…第2ワンウェイクラッチ
125…第1駆動ギヤ
126…第2駆動ギヤ
161…スロットルセンサ
162…アクセルセンサ
163…回転数・クランク角センサ
164…モータ回転角センサ
200,200A…可変圧縮比エンジン
222…シリンダブロック
224…シリンダヘッド
226…シリンダ
228…ピストン
227…コンロッド
229…クランクシャフト
229a…クランクピン
230…圧縮比変更機構
231…第1コンロッド
232…第2コンロッド
233…小端部
234…ピストンピン
235…大端部
236…コンロッドピン
231a…突出部
237…コントロールロッド
238…ピン
237a…貫通孔
239…コントロールシャフト
240…コントロールシャフトガイド
241…軸受部
242…連結部
243…切欠領域
247…ウォームギア
248…ウォーム
249…ウォームホイール
PF…ピストン押下力
Claims (4)
- 圧縮比変更のための回転駆動力を発生する駆動源と、該回転駆動力を伝達する際の伝達トルクを変えて前記回転駆動力の伝達が可能な伝達手段と、該伝達手段からの伝達駆動力を受けて圧縮比変更のために燃焼室の容積を可変するよう前記燃焼室の軸方向に駆動可能とされ、前記圧縮比変更に際して、高圧縮比から低圧縮比側への圧縮比変更の際の前記伝達駆動力を、前記燃焼室の軸方向に作用する燃焼室内の燃焼圧と同じ向きに前記伝達手段から受けて駆動し、低圧縮比から高圧縮比側への圧縮比変更の際の前記伝達駆動力を、前記燃焼圧が作用する軸方向の向きと逆の向きに前記伝達手段から受けて駆動する圧縮比変更機構とを備えるエンジンの圧縮比を変更する方法であって、
前記圧縮比を低圧縮比から高圧縮比に変更する高圧縮比化状況では、前記駆動源の回転駆動力を、前記圧縮比を高圧縮比から低圧縮比に変更する低圧縮比化状況よりも高いトルクで前記圧縮比変更機構に前記伝達駆動力として伝達する、エンジンの圧縮比変更方法。 - エンジンの圧縮比を変更可能なエンジンであって、
圧縮比変更のための回転駆動力を発生する駆動源と、
該回転駆動力を伝達する際の伝達トルクを変えて前記回転駆動力の伝達が可能な伝達手段と、
該伝達手段からの伝達駆動力を受けて圧縮比変更のために燃焼室の容積を可変するよう前記燃焼室の軸方向に駆動可能とされ、前記圧縮比変更に際して、高圧縮比から低圧縮比側への圧縮比変更の際の前記伝達駆動力を、前記燃焼室の軸方向に作用する燃焼室内の燃焼圧と同じ向きに前記伝達手段から受けて駆動し、低圧縮比から高圧縮比側への圧縮比変更の際の前記伝達駆動力を、前記燃焼圧が作用する軸方向の向きと逆の向きに前記伝達手段から受けて駆動する圧縮比変更機構とを備え、
前記駆動源の回転駆動力を前記圧縮比変更機構に前記伝達駆動力として伝達するに当たり、前記圧縮比を低圧縮比から高圧縮比に変更する高圧縮比化状況では、前記圧縮比を高圧縮比から低圧縮比に変更する低圧縮比化状況よりも高いトルクで伝達するよう、前記伝達手段を制御する、可変圧縮比エンジン。 - 請求項2記載の可変圧縮比エンジンであって、
前記伝達手段は、前記駆動源の回転駆動力を変速比を変えて伝達する可変速伝達機器を備え、該可変速伝達機器を、変速比が前記高圧縮比化状況では前記低圧縮比化状況よりも大きくなるよう、制御する、可変圧縮比エンジン。 - 請求項3記載の圧縮比可変エンジンであって、
前記駆動源は、正逆方向の回転駆動力を発生可能とされ、
前記可変速伝達機器は、前記回転駆動力を正回転方向と逆回転方向に選択してそれぞれ伝達する第1、第2のワンウェイクラッチと、各ワンウェイクラッチに対応して設けられ、異なる変速比で前記回転駆動力を伝達する第1、第2のギヤとを備え、
前記伝達手段は、前記駆動源の回転駆動力方向を、前記高圧縮比化状況では前記変速比が大きい側の回転方向とし、前記低圧縮比化状況では前記変速比が小さい側の回転方向となるように、前記駆動源を駆動制御する、可変圧縮比エンジン。
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---|---|---|---|
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