JP2004339220A - 免疫を増強するための医薬組成物、およびポリア抽出物 - Google Patents

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Abstract

【課題】人体の免疫を増強するための医薬組成物の提供。
【解決手段】サルノコシカケ科マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の菌核からアルコール抽出、液状抽出物を濃縮、シリカゲルカラムクロマト処理し、活性成分として化学式1に示したラノスタン化合物を5〜60質量%含有する経口投与の医薬組成物である。前記抽出物において、免疫の増強を阻害しうるセコラノスタンの含有量は、ラノスタン化合物の全量に対して5質量%未満である。
Figure 2004339220

(式中、Rは、HまたはCHを、Rは、OCOCH等を、R,Rは、HまたはOHを、Rは、−C(=CH)−C(CHを示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、免疫を増強するための有効活性成分としてラノスタンを含有する医薬組成物に関する。本発明はさらに、免疫増強を目的とする、ポリア(Poria)、特にマツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の抽出物に関する。
ポリア(Poria)、特にマツホド(Poria cocos(Schw)Wolf;サルノコシカケ科)の抽出物(以下、ポリア(Poria)抽出物とも称する)は、強壮作用に加えて、胃腸障害に対する平滑作用を有する。漢方医学によれば、前記ポリア抽出物は精神安定剤および排尿促進剤に分類されている。さらに、ポリア抽出物は、生命活動のための漢方処方の必須成分として用いられている。ポリア抽出物の薬理作用に関して近年なされている研究および実験によれば、ポリア抽出物は、腫瘍の予防に好ましい作用を示し、さらに、慢性疾患に悩む患者の免疫の増強および胃腸系に対して有益であることがわかっている。
一例を挙げると、特許文献1および2には、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の培養された菌糸から得られ、腫瘍の予防に有効な抽出物が開示されている。特許文献3には、腫瘍の予防に用いるための、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)から直接得られる抽出物が開示されている。特許文献4には、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)をメタノールを用いて抽出することにより得られる抽出物が開示されている。前記抽出物を分離することにより、ラノスタン(lanostane)およびセコラノスタン(secolanostane)のようなトリテルペン化合物が得られ、鎮吐薬として用いられる。特許文献5には、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)をメタノールを用いて抽出することにより得られるトリテルペン化合物が開示されている。この化合物は、腫瘍促進の阻害剤として有用である。特許文献6には、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の抽出物が開示されており、前記抽出物を精製することによって、炎症および腫瘍促進の阻害剤として用いるためのトリテルペン化合物を得ている。
特許文献7には、トリテルペン化合物を含むポリア抽出物の製造方法が開示されている。前記製造方法は、酸性アルコールを用いてポリア粉末を抽出し、塩基溶液を用いて抽出物を中和し、中和された溶液を濃縮し、前記溶液のpHを約10に調整し、さらにこの溶液を濾過し、濾液を酸性とすることにより沈殿を得て、濾過した後に前記沈殿を洗浄し、最後に洗浄された沈殿を乾燥する工程を含んでいる。このようにして得られたポリア抽出物は、腫瘍予防効果および免疫活性化効果を有することが知られている。
特開昭55−111791号公報 特開昭57−38794号公報 特開昭55−111422号公報 特開平8−119864号公報 特開平9−25232号公報 特開平9−176184号公報 中国公開特許第1008183号公報
本発明の目的は、哺乳動物の免疫を増強しうる有効成分としてラノスタンを含有する医薬組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、ラノスタンを含有するマツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)抽出物の調製方法、および、前記有効成分を含有するポリア抽出物を提供することである。
本発明は、治療上有効な量の、活性成分としての下記化学式1で示されるラノスタンと、前記活性成分のための薬学的に許容できる担体または希釈剤とを含む、哺乳動物の免疫を増強しうる医薬組成物である:
Figure 2004339220
(式中、Rは、HまたはCHを示し、Rは、OCOCH、C=OまたはOHを示し、Rは、HまたはOHを示し、Rは、−C(=CH)−C(CH(この際、Rは、HもしくはOHを示す)または−CH=C(CH)−R(この際、Rは、CHもしくはCHOHを示す)を示し、Rは、HまたはOHを示し、および、Rは、CHまたはCHOHを示す。)
また本発明は、抽出物の全量に対して、前記化学式1で示されるラノスタンの含量が5〜60質量%であり、哺乳動物の免疫を増強しうるポリア(Poria)抽出物である。
さらに本発明は、哺乳動物の免疫を増強するための医薬の製造における、下記化学式1で示されるラノスタンの使用である。
また本発明は、哺乳動物の免疫を増強するための医薬の製造における、本発明のポリア(Poria)抽出物の使用である。
本発明によれば、脾細胞に対して毒性を示さず、哺乳動物の免疫を増強しうる、医薬組成物およびポリア(Poria)抽出物が提供される。また本発明によれば、哺乳動物の免疫を増強するための、ポリア(Poria)抽出物の製造方法が提供される。本発明の製造方法によれば、所望のラノスタンを高い含有量で含み、細胞に悪影響を及ぼすセコラノスタンをほとんど含まないポリア抽出物が製造されうる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみには制限されない。
本発明は、哺乳動物の免疫を増強しうる医薬組成物を提供する。前記組成物は、治療上有効な量の、活性成分としての下記化学式1で示されるラノスタンと、前記活性成分のための薬学的に許容できる担体または希釈剤とを含む:
Figure 2004339220
(式中、Rは、HまたはCHを示し、Rは、OCOCH、C=OまたはOHを示し、Rは、HまたはOHを示し、Rは、−C(=CH)−C(CH(この際、Rは、HもしくはOHを示す)または−CH=C(CH)−R(この際、Rは、CHもしくはCHOHを示す)を示し、Rは、HまたはOHを示し、および、Rは、CHまたはCHOHを示す。)
前記化学式1で示されるラノスタンは、マツホドの抽出物(ポリア抽出物)中に含まれる。このラノスタンは比較的低極性の画分であり、主要な化合物であるK1、K2、K3およびK4と、微量のK4a、K4b、K5、K6a、およびK6bを含む。これらのうち、化合物K1、K2、K3、およびK4が、免疫増強作用を有する。
ここで、主要な化合物である前記K1〜K4化合物の構造は以下の通りである:
Figure 2004339220
また、微量成分である前記K4a、K4b、K5、K6a、およびK6b化合物の構造は以下の通りである:
Figure 2004339220
前記K1〜K6化合物は、粗抽出物を得る、従来の抽出工程を利用することにより、マツホドから得られる。一例を挙げると、ラノスタン画分およびセコラノスタン画分を含む前記粗抽出物中の成分を分離するためには、クロマトグラフィによる分離が用いられうる。前記ラノスタン画分の極性は、前記セコラノスタン画分と比較して相対的に低い。このため、前記ラノスタン画分は、ジクロロメタンおよびメタノールからなる溶離液(96:4(体積比))を用いて得られるのに対し、前記セコラノスタン画分は、ジクロロメタンおよびメタノールからなる溶離液(90:10または0:100(体積比))を用いて得られる。前記ラノスタン画分の位置は、薄層クロマトグラフィにより同定され、展開溶液としてジクロロメタンおよびメタノールの混合溶液(96:4(体積比))を用いた場合、前記ラノスタン画分の有するRf値は0.1以上である。一方、前記セコラノスタン画分の有するRf値は、0.1未満である。さらに、ジクロロメタンおよびメタノールからなる溶離液(97:3〜95:5(体積比))を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、前記ラノスタン画分は種々のラノスタン化合物へと分離される。
本発明の方法によれば、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)1kgから2.6gのPCMが得られる。前記特許文献7に記載の方法では、1kgのマツホドから得られる粗抽出物は3gである。この粗抽出物を本発明の方法により精製すると、得られるPCMはたった1gである。このように、詳細は後述するが、本発明によれば、ラノスタンを高い含有量で含むポリア抽出物が提供される。
また、本発明者らは、中国において栽培されている、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)を用い、中国公開特許第1008183号公報に開示されている実施例を反復実施した。酸による抽出およびアルカリ/酸処理により、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)1kgから3gの粗ポリア抽出物を得た。これは、前記文献に開示されている範囲(2.5g±0.5g)と一致している。さらに分離した結果、精製ラノスタン化合物を400mg得た。換言すると、前記文献に開示された方法により得られた抽出物は、約13%のラノスタン画分と、87%の、セコラノスタン画分および他の未同定成分からなる抽出物とを含む。
さらなる実験の結果、本発明者らは、前記ラノスタン画分はラット脾細胞に対して毒性を示さず、薬理学的に有効であることを見出した。しかしながら、前記セコラノスタン画分は、ラット脾細胞に対して毒性を示すことを見出した。
以下、本発明の医薬化合物およびポリア抽出物について、より詳細に説明する。
本発明は、哺乳動物の免疫を増強しうる医薬組成物を提供する。前記組成物は、治療上有効な量の、活性成分としての下記化学式1で示されるラノスタンと、前記活性成分のための薬学的に許容できる担体または希釈剤とを含む:
Figure 2004339220
(式中、Rは、HまたはCHを示し、Rは、OCOCH、C=OまたはOHを示し、Rは、HまたはOHを示し、Rは、−C(=CH)−C(CH(この際、Rは、HもしくはOHを示す)または−CH=C(CH)−R(この際、Rは、CHもしくはCHOHを示す)を示し、Rは、HまたはOHを示し、および、Rは、CHまたはCHOHを示す。)
なお、Rは通常は1価の官能基であるが、上述の化合物K3のように、RがC=Oを示す場合には、Rの結合している炭素原子に結合する水素原子が脱離し、Rの結合および前記水素原子の脱離に伴う結合の双方が、C=Oを形成するための二重結合に関与する。
前記化学式1において、Rは、好ましくはHであり、Rは、好ましくはOHであり、Rは、好ましくは−C(=CH)−C(CH(この際、Rは、好ましくはHである)であり、Rは、好ましくはHであり、Rは、好ましくはCHである。
また、前記化学式1には、連続する4個の炭素原子にわたる、点線で示される3本の結合が示されているが、これは、上述のK1およびK2のそれぞれの主成分のように、前記連続する4個の炭素原子の2番目と3番目の炭素原子、すなわち2つの六員の縮合に関与している2個の炭素原子間に二重結合が存在する形態と、上述のK1およびK2の微量成分並びにK3〜K6(K6bを除く)のように、前記連続する4個の炭素原子の、1番目および2番目の炭素原子間、並びに3番目および4番目の炭素原子間に二重結合が存在する形態との双方を含む概念である。
本発明に係る医薬組成物は、1種または2種以上のラノスタン化合物を含有する。好ましくは、前記組成物は、前記組成物の全量に対して、前記ラノスタンを0.1〜60質量%含有する。また、本発明の医薬組成物において、好ましくは、セコラノスタンの含有量は、前記ラノスタンの含有量の5質量%未満である。かような形態によれば、脾細胞に対して毒性を示す虞のあるセコラノスタンの含有量が低減されているため、ラノスタンによる免疫増強効果がより一層向上しうる。
本発明の医薬組成物に含有される薬学的に許容できる担体または希釈剤は、特に制限されず、従来公知の形態が適宜採用されうる。担体としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、澱粉等の保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の潤沢剤等が挙げられる。また、希釈剤としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。なお、これらの担体および希釈剤はあくまでも例示であり、これらには全く制限されない。
本発明の医薬組成物は、常法に従い、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、着色剤、pH緩衝剤、防腐剤、ゲル化剤、界面活性剤、コーティング剤等、医薬の製剤分野において通常使用し得る公知の補助剤を用いて製剤化されうる。また、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤、他の医薬等と混合されてもよい。
本発明の医薬組成物は、ヒト又はヒト以外の動物に対し、経口または非経口により安全に投与され、免疫を調節または増強しうる。好ましくは、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等の形態で経口投与されうる。ただし、経皮投与や皮下投与の形態で非経口により投与されてもよい。また、従来公知の手法により徐放剤の形態とされてもよい。
本発明において、「哺乳動物」としては、特に制限されず、例えばヒト、サル、マウス、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギおよびラット等が例示される。なかでも、ヒト、サル並びに、イヌおよびネコ等の愛玩動物、モルモット、ウサギおよびラット等の実験動物がより好ましく、ヒトが特に好ましい。
本発明はまた、哺乳動物の免疫を増強しうるポリア抽出物を提供する。前記抽出物は、前記抽出物の全量に対して、前記化学式1で示されるラノスタンを5〜60質量%、好ましくは10〜20質量%含有する。また、本発明のポリア抽出物において、好ましくは、セコラノスタンの含有量は、前記ラノスタンの含有量の5質量%未満である。上述したように、かような形態によれば、ラノスタンによる免疫増強効果がより一層向上しうる。
本発明は、前記ポリア抽出物の製造方法をも提供する。前記製造方法ではまず、マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の菌核を、水、メタノール、エタノールまたはこれらの混合溶媒により抽出して液状抽出物を得る。この際、マツホドの菌核は、例えば、従来公知の漢方薬であるブクリョウとして得られ、粉砕して粉末として用いるとよい。ここで、菌核とは、菌糸が集まって生じた塊であり、通常は硬く黒色である。また、菌核には、菌糸に加えて、菌糸の代謝物および発酵産物が含まれていてもよい。次いで、前記液状抽出物を濃縮して濃縮物を得る。なお、本発明において「濃縮」は、例えば、液状物を加熱または真空乾燥することにより行われ、前記液状物の質量がほとんど低下しなくなる程度まで行われれば充分である。
さらに、前記濃縮物をシリカゲルカラムに導入し、低極性溶離液を用いて溶出する。その結果生成した溶出液を回収する。前記溶出液は濃縮されて濃縮溶出液とされる。ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(96:4(体積比))を用いて展開し、紫外線ランプおよびヨウ素蒸気を用いて検出する際の、前記濃縮溶出液の薄層クロマトグラフィによるRf値は、好ましくは0.1以上である。
本発明の製造方法において、抽出は、エタノール水溶液、特に好ましくは95%エタノールを用いて行われることが好ましい。その他の抽出条件は特に制限されず、従来公知の知見が適宜参照されうる。
上記の調製方法において、好ましくは、前記濃縮物を、メタノールおよびn−ヘキサンを1:1の体積比で含む二相溶媒を用いてさらに抽出する。この際、目的とするラノスタンは、メタノール層に移行することから、この二相溶媒抽出混合物からメタノール層を分離し、さらにこのメタノール層を濃縮して濃縮液とし、前記濃縮液をシリカゲルカラムに導入する。
前記低極性溶離液は、ジクロロメタンおよびメタノールを、好ましくは97:3〜95:5、より好ましくは97:3〜96:4、特に好ましくは96.5:3.5の体積比で含む混合溶媒である。
このような工程により調製される抽出物は、前記化学式1で示されるラノスタンを、抽出物の全量に対して10〜20質量%という高い含有量含み、かつ、セコラノスタンをほとんど含まない。
前記ラノスタンは、好ましくは、下記化学式2〜5の少なくとも一で示される:
さらに本発明は、哺乳動物の免疫を増強するための医薬の製造における、下記化学式1で示されるラノスタンの使用である。ここで、前記ラノスタンは、前記化学式2〜5の少なくとも一で示される化合物であることが好ましい。
また本発明は、哺乳動物の免疫を増強するための医薬の製造における、本発明のポリア(Poria)抽出物の使用である。
実施例
図1に示すように、30kgの中国産マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)からポリア(Poria)粉末を調製した。120Lの95%エタノールを用いて、前記ポリア粉末を24時間抽出した。得られた混合物を濾過し、濾液を得た。残渣をさらに3回抽出および濾過した。全ての濾液を合わせ、濃縮して、265.2gの乾燥抽出物を得た。二相抽出剤(95%メタノール:n−ヘキサン=1:1)を用いて前記乾燥抽出物を分配抽出して、メタノール層を分取し、前記メタノール層を濃縮して246.9gの乾燥固形物を得た。前記乾燥固形物の10〜40倍の質量のシリカゲルが充填されたシリカゲルカラムを用いて、前記乾燥固形物の分離を行った。前記シリカゲルは、粒径が70〜230メッシュであり、Merck社製(シリカゲル60)であった。次いで、ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(96:4(体積比))と、ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(90:10(体積比))と、100%メタノールとをこの順に溶離液として用いて、前記シリカゲルカラムを溶出した。溶出液の確認は薄層クロマトグラフィ(TLC)により行い、この際、展開溶媒としてはジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(96:4(体積比))を用い、検出には紫外線ランプおよびヨウ素蒸気を用いた。TLCにおいて同様の成分を有することが確認された溶出液どうしを合わせた。
ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(96:4(体積比))を用いた溶出により、比較的低極性の画分(本明細書中「PCM」とも称する)を、78g得た。前記PCMは、薄層クロマトグラフィにおいて微量のポイントが6箇所確認された。また、ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(90:10(体積比))並びに100%メタノールを用いた溶出により得られた溶出液を混合し、前記PCMよりも比較的高極性の画分(本明細書中「PCW」とも称する)を、168g得た。
前記PCMを、ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(96.5:3.5(体積比))並びにシリカゲルカラムを用いてさらに分離した。ここで得られた溶出液は、薄層クロマトグラフィにより3個の画分として回収され、前記画分は、それぞれ、K1(Rf=0.64)、PCM−1(微量のK1、K3(Rf=0.55)およびK5(Rf=0.49)を含有)、並びにPCM−2(K2(Rf=0.30)、K4(Rf=0.24)およびK6(Rf=0.19)を含有)であった。さらに、前記K1画分を、カーボン−18カラムおよびメタノール−水(90:10(体積比))の移動相を用いた高速液体クロマトグラフィ(HPLC)に供した。その結果、3.0gのK1成分を得た。
上記と同様のHPLCおよびメタノール−水(87:13(体積比))の移動相を用いて、前記PCM−1画分を、K3成分、K5成分、および微量のK1成分に分離した。同様のHPLCおよびメタノール−水(84:16(体積比))の移動相を用いて前記K3成分をさらに精製し、1.93gのK3成分を得た。また、同様のHPLC並びにメタノール−水(93:7(体積比)および91:9(体積比)をこの順)の移動相を用いて前記K5画分をさらに精製し、47.6mgのK5成分を得た。
上記と同様のHPLCおよびメタノール−水(87:13(体積比))の移動相を用いて、前記PCM−2画分を、K6微量成分(K6a+K6b)、K4微量成分(K4a+K4b)、K2成分、およびK4成分に分離した。同様のHPLCおよびメタノール−水(84:16(体積比))の移動相を用いて、前記K2成分および前記K4成分をさらに精製し、6.2gのK2成分および0.55gのK4成分を得た。
上記と同様のHPLCおよびCHCN−水(68:32(体積比))の移動相を用いて、前記K6微量成分をさらに精製し、21.4mgのK6a成分および90.7mgのK6b成分を得た。また、同様のHPLCおよびメタノール−水(76:24(体積比))の移動相を用いて、66.0mgのK4a成分および86.8mgのK4b成分を得た。
図1からわかるように、本発明のポリア抽出物(PCM(78g)に相当)中の、ラノスタン(K1〜K6(合計約12g)に相当)の含有量の割合は、12/78×100=約15.4質量%である。
なお、本実施例において得られたK1〜K6成分の構造は以下の通りである:
Figure 2004339220
また、上記のK1〜K6成分の分析データは以下の通りである:
Figure 2004339220
Figure 2004339220
Figure 2004339220
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参考例
2kgの中国産マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)からポリア粉末を調製した。中国公開特許第1008183号公報に記載の方法を用いて、図2に示すように、6.0gの粗抽出物を得た。前記実施例と同様の手法により、前記粗抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィに供し、ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(96:4(体積比))で溶出して2.0gのPCM−E画分を得、さらにジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(90:10(体積比))並びに100%メタノールで順に溶出して2.3gのPCW−E画分を得た。
本参考例において調製された前記PCM−Eおよび前記PCW−Eを、一日あたり40mg/kgの量で動物に投与し、前記動物の脾細胞(免疫細胞)の増殖に対するこれら2つの画分の効果を確認した。前記動物の脾細胞の増殖が仮に促進されれば、この動物の免疫系は増強されており、逆に前記動物の脾細胞の増殖が阻害されれば、前記免疫系は悪影響を受けている、すなわち、前記脾細胞は毒性により死滅しているということになる。
前記脾細胞をインビトロで5日間培養し、MTT分析により細胞増殖を比較した。この際、前記MTT分析は以下に示す免疫学的研究法により行った。結果を以下の表12に示す。マウスの脾臓の細胞増殖は、PCM−Eの経口投与後3日目および4日目には明らかに促進されていた。統計的見地からは、対照群と実験群との間では細胞増殖に差は見られなかった。しかしながら、生存しているマウス脾細胞の数は、対照群と比較して、PCW−Eの経口投与後3日目および4日目には明らかに減少していた。言い換えれば、実験群の脾臓の細胞増殖は、対照群と比較して明らかに弱っていた。これは、PCW−Eが毒性を有するということを意味する。
これに対し、ラノスタン含有低極性画分であるPCMは、脾臓の細胞増殖に対して阻害作用を示さないことが予想される。前記PCM画分はむしろ、脾臓の細胞増殖に対して促進作用を示す。また、セコラノスタン含有高極性画分(Rf<0.1)は、脾臓の細胞増殖に対して阻害作用を示す。本発明のポリア抽出物は、前記セコラノスタン画分(PCW−E)を含有しない。その一方で、従来の方法により得られたポリア抽出物は、脾臓の細胞増殖を阻害しうるPCW−Eを含有する。
Figure 2004339220
上記の実施例および参考例の結果の比較から、以下の2点が示される。
・マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の有効成分はラノスタン含有低極性画分であり、これは人体の免疫系を増強しうる。
・マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の促進成分を阻害成分から分離する目的で、シリカゲル薄層クロマトグラフィおよびシリカゲルカラムクロマトグラフィが用いられうる。
本発明の方法により得られるポリア抽出物は、阻害成分を実質的に含有しない。ここで、前記阻害成分とは、高極性画分であるPCW−Eに含まれるセコラノスタンおよび高極性分子である。このため、本発明の方法は、従来の方法と比較して優れている。
インビボ実験例
PCM−EおよびPCW−Eを動物に経口投与することにより、動物実験を行った。言い換えると、PCM−EおよびPCW−Eの投与を、インビトロではなくインビボで行った。これは、脾細胞に対する医薬化合物のインビトロの研究では、細胞代謝と医薬化合物との間の相互作用がなく、脾臓の細胞増殖に対する医薬化合物の実際の効果が反映されないためである。これにより、本発明は信頼性が高く、有意義であることが容易に示される。
本発明の方法により調製されたクロマトグラフィによるポリア抽出物、および前記ポリア抽出物から精製された化合物を、以下に示す種々の免疫応答実験により試験した。実施例1において得られた、ポリア抽出物のPCM画分、およびそこから精製されたラノスタン化合物K1、K2、K3、およびK4は、下記の表2および表10に示すように、以下の免疫応答試験において、免疫細胞(T細胞/B細胞)に対して免疫増強活性を示し、K1、K2、K3、およびK4化合物は、2.5または5.0mg/kg未満の量で有効であった。
実験
実験動物
全ての実験を通して、6〜8週齢のBALB/cマウスを用いた。このマウスは、財団法人国家実験研究院国家実験動物センター(National Laboratory Animal Center,Taipei,Taiwan)より購入した。マウスは独立換気ケージシステム(Individual Ventilation Cage System)により飼育され、これにより特定病原体未感染(SPF)の環境が提供された。施設は12時間昼/夜リズムを有し、温度24〜26℃および湿度30〜70%に維持した。マウスには飼料としてオートクレーブ処理した水および齧歯動物用食餌(rodent chow)を与え、布団も同様にオートクレーブにより滅菌処理した。国立台湾大学動物センターより購入した原料は、粗タンパク質(>23.0%)、粗脂肪(<3.0%)、粗繊維(<6.0%)、灰分(<8.0%)、添加ミネラル(<3.0%)および水(<12%)からなっていた。輸送後、実験を開始する前にマウスを2週間休ませた。
動物の処置
薬剤を処理するために、マウスを4つの群に分け、4日間、10、40、および80mg/kg/dayの濃度範囲のPCM(1mL)を経口投与した。精製PCM−K1、K2、K3、およびK4については、経口投与量をPCMの場合の4分の1の2.5、5、10、および20mg/kg/dayで変化させた。対照群は、等量の食塩水(0.85%NaCl)を与えたマウスであった。マウスを5日目に屠殺し、血清および脾細胞を回収した。次いで、前記血清を用いてIgG、IgM、およびIgAの濃度を測定した。前記脾細胞を100mm直径培養プレートに播種し、37℃で3時間インキュベートした。Tリンパ球、Bリンパ球およびNK細胞を含有する非接着細胞を回収し、各分析に記載のように適切に希釈した。
薬剤の調製
PCM、PCM−K1、K2、K3、およびK4の乾燥粉末を滅菌水に懸濁させ、超音波処理により大きい粒子を破壊した。マウスへの投与にはこの微粒子懸濁液を用いた。
脾臓リンパ球の単離
マウスの屠殺は、頸部を脱臼させることにより行い、次いで70%エタノールを用いて消毒した。次いでまず心臓の穿刺を行い、血液を回収した。血球凝集後、血液サンプルを遠心分離に供し、血清を回収した。脾細胞を単離するため、腹膜を切開して脾臓を取り出した。新鮮な脾臓を、10mLのRPMI−1640培地を含む培養プレートに移した。次いでこの脾臓を細かいメッシュ上に置き、各脾細胞を分離させた。次いで、培地中に懸濁している脾細胞を取り出し、50mLコニカル遠心チューブに移した。このチューブを、1300rpmで10分間の遠心分離に供した。上清を捨て、EDTA−NH4Clを含有する冷RBC溶解緩衝液1mLにペレットを再懸濁させた。この細胞を室温で10分間インキュベートした後、培地を用いた遠心分離により細胞を3回洗浄した。脾細胞を100mm直径培養プレートに播種し、37℃で3時間インキュベートした。Tリンパ球、Bリンパ球およびNK細胞を含有する非接着細胞を回収し、各分析に記載のように適切に希釈した。
MTT分析
MTT分析は、生細胞数および培養細胞の生存能力の評価のために一般に用いられている方法である。その基本原理は、生細胞のミトコンドリアのみが生物学的に活性な酸化還元酵素を含んでいるということである。この酵素はMTT試薬と相互作用し、この化合物を相対的に不溶性の青色結晶に変換する。次いでこの結晶を酸性イソプロパノール中に可溶化し、ELISA検出器(EL311、BioTek、VT)を用いて各ウェルにおける570nmでの吸光度を測定する。簡単に言えば、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mM L−グルタミン、抗生物質および1μg/mLコンカナバリンA(ConA)が添加されたRPMI−1640を含有する培地中に懸濁させた脾細胞を、96ウェル平底プレート(5×105細胞/100μL/ウェル)中で5日間培養した。MTT分析は、3、4、および5日目に行った。MTTテトラゾリウム(臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)(リン酸緩衝食塩水(PBS)中、5mg/mL)(Sigma Chemical、St.Leuis、MO)を脾細胞に添加し(細胞100μLあたりMTT20μL)、プレートを37℃で4時間インキュベートした。全てのウェルに酸−イソプロパノール(0.04N HClイソプロパノール溶液100μL)を添加し、完全に混合して、暗青色結晶を溶解させた。室温で20分間放置して全ての結晶の溶解を確認した後、ELISA検出器を用いてプレートの各ウェルの570nmにおける吸光度を測定した。
ELISAによる免疫グロブリンの濃度の測定
免疫グロブリン濃度を測定するために、ELISAを行った。簡単に言えば、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mM L−グルタミン、抗生物質および5μg/mLリポ多糖(LPS;1μg/105細胞)が添加されたRPMI−1640を含有する培地中で、脾細胞(5×105細胞/mL)を5日間培養した。LPSは、Bリンパ球のポリクローナル活性化剤の一つである。培養された脾細胞の上清を、3、4、および5日目に回収した。サンドイッチELISA技術を用い、IgG、IgM、およびIgAの濃度を測定した。
1.IgG分析
96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc−Immuno Plate、MaxiSorp、Nunc、Denmark)を4℃で一晩、100ng/ウェルの捕捉抗体を用いてプレコートした。前記捕捉抗体は、ウサギ抗マウスIgG+IgA+IgM抗体(Zymed Laboratory、CA)であった。PBS−0.05%Tween20溶液を用いて前記プレートを洗浄し、PBS−1%ゼラチンを用いてブロックした。ブロッキング後、適切に希釈したサンプル(1/105希釈)および0.25〜0.039μg/mLの範囲のスタンダードIgGを添加した(100μL/ウェル)。次いで、プレートを37℃で2時間インキュベートした。インキュベートの最後に、HRP共役ヤギ抗マウスIgG(1:2000希釈;抗全IgG分子;Zymed Laboratory、CA)を添加した(100μL/ウェル)。37℃で1時間インキュベート後、0.1Mクエン酸緩衝液、pH4.5、0.03%Hおよび0.1%o−フェニレンジアミンを含有する基質溶液を用いて現像した。ELISA検出器(El311、BioTek、VT)を用いて各ウェルの490nmにおける吸光度を測定し、log−logitモデルを用いてデータを分析した。
2.IgM分析
サンプルを1/10に希釈し、1〜0.0156μg/mLの濃度範囲を有するスタンダードIgMを添加した(100μL/ウェル)こと以外は、上記のIgG分析と同様の手法を用いて、IgM分析を行った。この分析用の二次抗体としては、HRP共役ヤギ抗マウスIgM(1:1000希釈;重鎖特異的;Zymed Laboratory、CA)を用いた。
3.IgA分析
サンプルを1/10に希釈し、1〜0.0156μg/mLの濃度範囲を有するスタンダードIgAを添加した(100μL/ウェル)こと以外は、上記のIgG分析と同様の手法を用いて、IgA分析を行った。この分析用の二次抗体としては、HRP共役ヤギ抗マウスIgA(1:1000希釈;Zymed Laboratory、CA)を用いた。
ELISAによるサイトカインの濃度の測定
IFN−γおよびIL−10の定量分析を行うため、10%胎児ウシ血清(FBS)、2mM L−グルタミン、抗生物質および1μg/mLコンカナバリンA(ConA)が添加されたRPMI−1640を含有する培地中で、脾細胞(1×10細胞/mL)を3日間培養した。ConAは、Tリンパ球のポリクローナル活性化剤の一つである。次いで、培養された脾細胞の上清を回収した。さらに、R&D Systems(MN、USA)より購入したサイトカインELISAセットを用いて、IFN−γおよびIL−10の濃度を測定した。
1.IL−10分析
CytoSetELISAを以下の通り行った:96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc−Immuno Plate、MaxiSorp、Nunc、Denmark)を4℃で一晩、捕捉抗体を用いてプレコートした。前記捕捉抗体は、マウスIL−10に対するラットモノクローナル抗体であった。試験サンプルおよび500〜15.6pg/mLの濃度範囲のスタンダードIL−10を添加した(100μL/ウェル)。次いで、プレートを37℃で20分間インキュベートした。インキュベートの最後に、プレートを5回洗浄し、さらにビオチン化ヤギ抗IL−10ポリクローナル抗体を添加した。HRP共役ストレプトアビジン(Zymed、CA、USA)を用い、次いで過酸化水素およびテトラメチルベネジジン(TMB)を含有する基質溶液を用いてプレートをインキュベートすることにより現像を行った。室温で30分間反応を進行させ、2N硫酸を100μL添加することにより反応を停止させた。ELISA検出器(El311、BioTek、VT)を用いて各ウェルの450nmにおける吸光度を測定し、log−logitモデルを用いてデータを分析した。
2.INF−γ分析
捕捉抗体としてマウスIFN−γに対するラットモノクローナル抗体を用い、二次抗体としてビオチン化ヤギ抗IFN−γポリクローナル抗体を用いたこと以外は、上記のIL−10分析と同様の手法を用いて、INF−γのCytoSetELISAを行った。
フローサイトメトリー分析によるT細胞群の分析
Tリンパ球上へのCD3(pan−Tマーカー)、CD4(ヘルパーT細胞マーカー)、およびCD8(細胞障害性T細胞マーカー)分子の発現に対するPCMのインビボの効果をフローサイトメトリーにより評価した。CD3、CD4、およびCD8の発現はそれぞれ、CY−クロム共役ハムスター抗マウスCD3抗体(Becton Dickinson、San Jose、CA)、PE共役ハムスター抗マウスCD4抗体(Becton Dickinson、San Jose、CA)、およびFITC共役ハムスター抗マウスCD8抗体(Becton Dickinson、San Jose、CA)を用いてモニターした。簡単に言えば、非接着の脾細胞を滅菌冷PBSを用いて3回洗浄し、細胞濃度を1×10細胞/mLに調節した。1×10細胞毎に1μLの所定の蛍光共役抗体と混合し、暗所にて室温で15分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を冷PBSを用いて洗浄し、200×gで10分間遠心分離することによりペレットを得た。前記ペレットを分散させ、1.0%のパラホルムアルデヒド500μLと混合した。脾臓リンパ球におけるCD3+細胞の百分率およびCD3+細胞群におけるCD4+8−細胞およびCD4−8+細胞の百分率をフローサイトメトリーにより分析した。
NK細胞毒性の分析
NK細胞媒介性の細胞毒性を測定するため、LIVE/DEAD細胞媒介性細胞毒性キット(LIVE/DEAD cell−mediated cytotoxicity kit)(Molecular Probes、Eugene、OR)を用いて分析を行った。この二色蛍光分析により、細胞媒介性細胞毒性の直接の評価が可能となり、51Cr放出分析と相関性のよい細胞毒性の測定が可能となる。本分析に用いた標的細胞はYAC−1細胞(ATCC、TIB−160)である。簡単に言えば、指数増殖YAC−1細胞を回収し、完全培地(10%胎児ウシ血清、2mM L−グルタミンおよび抗生物質が添加されたRPMI−1640)を用いて洗浄した。細胞濃度を1×10細胞/mLに調節し、標的細胞1mLあたり20μLのDiOC18(3,3’−ジオクタデシルオキサカルボシアニン)を添加した。次いで、細胞を37℃で20分間インキュベートした。DiOC18試薬によって、標的細胞上に膜状の緑色蛍光着色が形成された。次いで、PBSを用いて細胞を2回洗浄し、2×105細胞/mLの濃度で完全培地中に懸濁させた。非接着の脾細胞(エフェクター細胞)をハンクスバランス塩溶液(Hank’s balance salt solution)を用いて3回洗浄し、1×10細胞/mLの濃度で完全培地中に懸濁させた。次いで、前記エフェクター細胞を2度2倍希釈して5×106細胞/mLおよび2.5×106細胞/mLの濃度とした。分析を開始するために、等量(例えば、200μL)のエフェクター細胞と標的細胞とを混合して、最終のエフェクター:標的比(E:T比)をそれぞれ50:1、25:1、および12.5:1とした。この細胞混合液を37℃で2時間インキュベートし、50μLのヨウ化プロピジウムを添加した。前記ヨウ化プロピジウムは細胞膜に障害を及ぼして細胞内に浸透し、核を赤色蛍光に染色することができる。この細胞を1000×gで30秒間遠心分離することによりペレットとし、室温でさらに10分間インキュベートした。インキュベーション後、チューブを優しくタッピングすることによりペレットを剥がし、次いでボルテックスすることにより完全に再懸濁した。このようにして、サンプルのフローサイトメトリーによる分析の準備が整った。死滅した標的細胞は、緑色の細胞膜と赤色の核の双方を有していた。生存している標的細胞は細胞膜が緑色であった。しかしながら、赤色に染色された核を有しているのは死滅したエフェクター細胞のみであった。
ファゴサイトーシスの分析
Molecular Probes Co.(Ergene、OR)より購入したビブラントファゴサイトーシス分析キット(Vybrant Phagocytosis Assay Kit)を用いて、腹膜のマクロファージの食細胞作用を分析した。BALB/cマウスを4つの群に分け、連続する4日間、2.5〜20mg/kg/dayの濃度範囲のPCM−K1(1mL)を経口投与した。対照群は、等量の食塩水(0.85%NaCl)を注射されたマウスであった。2日目に、10%プロテオースペプトンを2.5mL、マウスの腹腔内に投与し、5日目に、頸部を脱臼させることによりマウスを屠殺した。このマウスの腹腔に、2価カチオンおよび血清を含まないDMEMを2mL注射した。次いで、腹腔を30秒間優しくマッサージし、25Gシリンジを用いて腹水を培地および腹腔滲出細胞とともに回収した。得られた細胞を完全DMEM培地により洗浄し、1×10細胞/mLの濃度に調節した。この細胞を氷浴上で10分間インキュベートし、さらに1×10個の細胞を5×106個の蛍光ラベル粒子と混合した。ファゴサイトーシス分析用の粒子は、蛍光ラベル化大腸菌(K−12株)バイオパーティクル(BioParticles)(Molecular Probes、Eugene、OR)であった。この細胞を、実験群と対照群とに分けた。前記実験群を37℃で15分間インキュベートし、さらに氷冷クエンチ溶液(1.25mg/mLトリパンブルー)100μLを添加した。前記対照群については、0℃で同様にインキュベートした。両群からの細胞をPBSを用いて2回洗浄し、150×gで5分間遠心分離することによりペレットとした。さらに、ACK溶解溶液を添加することにより、不純物である赤血球を除去した。細胞を150×gで5分間遠心分離することにより、再度ペレットとし、このペレットを分散させて1.0%のパラホルムアルデヒド500μLと混合した。腹膜のマクロファージにより貪食された粒子の量を、フローサイトメトリーにより分析した。
統計
対照群および薬剤処理群から得られたデータをANOVA(Analysis of variance)分散分析により検定した。2つの平均値の差については、マン−ホイットニーランクサム検定(Mann−Whitneys rank sum test)を用いて評価した。
結果
(1)脾細胞増殖−PCM並びにPCM−K1、K2、K3、およびK4の効果
下記の表13および14に示すように、インビトロ培養の3日目において、40mg/kg/dayのPCM、5mg/kg/day以上の量のPCM−K1、K3、およびK4、10mg/kg/day以上の量のPCM−K2で処置されたマウスから単離された脾細胞はそれぞれ、細胞増殖に対する効果が有意に増大していた。この結果から、PCM、またはPCM−K1、K2、K3、もしくはK4のような精製化合物は、一般に、脾細胞に対して毒性を示さず、経口投与されるとリンパ系器官の免疫細胞の増殖に影響を及ぼすことが示唆される。
Figure 2004339220
Figure 2004339220
(2)免疫グロブリンの血清レベル−PCM並びにPCM−K1、K2、K3、およびK4の効果
下記の表15および16のデータは、40mg/kg/dayのPCMを経口投与されたマウスでは、IgGの血清レベルが有意に上昇したことを示している。5mg/kg/day以上の量のPCM−K1、K2、およびK4を投与されたマウスでもまた、IgGの血清レベルが有意に上昇している。これに対し、5mg/kg/day以上の量のPCM−K3を投与されたマウスでは、IgGの血清レベルが有意に減少している。
また、40mg/kg/day以上の量のPCM、10mg/kg/dayのPCM−K1、2.5mg/kg/day以上の量のPCM−K2、5mg/kg/day以上の量のPCM−K3、および5mg/kg/day以上の量のPCM−K4を経口投与されたマウスでは、IgMの血清レベルが有意に上昇していた。
さらに、80mg/kg/dayのPCMの経口投与では、マウス血清中のIgAレベルが有意に減少した。しかしながら、10mg/kg/dayのPCM−K1を投与されたマウスでは、IgAの血清レベルが有意に上昇した。なお、この実験において、PCM−K2、K3、およびK4は、IgAの血清濃度に影響を及ぼさなかった。
Figure 2004339220
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(3)脾臓Bリンパ球により分泌される免疫グロブリン−PCM並びにPCM−K1、K2、K3、およびK4の効果
3.1 インビトロにおける脾臓によるIgG分泌
下記の表17および18に示すように、インビトロ培養3日目には、40mg/kg/dayのPCM、5mg/kg/day以上の量のPCM−K1、および10mg/kg/day以上のPCM−K2で処置されたマウスから単離された脾細胞で、IgG分泌が有意に増加した。一方、PCM−K3によってIgG分泌は抑制された。5mg/kg/day以上のPCM−K4で処置されたマウスから単離された脾細胞では、5日目にIgG分泌が有意に増加した。本実験の結果から、PCMまたはPCM−K1、K2、もしくはK4のような精製化合物を経口投与することにより、脾臓のB細胞のIgG分泌能を向上させうることが示唆される。
Figure 2004339220
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3.2 インビトロにおける脾臓によるIgM分泌
表19および20に示すように、インビトロ培養3日目には、40mg/kg/day以上の量のPCM、10mg/kg/dayのPCM−K1、2.5mg/kg/day以上の量のPCM−K2、10mg/kg/day以上の量のPCM−K3、および5mg/kg/day以上の量のPCM−K4で処置されたマウスから単離された脾細胞で、IgM分泌が有意に増加した。本実験の結果から、PCMまたはPCM−K1、K2、K3、もしくはK4のような精製化合物を経口投与することにより、脾臓のB細胞のIgM分泌能を向上させうることが示唆される。
Figure 2004339220
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3.3 インビトロにおける脾臓によるIgA分泌
表21および22に示すように、インビトロ培養3日目には、PCMで処置されたマウスから単離された脾細胞で、IgA分泌が対照群と比較して有意に減少した。しかしながら、精製化合物で処置されたマウスは、これとは異なる結果を示した。すなわち、10mg/kg/dayのPCM−K1の経口投与では、インビトロ培養3〜5日目において、脾細胞によるIgA分泌が有意に増加した。また、10mg/kg/day以上の量のPCM−K2、および5mg/kg/day以上の量のPCM−K4で処置されたマウスから単離された脾細胞では、IgA分泌が有意に増加した。一方、PCM−K3は、IgA分泌を有意に抑制した。これらの結果から、PCM−K1、K2、およびK4のような精製化合物は、脾臓のB細胞のIgA分泌能を向上させうることが示唆される。
Figure 2004339220
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(4)脾臓Tリンパ球により分泌されるT1型およびT2型サイトカイン−PCM並びにPCM−K1、K2、K3、およびK4の効果
インターロイキン−2(IL−2)およびインターフェロン−γ(IFN−γ)のようなT1型サイトカインは、細胞性の免疫応答を誘導する。これに対し、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−5(IL−5)、およびインターロイキン−6(IL−6)のようなT2型サイトカインは、Bリンパ球により媒介される液性の免疫応答を促進する。免疫調節に対するPCMおよびその精製化合物の作用を調べる目的で、脾臓のTリンパ球により分泌されるT1型およびT2型サイトカインの昨日を解析した。まず、PCM並びに、PCM−K1、K2、K3、およびK4のような精製化合物で処置されたマウスから単離された脾細胞を、ConAの存在下で5日間培養した。次いで、脾臓のTリンパ球により分泌されるインターフェロン−γ(IFN−γ;T1型サイトカイン)およびインターロイキン−10(IL−10;T2型サイトカイン)の量を測定した(表23および24)。その結果、10mg/kg/dayおよび80mg/kg/dayのPCM、2.5mg/kg/day以上のPCM−K1、2.5mg/kg/day以上のPCM−K2、5mg/kg/dayおよび10mg/kg/dayのPCM−K3、並びに20mg/kg/dayのPCM−K4をマウスに投与した場合に、ConAによって刺激された脾臓のT細胞によるIFN−γの分泌が有意に増加した。一方、PCMで処置されたマウスから単離された脾細胞では、IL−10の分泌に有意な変化は見られなかった。2.5mg/kg/day以上のPCM−K1、並びに5mg/kg/dayおよび20mg/kg/dayのPCM−K2により処置されたマウスでは、脾細胞によるIL−10の分泌が有意に増加した。これらの結果から、PCMは、比較的少量でT1型サイトカインを増加させるように調節することができるが、T2型サイトカインの分泌を調節することはできない。これに対し、PCM−K1およびK2のような精製化合物は、分泌されるT1型サイトカインおよびT2型サイトカインの双方を増加させることが可能であることが示される。
Figure 2004339220
Figure 2004339220
(5)脾臓のTリンパ球群−PCMの効果
CD4T細胞は、大部分がヘルパーT細胞(T)であり、CD4T細胞は、主に細胞障害性Tリンパ球(CTL)である。Tリンパ球のモジュレーションに対するPCMおよびその精製化合物の作用を調べる目的で、非接着脾細胞中のCD4細胞およびCD8細胞の百分率をFACSにより分析した。まず、マウスに、10〜80mg/kg/dayの濃度範囲のPCMを4日連続して与えた。5日目にこのマウスを屠殺し、非接着脾細胞を単離した。PCMで処置されたマウスでは、CD4細胞の百分率に変化は見られなかった(表25)が、PCMの量が80mg/kg/dayへと増加するにつれて、前記百分率も増加する傾向が見られた。これに対し、PCMで処置されたマウスにおいて、CD4細胞サブセットの百分率は有意に増加した(表25)。言い換えると、マウスにPCMを投与すると、細胞障害性Tリンパ球群が増加した。ここで、CTLの分化は主にT1型サイトカインにより誘導される。したがって、この知見は、IFN−γの分泌に対するPCMの促進効果と優れた相関がみられる。なお、CD4細胞サブセットもまた増加する傾向を示したため、非細胞リンパ球群におけるCD4/CD8比の増加は確認されなかった。
Figure 2004339220
(6)NK細胞の細胞障害活性−PCMの効果
NK細胞は、先天性の免疫において極めて重要な役割を担っている。NK細胞は、腫瘍細胞(形質転換された細胞)およびウイルスに感染した細胞を区別なく殺傷する。PCMで処置されたマウスから単離された非接着脾細胞を用いて、すぐにNK媒介性細胞障害性分析を行った。この結果から、PCMは、10mg/kg/dayの量でNK媒介性細胞障害活性を増加させることが示された(表26)。PCMの量を増加させると、NK細胞の活性は基礎レベルに戻った。ここで、NK細胞の活性化は主にT1型サイトカインの刺激による。したがって、この知見は、IFN−γの分泌に対するPCMの促進効果と優れた相関がみられる。
Figure 2004339220
マクロファージの食作用活性−PCMの効果
食細胞は、侵入してきた病原体に対する最前線での防御に関与している。先天性の免疫における主な食細胞は、好中球およびマクロファージである。本研究においては、腹膜に滲出したマクロファージに蛍光ラベルした大腸菌を与え、誘導されたマクロファージの食作用活性を分析した。その結果、対照群から単離されたマクロファージでは平均して20.88%が食作用活性を示した(表27)。これに対し、40mg/kg/dayおよび80mg/kg/dayのPCMを与えたマウスでは、それぞれ27.49%および38.22%のマクロファージが食作用活性を示した。これにより、PCMが腹膜マクロファージの食作用活性を有意に向上させることが示唆される。
Figure 2004339220
マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)からラノスタン化合物を製造するための本発明の方法のフロー図である。 中国公開特許第1008183号公報に記載の方法によるポリア抽出物の製造方法、および本発明によるポリア抽出物の低極性部分の製造方法のフロー図である。

Claims (18)

  1. 治療上有効な量の、活性成分としての下記化学式1で示されるラノスタンと、前記活性成分のための薬学的に許容できる担体または希釈剤とを含む、哺乳動物の免疫を増強しうる医薬組成物:
    Figure 2004339220
    (式中、Rは、HまたはCHを示し、Rは、OCOCH、C=OまたはOHを示し、Rは、HまたはOHを示し、Rは、−C(=CH)−C(CH(この際、Rは、HもしくはOHを示す)または−CH=C(CH)−R(この際、Rは、CHもしくはCHOHを示す)を示し、Rは、HまたはOHを示し、および、Rは、CHまたはCHOHを示す。)
  2. セコラノスタンの含有量は、前記ラノスタンの含有量の5質量%未満である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記ラノスタンは、下記化学式2〜5の少なくとも一で示される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
    Figure 2004339220
  4. 組成物の全量に対して、前記ラノスタンの含量は0.1〜60質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. 経口投与される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 前記哺乳動物はヒトである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 抽出物の全量に対して、下記化学式1で示されるラノスタンの含量が5〜60質量%であり、哺乳動物の免疫を増強しうるポリア抽出物:
    Figure 2004339220
    (式中、Rは、HまたはCHを示し、Rは、OCOCH、C=OまたはOHを示し、Rは、HまたはOHを示し、Rは、−C(=CH)−C(CH(この際、Rは、HもしくはOHを示す)または−CH=C(CH)−R(この際、Rは、CHもしくはCHOHを示す)を示し、Rは、HまたはOHを示し、および、Rは、CHまたはCHOHを示す。)
  8. セコラノスタンの含有量は、前記ラノスタンの含有量の5質量%未満である、請求項7に記載のポリア抽出物。
  9. 以下の工程を有する方法により製造される、請求項7または8に記載のポリア抽出物:
    a)マツホド(Poria cocos(Schw)Wolf)の菌核を、水、メタノール、エタノールまたはこれらの混合溶媒により抽出する;
    b)前記工程a)において得られた液状抽出物を濃縮する;
    c)前記工程b)において得られた濃縮物をシリカゲルカラムに導入する;
    d)前記シリカゲルカラムを、低極性溶離液を用いて溶出し、得られた溶出液を回収する;
    e)前記溶出液を濃縮して濃縮溶出液を得る。
  10. ジクロロメタンおよびメタノールの混合溶媒(96:4(体積比))を用いて展開し、紫外線ランプおよびヨウ素蒸気を用いて検出する際の、前記工程e)で得られた前記濃縮溶出液の薄層クロマトグラフィによるRf値が0.1以上である、請求項9に記載のポリア抽出物。
  11. 前記工程a)における抽出は、95%エタノールを用いて行われる、請求項9または10に記載のポリア抽出物。
  12. 前記工程b)において得られた濃縮物を、メタノールおよびn−ヘキサンを1:1の体積比で含む二相溶媒を用いてさらに抽出し、この二相溶媒抽出混合物からメタノール層を分離し、さらにこのメタノール層を濃縮して濃縮液とし、前記濃縮液を工程c)においてシリカゲルカラムに導入する、請求項9〜11のいずれか1項に記載のポリア抽出物。
  13. 前記低極性溶離液は、ジクロロメタンおよびメタノールを96.5:3.5の体積比で含む混合溶媒である、請求項9〜12のいずれか1項に記載のポリア抽出物。
  14. 抽出物の全量に対して、前記化学式1で示されるラノスタンの含量が10〜20質量%である、請求項7〜13のいずれか1項に記載のポリア抽出物。
  15. 前記ラノスタンは、下記化学式2〜5の少なくとも一で示される、請求項7〜14のいずれか1項に記載のポリア抽出物:
    Figure 2004339220
  16. 哺乳動物の免疫を増強するための医薬の製造における、下記化学式1で示されるラノスタンの使用:
    Figure 2004339220
    (式中、Rは、HまたはCHを示し、Rは、OCOCH、C=OまたはOHを示し、Rは、HまたはOHを示し、Rは、−C(=CH)−C(CH(この際、Rは、HもしくはOHを示す)または−CH=C(CH)−R(この際、Rは、CHもしくはCHOHを示す)を示し、Rは、HまたはOHを示し、および、Rは、CHまたはCHOHを示す。)
  17. 前記ラノスタンは、下記化学式2〜5の少なくとも一で示される、請求項16に記載の使用:
    Figure 2004339220
  18. 哺乳動物の免疫を増強するための医薬の製造における、請求項7〜15のいずれか1項に記載のポリア抽出物の使用。
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