JPH11246435A - 免疫調整剤 - Google Patents

免疫調整剤

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JPH11246435A
JPH11246435A JP10308300A JP30830098A JPH11246435A JP H11246435 A JPH11246435 A JP H11246435A JP 10308300 A JP10308300 A JP 10308300A JP 30830098 A JP30830098 A JP 30830098A JP H11246435 A JPH11246435 A JP H11246435A
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JP
Japan
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macrophages
substance
reduced
cells
glutathione
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JP10308300A
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English (en)
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Junji Hamuro
淳爾 羽室
Yukie Murata
幸恵 村田
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ヒトの免疫性疾患の改善、治療、予防のため経
口摂取が可能でマクロファージや単球等の酸化、還元状
態を制御し得る斬新な方法を提供する。 【解決手段】マクロファージの還元型グルタチオン量を
変化させる作用を有する物質を含有させることによりヒ
トの免疫性疾患の治療、改善、予防を目的とした経口摂
取ができる免疫調整剤。特に、シスチン誘導体を免疫抑
制剤として使用することができ、肝硬変、肝炎、炎症性
腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)等ヒトの消化管
炎症を中心とする炎症性疾患等の治療、改善、予防のた
めに期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規免疫調整剤、詳し
くはマクロファージ(以下、Mφと略することもあ
る。)や、単球等の機能の斬新な制御作用を含み、特
に、ヒトの免疫性疾患である肝硬変、肝炎、糖尿病、炎
症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)等の消化管
炎症、過敏性肺臓炎、肺線維症、慢性関節リウマチ、喘
息、皮膚アトピー症等の自己免疫疾患、アレルギー性疾
患、癌等の治療、改善、予防を目的とした経口摂取可能
な免疫調整剤(例えば、免疫増強剤、免疫抑制剤。)、
及びこれを含む医薬品並びに食品(医療用食品、健康食
品、特定保健食品等を含む。)、栄養剤及び輸液製剤等
に関する。
【0002】
【従来の技術】免疫系は、ウイルス、細菌等の外部から
の感染、又は自己由来細胞が異常を来たすことで生成す
る細胞(癌細胞等)による生体侵襲から自己を防衛する
ためのシステムである。しかしながら、この免疫系が異
常を来たし、過剰に働いたり、自己成分を排除する方向
に免疫系が働いたりすると伴に、逆に、排除機能が不全
状態に陥ることがある。このような状態を惹起する疾患
は総称して免疫性疾患と呼ばれる。例えばアトピー性皮
膚炎、花粉症、喘息、ザルコイドーシス等の急性並びに
慢性炎症性疾患、アレルギー性疾患、慢性関節リウマ
チ、糖尿病(IDDM)、SLE、慢性疲労性症候群等
の自己免疫疾患や、肝炎、肝硬変、潰瘍性大腸炎、クロ
ーン病等炎症性腸疾患(IBD)、癌悪液質状態等数多
くの疾患が含まれる。これら免疫性疾患の原因は様々で
あるが、サイトカイン、炎症性メディエーターの局所で
の産生を介して、特定の細胞の増殖、分化、壊死を伴う
炎症を引き起こすことを発端として全身性の免疫不全、
機能不全状態に至る。
【0003】免疫を担当する細胞としてはTリンパ球、
Bリンパ球が良く知られ、各々細胞性免疫、液性免疫の
担い手として多彩な機能を発揮する。一方、マクロファ
ージ/単球等は細胞性免疫及び液性免疫に深く関与する
細胞で、アレルギー、リウマチ等の免疫性疾患、癌、細
菌感染等の非自己である異物排除に深く関わっている。
マクロファージ/単球等の機能は、分泌機能、抗原呈
示を中心とした免疫調節機能、異物、老廃物の処理、貪
食機能、標的細胞の障害処理機能の4種に大別され、T
NF、IL−12、IL−1、IL−6、TGFβ、I
L−8等のサイトカイン、ネオプテリン(NPT)、ジ
ハイドロキシエピアンドロステン(DHEA)等のホル
モン様分子、PGE2やLTB4等のアラキドン酸代謝
産物、C5a,C3等の補体系分子、活性酸素、活性窒
素等炎症像を規定する種々の分子を産生することが知ら
れている。これらの多彩な機能が単一のマクロファージ
/単球等によって担われているのか、機能を異にするマ
クロファージ/単球等集団によって担われているのかは
不明であり、リンパ球がその細胞表面マーカーによって
分類されその機能との対応が明確になっているのに対
し、マクロファージ/単球等の機能の多様性と細胞亜集
団の対応については全く不明である。このため、上述の
ような炎症性、アレルギー性、免疫性疾患の発症と病態
進展に、マクロファージ/単球等は極めて重要な役割を
有しているにも拘らず、マクロファージ/単球等の細胞
亜集団の存在を想定しての機能分類のヒトの疾患の治
療、改善、予防への応用は全く為されておらず、想定さ
れたことすらなかった。
【0004】近年、アレルギー疾患、慢性関節リウマチ
等の自己免疫性疾患や悪性腫瘍患者において、末梢血中
のヘルパーT細胞亜集団のタイプの片寄りが疾患と対応
づけられつつあり、Tリンパ球中の亜集団であるヘルパ
ーTリンパ球が更に2つの亜集団Th1とTh2に分類
され、その2種の存在比が生体の免疫機能の重要な指標
になることが立証されつつある。本指標を基に疾患の病
態を診断したり、その存在比を改善することにより、よ
り適切な治療法を樹立しようとの試みがなされつつあ
る。即ち、B細胞からのIgE産生を引き起こすTh2
がTh1より多い場合(Th1<Th2)、アレルギー
性疾患が悪化することが分かってきており、Th1/T
h2を測定することにより、免疫の状態を検定したり、
Th1>Th2にすることによりアレルギーを抑制しよ
うとする試みがなされつつある。逆に、Th1が支配的
な状況で引き起こされる疾患の存在も慢性関節リウマチ
や慢性期の喘息炎症を始め、次々に指摘されつつある。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】生物材料を用いてT
h1とTh2のバランスを測定し、Tリンパ球を標的に
この2つの亜集団の機能を調節しようとしても、局所慢
性炎症やアレルギー性疾患の検定、診断に利用すること
には、現在のところ成功していない。最近、Th1病や
Th2病という言葉も用いられるが、必ずしも2者に明
確に区別できないのが実態である。
【0006】Th1/Th2の存在比は、リンパ球亜集
団の指標でしかなく、リンパ球亜集団の生体内での動態
は本発明で取り扱うマクロファージを始めとするアクセ
ソリー細胞と呼ばれる細胞群の機能と実際には複雑に関
わっているため、Th1/Th2の存在比だけで疾患の
病態を適切に診断し、その情報を基に治療することは困
難である。後述するが、マクロファージ/単球等の機能
状態によってTh1/Th2のバランスは制御されてい
るのである。治療のためにTh1>Th2に傾斜させる
ことを意図しても、それだけでは複雑なサイトカインネ
ットワークにおいては効果が得難く、新たな診断、治療
のための指標が待ち望まれている。
【0007】炎症反応に深く関与しているマクロファー
ジにおいて、酸化ストレス、サイトカイン刺激、ウイル
ス、細菌感染等の環境因子により細胞の機能が変化する
ことが判明しているが、その機能とマクロファージの細
胞亜集団分類の対応については全く不明である。それら
機能、分類において新たな知見が必要であり、それらの
知見が得られることにより、飛躍的に有用な新たな治療
方法の開発に繋がる。以上の状況下に、免疫を調整する
優れた薬剤、即ち免疫調整剤の開発が望まれる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
解決に向けて鋭意検討した結果、次の知見を得た。即
ち、免疫抑制、悪液質誘導、癌細胞の悪性化誘導作用、
炎症の遷延化作用の強いマクロファージ(単球、クップ
ファー細胞及び樹状細胞等を含む)と、免疫調整性のマ
クロファージとの区別を、マクロファージのレドックス
状態(ポテンシャル)の相違から試み、それを可能とし
た。その指標としてはマクロファージ細胞内の還元型グ
ルタチオン(GSH)含量を採用する。
【0009】グルタチオンは、ほ乳類のあらゆる細胞に
存在し、内因性の抗酸化物質として良く知られ、細胞内
においてラジカルや過酸化物の除去、プロスタグランジ
ン等のエイコサノイドの代謝、生体異物の解毒、アミノ
酸輸送等多様な機能を有しているトリペプチドである。
還元型(GSH)と酸化型(GSSG)が存在し、両者
間で共役サイクルを形成する。通常の細胞では、GSH
の濃度は還元状態の方が圧倒的に多く、酸化ストレス、
特にH22に対して防御的に作用する。
【0010】既に、Rude等は、GM−CSFにより
分化したマクロファージと、M−CSFにより分化した
マクロファージでは、細胞内GSH濃度は前者の方が高
濃度であることから、細胞内GSH濃度の相違がマクロ
ファージの機能に関与している可能性を報告( German
n, T., Mattner, F., Partenheimer, A., etal.:
Different accessory function for Th1 cel
ls of bone marrow derived macrophages cultur
ed in granulocyte macrophage colonystimulating
factor or macrophage colony stimulating fac
tor. Int. Immunol., 4:755, 1992; Frosch, S.,
Bonifas, U., Eck, H.-P.,et al.: The effici
ent bovine insulin presentation capacity of
bone marrow-derived macrophages activated by
grnulocyte-macrophagecolony-stimulating factor c
orrelates with a high level of intracellular
reducing thiols. Eur. J. Immunol., 23: 43
0, 1993 )しているが、本発明者等は、マクロファー
ジ中の還元型GSH含量を測定するとともに、GSH含
量を異にするマクロファージの免疫機能に及ぼす効果に
大きな差のあること(図1参照。)、本測定法で生体の
免疫能を検定しその酸化還元状態を経口投与可能な低分
子物質で人為的に調整できること、及び本法が疾患の治
療に広範に応用できること並びに食品として活用できる
ことを見出し(図1参照。)、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】図1は、本発明により見出された知見に基
づき、マクロファージ又は単球、クップファー細胞及び
樹状細胞等(本発明ではこれらを併せてマクロファージ
と称する。)の機能の相違、並びに、Th1及びTh2
バランスに及ぼす効果、更にはマクロファージの機能の
相違によって引き起こされる免疫抑制、悪疫質状態、癌
細胞の悪性化誘導の機序、局所炎症等との関係の模式図
を示したもので、例えば、担癌進行に従い、局所のTh
1/Th2バランスが崩れ、液性免疫に傾き、サイトカ
インレセプター複合体構成と機能が変化し、GSH含量
の少ない酸化型マクロファージが増加し、活性酸素や、
PGE2、IL−6、IL−10,IL−8等の炎症伝
達因子の産生が高まり、全身性の免疫抑制、悪液質状態
となるとともにアレルギー状態や臓器障害を随伴する慢
性炎症が遷延化する。
【0012】本発明者等は上記知見に基づき、更に研究
を重ねた結果、炎症反応に重要な役割を果たしているマ
クロファージ細胞中の酸化型グルタチオンと還元型グル
タチオンの含量を検定することにより、不均一なマクロ
ファージ集団が2つのタイプ即ち酸化型マクロファージ
と還元型マクロファージとに分類することができ、酸化
型マクロファージが免疫疾患に伴う局所慢性炎症やアレ
ルギー反応を引き起こし、液性免疫と細胞性免疫のバラ
ンスに関与するTh1/Th2バランスはマクロファー
ジの酸化/還元状態によって制御されていること、当該
マクロファージの酸化還元状態が免疫性疾患の病態に重
要な役割を果たしており当該酸化還元状態を検定し、そ
の状態を人為的に制御、修飾することにより当該疾患の
診断及び治療に役立つこと、しかもその制御が経口摂取
可能な低分子物質によって簡便に行えることを見出し
た。
【0013】本発明での酸化型マクロファージ及び還元
型マクロファージの定義は、還元型グルタチオン(GS
H)に特異的な化学試薬モノクロロバイメイン(MON
OCHLOROBIMANE)と反応させることで細胞
内GSH量を定量し、無刺激のマクロファージに比較し
てGSH含量が増加しているものを還元型マクロファー
ジ、逆に含量の低下しているものを酸化型マクロファー
ジとするものである。更に、経口摂取可能な低分子物質
をマクロファージと2〜24時間接触させることで、G
SH含量が2nmoles/5×105マクロファージ
細胞以上のものを還元型マクロファージ(又は単球
等)、0.1nmoles/5×105マクロ ファージ
細胞以下のものを酸化型マクロファージとすることが好
ましい。或いは、無刺激のマクロファージのGSH含量
に比較してGSH量が2倍以上になっているのを還元型
マクロファージ、1/5以下になっているものを酸化型
マクロファージとすることもできる。
【0014】現在、Th1/Th2バランスはIL−6
若しくはIL−4と、IL−12が生体内でどのような
割合で産生されるかによって規定されるとされている。
前2者によって液性免疫に関与するTh2が、IL−1
2によってTh1が誘導されることが既に知られてい
る。しかしながら、IL−6、IL−12はマクロファ
ージから産生されることは判明しているが、同一のマク
ロファージ細胞がIL−6もIL−12も産生すると仮
定すると、Th1誘導にもTh2誘導にも関与する1種
のマクロファージが存在することとなり、生体の免疫応
答を考えるに当り大きな矛盾にぶつかる。
【0015】本発明者等はGSH含量の高い還元型マク
ロファージによってのみIL−12が産生されTh1誘
導に働き、酸化型マクロファージによってはIL−6の
産生が亢進し、Th2が誘導されることを見出した。ま
た、Th1サイトカインの代表であるIFNγが産生さ
れてもマクロファージが酸化型に傾斜していると、IF
Nγの作用でTh2を誘導するIL−6が大量に産生さ
れることも見出された。逆に、還元型マクロファージが
存在するとTh1サイトカインの代表であるIFNγに
よってマクロファージの還元型形質が一層増強されるこ
とも判明した。酸化型マクロファージが誘導されている
ところにTh2サイトカインの代表であるIL−4が作
用すると酸化型マクロファージの形質がさらに増強され
る。これらの知見は液性免疫と細胞性免疫という対局に
ある免疫応答がマクロファージの酸化還元状態によって
一義的に規定されていることを示すもので、免疫学の根
幹に関わる重要な知見である(図2参照)。この知見に
より免疫系疾患の病態診断と治療法について、従来の混
沌とした免疫性疾患治療法に代わる頗る有用で独創的な
発明を既に完成しており、この発明に基づき鋭意検討し
た結果、新しく本発明を完成するに至った。
【0016】即ち本発明は、マクロファージの細胞内の
還元型グルタチオン量を変化させる作用を有する物質を
含有することに特徴を有する免疫調整剤である。本発明
においてはマクロファージには単球、クップファー細胞
及び樹状細胞等も含められる。当該物質としては、マク
ロファージの細胞内の還元型グルタチオン量を増加させ
ることでインターロイキン12の産生を惹起するものが
好ましく、例えばNーアセチルシステイン(NAC)、
γ−グルタミルシステインジエチルエステル等の細胞内
でGSHに代謝されるGSHの前駆体、グルタチオンモ
ノエステル及びグルタチオンジエステル等のグルタチオ
ン誘導体、リポ酸(LIPOIC ACID)及びその
誘導体、オルテン(ORTENE)等の低分子物質がよ
り好ましく、経口投与又は経皮投与が可能である。フラ
ボノイド及びその誘導体等の抗酸化物質のうち、マクロ
ファージと接触させることでGSH含量を上げ、IL−
12産生を上げ、IL−6の産生を下げるものを用いる
ことも可能である。また、これらと併用される物質とし
て、例えばβ(1−3)グルカン、サイトカイン等の高
分子物質は、静脈内投与、DDS(ドラッグデリバリー
システム)等を用いての投与において好ましい。当該サ
イトカインとしては、例えばIL−4、IL−2、IL
−12、TGFβ、IFNγ等のサイトカインが好まし
く、細胞性免疫を増強したい場合にはIL−2及び/又
はIFNγが特に好ましく、細胞性免疫を減弱したい場
合にはIL−4及び/又はTGFβが特に好ましい。こ
れらの物質は1又は2以上含有することが可能であり、
低分子の経口可能な免疫調製剤と高分子の静脈投与に適
した免疫調製剤を併用することでより高い効果が期待さ
れる。
【0017】また、本発明には、細胞内の還元型グルタ
チオン量に差のある酸化型マクロファージ及び還元型マ
クロファージの2種マクロファージの何れか一方を選択
的に除去し得る物質を含有することを特徴とする免疫調
整剤も含まれる。当該物質としては、例えば、細胞毒性
を有するDNAアルキル化剤をグルタチオンに共役させ
た物質、酸化型又は還元型マクロファージ特異的抗体と
マクロファージに細胞毒性を有する低分子化合物並びに
マクロファージに取り込まれた後に細胞毒性を示す物質
とを直接又はリンカーを介して結合させた物質等があ
る。当該アルキル化剤としては、例えばサイクロフォス
ファミド、ニムスチン(ACNU)、マイトマイシン
C、メルファラン等がある。アルキル化剤とグルタチオ
ンとを直接又はリンカーを介して共有結合させることに
より、グルタチオンSートランスフェレース酵素が活性
化されている酸化型マクロファージでは、当該酵素の働
きによりDNAアルキル化剤が遊離し、酸化型マクロフ
ァージを特異的に殺傷することにより除去することがで
きる。また、インビトロでは、殺細胞性が無いものの酸
化型又は還元型の何れかのマクロファージ中で増大して
いる酵素の作用により、殺細胞性を示すようになる物質
をプロドラッグとして用いることもできる。
【0018】本発明者等は前記知見に基づき更に研究を
消化管炎症に特化し、マクロファージ細胞内の還元型グ
ルタチオン量を減少させる物質を探索し、極めて低投与
量でその効果を発揮する物質を見出し、ヒトの消化管炎
症に類似する動物モデルを作製し、医薬品としての免疫
抑制剤、医療用食品、健康食品、特定保健食品等に用い
る免疫抑制作用を有する食品、栄養剤及び輸液製剤の開
発に研究深化発展させ、その物質としてシスチン誘導体
に着目し、特に下記の構造式(1)で示される化合物を
用いて、試験管内の免疫活性の抑制効果、動物投与下に
おける免疫抑制効果を広く検定し、更には自発的に消化
管炎症を発症する遺伝子ノックアウトマウスを用いて候
補物質の薬効を検討し、マクロファージ及び単球等の細
胞内の還元型グルタチオン量を減少させる作用を有する
薬理物質として、シスチン誘導体、特に下記構造式
(1)で示されるシスチン誘導体が有効であることを見
出した。 但し、上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立していて、
アルキル基を、R3及びR4はそれぞれ独立していて、ア
シル基及びペプチジル基の何れかを、それぞれ表す。特
に、潰瘍性大腸炎、クローン病等の炎症性腸疾患、肝炎
/肝硬変等の消化管炎症の疾患に対する免疫抑制剤とし
て極めて有効である。
【0019】更に、本発明には、前記免疫調整剤として
の医薬品を含むが、前記免疫調整剤を含有する食品(医
療用食品、健康食品、特定保健食品等を含む。)、栄養
剤又は輸液製剤も含まれる。食品としては、通常の食品
や、歯磨きやチューインガム等口の中に運ばれるものも
含まれ、特に健康志向の食品に含有されるのが好まし
い。また、食品に添加する添加剤の形で用いられてもよ
い。栄養剤としては、例えばビタミン剤、カルシウム剤
等の何れの栄養剤でもよい。輸液製剤としては、例えば
高カロリー輸液、生理食塩水、血液製剤等の通常用いら
れる輸液製剤に含有することができる。
【0020】また、本発明の免疫調整剤、食品、栄養剤
又は輸液製剤は、特に癌患者の悪液質状態の改善、糖尿
病、消化管炎症、慢性関節リウマチ、肝炎/肝硬変、前
記自己免疫性炎症性疾患及び/又は癌の化学予防を目的
として用いられるのが好ましい。
【0021】特に、ヒトマクロファージ細胞内の還元型
グルタチオン量を減少させる作用を有する免疫調整剤の
場合には、特に単独若しくは混合物として広く前記自己
免疫性炎症性疾患等の免疫抑制剤として医薬用途に限ら
ず、前記食品等に使用でき、免疫抑制作用を有する食品
並びに栄養剤、輸液製剤としても有用性を発揮する。
【0022】更に詳細に述べると、本発明は次の通りで
ある。ヒトから分離・採取した体液/細胞試料を用い
て、マクロファージ細胞内の酸化型及び/又は還元型グ
ルタチオン量を検定することにより、マクロファージを
それぞれ異なった機能を有する酸化型マクロファージと
還元型マクロファージとに分類し、その存在割合を経口
摂取できる物質で人為的に制御したり、片方の(酸化型
若しくは還元型の)マクロファージを人為的に除去する
ことでヒトの免疫関連疾患患者の治療に有用な免疫調整
剤や病態改善に役に立つ食品、栄養剤、輸液を提供する
ことである。ヒトからの分離・採取した体液/細胞試料
とは、例えば末梢血や腹腔、胸腔、固形癌局所組織、関
節腔、各種臓器より分離した細胞である。
【0023】グルタチオンの測定方法としては、直接的
に酵素リサイクリング法で生化学的に酸化型又は還元型
グルタチオン含量を測定する(活性酵素実験プロトコー
ル(細胞工学別冊)、秀潤社、頁84-88,1994年、ANALYT
ICAL CHEMISTRY, VOL. 106,PP207-212, 1980; CELLULAR
IMMUNOLOGY, VOL. 164, PP73-80, 1995等参照。)のみ
ならず、間接的な測定、例えば酸化型又は還元型マクロ
ファージに対する特異的なモノクローナル抗体又はポリ
クローナル抗体を用いて測定したり、モノクロロバイメ
インのようにGSHに特異的に反応し、錯体を形成し、
レーザー光励起により蛍光を発するような試薬を用いれ
ばよい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。
本発明におけるグルタチオンとは、別名5−L−グルタ
ミル−L−システイニルグリシンであり、生体内に最も
多く存在するSH化合物で、一般にGSHと記述され
る。グルタチオンは、その分子の酸化状態により還元型
グルタチオンと酸化型グルタチオンに分類される。還元
型グルタチオンとは、前記のグルタチオン(GSH)の
ことであり、酸化型グルタチオンは、別名グルタチオン
ジスルフィドと呼ばれるもので、GSSGと記述され
る。
【0025】本発明におけるマクロファージには、前述
の通り単球も含まれる。同時に、樹状細胞やクップファ
ー細胞と呼ばれるマクロファージの類縁細胞も含まれ
る。マクロファージは、様々なサイトカインや炎症性メ
ディエーター等の情報伝達物質をその細胞から遊離、放
出することが知られているが、その活性化状態、分化状
態により、放出されるか否か、また放出される量が異な
る。本発明によれば、例えばマクロファージ細胞内の酸
化型グルタチオンと還元型グルタチオンとの量に着目
し、酸化型マクロファージと還元型マクロファージに分
類後免疫状態を確認して、本発明の免疫調整剤等によ
り、これらマクロファージのバランスを調整することに
より、生体内の免疫状態を改善し、様々な疾患の治療や
予防に役立てられる。
【0026】還元型マクロファージでは、細胞内の還元
型グルタチオンが酸化型マクロファージより相対的に多
いのに対して、酸化型マクロファージでは、還元型グル
タチオンが還元型より相対的に少ない。また、還元型マ
クロファージと酸化型マクロファージでは、還元型GS
H含量の違いのために転写制御因子の活性化に違いが生
じ、サイトカインや炎症伝達因子の遺伝子発現に違いが
起こり、産生される炎症性サイトカインや炎症性メディ
エーターの種類や量が変化し、炎症の質が変化する。
【0027】酸化型マクロファージでは、IL−6,I
L−1,IL−8,IL−10、TNF,過酸化水素、
スーパーオキシド、PGE2等の炎症性サイトカイン及
びメディエータが産生されるのに対して、還元型マクロ
ファージでは、一酸化窒素(NO)、IL−12、LT
B4等が産生される。更に、酸化型マクロファージ及び
還元型マクロファージは、刺激等により変換する。例え
ば、炎症や敗血症性シヨックを誘導するLPSやPMA
や、IL−4、TGFβ等のサイトカンイにより人為的
に刺激することにより、還元型マクロファージは酸化型
に変換され、逆に、IFNγ、IL−2、抗腫瘍性多糖
であるレンチナン(LNT)やリポ酸等の抗酸化剤を添
加することにより、酸化型マクロファージを還元型に変
換することができる。このことにより、免疫性疾患等の
治療に応用することができる。
【0028】病態により酸化型マクロファージ及び還元
型マクロファージの量は異なる。アレルギー性疾患患者
や末期癌患者から採取した体液又は細胞試料中に含まれ
る酸化型マクロファージは、健常人より相対的に多い。
このことを利用することにより、免疫性疾患、癌性悪液
質の診断のための検定、それに引き続く治療に用いるこ
とができる。
【0029】また、消化管炎症疾患モデル動物(肝炎、
クローン病、潰瘍性大腸炎)より採取したマクロファー
ジ中の還元型グルタチオン量は、正常動物より相対的に
減少していることが、Adherent cell analysing system
( ACAS ) を用いる画像解析や酵素リサイクリング法を
用いる生化学的定量により判明した。このことは炎症性
腸疾患や消化管炎症においてマクロファージは酸化型に
傾斜していることを示し、発症若しくは病態進展への防
御機構の何れかに酸化型マクロファージが関与すること
を示す。発症に関与する場合には、還元型に変換するこ
とが必要であり、病態進展への防御機構を担うものとし
て酸化型マクロファージが関与する場合には、薬剤の投
与によりマクロファージの酸化型状態を持続することを
意図する必要がある。本発明者等はこの二つの可能性の
何れが病態の本質であるかを鋭意検討した結果、消化管
を中心とした慢性炎症、自己免疫性臓器炎症において酸
化型マクロファージは炎症病態進展への防御機構を担う
ものとして機能することを世界で初めて見出し、これら
消化管の病態改善、治療の手段としてマクロファージ中
の還元型グルタチオン量を減少させることが有益である
ことを見出したものである。
【0030】本発明に従えば、マクロファージの細胞内
の還元型グルタチオン量を上記方法で測定した後に、当
該マクロファージの細胞内の還元型グルタチオン量を変
化させる作用を有する低分子化合物で経口摂取でも活性
が保持されるものを医薬品として通常の製剤化を行い、
病態をモニターしつつ連日若しくは一定の期間をあけ患
者に摂取させれば良い。慢性期においては長期間の服用
継続により効果が著明となる。
【0031】本発明での酸化型マクロファージ及び還元
型マクロファージの定義は、還元型グルタチオン(GS
H)に特異的な化学試薬モノクロロバイメインと反応さ
せることで細胞内GSH量を定量し、無刺激のマクロフ
ァージに比較してGSH含量が増加しているものを還元
型マクロファージ、逆に含量の低下しているものを酸化
型マクロファージとするものである。更に、経口摂取可
能な低分子物質をマクロファージと2〜24時間接触さ
せることで、GSH含量が2nmoles/5×105
マクロファージ細胞以上のものを還元型マクロファー
ジ、0.1nmoles/5×105マクロファージ細
胞以下のものを酸化型マクロファージとすることが好ま
しい。或いは、無刺激のマクロファージのGSH含量に
比較してGSH量が2倍以上になっているのを還元型マ
クロファージ、1/5以下になっているものを酸化型マ
クロファージとすることもできる。
【0032】マクロファージの細胞内の還元型グルタチ
オン量を変化させる作用を有する物質としては、マクロ
ファージ(又は単球等)を96穴マイクロプレートで、
5×105細胞/200μl/穴宛培養し、被験物質を
0.01μM〜5mM添加し、 37℃で5%CO2イン
キュベーターで培養し、2〜24時間後に対照群に対し
還元型GSH量を増加又は減少させるものならば何れ
も用いることができる。2nmoles/5×105
クロファージ細胞以上に増加させる物質又は0.1 n
moles/5×105マクロファージ細胞以下に減少
させることもできるも のが望ましい。これらの物質と
して、例えばNーアセチルシステイン(NAC)、γ−
グルタミルシステインジエチルエステル等の細胞内でG
SHに代謝されるGSHの前駆体、グルタチオンモノエ
ステル及びグルタチオンジエステル等のグルタチオン誘
導体、リポ酸(LIPOIC ACID)及びその誘導
体、オルテン(ORTENE)等、並びにフラボノイド
及びその誘導体等の抗酸化物質等の低分子物質で、イン
ビトロでマクロファージと数時間培養して細胞内のグル
タチオン量を変化させる作用を有する物質を挙げること
ができる。これらの薬剤は単独若しくはそれらの混合物
として用いることができる。その効果は摂取若しくは投
与後炎症局所や末梢血から単核球を採取し、前述の方法
で細胞内還元型グルタチオン量の治療前に対する変化を
検定することで判定できる。このことで免疫調整剤とし
ての有用性は明確に判定され、疾患に対して効果を有す
る。シスチン誘導体について、特に免疫抑制剤として使
用する場合にも上記免疫調整剤に含まれ、勿論上記同様
に実施することができる。
【0033】対象として用いることのできる疾患として
は、癌患者の悪液質状態の改善、糖尿病、慢性関節リウ
マチ、SLE、肺線維症等の自己免疫疾患、肝炎/肝硬
変、炎症性腸疾患等の消化管炎症を中心とする炎症性疾
患、過敏性肺臓炎、喘息、皮膚アトピー、ザルコイドシ
ス等のアレルギー性疾患等が挙げられる。
【0034】特に、免疫抑制剤を適用可能な疾患として
は、自己免疫性の炎症性疾患であれば効果が期待され
る。なかんずく肝炎/肝硬変、潰瘍性大腸炎、クローン
病等炎症性腸疾患と呼称される疾患群を含む消化管に生
じる慢性炎症性疾患に免疫抑制剤として適用することが
望ましい。
【0035】Th1/Th2バランスの異常やマクロフ
ァージの機能不全等が関連する疾患であれば広範に適用
することができる。癌の化学予防等にも免疫調整剤とし
て有効であることは、一個の正常細胞が個体の中で発
癌、癌化した後に臨床的に発見される109個になるま
での間、生体が還元状態に存在することの有益な こと
は明らかである。即ち、生体内の炎症で産生される活性
酸素等が癌化の進展に寄与していることは科学的に証明
されているからである。
【0036】本発明で取扱う免疫調整剤は実際の医療現
場では単独で投与することもできるが、本発明に含まれ
る経口摂取可能な免疫調整剤同士、若しくは、経口摂取
不可能であるが異なる作用機転でマクロファージの細胞
内の還元型グルタチオン量を変化させる他の免疫調整
剤、例えばレンチナンを代表とするβ(1−3)グルカ
ンや、インターロイキン2(IL−2)を代表とするサ
イトカイン等生体外由来並びに生体内由来の物質と混合
若しくは併用することもできる。特に、細胞性免疫を増
強したい場合にはIL−2と併用したり、γインターフ
エロン(γIFN)と併用すると還元型マクロファージ
より大量にインターロイキン12(IL−12)が生体
内で産生され本発明の効果を一層増強する。逆に、細胞
性免疫を減弱することで治療効果を意図する場合にはイ
ンターロイキン4(IL−4)やTGFβと併用すると
IL−12の産生が減弱し効果を増強する。これらサイ
トカインはそれ自体がマクロファージの細胞内の還元型
グルタチオン量を変化させることも本発明の過程で見出
され、本発明の有用性とその範囲を補強するものであ
る。
【0037】生体外由来の物質としては抗体以外にもI
L−12の産生や機能を阻害する物質であれば併用する
ことにより更なる相乗効果が期待される。
【0038】細胞内の還元型グルタチオン量に差のあ
る、即ち、還元型GSH含量の低いマクロファージ(酸
化型マクロファージ)、若しくは高いマクロファージ
(還元型マクロファージ)の何れか一方を選択的に除去
することも本発明に含まれる。その際に用いられる物質
は低分子化合物、高分子化合物の何れでも良く、中でも
抗体及びその誘導体は効率的である。
【0039】既に述べた通り、マクロファージ/単球等
の機能の多様性と細胞亜集団の対応については今まで全
く不明であった。このため、炎症性、アレルギー性、免
疫性疾患の発症と病態進展に、マクロファージ/単球等
は極めて重要な役割を有しているにも拘らず、マクロフ
ァージ/単球等細胞亜集団の存在を想定しての機能分類
のヒトの疾患の治療、改善、予防への応用は全く為され
ておらず、想定されたことすら無かった。本発明完成の
前段階として、マクロファージの還元型GSH含量を測
定するとともに、世界で始めて、GSH含量を異にする
マクロファージの免疫機能に及ぼす効果に大きな差のあ
ることを見出し、炎症反応に重要な役割を果たしている
マクロファージ細胞中の酸化型グルタチオンと還元型グ
ルタチオンの含量を検定することにより、不均一なマク
ロファージ集団が2つのタイプ即ち酸化型マクロファー
ジと還元型マクロファージとに分類され、酸化型マクロ
ファージが免疫疾患に伴う局所慢性炎症やアレルギー反
応を引き起こし、液性免疫と細胞性免疫のバランスに関
与するTh1/Th2バランスはマクロファージの酸化
/還元状態によって制御されていること、当該マクロフ
ァージの酸化還元状態が免疫性疾患の病態に重要な役割
を果たしていることが見出された。この2種のマクロフ
ァージの存在割合を人為的に制御するには前述の経口摂
取可能な低分子物質を医薬品として用いる以外に、何れ
か片方のマクロファージを選択的に除去することも頗る
有用な方法である。このことはリンパ球に対する各種モ
ノクローナル抗体が免疫抑制剤として上市されている事
実からも明らかである。片方のマクロファージにのみ若
しくは多量に発現されているマーカーに対する抗体を用
いればよいことは当該業者には容易に想定できるところ
である。
【0040】また、細胞に対して毒性を有する物質やそ
の誘導体を用いることができるが、還元型マクロファー
ジと酸化型マクロファージの間には細胞内の各種酵素活
性に大きな違いがあるのでプロドラッグの形のもので還
元型マクロファージ若しくは酸化型マクロファージの何
れかの細胞内で選択的に細胞毒性を有する物質に変換で
きるもの等は、本発明に最も叶う。酸化型マクロファー
ジ内で活性が上昇するピリミジンヌクレオチドホスホリ
レース酵素活性やグルタチオンーSートランスフエレー
ス酵素活性の活用等がその例であり、細胞毒性を有する
アルキル化剤にグルタチオンを共役させたもの等があ
る。
【0041】本発明の免疫調整剤は広範な免疫性疾患に
適用できることは、マクロファージからの炎症性伝達因
子の分泌を基本的なところで制御することから明白であ
る。例えば、非ステロイド性酸性抗炎症剤(アスピリン
等)は、プロスタグランジン産生、遊離を抑制すること
でその薬効を発揮するといわれる。一方、ビタミンE等
の抗酸化剤は活性酸素の産生を抑制することで薬効を発
揮する等、その作用が図1に示す炎症性細胞たるマクロ
ファージの多彩な機能の1局面を制御するのみである。
そのため、その効果も著明ではなく、特に慢性炎症には
効果は殆ど認められない。それに対して本発明になる免
疫調整剤はマクロファージの酸化/還元状態を制御する
ことを基本とするもので、有害な炎症伝達因子の産生を
一度に多数抑制できるものである。従来の薬物の概念を
基本から変革するものといえる。
【0042】以上のように、本発明の免疫調整剤の医療
現場における有用な薬効は、その有用な免疫活性からし
て自明であり、疾患の急性期、慢性期の何れにも有用で
ある。特に、癌患者の悪液質状態の改善、糖尿病、慢性
関節リウマチ、SLE、肺線維症等の自己免疫疾患、肝
炎/肝硬変、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病
等)を中心とする消化管炎症等の慢性炎症性疾患、過敏
性肺臓炎、喘息、皮膚アトピー、ザルコイドーシス等の
アレルギー性疾患等Th1/Th2バランスの異常やマ
クロファージの機能不全、異常が関連する疾患であれば
広範に適用することができる。癌の化学的予防等にも免
疫調整剤として有効である。癌患者の悪液質状態の改善
については、延命効果が期待されるとともに特にQOL
の改善にも大いに有益と考えられる。
【0043】以下に、特に本発明の免疫調整剤をシスチ
ン誘導体について免疫抑制剤として使用する場合につい
て詳細に説明する。還元型グルタチオン量を減少させる
作用を有する物質については前記の通りであるが、シス
チン誘導体としては、N,N’−ジアセチルシスチン、
((NAC)2)、N,N’−ジプロピルシスチン((NP
C)2)、N,N’−ジアセチルシスチンジメチルエステ
ル((NAC-OMe)2)、N,N’−ジアセチルシスチンジイ
ソプロピルエステル((NAC-OiPr)2)、N,N’−ジ−
L−アラニルシスチンジメチルエステル((NAlaC-OM
e)2)等、前記構造式(1)に示され、マクロファージ
細胞内の還元型グルタチオン量を減少させる作用を有す
る化合物であれば全て本発明に使用するシスチン誘導体
に含まれる。
【0044】この化合物の骨子としては、ジスルフイド
結合によりマクロフアージ細胞内の還元型グルタチオン
が酸化されて酸化型マクロフアージに誘導されるもので
あれば、R1−R4を表す置換基には、広範な範囲のもの
が許容される。例えば、R1及びR2はそれぞれ独立して
いて、炭素数1−12のアルキル基を、R3及びR4はそ
れぞれ独立していて、炭素数1−12のアシル基及び炭
素数1−12のペプチジル基の何れかを、それぞれ表
す。尚、ペプチジル基は式:RNHCO−で示される置
換基(Rは有機基を表す。)である。
【0045】これらの薬剤は単独若しくはそれらの混合
物として用いることができる。その効果は摂取若しくは
投与後炎症局所や末梢血から単核球を採取し、前述の方
法で細胞内還元型グルタチオン量の治療前に対する変化
を検定し、生体の免疫活性の変動を測定することで判定
できる。このことで、特に免疫抑制剤としての有用性は
明確に判定され、疾患に対して効果を有する。
【0046】投与形態としては、注射投与、経口投与等
特に制限はないが、経口投与可能ということで有利であ
る。有効成分である還元型グルタチオン量を変化させる
作用を有する物質の投与量は、患者等投与対象者の症状
や使用目的に応じて選択されるが、重症患者で例えば末
期胃癌患者の場合1日当たり1mg〜5000mg(経
口剤)程度、好ましくは10〜500mg程度である。
製剤を製造する場合は特に困難はなく、経口剤、注射
剤、経皮剤等所望の剤型において、それぞれ公知の方法
を利用して製造することができる。
【0047】以上、本発明になる免疫調整剤が狭義の医
薬品として如何に有用で、新規性に優れるかを説明し
た。本発明による免疫調整剤は経口摂取可能な物質をそ
の主要成分とするため、その用途は、医療現場における
医薬品に限られない。即ち、ヒトマクロファージ(単
球、クップファー細胞及び樹状細胞等を含む。)細胞内
の還元型グルタチオン量を変化させる作用を有する物質
を単独若しくは混合物として含有する医療用食品、健康
食品、特定保健食品等として食品(チューインガムや歯
磨き等の口に入れるものは全て含まれる。)並びに栄養
剤、輸液製剤の形態で提供することも可能で有り、本発
明に含まれる。液体成分に含有させることも、固形の食
品の形をとることも可能である。
【0048】対象としては医薬品として提供する場合と
同じである。癌患者の悪液質状態の改善、糖尿病、消化
管炎症、慢性関節リウマチ、肝炎/肝硬変、炎症性腸疾
患(潰瘍性大腸炎、クローン病)を中心とする消化管炎
症、自己免疫性炎症性疾患、癌の化学予防等を対象薬効
として、免疫調整作用を有する食品並びに栄養剤、輸液
製剤の形態で提供することのできるものである。有効成
分の使用量については、前記医薬品の場合に説明した内
容に準じて行うとよい。発症、慢性化した疾患だけでな
く、成人病等のハイリスクの人に予防的に摂取させるこ
とを可能にする。
【0049】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものでは
ない。
【0050】(実施例1) <酸化型マクロファージ及び還元型マクロファージの機
能の検定> (方法)酸化型マクロファージは、LPS(リポポリサ
ッカライド)20μgをマウス腹腔内に投与して誘導さ
れること、還元型マクロファージはレンチナン100μ
gを同じく腹腔内に1日おきに3回投与することにより
誘導されていることが、腹腔浸出細胞をプラスチック表
面に付着させた後、モノクロロバイメイン10μMと3
7℃、30分間反応させ、ACASで解析することで判
明した。酸化型の増量は反応産物が殆ど認められないこ
と、即ちネズミ色や青色の画像になること、還元型の増
量は赤色や黄色の画像が得られることから肉眼的に容易
に検定できる。
【0051】そこで、腹腔浸出付着細胞を以下のように
して酸化型及び還元型に誘導して産生されるNO,IL
−6,PGE2を測定した。 (1)材料 細胞:上記のように刺激して得られた腹腔浸出付着細
胞、即ちマクロファージを96穴マイクロプレートに1
×105細胞/200μl宛添加。 培地:フエノールレッドフリーのRPMI1640:2
00μl/穴。 LPS:リポポリサッカライド(シグマ社製)(由来:
E.coli)100ng/ml。 IFNγ:100単位/ml。 (2)培養方法 5% CO2インキュベーター中37℃で、48時間培
養。 (3)測定方法 上記培養終了後、培養上清を回収し、IL−6はIL−
6依存性の細胞株のMH60を用いて増殖反応で、PG
E2はエライザキットを用いて、NOはグリースロイミ
ン試薬を用いて、何れも当該業者が日常に行う方法で各
々の産生量を測定した。
【0052】(結果)結果を図3に示した。図3から明
らかなように、酸化型マクロファージと還元型マクロフ
ァージとでは、産生する炎症性サイトカインIL−6、
炎症性メディエーターPGE2、NOの産生強度、種類
が異なることが明らかである。即ち、酸化型マクロファ
ージではTh2サイトカインであるIL−6の産生と免
疫抑制性でTh1誘導を抑制するPGE2産生が上昇
し、NO産生は低下する。これとは対照的に還元型マク
ロファージからはNOの産生が上昇し、PGE2産生や
IL−6産生は抑制される。両マクロファージの間に機
能的な差異が存在することが明確である。
【0053】(実施例2) <遺伝子をノックアウトして免疫不全状態にした病態動
物を用いた検定>酸化型Mφと還元型Mφにおいて、何
故炎症メディエーターやサイトカインの産生に違いが生
じるのかを物質レベルで解析することは、炎症の慢性
化、増悪のメカニズムを解明するために重要である。一
般に、外からの刺激(リガンド等)は、細胞表面上に存
在する受容体(レセプター)を介して細胞内に伝達す
る。レセプターからの信号により、種々のキナーゼが活
性化され、更に転写因子が活性化され、転写因子が核内
に移行し、標的となる遺伝子に結合して発現する。最近
の研究により、細胞内の酸化還元系は、転写因子の活性
化、核内への移行、遺伝子との結合に関与していること
が明らかとなりつつある(ANNUAL REV. IMMUNOLOGY,
VOL.8, PP453-475,1990, EMBO J.,10,2247-2251,
1991))。Mφにおけるレセプターを介した遺伝子発現
系に、細胞内の酸化還元系がどのように関与しているか
は現在のところ明らかではない。明らかにする一つの手
段として、レセプターからの信号伝達系に関与する分子
を欠損しているノックアウトマウスよりMφを調製し、
酸化還元系の機能を解析した。具体的には、IL−2、
IL−4、IL−7、IL−9及びIL−15のレセプ
ター構成分子として共通に用いられているcommon
γ鎖(γc)及びその下流に存在し、γcからの信号を
伝達する分子であるJak3を標的分子とした。
【0054】(サイトカイン、刺激剤)マウスIFNγ
には、ゲンザイム社製のリコンビナント体を用いた。ヒ
トIL−2及びヒトIL−6には、味の素社の作製した
リコンビナント体を用いた。ヒトIL−12には、ファ
ーミンジェン社製のリコンビナント体を用いた。LPS
には、ディフコ社製のE.Coli.055;B5由来
のものを用いた。レンチナンとしては、味の素社で製造
した製剤品を用いた。
【0055】(使用したマウス)γcノックアウトマウ
スには、東北大医学部・菅村先生より、Jak3ノック
アウトマウスには、千葉大医学部・斉藤先生よりそれぞ
れ導入したものを用いた。交配、及び対照として用いた
野生型マウスは、CRJより購入したC57BL/6を
用いた。
【0056】(腹腔Mφの採取)腹腔細胞の採取は、エ
ーテルにより犠牲死させたマウスの腹腔内に、氷冷した
5mlのフェノールレッドフリーのDMEM培地(日研
生物社製)を22ゲージの針を付けた注射筒により注入
し、しごいた後、培地を抜き取ることにより行った。
【0057】(IL−6の定量)1×106個のMφに
刺激剤を添加し、37℃のCO2インキュベーターにて
2日間培養した。遠心後培養上清を採取した。IL−6
の定量は、IL−6に依存的に増殖するマウスハイブリ
ドーマMH60細胞を用いて行った(J.EUR.IMMUNOL.,V
OL. 18, PP 951, 1988)。10%FCS含有RPM
I培地で1×105個/mlに調製したMH60細胞液
100μlに、培養上清100μlを添加し、37℃の
CO2インキュベーターにて、2日間培養した。その
後、同培地にて5mg/mlの濃度に調製したMTT
(シグマ社製)を10μl加え、37℃にて5時間反応
させた。反応終了後遠心し、上清を160μl取り除
き、塩酸−プロパノールを100μl加えて、ピペット
マンで懸濁することにより細胞を溶解した。溶解後直ち
に570nmの吸光度をイムノメーター(バイオラッド
社製)により測定した。
【0058】(NO2−濃度の測定)1×106個のMφ
に刺激剤を添加し、37℃のCO2インキュベーターに
て2日間培養した。遠心後培養上清を採取した。
【0059】100μlの培養上清に、50mg/ml
の濃度に蒸留水で調製したグリースロイミン試薬(和光
純薬社製)を100μl加えて室温で15分間反応させ
た。反応終了後、540nmの吸光度を測定した。な
お、スタンダードとして、NaNO2を用いた。
【0060】(ACASによる細胞内GSHの検出)C
hambered coverglass(Nunc社
製、#136439)に、RPMI1640培地(フェ
ノールレッドフリー)にて調製した3×10 5個/ml
の細胞懸濁液を300μl入れ、37℃のCO2インキ
ュベーターにて2時間培養した。同培地にて洗浄後、同
培地にて調製した10μMの モノクロロバイメイン
(Molecular plobe社製)を300μl
添加し、37℃のCO2インキュベーターに入れ、30
分反応させた後、ACASにて蛍光強度を測定した。な
お、ACASではUVレーザーを用いた。
【0061】(IL−12の定量)IL−12定量は、
ヒトT細胞株2D6細胞を用いたバイオアッセイで行っ
た(J.LEUKOCYTE BIOLOGY, VOL 61, PP346, 199
7))。
【0062】500pg/mlのリコンビナントヒトI
L−12、50μMの2−メルカプトエタノール、10
%FCS(牛胎児血清)を含むRPMI1640培地に
て培養しておいた2D6細胞をチューブに移し、IL−
12を除いた同培地にて3回遠心洗浄し、細胞濃度を1
×105/mlに調製した。予め50μMの2−メルカ
プトエタノール、10%FCSを含むRPMI1640
培地により系列希釈したサンプルを100μlづつ入れ
た96穴平底プレートに、細胞懸濁液を100μlづつ
加えた。その後、37℃、5%CO2インキュベーター
に入れ、48時間培養した。最後の6時間で、3H−T
dRをパルスした(50μMの2−メルカプトエタノー
ル、10%FCSを含むRPMI1640培地により、
370kBq/mlに調製したものを50μlづつ添
加)。細胞をハーベストし、βカウンター(マトリック
ス96;パッカード社製)で放射活性を測定した。
【0063】(ノックアウトマウスより調製したMφの
GSH濃度の測定)それぞれのノックアウトマウスの腹
腔細胞を調製し、MCB試薬を用いたACASにより、
細胞内GSH量を解析した。対照のマウス(C57BL
/6)に比べ、何れのマウスにおいても、還元型グルタ
チオンの量は著明に減少した。
【0064】(ノックアウトマウスより調製したMφの
機能)野生型マウス(C57BL/6)と、それぞれの
ノックアウトマウスより腹腔細胞を調製し、LPS、I
L−2、IFNγ及びその組み合わせにより刺激し、N
O産生、IL−6産生及びIL−12産生能を測定し
た。NO産生に関しては、無刺激では何れのマウスでも
殆ど産生がみられないが、LPSとIFNγ刺激の組み
合わせにおいて、γcノックアウトマウスでは、IL−
2の併用添加効果が殆どみられず、対照マウスに比較し
てNO産生は半分以下に低下した。Jak3ノックアウ
トマウスについてもγcと同様の結果であった。次に、
IL−6の産生能について解析した。LPS刺激では、
γcノックアウトマウスで亢進がみられ(対照81pg
/mlに対し962pg/ml)、IFNγ刺激では、
γcノックアウトマウスで亢進がみられた。この結果
は、NO産生の抑制パターンと同様であった。次に、L
PS及びIFNγ刺激によるIL−12産生能を検討し
た。しかし、何れのマウスにおいても産生は全くみられ
なかった。このことは、ここに用いた遺伝子ノックアウ
トマウス病態動物は酸化型マクロファージが増量しTh
2主流の液性免疫やアレルギー反応が亢進し、Th1に
よって担われる細胞性免疫が低下していることを示す。
病態動物モデルにおいても本発明の免疫調整剤に必要な
免疫系疾患の病態診断が独創的で、有意義であることを
明確に示す例である。
【0065】(実施例3) <担癌末期マウスにおける還元型グルタチオン測定によ
る検定> (方法)担癌末期マウス(COLON26)及び正常マ
ウスの腹腔から採取したマクロファージの酸化型及び還
元型の検定を行った。癌悪液質の産生がよく知られてい
るCOLON26移植腫瘍をCDF1マウスの背部皮下
に5×105個/個体移植し、腫瘍移植後21日目にな
って悪液質状態となり、治療に抵抗性となった状態のマ
ウスに生理食塩水5mlを腹腔内注射し、腹腔内マクロ
ファージを採取し3×106個/mlになるように10
%牛胎児血清含有フエノールレッドフリーのRPMI1
640培地に懸濁し、100μl宛Lab−TekCh
amberSlide(NUNC社製、#13643
9)に添加し、37℃、5%CO2条件下、3時間培養
し、浮遊細胞を除去した後、血清非含有の上記培地を2
00μl添加し、次いでモノクロロバイメイン(MON
OCHLOROBIMANE=MCB)を10μMにな
るように添加し、30分間反応させ、ACAS装置(M
ERIDIEN社製)にてUV吸収を基に画像解析し
た。
【0066】(結果)ACAS法により、還元型グルタ
チオンを定量した結果、正常マウスに比べ、担癌末期モ
デルマウスでは、還元型グルタチオン含量が減少したマ
クロファージ、即ち酸化型マクロファージが相対的に増
量した。酸化型マクロファージが増量しているため、上
記マクロファージ培養上清中のIL−6が顕著に増量し
ていた(対照マウスの120pg/mlに対して、60
0pg/ml)。また、PGE2量も対照の7.6ng
/mlに対して32ng/mlと5倍以上に増量してお
り、坦癌末期の免疫抑制状態や、悪液質状態がこれらメ
デイエーターの過剰産生に基づくことが判明した。他に
活性酸素産生の増量も認められた。数多くのパラメータ
ーを測定しなくてもマクロファージの酸化還元状態をグ
ルタチオンの含量を測定することで癌患者の病態、免疫
機能診断等のための検定を簡便且つ的確に行うことがで
きることを示す。このこのことにより、本発明の免疫調
整剤の使用に当たり、以上のマクロファージ分類方法に
より、癌患者の病態、免疫機能診断等のための検定を行
うことができる。
【0067】(実施例4) <担癌末期マウスにおけるグルタチオンエチルエステル
の経口投与による還元型マクロファージの誘導>COL
ON26移植腫瘍をCDF1マウスの背部皮下に5×1
5個/個体移植し、腫瘍移植後21日目になって悪液
質状態となったマウスに、毎日1mg/0.5ml/h
のグルタチオンエチルエステルをゾンデを用いて10日
間経口投与した。そのマウスより実施例3と同様の方法
で腹腔内細胞を採取し、腹腔内マクロファージを採取し
3×106個/mlになるように10%牛胎児血清含有
フエノールレッドフリーのRPMI1640培地に懸濁
し、100μl宛Lab−TekChamber Sl
ide(NUNC社製、#136439)に添加し、3
7℃、5%CO2条件下、3時間培養し、浮遊細胞を除
去した後、血清非含有の上記培地を200μl添加し、
次いでモノクロロバイメインを10μMになるように添
加し、30分間反応させ、ACAS装置(MERIDI
EN社製)にてUV吸収を基に画像解析した。
【0068】(結果)ACAS法により、還元型グルタ
チオンを定量した結果、対照生理食塩水投与群マウスに
比べ、グルタチオンエチルエステル投与の担癌末期モデ
ルマウスでは、還元型グルタチオン含量が減少したマク
ロファージ、即ち酸化型マクロファージが相対的に減量
した。還元型マクロファージが増量しているため、上記
マクロファージ培養上清中のIL−6が顕著に減量して
いた(対照マウスの5200pg/mlに対して、64
2pg/ml)。また、PGE2量も対照の32ng/
mlに対して6.5ng/mlと著明に減量しており、
坦癌末期の免疫抑制状態や、悪液質状態がグルタチオン
エチルエステルの経口投与で改善できることが判明し
た。これに応じて、両群のマウスの平均生存日数は、対
照の42日から148日に延長した。
【0069】(実施例5) <ザルコイドーシス疾患患者から採取したマクロファー
ジの検定とその酸化状態の還元状態への変換>ザルコイ
ドーシス(類肉腫症)の疾患の患者の末梢血及び胸腔内
より常法により分離・採取した単核球中に含まれるマク
ロファージの酸化型及び還元型マクロファージの量を酵
素リサイクリング法により、還元型グルタチオン(GS
H)及び酸化型グルタチオン(GSSG)の量を生化学
的に測定することにより検定を行った。対照としては健
常人の末梢血を用いた。
【0070】(材料)健常人の末梢血及びザルコイドー
シス患者の末梢血をヘパリン採血或は患者の気管支に経
気管支鏡(BRONCHOFIBER)的に150ml
の生理食塩水を注入し、75mlを回収して、何れもフ
ィコールーハイペーク(LYMPHOPREP)で分離
精製した単核球を10%牛胎児血清含有RPMI164
0倍地に懸濁し、3回洗浄後、ガラスシヤーレに30分
間付着させたマクロファージ/単球画分を用いた。この
後、5mMのNーアセチルシステイン(NAC)を添加
して3時間培養する群及び培地成分のみの群を調製し
た。シャーレからの分離にはラバーポリースマンを用い
た。5×106個のマクロファージについて以下のよう
に検定を実施した。
【0071】(方法)還元型と酸化型のグルタチオンの
測定は前述の酵素リサイクリング法によった。
【0072】(サンプル調製)PBSにて洗浄した細胞
のペレットに、冷やした5mMEDTAを含む0.1M
リン酸バッファー、pH7.5により調製したTrit
onX−100を100μl添加し、5分間室温に放置
して細胞を溶解した。0.1MのHClを15μl添加
し、更に50% sulfosalicylic ac
id(SSA)溶液を15μl添加して混合後、12,
000rpmで5分間遠心して上清を採取し[*]、総
グルタチオン濃度(GSH+GSSG)の測定サンプル
とした。
【0073】(測定法)0.5mMEDTAを含む10
mMリン酸バッファー、pH7.5を590μl、6u
/mlの濃度に同バッファーで調製したグルタチオンリ
ダクターゼ(ベーリンガーマンハイム社製)を100μ
l、5%NaHCO3にて調製した4mMのNADPH
(シグマ社製)を50μl、サンプルを10μl加え
て、37℃にて5分間インキュベートし、5mMEDT
Aを含む0.1Mリン酸バッファー、pH7.5により
調製した10mMの5,5’−dithio−bis
(2−nitrobenzoic acid)(DTN
B;シグマ社製)溶液を50μl加えて、37℃におけ
る412nmの吸光度の経時的変化を分光光度計により
測定した。なお、標準サンプルとして、GSH(シグマ
社製)をサンプルと同じ調製法で調製して用いた。別
途、酸化型グルタチオン(GSSG)量のみを測定し−
−上記*印の後に、2μlの2ービニルピリジン(東京
化成社製)を添加し、室温で1分間混和しpHを7.5
に調製後、室温に60分間放置し、測定サンプルとし、
同様に測定する−−総グルタチオン量より差し引くこと
で還元型グルタチオン(GSH)量を求めた。
【0074】(結果)患者の末梢血中の還元型と酸化型
グルタチオンの量はGSSG 5.29μM、GSH
20.45μMと還元型GSHが還元型が約80%で、
依然として優位であるが(健常人においては90%以上
が還元型GSHである)、胸腔内マクロファージでは還
元型GSHが1.45μMであり、酸化型GSSGが1
5.85μMと酸化型が約86%とその存在比が完全に
逆転することが判明した。NAC添加群においては、還
元型GSHが20.45μMであり、酸化型GSSGが
4.32μMと酸化型が急激に減少し、還元型の比率が
80%を越え、末梢血レベルに回復した。このことは、
本疾患において酸化型マクロファージが病態形成に大き
な位置を占めること、その病態がNAC投与で改善でき
ることを示し、本発明の有用性が明らかである。
【0075】(実施例6) <NAC、GSH−OEt経口投与による還元型マクフ
アージの誘導>レセプターからの信号伝達系に関与する
分子を欠損しているノックアウトマウスよりMφを調製
し、酸化還元系の機能を解析した。具体的には、IL−
2、IL−4、IL−7、IL−9及びIL−15のレ
セプター構成分子として共通に用いられているcomm
onγ鎖(γc)及びその下流に存在し、γcからの信
号を伝達する分子であるJak3を標的分子とした。実
施例2と同様の方法で実施した。JAK3ノックアウト
マウスを3群に分類し対照群としては通常の水道水の自
由摂取群、NAC群としては1mg/mlのNACを溶
解した水道水の自由摂取群、GSH−OEt群としては
1mg/mlのGSH−OEtを溶解した水道水の自由
摂取群とし、SPF条件下での飼育を24日間継続し、
そこで腹腔浸出付着細胞、即ちマクロファージを同様に
得た。
【0076】(サイトカイン、刺激剤)マウスIFNγ
には、ゲンザイム社製のリコンビナント体を用いた。ヒ
トIL−2及びヒトIL−6には、味の素社の作製した
リコンビナント体を用いた。ヒトIL−12には、ファ
ーミンジェン社製のリコンビナント体を用いた。
【0077】LPSには、ディフコ社製のE.Col
i.055;B5由来のものを用いた。レンチナンとし
ては、味の素社で製造した製剤品を用いた。 (IL−6の定量) (NO2−濃度の測定) (ACASによる細胞内GSHの検出) (IL−12の定量)これらは全て実施例2に準じて実
施された。
【0078】(ノックアウトマウスより調製したMφの
GSH濃度の測定)それぞれの処置を受けたノックアウ
トマウスの腹腔細胞を調製し、MCB試薬を用いたAC
ASにより、細胞内GSH量を解析した。対照のマウス
(水道水自由飲水群)に比べ、NAC、GSH−OEt
溶解水道水自由飲水群の何れのマウスにおいても、還元
型グルタチオンの量は著明に増加し、正常マウスにNA
C腹腔内投与で誘導される還元型Mφの画像を示した。
【0079】(ノックアウトマウス処置の各群より調製
したMφの機能)3群、それぞれのノックアウトマウス
より腹腔細胞を調製し、LPS、IL−2、IFNγ及
びその組み合わせにより刺激し、NO産生、IL−6産
生及びIL−12産生能を測定した。NO産生に関して
は、無刺激では何れのマウスでも殆ど産生がみられな
い。次に、IL−6の産生能について解析した。LPS
刺激では、ノックアウトマウスで962pg/ml、N
AC群で122pg/ml、GSH−OEt群で82p
g/mlとなり、還元型に変換できることが機能面から
も確認された。IL−6がTh2を誘導する主たるサイ
トカインであることを考えると、これらの物質の経口摂
取で生体のTh1/Th2バランスを制御できることを
明確に示す。この結果は、NO産生の抑制と薬物による
回復パターンと逆相関した。次に、LPS及びIFNγ
刺激によるIL−12産生能を検討した。対照群におい
ては産生は全くみられなかった。このことは、ここに用
いたJAK3遺伝子ノックアウトマウス病態動物は酸化
型マクロファージが増量しTh2主流の液性免疫やアレ
ルギー反応が亢進し、Th1によって担われる細胞性免
疫が低下していることを示す。一方、NAC、GSH−
OEt投与群では各々、420pg/ml、610pg
/mlのIL−12産生が認められた。病態動物モデル
においても本発明が免疫系疾患の病態改善に有用な免疫
調整剤として独創的で、有意義であることを明確に示す
例である。
【0080】(実施例7) <還元型、酸化型マクロファージからのIL−12産生
の差異>T細胞の分化過程、選択過程、機能発現過程に
異常があると、生体の免疫系が破綻することから、免疫
系の中心的役割は、T細胞により担われていると考えら
れる。T細胞の亜集団の一つであるヘルパーT細胞(T
h)は、リンホカインを産生することにより、免疫担当
細胞や炎症性細胞を制御している細胞であるが、最近、
Thは、産生するリンホカインの種類により、更にTh
1とTh2の2種類に分けられ、それぞれが異なった免
疫機能を担っているという考えが提唱されている(J.
IMMUNOL., VOL. 136, PP 2348. 1986)。即ち、T
h1は、IL−2やIFNγを産生し、細胞性免疫の調
節の主体であり、Th2はIL−4、IL−5、IL−
6やIL−10を産生し、液性免疫の調節の主体であ
り、生体内の免疫調節の恒常性は、Th1とTh2のバ
ランスにより保たれているとする考えである。通常は、
Th1/Th2バランスがどちらかに傾くと、それを是
正することにより恒常性が維持されるが、何らかの原因
によりバランスが是正されない状態が持続すると免疫病
が発症すると考えられている。Th1とTh2は、Th
0という段階からそれぞれに分化するが、Th0からT
h1への分化にはMφの産生するIL−12が重要であ
り(IMMUNOLOGY TODAY, VOL.335, PP 14, 1993)、
Th0からTh2への分化にはNKT細胞が産生するI
L−4が重要である(J. EXP. MEDICINE, VOL.179,
PP 1285, 1994)。
【0081】前述の実施例でMφのレドックス状態の相
違によりMφ機能が異なることが明らかである。Mφに
は、GSH量の相違から酸化型Mφと還元型Mφの2種
類のMφが存在し、NOやIL−6産生パターンが異な
る。Th0からTh1への分化を誘導し、Th1/Th
2バランス制御の鍵の分子であるIL−12の主な産生
細胞はMφと考えられるが、その詳細な解析はこれまで
報告されていない。IL−12の産生は、酸化型Mφと
還元型Mφで異なるのか否かは、免疫病の発症メカニズ
ムの観点からも興味深い点である。本発明者等は、IL
−12が還元型Mφからのみ産生することを見いだすと
ともに、IL−12と同じくTh1/Th2バランス制
御を行っていると考えられているIL−4が、酸化型M
φ、還元型Mφに作用し、Th2側へシフトさせている
こと見出した。本発明の完成に先立って得られた知見を
基に、Mφのレドックス状態が、Th1/Th2バラン
スを制御していることを示し、本発明を使用する上で免
疫系疾患の病態診断に如何に有用かを説明する。
【0082】(IL−12は還元型Mφから産生され
る)実施例1において、レンチナン(LNT)を腹腔内
注射して調製したMφは、GSH量の高い還元型であ
り、LPSを腹腔内注射して調製したMφは、GSH量
の低い酸化型であることを示した。LNT誘導MφとL
PS誘導Mφにおいて、IL−12産生能が異なるか否
かを検討した。LPSとIFNγの刺激により、LNT
誘導Mφでは著明なIL−12産生(1312pg/m
l)がみられたが、LPS誘導Mφ及び対照のレジデン
トMφでは産生がみられなかった(図4)。次に、細胞
内GSH量を変化させる物質を腹腔内注射して調製した
Mφを用いて同様の解析を行った。細胞内GSH量を増
加させる物質であるGSH−OEt、低下させる物質で
あるDEMをそれぞれ投与し調製したMφでは、GSH
−OEt投与マウス由来Mφでのみ、LPSとIFNγ
刺激によりIL−12が産生された(3570pg/m
l)。これらの結果は、細胞内のGSH量の多い還元型
Mφでのみ、IL−12が産生されることを示す。
【0083】(還元型MφからのIL−12産生は、細
胞内GSH量を低下させることにより抑制される)細胞
内のGSH量の多い還元型Mφでのみ、IL−12が産
生されることを示したが、この産生は、Mφを酸化型に
することにより抑制されるか否かを検討した。即ち、レ
ンチナン誘導Mφを、DEM刺激することにより、IL
−12の産生が抑制されるかを解析した。その結果、レ
ンチナン誘導MφからのIL−12産生(828pg/
ml)は、DEMを添加することにより、完全に抑制さ
れる(0pg/ml)ことが明らかとなった。即ち、D
EM処理により細胞内の還元型グルタチオンを枯渇さ
せ、還元型Mφを酸化型Mφへと変換することにより、
IL−12産生は抑制されることが示唆された。
【0084】(IL−4は、還元型MφからのIL−1
2産生を抑制する)IL−4は、Mφに作用し、抑制的
に働くとされているサイトカインである。IL−4は、
Th1/Th2バランスの制御においても、IL−12
と相対する作用を有していると考えられている。そこ
で、IL−4が、還元型MφからのIL−12産生に対
し、抑制的に作用するか否かを検討した。LNT誘導M
φからのIL−12産生及びGSH投与マウス由来Mφ
からのIL−12産生ともに、IL−4で前処理するこ
とによりは著明に抑制することが明らかとなった(各々
1580pg/mlより370pg/mlへ、490p
g/mlより258pg/mlへ)。即ち、IL−4は
Mφに作用し、IL−12産生を抑制することにより、
Th1/Th2バランスをTh2側にシフトしている可
能性が示唆された。この際、IL−4はMφ中の還元型
グルタチオン量を著明に減少させることがACASによ
る画像解析で判明した。
【0085】(IL−4は、NO産生を抑制し、IL−
6産生を亢進する)還元型Mφは、酸化型Mφに比較し
てIFNγ刺激でのNO産生が亢進し、逆にIL−6産
生は抑制される。IFNγは、Th1細胞から産生され
るサイトカインとして知られており、IL−4がIFN
γによるNO産生及びIL−6産生に対し、どのような
作用を示すか、それぞれのMφを用いて解析した。IL
−4で前処理したMφ(レジデント、LPS誘導、LN
T誘導)にIFNγを作用させ、NO産生量を測定した
ところ、IL−4で処理していないMφに比較して、I
L−4処理したMφからのNO産生は有意に抑制され
た。また、GSH−OEt刺激により細胞内GSH量を
増加させたMφ及びDEM刺激により細胞内GSH量を
低下させたMφをIL−4で前処理後、IFNγとLP
Sを作用させてNO産生量を測定したところ、IL−4
未処理に比較して、著明にNO産生が抑制された。
【0086】一方、IL−6産生は、レジデントMφ、
LPS誘導Mφ、LNT誘導Mφ何れともIL−4によ
り前処理することにより、IFNγでの産生が著しく亢
進した。更に、GSH−OEt刺激により細胞内GSH
量を増加させたMφ及びDEM刺激により細胞内GSH
量を低下させたMφをIL−4で前処理後、IFNγを
作用させてIL−6産生量を測定したところ、IL−4
未処理に比較して、著明にIL−6産生が亢進された。
これらの結果より、IL−4は、細胞内還元型グルタチ
オン量を減少させることにより、酸化型マクロファージ
を誘導し、IFNγ刺激によるNO産生を抑制し、IL
−6産生を亢進することが明らかとなった。このこと
は、IL−4はIFNγの作用、即ちTh1型の作用と
考えられるNO産生を抑制し、本来IFNγは弱い作用
であったIL−6産生誘導を亢進させ、Th2型の作用
を増強させる活性を有していることを示すものである。
本知見は本発明になる免疫調整剤の有用性を科学的に証
明するものである。
【0087】(実施例8) <経口摂取NACとIL−2の併用によるIL−12産
生の増強>DBA/2♀の8週令のマウスに実施例6同
様の方法で水道水を自由飲水させる群とNAC1mg/
ml濃度の水道水を自由飲水させる2群を作り、更に各
々の群にヒトリコンビナントIL−2:2μg/0.5
ml/hを1日2回隔日に2週間腹腔内投与を併用する
群を設定した。14日目に実施例6同様にMφからのI
L−12産生量を検定した。
【0088】(調製したMφのGSH濃度の測定)それ
ぞれの処置を受けたマウスの腹腔細胞を調製し、MCB
試薬を用いたACASにより、細胞内GSH量を解析し
た。対照のマウス(水道水自由飲水群)に比べ、NAC
溶解水道水自由飲水群及びIL−2投与群において、還
元型グルタチオンの量は著明に増加し、還元型Mφの画
像を示した。NAC溶解水道水自由飲水にIL−2投与
を併用する群においては何れの単独群よりも還元型グル
タチオンの量は更に増加し、還元型Mφの誘導における
併用効果がACAS画像解析で明瞭に認められた。併用
群では、全てのMφ中に還元型グルタチオンの量の増如
が認められた(単独処置群の増量が40−50%のMφ
に認められることと対照的で有る)。
【0089】(各群より調製したMφの機能)4群、そ
れぞれのマウスより腹腔細胞を調製し、LPS+IFN
γにより刺激し、NO産生、IL−6産生、及びIL−
12産生能を測定した。単独投与、併用群の3群何れも
対照群に対して還元型マクロファージが増量しているた
め、上記マクロファージ培養上清中のIL−6量が減少
した(対照マウスの1240pg/mlに対して、NA
C溶解水道水自由飲水群320pg/ml、 IL−2
投与群520pg/ml、NAC溶解水道水自由飲水に
IL−2投与を併用する群67pg/ml)。IL−6
がTh2を誘導する主たるサイトカインであること考え
ると、これらのNAC経口摂取にIL−2なるサイトカ
インの注射による併用で生体のTh1/Th2バランス
がより強力に制御できることを明確に示す。NO産生の
増強パターンはIL−6産生と逆相関した。IL−12
産生については、対照マウスの0pg/mlに対して、
NAC溶解水道水自由飲水群620pg/ml、 IL
−2投与群946pg/ml、NAC溶解水道水自由飲
水にIL−2投与を併用する群2386pg/mlと著
明な併用効果が認められた。本発明が、サイトカイン類
との併用で、免疫系疾患の著しい病態改善に有益な免疫
調整剤として独創的で、有意義であること示す。
【0090】(実施例9) <(NAC-OMe)2、(NAC)2投与による酸化型マクロファージ
の誘導>酸化型マクロファージは (NAC-OMe)2若しくは
(NAC)2 20μg/0.5ml/hをd1、d2にマウス腹腔内
に投与して誘導されること、還元型マクロファージは N
AC 2 mg/0.5ml/hを同じく腹腔内にd1、d2投与す
ることにより誘導されていることが、投与終了後20時間
後に腹腔浸出細胞を採取し、プラスチック表面に付着さ
せた後、モノクロロバイメイン10μMと37℃、30
分間反応させ、ACASで解析することで判明した。酸
化型の増量はモノクロロバイメインとの反応産物が殆ど
認められないこと、即ちネズミ色や青色の画像になるこ
と、還元型の増量は赤色や黄色の画像が得られることか
ら肉眼的に容易に検定できる。免疫抑制作用の良く知ら
れるステロイド剤の代表であるデキサメサゾン40 μg
/0.1ml/hを マウス背部皮下にd1、d2に投与して20
時間後に誘導されるマクロファージは殆どネズミ色の画
像になること、即ち酸化型マクロファージが強力に誘導
されることが判明した。一方、N-アセチルシステイン
(NAC)2mg投与後20時間目の腹腔浸出細胞を採取して同
様に検定したところ赤色や黄色の画像が得られ還元型マ
クロファージが誘導されることが確認された。
【0091】<(NAC-OMe)2、(NAC)2 投与によって誘導
されたマクロフアージからのNO,IL-6産生>そこで、腹
腔浸出付着細胞を以下のように培養し、培養上清に産生
されるNO,IL-12を測定した。IL-6産生量は刺激剤不在下
の自発産生量を測定した。
【0092】(1)材料 細胞:上記のように刺激して得られた腹腔浸出付着細胞
即ちマクロフアージを96穴マイクロプレートに1X1
5細胞/200μl宛添加 培地:フエノールレッドフリーのRPMI1640 200μl
/穴 LPS:リポポリサッカライド(シグマ社製)(由来:
E.coli)100ng/ml IFNγ:100単位/ml
【0093】(2)測定方法 (腹腔Mφの採取)腹腔細胞の採取は、エーテルにより
犠牲死させたマウスの腹腔内に、氷冷した5mlのフェ
ノールレッドフリーのDMEM培地(日研生物社製)を
22ゲージの針をつけた注射筒により注入し、しごいた
後、培地を抜き取ることにより行った。 (IL−6の定量)実施例2の場合と同様に定量した。 (NO2−濃度の測定)実施例2の場合と同様に測定し
た。 (ACASによる細胞内GSHの検出)実施例2の場合と
同様に検出した。 (IL−12の定量)実施例2の場合と同様に定量した。 (結果)マクロフアージからのNO、IL-6、IL-12産生の
抑制効果についての結果を表1に示す。
【0094】表1
【0095】表1から明らかなように、(NAC-OMe)2、(N
AC)2投与により誘導された酸化型マクロファージでは、
産生される炎症性サイトカインIL-6、NO、IL-12の産生
量が変動することが明らかである。即ち、薬剤投与で得
られた酸化型マクロファージではIL-6の産生は増強さ
れ、臓器障害性に働くNO産生も細胞性免疫を増強するIL
-12産生も低下する。この効果は典型的免疫抑制剤であ
るステロイドのデキサメサゾンより強いか同等である。
これと対照的にN-アセチルシステイン(NAC)により誘
導される還元型マクロファージからはNOの産生、IL-12
の産生が上昇し、IL-6産生は抑制される。
【0096】(実施例10) <卵白アルブミン抗原に対する遅延型過敏症反応の抑制
効果>(NAC-OMe)2、(NAC)2、NAC、デキサメサゾンを実
施例9と同様にd1からd5まで連日投与、抗原として卵
白アルブミンとコンプリートH37Raアジュバント(DIFC
O)1:1懸濁液100μl(含む250μg卵白アルブミ
ン)を感作抗原としてd2に背部皮下に投与、惹起抗原
としてd8に左耳に皮下投与し24時間の左耳の腫脹厚
を右耳と比較した。
【0097】卵白アルブミン抗原に対する遅延型過敏症
反応の抑制効果についての結果は表2に示す通りであ
り、(NAC-OMe)2、(NAC)2投与によって卵白アルブミン抗
原に対する遅延型過敏症反応は著明に抑制された。この
ことはこれらの物質の投与により細胞性免疫が抑制され
たことを示す。
【0098】表2
【0099】(実施例11) <遺伝子をノックアウトしてマクロフアージを酸化状態
にした動物のマクロフアージの機能>酸化型Mφと還元
型Mφにおいて、何故炎症メディエーターやサイトカイ
ンの産生に違いが生じるのかを物質レベルで解析するこ
とは、炎症の慢性化、増悪のメカニズムを解明するため
に重要である。一般に、外からの刺激(リガンド等)
は、細胞表面上に存在する受容体(レセプター)を介し
て細胞内に伝達する。レセプターからの信号により、種
々のキナーゼが活性化され、更に転写因子が活性化さ
れ、転写因子が核内に移行し、標的となる遺伝子に結合
して発現する。最近の研究により、細胞内の酸化還元系
は、転写因子の活性化、核内への移行、遺伝子との結合
に関与していることが明らかとなりつつある(ANNUAL R
EV. IMMUNOLOGY, VOL.8, PP453-475,1990; EMBO J.,1
0,2247-2251, 1991等参照。)。Mφにおけるレセプタ
ーを介した遺伝子発現系に、細胞内の酸化還元系がどの
ように関与しているかは現在のところ明らかではない。
明らかにする一つの手段として、レセプターからの信号
伝達系に関与する分子を欠損しているノックアウトマウ
スよりMφを調製し、酸化還元系の機能を解析した。具
体的には、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、
及びIL−15のレセプター構成分子として共通に用い
られているcommonγ鎖(γc)を標的分子とした。
【0100】(サイトカイン、刺激剤)マウスIFNγ
は、ゲンザイム社製のリコンビナント体を用いた。ヒト
IL−2、及びヒトIL−6は、味の素社の作成したリ
コンビナント体を用いた。ヒトIL−12は、ファーミ
ンジェン社製のリコンビナント体を用いた。LPSは、
ディフコ社製のE.Coli.055;B5由来のものを用いた。レ
ンチナンは味の素(株)製造の製剤品を用いた。
【0101】(使用したマウス)γcノックアウトマウ
スは、東北大医学部・菅村先生より導入したものを用い
た。交配、及び対照として用いた野生型マウスは、CR
Jより購入したC57BL/6を用いた。
【0102】(ノックアウトマウスより調製したMφの
GSH濃度の測定)γcノックアウトマウスの腹腔細胞
を調製し、MCB試薬を用いたACASにより、細胞内
GSH量を解析した。対照のマウス(C57BL/6)
に比べ、γcノックアウトマウス由来のマクロフアージ
細胞内の還元型グルタチオンの量は著明に減少した。
【0103】(ノックアウトマウスより調製したMφの
機能)野生型マウス(C57BL/6)、γcノックア
ウトマウスより腹腔細胞を調製し、LPS、IL−2、
IFNγ、及びその組み合わせにより刺激し、NO産
生、IL−6産生、及びIL−12産生能を測定した。
NO産生に関しては、無刺激では何れのマウスでも殆ど
産生がみられないが、LPSとIFNγ刺激組み合わせ
において、γcノックアウトマウスでは、対照マウスに
比較してNO産生は半分以下に低下した。次に、IL−
6の産生能について解析した。LPS刺激では、γcノ
ックアウトマウスで亢進が見られ(対照81pg/ml
に対し962pg/ml)、IFNγ刺激では、γcノ
ックアウトマウスで亢進が見られた。次に、LPS及び
IFNγ刺激によるIL−12産生能を検討した。しか
し、何れのマウスにおいても産生は全く見られなかっ
た。このことは、ここに用いた遺伝子ノックアウトマウ
ス病態動物は酸化型マクロフアージが増量しTH2主流
の液性免疫やアレルギー反応が亢進し、TH1によって
担われる細胞性免疫が低下していることを示す。病態動
物モデルにおいても本発明が免疫系疾患の病態診断に独
創的で、有意義であることを明確に示す例である。
【0104】(実施例12) <γcノックアウトマウスにおける消化管炎症の自然発
症>正常マウスやγcノックアウトマウスの野性型(遺
伝子形質+/+、+/Y)においては通常のSPF飼育条件下で
は消化管炎症は全く見られない。ところが、γcノック
アウトマウス(遺伝子形質-/-、-/+、-/Y)においては
消化管炎症が高頻発し、-/-、-/Yというホモノックアウ
トマウスにおいては4ヶ月以内に約70%が、+/-にお
いても6ヶ月以内に約60%が消化管炎症を自然発症す
る。即ち、腸管短縮、血便、下痢、軟便、脱肛、大腸肥
厚等が認められる。
【0105】腸管炎症モデルとしてはデキストラン硫酸
の経口摂取が良く知られているが、人の消化管炎症には
γcノックアウトマウスの炎症像が遥かに良く類似す
る。病理標本を用いての組織化学的解析では以下のよう
な事実が明らかとなった。人消化管炎症モデルの病理標
本の解析;肛門から2-3cm部分の結腸に対応する大腸の
ホルマリン固定HE染色標本について実施した。標本の評
価を1)炎症の縦方向への広がり、粘膜上皮-粘膜固有
層-粘膜筋板-粘膜下層-内輪筋層-外縦筋層-奬膜方向へ
の浸潤2)横方向への広がり3)浸潤細胞の種類4)血
管新生の程度5)粘膜下層の肥厚の5点を中心に実施し
た。γcノックアウトマウスの野性型である+/Yの正常標
本には炎症性細胞の浸潤は殆ど認められず、粘膜構造は
杯細胞、粘膜上皮細胞とも良好に保持する。本野性型+/
YマウスにDS1%飲料水自由飲水群では、腺腔内への好中
球、炎症性細胞の脱落が見られ、杯細胞の変性、消失
(degeneration)、粘膜上皮の化生と変性が高度に認め
られた。リンパ球、Mφ、好中球の高度浸潤、血管新
生、血管拡張も高度に起こっていた。グレード4の炎症
と判定した。
【0106】γcノックアウトマウス-/-の無処置マウス
標本では、粘膜上皮はintactに近いが、増生が見られ炎
症性細胞の腺腔内への脱落はなく、粘膜下層にも浮腫は
なく、筋層、粘膜下層への浸潤はない。粘膜固有層にの
みMφ、リンパ球の浸潤があり、DS誘発モデルと異なり
好中球の浸潤は見られなかった。単なる急性炎症像とは
異なり、人の炎症性腸疾患像に近い。
【0107】γcノックアウトマウス-/Yの無処置マウス
標本では、粘膜上皮が野性型の2-3倍になっており粘膜
固有層にのみ炎症性細胞の浸潤が限局クラスターとして
存在。クラスターに接する粘膜γcノックアウトマウス+
/-の無処置マウス標本は、-/-,-/Yのものに比較して正
常に近い。炎症性細胞の浸潤クラスターが粘膜固有層底
部に軽度に認められるのみである。
【0108】以上より、人の炎症性腸疾患に類似するの
はγcノックアウトマウス-/-、-/Yマウスであり、DS誘
発モデルはγcノックアウトマウス自然発症モデルとは
機序が異なると考えられる。
【0109】(実施例13) <γcノックアウトマウスにおける消化管炎症の自然発
症の抑制効果>上記知見に基づいて、人クローン病、潰
瘍性大腸炎モデルに関し、γcノックアウトマウスにお
ける消化管炎症の自然発症の抑制効果を検定した。酸化
型Mφに傾斜するγcノックアウトマウス♂+/Yと-/Y
各6匹に生食若しくは(NAC-OMe)2若しくは(NAC)2:20μ
g/hを週2回計5回投与投与し、-/Yにおける消化管
炎症自然発症を抑制するか否かを検討。-/Y非投与群、
投与群で投与開始後14日目において、(NAC-OMe)2の場
合、発症率は83%対25%。31日目において、発症
率83%対25%、生存率33%対100%、45日目
で発症率100%対25%、生存率33%対75%とな
り、(NAC)2の場合各々、30,40,100,40,75%となり、本
発明に使用する物質が消化管炎症自然発症マウスにおい
て、明確な延命効果及び発症予防効果を有することが認
められた。尚、+/Yマウスの投与非投与群では発症は見
られず差はない。
【0110】(実施例14) <γcノックアウトマウスにおけるデキストラン硫酸誘
発消化管の抑制効果>γcノックアウトマウス+/-3ケ月令
マウスについて、(NAC-OMe)2:20μg/hを週3回2週
間投与、16日目にDS1%自由飲水を開始。30日目に
おける消化管炎症発症率は非投与群100%投与群16.6%
と本薬剤の効果が認められた。また、生存率は非投与群
57%に対して投与群100%と著明な効果が認められ
た。+/+マウスでも投与群対非投与群で発症率は60%
たい80%と効果の傾向を認めた。尚、γcノックアウ
トマウス及びその野性型♂+/Y、-/Y、♀+/+、+/-、-/
-に消化管炎症モデルとしてデキストラン硫酸を1%濃
度に飲料水に溶解し、自由飲水させた。雌の方が抵抗性
であり、抵抗性は-/Y,+/Y,雌では-/-、+/-、+/+の順
であることが判明した。デキストラン硫酸投与開始後の
生存率は13日目において80,0,100,100%となり、デキ
ストラン硫酸誘発消化管炎症に酸化型Mφ主流のマウス
の方が抵抗性があることを示しており、本発明の妥当性
を間接的に支持するものである。
【0111】
【発明の効果】本発明の免疫調整剤により、マクロファ
ージ(単球、クップファー細胞及び樹状細胞等を含
む。)の機能の斬新な制御が可能となり、特にヒトの免
疫性疾患である肝硬変、肝炎、糖尿病、消化管炎症、慢
性関節リウマチ、喘息、皮膚アトピー症等の自己免疫疾
患、アレルギー性疾患、癌等の治療、改善、予防を可能
とする。
【0112】免疫調整剤のうち免疫抑制剤、特にシスチ
ン誘導体を使用することにより、マクロファージ、単球
等の機能の斬新な制御が可能となり、特に、ヒトの炎症
性疾患である肝硬変、肝炎、潰瘍性大腸炎、クローン病
等の炎症性腸疾患を中心とする消化管炎症等の治療、改
善、予防を目的とした免疫抑制剤から成る医薬品並びに
食品、栄養剤、輸液製剤を提供することができる。特
に、経口摂取することができ、医薬品並びに食品、栄養
剤及び輸液製剤として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、想定される、マクロファージの機能の
相違並びにTh1及びTh2による免疫抑制、悪疫質状
態、癌細胞の悪性化誘導の機序、局所炎症等との関係の
模式図を示す。
【図2】図2は、酸化型、還元型マクロファージの存在
比がTh1型、Th2型サイトカインの選択的な産生制
御を介して免疫機能を制御していることを説明したもの
である。本発明者等の新しい知見に基づくものであり、
マクロファージの酸化還元状態がin vivoにおけ
る免疫能の傾きを増幅する要になっていることを示す。
【図3】図3は、実施例1における両マクロファージの
機能の検定の結果を表す図で、酸化型マクロファージ及
び還元型マクロファージにおける機能の差を示したグラ
フである。
【図4】図4は、LNT誘導MφとLPS誘導Mφにお
いて、IL−12産生能が異なるか否かを検討した結果
を表す図で、酸化型、還元型マクロファージによってT
h1サイトカインであるIL−12の産生量が全く異な
り、IL−12は還元型グルタチオン含量の高い還元型
マクロファージからのみ産生されることを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 31/00 611 A61K 31/00 611C 617 617 629 629 635 635 637 637D 637E 637C 643 643D 31/02 31/02 31/195 603 31/195 603 31/215 31/215 31/35 31/35 31/385 31/385 31/66 601 31/66 601 31/715 601 31/715 601 38/00 37/02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マクロファージ細胞内の還元型グルタチオ
    ン量を変化させる作用を有する物質を含有することを特
    徴とする免疫調整剤。
  2. 【請求項2】当該物質が、マクロファージ細胞内の還元
    型グルタチオン量を増加させることでインターロイキン
    12の産生を惹起するものである請求項1に記載の免疫
    調整剤。
  3. 【請求項3】当該物質が、Nーアセチルシステイン(N
    AC)等のグルタチオンの前駆体、グルタチオンモノエ
    ステル及びグルタチオンジエステル等のグルタチオン誘
    導体、リポ酸(LIPOIC ACID)及びその誘導
    体、オルテン(ORTENE)、並びにフラボノイド及
    びその誘導体等の抗酸化物質から選択される少なくとも
    1種を含むものである請求項1に記載の免疫調整剤。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の免疫調整剤と組み合わせ
    てなるβ(1−3)グルカン及びサイトカインから選択
    される少なくとも1種を含む免疫調整剤。
  5. 【請求項5】細胞内の還元型グルタチオン量に差のある
    酸化型マクロファージ及び還元型マクロファージの2種
    のマクロファージの何れか一方を選択的に除去し得る物
    質を含有することを特徴とする免疫調整剤。
  6. 【請求項6】当該物質が、細胞毒性を有するDNAアル
    キル化剤にグルタチオンを共役させた物質又は前駆体と
    してマクロファージに取り込まれた後に細胞毒性を示す
    物質である請求項5に記載の免疫調整剤。
  7. 【請求項7】当該物質がマクロファージ細胞内の還元型
    グルタチオン量を減少させる物質であり、免疫抑制剤で
    ある請求項1に記載の免疫調整剤。
  8. 【請求項8】当該物質がシスチン誘導体で、マクロファ
    ージ細胞内の還元型グルタチオン量を減少させる作用を
    有する誘導体である請求項7記載の免疫調整剤。
  9. 【請求項9】シスチン誘導体が下記構造式(1)で示さ
    れる化合物である請求項8に記載の免疫調整剤。 但し、上記式中、R1及びR2はそれぞれ独立していて、
    アルキル基を、R3及びR4はそれぞれ独立していて、ア
    シル基及びペプチジル基の何れかを、それぞれ表す。
  10. 【請求項10】癌患者の悪液質状態の改善、糖尿病、消
    化管炎症、慢性関節リウマチ、肝炎/肝硬変、過敏性肺
    臓炎、肺線維症及び自己免疫性炎症性疾患の何れかを対
    象薬効とするに適した請求項7〜9何れかに記載の免疫
    調整剤。
  11. 【請求項11】請求項1〜10何れかに記載の免疫調整
    剤を含有することを特徴とする食品、栄養剤又は輸液製
    剤。
  12. 【請求項12】癌患者の悪液質状態の改善、糖尿病、消
    化管炎症、慢性関節リウマチ、肝炎/肝硬変、過敏性肺
    臓炎、肺線維症、自己免疫性炎症性疾患及び/又は癌の
    化学予防を目的としたものである請求項1〜9何れかに
    記載の免疫調整剤又は請求項11に記載の食品、栄養剤
    又は輸液製剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005529587A (ja) * 2002-03-15 2005-10-06 シェーリング コーポレイション Cd200レセプターを調節する方法
WO2009102050A1 (ja) 2008-02-15 2009-08-20 Ajinomoto Co., Inc. 腸管免疫賦活剤
US8703725B2 (en) 2002-09-20 2014-04-22 Nestec S.A. Nutritional compositions
JP2017518268A (ja) * 2014-04-25 2017-07-06 味の素株式会社 免疫賦活剤

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