JPH11118792A - マクロファージの分類方法、免疫性疾患等の検定方法及び免疫性疾患治療剤のスクリーニング方法 - Google Patents

マクロファージの分類方法、免疫性疾患等の検定方法及び免疫性疾患治療剤のスクリーニング方法

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JPH11118792A
JPH11118792A JP30342697A JP30342697A JPH11118792A JP H11118792 A JPH11118792 A JP H11118792A JP 30342697 A JP30342697 A JP 30342697A JP 30342697 A JP30342697 A JP 30342697A JP H11118792 A JPH11118792 A JP H11118792A
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reduced
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glutathione
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JP30342697A
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Junji Hamuro
淳爾 羽室
Yukie Murata
幸恵 村田
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒトの免疫状態の検定、特に免疫性疾患や癌の
診断、改善、予防を目的とした免疫状態の検定を行うた
めの優れた方法の開発が期待される。 【解決手段】マクロファージ細胞内の酸化型及び/又は
還元型グルタチオン量を直接的又は間接的に測定し、酸
化型及び/又は還元型のグルタチオンの量を検定するこ
とにより、マクロファージをそれぞれ異なった機能を有
する酸化型マクロファージと還元型マクロファージとに
分類することにより、上記課題を解決する。各種薬剤を
投与した動物から分離・採取した体液又は細胞試料中に
存在する酸化型グルタチオン及び/又は還元型グルタチ
オンを測定することにより、免疫性疾患の治療、改善、
予防等の薬剤スクリーニング又はモニター方法も提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マクロファージの
新規分類方法に関し、特に、ヒトの免疫性疾患、癌等の
治療、改善、予防を目的とした検定又は診断のためのマ
クロファージの分類方法、及びそれら疾患等の治療、予
防等の薬剤のスクリーニング/モニター方法に関する。
【0002】
【従来の技術】免疫系は、ウイルス、細菌等の外部から
の感染、又は自己由来細胞が異常を来たすことで生成す
る細胞(癌細胞等)による生体侵襲から自己を防衛する
ためのシステムである。しかしながら、この免疫系が異
常を来たし、過剰に働いたり、自己成分を排除する方向
に免疫系が働いたりするとともに、逆に、排除機能が不
全状態に陥ることがある。このような状態を惹起する疾
患は総称して免疫性疾患と呼ばれる。例えば、アトピー
性皮膚炎、花粉症、喘息等のアレルギー性疾患、慢性関
節リウマチ、糖尿病(IDDM(インシュリン依存性糖
尿病))等の自己免疫疾患、癌悪液質状態等、数多くの
疾患が含まれる。これら免疫性疾患の原因は様々である
が、サイトカイン、炎症性メディエーターの局所での産
生を介して、特定の細胞の増殖、分化、壊死を伴う炎症
を引き起こす。
【0003】免疫を担当する細胞としてはTリンパ球、
Bリンパ球が良く知られており、各々細胞性免疫、液性
免疫の担い手として多彩な機能を発揮する。一方、マク
ロファージは細胞性免疫及び液性免疫に深く関与する細
胞で、アレルギー、リウマチ等の免疫性疾患、癌、細胞
感染等の非自己である異物排除に深く関わっている。マ
クロファージの機能は、分泌機能、抗原呈示を中心とし
た免疫調節機能、異物、老廃物の処理、貧食機能、標的
細胞の障害処理機能の4種に大別され、TNF(腫瘍壊
死因子)、IL−12(インターロイキン−12)、I
L−1、IL−6、TGFβ(トランスフォーミング成
長因子)、IL−8等のサイトカイン、ネオプテリン
(NPT)、ジハイドロキシエピアンドロステン(DH
EA)等のホルモン様分子、PGE2やLTB4等のア
ラキドン酸代謝産物、C5a、C3等の補体系分子、活
性酸素、活性窒素等炎症像を規定する種々の分子を産生
することが知られている。これらの多彩な機能が単一の
マクロファージによって担われているのか、機能を異に
するマクロファージ集団によって担われているのかは不
明であり、リンパ球がその細胞表面マーカーによって分
類されその機能との対応が明確になっているのに対し、
マクロファージの機能の多様性と細胞亜集団の対応につ
いては全く不明である。このため、上述のような炎症
性、アレルギー性、免疫性疾患の発症と病態進展に、マ
クロファージは極めて重要な役割を有しているにも拘ら
ず、マクロファージ細胞亜集団の存在を想定しての機能
分類のヒトの疾患の診断目的等への応用は全くなされて
おらず、想定されたことすらない。
【0004】近年、アレルギー疾患、リウマチ等の自己
免疫性疾患や悪性腫瘍患者において、末梢血中のヘルパ
ーT細胞亜集団のタイプの片寄りが疾患と対応づけられ
つつあり、Tリンパ球中の亜集団であるヘルパーTリン
パ球が更に2つの亜集団Th1とTh2に分類され、そ
の2種の存在比が生体の免疫機能の重要な指標になるこ
とが立証されつつある。本指標をもとに疾患の病態を診
断したり、その存在比を改善することにより、より適切
な治療法を樹立しようとする試みがなされつつある。す
なわち、B細胞からのIgE産生を引き起こすTh2が
Th1より多い場合(Th1<Th2)、アレルギー性
疾患が悪化することがわかってきており、Th1/Th
2バランスを測定することにより、免疫の状態を検定し
たり、Th1>Th2にすることによりアレルギーを抑
制しようとする試みがなされつつある。逆にTh1、T
h2によって引き起こされる疾患の存在もリウマチを始
め次々に指摘されつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】生物材料を用いてTh
1、Th2のバランスを測定し、Tリンパ球を標的にこ
の2つの亜集団の機能を調節しようとしても、局所慢性
炎症やアレルギー性疾患の検定、診断を行うことは現在
のところ十分に成功していない。最近Th1病やTh2
病という言葉も用いられるが、必ずしも2者に明確に区
別できないのが実態である。
【0006】Th1/Th2の存在比は、リンパ球亜集
団の指標でしかなく、リンパ球亜集団の生体内での動態
は本発明で取り扱うマクロファージを始めとするアクセ
ソリー細胞と呼ばれる細胞群の機能と実際には複雑に関
わっているため、Th1/Th2バランスだけで疾患の
病態を適切に診断することは困難である。後述するが、
マクロファージの機能状態によってTh1/Th2のバ
ランスは制御されているのである。
【0007】治療のためにTh1>Th2に傾斜させる
ことを意図しても、それだけでは複雑なサイトカインネ
ットワークにおいては効果が得難く、新たな診断、治療
のための指標が待ち望まれている。
【0008】炎症反応に深く関与しているマクロファー
ジにおいて、酸化ストレス、サイトカイン刺激、ウイル
ス、細菌感染等の環境因子により細胞の機能が変化する
ことが判明しているが、その機能とマクロファージの細
胞亜集団分類の対応については全く不明である。それら
機能、分類において新たな知見が必要であり、それらの
知見が得られることにより、飛躍的に有用な新たな診断
及び治療方法の開発に繋がる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
解決に向けて鋭意検討した結果、次の知見を得た。
【0010】免疫抑制、悪液質誘導、癌細胞の悪性化誘
導作用の強いマクロファージと、免疫調整性のマクロフ
ァージとの区別を、マクロファージのレドックス状態
(ポテンシャル)の相違から試みそれを可能とした。そ
の指標としてはマクロファージ細胞内グルタチオン(G
SH)含量を採用する。
【0011】グルタチオンは、ほ乳類のあらゆる細胞に
存在し、内因性の抗酸化物質として良く知られ、細胞内
においてラジカルや過酸化物の除去、プロスタグランジ
ン等のエイコサノイドの代謝、生体異物の解毒、アミノ
酸輸送等多様な機能を有しているトリペプチドである。
グルタチオンには還元型(GSH)と酸化型(GSS
G)が存在し、両者間で共役サイクルを形成する。通常
の細胞では、GSHの濃度は還元状態の方が圧倒的に多
く、酸化ストレス、特にH22に対して防御的に作用す
る。
【0012】既に、Rude等は、GM−CSFにより
分化したマクロファージと、M−CSFにより分化した
マクロファージでは、細胞内のGSH濃度は前者の方が
高濃度であることから、細胞内GSHの濃度の相違がマ
クロファージの機能に関与している可能性を報告(Germ
ann, T., Mattner, F., Partenheimer, A., et al.:Dif
ferent accessory function for TH1 cells of bone ma
rrow derived macrophages cultured in granulocyte m
acrophage colony stimulating factor or macrophage
colony stimulating factor, Int. Immunol., 4: 755,
1992; Frosch,S., Bonifas, U., Eck, H.-P., et al.:
The efficient bovine insulin presentation capacity
of bone marrow-derived macrophages activated by g
ranulocyte-macrophage colony-stimulating factor co
rrelates with a high level of intracellular reduci
ng thiols. Eur. J. Immunol., 23: 430, 1993)してい
るが、本発明者等は、マクロファージ中のGSH含量を
測定するとともに、GSH含量を異にするマクロファー
ジの免疫機能に及ぼす効果に大きな差のあることを見出
し、本法で生体の免疫能を検定し、診断に応用できるこ
とを見出し(図1参照)、本発明を完成するに至った。
【0013】図1は、本発明により見出された知見に基
づき、マクロファージの機能の相違並びにTh1、Th
2バランスに及ぼす効果、更にはマクロファージの機能
の相違によって引き起こされる免疫抑制、悪液質状態、
癌細胞の悪性化誘導の機序、局所炎症等との関係の模式
図を示したもので、例えば、担癌進行に従い、局所のT
h1/Th2バランスが崩れ、液性免疫に傾き、サイト
カインレセプター複合体構成と機能が変化し、GSH含
量の少ない酸化型マクロファージが増加し、活性酸素
や、PGE2、IL−6等の炎症伝達因子の産生が高ま
り、全身性の免疫抑制、悪液質状態となる。
【0014】本発明者らは上記知見に基づき、更に研究
を重ねた結果、炎症反応に重要な役割を果たしているマ
クロファージ細胞中の酸化型グルタチオンと還元型グル
タチオンの含量を検定することにより、不均一なマクロ
ファージ集団が2つのタイプすなわち酸化型マクロファ
ージと還元型マクロファージとに分類することができ、
酸化型マクロファージが免疫疾患に伴う局所慢性炎症や
アレルギー反応を引き起こし、液性免疫と細胞性免疫の
バランスに関与するTh1/Th2バランスはマクロフ
ァージの酸化/還元状態によって制御されていること、
当該マクロファージの酸化還元状態が免疫性疾患の病態
に重要な役割を果たしており、当該酸化還元状態を検定
することにより、当該疾患の診断及び、治療薬のスクリ
ーニング/モニター等に役立つことを見出した。
【0015】現在、Th1/Th2バランスは、IL−
6、若しくはIL−4とIL−12が生体内でどのよう
な割合で産生されるかによって規定されるとされてい
る。前2者によって液性免疫に関与するTh2が、IL
−12によってTh1が誘導されることが既に知られて
いる。しかしながら、IL−6、IL−12はマクロフ
ァージから産生されることは判明しているが、同一のマ
クロファージ細胞がIL−6もIL−12も産生すると
すると、Th1誘導にもTh2誘導にも関与する1種の
マクロファージが存在することとなり、生体の免疫応答
を考えるに当り大きな矛盾にぶつかる。本発明者らはG
SH含量の高い還元型マクロファージによってのみIL
−12が産生されTh1誘導に働き、酸化型マクロファ
ージによってはIL−6の産生が亢進し、Th2が誘導
されることを見出した。また、Th1サイトカインの代
表であるIFNγが産生されてもマクロファージが酸化
型に傾斜していると、IFNγの作用でTh2を誘導す
るIL−6が大量に産生されることも見出した。逆に、
還元型マクロファージが存在するとTh1サイトカイン
の代表であるIFNγによってマクロファージの還元型
形質が一層増強されることも判明した。酸化型マクロフ
ァージが誘導されているところにTh2サイトカインの
代表であるIL−4が作用すると益々酸化型マクロファ
ージの形質が増強される。これらの知見は液性免疫と細
胞性免疫という対局にある免疫応答がマクロファージの
酸化還元状態によって一義的に規定されていることを示
すもので、免疫学の根幹に関わる重要な知見である(図
2参照)。この知見により免疫系疾患の病態診断につい
て、従来の混沌とした免疫病態診断技術に代わる頗る有
用で独創的な発明を完成するに至った。
【0016】即ち、本発明はつぎの通りである。
【0017】マクロファージ細胞内の酸化型及び/又は
還元型グルタチオン量を例えば酵素リサイクリング法等
により直接的に、又は例えば還元型(GSH)/酸化型
(GSSG)グルタチオンと特異的に反応する試薬又は
抗体等を用いて間接的に測定し、酸化型及び/又は還元
型のグルタチオンの量を検定することにより、マクロフ
ァージをそれぞれ異なった機能を有する酸化型マクロフ
ァージと還元型マクロファージとに分類することを特徴
とする、特にヒトの免疫関連疾患患者の病態を検定する
ためのマクロファージの分類方法である。
【0018】本発明において、「酸化型及び/又は還元
型グルタチオン」は、酸化型グルタチオン及び還元型グ
ルタチオンと、酸化型グルタチオン又は還元型グルタチ
オンとを表し、故にこれら2種のグルタチオンの少なく
とも1種を、即ちその両方又は何れか一方を意味する。
【0019】マクロファージ細胞内の酸化型及び/又は
還元型グルタチオンの測定方法としては、例えばモノク
ロロバイメイン(monochlorobimane(MCB))等の化
学試薬を用いたACAS(Adherent Cell Analyzing Sy
stem)による方法や例えば酸化型又は還元型グルタチオ
ンに対するモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体
を用いたFACS(Fluorescence Activated Cell Sort
er)による方法により解析するのが好ましい。ここで使
用する細胞としては、末梢血由来、胸腔洗浄液由来、固
形癌組織由来等のもので、ヒトから分離・採取したもの
であればよい。好ましくは、プラスチックシャーレ付着
性を活用して分離されたものを用いると明確な結果が得
られる。例えばモノクローナル抗体を用いて細胞内のG
SH、GSSGを染色する場合は分離操作無しに染色
し、2次元、3次元のFACSを用いて、マルチフロー
サイトメトリーとして解析することもできる。
【0020】前記グルタチオンの測定方法としては、直
接的方法、例えば酵素リサイクリング法で生化学的に酸
化型又は還元型グルタチオン含量を測定する(活性酸素
実験プロトコール(細胞工学別冊)、秀潤社、頁84−
88、1994年、ANALYTICAL CHEMISTRY, VOL.106, P
P.207-212, 1980, CELLULAR IMMUNOLOGY, VOL.164, PP.
73-80, 1995)方法のみならず、間接的な測定法、例え
ば酸化型又は還元型マクロファージに対する特異的なモ
ノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いて測定
したり、モノクロロバイメインのようにGSHに特異的
に反応し、錯体を形成し、レーザー光励起により蛍光を
発するような試薬を用いる方法を採用すればよい。
【0021】次に、マクロファージ、特にヒトから分離
・採取した例えば体液又は細胞試料中に含まれる酸化型
及び/又は還元型マクロファージの量を検定する工程を
含むことを特徴とする免疫性疾患及び/又は癌悪液質の
検定方法が、本発明に含まれる。
【0022】本発明において、「酸化型及び/又は還元
型マクロファージ」は、酸化型マクロファージ及び還元
型マクロファージと、酸化型マクロファージ又は還元型
マクロファージとを表し、故にこれ等2種のマクロファ
ージの少なくとも1種を、即ちその両方又は何れか一方
を意味する。
【0023】ヒトから分離・採取した体液又は細胞試薬
中に含まれる酸化型及び/又は還元型マクロファージの
量を検定する工程として、例えば酸化型マクロファージ
や還元型マクロファージの量を直接的又は間接的に測定
する方法、特に、モノクロロバイメインを用いたACA
Sによる方法が採用される。
【0024】また、間接的な測定方法としては、例えば
酸化型又は還元型マクロファージに対する特異的なモノ
クローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いる方法
(ACAS)でもよい。
【0025】前記検定方法には、ヒトから分離・採取し
た体液又は細胞試料中に含まれるTh1及び/又はTh
2細胞を測定するイントラセルラーサイトカインアッセ
イの工程を含むことができる。
【0026】更に、本発明には、例えばヒトから分離・
採取した体液又は細胞試料中に含まれる酸化型及び/又
は還元型マクロファージの量を検定する手段を有するこ
とを特徴とする免疫性疾患及び/又は癌悪液質の診断シ
ステムが含まれる。
【0027】上記酸化型及び/又は還元型マクロファー
ジの量を検定する工程としては、酸化型及び/又は還元
型グルタチオン量を上記同様に直接的又は間接的に測定
する工程、モノクロロバイメインを用いたACASによ
る工程、酸化型又は還元型マクロファージに対する特異
的なモノクローナル又はポリクローナル抗体を用いるF
ACSによる工程を採用することが好ましい。
【0028】免疫性疾患又は癌悪液質において、酸化型
及び/又は還元型マクロファージを特異的に認識又は識
別する試薬を含有することを特徴とする免疫性疾患及び
/又は癌悪液質診断キットも本発明に含まれる。
【0029】酸化型及び/又は還元型マクロファージを
特異的に認識又は識別する試薬としては、モノクロロバ
イメイン、酸化型又は還元型マクロファージに対する特
異的なモノクローナル又はポリクローナル抗体が用いら
れるが、その他各々のマクロファージと特異的に反応す
る試薬で例えば可視部、紫外部に吸収を有したり、蛍光
を発するようになる物質や、蛍光標識の第2抗体を用い
ることのできる物質等を用いることができる。
【0030】また、本発明には、各種薬剤を投与した動
物から分離・採取した体液又は細胞試料中に存在する酸
化型及び/又は還元型マクロファージの量を検定する工
程を含むことを特徴とする免疫性疾患の治療又は予防の
ための薬剤のスクリーニング又はモニター方法、特に各
種薬剤を添加した培地中で培養した細胞中に存在する酸
化型グルタチオン及び/又は還元型グルタチオンを測定
することにより、それらを検定すればよい。この際用い
る細胞としてはJ774細胞株やRAW細胞株等ヒト、
若しくは動物の単球系細胞由来で細胞株として樹立され
たものを用いることもできる。
【0031】前記酸化型及び/又は還元型マクロファー
ジの量を検定する工程としては酸化型及び/又は還元型
グルタチオンを同様に直接的又は間接的に測定する方法
や、酸化型又は還元型マクロファージに対する特異的な
モノクローナル又はポリクローナル抗体を用いる方法が
好ましい。抗体による検出を効率良く行うために細胞の
固定化や透過性を亢進するための前処置を実施してもよ
い。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。
【0033】本発明において、検定を可能にする免疫性
疾患としては、免疫が関与する疾患であり、例えば癌の
悪性化、悪液質誘導、消化器炎症(IBD)、慢性関節
リウマチ、糖尿病(IDDM)等の局所慢性炎症や、ア
トピー性皮膚炎、花粉症、乾鮮、喘息等のアレルギー性
疾患等がある。
【0034】本発明の目的の一つがヒトの免疫性疾患の
予防、改善、治療のための診断であるので、これら疾患
を有するヒト及びその恐れのある(ハイリスクの)ヒト
が対象とされる。
【0035】本発明におけるグルタチオンとは、別名5
−L−グルタミル−L−システイニルグリシンであり、
生体内に最も多く存在するSH化合物で、一般にGSH
と記述される。グルタチオンには、その分子の酸化状態
により還元型グルタチオンと酸化型グルタチオンに分類
される。還元型グルタチオンとは、前記のグルタチオン
(GSH)のことであり、酸化型グルタチオンは、別名
グルタチオンジスルフィドと呼ばれるもので、GSSG
と記述される。
【0036】本発明における酸化型及び/又は還元型グ
ルタチオン量の直接的又は間接的測定方法としては、モ
ノクロロバイメイン等の試薬を用いたACASによる方
法や、それ以外に一般に行われている方法でもよい。例
えば、還元型又は酸化型グルタチオンをそれぞれ特異的
に認識するモノクローナル抗体を用いたELISA法、
FACS法、それぞれのグルタチオンを基質とする酵素
リサイクリングアッセイによる方法、放射性同位元素を
用いる方法等である。
【0037】また、これらグルタチオンは直接測定せず
とも、酸化型又は還元型グルタチオンの量を規定する細
胞内酵素、例えばグルタミルシステイントランスフェラ
ーゼ等をモノクローナル抗体を用いたフローサイトメト
リーにより簡便に測定することによる間接的な測定でも
よい。マクロファージの酸化、還元状態の検定目的で有
用な方法であれば、今後開発される測定法も本発明に採
用可能である。
【0038】本発明における酸化型及び/又は還元型の
グルタチオンの量を検定するには、酸化型と還元型のグ
ルタチオン量において相対的に酸化型が多いか少ない
か、又は還元型が多いか少ないかによる検定である。特
定の疾患の患者の病態診断に用いるには、健常人や対照
として用いることのできるBENIGNの患者の其れと
比較すれば良い。また、同一患者について時間の経過と
共に、酸化型及び/又は還元型のマクロファージの量が
どのように変化するかを追跡することも有用である。
【0039】本発明におけるマクロファージの分類方法
とは、前記、酸化型グルタチオンと還元型グルタチオン
の量の検定に基づく方法である。マクロファージは、炎
症性サイトカインや炎症性メディエーター等の情報伝達
物質を放出することが知られている。その活性化状態、
分化状態により、放出されるか否か、また放出される量
が異なること、従ってその機能が異なってくることを本
発明で始めて見出されたものである。
【0040】本発明の分類方法は、マクロファージ細胞
内の酸化型グルタチオンと還元型グルタチオンの量に着
目し、酸化型マクロファージと還元型マクロファージに
分類した。
【0041】還元型マクロファージでは、細胞内の還元
型グルタチオンが酸化型マクロファージより相対的に多
いのに対して、酸化型マクロファージでは、還元型グル
タチオンが還元型より相対的に少ない。また、還元型マ
クロファージと酸化型マクロファージでは、還元型GS
H含量の違いのために転写制御因子の活性化に違いが生
じる。その結果、遺伝子発現に違いが起こり、産生され
る炎症性サイトカインや炎症性メディエーターの種類や
量が変化し、炎症の質が変化する。
【0042】酸化型マクロファージでは、IL−6、I
L−1、IL−8、TNF、過酸化水素、スーパーオキ
シド、PGE2(プロスタグランジンE2)等の炎症性
サイトカイン及びメディエーターが産生されるのに対し
て、還元性マクロファージでは、一酸化窒素(NO)、
IL−12、LTB4(ロイコトリエンB4)等が産生
される。更に、酸化型マクロファージ及び還元型マクロ
ファージは、刺激等により変換する。例えば、炎症や敗
血症性ショックを誘導するLPS(リポポリサッカライ
ド)やPMA(ホルボールミリスラートアセラート)
や、IL−4、TGFβ等のサイトカインにより人為的
に刺激することにより、還元型マクロファージは酸化型
に変換され、逆に、IFNγ(インターフェロンγ)、
IL−2、抗腫瘍性多糖であるレンチナン(LNT)や
リポ酸等の抗酸化剤を添加することにより、酸化型マク
ロファージを還元型に変換することができる。このこと
は、免疫性疾患等の治療に応用することができ、更には
免疫性疾患のための薬剤のインビトロにおけるスクリー
ニングを可能にする。同時に患者に投与された薬剤の治
療効果の追跡にも有用である。
【0043】病態により酸化型マクロファージ及び還元
型マクロファージの量は異なる。
【0044】アレルギー性疾患患者や末期癌患者から採
取した体液又は細胞試料中に含まれる酸化型マクロファ
ージは、健常人より相対的に多い。このことを利用する
ことにより、免疫性疾患、癌悪液質の診断のための検定
に用いることができる。
【0045】酸化型マクロファージが健常人に対して相
対的に多い場合には、その患者についての病態を改善す
るため還元型に移行するように改善する必要がある。
【0046】本発明に用いられるモノクロロバイメイン
とは、細胞内の還元型グルタチオンに選択的に作用して
蛍光を有する共役化合物グルタチオン−S−バイメイン
を形成する化学試薬で、既に市販されている。もちろん
モノクロロバイメイン以外でも同様の作用を有するもの
であればもちろん本発明において用いることができる。
【0047】本発明に用いられるACAS(Adherent C
ell Analyzing System)とは、培養に用いられるプラス
チックの表面に接着する細胞の形態を顕微鏡観察できる
ように工夫されたもので共焦点レーザー解析装置とも呼
ばれる。
【0048】本発明に用いられるFACS(Fluorescen
ce Activated Cell Sorter)とは、細胞表面や細胞内に
存在する特定の物質を含有する細胞の解析のために開発
された装置で、直接若しくは間接的に蛍光物質と反応さ
せその蛍光を活用して特定の物質を有する細胞の存在比
率を検出できる。広く臨床現場で活用されている。
【0049】本発明に用いられる酸化型又は還元型マク
ロファージに対する特異的なモノクローナル抗体又はポ
リクローナル抗体とは、通常よく用いられる方法で作成
される抗体で、酸化型又は還元型グルタチオンをBSA
(ウシ血清アルブミン)等の高分子化合物に共役させた
ものを異種の動物に免疫接種することにより容易に得る
ことができる。また、最近よく用いられるファージディ
スプレーシステムを用いたスクリーニングによって得ら
れるタンパク質でも可能である。
【0050】本発明のヒトの免疫性疾患の病態を検定す
るための分類方法とは、分類の目的がヒトの免疫機能を
検定するためのもので、例えばヒトから分離・採取した
マクロファージ又は単球を酸化型と還元型に分類する方
法で、その分類の結果によりヒト免疫の状態を検定す
る。
【0051】本発明による免疫性疾患及び/又は癌悪液
質の検定方法とは、例えば以下のように検定する方法で
ある。
【0052】(1)ヒトから分離・採取した体液又は細
胞試料中に含まれるマクロファージ又は単球を酸化型及
び還元型に分離し、酸化型、還元型の各々の量が健常人
に比べて多いか少ないかで検定する。
【0053】(2)アレルギー性疾患の患者の経時的測
定で相対的に酸化型の比率が高まっておれば、低下傾向
にする治療を要し、逆の場合改善傾向ありと認定でき
る。疾患によっては、特に細胞性免疫の高進が病態に関
与する疾患(リウマチ等)では逆の判断と加療を行う。
【0054】本発明におけるヒトから分離・採取した体
液又は細胞試料とは、例えば末梢血や腹腔、胸腔、固形
癌局所組織、関節腔、各種臓器より分離した細胞であ
る。
【0055】本発明による免疫性疾患の検定方法では、
例えばヒトから採取した体液又は細胞試料中に含まれる
酸化型マクロファージと還元型マクロファージとの量を
検定することによる方法が含まれる。酸化型マクロファ
ージが相対的に多い場合、そのヒトの免疫の状態はTh
2型に傾斜し、液性免疫が亢進し、アレルギー性傾向に
あり、還元型が多くなるように改善された方がよい。
【0056】また、本発明の分類及び検定は、癌に対し
ても深く関与する。癌末期患者では、癌悪液質と呼ばれ
る極度の消耗状態がよく観察される。本発明者は、これ
ら悪液質の誘導因子はIL−6やTNF等のサイトカイ
ンやPGE2であると考え、これらを産生するマクロフ
ァージを解明することにより、診断、治療へと応用でき
ると考えた。
【0057】本発明による酸化型又は還元型マクロファ
ージに対する特異的なモノクローナル又はポリクローナ
ル抗体を用いる方法とは、例えば、フローサイトメトリ
ー法、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)等通常よ
く用いられる方法で行うことができる。
【0058】本発明におけるTh1細胞、Th2細胞の
測定方法とは、通常行われている測定方法(ベクトンデ
イッキンソン社、FAST IMMUNE CYTOKINE SYSTEM 等)を
採用すればよく、例えば、上記に含まれるものでも或は
当該分野で広く利用されている蛍光標識(FITC化、
PE化)抗CD4抗体や抗ヒトIL−4抗体、抗ヒトI
FNγ抗体等を適宜組み合せて2次元、3次元の解析を
実施すればよい。
【0059】免疫性疾患及び/又は癌悪液質の診断シス
テムとは、ヒトから分離・採取したマクロファージ細胞
中に含まれる酸化型及び/又は還元型グルタチオンの量
を測定する手段を有するシステムで、当該手段とは、例
えば、前記ACASによる手段、酸化型又は還元型グル
タチオンに特異的な抗体、リガンド等を蛍光標識させる
ことにより測定するフローサイトメトリー又は酵素結合
免疫吸着検定法(ELISA)による手段、更には蛍光
偏向法を用いて分子結合を測定する手段、等々あり、必
ずしも、本明細書に記載する測定手段に限定されない。
【0060】本システムでは、これら手段を用いて、酸
化型マクロファージと還元型マクロファージの相対的な
量を測定することにより、診断の指標のための数値、イ
メージ等を出力する。また、本システムでは、付加的に
疾患の状態をその程度によって評価することも可能であ
る。
【0061】本発明による免疫性疾患及び/又は癌悪液
質の診断キットとは、酸化型マクロファージ及び/又は
還元型マクロファージを検出する試薬を有し、免疫性疾
患及び/又は癌悪液質の診断に用いるためのキットであ
る。例えば、酸化型及び/又は還元型マクロファージに
特異的なモノクローナル抗体、リガンド、化合物が含ま
れ、免疫性疾患及び癌悪質の診断のために用いられるE
LISAキット等である。
【0062】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、これらは本発明の範囲を制限するもので
はない。
【0063】(実施例1) 酸化型マクロファージ及び還元型マクロファージの機能
の検定
【0064】(方法)酸化型マクロファージはLPS
(リポポリサッカライド)20μgをマウス腹腔内に投
与して誘導されること、還元型マクロファージはレンチ
ナン100μgを同じく腹腔内に1日おきに3回投与す
ることにより誘導されていることが、腹腔浸出細胞をプ
ラスチック表面に付着させた後、モノクロロバイメイン
10μMと37℃、30分間反応させ、ACASで解析
することで判明した。酸化型の増量は反応産物が殆ど認
められないこと、即ちネズミ色や青色の画像になるこ
と、還元型の増量は赤色や黄色の画像が得られることか
ら肉眼的に容易に検定できる。
【0065】そこで、腹腔浸出付着細胞を以下のように
して酸化型及び還元型に誘導して産生されるNO、IL
−6、PGE2を測定した。
【0066】(1)材料 細胞:上記のようにして刺激して得られた腹腔浸出付着
細胞、即ちマクロファージを96穴マイクロプレートに
1×105細胞/200μl宛添加 培地:フェノールレッドフリーのRPMI1640 2
00μl/穴 LPS:リポポリサッカライド(シグマ社製)(由来:
E. Coli)100ng/ml IFNγ:100単位/ml
【0067】(2)培養方法 5%CO2インキュベーター中37℃で、48時間培
養。
【0068】(3)測定方法 上記培養終了後、培養上清を回収し、IL−6はIL−
6依存性の細胞株のMH60を用いて増殖反応で、PG
E2はエライザキットを用いて、NOはグリースロイミ
ン試薬を用いて、何れも当該業者が日常に使う方法で各
々の産生量を測定した。
【0069】(結果)得られた結果を図3に示した。図
3から明らかなように、酸化型マクロファージと還元型
マクロファージとでは、産生する炎症性サイトカインI
L−6、炎症性メディエーターPGE2、NOの産生強
度、種類が異なることがわかる。即ち、酸化型マクロフ
ァージではTh2サイトカインであるIL−6の産生と
免疫抑制性でTh1誘導を抑制するPGE2産生が上昇
し、NO産生は低下する。これと対照的に還元型マクロ
ファージからはNOの産生が上昇し、PGE2産生やI
L−6産生は抑制される。両マクロファージの間に機能
的な差異が存在することが明確である。
【0070】(実施例2) (遺伝子をノックアウトして免疫不全状態にした病態動
物を用いての検定)酸化型マクロファージと還元型マク
ロファージにおいて、何故炎症性メディエーターやサイ
トカインの産生に違いが生じるのかを物質レベルで解析
することは、炎症の慢性化、増悪のメカニズムを解明す
るために重要である。一般に、外からの刺激(リガンド
等)は、細胞表面上に存在する受容体(レセプター)を
介して細胞内に伝達する。レセプターからの信号によ
り、種々のキナーゼが活性化され、更に転写因子が活性
化され、転写因子が核内に移行し、標的となる遺伝子に
結合して、遺伝子が発現する。最近の研究により、細胞
内の酸化還元系は、転写因子の活性化、核内への移行、
遺伝子との結合に関与していることが明らかとなりつつ
ある(ANNUAL REV. IMMUNOLOGY, VOL.8, PP.453-475, 1
990 ; EMBO J., 10, 2247-2251, 1991)。
【0071】マクロファージにおけるレセプターを介し
た遺伝子発現系に、細胞内の酸化還元系がどのように関
与しているかは現在のところ明らかではない。明らかに
する一つの手段として、レセプターからの信号伝達系に
関与するタンパク質が欠損しているノックアウトマウス
よりマクロファージを調製し、酸化還元系の機能を解析
した。具体的には、IL−2、IL−4、IL−7、I
L−9、及びIL−15のレセプター構成分子として共
通に用いられているcommonγ鎖(γc)、及びそ
の下流に存在し、γcからの信号を伝達する分子である
Jak3を標的分子とした。
【0072】(サイトカイン、刺激剤)マウスIFNγ
は、ゲンザイム社製のリコンビナント体を用いた。ヒト
IL−2、及びヒトIL−6は、味の素社製のリコンビ
ナント体を用いた。ヒトIL−12はファーミンジェン
社製のリコンビナント体を用いた。
【0073】LPSはディフコ社製のE. Coli. 055; B5
由来のものを用いた。レンチナンは味の素社製の製剤品
を用いた。
【0074】(使用したマウス)γcノックアウトマウ
スは、東北大医学部・菅村先生より、Jak3ノックア
ウトマウスは、千葉大医学部・斉藤先生よりそれぞれ導
入したものを用いた。
【0075】交配、及び対照として用いた野生型マウス
はCRJより購入したC57BL/6を用いた。
【0076】(腹腔マクロファージの採取)腹腔細胞の
採取は、エーテルにより犠牲死させたマウスの腹腔内
に、氷冷した5mlのフェノールレッドフリーのDME
M培地(日研生物社製)を22ゲージの針をつけた注射
筒により注射し、しごいた後、培地を抜き取ることによ
り行った。
【0077】(IL−6の定量)1×106個のマクロ
ファージに刺激剤を添加し、37℃のCO2インキュベ
ーターにて2日間培養した。遠心後培養上清を採取し
た。
【0078】IL−6の定量は、IL−6に依存的に増
殖するマウスハイブリドーマMH60細胞を用いて行っ
た(J. EUR. IMMUNOL., VOL.18, PP.951, 1988)。10
%FCS(牛胎児血清)含有RPMI培地で1×105
個/mlに調製したMH60細胞液100μlに、培養
上清100μlを添加し、37℃のCO2インキュベー
ターにて、2日間培養した。その後、同培地にて5mg
/mlの濃度に調製したMTT(シグマ社製)を10μ
l加え、37℃にて5時間反応させた。反応終了後遠心
し、上清を160μl取り除き、塩酸−プロパノールを
100μl加えて、ピペットマンで懸濁することにより
細胞を溶解した。溶解後直ちに570nmの吸光度をイ
ムノメーター(バイオラッド社製)により測定した。
【0079】(NO2−濃度の測定)1×106個のマク
ロファージに刺激剤を添加し、37℃のCO2インキュ
ベーターにて2日間培養した。遠心後培養上清を採取し
た。
【0080】100μlの培養上清に、50mg/ml
の濃度に蒸留水で調製したグリースロイミン試薬(和光
純薬社製)を100μl加えて室温で15分間反応させ
た。反応終了後、540nmの吸光度を測定した。な
お、スタンダードとして、NaNO2を用いた。
【0081】(ACASによる細胞内GSHの検出)C
hambered coverglass(Nunc社製、#136439)
に、RPMI1640培地(フェノールレッドフリー)
にて調製した3×105個/mlの細胞懸濁液を300
μl入れ、37℃のCO2インキュベーターにて2時間
培養した。同培地にて洗浄後、同培地にて調製した10
μMのmonochlorobimane(Molecular plobe社製)を3
00μl添加し、37℃のCO2インキュベーターに入
れ、30分反応させた後、ACASにて蛍光強度を測定
した。なお、ACASではUVレーザーを用いた。
【0082】(IL−12の定量)IL−12の定量
は、ヒトT細胞株2D6細胞を用いたバイオアッセイで
行った(J. LEUKOCYTE BIOLOGY, VOL.61, PP.346, 199
7)。
【0083】500pg/mlのリコンビナントヒトI
L−12、50μMの2−メルカプトエタノール、10
%FCS(牛胎児血清)を含むRPMI1640培地に
て培養しておいた2D6細胞をチューブに移し、IL−
12を除いた同培地にて3回遠心洗浄し、細胞濃度を1
×105個/mlに調製した。あらかじめ50μMの2
−メルカプトエタノール、10%FCSを含むRPMI
1640培地により系列希釈したサンプルを100μl
づつ入れた96穴平底プレートに、細胞懸濁液を100
μlづつ加えた。その後、37℃、5%CO2インキュ
ベーターに入れ、48時間培養した。最後の6時間で、
3H−TdRをパルスした(50μMの2−メルカプト
エタノール、10%FCSを含むRPMI1640培地
により、370kBq/mlに調製したものを50μl
づつ添加)。細胞をハーベストし、βカウンター(マト
リックス96;パッカード社製)で放射活性を測定し
た。
【0084】(ノックアウトマウスより調製したマクロ
ファージのGSH濃度の測定)それぞれのノックアウト
マウスの腹腔細胞を調製し、MCB試薬を用いたACA
Sにより、細胞内GSH量を解析した。対照のマウス
(C57BL/6)に比べ、何れのマウスにおいても、
還元型グルタチオンの量は著しく減少した。
【0085】(ノックアウトマウスより調製したマクロ
ファージの機能)野生型マウス(C57BL/6)、そ
れぞれのノックアウトマウスより腹腔細胞を調製し、L
PS、IL−2、IFNγ、及びその組み合わせにより
刺激し、NO産生、IL−6産生、及びIL−12産生
能を測定した。NO産生に関しては、無刺激では何れの
マウスでも殆ど産生が見られないが、LPSとIFNγ
刺激組み合わせにおいて、γcノックアウトマウスで
は、IL−2の併用添加効果が殆ど見られず、対照マウ
スに比較してNO産生は半分以下に低下した。Jak3
ノックアウトマウスについてもγcと同様の結果であっ
た。次に、IL−6の産生能について解析した。LPS
刺激では、γcノックアウトマウスで亢進がみられ(対
照81pg/mlに対し962pg/ml)、IFNγ
刺激では、γcノックアウトマウスで亢進が見られた。
この結果は、NO産生の抑制パターンと同様であった。
次に、LPS、及びIFNγ刺激によるIL−12産生
能を検討した。しかし、何れのマウスにおいても産生は
全くみられなかった。このことは、ここに用いた遺伝子
ノックアウトマウス病態動物は酸化型マクロファージが
増量しTh2主流の液性免疫やアレルギー反応が亢進
し、Th1によって担われる細胞性免疫が低下している
ことを示す。病態動物モデルにおいても本発明が免疫系
疾患の病態診断に独創的で、有意義であることを明確に
示す例である。
【0086】(実施例3)担癌末期マウスにおける還元
型グルタチオン測定による検定
【0087】(方法)担癌末期マウス(COLON2
6)及び正常マウスの腹腔から採取したマクロファージ
の酸化型及び還元型の検定を行った。癌悪液質の産生が
よく知られているCOLON26移植腫瘍をCDF1マ
ウスの背部皮下に5×105個/個体移植し、腫瘍移植
後21日目になって悪液質状態となり、治療に抵抗性と
なった状態のマウスに生理食塩水5mlを腹腔内注射
し、腹腔内マクロファージを採取し3×106個/ml
になるように10%FCS含有フェノールレッド非含有
RPMI1640培地に懸濁し、100μl宛Lab−
Tek Chamber Slide(NUNC社製、#13643
9)に添加、37℃、5%CO2条件下、3時間培養
し、浮遊細胞を除去した後、血清非含有の上記培地を2
00μl添加し、次いでモノクロロバイメイン(monoch
lorobimane=MCB)を10μMになるように添加し、
30分間反応させ、ACAS装置(MERIDIEN社
製)にてUV吸収を基に画像解析した。
【0088】(結果)ACAS法により、還元型グルタ
チオンを定量した結果、正常マウスに比べ、担癌末期モ
デルマウスでは、還元型グルタチオン含量が減少したマ
クロファージ、即ち酸化型マクロファージが相対的に増
量した。酸化型マクロファージが増量しているため、上
記マクロファージ培養上清中のIL−6が顕著に増量し
ていた(対照マウスの120pg/mlに対して、60
0pg/ml)。また、PGE2量も対照の7.6ng
/mlに対して32ng/mlと5倍以上に増量してお
り、担癌末期の免疫抑制状態や、悪液質状態がこれらメ
ディエーターの過剰産生に基づくことが判明した。他に
活性酸素産生の増量も認められた。数多くのパラメータ
ーを測定しなくてもマクロファージの酸化還元状態をグ
ルタチオンの含量を測定することで癌患者の病態、免疫
機能診断等のための検定を簡便且つ的確に行うことがで
きることを示す。このことにより、本発明のマクロファ
ージ分類方法により癌患者の病態、免疫機能診断等のた
めの検定を行うことができる。
【0089】(実施例4) ザルコイドーシス疾患患者から採取したマクロファージ
の検定…酵素リサイクリング法による細胞内総グルタチ
オン量の測定 ザルコイドーシス(類肉腫症)の疾患の患者の末梢血及
び胸腔内から常法により分離・採取した単核球中に含ま
れるマクロファージの酸化型及び還元型マクロファージ
の量を前述の酵素リサイクリング法に還元型グルタチオ
ン(GSH)及び酸化型グルタチオン(GSSG)の量
を生化学的に測定することにより検定を行った。対照と
しては健常人の末梢血を用いた。
【0090】患者:(材料)健常人の末梢血及びザルコ
イドーシス患者の末梢血をヘパリン採血或は患者の気管
支に経気管支鏡(BRONCHOFIBER)的に15
0mlの生理食塩水を注入し、75mlを回収して、何
れもフィコール−ハイペーク(LYMPHOPREP)
で分離精製した単核球を10%FCS含有RPMI16
40培地に懸濁し、3回洗浄後、ガラスシャーレに30
分間付着させたマクロファージ/単球画分を用いた。シ
ャーレからの分離にはラバーポリースマンを用いた。5
×106個のマクロファージについて以下のように検定
を実施した。
【0091】(方法)還元型と酸化型のグルタチオンの
測定は前述の酵素リサイクリング法によった。
【0092】(サンプル調製)PBSにて洗浄した細胞
のペレットに、冷却した5mMEDTAを含有する0.
1Mリン酸バッファー、pH7.5により調製したTr
itonX−100を100μl添加し、5分間室温に
放置して細胞を溶解した。0.1MのHClを15μl
添加し、更に50%sulfosalicylic acid(SSA)溶
液を15μl添加して混合後、12,000rpmで5
分間遠心して上清を採取し(*)、総グルタチオン濃度
(GSH+GSSG)の測定サンプルとした。
【0093】(測定法)0.5mMEDTAを含む10
mMリン酸バッファー、pH7.5を590μl、6u
/mlの濃度に同バッファーで調製したグルタチオンリ
ダクターゼ(ベーリンガーマンハイム社製)を100μ
l、5%NaHCO3にて調製した4mMのNADPH
(シグマ社製)を50μl、サンプルを10μl加え
て、37℃にて5分間インキュベートし、5mMEDT
A含有0.1Mリン酸バッファー、pH7.5により調
製した10mMの5,5′−dithio−bis(2−nitrobe
nzoic acid)(DTNB;シグマ社製)溶液を50μl
加えて、37℃における412nmの吸光度の経時的変
化を分光光度計により測定した。なお、標準サンプルと
して、GSH(シグマ社製)をサンプルと同じ調製法で
調製して用いた。別途、酸化型グルタチオン(GSS
G)量のみを測定し…上記の(*)の後に、2μlの2
−ビニルピリジン(東京化成社製)を添加し、室温で1
分間混和しpHを7.5に調製後、室温に60分間放置
し、測定サンプルとし、同様に測定する…総グルタチオ
ン量より差し引くことで還元型グルタチオン(GSH)
量を求めた。
【0094】(結果)患者の末梢血中の還元型と酸化型
グルタチオンの量はGSSG 5.29μM、GSH
20.45μMと還元型が約80%で、依然として還元
型が優位であるが(健常人においては90%以上が還元
型GSHである)、胸腔内マクロファージでは還元型G
SHが1.45μMであり、酸化型GSSGが15.8
5μMと酸化型が約86%とその存在比が完全に逆転す
ることが判明した。このことは、本疾患において酸化型
マクロファージが病態形成に大きな位置を占めることを
示し、本発明の有用性を示すものである。
【0095】(実施例5) (還元型、酸化型マクロファージからのIL−12産生
の差異)T細胞の分化過程、選択過程、機能発現過程に
異常があると、生体の免疫系が破綻することから、免疫
系の中心的役割は、T細胞により担われていると考えら
れる。T細胞の亜集団の一つであるヘルパーT細胞(T
h)は、リンホカインを産生することにより、免疫担当
細胞や炎症性細胞を制御している細胞であるが、最近、
Thは、産生するリンホカインの種類により、更にTh
1とTh2の2種類に分けられ、それぞれが異なった免
疫機能を担っているという考えが提唱されている(J. I
MMUNOL., VOL.136, PP.2348, 1986)。即ち、Th1
は、IL−2やIFNγを産生し、細胞性免疫の調節の
主体であり、Th2はIL−4、IL−5、IL−6や
IL−10を産生し、液性免疫の調節の主体であり、生
体内の免疫調節の恒常性は、Th1とTh2のバランス
により保たれているとする考えである。通常は、Th1
/Th2バランスがどちらかに傾くと、それを是正する
ことにより恒常性が維持されるが、何らかの原因により
バランスが是正されない状態が持続すると免疫性疾患が
発症すると考えられる。Th1とTh2は、Th0とい
う段階からそれぞれに分化するが、Th0からTh1へ
の分化にはマクロファージの産生するIL−12が重要
であり(IMMUNOLOGY TODAY, VOL.335, PP.14, 1993)、
Th0からTh2への分化にはNKT細胞が産生するI
L−4が重要である(J. EXP. MEDICINE, VOL.179, PP.
1285, 1994)。
【0096】前述の実施例でマクロファージのレドック
ス状態の相違によりマクロファージ機能が異なることが
明らかである。マクロファージには、GSH量の相違か
ら酸化型マクロファージと還元型マクロファージの2種
類のマクロファージが存在し、NOやIL−6産生パタ
ーンが異なる。Th0からTh1への分化を誘導し、T
h1/Th2バランス制御の鍵の分子であるIL−12
の主な産生細胞はマクロファージと考えられるが、その
詳細な解析はこれまで報告されていない。IL−12の
産生は、酸化型マクロファージと還元型マクロファージ
で異なるのか否かは、免疫病の発症メカニズムの観点か
らも興味深い点である。本発明者らは、IL−12が還
元型マクロファージからのみ産生することを見い出すと
ともに、IL−12と同じくTh1/Th2バランス制
御を行っていると考えられているIL−4が、酸化型マ
クロファージ、還元型マクロファージに作用し、Th2
側へシフトさせていることを見出した。本発明で得られ
た知見をもとに、マクロファージのレドックス状態が、
Th1/Th2バランスを制御していることを示し、本
発明が免疫系疾患の病態診断に如何に有用かを説明す
る。
【0097】(IL−12は還元型マクロファージから
産生される)実施例1において、レンチナン(LNT)
を腹腔内投与して調製したマクロファージは、GSH量
の高い還元型であり、LPSを腹腔内注射して調製した
マクロファージは、GSH量の低い酸化型であることを
示した。LNT誘導マクロファージとLPS誘導マクロ
ファージにおいて、IL−12産生能が異なるか否かを
検討した。LPSとIFNγの刺激により、LNT誘導
マクロファージでは著明なIL−12産生(1312p
g/ml)が見られたが、LPS誘導マクロファージ、
及び対照のレジデントマクロファージでは産生が見られ
なかった。以上の結果は図4に示された。次に、細胞内
GSH量を変化させる物質を腹腔内注射して調製したマ
クロファージを用いて同様の解析を行った。細胞内GS
H量を増加させる物質であるGSH−OEt、低下させ
る物質であるDEMをそれぞれ投与し調製したマクロフ
ァージでは、GSH−OEt投与マウス由来マクロファ
ージでのみ、LPSとIFNγ刺激によりIL−12が
産生された(3570pg/ml)。これらの結果は、
細胞内のGSH量の多い還元型マクロファージでのみ、
IL−12が産生されることを示す。
【0098】(還元型マクロファージからのIL−12
産生は、細胞内GSH量を低下させることにより抑制さ
れる)細胞内のGSH量の多い還元型マクロファージで
のみ、IL−12が産生されることを示したが、この産
生は、マクロファージを酸化型にすることにより抑制さ
れるか否かを検討した。即ち、レンチナン誘導マクロフ
ァージを、DEM刺激することにより、IL−12の産
生が抑制されるかを解析した。その結果、レンチナン誘
導マクロファージからのIL−12産生(828pg/
ml)は、DEMを添加することにより、完全に抑制さ
れる(0pg/ml)ことが明らかとなった。
【0099】即ち、DEM処理により細胞内の還元型グ
ルタチオンを枯渇させ、還元型マクロファージを酸化型
マクロファージへと変換することにより、IL−12産
生は抑制されることが示唆された。
【0100】(IL−4は、還元型マクロファージから
のIL−12産生を抑制する)IL−4は、マクロファ
ージに作用し、抑制的に働くとされているサイトカイン
である。IL−4は、Th1/Th2バランスの制御に
おいても、IL−12と相対する作用を有していると考
えられている。そこで、IL−4が、還元型マクロファ
ージからのIL−12産生に対し、抑制的に作用するか
否かを検討した。LNT誘導マクロファージからのIL
−12産生、及びGSH投与マウス由来マクロファージ
からのIL−12産生とも、IL−4で前処理すること
により著明に抑制することが明らかとなった(各々15
80pg/mlより370pg/mlへ、490pg/
mlより258pg/mlへ)。すなわち、IL−4は
マクロファージに作用し、IL−12産生を抑制するこ
とにより、Th1/Th2バランスをTh2側にシフト
している可能性が示唆された。この際、IL−4はマク
ロファージ中の還元型グルタチオン量を著しく減少させ
ることがACASによる画像解析で判明した。
【0101】(IL−4は、NO産生を抑制し、IL−
6産生を亢進する)還元型マクロファージは、酸化型マ
クロファージに比較してIFNγ刺激でのNO産生が亢
進し、逆にIL−6産生は抑制される。IFNγは、T
h1細胞から産生されるサイトカインとして知られてお
り、IL−4がIFNγによるNO産生、及びIL−6
産生に対し、どのような作用を示すか、それぞれのマク
ロファージを用いて解析した。IL−4で前処理したマ
クロファージ(レジデント、LPS誘導、LNT誘導)
にIFNγを作用させ、NO産生量を測定したところ、
IL−4で処理していないマクロファージに比較して、
IL−4処理したマクロファージからのNO産生は有意
に抑制された。また、GSH−OEt刺激により細胞内
GSH量を増加させたマクロファージ、及びDEM刺激
により細胞内GSH量を低下させたマクロファージをI
L−4で前処理後、IFNγとLPSを作用させてNO
産生量を測定したところ、IL−4未処理に比較して、
著しくNO産生が抑制された。
【0102】一方、IL−6産生は、レジデントマクロ
ファージ、LPS誘導マクロファージ、LNT誘導マク
ロファージともIL−4により前処理することにより、
IFNγでの産生が著しく亢進した。更に、GSH−O
Et刺激により細胞内GSH量を増加させたマクロファ
ージ、及びDEM刺激により細胞内GSH量を低下させ
たマクロファージをIL−4で前処理後、IFNγを作
用させてIL−6産生量を測定したところ、IL−4未
処理に比較して、著しくIL−6産生が亢進された。こ
れらの結果より、IL−4は、細胞内還元型グルタチオ
ン量を減少させることにより、酸化型マクロファージを
誘導し、IFNγ刺激によるNO産生を抑制し、IL−
6産生を亢進することが明らかとなった。このことは、
IL−4はIFNγの作用、即ちTh1型の作用と考え
られるNO産生を抑制し、本来IFNγは弱い作用であ
ったIL−6産生誘導を亢進させ、Th2型の作用を増
強させる活性を有していることを示すものである。
【0103】
【発明の効果】本発明のマクロファージの分類方法、免
疫性疾患等の検定方法、及び免疫性疾患治療剤のスクリ
ーニング方法により、マクロファージを酸化型と還元型
とに分類し、その分類に基づき免疫の状態を検定するこ
とが可能となり、従来より優れた免疫性疾患及び癌悪液
質の診断方法及びシステム、並びに治療剤のためのスク
リーニング方法及びシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】想定される、マクロファージの機能の相違並び
にTh1及びTh2バランスに及ぼす効果及び当該機能
の相違による免疫抑制、悪液質状態、癌細胞の悪性化誘
導の機序、局所炎症等との関係を示す模式図である。
【図2】酸化型、還元型マクロファージの存在比がTh
1型、Th2型サイトカインの選択的な産生制御を介し
て免疫機能を制御していることを示す図である。本発明
の知見に基づくものであり、マクロファージの酸化還元
状態がインビボにおける免疫能の傾きを増幅する要にな
っていることを示す図である。
【図3】酸化型マクロファージ及び還元型マクロファー
ジにおける機能の差を示したグラフである。
【図4】酸化型、還元型マクロファージによってTh1
サイトカインであるIL−12の産生量が全く異なり、
IL−12は還元型グルタチオン含量の高い還元型マク
ロファージからのみ産生されることを示す図である。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マクロファージ細胞内の酸化型及び/又は
    還元型グルタチオン量を直接的又は間接的に測定し、酸
    化型及び/又は還元型のグルタチオンの量を検定するこ
    とにより、マクロファージをそれぞれ異なった機能を有
    する酸化型マクロファージと還元型マクロファージとに
    分類することを特徴とするマクロファージの分類方法。
  2. 【請求項2】還元型グルタチオン量の測定方法が、還元
    型グルタチオンと特異的に反応する試薬を細胞内のグル
    タチオンと反応させた後、FACSを用いる方法又はA
    CASによる方法により解析することを特徴とする請求
    項1に記載の分類方法。
  3. 【請求項3】酸化型及び/又は還元型グルタチオン量の
    測定方法が、酸化型又は還元型マクロファージに対する
    特異的なモノクローナル又はポリクローナル抗体を用
    い、FACSにより解析する方法である請求項1に記載
    の分類方法。
  4. 【請求項4】ヒトから分離・採取した体液又は細胞試料
    中に含まれる酸化型及び/又は還元型マクロファージの
    量を検定する工程を含むことを特徴とする免疫性疾患及
    び/又は癌悪液質の検定方法。
  5. 【請求項5】当該工程が、試薬モノクロロバイメイン
    (monochlorobimane)を用いたACASによる工程であ
    る請求項4に記載の検定方法。
  6. 【請求項6】当該工程が、酸化型又は還元型マクロファ
    ージに対する特異的なモノクローナル抗体又はポリクロ
    ーナル抗体を用いたACASによる工程である請求項4
    に記載の検定方法。
  7. 【請求項7】更に、ヒトから分離・採取した体液又は細
    胞試料中に含まれるTh1及び/又はTh2細胞を測定
    する工程を含む請求項4に記載の検定方法。
  8. 【請求項8】ヒトから分離・採取した体液又は細胞試料
    中に含まれる酸化型及び/又は還元型マクロファージの
    量を検定する手段を有することを特徴とする免疫性疾患
    及び/又は癌悪液質の診断システム。
  9. 【請求項9】免疫性疾患又は癌悪液質において、酸化型
    及び/又は還元型マクロファージを特異的に認識又は識
    別する試薬を含有することを特徴とする免疫性疾患及び
    /又は癌悪液質診断キット。
  10. 【請求項10】当該試薬がモノクロロバイメインである
    請求項9に記載のキット。
  11. 【請求項11】当該試薬が酸化型又は還元型マクロファ
    ージに対する特異的なモノクローナル又はポリクローナ
    ル抗体である請求項9に記載のキット。
  12. 【請求項12】各種薬剤を投与した動物から分離・採取
    した体液又は細胞試料中に存在する酸化型及び/又は還
    元型マクロファージの量を検定する工程を含むことを特
    徴とする免疫性疾患の治療又は予防のための薬剤のスク
    リーニング又はモニター方法。
  13. 【請求項13】当該工程が、酸化型及び/又は還元型グ
    ルタチオン量を直接的又は間接的に測定する工程である
    請求項12に記載のスクリーニング又はモニター方法。
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