JP2004338350A - 感熱型極性変換材料およびそれを用いたパターンの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感熱応答基有する感熱型極性変換材料およびそれを用いたパターン形成方法を提供する。また、感熱型極性変換材料を用いた高精細で、高耐性の物性がえられる複合材料およびカラーフィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料、および基材上に形成された感熱型極性変換材料を含有する極性変換層にパターン状に加熱を行い、極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なる部位を作製することを特徴とするパターン形成方法。また、前記の感熱型極性変換材料を用いて複合部材およびカラーフィルターを製造する。
【選択図】なし
【解決手段】加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料、および基材上に形成された感熱型極性変換材料を含有する極性変換層にパターン状に加熱を行い、極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なる部位を作製することを特徴とするパターン形成方法。また、前記の感熱型極性変換材料を用いて複合部材およびカラーフィルターを製造する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料に関する。さらに、本発明は、パターン状に加熱を行い感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、感熱型極性変換材料を疎水性から親水性に変化させるパターン形成方法ならびにその感熱型極性変換材料を用いた複合部材およびカラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基材表面の濡れ性の変化を利用してパターンを形成するパターン形成用材料は多くの分野で使用されている。例えば、特開平11−344804号公報(特許文献1)、特開2000−249821号公報(特許文献2)および特開2000−255165号公報(特許文献3)には、光触媒を利用したパターン形成体およびその製造方法について開示されている。また、特開2001−109091号公報(特許文献4)には、光触媒を利用したパターン形成体、パターン形成方法およびそれを用いた機能性素子の製造方法、特にカラーフィルターとマイクロレンズの製造方法について開示されている。これらの公報に記載のパターン形成体は、光触媒の作用によって濡れ性が変化する物質を用い、フォトマスクを介してUV光をパターン状に照射することによって露光部分と非露光部分の濡れ性の異なる部位を作製してパターンを形成するものであり、更に濡れ性の変化した部位にインキ等の機能性部用組成物を付着させることによってカラーフィルターやマイクロレンズ等の機能性素子を形成させるものである。
しかしながら、前記の特開平11−344804号公報および特開2001−109091号公報に開示されているパターン形成体は、パターン形成体自身に光触媒が含まれる構成となっているため、光触媒によってパターン形成体が劣化するといった問題点を有する。また、前記の特開2000−249821号公報および特開2000−255165号公報に開示されているパターン形成体の製造方法は、光触媒の作用により特性の変化する特性変化層を有するパターン形成体用基板と光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板を、特性変化層と光触媒含有層が接触するように配置した後に露光し、露光させることによって露光した部分の特性変化層の特性を変化させ、その後に光触媒含有層側基板を取り外すことにより、パターン形成体には光触媒を含有しないパターン形成体を製造する方法である。この製造方法によれば、パターン形成体自身の光触媒による経時的劣化は起こらないが、前記のような複雑な工程を経る必要があり、作業性、コストの面で問題点を有する。また、光エネルギーを利用するシステムは、明室下における作業が出来ず、UVカット灯下での作業が余儀なくされ、作業性に劣るといった問題点を有する。
【0003】
他の基材表面の濡れ性の違いを利用した材料として、平板印刷版が挙げられる。平板印刷の分野では画像部と非画像部のインキに対する親和性の差を利用して画像部にのみインキを付着させて印刷を行う。通常は画像部が疎水性で非画像部が親水性であるパターンを形成し、印刷の際に版全面に水を供給し非画像部に水を保持させ、その後油性インキを版に供給することによりインキが非画像部では水にはじかれ、画像部のみにインキを付着させる。これを紙に転写することによって印刷することが出来る。例えば、特開平7−186562号公報(特許文献5)および国際公開WO02/11996(特許文献6)には、加熱下で反応し親水性基を形成する疎水性側鎖を有するポリマーを平板印刷版に適用した技術が開示されている。
しかしながら、前記公報に開示された技術では、平板印刷版を作製することに主眼を置いており、パターンを形成させた材料を使用して機能性部材を作製することに関しては何ら触れられていない。
【0004】
また、従来のカラーフィルターは、主にブラックマトリックスを形成した透明基材の上にまず1色目の画素用組成物をスピンコートによって塗工し、プリベークを行った後にフォトマスクを介して露光し、現像工程により余分な画素用組成物を除去する工程を2色目、3色目の画素についても繰り返すことによって製造している。しかしながら、この製造方法においてはスピンコートによる透明基材への塗工時に材料損失が避けられず、さらに現像工程において多くの不要部を溶解除去する必要があるため、更なる材料損失が生じる。従って、カラーフィルター作製に関わる製造コストが増大するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平11−344804号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】特開2000−249821号公報(第2〜3頁)
【特許文献3】特開2000−255165号公報(第2〜3頁)
【特許文献4】特開2001−109091号公報(第2〜4頁)
【特許文献5】特開平7−186562号公報(第2頁)
【特許文献6】国際公開WO02/11996(第31〜32頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、上記問題点に鑑みなされたものであり、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記の感熱型極性変換材料を用い、パターン状に加熱を行い感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、感熱型極性変換材料の一部を疎水性から親水性に変化させるパターン形成方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、この感熱型極性変換材料を利用した複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、この感熱型極性変換材料を利用することによって、高精細、高耐性であり、画素用組成物の歩留まりが高いカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明者等は、鋭意努力を重ねた結果、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料を用いることにより前記問題点が改善されることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は次の[1]〜[14]である。
[1] 加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有することを特徴とする感熱型極性変換材料。
[2] 感熱応答基を有する化合物が、下記式(1)または(2)で表される官能基を少なくとも1種有する化合物である前記[1]に記載の感熱型極性変換材料。
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、R1及びR2それぞれ水素原子又は炭素数1〜18の有機基、R3は炭素数1〜18の有機基であって、R1とR3又はR2とR3で環を形成してもよい)
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜18の有機基を表す。)
【0012】
[3] 感熱応答基が、カルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる下記式(3)で表されるヘミアセタールエステル基である前記[1]または[2]に記載の感熱型極性変換材料。
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、R7は炭素数3〜8の直鎖、分岐または環状アルキル基を表す。)
【0015】
[4] 感熱応答基が、t−ブチルエステル基であることを特徴とする前記[1]〜[3]に記載の感熱型極性変換材料。
[5] 感熱応答基を有する化合物が、感熱応答基を有する単量体に基づく構成単位を少なくとも有する重合体である前記[1]〜[4]に記載の感熱型極性変換材料。
[6] 感熱応答基を有する単量体が、メタクリル酸またはアクリル酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる単量体である前記[1]に記載の感熱型極性変換材料。
[7] 感熱応答基を有する化合物と、さらに前記感熱応答基が熱分解して生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物、を含有する前記[1]〜[6]に記載の感熱型極性変換材料。
【0016】
[8] 基材上に形成された感熱型極性変換材料からなる極性変換層にパターン状に加熱を行い、極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なる部位を作製することを特徴とするパターン形成方法。
[9] パターン状に加熱を行う方法が、放射線走査により加熱される方法である前記[8]に記載のパターン形成方法。
[10]パ ターン状に加熱を行う方法が、感熱ヘッドにより加熱される方法である前記[8]に記載のパターン形成方法。
【0017】
[11] 基材上に、(1)前記[1]〜[7]に記載の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記[8]〜[10]に記載の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程とを備えることを特徴とする複合材料の製造方法。
【0018】
[12] 基材上に、(1)前記[7]に記載の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記[8]〜[10]に記載の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程と、(4)前記機能性層を配置した後に後加熱を行い感熱応答基および感熱応答基から再生したカルボキシル基とエポキシ化合物のエポキシ基を反応させる工程とを備えることを特徴とする複合材料の製造方法。
【0019】
[13] 前記感熱応答基が熱分解して生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物がエポキシ化合物である前記[13]に記載の複合材料の製造方法。
[14] 前記[11]〜[13]に記載の機能性層がカラーフィルターのブラックマトリックスおよび/または画素であることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の感熱型極性変換材料は、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有することを特徴とする。
まず、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物(以下、「感熱応答基含有化合物」という。)について説明する。
ここで、感熱応答基含有化合物は、加熱されることにより化学変化を起こしカルボキシル基を再生する官能基を含有する化合物であり、加熱されることにより化学変化を起こしカルボキシル基を再生する官能基のことを感熱応答基という。さらに化学変化とは、カルボキシル基と結合している保護基によって疎水性となっている感熱応答基から、加熱分解によりカルボキシル基の保護基が脱離して親水性であるカルボキシル基が再生することをさす。
このような感熱応答基の好ましい例としては、下記式(1)または(2)で表される官能基が挙げられる。
【0021】
【化7】
【0022】
(式中、R1及びR2それぞれ水素原子又は炭素数1〜18の有機基、R3は炭素数1〜18の有機基であって、R1とR3又はR2とR3で環を形成してもよい。)
【0023】
【化8】
【0024】
(R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜18の有機基を表す。)
【0025】
前記の式(1)で表される感熱応答基としては、アルキルビニルエーテルや環状ビニルエーテルとカルボキシル基から得られるヘミアセタールエステル、アルキルオキシメタノールとカルボキシル基から得られるヘミアセタールエステルが挙げられる。
また、式(2)で表される感熱応答基としては、第3級アルコールとカルボキシル基とのエステルが挙げられる。
前記の式(1)で表される感熱応答基に用いられるアルキルビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルテーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。環状ビニルエーテルとしては、例えば2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン等が挙げられる。
また、アルキルオキシメタノールとしては、例えばメトキシメタノール、エトキシメタノール、ベンジロキシメタノール等が挙げられる。第3級アルコールとしては、例えばt−ブタノール、t−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、1−メチル−1−フェニル−1−エタノール、1−エチル−1−フェニル−1−エタノール等が挙げられる。
より好ましい感熱応答基の例としては、カルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる下記式(3)で表されるヘミアセタールエステル基が挙げられる。
【0026】
【化9】
【0027】
(式中、R7は炭素数3〜8の直鎖、分岐または環状アルキル基を表す。)
アルキルビニルエーテルとしては、取り扱い上の問題から沸点が室温以上であることが好ましく、そのようなアルキルビニルエーテルとして、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。式(3)で表されるヘミアセタールエステルは、加熱することにより対応するビニルエーテルを脱離しカルボキシル基を再生する。
カルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる感熱応答基は、カルボキシル基を有する化合物とアルキルビニルエーテルとを、室温ないし100℃の範囲の温度で反応させることにより得ることが出来る。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することが出来る。そのような触媒としては例えば、式(4)
【0028】
【化10】
【0029】
(式中のR8は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、nは1又は2である。)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げられる。より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類、及びイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
【0030】
また、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用することが出来る。そのような有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフタ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル及びエーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素溶媒;さらにジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
また、カルボキシル基を有する化合物としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族カルボン酸;オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3,4−トリメリット酸、1,3,5−トリメリット酸、1,2,4,5−ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和基含有カルボン酸;およびこれらの不飽和基含有カルボン酸の単独重合体、または他の不飽和単量体と共重合した共重合体;水酸基を有する化合物と酸無水物をハーフエステル化して得られる化合物等が挙げられる。
【0032】
また、前記式(2)で表される感熱応答基としては、第3級アルコールとカルボキシル基とのエステルが挙げられる。ここで、式(2)中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜18の有機基を表す。さらにより好ましい感熱応答基の例として、t−ブチルエステル基が挙げられる。t−ブチルエステル基は加熱されることによりイソブテンを脱離しカルボキシル基を再生する。
t−ブチルエステル基を有する化合物としては、カルボキシル基を有する化合物とt−ブタノールをエステル化して得られる化合物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物としては、前記の化合物が挙げられる。
【0033】
本発明の感熱型極性変換材料は、前記感熱応答基含有化合物をバインダー中に分散させて形成することが出来るが、感熱応答基含有化合物単独で製膜性を有することがより好ましい。したがって、感熱応答基を有する単量体に基づく構成単位を少なくとも有する重合体(以下、「感熱応答重合体」という。)を使用することが望ましい。
感熱応答重合体は、感熱応答基を含有する不飽和単量体(以下、「感熱応答単量体」という。)を単独重合、若しくは他の共重合可能な不飽和単量体と共重合して得られる。感熱応答単量体としては、例えば(1)不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテル、環状ビニルエーテルやアルキルオキシメタノールと反応させて得られる化合物、(2)不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基と第3級アルコールを反応して得られる化合物を挙げることが出来る。
不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が好ましく挙げられ、より好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸であり、更に好ましくはメタクリル酸、アクリル酸が挙げられる。
また、感熱応答単量体のより好ましい例としては、前記不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる下記式(3)を感熱応答基として有する化合物が挙げられる。
【0034】
【化11】
【0035】
(式中、R7は炭素数3〜8の直鎖、分岐または環状アルキル基を表す。)
アルキルビニルエーテルとしては、取り扱い上の問題から沸点が室温以上であることが好ましく、そのようなアルキルビニルエーテルとして、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられ、より好ましくはイソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルであり、さらに好ましくはイソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテルである。
不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる不飽和基含有単量体は、不飽和基含有カルボン酸とアルキルビニルエーテルを、室温ないし100℃の範囲の温度で反応させることにより得ることが出来る。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することが出来る。そのような触媒としては、例えば、式(4)
【0036】
【化12】
【0037】
(式中のR8は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、nは1又は2である。)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げられる。より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノールといった第一級アルコール類、及びイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
【0038】
また、反応系を均一にして、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用することが出来る。そのような有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフタ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル及びエーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素溶媒、さらにジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
また、不飽和基の熱重合を防止する目的で重合禁止剤を使用することが出来る。そのような重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、酢酸マンガン,ニトロソフェノール、クペロン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジノオキシル等が挙げられる。
【0040】
また、感熱応答単量体の別のより好ましい例としては、t−ブチルエステル基を有する不飽和単量体が挙げられが、具体的には例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート、ジ−t−ブチルマレート、ジ−t−ブチルフマレート、ジ−t−ブチルイタコネート、ジ−t−ブチルメサコネート、ジ−t−ブチルシトラコネート等が挙げられ、特に好ましくはジ−t−ブチルフマレートである。
【0041】
感熱応答単量体と共重合される他の不飽和単量体としては、特に限定されないが、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20の直鎖または分岐の炭化水素基含有(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20の環状炭化水素基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等の置換もしくは無置換のスチレン系単量体;p−ビニルトルエン等のビニル単量体;アクリロニトリル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の含窒素単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール系単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の含水酸基単量体等が挙げられる。
【0042】
以上に示した単量体を共重合するにあたり、感熱応答単量体とそれ以外の不飽和単量体との比率は、重量比で20/80〜100/0、好ましくは30/70〜100/0、さらに好ましくは35/65〜100/0である。この重量比が20/80未満では、パターン形成後の親水化が不十分であり、所望のパターンが得られない。
【0043】
次に、前記感熱応答重合体の製造方法について述べる。感熱応答重合体は、ビニル重合開始剤の存在下、常法に準じて溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などの各種方法で重合させることにより得ることができる。
ビニル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、トリフエニルメチルアゾベンゼン等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物が用いられる。
【0044】
また、本発明の感熱型極性変換材料に使用される感熱応答基は熱エネルギーによってカルボキシル基を再生するため、感熱型極性変換材料中にカルボキシル基と反応する基を有する化合物を更に含有することにより、後述するようにパターン形成を行った後の感熱型極性変換材料を架橋することが出来る。
また、カラーフィルター等に本発明の感熱型極性変換材料を使用する場合、化学変化により再生したカルボキシル基が最終製造物にそのまま残ると、電気的な信頼性や吸湿性、耐溶剤性等に問題が生じる可能性がある。そこで、感熱型極性変換材料からなる極性変換層上に機能性層を配置した後に後加熱を行う事により再生したカルボキシル基を、カルボキシル基と反応する基を有する化合物と反応させて他構造に変換することにより、信頼性や吸湿性、耐溶剤性等の低下を抑制することが出来る。
【0045】
感熱応答基が熱により生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物の官能基としては、具体的には例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、オキセタン基、シラノ−ル基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基、ケタール基等が挙げられ、特にエポキシ基、オキサゾリン基、オキセタン基が好ましい。入手性等からさらに好ましくはエポキシ基が挙げられる。
【0046】
前記エポキシ基を有する化合物としては、分子中に2個以上エポキシ基を有していればよく、具体的には例えば、
ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の炭素数1〜50の脂肪族多官能性グリシジルエーテル;
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の芳香族多官能性グリシジルエーテル;
アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の炭素数2〜50の脂肪族多官能性ジグリシジルエステル;フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等の炭素数2〜50の芳香族多官能性ジグリシジルエステルが挙げられる。
これらのものは、単独で、または併用して用いてもよい。
好ましくは、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルが挙げられる。
また、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル−3,4−エポキシシクロヘキシル等の単量体を共重合した樹脂も好ましく挙げられる。
【0047】
前記オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、2,2´−ビス(2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(5,5´−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(4,4,4´,4´−テトラメチル−2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,6−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)へキサン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)オクタン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン等が挙げられる。
これらのものは、単独で、または併用して用いてもよい。
反応性、原料の供給性の点から、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼンが好ましい。
【0048】
また、感熱応答基および/または再生したカルボキシル基と、カルボキシル基と反応する基を有する化合物の官能基との反応を促進する目的で硬化触媒を併用することができる。硬化触媒としては、60℃以上の温度で活性を示す熱潜在性触媒が好ましい。60℃未満で活性を示す場合、配合物の貯蔵、保管中に増粘、ゲル化したり、硬化膜劣化等の好ましくない事態が発生する恐れがある。かかる熱潜在性触媒としては、プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、例えば特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
また、配合物を均一にし、取り扱いを容易にする目的で有機溶媒も使用することが出来る。そのような有機溶媒としては、前記に挙げた有機溶媒を使用することができる。
【0049】
次に、本発明のパターン形成方法について説明する。
本発明の感熱型極性変換材料に使用されている感熱応答基はカルボキシル基と結合している保護基によって疎水性となっており、加熱分解によりカルボキシル基の保護基が脱離して親水性であるカルボキシル基が再生する。したがって、基材上に形成された感熱型極性変換材料からなる極性変換層にパターン状に加熱を行うことにより、加熱された部位の極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基が再生し、その結果、加熱された部位の極性変換層の表面は疎水性から親水性に変化し、表面の濡れ性が異なるパターンを形成することが出来る。
本発明に使用される基材としては、極性変換層との密着性や感熱型極性変換材料を用いて作製される複合材料の用途に応じて適宜選択できる。このような基材としては、例えばガラス、プラスチック等の透明基材や、アルミニウム、銅等の金属及びその合金、織布、不織布等を挙げることが出来る。
また、表面の濡れ性は水の接触角の変化で規定することが出来、疎水性とは接触角が50°以上を示すものを意味し、親水性とは接触角が30°以下を示すものを意味する。接触角測定方法は静的接触角測定法や動的接触角測定法が知られているが、後述する機能性層の配置における動的工程を考慮し、動的接触角測定で得られた後退接触角の値を接触角という。また、動的接触角の測定方法としては、拡張収縮法と垂直板法があるが、各測定方法で得られる最小接触角の値は後退接触角とみなす事が出来るため、各測定方法を場合によって使い分けてもよい(参考文献:ぬれ技術ハンドブック、石井淑夫他監修、P.21〜P.22)。
【0050】
また、パターン状に加熱を行う方法としては、極性変換層上に熱によりパターンが形成できる方法であれば特に限定はされないが、放射線走査による方法や感熱ヘッドによる方法を好ましく例示することが出来る。このような放射線走査に用いられる放射線は、感熱型極性変換材料中の感熱応答基の化学反応を起こすことが可能な熱エネルギーを与える必要があるため、赤外線レーザーである事が特に好ましい。このような赤外線レーザーとしては、赤外線YAGレーザー(1064nm)や、半導体レーザー(670nm、780nm、830nm等)、炭酸ガスレーザー(10600nm)等が挙げられる。
また、極性変換層の中または外部に放射線を吸収して熱に変換しうる光−熱変換剤を含有させる事により、より効率的に感熱型極性変換材料に熱エネルギーを付与することが可能になる。このような光−熱変換剤としては、放射線を吸収し効率よく熱に変換する材料が好ましく、使用する光源にあわせて変更させると良い。光源に近赤外半導体レーザーを使用する場合、近赤外に光吸収領域を持つ材料が好ましく、例えば、カーボンブラック、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アズレニウヌ系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントタキノン系色素等の有機化合物、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体等が挙げられる。
【0051】
次に、本感熱型極性変換材料を用いて作製することが出来る複合材料の製造方法について説明する。
本発明は、基材上に(1)前記の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程とを備える複合材料の製造方法である。また、基材上に、(1)前記の極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程と、(4)前記機能性層を配置した後に後加熱を行い感熱応答基および感熱応答基から再生したカルボキシル基とエポキシ化合物のエポキシ基を反応させる工程とを備える複合材料の製造方法である。
【0052】
本発明に使用される基材としては、前記に挙げた基材を使用することが出来る。
前記の基材上に極性変換層(未変換層)を形成する方法としては、感熱型極性変換材料を基材上に従来公知の方法、例えばディップコート法、ドクターブレード法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、エアナイフコート法、スピンコート法等で塗布される。基材上に塗布された感熱型極性変換材料を加熱された空気によって乾燥させる事により、極性変換層を形成する。この際、感熱応答基が化学変化を起こさない程度の加熱条件で乾燥を行う事が必要である。かかる加熱条件としては、50℃〜150℃の範囲の温度で0.5分〜60分の範囲の時間であることが好ましく、より好ましくは50℃〜130℃であり、更に好ましくは50℃〜120℃である。50℃よりも低温においては、乾燥時間が長くなり生産性に劣る可能性があり、150℃よりも高温においては、感熱応答基が化学反応を起こしてしまう可能性がある。
【0053】
また、機能性層とは、視覚的効果を付与する機能や光学的特性を付与する機能、物理的、化学的特性を付与する機能等を備えた層である。パターン化された機能性層を有する複合材料としては、例えば平板印刷用版材、カラーフィルター、スペーサー、マイクロレンズ等が挙げられる。機能性層は、機能性層組成物をパターン形成を行った後の極性変換層上に塗布する事により作製することが出来る。
機能性層組成物は、パターン形成を行った後の極性変換層上において、感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面が疎水性から親水性に変化して濡れ性の異なるパターン部位上にのみ濡れる組成物を使用する事ができる。このような組成物は、水やブチルセロソルブ、エチレングリコール等の高表面張力を示す溶剤から調整された組成物が好ましく、より好ましくは水から調整された組成物である。また、再生したカルボキシル基と機能性層組成物との親和性をさらに高めるために、パターン形成を行った後の極性変換層の表面をアルカリ水溶液で処理を行う事が出来る。
アルカリ水溶液を作製する材料については特に限定されないが、アルカリ金属元素やアルカリ土類元素の水酸化物や炭酸塩が挙げられる。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。さらにアンモニア水、水溶性アミン等が挙げられる。これらのアルカリは、1種単独であるいは2種以上を配合して使用できる。
アルカリ水溶液作製としては、前記材料をpH8〜13、好ましくはpH9〜12になるように所定量を水に溶解する。pH8未満だと表面処理効果がなく、pH13以上だと強アルカリ水溶液となり、作業者の安全性や廃液処理等に問題が生じる。
表面処理の方法としては、例えば、アルカリ水溶液を浸透させたガーゼ等で極性変換層表面を濡らす手法、アルカリ水溶液に浸漬するといった手法が挙げられる。また、アルカリ処理をした後に水洗を行ってもよい。
また、機能性層組成物のpHを8〜13、好ましくはpH9〜12に調整する事により、再生したカルボキシル基と機能性層組成物との親和性をさらに高める事もできる。pHが8より小さい場合、カルボキシル基と機能性層組成物の親和性を高める効果が無く、pHが13より大きい場合、強アルカリ性となり作業者の安全性や廃液処理等に問題が生じる。
機能性層組成物は、ドクターブレード法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、エアナイフコート法等の塗布方法で塗布される。
【0054】
以下、図面を用いて各工程について説明する。
工程(1):まず、図1(a)に示すように、感熱応答基を有する極性変換層20を基材10上に形成する。
工程(2):次に、図1(b)に示すように、極性変換層20に対してパターン状に加熱を行う事により、感熱応答基からカルボキシル基が再生し疎水性から親水性に変化して濡れ性が変化したパターン部位21を形成する。
工程(3):次に、図1(c)に示すように、機能性組成物を塗布して濡れ性が変化したパターン部位21上に機能性層40を配置し、複合部材50を得る。
工程(4):感熱型極性変換材料にエポキシ化合物を含有している場合、図1(d)に示すように後加熱を行い感熱応答基および感熱応答基から再生したカルボキシル基とエポキシ化合物のエポキシ基を反応させ、極性変換層を架橋させる。
また、図2に示すように、前記工程(2)と工程(3)を繰り返し行う事により、感熱型極性変換材料上に異なる機能性層40、41が配置された複合部材52を得る事が出来る。
【0055】
次に、本発明の感熱型極性変換材料を用いたカラーフィルターの製造方法について説明する。
カラーフィルターは液晶ディスプレイ(LCD)やELディスプレイ等に使用されるものであり、ブラックマトリックス(BM)や赤(R)、緑(G)、青(B)等の複数の画素をガラスや透明プラスチック等の透明基材の上に高精度なパターンで形成されたものである。本発明の感熱型極性変換材料をカラーフィルターの製造に用いることにより、従来よりも少ない工程でかつ画素用組成物の無駄が少なく低コストでカラーフィルターを製造することが出来る。以下、図3(a〜e)によりカラーフィルターの製造方法を説明する。
工程(1):まず、図3(a)に示すように、感熱応答基を有する極性変換層20を透明基材11上に形成する。
工程(2):次に、図3(b)に示すように、極性変換層20に対してブラックマトリックスの形成パターンに従って加熱を行う事により、感熱応答基からカルボキシル基が再生し疎水性から親水性に変化して濡れ性が変化したブラックマトリックス用パターン部位24を形成する。
工程(3):次に、図3(c)に示すように、BM用組成物を塗布してブラックマトリックス用パターン部24上にブラックマトリックス42を配置する。
以降、工程(2)と(3)を、赤、青、緑の各画素について繰り返すことにより、カラーフィルターを製造する(図3(d))。
また、最終的にカラーフィルター全体を加熱して極性変換層を架橋し、透明基材に対する密着性や耐熱性を向上させる(図3(e))。
【0056】
【実施例】
次に、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に本発明で用いた分析方法、評価方法を示す。
1.粘度の測定;
粘度の測定は、EHD型粘度計(東機産業製)温度25℃で行った。
2.重量平均分子量の測定;
重量平均分子量の測定は、東ソー(株)社製ゲル浸透クロマトグラフィーSC−8010(GPC)を用い、カラムとして昭和電工(株)社製{SHODEX}を用い、THFを溶離液として測定した(標準;ポリスチレン、検出器;RI)。
3.触角の測定;
接触角の測定は、垂直板法による測定と、拡張収縮法による測定とを行なった。
垂直板法による測定では、動的接触角測定器((エー・アンド・ディ社製、DCA−20)を用い、拡張収縮法による測定では、接触角測定装置(協和界面化学社製 CA−W)を用いた。垂直板法では、後退接触角を、拡張収縮法では、収縮時の接触角を測定した。
4.溶剤性試験;
アセトンをしみ込ませた布を用いて50回ワイプする事により溶剤に対する性能を試験した。
【0057】
(感熱応答単量体の合成)
合成例1〜3;<感熱応答単量体溶液(a−1)〜(a−3)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合組成により原料を仕込み、65℃で攪拌した。混合物の酸価が2mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、表1に示す略号の固形分70重量%の感熱応答単量体溶液を得た。
【0058】
【表1】
【0059】
なお、表1中の原料の略号は下記のとおりである。
MA:メタクリル酸 AA:アクリル酸 HQ:ヒドロキノン NPVE:n−プロピルビニルエーテル IPVE:iso−プロピルビニルエーテル MEK:メチルエチルケトン
【0060】
(感熱応答重合体の合成)
合成例4〜6;<感熱応答重合物溶液(A−1)〜(A−3)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、表2および表3に示す配合組成により、まず、溶剤を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ、80℃に昇温した。つぎに、これに合成例1〜3で得た感熱応答単量体溶液と共重合単量体と重合触媒との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後4時間その温度で保持して重合を完了した。得られた重合体は、その後調整し、表2および表3に示す略号の固形分50重量%の感熱応答重合体溶液を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
なお、表2中の原料の略号は下記のとおりである。
MEK:メチルエチルケトン MMA:メチルメタクリレート AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
【0063】
合成例7;<感熱応答重合物溶液(A−4)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてMEK49.4重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ80℃に昇温した。つぎに、これに感熱応答単量体としてt−ブチルメタクリレート29.2重量部、共重合モノマーとしてメチルメタクリレート20.8重量部、重合開始剤としてAIBN0.6重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後4時間その温度で保持して重合を完了した。固形分50重量%で粘度が10.3ポイズ、重量平均分子量が41、000の感熱応答重合体溶液(A−4)を得た。
【0064】
合成例8;<感熱応答重合体溶液(A−5)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてMEK49.5重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ80℃に昇温した。つぎに、これに感熱応答単量体としてジ−t−ブチルフマレート18.9重量部、共重合モノマーとしてスチレン10.0重量部、メチルメタクリレート21.1重量部、重合開始剤としてパーブチルO(日本油脂社製、有機過酸化物、商品名)0.5重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後10時間その温度で保持して重合を完了し、固形分50重量%で粘度が11.5ポイズ、重量平均分子量が45、000の感熱応答重合体溶液(A−5)を得た。
【0065】
比較合成例1;<比較用重合体溶液(R−1)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてMEK49.4重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ80℃に昇温した。つぎに、これに比較用単量体としてn−ブチルメタクリレート29.2重量部、共重合モノマーとしてメチルメタクリレート20.8重量部、重合開始剤としてAIBN0.6重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後4時間その温度で保持して重合を完了し、固形分50重量%で粘度が9.8ポイズ、重量平均分子量が39、000の比較用重合体溶液(R−1)を得た。
【0066】
実施例1〜5
アルミ板に感熱重合体溶液(A−1)〜(A−5)をディップ塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、アルミ板上に乾燥膜厚1μmの感熱型極性変換材料からなる極性変換層を形成した。次に、極性変換層の接触角を動的接触角測定器(エー・アンド・ディ社製、DCA−20)を用いて測定した。次に、各試料を熱風乾燥機を用いて200℃で1分間加熱を行なった。その後、前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定した。さらに、pH11に調整したKOH水溶液に10秒間浸漬して表面処理を行った後に前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定した。
【0067】
比較例1
実施例1の感熱重合体溶液(A−1)の代わりに、アルミ板に比較用重合体溶液(R−1)をディップ塗工した以外は実施例1と同様にして層を形成した。その後前記の方法に従って接触角測定を行った。
実施例1〜5、比較例1の評価結果を以下の表3にまとめた。
【0068】
【表3】
【0069】
表から明らかなように、実施例1〜5の感熱型極性変換材料は熱エネルギーを与える事により疎水性(接触角が大きい)から親水性(接触角が小さい)に化学変化を起こしている。さらに、アルカリ水溶液で処理する事により親水性の度合が強くなっている。これに対し、比較例1では感熱応答基を有していないため、熱エネルギーを与えても疎水性から親水性への化学変化は起こらなかった。
【0070】
実施例6〜10
(極性変換層用配合物の調整)
前記合成例で得られた感熱重合体溶液(A−1)〜(A−5)各100重量部に対し、エポキシ基を有する化合物としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名)38.5重量部を加え、よく攪拌することにより極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)を得た。
アルミ板に、前記の極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)をディップ塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、アルミ板上に乾燥膜厚1μmの感熱型極性変換材料からなる極性変換層を形成した。得られた極性変換層の接触角を動的接触角測定器(エー・アンド・ディ社製、DCA−20)を用いて測定した。次に、各試料を熱風乾燥機を用いて200℃で1分間加熱を行なった。
その後、前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定し、またアセトンをしみ込ませた布を用いて50往復ワイプする事により耐溶剤性試験を行った。さらに、各試料を熱風乾燥機を用いて200℃で30分間加熱を行った。その後、前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定し、またアセトンをしみ込ませた布を用いて50回ワイプする事により耐溶剤性試験を行った。
【0071】
比較例2
比較用極性変換層用配合物として、比較用重合体溶液(R−1)100重量部に対し、エポキシ基を有する化合物としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名)38.5重量部を加え、よく攪拌することにより比較用極性変換層用配合物(P−6)を得た。得られた比較用極性変換層用配合物(P−6)を用い、アルミ板上にディップ塗工して層を形成した以外は実施例6と同様に行った。前記の方法に従って接触角測定および耐溶剤性試験を行った。
実施例6〜10、比較例2の組成を表4に、評価結果を表5にまとめた。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
表から明らかなように、実施例6〜10の感熱型極性変換材料はパターン形成時の熱エネルギーによって疎水性から親水性に変化し、さらにエポキシ基を有する化合物を含有しているため、その後に後加熱する事により再生したカルボキシル基とエポキシ基が架橋反応を起こす事により疎水性に戻り、さらに感熱型極性変換材料の耐溶剤性が向上している。すなわち、信頼性や吸湿性等に悪影響を及ぼすと考えられるカルボキシル基を無くす事が可能である。
これに対し、比較例2では、感熱応答基を有していないため、熱エネルギーを与えても疎水性から親水性への化学変化は起こらず、後加熱を行ってもカルボキシル基が再生しないためにエポキシ基と架橋反応が進行せず、耐溶剤性も劣るものであった。
【0075】
(パターン形成方法)
(実施例11〜20)
ガラス板上に感熱応答重合体溶液(A−1)〜(A−5)および、極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面に半導体レーザー(波長:830nm、出力:500mW)を走査露光した。走査露光条件は、露光エネルギー:200mJ/cm2、ビーム半径:5μm、走査速度:2.0m/secである。
露光後、接触角測定器(協和界面科学社製、CA−W)を用いて、拡張収縮法により未露光部と露光部の接触角測定を行った。
【0076】
(比較例3、4)
ガラス板上に比較用重合体溶液(R−1)および比較用極性変換層用配合物(P−6)を塗工した以外は実施例11と同様に行った。前記の方法に従って接触角測定を行った。
実施例11〜20、比較例3、4の評価結果を以下の表6にまとめて示す。
【0077】
【表6】
【0078】
表から明らかなように、実施例11〜20の感熱型極性変換材料からなる極性変換層に赤外線レーザーを走査露光してパターン状に加熱する事により、極性変換層中の感熱応答基が疎水性から親水性に変化し、極性変換層の表面に濡れ性の異なるパターンを形成することが出来る。これに対して、比較例3、4においては、濡れ性の異なるパターンを形成することは出来なかった。
【0079】
実施例21〜30
厚みが125μmのPETフィルム上に感熱応答重合体溶液(A−1)〜(A−5)および、極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をPETフィルム上に形成した。次に、極性変換層を備えたPETフィルムを感熱ヘッドを備えたプリンターに装着し、感熱ヘッドによってパターン形成を行った。次に、接触角測定器(協和界面科学社製、CA−W)を用いて、拡張収縮法によりパターン未形成部とパターン形成部の接触角測定を行った。
【0080】
比較例5、6
PETフィルム上に比較用重合体溶液(R−1)および比較用極性変換層用配合物(P−6)を塗工した以外は実施例21と同様に行った。前記の方法に従って接触角測定を行った。
実施例21〜30、比較例5、6の評価結果を以下の表7にまとめて示す。
【0081】
【表7】
【0082】
表から明らかなように、実施例21〜22の感熱型極性変換材料からなる極性変換層に感熱ヘッドによりパターン状に加熱することにより、極性変換層中の感熱応答基が疎水性から親水性に変化し、極性変換層の表面に濡れ性の異なるパターンを形成することが出来る。それに対し、比較例5、6においては、濡れ性の異なるパターンを形成することは出来なかった。
【0083】
(アクリル樹脂水溶液の製造)
合成例9;<アクリル樹脂水溶液(A−6)の製造>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてブチルセロソルブ80重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ140℃に昇温した。つぎに、これにメチルメタクリレート45重量部、ブチルアクリレート25重量部、スチレン10重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アクリル酸10重量部、重合開始剤としてパーブチルZ(日本油脂(株)社製、有機過酸化物、商品名)1.5重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後2時間その温度で保持して重合を完了し、固形分55.6重量%、酸価43mgKO/g、数平均分子量4600の樹脂溶液を得た。このものをジメチルエタノールアミンで当量中和し、さらに脱イオン水を加えることにより、固形分50重量%のアクリル樹脂水溶液(A−6)を得た。
【0084】
(機能性層組成物の製造)
製造例1;<ブラックマトリックス用組成物(K−1)の製造>
合成例9で得られたアクリル樹脂水溶液(A−6)100重量部にカーボンブラック15重量部を加え、3mmφのジルコニア製ボールを入れたボールミルを用いて18時間混合し分散させた。次に、この分散液をろ過してジルコニア製ボールを取り除いた後、脱イオン水100重量部を加えブラックマトリックス用組成物(K−1)を得た。
【0085】
製造例2〜4;画素用組成物(R−1)、(G−1)、(B−1)の製造
製造例1のカーボンブラックをそれぞれC.I.Pigment Red168、C.I.Pigment Green36、C.I.Pigment Blue60に変えた以外は前記製造例1と同様にして画素用組成物(R−1)、(G−1)、(B−1)を得た。
【0086】
(複合材料の製造方法)
実施例31
ガラス板上に感熱重合体溶液(A−1)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面を半導体レーザー(波長:830nm、出力:500mW)で100μmのライン&スペースのパターンで走査露光することにより加熱を行い、極性変換層の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成した。なお、走査露光条件は、露光エネルギー:200mJ/cm2、ビーム半径:10μm、走査速度:2.0m/secである。
次に、製造例2で得られた画素用組成物(R−1)をロールコーターを用いて塗工したところ、画素用組成物は極性変換層上の親水性に変化したパターン部位上にのみ配置され、100μmのライン&スペースのパターンを持った複合部材が作製された。
【0087】
実施例32
ガラス板上に極性変換層用配合物(P−1)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面を半導体レーザーで実施例31と同様の条件で走査露光を行い、極性変換層の表面に濡れ性の異なるパターンを形成した。
次に、製造例2で得られた画素用組成物(R−1)をロールコーターを用いて塗工したところ、画素用組成物は極性変換層上の親水性に変化した部位上にのみ配置され、100μmのライン&スペースのパターンを持った複合部材が作製された。
次に、得られた複合部材を熱風乾燥機を用いて200℃で30分加熱を行った。次に、複合部材の表面をアセトンをしみ込ませた布で50往復ワイプを行ったが、感熱型極性変換材料はエポキシ樹脂によって架橋されているため何ら変化は起こらなかった。
【0088】
(カラーフィルターの製造)
実施例33
厚みが0.7mmの無アルカリガラスの上に極性変換層用配合物(P−1)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面を半導体レーザーでブラックマトリックスのパターンに沿って実施例31と同様の条件で走査露光を行った。次に、ブラックマトリックス用組成物(K−1)をロールコーターにより塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行った。次に、極性変換層の表面を半導体レーザーで画素Rのパターンに沿って走査露光し、画素用組成物(R−1)をロールコーターにより塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行った。以降、画素G、画素Bについても同様の操作を繰り返す事により、ブラックマトリックス、画素R、画素G、画素Bからなるパターンを形成した。次に、熱風乾燥機を用いて200℃で30分間加熱を行う事により極性変換層を架橋させ、カラーフィルターを得た。
本発明の感熱型極性変換材料を用いてカラーフィルターを製造する事により、画素用組成物はパターン部位上にのみ配置されるので、材料損失が大きく押さえられ製造コストを減少させる事が出来る。
【0089】
【発明の効果】
本発明の感熱型極性変換材料は、特定の加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有するので、パターン状に加熱を行う事により表面の濡れ性が変化したパターンを形成することが出来る。本発明の材料は、基材の表面に感熱型極性変換材料を層として形成させて、その表面を濡れ性の異なるパターンとしこれを利用して複合部材やカラーフィルターを製造する事が出来るので産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合部材を製造する方法を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の別の複合部材を製造する方法を説明する図である。
【図3】図3は、本発明のカラーフィルターを製造する方法を説明する図である。
【符号の説明】
10・・・基材、11・・・透明基材、20・・・極性変換層、21・・・濡れ性が変化したパターン部位、22・・・架橋部位、23・・・濡れ性が変化したパターン部位、24・・・ブラックマトリックス用パターン部位、25R・・・画素R用パターン部位、25G・・・画素G用パターン部位、25B・・・画素B用パターン部位、30・・・熱エネルギー、40・・・機能性層、41・・・機能性層、42・・・ブラックマトリックス、43R・・・画素R、43G・・・画素G、43B・・・画素B、50・・・複合部材、51・・・複合部材、52・・・複合部材、53・・・カラーフィルター
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料に関する。さらに、本発明は、パターン状に加熱を行い感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、感熱型極性変換材料を疎水性から親水性に変化させるパターン形成方法ならびにその感熱型極性変換材料を用いた複合部材およびカラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基材表面の濡れ性の変化を利用してパターンを形成するパターン形成用材料は多くの分野で使用されている。例えば、特開平11−344804号公報(特許文献1)、特開2000−249821号公報(特許文献2)および特開2000−255165号公報(特許文献3)には、光触媒を利用したパターン形成体およびその製造方法について開示されている。また、特開2001−109091号公報(特許文献4)には、光触媒を利用したパターン形成体、パターン形成方法およびそれを用いた機能性素子の製造方法、特にカラーフィルターとマイクロレンズの製造方法について開示されている。これらの公報に記載のパターン形成体は、光触媒の作用によって濡れ性が変化する物質を用い、フォトマスクを介してUV光をパターン状に照射することによって露光部分と非露光部分の濡れ性の異なる部位を作製してパターンを形成するものであり、更に濡れ性の変化した部位にインキ等の機能性部用組成物を付着させることによってカラーフィルターやマイクロレンズ等の機能性素子を形成させるものである。
しかしながら、前記の特開平11−344804号公報および特開2001−109091号公報に開示されているパターン形成体は、パターン形成体自身に光触媒が含まれる構成となっているため、光触媒によってパターン形成体が劣化するといった問題点を有する。また、前記の特開2000−249821号公報および特開2000−255165号公報に開示されているパターン形成体の製造方法は、光触媒の作用により特性の変化する特性変化層を有するパターン形成体用基板と光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板を、特性変化層と光触媒含有層が接触するように配置した後に露光し、露光させることによって露光した部分の特性変化層の特性を変化させ、その後に光触媒含有層側基板を取り外すことにより、パターン形成体には光触媒を含有しないパターン形成体を製造する方法である。この製造方法によれば、パターン形成体自身の光触媒による経時的劣化は起こらないが、前記のような複雑な工程を経る必要があり、作業性、コストの面で問題点を有する。また、光エネルギーを利用するシステムは、明室下における作業が出来ず、UVカット灯下での作業が余儀なくされ、作業性に劣るといった問題点を有する。
【0003】
他の基材表面の濡れ性の違いを利用した材料として、平板印刷版が挙げられる。平板印刷の分野では画像部と非画像部のインキに対する親和性の差を利用して画像部にのみインキを付着させて印刷を行う。通常は画像部が疎水性で非画像部が親水性であるパターンを形成し、印刷の際に版全面に水を供給し非画像部に水を保持させ、その後油性インキを版に供給することによりインキが非画像部では水にはじかれ、画像部のみにインキを付着させる。これを紙に転写することによって印刷することが出来る。例えば、特開平7−186562号公報(特許文献5)および国際公開WO02/11996(特許文献6)には、加熱下で反応し親水性基を形成する疎水性側鎖を有するポリマーを平板印刷版に適用した技術が開示されている。
しかしながら、前記公報に開示された技術では、平板印刷版を作製することに主眼を置いており、パターンを形成させた材料を使用して機能性部材を作製することに関しては何ら触れられていない。
【0004】
また、従来のカラーフィルターは、主にブラックマトリックスを形成した透明基材の上にまず1色目の画素用組成物をスピンコートによって塗工し、プリベークを行った後にフォトマスクを介して露光し、現像工程により余分な画素用組成物を除去する工程を2色目、3色目の画素についても繰り返すことによって製造している。しかしながら、この製造方法においてはスピンコートによる透明基材への塗工時に材料損失が避けられず、さらに現像工程において多くの不要部を溶解除去する必要があるため、更なる材料損失が生じる。従って、カラーフィルター作製に関わる製造コストが増大するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平11−344804号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】特開2000−249821号公報(第2〜3頁)
【特許文献3】特開2000−255165号公報(第2〜3頁)
【特許文献4】特開2001−109091号公報(第2〜4頁)
【特許文献5】特開平7−186562号公報(第2頁)
【特許文献6】国際公開WO02/11996(第31〜32頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、上記問題点に鑑みなされたものであり、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記の感熱型極性変換材料を用い、パターン状に加熱を行い感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、感熱型極性変換材料の一部を疎水性から親水性に変化させるパターン形成方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、この感熱型極性変換材料を利用した複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、この感熱型極性変換材料を利用することによって、高精細、高耐性であり、画素用組成物の歩留まりが高いカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明者等は、鋭意努力を重ねた結果、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有する感熱型極性変換材料を用いることにより前記問題点が改善されることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は次の[1]〜[14]である。
[1] 加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有することを特徴とする感熱型極性変換材料。
[2] 感熱応答基を有する化合物が、下記式(1)または(2)で表される官能基を少なくとも1種有する化合物である前記[1]に記載の感熱型極性変換材料。
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、R1及びR2それぞれ水素原子又は炭素数1〜18の有機基、R3は炭素数1〜18の有機基であって、R1とR3又はR2とR3で環を形成してもよい)
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜18の有機基を表す。)
【0012】
[3] 感熱応答基が、カルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる下記式(3)で表されるヘミアセタールエステル基である前記[1]または[2]に記載の感熱型極性変換材料。
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、R7は炭素数3〜8の直鎖、分岐または環状アルキル基を表す。)
【0015】
[4] 感熱応答基が、t−ブチルエステル基であることを特徴とする前記[1]〜[3]に記載の感熱型極性変換材料。
[5] 感熱応答基を有する化合物が、感熱応答基を有する単量体に基づく構成単位を少なくとも有する重合体である前記[1]〜[4]に記載の感熱型極性変換材料。
[6] 感熱応答基を有する単量体が、メタクリル酸またはアクリル酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる単量体である前記[1]に記載の感熱型極性変換材料。
[7] 感熱応答基を有する化合物と、さらに前記感熱応答基が熱分解して生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物、を含有する前記[1]〜[6]に記載の感熱型極性変換材料。
【0016】
[8] 基材上に形成された感熱型極性変換材料からなる極性変換層にパターン状に加熱を行い、極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なる部位を作製することを特徴とするパターン形成方法。
[9] パターン状に加熱を行う方法が、放射線走査により加熱される方法である前記[8]に記載のパターン形成方法。
[10]パ ターン状に加熱を行う方法が、感熱ヘッドにより加熱される方法である前記[8]に記載のパターン形成方法。
【0017】
[11] 基材上に、(1)前記[1]〜[7]に記載の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記[8]〜[10]に記載の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程とを備えることを特徴とする複合材料の製造方法。
【0018】
[12] 基材上に、(1)前記[7]に記載の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記[8]〜[10]に記載の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程と、(4)前記機能性層を配置した後に後加熱を行い感熱応答基および感熱応答基から再生したカルボキシル基とエポキシ化合物のエポキシ基を反応させる工程とを備えることを特徴とする複合材料の製造方法。
【0019】
[13] 前記感熱応答基が熱分解して生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物がエポキシ化合物である前記[13]に記載の複合材料の製造方法。
[14] 前記[11]〜[13]に記載の機能性層がカラーフィルターのブラックマトリックスおよび/または画素であることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の感熱型極性変換材料は、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有することを特徴とする。
まず、加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物(以下、「感熱応答基含有化合物」という。)について説明する。
ここで、感熱応答基含有化合物は、加熱されることにより化学変化を起こしカルボキシル基を再生する官能基を含有する化合物であり、加熱されることにより化学変化を起こしカルボキシル基を再生する官能基のことを感熱応答基という。さらに化学変化とは、カルボキシル基と結合している保護基によって疎水性となっている感熱応答基から、加熱分解によりカルボキシル基の保護基が脱離して親水性であるカルボキシル基が再生することをさす。
このような感熱応答基の好ましい例としては、下記式(1)または(2)で表される官能基が挙げられる。
【0021】
【化7】
【0022】
(式中、R1及びR2それぞれ水素原子又は炭素数1〜18の有機基、R3は炭素数1〜18の有機基であって、R1とR3又はR2とR3で環を形成してもよい。)
【0023】
【化8】
【0024】
(R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜18の有機基を表す。)
【0025】
前記の式(1)で表される感熱応答基としては、アルキルビニルエーテルや環状ビニルエーテルとカルボキシル基から得られるヘミアセタールエステル、アルキルオキシメタノールとカルボキシル基から得られるヘミアセタールエステルが挙げられる。
また、式(2)で表される感熱応答基としては、第3級アルコールとカルボキシル基とのエステルが挙げられる。
前記の式(1)で表される感熱応答基に用いられるアルキルビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルテーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。環状ビニルエーテルとしては、例えば2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン等が挙げられる。
また、アルキルオキシメタノールとしては、例えばメトキシメタノール、エトキシメタノール、ベンジロキシメタノール等が挙げられる。第3級アルコールとしては、例えばt−ブタノール、t−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、1−メチル−1−フェニル−1−エタノール、1−エチル−1−フェニル−1−エタノール等が挙げられる。
より好ましい感熱応答基の例としては、カルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる下記式(3)で表されるヘミアセタールエステル基が挙げられる。
【0026】
【化9】
【0027】
(式中、R7は炭素数3〜8の直鎖、分岐または環状アルキル基を表す。)
アルキルビニルエーテルとしては、取り扱い上の問題から沸点が室温以上であることが好ましく、そのようなアルキルビニルエーテルとして、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。式(3)で表されるヘミアセタールエステルは、加熱することにより対応するビニルエーテルを脱離しカルボキシル基を再生する。
カルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる感熱応答基は、カルボキシル基を有する化合物とアルキルビニルエーテルとを、室温ないし100℃の範囲の温度で反応させることにより得ることが出来る。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することが出来る。そのような触媒としては例えば、式(4)
【0028】
【化10】
【0029】
(式中のR8は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、nは1又は2である。)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げられる。より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール類、及びイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
【0030】
また、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用することが出来る。そのような有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフタ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル及びエーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素溶媒;さらにジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0031】
また、カルボキシル基を有する化合物としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族カルボン酸;オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3,4−トリメリット酸、1,3,5−トリメリット酸、1,2,4,5−ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和基含有カルボン酸;およびこれらの不飽和基含有カルボン酸の単独重合体、または他の不飽和単量体と共重合した共重合体;水酸基を有する化合物と酸無水物をハーフエステル化して得られる化合物等が挙げられる。
【0032】
また、前記式(2)で表される感熱応答基としては、第3級アルコールとカルボキシル基とのエステルが挙げられる。ここで、式(2)中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜18の有機基を表す。さらにより好ましい感熱応答基の例として、t−ブチルエステル基が挙げられる。t−ブチルエステル基は加熱されることによりイソブテンを脱離しカルボキシル基を再生する。
t−ブチルエステル基を有する化合物としては、カルボキシル基を有する化合物とt−ブタノールをエステル化して得られる化合物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物としては、前記の化合物が挙げられる。
【0033】
本発明の感熱型極性変換材料は、前記感熱応答基含有化合物をバインダー中に分散させて形成することが出来るが、感熱応答基含有化合物単独で製膜性を有することがより好ましい。したがって、感熱応答基を有する単量体に基づく構成単位を少なくとも有する重合体(以下、「感熱応答重合体」という。)を使用することが望ましい。
感熱応答重合体は、感熱応答基を含有する不飽和単量体(以下、「感熱応答単量体」という。)を単独重合、若しくは他の共重合可能な不飽和単量体と共重合して得られる。感熱応答単量体としては、例えば(1)不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテル、環状ビニルエーテルやアルキルオキシメタノールと反応させて得られる化合物、(2)不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基と第3級アルコールを反応して得られる化合物を挙げることが出来る。
不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が好ましく挙げられ、より好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸であり、更に好ましくはメタクリル酸、アクリル酸が挙げられる。
また、感熱応答単量体のより好ましい例としては、前記不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる下記式(3)を感熱応答基として有する化合物が挙げられる。
【0034】
【化11】
【0035】
(式中、R7は炭素数3〜8の直鎖、分岐または環状アルキル基を表す。)
アルキルビニルエーテルとしては、取り扱い上の問題から沸点が室温以上であることが好ましく、そのようなアルキルビニルエーテルとして、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられ、より好ましくはイソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルであり、さらに好ましくはイソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテルである。
不飽和基含有カルボン酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる不飽和基含有単量体は、不飽和基含有カルボン酸とアルキルビニルエーテルを、室温ないし100℃の範囲の温度で反応させることにより得ることが出来る。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することが出来る。そのような触媒としては、例えば、式(4)
【0036】
【化12】
【0037】
(式中のR8は炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基、nは1又は2である。)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げられる。より具体的には、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノールといった第一級アルコール類、及びイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノールなどの第二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。
【0038】
また、反応系を均一にして、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用することが出来る。そのような有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフタ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル及びエーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の含窒素溶媒、さらにジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
また、不飽和基の熱重合を防止する目的で重合禁止剤を使用することが出来る。そのような重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、酢酸マンガン,ニトロソフェノール、クペロン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジノオキシル等が挙げられる。
【0040】
また、感熱応答単量体の別のより好ましい例としては、t−ブチルエステル基を有する不飽和単量体が挙げられが、具体的には例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート、ジ−t−ブチルマレート、ジ−t−ブチルフマレート、ジ−t−ブチルイタコネート、ジ−t−ブチルメサコネート、ジ−t−ブチルシトラコネート等が挙げられ、特に好ましくはジ−t−ブチルフマレートである。
【0041】
感熱応答単量体と共重合される他の不飽和単量体としては、特に限定されないが、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20の直鎖または分岐の炭化水素基含有(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20の環状炭化水素基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等の置換もしくは無置換のスチレン系単量体;p−ビニルトルエン等のビニル単量体;アクリロニトリル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の含窒素単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール系単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の含水酸基単量体等が挙げられる。
【0042】
以上に示した単量体を共重合するにあたり、感熱応答単量体とそれ以外の不飽和単量体との比率は、重量比で20/80〜100/0、好ましくは30/70〜100/0、さらに好ましくは35/65〜100/0である。この重量比が20/80未満では、パターン形成後の親水化が不十分であり、所望のパターンが得られない。
【0043】
次に、前記感熱応答重合体の製造方法について述べる。感熱応答重合体は、ビニル重合開始剤の存在下、常法に準じて溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合などの各種方法で重合させることにより得ることができる。
ビニル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、トリフエニルメチルアゾベンゼン等のアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物が用いられる。
【0044】
また、本発明の感熱型極性変換材料に使用される感熱応答基は熱エネルギーによってカルボキシル基を再生するため、感熱型極性変換材料中にカルボキシル基と反応する基を有する化合物を更に含有することにより、後述するようにパターン形成を行った後の感熱型極性変換材料を架橋することが出来る。
また、カラーフィルター等に本発明の感熱型極性変換材料を使用する場合、化学変化により再生したカルボキシル基が最終製造物にそのまま残ると、電気的な信頼性や吸湿性、耐溶剤性等に問題が生じる可能性がある。そこで、感熱型極性変換材料からなる極性変換層上に機能性層を配置した後に後加熱を行う事により再生したカルボキシル基を、カルボキシル基と反応する基を有する化合物と反応させて他構造に変換することにより、信頼性や吸湿性、耐溶剤性等の低下を抑制することが出来る。
【0045】
感熱応答基が熱により生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物の官能基としては、具体的には例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、オキセタン基、シラノ−ル基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、シクロカーボネート基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、アミノメチロール基、アルキル化アミノメチロール基、アセタール基、ケタール基等が挙げられ、特にエポキシ基、オキサゾリン基、オキセタン基が好ましい。入手性等からさらに好ましくはエポキシ基が挙げられる。
【0046】
前記エポキシ基を有する化合物としては、分子中に2個以上エポキシ基を有していればよく、具体的には例えば、
ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の炭素数1〜50の脂肪族多官能性グリシジルエーテル;
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の芳香族多官能性グリシジルエーテル;
アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の炭素数2〜50の脂肪族多官能性ジグリシジルエステル;フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等の炭素数2〜50の芳香族多官能性ジグリシジルエステルが挙げられる。
これらのものは、単独で、または併用して用いてもよい。
好ましくは、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルが挙げられる。
また、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル−3,4−エポキシシクロヘキシル等の単量体を共重合した樹脂も好ましく挙げられる。
【0047】
前記オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、2,2´−ビス(2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(5,5´−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2´−ビス(4,4,4´,4´−テトラメチル−2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,6−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)へキサン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)オクタン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(5−メチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,2−ビス(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4,4´−ジメチル−2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン等が挙げられる。
これらのものは、単独で、または併用して用いてもよい。
反応性、原料の供給性の点から、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼンが好ましい。
【0048】
また、感熱応答基および/または再生したカルボキシル基と、カルボキシル基と反応する基を有する化合物の官能基との反応を促進する目的で硬化触媒を併用することができる。硬化触媒としては、60℃以上の温度で活性を示す熱潜在性触媒が好ましい。60℃未満で活性を示す場合、配合物の貯蔵、保管中に増粘、ゲル化したり、硬化膜劣化等の好ましくない事態が発生する恐れがある。かかる熱潜在性触媒としては、プロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、例えば特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
また、配合物を均一にし、取り扱いを容易にする目的で有機溶媒も使用することが出来る。そのような有機溶媒としては、前記に挙げた有機溶媒を使用することができる。
【0049】
次に、本発明のパターン形成方法について説明する。
本発明の感熱型極性変換材料に使用されている感熱応答基はカルボキシル基と結合している保護基によって疎水性となっており、加熱分解によりカルボキシル基の保護基が脱離して親水性であるカルボキシル基が再生する。したがって、基材上に形成された感熱型極性変換材料からなる極性変換層にパターン状に加熱を行うことにより、加熱された部位の極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基が再生し、その結果、加熱された部位の極性変換層の表面は疎水性から親水性に変化し、表面の濡れ性が異なるパターンを形成することが出来る。
本発明に使用される基材としては、極性変換層との密着性や感熱型極性変換材料を用いて作製される複合材料の用途に応じて適宜選択できる。このような基材としては、例えばガラス、プラスチック等の透明基材や、アルミニウム、銅等の金属及びその合金、織布、不織布等を挙げることが出来る。
また、表面の濡れ性は水の接触角の変化で規定することが出来、疎水性とは接触角が50°以上を示すものを意味し、親水性とは接触角が30°以下を示すものを意味する。接触角測定方法は静的接触角測定法や動的接触角測定法が知られているが、後述する機能性層の配置における動的工程を考慮し、動的接触角測定で得られた後退接触角の値を接触角という。また、動的接触角の測定方法としては、拡張収縮法と垂直板法があるが、各測定方法で得られる最小接触角の値は後退接触角とみなす事が出来るため、各測定方法を場合によって使い分けてもよい(参考文献:ぬれ技術ハンドブック、石井淑夫他監修、P.21〜P.22)。
【0050】
また、パターン状に加熱を行う方法としては、極性変換層上に熱によりパターンが形成できる方法であれば特に限定はされないが、放射線走査による方法や感熱ヘッドによる方法を好ましく例示することが出来る。このような放射線走査に用いられる放射線は、感熱型極性変換材料中の感熱応答基の化学反応を起こすことが可能な熱エネルギーを与える必要があるため、赤外線レーザーである事が特に好ましい。このような赤外線レーザーとしては、赤外線YAGレーザー(1064nm)や、半導体レーザー(670nm、780nm、830nm等)、炭酸ガスレーザー(10600nm)等が挙げられる。
また、極性変換層の中または外部に放射線を吸収して熱に変換しうる光−熱変換剤を含有させる事により、より効率的に感熱型極性変換材料に熱エネルギーを付与することが可能になる。このような光−熱変換剤としては、放射線を吸収し効率よく熱に変換する材料が好ましく、使用する光源にあわせて変更させると良い。光源に近赤外半導体レーザーを使用する場合、近赤外に光吸収領域を持つ材料が好ましく、例えば、カーボンブラック、シアニン系色素、ポリメチン系色素、アズレニウヌ系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントタキノン系色素等の有機化合物、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体等が挙げられる。
【0051】
次に、本感熱型極性変換材料を用いて作製することが出来る複合材料の製造方法について説明する。
本発明は、基材上に(1)前記の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程とを備える複合材料の製造方法である。また、基材上に、(1)前記の極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に前記の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程と、(4)前記機能性層を配置した後に後加熱を行い感熱応答基および感熱応答基から再生したカルボキシル基とエポキシ化合物のエポキシ基を反応させる工程とを備える複合材料の製造方法である。
【0052】
本発明に使用される基材としては、前記に挙げた基材を使用することが出来る。
前記の基材上に極性変換層(未変換層)を形成する方法としては、感熱型極性変換材料を基材上に従来公知の方法、例えばディップコート法、ドクターブレード法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、エアナイフコート法、スピンコート法等で塗布される。基材上に塗布された感熱型極性変換材料を加熱された空気によって乾燥させる事により、極性変換層を形成する。この際、感熱応答基が化学変化を起こさない程度の加熱条件で乾燥を行う事が必要である。かかる加熱条件としては、50℃〜150℃の範囲の温度で0.5分〜60分の範囲の時間であることが好ましく、より好ましくは50℃〜130℃であり、更に好ましくは50℃〜120℃である。50℃よりも低温においては、乾燥時間が長くなり生産性に劣る可能性があり、150℃よりも高温においては、感熱応答基が化学反応を起こしてしまう可能性がある。
【0053】
また、機能性層とは、視覚的効果を付与する機能や光学的特性を付与する機能、物理的、化学的特性を付与する機能等を備えた層である。パターン化された機能性層を有する複合材料としては、例えば平板印刷用版材、カラーフィルター、スペーサー、マイクロレンズ等が挙げられる。機能性層は、機能性層組成物をパターン形成を行った後の極性変換層上に塗布する事により作製することが出来る。
機能性層組成物は、パターン形成を行った後の極性変換層上において、感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面が疎水性から親水性に変化して濡れ性の異なるパターン部位上にのみ濡れる組成物を使用する事ができる。このような組成物は、水やブチルセロソルブ、エチレングリコール等の高表面張力を示す溶剤から調整された組成物が好ましく、より好ましくは水から調整された組成物である。また、再生したカルボキシル基と機能性層組成物との親和性をさらに高めるために、パターン形成を行った後の極性変換層の表面をアルカリ水溶液で処理を行う事が出来る。
アルカリ水溶液を作製する材料については特に限定されないが、アルカリ金属元素やアルカリ土類元素の水酸化物や炭酸塩が挙げられる。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。さらにアンモニア水、水溶性アミン等が挙げられる。これらのアルカリは、1種単独であるいは2種以上を配合して使用できる。
アルカリ水溶液作製としては、前記材料をpH8〜13、好ましくはpH9〜12になるように所定量を水に溶解する。pH8未満だと表面処理効果がなく、pH13以上だと強アルカリ水溶液となり、作業者の安全性や廃液処理等に問題が生じる。
表面処理の方法としては、例えば、アルカリ水溶液を浸透させたガーゼ等で極性変換層表面を濡らす手法、アルカリ水溶液に浸漬するといった手法が挙げられる。また、アルカリ処理をした後に水洗を行ってもよい。
また、機能性層組成物のpHを8〜13、好ましくはpH9〜12に調整する事により、再生したカルボキシル基と機能性層組成物との親和性をさらに高める事もできる。pHが8より小さい場合、カルボキシル基と機能性層組成物の親和性を高める効果が無く、pHが13より大きい場合、強アルカリ性となり作業者の安全性や廃液処理等に問題が生じる。
機能性層組成物は、ドクターブレード法、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、エアナイフコート法等の塗布方法で塗布される。
【0054】
以下、図面を用いて各工程について説明する。
工程(1):まず、図1(a)に示すように、感熱応答基を有する極性変換層20を基材10上に形成する。
工程(2):次に、図1(b)に示すように、極性変換層20に対してパターン状に加熱を行う事により、感熱応答基からカルボキシル基が再生し疎水性から親水性に変化して濡れ性が変化したパターン部位21を形成する。
工程(3):次に、図1(c)に示すように、機能性組成物を塗布して濡れ性が変化したパターン部位21上に機能性層40を配置し、複合部材50を得る。
工程(4):感熱型極性変換材料にエポキシ化合物を含有している場合、図1(d)に示すように後加熱を行い感熱応答基および感熱応答基から再生したカルボキシル基とエポキシ化合物のエポキシ基を反応させ、極性変換層を架橋させる。
また、図2に示すように、前記工程(2)と工程(3)を繰り返し行う事により、感熱型極性変換材料上に異なる機能性層40、41が配置された複合部材52を得る事が出来る。
【0055】
次に、本発明の感熱型極性変換材料を用いたカラーフィルターの製造方法について説明する。
カラーフィルターは液晶ディスプレイ(LCD)やELディスプレイ等に使用されるものであり、ブラックマトリックス(BM)や赤(R)、緑(G)、青(B)等の複数の画素をガラスや透明プラスチック等の透明基材の上に高精度なパターンで形成されたものである。本発明の感熱型極性変換材料をカラーフィルターの製造に用いることにより、従来よりも少ない工程でかつ画素用組成物の無駄が少なく低コストでカラーフィルターを製造することが出来る。以下、図3(a〜e)によりカラーフィルターの製造方法を説明する。
工程(1):まず、図3(a)に示すように、感熱応答基を有する極性変換層20を透明基材11上に形成する。
工程(2):次に、図3(b)に示すように、極性変換層20に対してブラックマトリックスの形成パターンに従って加熱を行う事により、感熱応答基からカルボキシル基が再生し疎水性から親水性に変化して濡れ性が変化したブラックマトリックス用パターン部位24を形成する。
工程(3):次に、図3(c)に示すように、BM用組成物を塗布してブラックマトリックス用パターン部24上にブラックマトリックス42を配置する。
以降、工程(2)と(3)を、赤、青、緑の各画素について繰り返すことにより、カラーフィルターを製造する(図3(d))。
また、最終的にカラーフィルター全体を加熱して極性変換層を架橋し、透明基材に対する密着性や耐熱性を向上させる(図3(e))。
【0056】
【実施例】
次に、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に本発明で用いた分析方法、評価方法を示す。
1.粘度の測定;
粘度の測定は、EHD型粘度計(東機産業製)温度25℃で行った。
2.重量平均分子量の測定;
重量平均分子量の測定は、東ソー(株)社製ゲル浸透クロマトグラフィーSC−8010(GPC)を用い、カラムとして昭和電工(株)社製{SHODEX}を用い、THFを溶離液として測定した(標準;ポリスチレン、検出器;RI)。
3.触角の測定;
接触角の測定は、垂直板法による測定と、拡張収縮法による測定とを行なった。
垂直板法による測定では、動的接触角測定器((エー・アンド・ディ社製、DCA−20)を用い、拡張収縮法による測定では、接触角測定装置(協和界面化学社製 CA−W)を用いた。垂直板法では、後退接触角を、拡張収縮法では、収縮時の接触角を測定した。
4.溶剤性試験;
アセトンをしみ込ませた布を用いて50回ワイプする事により溶剤に対する性能を試験した。
【0057】
(感熱応答単量体の合成)
合成例1〜3;<感熱応答単量体溶液(a−1)〜(a−3)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合組成により原料を仕込み、65℃で攪拌した。混合物の酸価が2mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、表1に示す略号の固形分70重量%の感熱応答単量体溶液を得た。
【0058】
【表1】
【0059】
なお、表1中の原料の略号は下記のとおりである。
MA:メタクリル酸 AA:アクリル酸 HQ:ヒドロキノン NPVE:n−プロピルビニルエーテル IPVE:iso−プロピルビニルエーテル MEK:メチルエチルケトン
【0060】
(感熱応答重合体の合成)
合成例4〜6;<感熱応答重合物溶液(A−1)〜(A−3)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、表2および表3に示す配合組成により、まず、溶剤を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ、80℃に昇温した。つぎに、これに合成例1〜3で得た感熱応答単量体溶液と共重合単量体と重合触媒との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後4時間その温度で保持して重合を完了した。得られた重合体は、その後調整し、表2および表3に示す略号の固形分50重量%の感熱応答重合体溶液を得た。
【0061】
【表2】
【0062】
なお、表2中の原料の略号は下記のとおりである。
MEK:メチルエチルケトン MMA:メチルメタクリレート AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
【0063】
合成例7;<感熱応答重合物溶液(A−4)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてMEK49.4重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ80℃に昇温した。つぎに、これに感熱応答単量体としてt−ブチルメタクリレート29.2重量部、共重合モノマーとしてメチルメタクリレート20.8重量部、重合開始剤としてAIBN0.6重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後4時間その温度で保持して重合を完了した。固形分50重量%で粘度が10.3ポイズ、重量平均分子量が41、000の感熱応答重合体溶液(A−4)を得た。
【0064】
合成例8;<感熱応答重合体溶液(A−5)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてMEK49.5重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ80℃に昇温した。つぎに、これに感熱応答単量体としてジ−t−ブチルフマレート18.9重量部、共重合モノマーとしてスチレン10.0重量部、メチルメタクリレート21.1重量部、重合開始剤としてパーブチルO(日本油脂社製、有機過酸化物、商品名)0.5重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後10時間その温度で保持して重合を完了し、固形分50重量%で粘度が11.5ポイズ、重量平均分子量が45、000の感熱応答重合体溶液(A−5)を得た。
【0065】
比較合成例1;<比較用重合体溶液(R−1)の合成>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてMEK49.4重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ80℃に昇温した。つぎに、これに比較用単量体としてn−ブチルメタクリレート29.2重量部、共重合モノマーとしてメチルメタクリレート20.8重量部、重合開始剤としてAIBN0.6重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後4時間その温度で保持して重合を完了し、固形分50重量%で粘度が9.8ポイズ、重量平均分子量が39、000の比較用重合体溶液(R−1)を得た。
【0066】
実施例1〜5
アルミ板に感熱重合体溶液(A−1)〜(A−5)をディップ塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、アルミ板上に乾燥膜厚1μmの感熱型極性変換材料からなる極性変換層を形成した。次に、極性変換層の接触角を動的接触角測定器(エー・アンド・ディ社製、DCA−20)を用いて測定した。次に、各試料を熱風乾燥機を用いて200℃で1分間加熱を行なった。その後、前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定した。さらに、pH11に調整したKOH水溶液に10秒間浸漬して表面処理を行った後に前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定した。
【0067】
比較例1
実施例1の感熱重合体溶液(A−1)の代わりに、アルミ板に比較用重合体溶液(R−1)をディップ塗工した以外は実施例1と同様にして層を形成した。その後前記の方法に従って接触角測定を行った。
実施例1〜5、比較例1の評価結果を以下の表3にまとめた。
【0068】
【表3】
【0069】
表から明らかなように、実施例1〜5の感熱型極性変換材料は熱エネルギーを与える事により疎水性(接触角が大きい)から親水性(接触角が小さい)に化学変化を起こしている。さらに、アルカリ水溶液で処理する事により親水性の度合が強くなっている。これに対し、比較例1では感熱応答基を有していないため、熱エネルギーを与えても疎水性から親水性への化学変化は起こらなかった。
【0070】
実施例6〜10
(極性変換層用配合物の調整)
前記合成例で得られた感熱重合体溶液(A−1)〜(A−5)各100重量部に対し、エポキシ基を有する化合物としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名)38.5重量部を加え、よく攪拌することにより極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)を得た。
アルミ板に、前記の極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)をディップ塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、アルミ板上に乾燥膜厚1μmの感熱型極性変換材料からなる極性変換層を形成した。得られた極性変換層の接触角を動的接触角測定器(エー・アンド・ディ社製、DCA−20)を用いて測定した。次に、各試料を熱風乾燥機を用いて200℃で1分間加熱を行なった。
その後、前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定し、またアセトンをしみ込ませた布を用いて50往復ワイプする事により耐溶剤性試験を行った。さらに、各試料を熱風乾燥機を用いて200℃で30分間加熱を行った。その後、前記と同じく動的接触角測定器を使用して接触角を測定し、またアセトンをしみ込ませた布を用いて50回ワイプする事により耐溶剤性試験を行った。
【0071】
比較例2
比較用極性変換層用配合物として、比較用重合体溶液(R−1)100重量部に対し、エポキシ基を有する化合物としてエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名)38.5重量部を加え、よく攪拌することにより比較用極性変換層用配合物(P−6)を得た。得られた比較用極性変換層用配合物(P−6)を用い、アルミ板上にディップ塗工して層を形成した以外は実施例6と同様に行った。前記の方法に従って接触角測定および耐溶剤性試験を行った。
実施例6〜10、比較例2の組成を表4に、評価結果を表5にまとめた。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
表から明らかなように、実施例6〜10の感熱型極性変換材料はパターン形成時の熱エネルギーによって疎水性から親水性に変化し、さらにエポキシ基を有する化合物を含有しているため、その後に後加熱する事により再生したカルボキシル基とエポキシ基が架橋反応を起こす事により疎水性に戻り、さらに感熱型極性変換材料の耐溶剤性が向上している。すなわち、信頼性や吸湿性等に悪影響を及ぼすと考えられるカルボキシル基を無くす事が可能である。
これに対し、比較例2では、感熱応答基を有していないため、熱エネルギーを与えても疎水性から親水性への化学変化は起こらず、後加熱を行ってもカルボキシル基が再生しないためにエポキシ基と架橋反応が進行せず、耐溶剤性も劣るものであった。
【0075】
(パターン形成方法)
(実施例11〜20)
ガラス板上に感熱応答重合体溶液(A−1)〜(A−5)および、極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面に半導体レーザー(波長:830nm、出力:500mW)を走査露光した。走査露光条件は、露光エネルギー:200mJ/cm2、ビーム半径:5μm、走査速度:2.0m/secである。
露光後、接触角測定器(協和界面科学社製、CA−W)を用いて、拡張収縮法により未露光部と露光部の接触角測定を行った。
【0076】
(比較例3、4)
ガラス板上に比較用重合体溶液(R−1)および比較用極性変換層用配合物(P−6)を塗工した以外は実施例11と同様に行った。前記の方法に従って接触角測定を行った。
実施例11〜20、比較例3、4の評価結果を以下の表6にまとめて示す。
【0077】
【表6】
【0078】
表から明らかなように、実施例11〜20の感熱型極性変換材料からなる極性変換層に赤外線レーザーを走査露光してパターン状に加熱する事により、極性変換層中の感熱応答基が疎水性から親水性に変化し、極性変換層の表面に濡れ性の異なるパターンを形成することが出来る。これに対して、比較例3、4においては、濡れ性の異なるパターンを形成することは出来なかった。
【0079】
実施例21〜30
厚みが125μmのPETフィルム上に感熱応答重合体溶液(A−1)〜(A−5)および、極性変換層用配合物(P−1)〜(P−5)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をPETフィルム上に形成した。次に、極性変換層を備えたPETフィルムを感熱ヘッドを備えたプリンターに装着し、感熱ヘッドによってパターン形成を行った。次に、接触角測定器(協和界面科学社製、CA−W)を用いて、拡張収縮法によりパターン未形成部とパターン形成部の接触角測定を行った。
【0080】
比較例5、6
PETフィルム上に比較用重合体溶液(R−1)および比較用極性変換層用配合物(P−6)を塗工した以外は実施例21と同様に行った。前記の方法に従って接触角測定を行った。
実施例21〜30、比較例5、6の評価結果を以下の表7にまとめて示す。
【0081】
【表7】
【0082】
表から明らかなように、実施例21〜22の感熱型極性変換材料からなる極性変換層に感熱ヘッドによりパターン状に加熱することにより、極性変換層中の感熱応答基が疎水性から親水性に変化し、極性変換層の表面に濡れ性の異なるパターンを形成することが出来る。それに対し、比較例5、6においては、濡れ性の異なるパターンを形成することは出来なかった。
【0083】
(アクリル樹脂水溶液の製造)
合成例9;<アクリル樹脂水溶液(A−6)の製造>
温度計、還流冷却器、滴下管、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた5つ口フラスコに、溶剤としてブチルセロソルブ80重量部を仕込み、撹拌および窒素ガスを導入しつつ140℃に昇温した。つぎに、これにメチルメタクリレート45重量部、ブチルアクリレート25重量部、スチレン10重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アクリル酸10重量部、重合開始剤としてパーブチルZ(日本油脂(株)社製、有機過酸化物、商品名)1.5重量部との混合液を3時間で滴下し、滴下終了後2時間その温度で保持して重合を完了し、固形分55.6重量%、酸価43mgKO/g、数平均分子量4600の樹脂溶液を得た。このものをジメチルエタノールアミンで当量中和し、さらに脱イオン水を加えることにより、固形分50重量%のアクリル樹脂水溶液(A−6)を得た。
【0084】
(機能性層組成物の製造)
製造例1;<ブラックマトリックス用組成物(K−1)の製造>
合成例9で得られたアクリル樹脂水溶液(A−6)100重量部にカーボンブラック15重量部を加え、3mmφのジルコニア製ボールを入れたボールミルを用いて18時間混合し分散させた。次に、この分散液をろ過してジルコニア製ボールを取り除いた後、脱イオン水100重量部を加えブラックマトリックス用組成物(K−1)を得た。
【0085】
製造例2〜4;画素用組成物(R−1)、(G−1)、(B−1)の製造
製造例1のカーボンブラックをそれぞれC.I.Pigment Red168、C.I.Pigment Green36、C.I.Pigment Blue60に変えた以外は前記製造例1と同様にして画素用組成物(R−1)、(G−1)、(B−1)を得た。
【0086】
(複合材料の製造方法)
実施例31
ガラス板上に感熱重合体溶液(A−1)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面を半導体レーザー(波長:830nm、出力:500mW)で100μmのライン&スペースのパターンで走査露光することにより加熱を行い、極性変換層の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成した。なお、走査露光条件は、露光エネルギー:200mJ/cm2、ビーム半径:10μm、走査速度:2.0m/secである。
次に、製造例2で得られた画素用組成物(R−1)をロールコーターを用いて塗工したところ、画素用組成物は極性変換層上の親水性に変化したパターン部位上にのみ配置され、100μmのライン&スペースのパターンを持った複合部材が作製された。
【0087】
実施例32
ガラス板上に極性変換層用配合物(P−1)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面を半導体レーザーで実施例31と同様の条件で走査露光を行い、極性変換層の表面に濡れ性の異なるパターンを形成した。
次に、製造例2で得られた画素用組成物(R−1)をロールコーターを用いて塗工したところ、画素用組成物は極性変換層上の親水性に変化した部位上にのみ配置され、100μmのライン&スペースのパターンを持った複合部材が作製された。
次に、得られた複合部材を熱風乾燥機を用いて200℃で30分加熱を行った。次に、複合部材の表面をアセトンをしみ込ませた布で50往復ワイプを行ったが、感熱型極性変換材料はエポキシ樹脂によって架橋されているため何ら変化は起こらなかった。
【0088】
(カラーフィルターの製造)
実施例33
厚みが0.7mmの無アルカリガラスの上に極性変換層用配合物(P−1)をバーコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行い、乾燥膜厚1μmの極性変換層をガラス板上に形成した。次に、極性変換層の表面を半導体レーザーでブラックマトリックスのパターンに沿って実施例31と同様の条件で走査露光を行った。次に、ブラックマトリックス用組成物(K−1)をロールコーターにより塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行った。次に、極性変換層の表面を半導体レーザーで画素Rのパターンに沿って走査露光し、画素用組成物(R−1)をロールコーターにより塗工し、熱風乾燥機を用いて120℃で5分間乾燥を行った。以降、画素G、画素Bについても同様の操作を繰り返す事により、ブラックマトリックス、画素R、画素G、画素Bからなるパターンを形成した。次に、熱風乾燥機を用いて200℃で30分間加熱を行う事により極性変換層を架橋させ、カラーフィルターを得た。
本発明の感熱型極性変換材料を用いてカラーフィルターを製造する事により、画素用組成物はパターン部位上にのみ配置されるので、材料損失が大きく押さえられ製造コストを減少させる事が出来る。
【0089】
【発明の効果】
本発明の感熱型極性変換材料は、特定の加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有するので、パターン状に加熱を行う事により表面の濡れ性が変化したパターンを形成することが出来る。本発明の材料は、基材の表面に感熱型極性変換材料を層として形成させて、その表面を濡れ性の異なるパターンとしこれを利用して複合部材やカラーフィルターを製造する事が出来るので産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合部材を製造する方法を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の別の複合部材を製造する方法を説明する図である。
【図3】図3は、本発明のカラーフィルターを製造する方法を説明する図である。
【符号の説明】
10・・・基材、11・・・透明基材、20・・・極性変換層、21・・・濡れ性が変化したパターン部位、22・・・架橋部位、23・・・濡れ性が変化したパターン部位、24・・・ブラックマトリックス用パターン部位、25R・・・画素R用パターン部位、25G・・・画素G用パターン部位、25B・・・画素B用パターン部位、30・・・熱エネルギー、40・・・機能性層、41・・・機能性層、42・・・ブラックマトリックス、43R・・・画素R、43G・・・画素G、43B・・・画素B、50・・・複合部材、51・・・複合部材、52・・・複合部材、53・・・カラーフィルター
Claims (14)
- 加熱されることにより化学変化を起こし疎水性から親水性に変化する感熱応答基を有する化合物を含有することを特徴とする感熱型極性変換材料。
- 感熱応答基が、t−ブチルエステル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱型極性変換材料。
- 感熱応答基を有する化合物が、感熱応答基を有する単量体に基づく構成単位を少なくとも有する重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱型極性変換材料。
- 感熱応答基を有する単量体が、メタクリル酸またはアクリル酸のカルボキシル基とアルキルビニルエーテルを反応して得られる単量体である請求項5に記載の感熱型極性変換材料。
- 感熱応答基を有する化合物と、さらに前記感熱応答基が熱分解して生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱型極性変換材料。
- 基材上に形成された感熱型極性変換材料を含有する極性変換層にパターン状に加熱を行い、極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なる部位を作製することを特徴とするパターン形成方法。
- パターン状に加熱を行う方法が、放射線走査により加熱される方法である請求項8に記載のパターン形成方法。
- パターン状に加熱を行う方法が、感熱ヘッドにより加熱される方法である請求項8に記載のパターン形成方法。
- 基材上に、(1)請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程とを備えることを特徴とする複合材料の製造方法。
- 基材上に、(1)請求項7に記載の感熱型極性変換材料を塗工して極性変換層を形成する工程と、(2)前記極性変換層に請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法でパターン状に加熱を行い極性変換層中の感熱応答基からカルボキシル基を再生させ、極性変換層の表面を疎水性から親水性に変化させて濡れ性の異なるパターンを形成する工程と、(3)前記パターンに対応した部位上に機能性層組成物を塗布して機能性層を配置する工程と、(4)前記機能性層を配置した後に、さらに後加熱を行い、感熱応答基から再生したカルボキシル基と、前記感熱応答基が熱分解して生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物を反応させる工程とを備えることを特徴とする複合材料の製造方法。
- 前記感熱応答基が熱分解して生じるカルボキシル基と反応する基を有する化合物がエポキシ化合物である請求項12記載の複合材料の製造方法。
- 請求項11〜13のいずれか1項に記載の機能性層がカラーフィルターのブラックマトリックスおよび/または画素であることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
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