JP2004338220A - インクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、中間転写記録方式によりインク層を記録媒体に良好な状態で転写することができるインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法を提供することを課題とする。
【解決手段】記録装置10は、中間転写フィルム1の受像層にインクリボン6のインク層を転写する第1転写ユニット10a、および受像層5をインク層とともに記録媒体Pに転写する第2転写ユニット10bを有する。インクリボン6のインク層は、紫外光を照射することにより硬化する性質を有する紫外線硬化型樹脂を含むバインダに色剤粒子を分散させて形成されている。第2ユニット10bは、記録媒体Pに紫外光を照射する発光素子25を有し、記録媒体Pに転写されたインク層が硬化されるようになっている。
【選択図】 図1
【解決手段】記録装置10は、中間転写フィルム1の受像層にインクリボン6のインク層を転写する第1転写ユニット10a、および受像層5をインク層とともに記録媒体Pに転写する第2転写ユニット10bを有する。インクリボン6のインク層は、紫外光を照射することにより硬化する性質を有する紫外線硬化型樹脂を含むバインダに色剤粒子を分散させて形成されている。第2ユニット10bは、記録媒体Pに紫外光を照射する発光素子25を有し、記録媒体Pに転写されたインク層が硬化されるようになっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写した後、この受像層をインク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法に係り、例えば、通帳類やカードなどの媒体に個人認証用の顔画像や文字を中間転写記録方式により形成するためのインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中間転写媒体を用いた記録方式として、表面状態が良好な中間転写フィルムの受像層にインクリボンのインク層を面接させて加圧および加熱し、受像層にインク層を転写して多階調記録を行なった後、中間転写フィルムの受像層をインク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この記録方式によると、中間転写フィルムの受像層として、インクリボンから転写されるインク層との相性が良い材料を選択することができ、インク層を直接記録媒体に転写する記録方式と比較して、記録媒体の選択の自由度を増すことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−58728号公報(段落[0007])
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この記録方式において、紙など表面に比較的大きな凹凸のある記録媒体に中間転写フィルムの受像層を転写する場合、紙の表面に面接するインク層の接着性が低下する問題があった。すなわち、インク層が架橋する紙表面の凹部において、インク層に割れを生じ、インク層が紙表面から剥がれる問題があった。
【0006】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、中間転写記録方式によりインク層を記録媒体に良好な状態で転写することができるインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のインクリボンは、色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写したのに基づき、この受像層を上記インク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボンであり、上記インク層が、紫外光により硬化する材料を含むことを特徴とする。
【0008】
また、上記インクリボンを用いた本発明の記録方法は、インクリボンの上記インク層を上記中間転写媒体の上記受像層に転写する第1転写工程と、インク層が転写された受像層をインク層とともに上記記録媒体に転写する第2転写工程と、記録媒体に転写された受像層を介してインク層に紫外光を照射して硬化させる硬化工程と、を有する。
【0009】
上記インクリボンを用いた発明によると、中間転写媒体の受像層にインクリボンのインク層を転写したのに基づき、受像層をインク層とともに記録媒体に転写し、さらにインク層に紫外光を照射して硬化させる。これにより、記録媒体に転写されたインク層の凝集力を高めることができ、記録媒体表面の凹部においてインク層に割れを生じることなく架橋でき、インク層の剥がれを防止できる。
【0010】
また、本発明のインクリボンは、色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写したのに基づき、この受像層を上記インク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボンであり、上記インク層の他に、紫外光により硬化する材料を含む接着層を有することを特徴とする。
【0011】
更に、上記インクリボンを用いた本発明の記録方法は、インクリボンの上記インク層を上記中間転写媒体の上記受像層に転写する第1転写工程と、このインク層に重ねて上記接着層を転写する第2転写工程と、インク層および接着層が転写された受像層を接着層を記録媒体の転写する面に向けた状態で記録媒体に転写する第3転写工程と、記録媒体に転写された受像層およびインク層を介して接着層に紫外光を照射して硬化させる硬化工程と、を有する。
【0012】
上記インクリボンを用いた発明によると、中間転写媒体の受像層にインクリボンのインク層を転写し、その上から接着層を転写したのに基づき、受像層をインク層および接着層とともに記録媒体に転写し、さらに受像層およびインク層を介して接着層に紫外光を照射して硬化させる。これにより、記録媒体表面に面接する接着層の凝集力を高めることができ、記録媒体表面の凹部において接着層に割れを生じることなく架橋でき、接着層の剥がれ、すなわちインク層の剥がれを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1には、本発明で使用する中間転写フィルム1(中間転写媒体)の断面図を示してあり、図2には、この発明の第1の実施の形態に係るインクリボン6の断面図を示してある。
【0015】
図1に示すように、中間転写フィルム1は、細長い帯状の支持体2を有する。支持体2の表面には、ワックスや樹脂により形成された離型層3、樹脂により形成された保護層4、および受像層5が順に積層されている。
【0016】
支持体2は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などの合成樹脂により形成される。本実施の形態では、支持体2として、約25[μm]厚のPETを用いた。
【0017】
受像層5は、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、あるいはこれらの混合樹脂により形成される。受像層5は、後述するインクリボン6のインク層6y(イエロー)、6m(マゼンタ)、6c(シアン)、6k(ブラック)と相性が良く、表面を凹凸の無い平滑な状態に加工できる材料である必要がある。
【0018】
本実施の形態では、ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂を主とした混合樹脂を厚さ約5[μm]でコートして受像層5を形成した。具体的には、ポリエステル系樹脂として、東洋紡績製バイロン300を用い、アクリル系樹脂として、三菱レイヨン製ダイアナールBR−87を用い、ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂の混合比を7:3とした。
【0019】
また、本実施の形態では、保護層4として、ホログラムなどの偽変造防止策を施したものを使用した。保護層4の厚みは、約5[μm]とした。保護層4は、後段の処理工程において記録媒体P上に転写された状態で、受像層5の表面を被覆して保護するように機能する。
【0020】
図2に示すように、インクリボン6は、細長い帯状の支持体7を有する。支持体7の表面には、インク層として、イエローインク層6y、マゼンタインク層6m、シアンインク層6c、およびブラックインク層6kが、この順序で、長手方向に沿って互いに離間して設けられている。各インク層6y、6m、6c、6kは、それぞれ矩形に形成されている。また、支持体7は、2〜6[μm]厚のPETなどの合成樹脂フィルムにより形成されている。本実施の形態では、厚さ4.5[μm]のPETを用いた。
【0021】
各色のインク層6y、6m、6c、6kは、熱可塑性の樹脂と、同じく熱可塑性だが紫外光を照射することにより硬化する性質を有する紫外線硬化型樹脂と、を含むバインダに、無機顔料や有機顔料の色料と微粒子(色剤粒子)を分散して形成されている。
【0022】
熱可塑性樹脂として、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂、あるいはこれらの混合樹脂であって、無色透明あるいは単色透明の樹脂が用いられる。本実施の形態では、熱可塑性樹脂として、中間転写フィルム1の受像層5と相性が良い、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂との混合樹脂を用いた。具体的には、ポリエステル系樹脂として、東洋紡績製バイロン300を用い、アクリル樹脂として、三菱レイヨン製バイアナールBR−60を用い、混合比を2:8とした。
【0023】
紫外線硬化型樹脂として、好ましくは、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどが用いられる。これら紫外線硬化型樹脂は、主に、接着剤として用いられる。紫外光により硬化した樹脂は、凝集力が強く、樹脂層の内部でせん断されたりすることが少なくなる特徴を有している。本実施の形態では、硬化の速効性を考慮して、エポキシアクリレートを使用し、日本ユピカ製のAC5702を用いた。
【0024】
熱可塑性樹脂と紫外線硬化型樹脂との混合比は、紫外線硬化型樹脂がインクの特性を乱さない程度にするため、8:2とした。また、色剤粒子は、顔料の分散剤などであるが、本実施の形態ではシリカを含有した。
【0025】
ところで、本実施の形態の記録方式は、各色インクのドットを順次重ねて転写して所望の色を表現する方式のため、先に転写してあるインクの層が厚いと、次に重ねるインクの層が、前の層のドットの凹凸の影響を強く受け、転写不良やドットの欠けなどを生じる場合がある。このため、本実施の形態の記録方式では、各色のインク層6y、6m、6c、6kの厚みはできる限り薄い方が好ましい。また、低濃度領域を表現するためには、できるだけ小さいサイズのドットを形成しなければならず、小さいドットを再現するためには、各色のインク層6y、6m、6c、6kが薄いことが望ましい。
【0026】
具体的には、インクリボン6の各色のインク層6y、6m、6c、6kの厚さは、0.4[μm]〜1[μm]であることが望ましい。本実施の形態では、各色のインク層の厚さを0.6[μm]程度に設定した。インクドットの重ね順や記録濃度との関係から、各色のインク層の厚さは異なるが、全て0.4[μm]〜1[μm]の範囲に入るように調整した。
【0027】
次に、図3および図4を参照して、上述した中間転写フィルム1およびインクリボン6を用いて記録媒体Pに画像や文字を形成するための記録装置10について説明する。
【0028】
記録装置10は、上述した構造の中間転写フィルム1の受像層5に上述した構造のインクリボン6のインク層6y、6m、6c、6kを転写するための第1転写ユニット(以下、第1ユニットと称する)10a、および中間転写フィルム1の受像層5に重ねて転写された各色インク層を受像層5とともに記録媒体P上に転写する第2転写ユニット(以下、第2ユニットと称する)10bを有する。
【0029】
第1ユニット10aは、インクリボン6を巻回した送り軸11および巻き取り軸12を有する。送り軸11および巻き取り軸12は、それぞれ、正逆両方向に回転可能に設けられ、インクリボン6を所望する走行位置に配置できる。インクリボン6は、各色のインク層6y、6m、6c、6kが後述するプラテンローラ14に対向する向きに配置される。
【0030】
また、第1ユニット10aは、中間転写フィルム1を巻回した送り軸13および図示しない巻き取り軸を有する。中間転写フィルム1は、基本的に、プラテンローラ14の位置で、インクリボン6と同じ方向に走行可能に延設されており、後述する第2ユニット10bを通して延びている。中間転写フィルム1は、支持体2がプラテンローラ14に接触して走行する向きに配置される。言い換えると、中間転写フィルム1は、その受像層5がインクリボン6の各色インク層6y、6m、6c、6kに対向する向きにして配置される。
【0031】
中間転写フィルム1の走行方向に沿ってプラテンローラ14の上流側および下流側には、中間転写フィルム1を部分的にプラテンローラ14の外周面に沿わせるための2つのガイドローラ15a、15bが設けられている。ガイドローラ15a、15bは、プラテンローラ14に対して固定的に設けられ、中間転写フィルム1に与えられるテンションにより中間転写フィルム1がガイドローラ15a、15b間でプラテンローラ14の外周面に押圧されるようになっている。
【0032】
一方、インクリボン6の背面側、すなわち中間転写フィルム1およびインクリボン6を挟んでプラテンローラ14に対向する位置には、サーマルヘッド16が設けられている。サーマルヘッド16は、プラテンローラ14に対して離接可能に設けられ、中間転写フィルム1にインクリボン6を押し付け可能となっている。サーマルヘッド16は、後述する駆動回路35によって駆動される。
【0033】
中間転写フィルム1の走行方向に沿ってプラテンローラ14の下流側には、中間転写フィルム1を所定位置で一時的にクランプするとともに予め決められた一定距離だけ走行させるためのクランプローラ17が設けられている。中間転写フィルム1を挟んでクランプローラ17に対向する位置には、クランプローラ17との間で中間転写フィルム1をクランプするためのクランパ18が設けられている。
【0034】
クランパ18は、図3に示す初期状態で、クランプローラ17に対して離接可能に設けられ、中間転写フィルム1をクランプ可能となっている。また、クランパ18は、クランプローラ17との間で中間転写フィルム1をクランプした状態(図3に示す状態)で、クランプローラ17が回転したとき、クランプローラ17の回転に追従して移動可能となっている。つまり、クランパ18は、図3に示すように中間転写フィルム1をクランプしたのに基づき、図4に示すようにクランプローラ17の外周に沿って移動する。これにより、中間転写フィルム1がクランプローラ17の回転量に応じた一定距離だけ走行される。
【0035】
クランプローラ17のさらに下流側で第1ユニット10aの出口付近には、中間転写フィルム1を第2ユニット10bに向けて送り出すための送りローラ対19が設けられている。
【0036】
第2ユニット10bは、第1ユニット10aにて受像層5にインク層6y、6m、6c、6kが重ねて転写された中間転写フィルム1を加熱および加圧するためのヒートローラ21および加圧ローラ22を有する。ヒートローラ21は、その外周面を所定温度に昇温させるヒータ41を内蔵しており、中間転写フィルム1の支持体2の背面側に配設されている。加圧ローラ22は、中間転写フィルム1および記録媒体Pを挟んでヒートローラ21に対向する側に設けられ、中間転写フィルム1および記録媒体Pをヒートローラ21に押し付けるように接離可能となっている。
【0037】
記録媒体Pは、図示しない供給部から供給され、中間転写フィルム1と加圧ローラ22との間に送り込まれるようになっている。このとき、記録媒体Pは、一対の送りローラ23によってガイドされて供給される。
【0038】
中間転写フィルム1の走行方向に沿ってヒートローラ21の下流側で送りローラ対23の上流側には、インク層が転写された中間転写フィルム1の受像層5と支持体2を離型層3を介して剥離するための剥離ローラ24が配設されている。剥離ローラ24は、中間転写フィルム1の背面側に配設されている。
【0039】
記録媒体Pを正逆両方向に送る送りローラ対23よりさらに下流側には、ヒートローラ21を通過されて記録媒体Pに転写されたインク層6y、6m、6c、6kに紫外光を照射するための発光素子25、および発光素子25から射出された紫外光を記録媒体P表面に集光させるリフレクター26が設けられている。すなわち、発光素子25は、記録媒体Pのインク層6y、6m、6c、6kが転写された側の表面に対向する位置に配設されている。
【0040】
次に、図5を参照して、上述した記録装置10の動作を制御する制御系について説明する。
【0041】
記録装置10の動作を制御する制御部30には、インクリボン6を正逆両方向に走行させるため、送り軸11および巻き取り軸12をそれぞれ独立して回転させるモータ31、32が接続されている。また、制御部30には、中間転写フィルム1を正逆両方向に走行させるため、送り軸13および巻き取り軸341をそれぞれ独立して回転させるモータ33、34が接続されている。
【0042】
また、制御部30には、サーマルヘッド16に対して画像や文字に関する記録データを供給する駆動回路35、サーマルヘッド16をプラテンローラ14に対して接離させるための接離機構36、クランプローラ17を正逆両方向に回転させるためのモータ37、クランパ18をクランプローラ17に対して接離させるための接離機構38、クランパ18をクランプローラ17の外周面に沿って移動させるための移動機構39、および、送りローラ対19を正逆両方向に回転させるためのモータ40が接続されている。
【0043】
また、制御部30には、ヒートローラ21に内蔵されたヒータ41を所定温度に加熱するための駆動回路42、加圧ローラ22をヒートローラ21に対して接離させるための接離機構43、加圧ローラ22を正逆両方向に回転させるためのモータ44、送りローラ対23を正逆両方向に回転させるためのモータ45、および、発光素子25をオン/オフする駆動回路46が接続されている。
【0044】
さらに、制御部30には、インクリボン6の走行位置を検出するため、インクリボン6の各色インク層6y、6m、6c、6kの間を検知するセンサ51、中間転写フィルム1の走行位置を検出するため、中間転写フィルム1の図示しないマークを検知するセンサ52、および、記録媒体Pの通過を検知して転写開始タイミングを取得するためのセンサ53が接続されている。
【0045】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、上述した記録装置10の動作について説明する。
【0046】
まず、中間転写フィルム1の送り軸13および巻き取り軸341が必要に応じて回転されて、中間転写フィルム1が印字開始位置に設定される。この状態で、図3に示すようにクランパ18がクランプローラ17に押し付けられ、クランプローラ17とクランパ18との間で中間転写フィルム1が拘束される。
【0047】
また、このとき、インクリボン6の送り軸11および巻き取り軸12が必要に応じて回転されて、インクリボン6が印字開始位置に設定される。このとき、インクリボン6は、イエローのインク層6yの先端がサーマルヘッド16に位置するように設定される。この状態で、サーマルヘッド16が、中間転写フィルム1およびインクリボン6を介して、プラテンローラ14に所定の圧力で圧接され、記録動作が待機される。
【0048】
記録動作が開始されると、記録データに応じてサーマルヘッド16が駆動されるとともに、インクリボン6が走行を開始され、クランパ18によって中間転写フィルム1を掴んだ状態のままクランプローラ17が回転される。これにより、中間転写フィルム1とインクリボン6が同じ速度で走行される。このとき、プラテンローラ14は、中間転写フィルム1に連れ回る。そして、インクリボン6のインク層6yが記録データに応じて中間転写フィルム1の受像層5に転写される。
【0049】
このようにして、1色目のインク層6yが中間転写フィルム1の受像層5に転写されると、サーマルヘッド16がプラテンローラ14から離間されて、インクリボン6が中間転写フィルム1から離間される。この状態で、クランプローラ17が図4に示す状態から図3に示す状態に逆回転されて、中間転写フィルム1が印字開始位置まで戻される。また、このとき、マゼンタのインク層6mの先端がサーマルヘッド16と対向する位置となるように、インクリボン6が設定される。
【0050】
この後、マゼンタM、シアンC、ブラックKそれぞれのインク層6m、6c、6kに関して、イエローインク層6yと同様の処理が繰り返され、受像層5に転写されたイエローインク層6yの上に、マゼンタインク層6m、シアンインク層6c、およびブラックインク層6kが順次重ねて転写される(ステップ1)。
【0051】
4色のインク層の転写が終了すると、サーマルヘッド16がプラテンローラ14から離間されて、クランプローラ17が逆転され、図3に示す状態に戻される。この後、クランパ18がクランプローラ17から離間され、中間転写フィルム1のクランプが解除される。
【0052】
さらにこの後、中間転写フィルム1の送り軸13および巻き取り軸341が正方向に回転され、第1ユニット10aの送りローラ対19を介して、受像層5に4色のインク層を重ねて転写した部位(以下、画像形成領域と称する)が第2ユニット10bへ送り込まれる。
【0053】
第2ユニット10bに中間転写フィルム1の画像形成領域が送り込まれると、図示しない供給部から記録媒体Pが供給され、中間転写フィルム1と加圧ローラ22との間に送り込まれる。このとき、中間転写フィルム1の画像形成領域の先端と記録媒体Pの先端が一致され、加圧ローラ22がヒートローラ21に押し付けられる。これにより、中間転写フィルム1と記録媒体Pが、ヒートローラ21と加圧ローラ22との間で所定圧力で押圧される。
【0054】
この状態で、加圧ローラ22が回転されて、ヒートローラ21から中間転写フィルム1に熱が加えられ、記録媒体P表面に、中間転写フィルム1の画像形成領域の受像層5がステップ1で転写されたインク層6y、6m、6c、6kとともに転写される(ステップ2)。より詳細には、中間転写フィルム1の離型層3によって保護層4および受像層5が分離され、記録媒体Pの表面にインク層側が当接するようにして転写される。
【0055】
このとき、剥離ローラ24を介して、中間転写フィルム1の支持体2が剥離され、記録媒体Pと異なる方向へ送り出されて、巻き取り軸341によって巻き取られる。一方、受像層5およびインク層が転写された記録媒体Pは、送りローラ対23によって挟持拘束されて搬送され、発光素子25を通過される。
【0056】
記録媒体Pの後端がヒートローラ21のニップを通過した後、記録媒体Pの先端が発光素子25と対向する位置に達すると、発光素子25が動作開始されて紫外光が記録媒体Pに照射される(ステップ3)。これにより、ステップ2で記録媒体Pに転写された保護層4および受像層5を介して、ステップ1で転写されたインク層に紫外光が照射され、紫外線硬化型樹脂が反応して硬化される。
【0057】
そして、記録媒体Pの後端が発光素子25を通過すると、発光素子25の発光動作がオフにされて紫外光の照射が終了され、中間転写フィルム1が印画開始位置まで巻き戻されて次の記録動作が待機される。
【0058】
図7には、上述したインクリボン6を用いて本実施の形態の記録方法によって記録媒体Pの表面にインク層を転写した場合における転写状態を模式的に示してある。また、図8には、比較のため、各色のインク層に紫外線硬化型樹脂を含まない従来のインクリボンを用いた場合における転写状態を模式的に示してある。以下、図7および図8を参照して、本実施の形態の効果について考察する。
【0059】
記録媒体Pとして紙などの比較的表面に凹凸の多い媒体を選択した場合、紙の表面に露出した繊維による凹凸の凹部61にインクが染み込んで画質が劣化することを防止するため、凹凸の凸部62間にブリッジ状にインク層60(ここでは、4色のインク層6y、6m、6c、6kを重ねて転写した層をインク層60と称する)を転写させなければならない。この場合、紙の表面とインク層60との間の接着力は紙の凸部62とインク層60とが接触している部分のみで確保している。また、凸部62間にブリッジ状に転写されたインク層60の部分は、インク層60の凝集力により接着力を確保している。
【0060】
このため、図8に示すように、インク層60に紫外線硬化型樹脂を含まない従来のインクリボンを用いた場合、インク層60の凝集力が低いため、図中部分63のように、紙表面の凸部62間でインク層60が割れてしまう場合がある。このような不具合は、記録媒体の表面の平面度が低い凹凸の状態のとき顕著となる。インク層60に割れを生じると、インク層6の接着力が低下して紙表面から剥がれてしまう。
【0061】
一方、図7に示すように、インク層60に紫外線硬化型樹脂を含む本実施の形態のインクリボン6を使用した場合、インク層60に紫外光を照射することにより強固に硬化させることができるため、インク層60の凝集力を高くすることができ、凸部62間でインク層60が割れてしまうことを防止でき、紙表面への確実な接着力を確保できる。
【0062】
つまり、本実施の形態のインクリボン6を用いた中間転写記録方式による記録方法によると、記録媒体Pの表面に転写したインク層60が剥がれることを防止でき、インク層60を記録媒体表面に良好な状態で転写できる。
【0063】
次に、この発明の第2の実施の形態に係るインクリボン70について、図9を参照して説明する。このインクリボン70は、4色のインク層6y、6m、6c、6kの他に無色透明の接着層71を有する以外、上述した第1の実施の形態のインクリボン6と同じ構造を有する。このため、以下の説明では、第1の実施の形態のインクリボン6と同じ構成部分については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
インクリボン70は、ブラックインク層6kに続いて接着層71を有する。接着層71は、熱可塑性の樹脂と同じく熱可塑性だが紫外光を照射することにより硬化する性質を有する紫外線硬化型樹脂を含む。
【0065】
熱可塑性樹脂として、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、あるいはこれらの混合樹脂であって、無色透明あるいは単色透明の樹脂が用いられる。本実施の形態では、記録媒体Pとしての紙に対する接着力を確保するため、熱可塑性樹脂として、飽和共重合ポリエステルのユニチカ製エリーテルUE−3300を用いた。
【0066】
紫外線硬化型樹脂として、好ましくは、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどが用いられる。これら紫外線硬化型樹脂は、主に、接着剤として用いられる。紫外光により硬化した樹脂は、凝集力が強く、樹脂層の内部でせん断されたりすることが少なくなる特徴を有している。本実施の形態では、硬化の速効性を考慮して、エポキシアクリレートを使用し、日本ユピカ製のAC5702を用いた。
【0067】
熱可塑性樹脂と紫外線硬化型樹脂との混合比は、紫外線硬化型樹脂がインクの特性を乱さない程度にするため、8:2とした。尚、接着層71の厚さは、紙表面の凹凸に適用可能な厚さ(本実施の形態では2[μm])とした。
【0068】
次に、図10に示すフローチャートを参照して、上述したインクリボン70を用いた記録動作について説明する。尚、この場合も、上述した記録装置10にインクリボン70をセットして記録動作を行なう。
【0069】
まず、上述した第1の実施の形態と同様に、中間転写フィルム1の受像層5に各色のインク層6y、6m、6c、6kが転写される(ステップ1)。4色のインク層60の転写が終了すると、続いて、接着層71がインク層60の上に転写される(ステップ2)。この際、サーマルヘッド16は、接着層71の全ての領域をインク層60に重ねて転写する。
【0070】
この後、インク層60および接着層71が転写された受像層5が、中間転写フィルム1から記録媒体Pに転写される(ステップ3)。さらに、記録媒体Pに紫外光が照射されて、接着層71が硬化される(ステップ4)。この際、ステップ3で記録媒体Pに転写された保護層4、受像層5、およびインク層60を介して、接着層71に紫外光が照射される。
【0071】
図11には、本実施の形態のインクリボン70を用いて記録媒体Pの表面に各層を転写した状態を模式的に示してある。これによると、上述した第1の実施の形態のインク層60と同様に、接着層71が強固に硬化されるため、接着層71の凝集力を高くでき、凸部62間で接着層71が割れることを防止でき、紙表面への確実な接着力を確保できる。
【0072】
また、本実施の形態によると、インク層60の他に接着層71を用いるため、上述した第1の実施の形態のようにインク層60のバインダに紫外線硬化型樹脂を含有させる必要がない。このため、第1の実施の形態と比較して、インク層60選択の自由度を高めることができる。
【0073】
さらに、接着層71として、色剤粒子を含む必要がなく、紙との接着性と色インク層60との相性を考慮すれば良いため、第1の実施の形態のインク層60と比較して、紫外線硬化型樹脂の含有量を増やすことができ、より強固な凝集力を持たせることができ、より確実な接着力を確保できる。
【0074】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0075】
例えば、上述した実施の形態では、接着層71を無色透明な材料とした場合について説明したが、必ずしも透明な材料でなくとも良い。つまり、接着層71はインク層60に対して記録媒体P側に位置するため、例えば、接着層71が記録媒体Pの表面と同じ色の材料であれば記録媒体P上に出力される画像に影響を与えることはない。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法によると、中間転写記録方式によりインク層を記録媒体に良好な状態で転写することができる。
【0077】
特に、この発明によると、記録媒体上に階調性豊かなカラー画像や文字を高画質で記録でき、その上、カラー画像や文字などの画像が記録媒体から剥がれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間転写フィルムの断面図。
【図2】この発明の第1の実施の形態に係るインクリボンの断面図。
【図3】この発明の実施の形態に係る記録方法を実現するための記録装置を模式的に示す概略図。
【図4】図3の記録装置の別の動作状態を示す概略図。
【図5】図3の記録装置の動作を制御する制御系を示すブロック図。
【図6】図2のインクリボンを用いた記録動作を説明するためのフローチャート。
【図7】図2のインクリボンを用いて記録媒体に記録した状態を示す断面図。
【図8】インク層のバインダに紫外線硬化型樹脂を含まない従来のインクリボンを用いた場合における記録状態を示す断面図。
【図9】この発明の第2の実施の形態に係るインクリボンを示す断面図。
【図10】図9のインクリボンを用いた記録動作を説明するためのフローチャート。
【図11】図9のインクリボンを用いて記録媒体に記録した状態を示す断面図。
【符号の説明】
1…中間転写フィルム、2…支持体、3…離型層、4…保護層、5…受像層、6…インクリボン、6y…イエローインク層、6m…マゼンタインク層、6c…シアンインク層、6k…ブラックインク層、7…支持体、10…記録装置、10a…第1転写ユニット、10b…第2転写ユニット、14…プラテンローラ、16…サーマルヘッド、17…クランプローラ、18…クランパ、21…ヒートローラ、25…発光素子、30…制御部、60…インク層、61…凹部、62…凸部、70…インクリボン、71…接着層、P…記録媒体。
【発明の属する技術分野】
この発明は、色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写した後、この受像層をインク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法に係り、例えば、通帳類やカードなどの媒体に個人認証用の顔画像や文字を中間転写記録方式により形成するためのインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、中間転写媒体を用いた記録方式として、表面状態が良好な中間転写フィルムの受像層にインクリボンのインク層を面接させて加圧および加熱し、受像層にインク層を転写して多階調記録を行なった後、中間転写フィルムの受像層をインク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この記録方式によると、中間転写フィルムの受像層として、インクリボンから転写されるインク層との相性が良い材料を選択することができ、インク層を直接記録媒体に転写する記録方式と比較して、記録媒体の選択の自由度を増すことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−58728号公報(段落[0007])
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この記録方式において、紙など表面に比較的大きな凹凸のある記録媒体に中間転写フィルムの受像層を転写する場合、紙の表面に面接するインク層の接着性が低下する問題があった。すなわち、インク層が架橋する紙表面の凹部において、インク層に割れを生じ、インク層が紙表面から剥がれる問題があった。
【0006】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、中間転写記録方式によりインク層を記録媒体に良好な状態で転写することができるインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のインクリボンは、色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写したのに基づき、この受像層を上記インク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボンであり、上記インク層が、紫外光により硬化する材料を含むことを特徴とする。
【0008】
また、上記インクリボンを用いた本発明の記録方法は、インクリボンの上記インク層を上記中間転写媒体の上記受像層に転写する第1転写工程と、インク層が転写された受像層をインク層とともに上記記録媒体に転写する第2転写工程と、記録媒体に転写された受像層を介してインク層に紫外光を照射して硬化させる硬化工程と、を有する。
【0009】
上記インクリボンを用いた発明によると、中間転写媒体の受像層にインクリボンのインク層を転写したのに基づき、受像層をインク層とともに記録媒体に転写し、さらにインク層に紫外光を照射して硬化させる。これにより、記録媒体に転写されたインク層の凝集力を高めることができ、記録媒体表面の凹部においてインク層に割れを生じることなく架橋でき、インク層の剥がれを防止できる。
【0010】
また、本発明のインクリボンは、色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写したのに基づき、この受像層を上記インク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボンであり、上記インク層の他に、紫外光により硬化する材料を含む接着層を有することを特徴とする。
【0011】
更に、上記インクリボンを用いた本発明の記録方法は、インクリボンの上記インク層を上記中間転写媒体の上記受像層に転写する第1転写工程と、このインク層に重ねて上記接着層を転写する第2転写工程と、インク層および接着層が転写された受像層を接着層を記録媒体の転写する面に向けた状態で記録媒体に転写する第3転写工程と、記録媒体に転写された受像層およびインク層を介して接着層に紫外光を照射して硬化させる硬化工程と、を有する。
【0012】
上記インクリボンを用いた発明によると、中間転写媒体の受像層にインクリボンのインク層を転写し、その上から接着層を転写したのに基づき、受像層をインク層および接着層とともに記録媒体に転写し、さらに受像層およびインク層を介して接着層に紫外光を照射して硬化させる。これにより、記録媒体表面に面接する接着層の凝集力を高めることができ、記録媒体表面の凹部において接着層に割れを生じることなく架橋でき、接着層の剥がれ、すなわちインク層の剥がれを防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1には、本発明で使用する中間転写フィルム1(中間転写媒体)の断面図を示してあり、図2には、この発明の第1の実施の形態に係るインクリボン6の断面図を示してある。
【0015】
図1に示すように、中間転写フィルム1は、細長い帯状の支持体2を有する。支持体2の表面には、ワックスや樹脂により形成された離型層3、樹脂により形成された保護層4、および受像層5が順に積層されている。
【0016】
支持体2は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などの合成樹脂により形成される。本実施の形態では、支持体2として、約25[μm]厚のPETを用いた。
【0017】
受像層5は、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、あるいはこれらの混合樹脂により形成される。受像層5は、後述するインクリボン6のインク層6y(イエロー)、6m(マゼンタ)、6c(シアン)、6k(ブラック)と相性が良く、表面を凹凸の無い平滑な状態に加工できる材料である必要がある。
【0018】
本実施の形態では、ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂を主とした混合樹脂を厚さ約5[μm]でコートして受像層5を形成した。具体的には、ポリエステル系樹脂として、東洋紡績製バイロン300を用い、アクリル系樹脂として、三菱レイヨン製ダイアナールBR−87を用い、ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂の混合比を7:3とした。
【0019】
また、本実施の形態では、保護層4として、ホログラムなどの偽変造防止策を施したものを使用した。保護層4の厚みは、約5[μm]とした。保護層4は、後段の処理工程において記録媒体P上に転写された状態で、受像層5の表面を被覆して保護するように機能する。
【0020】
図2に示すように、インクリボン6は、細長い帯状の支持体7を有する。支持体7の表面には、インク層として、イエローインク層6y、マゼンタインク層6m、シアンインク層6c、およびブラックインク層6kが、この順序で、長手方向に沿って互いに離間して設けられている。各インク層6y、6m、6c、6kは、それぞれ矩形に形成されている。また、支持体7は、2〜6[μm]厚のPETなどの合成樹脂フィルムにより形成されている。本実施の形態では、厚さ4.5[μm]のPETを用いた。
【0021】
各色のインク層6y、6m、6c、6kは、熱可塑性の樹脂と、同じく熱可塑性だが紫外光を照射することにより硬化する性質を有する紫外線硬化型樹脂と、を含むバインダに、無機顔料や有機顔料の色料と微粒子(色剤粒子)を分散して形成されている。
【0022】
熱可塑性樹脂として、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂、あるいはこれらの混合樹脂であって、無色透明あるいは単色透明の樹脂が用いられる。本実施の形態では、熱可塑性樹脂として、中間転写フィルム1の受像層5と相性が良い、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂との混合樹脂を用いた。具体的には、ポリエステル系樹脂として、東洋紡績製バイロン300を用い、アクリル樹脂として、三菱レイヨン製バイアナールBR−60を用い、混合比を2:8とした。
【0023】
紫外線硬化型樹脂として、好ましくは、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどが用いられる。これら紫外線硬化型樹脂は、主に、接着剤として用いられる。紫外光により硬化した樹脂は、凝集力が強く、樹脂層の内部でせん断されたりすることが少なくなる特徴を有している。本実施の形態では、硬化の速効性を考慮して、エポキシアクリレートを使用し、日本ユピカ製のAC5702を用いた。
【0024】
熱可塑性樹脂と紫外線硬化型樹脂との混合比は、紫外線硬化型樹脂がインクの特性を乱さない程度にするため、8:2とした。また、色剤粒子は、顔料の分散剤などであるが、本実施の形態ではシリカを含有した。
【0025】
ところで、本実施の形態の記録方式は、各色インクのドットを順次重ねて転写して所望の色を表現する方式のため、先に転写してあるインクの層が厚いと、次に重ねるインクの層が、前の層のドットの凹凸の影響を強く受け、転写不良やドットの欠けなどを生じる場合がある。このため、本実施の形態の記録方式では、各色のインク層6y、6m、6c、6kの厚みはできる限り薄い方が好ましい。また、低濃度領域を表現するためには、できるだけ小さいサイズのドットを形成しなければならず、小さいドットを再現するためには、各色のインク層6y、6m、6c、6kが薄いことが望ましい。
【0026】
具体的には、インクリボン6の各色のインク層6y、6m、6c、6kの厚さは、0.4[μm]〜1[μm]であることが望ましい。本実施の形態では、各色のインク層の厚さを0.6[μm]程度に設定した。インクドットの重ね順や記録濃度との関係から、各色のインク層の厚さは異なるが、全て0.4[μm]〜1[μm]の範囲に入るように調整した。
【0027】
次に、図3および図4を参照して、上述した中間転写フィルム1およびインクリボン6を用いて記録媒体Pに画像や文字を形成するための記録装置10について説明する。
【0028】
記録装置10は、上述した構造の中間転写フィルム1の受像層5に上述した構造のインクリボン6のインク層6y、6m、6c、6kを転写するための第1転写ユニット(以下、第1ユニットと称する)10a、および中間転写フィルム1の受像層5に重ねて転写された各色インク層を受像層5とともに記録媒体P上に転写する第2転写ユニット(以下、第2ユニットと称する)10bを有する。
【0029】
第1ユニット10aは、インクリボン6を巻回した送り軸11および巻き取り軸12を有する。送り軸11および巻き取り軸12は、それぞれ、正逆両方向に回転可能に設けられ、インクリボン6を所望する走行位置に配置できる。インクリボン6は、各色のインク層6y、6m、6c、6kが後述するプラテンローラ14に対向する向きに配置される。
【0030】
また、第1ユニット10aは、中間転写フィルム1を巻回した送り軸13および図示しない巻き取り軸を有する。中間転写フィルム1は、基本的に、プラテンローラ14の位置で、インクリボン6と同じ方向に走行可能に延設されており、後述する第2ユニット10bを通して延びている。中間転写フィルム1は、支持体2がプラテンローラ14に接触して走行する向きに配置される。言い換えると、中間転写フィルム1は、その受像層5がインクリボン6の各色インク層6y、6m、6c、6kに対向する向きにして配置される。
【0031】
中間転写フィルム1の走行方向に沿ってプラテンローラ14の上流側および下流側には、中間転写フィルム1を部分的にプラテンローラ14の外周面に沿わせるための2つのガイドローラ15a、15bが設けられている。ガイドローラ15a、15bは、プラテンローラ14に対して固定的に設けられ、中間転写フィルム1に与えられるテンションにより中間転写フィルム1がガイドローラ15a、15b間でプラテンローラ14の外周面に押圧されるようになっている。
【0032】
一方、インクリボン6の背面側、すなわち中間転写フィルム1およびインクリボン6を挟んでプラテンローラ14に対向する位置には、サーマルヘッド16が設けられている。サーマルヘッド16は、プラテンローラ14に対して離接可能に設けられ、中間転写フィルム1にインクリボン6を押し付け可能となっている。サーマルヘッド16は、後述する駆動回路35によって駆動される。
【0033】
中間転写フィルム1の走行方向に沿ってプラテンローラ14の下流側には、中間転写フィルム1を所定位置で一時的にクランプするとともに予め決められた一定距離だけ走行させるためのクランプローラ17が設けられている。中間転写フィルム1を挟んでクランプローラ17に対向する位置には、クランプローラ17との間で中間転写フィルム1をクランプするためのクランパ18が設けられている。
【0034】
クランパ18は、図3に示す初期状態で、クランプローラ17に対して離接可能に設けられ、中間転写フィルム1をクランプ可能となっている。また、クランパ18は、クランプローラ17との間で中間転写フィルム1をクランプした状態(図3に示す状態)で、クランプローラ17が回転したとき、クランプローラ17の回転に追従して移動可能となっている。つまり、クランパ18は、図3に示すように中間転写フィルム1をクランプしたのに基づき、図4に示すようにクランプローラ17の外周に沿って移動する。これにより、中間転写フィルム1がクランプローラ17の回転量に応じた一定距離だけ走行される。
【0035】
クランプローラ17のさらに下流側で第1ユニット10aの出口付近には、中間転写フィルム1を第2ユニット10bに向けて送り出すための送りローラ対19が設けられている。
【0036】
第2ユニット10bは、第1ユニット10aにて受像層5にインク層6y、6m、6c、6kが重ねて転写された中間転写フィルム1を加熱および加圧するためのヒートローラ21および加圧ローラ22を有する。ヒートローラ21は、その外周面を所定温度に昇温させるヒータ41を内蔵しており、中間転写フィルム1の支持体2の背面側に配設されている。加圧ローラ22は、中間転写フィルム1および記録媒体Pを挟んでヒートローラ21に対向する側に設けられ、中間転写フィルム1および記録媒体Pをヒートローラ21に押し付けるように接離可能となっている。
【0037】
記録媒体Pは、図示しない供給部から供給され、中間転写フィルム1と加圧ローラ22との間に送り込まれるようになっている。このとき、記録媒体Pは、一対の送りローラ23によってガイドされて供給される。
【0038】
中間転写フィルム1の走行方向に沿ってヒートローラ21の下流側で送りローラ対23の上流側には、インク層が転写された中間転写フィルム1の受像層5と支持体2を離型層3を介して剥離するための剥離ローラ24が配設されている。剥離ローラ24は、中間転写フィルム1の背面側に配設されている。
【0039】
記録媒体Pを正逆両方向に送る送りローラ対23よりさらに下流側には、ヒートローラ21を通過されて記録媒体Pに転写されたインク層6y、6m、6c、6kに紫外光を照射するための発光素子25、および発光素子25から射出された紫外光を記録媒体P表面に集光させるリフレクター26が設けられている。すなわち、発光素子25は、記録媒体Pのインク層6y、6m、6c、6kが転写された側の表面に対向する位置に配設されている。
【0040】
次に、図5を参照して、上述した記録装置10の動作を制御する制御系について説明する。
【0041】
記録装置10の動作を制御する制御部30には、インクリボン6を正逆両方向に走行させるため、送り軸11および巻き取り軸12をそれぞれ独立して回転させるモータ31、32が接続されている。また、制御部30には、中間転写フィルム1を正逆両方向に走行させるため、送り軸13および巻き取り軸341をそれぞれ独立して回転させるモータ33、34が接続されている。
【0042】
また、制御部30には、サーマルヘッド16に対して画像や文字に関する記録データを供給する駆動回路35、サーマルヘッド16をプラテンローラ14に対して接離させるための接離機構36、クランプローラ17を正逆両方向に回転させるためのモータ37、クランパ18をクランプローラ17に対して接離させるための接離機構38、クランパ18をクランプローラ17の外周面に沿って移動させるための移動機構39、および、送りローラ対19を正逆両方向に回転させるためのモータ40が接続されている。
【0043】
また、制御部30には、ヒートローラ21に内蔵されたヒータ41を所定温度に加熱するための駆動回路42、加圧ローラ22をヒートローラ21に対して接離させるための接離機構43、加圧ローラ22を正逆両方向に回転させるためのモータ44、送りローラ対23を正逆両方向に回転させるためのモータ45、および、発光素子25をオン/オフする駆動回路46が接続されている。
【0044】
さらに、制御部30には、インクリボン6の走行位置を検出するため、インクリボン6の各色インク層6y、6m、6c、6kの間を検知するセンサ51、中間転写フィルム1の走行位置を検出するため、中間転写フィルム1の図示しないマークを検知するセンサ52、および、記録媒体Pの通過を検知して転写開始タイミングを取得するためのセンサ53が接続されている。
【0045】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、上述した記録装置10の動作について説明する。
【0046】
まず、中間転写フィルム1の送り軸13および巻き取り軸341が必要に応じて回転されて、中間転写フィルム1が印字開始位置に設定される。この状態で、図3に示すようにクランパ18がクランプローラ17に押し付けられ、クランプローラ17とクランパ18との間で中間転写フィルム1が拘束される。
【0047】
また、このとき、インクリボン6の送り軸11および巻き取り軸12が必要に応じて回転されて、インクリボン6が印字開始位置に設定される。このとき、インクリボン6は、イエローのインク層6yの先端がサーマルヘッド16に位置するように設定される。この状態で、サーマルヘッド16が、中間転写フィルム1およびインクリボン6を介して、プラテンローラ14に所定の圧力で圧接され、記録動作が待機される。
【0048】
記録動作が開始されると、記録データに応じてサーマルヘッド16が駆動されるとともに、インクリボン6が走行を開始され、クランパ18によって中間転写フィルム1を掴んだ状態のままクランプローラ17が回転される。これにより、中間転写フィルム1とインクリボン6が同じ速度で走行される。このとき、プラテンローラ14は、中間転写フィルム1に連れ回る。そして、インクリボン6のインク層6yが記録データに応じて中間転写フィルム1の受像層5に転写される。
【0049】
このようにして、1色目のインク層6yが中間転写フィルム1の受像層5に転写されると、サーマルヘッド16がプラテンローラ14から離間されて、インクリボン6が中間転写フィルム1から離間される。この状態で、クランプローラ17が図4に示す状態から図3に示す状態に逆回転されて、中間転写フィルム1が印字開始位置まで戻される。また、このとき、マゼンタのインク層6mの先端がサーマルヘッド16と対向する位置となるように、インクリボン6が設定される。
【0050】
この後、マゼンタM、シアンC、ブラックKそれぞれのインク層6m、6c、6kに関して、イエローインク層6yと同様の処理が繰り返され、受像層5に転写されたイエローインク層6yの上に、マゼンタインク層6m、シアンインク層6c、およびブラックインク層6kが順次重ねて転写される(ステップ1)。
【0051】
4色のインク層の転写が終了すると、サーマルヘッド16がプラテンローラ14から離間されて、クランプローラ17が逆転され、図3に示す状態に戻される。この後、クランパ18がクランプローラ17から離間され、中間転写フィルム1のクランプが解除される。
【0052】
さらにこの後、中間転写フィルム1の送り軸13および巻き取り軸341が正方向に回転され、第1ユニット10aの送りローラ対19を介して、受像層5に4色のインク層を重ねて転写した部位(以下、画像形成領域と称する)が第2ユニット10bへ送り込まれる。
【0053】
第2ユニット10bに中間転写フィルム1の画像形成領域が送り込まれると、図示しない供給部から記録媒体Pが供給され、中間転写フィルム1と加圧ローラ22との間に送り込まれる。このとき、中間転写フィルム1の画像形成領域の先端と記録媒体Pの先端が一致され、加圧ローラ22がヒートローラ21に押し付けられる。これにより、中間転写フィルム1と記録媒体Pが、ヒートローラ21と加圧ローラ22との間で所定圧力で押圧される。
【0054】
この状態で、加圧ローラ22が回転されて、ヒートローラ21から中間転写フィルム1に熱が加えられ、記録媒体P表面に、中間転写フィルム1の画像形成領域の受像層5がステップ1で転写されたインク層6y、6m、6c、6kとともに転写される(ステップ2)。より詳細には、中間転写フィルム1の離型層3によって保護層4および受像層5が分離され、記録媒体Pの表面にインク層側が当接するようにして転写される。
【0055】
このとき、剥離ローラ24を介して、中間転写フィルム1の支持体2が剥離され、記録媒体Pと異なる方向へ送り出されて、巻き取り軸341によって巻き取られる。一方、受像層5およびインク層が転写された記録媒体Pは、送りローラ対23によって挟持拘束されて搬送され、発光素子25を通過される。
【0056】
記録媒体Pの後端がヒートローラ21のニップを通過した後、記録媒体Pの先端が発光素子25と対向する位置に達すると、発光素子25が動作開始されて紫外光が記録媒体Pに照射される(ステップ3)。これにより、ステップ2で記録媒体Pに転写された保護層4および受像層5を介して、ステップ1で転写されたインク層に紫外光が照射され、紫外線硬化型樹脂が反応して硬化される。
【0057】
そして、記録媒体Pの後端が発光素子25を通過すると、発光素子25の発光動作がオフにされて紫外光の照射が終了され、中間転写フィルム1が印画開始位置まで巻き戻されて次の記録動作が待機される。
【0058】
図7には、上述したインクリボン6を用いて本実施の形態の記録方法によって記録媒体Pの表面にインク層を転写した場合における転写状態を模式的に示してある。また、図8には、比較のため、各色のインク層に紫外線硬化型樹脂を含まない従来のインクリボンを用いた場合における転写状態を模式的に示してある。以下、図7および図8を参照して、本実施の形態の効果について考察する。
【0059】
記録媒体Pとして紙などの比較的表面に凹凸の多い媒体を選択した場合、紙の表面に露出した繊維による凹凸の凹部61にインクが染み込んで画質が劣化することを防止するため、凹凸の凸部62間にブリッジ状にインク層60(ここでは、4色のインク層6y、6m、6c、6kを重ねて転写した層をインク層60と称する)を転写させなければならない。この場合、紙の表面とインク層60との間の接着力は紙の凸部62とインク層60とが接触している部分のみで確保している。また、凸部62間にブリッジ状に転写されたインク層60の部分は、インク層60の凝集力により接着力を確保している。
【0060】
このため、図8に示すように、インク層60に紫外線硬化型樹脂を含まない従来のインクリボンを用いた場合、インク層60の凝集力が低いため、図中部分63のように、紙表面の凸部62間でインク層60が割れてしまう場合がある。このような不具合は、記録媒体の表面の平面度が低い凹凸の状態のとき顕著となる。インク層60に割れを生じると、インク層6の接着力が低下して紙表面から剥がれてしまう。
【0061】
一方、図7に示すように、インク層60に紫外線硬化型樹脂を含む本実施の形態のインクリボン6を使用した場合、インク層60に紫外光を照射することにより強固に硬化させることができるため、インク層60の凝集力を高くすることができ、凸部62間でインク層60が割れてしまうことを防止でき、紙表面への確実な接着力を確保できる。
【0062】
つまり、本実施の形態のインクリボン6を用いた中間転写記録方式による記録方法によると、記録媒体Pの表面に転写したインク層60が剥がれることを防止でき、インク層60を記録媒体表面に良好な状態で転写できる。
【0063】
次に、この発明の第2の実施の形態に係るインクリボン70について、図9を参照して説明する。このインクリボン70は、4色のインク層6y、6m、6c、6kの他に無色透明の接着層71を有する以外、上述した第1の実施の形態のインクリボン6と同じ構造を有する。このため、以下の説明では、第1の実施の形態のインクリボン6と同じ構成部分については、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
インクリボン70は、ブラックインク層6kに続いて接着層71を有する。接着層71は、熱可塑性の樹脂と同じく熱可塑性だが紫外光を照射することにより硬化する性質を有する紫外線硬化型樹脂を含む。
【0065】
熱可塑性樹脂として、好ましくは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、あるいはこれらの混合樹脂であって、無色透明あるいは単色透明の樹脂が用いられる。本実施の形態では、記録媒体Pとしての紙に対する接着力を確保するため、熱可塑性樹脂として、飽和共重合ポリエステルのユニチカ製エリーテルUE−3300を用いた。
【0066】
紫外線硬化型樹脂として、好ましくは、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどが用いられる。これら紫外線硬化型樹脂は、主に、接着剤として用いられる。紫外光により硬化した樹脂は、凝集力が強く、樹脂層の内部でせん断されたりすることが少なくなる特徴を有している。本実施の形態では、硬化の速効性を考慮して、エポキシアクリレートを使用し、日本ユピカ製のAC5702を用いた。
【0067】
熱可塑性樹脂と紫外線硬化型樹脂との混合比は、紫外線硬化型樹脂がインクの特性を乱さない程度にするため、8:2とした。尚、接着層71の厚さは、紙表面の凹凸に適用可能な厚さ(本実施の形態では2[μm])とした。
【0068】
次に、図10に示すフローチャートを参照して、上述したインクリボン70を用いた記録動作について説明する。尚、この場合も、上述した記録装置10にインクリボン70をセットして記録動作を行なう。
【0069】
まず、上述した第1の実施の形態と同様に、中間転写フィルム1の受像層5に各色のインク層6y、6m、6c、6kが転写される(ステップ1)。4色のインク層60の転写が終了すると、続いて、接着層71がインク層60の上に転写される(ステップ2)。この際、サーマルヘッド16は、接着層71の全ての領域をインク層60に重ねて転写する。
【0070】
この後、インク層60および接着層71が転写された受像層5が、中間転写フィルム1から記録媒体Pに転写される(ステップ3)。さらに、記録媒体Pに紫外光が照射されて、接着層71が硬化される(ステップ4)。この際、ステップ3で記録媒体Pに転写された保護層4、受像層5、およびインク層60を介して、接着層71に紫外光が照射される。
【0071】
図11には、本実施の形態のインクリボン70を用いて記録媒体Pの表面に各層を転写した状態を模式的に示してある。これによると、上述した第1の実施の形態のインク層60と同様に、接着層71が強固に硬化されるため、接着層71の凝集力を高くでき、凸部62間で接着層71が割れることを防止でき、紙表面への確実な接着力を確保できる。
【0072】
また、本実施の形態によると、インク層60の他に接着層71を用いるため、上述した第1の実施の形態のようにインク層60のバインダに紫外線硬化型樹脂を含有させる必要がない。このため、第1の実施の形態と比較して、インク層60選択の自由度を高めることができる。
【0073】
さらに、接着層71として、色剤粒子を含む必要がなく、紙との接着性と色インク層60との相性を考慮すれば良いため、第1の実施の形態のインク層60と比較して、紫外線硬化型樹脂の含有量を増やすことができ、より強固な凝集力を持たせることができ、より確実な接着力を確保できる。
【0074】
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0075】
例えば、上述した実施の形態では、接着層71を無色透明な材料とした場合について説明したが、必ずしも透明な材料でなくとも良い。つまり、接着層71はインク層60に対して記録媒体P側に位置するため、例えば、接着層71が記録媒体Pの表面と同じ色の材料であれば記録媒体P上に出力される画像に影響を与えることはない。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のインクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法によると、中間転写記録方式によりインク層を記録媒体に良好な状態で転写することができる。
【0077】
特に、この発明によると、記録媒体上に階調性豊かなカラー画像や文字を高画質で記録でき、その上、カラー画像や文字などの画像が記録媒体から剥がれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間転写フィルムの断面図。
【図2】この発明の第1の実施の形態に係るインクリボンの断面図。
【図3】この発明の実施の形態に係る記録方法を実現するための記録装置を模式的に示す概略図。
【図4】図3の記録装置の別の動作状態を示す概略図。
【図5】図3の記録装置の動作を制御する制御系を示すブロック図。
【図6】図2のインクリボンを用いた記録動作を説明するためのフローチャート。
【図7】図2のインクリボンを用いて記録媒体に記録した状態を示す断面図。
【図8】インク層のバインダに紫外線硬化型樹脂を含まない従来のインクリボンを用いた場合における記録状態を示す断面図。
【図9】この発明の第2の実施の形態に係るインクリボンを示す断面図。
【図10】図9のインクリボンを用いた記録動作を説明するためのフローチャート。
【図11】図9のインクリボンを用いて記録媒体に記録した状態を示す断面図。
【符号の説明】
1…中間転写フィルム、2…支持体、3…離型層、4…保護層、5…受像層、6…インクリボン、6y…イエローインク層、6m…マゼンタインク層、6c…シアンインク層、6k…ブラックインク層、7…支持体、10…記録装置、10a…第1転写ユニット、10b…第2転写ユニット、14…プラテンローラ、16…サーマルヘッド、17…クランプローラ、18…クランパ、21…ヒートローラ、25…発光素子、30…制御部、60…インク層、61…凹部、62…凸部、70…インクリボン、71…接着層、P…記録媒体。
Claims (8)
- 色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写したのに基づき、この受像層を上記インク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボンであって、
上記インク層が、紫外光により硬化する材料を含むことを特徴とするインクリボン。 - 色剤粒子を含んだインク層を中間転写媒体の受像層に転写したのに基づき、この受像層を上記インク層とともに記録媒体に転写する中間転写記録方式で用いるインクリボンであって、
上記インク層の他に、紫外光により硬化する材料を含む接着層を有することを特徴とするインクリボン。 - 上記接着層は、上記中間転写媒体の受像層に転写したインク層の上に重ねて転写されることを特徴とする請求項2に記載のインクリボン。
- 上記接着層は、透明な材料により形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクリボン。
- 上記紫外光により硬化する材料は、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどの熱可塑性の樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のインクリボン。
- 上記インク層は、上記紫外光により硬化する、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどの熱可塑性の樹脂を含むバインダに、色剤粒子を分散して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクリボン。
- 請求項1、5、6のいずれかに記載のインクリボンの上記インク層を上記中間転写媒体の上記受像層に転写する第1転写工程と、
インク層が転写された受像層をインク層とともに上記記録媒体に転写する第2転写工程と、
記録媒体に転写された受像層を介してインク層に紫外光を照射して硬化させる硬化工程と、
を有することを特徴とする記録方法。 - 請求項2乃至5のいずれかに記載のインクリボンの上記インク層を上記中間転写媒体の上記受像層に転写する第1転写工程と、
このインク層に重ねて上記接着層を転写する第2転写工程と、
インク層および接着層が転写された受像層を接着層を記録媒体の転写する面に向けた状態で記録媒体に転写する第3転写工程と、
記録媒体に転写された受像層およびインク層を介して接着層に紫外光を照射して硬化させる硬化工程と、
を有することを特徴とする記録方法。
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JP2003137397A JP2004338220A (ja) | 2003-05-15 | 2003-05-15 | インクリボン、およびこのインクリボンを用いた記録方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102267300A (zh) * | 2011-06-17 | 2011-12-07 | 郑国义 | 一种微点防伪膜的制备方法 |
JP2012187756A (ja) * | 2011-03-09 | 2012-10-04 | Sato Knowledge & Intellectual Property Institute | 熱転写プリンタ |
-
2003
- 2003-05-15 JP JP2003137397A patent/JP2004338220A/ja active Pending
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