JP2004334022A - 難燃性吸音材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、自動車のエンジン音を吸音するためにフードパネルの下面に取り付けされるフードサイレンサ等の吸音材であって、難燃性および吸音性に優れる難燃性吸音材を提供することを課題とする。
【解決手段】フェノール系樹脂を含有する多孔質基材2からなる難燃性吸音材1であって、該多孔質基材2に0.02dtex〜50dtexの繊度の繊維を使用し、フェノール系樹脂の含有量を多孔質基材2の目付量(g/m)に対して50〜200質量%に調節する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車のエンジン音を吸音するためのフードサイレンサ等の難燃性を有する騒音を吸音するための吸音材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のフードパネル下面には、エンジン音を吸音するために、フードサイレンサ(1P)が取付けられている。該フードサイレンサ(1P)としては、図4に示されるように、耐熱性および吸音性の良いガラスウール(2P)上にPET等のポリエステルの不織布(12P) を積層したものが提供されていた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭64−36433号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したようにフードサイレンサ(1P)にはガラスウール(2P)が使用されているが、該ガラスウール(2P)は手に刺さり易く作業性が悪く、またガラスウール(2P)は微小なガラス片の粉塵を発生させ易く作業環境を悪化させるという問題があった。更に従来のフードサイレンサ(1P)にはガラスウール(2P)が露出しないようにガラスウール(2P)上に不織布(12P) を積層する必要があった。またガラスウールを使用するフードサイレンサは、ガラスウールが焼却処分出来ないので、廃棄処分が困難であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するための手段として、フェノール系樹脂を含有する多孔質基材(2) からなる吸音材であって、該フェノール系樹脂の含有量が多孔質基材(2) の目付量(g/m)に対して50〜200質量%であり、該多孔質基材(2) が0.02dtex〜50dtexの繊度の繊維からなる難燃性吸音材(1) を提供するものである。 該フェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物であることが望ましい。また該フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、フェノール系樹脂初期縮合物中にアルキルレゾルシンを添加して共縮合させることによって製造されることが望ましい。
【0006】
【作用】
多孔質基材(2) として、0.02dtex〜50dtexの繊度の繊維を使用し、かつ該多孔質基材(2) に、該多孔質基材(2) の目付量(g/m)に対して難燃性であるフェノール系樹脂を50〜200質量%含有せしめる。多孔質基材(2) の繊維の繊度および多孔質基材(2) に対するフェノール系樹脂の含有量を調節することによって、吸音材(1) の難燃性および吸音性を調節する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔フェノール系樹脂〕
フェノール系樹脂は、フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体とを縮合させることによって得られる。該フェノール系樹脂は、水溶性を付与するためにスルホアルキル化および/またはスルフィアルキル化されても良い。
本発明のフェノール系樹脂は、初期縮合物として多孔質基材(2) に含浸される。該初期縮合物は、通常、水溶液として調製されるが、所望により、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、トリメチルノニルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、アビエチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メチルオキシド、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ショウノウ等のケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の上記グリコール類のエステル類やその誘導体、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ジエチルセロルブ、ジエチルカルビトール、エチルラクテート、イソプロピルラクテート、ジグリコールジアセテート、ジメチルホルムアミド等の水溶性有機溶剤を使用してもよい。
【0008】
(フェノール系化合物)
上記フェノール系樹脂に使用されるフェノール系化合物としては、一価フェノールであってもよいし、多価フェノールであってもよいし、一価フェノールと多価フェノールとの混合物であってもよいが、一価フェノールのみを使用した場合、硬化時および硬化後にホルムアルデヒドが放出され易いため、好ましくは多価フェノールまたは一価フェノールと多価フェノールとの混合物を使用する。
【0009】
(一価フェノール)
上記一価フェノールとしては、フェノールや、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、キシレノール、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、o−フルオロフェノール、m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノール、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、2,4,6−トリニトロフェノール等の一価フェノール置換体、ナフトール等の多環式一価フェノールなどが挙げられ、これら一価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。
【0010】
(多価フェノール)
上記多価フェノールとしては、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノール、ジヒドロキシナフタリン等が挙げられ、これら多価フェノールは単独でまたは二種以上混合して使用することができる。多価フェノールのうち好ましいものは、レゾルシンまたはアルキルレゾルシンであり、特に好ましいものはレゾルシンよりもアルデヒドとの反応速度が速いアルキルレゾルシンである。
【0011】
アルキルレゾルシンとしては、例えば5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジメチルレゾルシン、2,5−ジメチルレゾルシン、4,5−ジエチルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシン、4−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−エチルレゾルシン、2−メチル−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシン等がある。
エストニア産オイルシェールの乾留によって得られる多価フェノール混合物は安価であり、かつ5−メチルレゾルシンのほか反応性の高い各種アルキルレゾルシンを多量に含むので、本発明において特に好ましい多価フェノール原料である。
【0012】
本発明では上記フェノール系化合物とアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体(アルデヒド類)が縮合せしめられるが、上記アルデヒド供与体とは分解するとアルデヒドを生成供与する化合物またはそれらの混合物を意味する。このようなアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が例示され、アルデヒド供与体としては例えばパラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン、テトラオキシメチレン等が例示される。
【0013】
上記したように水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために、上記フェノール系樹脂をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化することが望ましい。
【0014】
(スルホメチル化化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルホメチル化剤としては、例えば、亜硫酸、重亜硫酸またはメタ重亜硫酸と、アルカリ金属またはトリメチルアミンやベンジルトリメチルアンモニウム等の第四級アミンもしくは第四級アンモニウムとを反応させて得られる水溶性亜硫酸塩や、これらの水溶性亜硫酸塩とアルデヒドとの反応によって得られるアルデヒド付加物が例示される。
該アルデヒド付加物とは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロラール、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒドと、上記水溶性亜硫酸塩とが付加反応したものであり、例えばホルムアルデヒドと亜硫酸塩からなるアルデヒド付加物は、ヒドロキシメタンスルホン酸塩である。
【0015】
(スルフィメチル化剤)
水溶性フェノール系樹脂の安定性を改良するために使用できるスルフィアルキル化剤としては、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート(ロンガリット)、ベンズアルデヒドナトリウムスルホキシラート等の脂肪族、芳香族アルデヒドのアルカリ金属スルホキシラート類、ナトリウムハイドロサルファイト、マグネシウムハイドロサルファイト等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハイドロサルファイト(亜ジチオン酸塩)類、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩等のヒドロキシアルカンスルフィン酸塩等が例示される。
【0016】
(第三成分)
上記フェノール系樹脂の製造の際、必要に応じて、例えば塩酸、硫酸、オルト燐酸、ホウ酸、蓚酸、蟻酸、酢酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸等の無機または有機酸、蓚酸ジメチルエステル等の有機酸のエステル類、マレイン酸無水物、フタル酸無水物等の酸無水物、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、イミドスルホン酸アンモニウム等のアンモニウム塩、モノクロル酢酸またはそのナトリウム塩、α,α’−ジクロロヒドリン等の有機ハロゲン化物、トリエタノールアミン塩酸塩、塩酸アニリン等のアミン類の塩酸塩、サルチル酸尿素アダクト、ステアリン酸尿素アダクト、ヘプタン酸尿素アダクト等の尿素アダクト、N−トリメチルタウリン、塩化亜鉛、塩化第2鉄等の酸性物質、アンモニア、アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、石灰等のアルカリ土類金属の酸化物、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、燐酸ナトリウム等のアルカリ金属の弱酸塩類等のアルカリ性物質を触媒またはpH調整剤として混合してもよい。
【0017】
(フェノール系樹脂の製造)
上記フェノール系樹脂(初期縮合物)は常法により製造することができ、具体的には、(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させる方法、(b) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(c) 一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールおよび/または多価フェノールとを縮合させる方法、(d) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法、(e) 一価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物および/または多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物と、一価フェノールと多価フェノールとアルデヒド類とを縮合させた初期縮合物とを縮合させる方法等により製造することができる。
【0018】
本発明において、望ましいフェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である。上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、該共縮合物(初期共縮合物)の水溶液の安定が良く、かつフェノールのみからなる縮合物(初期縮合物)に比較して、常温で長期間保存することが出来るという利点がある。また該水溶液を多孔質基材(2) に含浸させ、プレキュアしてB状態とした時の安定性が良く、該多孔質基材(2) は長期間保存しても成形性を喪失しない。また更にアルキルレゾルシンはアルデヒドとの反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる等の利点も有する。 上記フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物の望ましい製造方法は、まずフェノールとアルデヒドとを反応させてフェノール系樹脂初期縮合物を製造し、次いで該フェノール系樹脂初期縮合物にアルキルレゾルシンを添加し、所望なればアルデヒドを添加して反応せしめる方法である。
【0019】
例えば、上記(a) 一価フェノールおよび/または多価フェノールとアルデヒド類との縮合では、通常一価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.2〜3モル、多価フェノール1モルに対し、アルデヒド類0.1〜0.8モルと、必要に応じて溶剤、第三成分とを添加し、液温55〜100℃で8〜20時間加熱反応させる。このときアルデヒド類は、反応開始時に全量加えてもよいし、分割添加または連続滴下してもよい。
【0020】
上記フェノール系樹脂初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する場合、該初期縮合物に任意の段階でスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤を添加して、フェノール系化合物および/または初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化する。
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の添加は、縮合反応前、反応中、反応後のいずれの段階で行ってもよい。
【0021】
スルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤の総添加量は、フェノール系化合物1モルに対して、通常0.001〜1.5モルである。0.001モル以下の場合はフェノール系樹脂の親水性が充分でなく、1.5モル以上の場合はフェノール系樹脂の耐水性が悪くなる。製造される初期縮合物の硬化性、硬化後の樹脂の物性等の性能を良好に保持するためには、0.01〜0.8モル程度とするのが好ましい。
【0022】
初期縮合物をスルホメチル化および/またはスルフィメチル化するために添加されるスルホメチル化剤および/またはスルフィメチル化剤は、該初期縮合物のメチロール基および/または該初期縮合物の芳香環と反応して、該初期縮合物にスルホメチル基および/またはスルフィアメチル基が導入される。
【0023】
このようにしてスルホメチル化および/またはスルフィメチル化したフェノール系樹脂の初期縮合物の水溶液は、酸性(pH1.0)〜アルカリ性の広い範囲で安定であり、酸性、中性およびアルカリ性のいずれの領域でも硬化することが出来る。特に、酸性側で硬化させると、残存メチロール基が減少し、硬化物が分解してホルムアルデヒドを発生するおそれがなくなる。
【0024】
更に本発明では、上記フェノール系樹脂として、所望なれば、尿素、チオ尿素、メラミン、チオメラミン、ジシアンジアミン、グアニジン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,6ジアミノ−1,3−ジアミンのアミノ系樹脂単量体および/または該アミノ系樹脂単量体からなる初期縮合体を添加してフェノール系化合物および/または初期縮合物と共縮合せしめてもよい。
【0025】
なお本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物を含む)に、更に、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体、あるいはアルキロール化トリアゾン誘導体等の硬化剤を添加混合しても良い。
上記アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体としては、フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体と同様なものが使用され、アルキロール化トリアゾン誘導体は尿素系化合物と、アミン類と、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との反応によって得られる。アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用される上記尿素系化合物として、尿素、チオ尿素、メチル尿素等のアルキル尿素、メチルチオ尿素等のアルキルチオ尿素、フェニル尿素、ナフチル尿素、ハロゲン化フェニル尿素、ニトロ化アルキル尿素等の単独または二種以上の混合物が例示される。特に望ましい尿素系化合物は尿素またはチオ尿素である。またアミン類としてメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン等の脂肪族アミン、ベンジルアミン、フルフリルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類のほか更にアンモニアが例示され、これらは単独でまたは二種以上の混合物として使用される。上記アルキロール化トリアゾン誘導体の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体はフェノール系樹脂の初期縮合物の製造に使用されるアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体と同様なものである。
上記アルキロール化トリアゾン誘導体の合成には、通常、尿素系化合物1モルに対してアミン類および/またはアンモニアは0.1〜1.2モル、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体は1.5〜4.0モルの割合で反応させる。上記反応の際、これらの添加順序は任意であるが、好ましい反応方法としては、まずアルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体の所要量を反応器に投入し、通常60℃以下の温度に保ちながらアミン類および/またはアンモニアの所要量を徐々に添加し、更に所要量の尿素系化合物を添加し、80〜90℃で2〜3時間攪拌加熱して反応せしめる方法がある。アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体としては通常37%ホルマリンが用いられるが、反応生成物の濃度をあげるためにその一部をパラホルムアルデヒドに置き換えても良い。またヘキサメチレンテトラミンを用いると、より高い固形分の反応生成物が得られる。尿素系化合物と、アミン類および/またはアンモニアと、アルデヒドおよび/またはアルデヒド供与体との反応は通常水溶液で行われるが、水の一部または全部に代えてメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール類の単独または二種以上の混合物が使用されても差し支えないし、またアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の水可溶性有機溶剤の単独または二種以上の混合物が添加使用できる。上記硬化剤の添加量はアルデヒドおよびアルデヒド供与体の場合は本発明のフェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜100質量部、アルキロール化トリアゾン誘導体の場合は上記フェノール系樹脂の初期縮合物(初期共縮合物)100質量部に対して10〜500質量部である。
【0026】
〔多孔質基材〕
本発明の多孔質基材(2) とは、有機繊維または連続気泡構造を有するプラスチック発泡体からなる。有機繊維からなる多孔質基材(2) としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維、ビニロン繊維等の合成繊維、レーヨン繊維等の半合成繊維、ヤシ繊維、麻繊維、ケナフ繊維、竹繊維等の天然繊維等の有機繊維(上記繊維からなる繊維製品を解繊して得られる再生繊維を含む)があり、これらの繊維は、単独でまたは2種以上組合わせて使用される。またプラスチック発泡体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリアミド発泡体、アクリル発泡体、ウレタン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリ塩化ビニリデン発泡体、アセテート発泡体等がある。
本発明で使用される多孔質基材(2) の目付量(g/m)は、通常、200g/m〜1000g/mである。
なお本発明の多孔質基材(2) に使用される上記繊維には、難燃処理が施されていても良い。
【0027】
該多孔質基材(2) の繊維の繊度は、0.02dtex〜50dtexであることが望ましく、更に、0.1dtex〜30dtexであることが望ましい。繊度が0.02dtexよりも小さいと、該繊度の繊維を使用した吸音材(1) の剛性が不充分となる。また繊度が50dtexよりも大きくなると、吸音材(1) の吸音効果を充分発揮出来なくなる。
【0028】
フェノール系樹脂の初期縮合物の多孔質基材(2) への含浸は、浸漬法、スプレー法、フローコーティング法、ロールコーティング法等の公知の方法によって行われる。
例えば、図3に示されるように、多孔質基材(2) を、多孔質基材(2) のロール(2A)から引き出し、ガイドロール(4,5,6) によってフェノール系樹脂の初期縮合物(水溶液S)の入った槽(7) 内に導入することによって初期縮合物を含浸せしめる。なお該初期縮合物(2) を含浸した多孔質基材(2) を、更に絞りロール(8) によって絞りをかけて初期縮合物の含浸量を調節してもよい。
【0029】
フェノール系樹脂は難燃性であり、多孔質基材(2) に対するフェノール系樹脂の含有量を調節することによって、吸音材(1) の難燃性が調節される。
望ましいフェノール系樹脂の含有量は、固形分として、多孔質基材(2) の目付量(g/m)に対して50〜200質量%であり、更に望ましくは55〜170質量%、また更に望ましくは60〜150質量%である。フェノール系樹脂の含有量が、多孔質基材(2) の目付量(g/m)に対して50質量%よりも少ないと、得られる吸音材(1) の難燃性が悪く、また該含有量が200質量%よりも多いと吸音材(1) の吸音性が悪くなる。
【0030】
〔難燃性吸音材の製造方法〕
多孔質基材(2) に所定量のフェノール系樹脂の初期縮合物を含浸せしめ、含浸後の多孔質基材(2) を乾燥してプレキュアする。該乾燥工程は、熱風を吹付ける方法等によって行われるが、この際、減圧しながら熱風を吹付けても良い。
該プレキュアの際に該初期縮合物を完全硬化させても良いが、B状態とすることが望ましい。B状態の初期縮合物を含む多孔質基材(2) は、成形性が良好であり、長期間保存可能である。
プレキュア後、該多孔質基材(2) をホットプレス成形することによって吸音材(1) が得られる。
例えば、所望の型面形状を有する下型および上型からなる成形機を使用してホットプレスすれば、図1に示すような所定形状のフードサイレンサ(1) が得られる。
【0031】
本発明の難燃性吸音材(1) は、難燃処理を施した表皮材等を積層する必要が無く、そのまま吸音材(1) として使用することが出来る。
なお本発明の難燃性吸音材(1) は、単一層の多孔質基材(2) からなるものに限られず、複数層の多孔質基材からなるものであってもよい。
また所望により、本発明の難燃性吸音材(1) の片面または両面に、上記合成繊維等からなる繊維シート等を表皮材、裏面材として積層してもよい。
【0032】
また本発明の難燃性吸音材(1) には、所望により、尿素、チオ尿素、メラミン、チオメラミン、ジシアンジアミン、グアニジン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,6−ジアミノ−1,3−ジアミン等のアミノ系単量体、該アミノ系単量体の初期縮合物;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、低融点ポリアミド、低融点ポリエステル等の熱可塑性樹脂のエマルジョンや水溶液あるいは粉末;天然ゴムおよびその誘導体;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、ガラス粉、石粉、合成樹脂粉末、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉、リンター、リネン、サイザル、木粉、小麦粉、クルミ粉、デン粉、ヤシガラ粉、米粉、活性炭、木炭、樹皮、キトサン等の充填材;界面活性剤;ステアリン酸、パルチミン酸等の高級脂肪酸、パルチミンアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ブチルステアレート、グリセリンモノステアレート等の脂肪酸のエステル類;脂肪酸アミド類;カルナバワックス等の天然ワックス類、合成ワックス類;顔料、染料、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光染料、界面活性剤、発泡剤、撥油剤、DOP、DBP等の可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤;等の第三成分を含めても良い。
なおこれらの第三成分は、直接、多孔質基材(2) に添加、塗布等してもよく、また上記フェノール系樹脂の初期縮合物中に添加せしめ、該フェノール系樹脂の初期縮合物と共に多孔質基材(2) に含浸せしめてもよい。
【0033】
本発明の難燃性吸音材(1) は、自動車等に使用されるシリンダーヘッドカバーサイレンサ、エンジンアンダーカバーサイレンサ、ダッシュアウターサイレンサ、ダッシュサイレンサ、ルームパーティションサイレンサ、天井材、内装材、建材等に使用される。特に、使用時に難燃性(耐熱性)および吸音性が要求されるフードサイレンサ(1) として特に有用である。
【0034】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。なお本発明は、以下に示される実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕
ポリエチレンテレフタレート繊維からなり、ニードルパンチング法によって絡合したシート(繊度:10dtex、目付量400g/m、厚さ:10mm)に、60質量%固形分のフェノール・ホルムアルデヒド初期縮合物(フェノール系樹脂の初期縮合物)を含浸せしめた。該初期縮合物の含浸量は、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が50質量%の含有量となるように調節した。フェノール系樹脂の初期縮合物を含浸したシートを、150℃で乾燥してプレキュアし、プレキュア後のシートを200℃×60秒の条件でホットプレスして、厚さ5mmの成形物(実施例1)を得た。
【0035】
〔実施例2および実施例3〕
上記実施例1のフェノール系樹脂の初期縮合物およびシートを使用し、該シートに、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が100質量%の含有量、および200質量%の含有量となるように該初期縮合物を含浸せしめ、上記実施例1と同様にして、該シートをプレキュア、ホットプレス成形して、それぞれ厚さ5mmの成形物(実施例2および実施例3)を製造した。
【0036】
〔比較例1および比較例2〕
上記実施例1のフェノール系樹脂の初期縮合物およびシートを使用し、該シートに、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が40質量%の含有量、および250質量%の含有量となるように該初期縮合物を含浸せしめ、上記実施例1と同様にして、該シートをプレキュア、ホットプレス成形して、それぞれ厚さ5mmの成形物(比較例1および比較例2)を製造した。
【0037】
(燃焼試験)
FMVSS−302法の水平試験法に順じ、上記実施例1〜3および比較例1および2の成形物の燃焼試験を行った。結果は表1に示した。
【0038】
(吸音試験)
JIS−A1405に順じ、上記実施例1〜3および比較例1および2の成形物の吸音試験を行った。結果は表1に示した。
【0039】
【表1】
Figure 2004334022
【0040】
表1の結果より、燃焼試験の結果について、フェノール系樹脂の含有量が、シートの目付量に対して50質量%、100質量%、200質量%、250質量%である成形物(実施例1〜3および比較例2)は、難燃性または不燃性であった。一方、シートの目付量に対してフェノール系樹脂の含有量が40質量%である成形物は、遅燃性であった。
また吸音性試験の結果について、実施例1〜3および比較例1の成形物は、所定の吸音性を有しているが、フェノール系樹脂の含有量が、シートの目付量に対して250質量%である成形物(比較例2)の吸音性が悪いことが確かめられた。
以上の試験結果より、シートの目付量に対して樹脂の含有量が50質量%よりも少ないと成形物は難燃性で無くなり、該含有量が250質量%よりも多くなると成形物の吸音性が悪くなることが示唆される。
【0041】
〔実施例4〕
ポリプロピレン繊維からなり、ニードルパンチング法によって絡合したシート(繊度:0.02dtex、目付量300g/m、厚さ:15mm)に、55質量%固形分のフェノール/アルキルレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(フェノール系樹脂の初期縮合物)を含浸せしめた。該初期縮合物の含浸量は、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が70質量%の含有量となるように調節した。
フェノール系樹脂の初期縮合物を含浸したシートを、150℃で乾燥してプレキュアし、プレキュア後のシートを200℃×45秒の条件でホットプレスして、厚さ7mmの成形物(実施例4)を得た。
【0042】
〔実施例5および実施例6〕
上記実施例4のフェノール系樹脂の初期縮合物を、ポリプロピレン繊維からなり、ニードルパンチング法によって絡合したそれぞれのシート(繊度:20dtex、目付量300g/m、厚さ:15mm)および(繊度:50dtex、目付量300g/m、厚さ:15mm)に、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が70質量%の含有量で含浸せしめ、上記実施例4と同様にして、該シートをプレキュア、ホットプレス成形して、それぞれ厚さ7mmの成形物(実施例5および実施例6)を製造した。
【0043】
〔比較例3および比較例4〕
上記実施例4のフェノール系樹脂の初期縮合物を、ポリプロピレン繊維からなり、ニードルパンチング法によって絡合したそれぞれのシート(繊度:0.01dtex、目付量300g/m、厚さ:15mm)および(繊度:60dtex、目付量300g/m、厚さ:15mm)に、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が70質量%の含有量で含浸せしめ、上記実施例4と同様にして、該シートをプレキュア、ホットプレス成形して、それぞれ厚さ7mmの成形物(比較例3および比較例4)を製造した。
【0044】
上記実施例4、実施例5、実施例6、比較例3および比較例4の成形物の剛性試験、燃焼試験、吸音試験をおこなった。試験の結果は表2に示した。
なお該剛性試験は、JIS−K6911、熱硬化性プラスチック一般試験方法の5.17曲げ強さに準ずる。燃焼試験および吸音試験については、上記燃焼試験、吸音試験と同様である。
【0045】
【表2】
Figure 2004334022
【0046】
剛性試験の結果について、繊度が0.02dtex、20dtex、50dtexおよび60dtexのシートからなる成形物(実施例4、実施例5、実施例6および比較例4)の剛性は、吸音材の剛性として充分であることが解った。一方、繊度が0.01dtexのシートからなる成形物(比較例3)は剛性が充分でないことが解った。燃焼試験の結果について、何れの成形物(実施例4、実施例5、実施例6、比較例3および比較例4)も不燃性であった。
吸音試験の結果について、繊度が60dtexのシートからなる成形物(比較例4)の吸音性が不充分であることが判った。
以上の試験結果より、シートの繊維の繊度が0.02dtexよりも小さくなると、成形物の剛性が不充分となり、該繊維が50dtexよりも大きくなると成形物の吸音性が悪くなることが示唆される。
【0047】
〔実施例7〕
ポリエステル繊維(40質量%、繊度:0.3dtex)および(60質量%、繊度:8dtex)からなり、ニードルパンチング法によって絡合したシート(目付量:40g/m)に、60質量%固形分のフェノール/アルキルレゾルシン・ホルムアルデヒド初期共縮合物およびアルキロール化トリアゾン誘導体を含浸せしめた。該初期共縮合物の含浸量は、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が100質量%の含有量となるように調節した。なおアルキロール化トリアゾン誘導体は、60質量%固形分の該初期共縮合物100質量部に対して50質量部の割合で添加混合した。
上記初期共縮合物を含浸したシートを、120℃で乾燥してプレキュアし、プレキュア後のシートを210℃×70秒の条件でホットプレスして、厚さ10mmの成形物(実施例7)を得た。
【0048】
〔実施例8および実施例9〕
上記実施例7のフェノール系樹脂の初期共縮合物およびポリエステル繊維を使用し、該繊維からなるシート(目付量:100g/mおよび800g/m)に、それぞれのシートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が100質量%の含有量となるように該初期共縮合物を含浸せしめ、上記実施例7と同様にして、該シートをプレキュア、ホットプレス成形して、それぞれ厚さ10mmの成形物(実施例8および実施例9)を製造した。
【0049】
〔比較例5〜比較例10〕
上記実施例7、8および9と同様のシートに、それぞれの目付量(目付量:40g/m、100g/mおよび800g/m)に対しフェノール系樹脂(固形分)が30質量%の含有量、および250質量%となるように上記実施例7で使用したフェノール系樹脂の初期共縮合物を含浸せしめ、上記実施例7と同様にして、該シートをプレキュア、ホットプレス成形して、それぞれ厚さ10mmの成形物(比較例5(シート目付量:40g/m、樹脂含浸量:30質量%)、比較例6(シート目付量:100g/m、樹脂含浸量:30質量%)、比較例7(シート目付量:800g/m、樹脂含浸量:30質量%)、比較例8(シート目付量:40g/m、樹脂含浸量:250質量%)、比較例9(シート目付量:100g/m、樹脂含浸量:250質量%)、比較例10(シート目付量:800g/m、樹脂含浸量:250質量%))を製造した。
【0050】
上記実施例7〜実施例9および比較例5〜比較例10の成形物について、剛性試験、燃焼試験および吸音試験を行った。各試験方法は、上記試験方法と同様である。結果は表3に示した。
【0051】
【表3】
Figure 2004334022
【0052】
剛性試験の結果について、実施例7〜実施例9の成形物は何れも吸音材として充分な剛性を有していることが判った。一方、比較例において、比較例8〜比較例10の成形物については、充分な剛性を有しているが、比較例5〜比較例7の成形物については、吸音材として充分な剛性を有していないことが判った。
燃焼試験の結果について、実施例7〜実施例9の成形物は何れも不燃性であることが判った。一方、比較例において、比較例8〜比較例10の成形物については不燃性であったが、比較例5〜比較例7、即ち、フェノール系樹脂の含有量がシートの目付量に対して30質量%の成形物については、遅燃性であることが判り、難燃性(不燃性)でないことが確かめられた。
吸音試験の結果について、実施例7〜実施例9の成形物の吸音性は、何れの周波数においても、比較例5〜比較例10の成形物の吸音性よりも良い結果となった。なお比較例8〜比較例10、即ち、フェノール系樹脂の含有量がシートの目付量に対して250質量%の成形物の吸音性が特に悪いことが判った。
以上の試験結果より、シートの目付量に対してフェノール系樹脂含有量が50質量%よりも少ないと成形物は難燃性で無くなり、該含有量が200質量%よりも多くなると成形物の吸音性が悪くなることが示唆される。
【0053】
〔実施例10〕
繊度:10dtexのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)繊維からなり、ニードルパンチング法によって絡合したシート(目付量:400g/m、厚さ:10mm)に、60質量%固形分のフェノール・ホルムアルデヒド初期縮合物(フェノール系樹脂の初期縮合物)を含浸せしめた(図3参照)。該初期縮合物の含浸量は、シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が50質量%の含有量となるように調節した。
フェノール系樹脂の初期縮合物を含浸したシートを、150℃で乾燥してプレキュアしてフェノール系樹脂をB状態にし、プレキュア後のシートを所望の型面形状を有する下型および上型からなる成形機を使用して、200℃×60秒の条件でホットプレスし、図1に示される所定形状のフードサイレンサ(1) を得た。上記フードサイレンサ(1) を、図2に示されるように、フードパネル(3) の下面に取り付けた。該フードサイレンサ(1) は手で持ち易く、取付け作業を容易に行うことが出来た。また該フードサイレンサ(1) から粉塵は殆んど発生することが無く、作業環境を良好に保つことが出来た。
なお該フードサイレンサ(1) は剛性、吸音性、難燃性に優れるものでもあった。
【0054】
〔実施例11〕
繊度:1.5dtexのポリエステル繊維30質量%、繊度:10dtexのポリエステル繊維40質量%、繊度:45dtexの麻繊維20質量%、繊度:6dtex、融点110℃の低融点ポリエステル繊維5%からなる混合繊維を130℃の恒温器で該低融点ポリエステル繊維を溶融させながら、冷圧ロールで厚さ15mmにした目付量500g/mのシートに、フッ素系撥水剤5質量%、リン系難燃剤3質量%が混合された55質量%固形分のフェノール−アルキルレゾルシン初期共縮合物を、該シートの目付量に対しフェノール系樹脂(固形分)が70質量%の含有量となるように含浸せしめた。
該初期共縮合物を含浸したシートを、100℃で乾燥してプレキュアし、プレキュア後のシートを200℃×65秒の条件でホットプレスして、吸音材(実施例11)を得た。
該吸音材は、難燃性であり、剛性かつ吸音性に優れたものであった。
【0055】
〔実施例12〕
繊度:0.5dtexのポリプロピレン繊維(40質量%)、繊度:6dtexのレーヨン繊維(30質量%)、繊度:3dtexのポリアミド繊維(5質量%)、繊度:45dtexのケナフ繊維(25質量%)からなり、ニードルパンチング法によってニードルパンチング法によって絡合したシート(目付量:100g/m、厚さ10mm)に、50質量%固形分のスルホメチル化されたフェノール−アルキルレゾルシン初期共縮合物を、該シートの目付量に対し、フェノール系樹脂(固形分)が80質量%の含有量となるように含浸せしめた。
該初期共縮合物を含浸したシートを、120℃で乾燥してプレキュアし、プレキュア後のシートを3枚積層し、200℃×70秒の条件でホットプレスして、吸音材(実施例12)を得た。
該吸音材は、難燃性であり、剛性かつ吸音性に優れたものであった。
【0056】
〔実施例13〕
繊度:0.5dtexのポリプロピレン繊維(40質量%)、繊度:6dtexのレーヨン繊維(30質量%)、繊度:3dtexのポリアミド繊維(5質量%)、繊度:45dtexの竹繊維(25質量%)からなり、ニードルパンチング法によってニードルパンチング法によって絡合したシート(目付量:100g/m、厚さ10mm)に、50質量%固形分のスルホメチル化されたフェノール−アルキルレゾルシン初期共縮合物およびアルキロール化トリアゾン誘導体を、該シートの目付量に対し、フェノール系樹脂(固形分)が80質量%の含有量となるように含浸しせしめた。なお該アルキロール化トリアゾン誘導体は、50質量%固形分の該初期共縮合物100質量部に対して60質量部の割合で添加混合した。
該初期共縮合物を含浸したシートを、120℃で乾燥してプレキュアし、プレキュア後のシートを3枚積層し、200℃×70秒の条件でホットプレスして、吸音材(実施例13)を得た。
該吸音材は、難燃性であり、剛性かつ吸音性に優れたものであった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の難燃性吸音材は、剛性、難燃性、吸音性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】難燃性吸音材(フードサイレンサ)の斜視図
【図2】フードパネル下面に取り付けられた難燃性吸音材(フードサイレンサ)の斜視図
【図3】フェノール系樹脂初期縮合物含浸工程説明図
【図4】従来の吸音材(フードサイレンサ)の部分断面図
【符号の説明】
1 難燃性吸音材(フードサイレンサ)
2 多孔質基材
3 フードパネル

Claims (3)

  1. フェノール系樹脂を含有する多孔質基材からなる吸音材であって、該フェノール系樹脂の含有量が多孔質基材の目付量(g/m)に対して50〜200質量%であり、該多孔質基材が0.02dtex〜50dtexの繊度の繊維からなることを特徴とする難燃性吸音材
  2. 該フェノール系樹脂は、フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物である請求項1に記載の難燃性吸音材
  3. 該フェノール−アルキルレゾルシン共縮合物は、フェノール系樹脂初期縮合物中にアルキルレゾルシンを添加して共縮合させることによって製造される請求項2に記載の難燃性吸音材
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