JP2004332915A - ころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軌道輪のつば部ところ端面の間に充分な耐焼き付き性を得ることができるころ軸受を提供する。
【解決手段】少なくとも一方につば部31bを有する内外輪30,31と、内外輪30,31の間に組み込まれた状態でつば部31bに端面33aが摺接するころ33を備えたころ軸受Bにおいて、つば部31b及びころ端面33aの少なくとも一方の硬度を750HV以上としたことにより、これらの表面を荒れ難いものにしたり、平均結晶粒径が10μm以下の化成処理被膜を形成して表面になじみ性をもたせて、摩擦熱の上昇を抑制し、つば部31bところ端面33aの間に充分な耐焼き付き性を得た。
【選択図】 図2
【解決手段】少なくとも一方につば部31bを有する内外輪30,31と、内外輪30,31の間に組み込まれた状態でつば部31bに端面33aが摺接するころ33を備えたころ軸受Bにおいて、つば部31b及びころ端面33aの少なくとも一方の硬度を750HV以上としたことにより、これらの表面を荒れ難いものにしたり、平均結晶粒径が10μm以下の化成処理被膜を形成して表面になじみ性をもたせて、摩擦熱の上昇を抑制し、つば部31bところ端面33aの間に充分な耐焼き付き性を得た。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種装置の回転部位に用いられるころ軸受に関し、とくに、トロイダル型無段変速機においてトラクションオイル中で用いるのに好適なころ軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ころ軸受は、周知のように、内外の軌道輪の間に、円筒ころ、円錐ころ及び球面ころ等のころを複数介装したものであって、各種装置の回転部位に用いられている。一例を挙げると、車両の差動装置では、車体に取付けるハウジングに対して、その内部に収容したディファレンシャルケースを回転自在に支持するために、ハウジングとディファレンシャルケースの間にテーパローラベアリング(円錐ころ軸受)を介装している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、一般的なころ軸受では、少なくとも一方の軌道輪に設けたつば部ところの端面との接触部分が、大きな滑りを伴う転がり接触構造であることから、供給される潤滑油の量が不足すると、つば部ところ端面の間で焼き付きが生じることがある。例えば、上記した差動装置では、車両の旋回時に生じる遠心力でディファレンシャルケース内の潤滑油が偏り、これによりテーパローラベアリングにおける潤滑油が不足した場合や、急加速時に同ベアリングの温度が上昇した場合に、軌道輪のつば部ところ端面の間で焼き付きが生じる恐れがある。
【0004】
そこで、従来にあっては、ころ軸受において、軌道輪のつば部ところ端面の間での焼き付きを防止する手段として、双方の接触面の平滑度を高めて金属接触を可能な限り軽減する方法や、高Cr鋼の表面に窒化物層を形成して摩擦係数の上昇を抑える方法(例えば、特許文献2参照)があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−185858号公報
【特許文献2】
特開2001−187916号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したような従来のころ軸受において、軌道輪のつば部ところ端面の平滑度を高めて焼き付きを防止する方法では、例えばZDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)等の添加剤が比較的多く添加されているトランスミッションオイルやギヤオイル中で使用する場合には、凝着摩耗よりも腐食摩耗が増大するため、瞬間的な金属接触を防止することができるが、例えばトロイダル型無段変速機において添加剤の少ないトラクションオイル中で使用する場合には、凝着摩耗し易くなるため、低速と高速を繰り返すたびにつば部ところ端面の間で金属接触が起こり、これらの表面が荒れるという現象が避けられないことから、焼き付きを防止するには不充分であった。
【0007】
例えば、入力ディスクと出力ディスクの間に介装したパワーローラを傾動させて変速比を無段階的に変化させるトロイダル型無段変速機において、パワーローラの内外輪を支持し且つトラクションオイル中で用いる円錐ころ軸受では、トラクションオイルが枯渇したり少なくなったりした際に摩擦係数が急上昇したり、起動トルクが増大する現象が起きている。
【0008】
また、高Cr鋼に窒化物層を形成することにより、軌道輪のつば部ところ端面の間での焼き付きを防止する方法では、材料の変更が必要であるばかりでなく、通常の雰囲気処理では表面にCr酸化膜が生成され、安定した窒化物層を得ることが難しいという問題点があった。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、材料の変更や特殊な熱処理が不要であって、供給される潤滑油の量が不足した場合や、添加剤が少ないトラクションオイル中などで使用する場合でも、軌道輪のつば部ところ端面の間に充分な耐焼き付き性を得ることができ、長寿命化を実現することができるころ軸受を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のころ軸受は、少なくとも一方につば部を有する一対の軌道輪と、両軌道輪の間に組み込まれた状態でつば部に端面が摺接するころを備えたころ軸受において、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度が、例えば750HV以上、より好ましくは800HV以上であって、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、又は窒化化合物層、又はNi−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層を形成したものであり、また、ハードコーティング層の厚さを0.5μm以上5μm以下、窒化化合物層の厚さを3μm以上10μm以下、硬質めっき層の厚さを5μm以上30μm以下としたものであり、さらに、硬質めっき層である硬質クロムめっき層を非晶質としたものであり、さらに、上記軌道輪のつば部及び当該つば部に摺接するころ端面の表面粗さを研磨加工してRa0.03μm以下としたものであって、ころ軸受におけるこのような構成を上記課題を解決するための手段としている。
【0011】
また、本発明のころ軸受は、少なくとも一方につば部を有する一対の軌道輪と、両軌道輪の間に組み込まれた状態でつば部に端面が摺接するころを備えたころ軸受において、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に平均結晶粒径が10μm以下の化成処理被膜を形成したものであり、また、上記軌道輪のつば部及び当該つば部に摺接するころ端面の化成処理被膜の厚さを1〜10μmとしたものであり、ころ軸受におけるこのような構成を上記課題を解決するための手段としている。
【0012】
【発明の作用】
本発明のころ軸受では、例えばトラクションオイル中で低速と高速の繰り返し運転をしている際に、ころのスキューの発生等で軌道輪のつば部及びころ端面の間で金属接触が生じた場合でも、つば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度を750HV以上、より好ましくは800HV以上としているので、これらの表面が摩耗し難く且つ平滑度が保たれて荒れ難いものになると共に、長時間にわたって摩擦熱の上昇が低く抑えられることになる。
【0013】
また、軌道輪のつば部及びころ端面の表面に、DLCやWC/Cなどの固体潤滑性を有する低摩擦係数のハードコーティング層を形成することで、起動トルクの増大を抑えられることになる。
【0014】
さらに、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に、Ni−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層を形成することで、起動トルクの増大が抑えられ且つコスト的に安価な表面改質状態が得られることになる。
【0015】
さらに、つば部及びころ端面の少なくとも一方に平均結晶粒径が10μm以下の化成処理被膜を形成したものであるので、相手面とのなじみ性が現れ、表面が一様になじんで摩耗して平滑度が保たれ、面粗度が向上すると共に、摩擦熱の上昇が低く抑えられる。
【0016】
これにより、潤滑油の供給量が不足したとしても、つば部ところ端面の間に充分な耐焼き付き性が長時間にわたって確保されることになる。
【0017】
【発明の効果】
本発明のころ軸受によれば、例えば添加剤の少ないトラクションオイル中で使用する場合でも、材料の変更や特殊な熱処理を必要とせずに、軌道輪のつば部ところ端面の間に充分な耐焼き付き性を得ることができると共に、起動トルクを低く抑え、供給される潤滑油の量が不足した場合であっても、上記の充分な耐焼き付き性及び耐久性を確保し得るものとなり、これによりころ軸受の長寿命化を実現することができるという優れた効果がもたらされる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、ころ軸受を用いた装置の一例であるトロイダル型無段変速機を説明する図である。図示のトロイダル型無段変速機は、エンジンからの回転駆動力が図外のトルクコンバータ及び前後進切換え機構を介して入力軸1に入力されるようになっており、入力軸1と同軸上にトルク伝達軸2を備えている。トルク伝達軸2は、両端側に、第1入力ディスク3と第2入力ディスク4がスプライン結合により軸線方向に移動可能に装着してあると共に、中間に、出力ディスク8が回転自在に装着してある。
【0019】
第1入力ディスク3の背面と入力軸1との間には、入力トルクに応じて軸線方向の推力を発生するローディングカム機構5が介装してある。また、第2入力ディスク4の背面とトルク伝達軸2の端部に螺着したナット6との間には、両入力ディスク3,4にプリロードを付与する皿ばね7が介装してある。
【0020】
出力ディスク8は、2つの出力ディスクの背面を互いに合わせて一体化したものであって、外周部に出力ギア9が形成してある。そして、第1入力ディスク3と出力ディスク8の互いの対向面に、トロイド状溝3a,8aが形成してあると共に、第2入力ディスク4と出力ディスク8の互いの対向面に、同じくトロイド状溝4a,8bが形成してある。
【0021】
第1入力ディスク3と出力ディスク8のトロイド状溝3a,8aの間には、図中で上下に配置した2個の第1パワーローラ10,10が、油膜剪断力により動力伝達可能に挟持されている。また、第2入力ディスク4と出力ディスク8のトロイド状溝4a,8bの間にも、同様に、上下2個の第2パワーローラ11,11が挟持されている。そして、第1入力ディスク3と出力ディスク8と第1パワーローラ10,10により第1トロイダル変速部12を構成し、第2入力ディスク4と出力ディスク8と第2パワーローラ11,11により第2トロイダル変速部13を構成している。
【0022】
上記構成を備えたトロイダル型無段変速機は、入力軸1の回転をトルク伝達軸2から各入力ディスク3,4に伝達すると共に、各入力ディスク3,4の回転を各パワーローラ10,11を介して出力ディスク8に伝達し、この出力ディスク8の回転を外部に出力するようになっており、この際、各パワーローラ10,11を同時に傾動させることで変速比を無段階的に変化させる。
【0023】
ここで、各パワーローラ10(11)は、図2(a)に示すように、入力ディスク3,4及び出力ディスク8に接触する内輪(軌道輪)30と、これに対応する外輪(軌道輪)31を備え、内輪30と外輪31の間に、図2(b)にも示す保持器32とともに複数の円錐ころ33が介装してある。つまり、パワーローラ10では、実質的に、内輪30、外輪31、保持器32及び複数の円錐ころ33により、円錐ころ軸受Bを構成している。なお、パワーローラ10は、図示は省略したが、傾動中心軸に対して揺動可能なトラニオンを備え、トラニオンに、当該ローラの回転中心となるピボットシャフトを備えると共に、このピボットシャフトに、上記の内輪30及び外輪31が装着してある。
【0024】
上記円錐ころ軸受Bにおいて、内輪30には、円錐ころ33の転動面となる内輪軌道面30aが形成してある。これに対して、外輪31には、円錐ころ33の転動面となる外輪軌道面31aが形成してあると共に、円錐ころ33の軸受外周側のころ端面33aが摺接するつば部31bが設けてある。なお、図示のパワーローラ10は、内輪30に働くラジアル荷重を受けるためのラジアル軸受を設けずに、内輪30に働くラジアル荷重及びスラスト荷重の全てを円錐ころ軸受Bで支持するものとなっている。
【0025】
ところで、上記のトロイダル型無段変速機において、パワーローラ10の円錐ころ軸受Bは、トラクションオイル中で使用することとなるが、とくに、添加剤の少ないトラクションオイル中で使用する場合、低速と高速を繰り返すたびにつば部31bところ端面33aの間で金属接触が起こり、これらの表面が荒れることがある。このようにつば部31bところ端面33aの表面が荒れると、オイル不足や温度上昇が生じた際に焼き付きが生じたり、また、つば部31bところ端面33aの表面に摩耗によって凹凸が生じたり、うねったりした場合又は摩擦抵抗の大きい表面であった場合、摩擦係数が上昇したり、起動トルクが増大して加速性能が低下する恐れがある。
【0026】
そこで、本発明のころ軸受では、上記円錐ころ軸受Bにおいて、外輪31のつば部31b及びころ端面33aの少なくとも一方の硬度が750HV以上、より好ましくは800HV以上となるようにしており、このような硬度を得るために、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、窒化化合物層、及びNi−P−SiCめっき、硬質クロムめき等の硬質めっき層のいずれかを形成し、より望ましくは、ハードコーティング層の厚さを0.5μm以上5μm以下、窒化化合物層の厚さを3μm以上10μm以下、硬質めっき層の厚さを5μm以上30μm以下としており、さらに望ましくは硬質めっき層である硬質クロムめっき層を非晶質としたものであり、さらに望ましくは表面粗さがRa0.03μm以下となるようにしている。
【0027】
これにより、円錐ころ軸受Bは、トラクションオイル中で低速と高速の繰り返し運転をした際、ころ33のスキューの発生等によってつば部31bところ端面33aが金属接触した場合においても、これらの表面が摩耗し難く且つ平滑度が保たれて荒れ難いものになると共に、摩擦熱の上昇が低く抑えられることとなり、オイルの供給量が不足したとしても、つば部31bところ端面33aの間に充分な耐焼き付き性が確保され、また、つば部31bところ端面33aの表面粗さや平滑度に関して経時変化が少ないために耐久性が確保されることになる。
【0028】
また、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、窒化化合物層、及びNi−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層といった高硬度の表面改質層は、熱伝達率が鉄に比較して高く、もしくは低くなるために、摩擦熱の上昇が低く抑えられ、且つ起動トルクが小さくなるので、加速性能を低下させることなく、円錐ころ軸受Bの転動面すなわち内輪軌道面30aや外輪軌道面31aにおける寿命が延長され、円錐ころ軸受Bの長寿命化を実現し、ひいては円錐ころ軸受Bを用いたパワーローラ10及びトロイダル型無段変速機の長寿命化に貢献し得るものとなる。
【0029】
さらに、硬質クロムめっきは、工業的に安価で高硬度の表面を得ることができ、表面エネルギーが極めて低いために摩擦熱の上昇を低く抑えられ、且つ起動トルクが小さくなるので、加速性能を低下させることなく、円錐ころ軸受Bの転動面すなわち内輪軌道面30aや外輪軌道面31aにおける寿命が延長され、円錐ころ軸受Bの長寿命化を実現し、ひいては円錐ころ軸受Bを用いたパワーローラ10及びトロイダル型無段変速機の長寿命化に貢献し得るものとなる。硬質クロムめっきの中でも非晶質クロムめっきは1000HVを超える高硬度になることから、加速性能を低下させることなく摩擦熱の上昇を低く抑え、さらなる長寿命化を実現する。
【0030】
さらに、本発明のころ軸受は、上記焼き付きを防止するために、円錐ころ軸受Bにおいて、外輪31のつば部31b及びころ端面33aの少なくとも一方に、平均結晶粒径が10μm以下のなじみ性を有する化成処理被膜を形成する。具体的には、リン酸マンガン、リン酸亜鉛及びリン酸鉄等の化成処理被膜を形成し、より望ましくは、化成処理被膜の厚さを1〜10μmとしている。
【0031】
これにより、円錐ころ軸受Bは、トラクションオイル中で低速と高速の繰り返し運転をした際、ころ33のスキューの発生等によってつば部31bところ端面33aが金属接触した場合においても、互いの接触面がなじむことによって面粗度が良好なものになると共に、摩擦熱の上昇が低く抑えられることとなり、起動トルクも低くて加速性能を低下させることがなく、オイルの供給量が不足したとしても、つば部31bところ端面33aの間に充分な耐焼き付き性が確保されることになる。
【0032】
また、上記の如く、リン酸マンガン、リン酸亜鉛及びリン酸鉄等の化成処理被膜を形成し、望ましくは厚さを1〜10μmとし、つば部31bところ端面33aの互いの接触面になじみ性をもたせて転動中の面粗度を高めたことにより、円錐ころ軸受Bの転動面すなわち内輪軌道面30aや外輪軌道面31aにおける寿命が延長され、円錐ころ軸受Bの長寿命化を実現し、ひいては円錐ころ軸受Bを用いたパワーローラ10及びトロイダル型無段変速機の長寿命化に貢献し得るものとなる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明のころ軸受の具体的な実施例を比較例とともに説明する。
【0034】
(実施例1)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.03μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に化学的蒸着法(CVD法)により厚さ1μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.03μm程度に仕上げ研磨した。
【0035】
(実施例2)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ0.5μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0036】
(実施例3)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に化学的蒸着法(CVD法)により厚さ3μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。その後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μmに仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0037】
(実施例4)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ5μm程度のCrN膜を形成した。なお、処理温度は250℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0038】
(実施例5)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに浸炭処理(920℃×8H浸炭後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ2μm程度のTiN膜を形成した。なお、処理温度は450℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0039】
(実施例6)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×4H、20%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施して、厚さ5μm程度の窒化化合物層を形成した後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0040】
(実施例7)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ1μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、ころに物理的蒸着法(PVD法)により厚さ1μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。
【0041】
(実施例8)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ1μm程度のWC/C膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0042】
(実施例9)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ0.3μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0043】
(実施例10)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×50分、20%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施して、厚さ2μm程度の窒化化合物層を形成した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0044】
(実施例11)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、無電解Ni−P−SiCめっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施し、厚さ3μm程度のNi−P−SiCめっき層を形成した。その後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0045】
(実施例12)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。そして、無電解Ni−P−SiC複合めっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施し、厚さ3μm程度のNi−P−SiCめっき層を形成した。その後、ころ端面の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0046】
(実施例13)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に化学的蒸着法(CVD法)により厚さ6μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。その後、外輪のつば部のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0047】
(実施例14)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×10H、80%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ12μm程度の炭窒化化合物層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0048】
(実施例15)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、クロム酸−硫酸系めっき浴中で、温度50℃、電流密度80A/dm2の条件で電解めっき処理を行い、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ10μm程度の晶質硬質クロムめっき層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0049】
(実施例16)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、クロム酸−ぎ酸系めっき浴中で、温度25℃、電流密度50A/dm2の条件で電解めっき処理を行った後、さらに加熱処理(300℃×1H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ10μm程度の非晶質硬質クロムめっき層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0050】
(実施例17)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、クロム酸−ぎ酸系めっき浴中で、温度25℃、電流密度50A/dm2の条件で電解めっき処理を行った後、さらに加熱処理(300℃×1H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ2μm程度の非晶質硬質クロムめっき層を形成した。
【0051】
(実施例18)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、クロム酸−ぎ酸系めっき浴中で、温度30℃、電流密度20A/dm2の条件で電解めっき処理を行った後、さらに加熱処理(300℃×1H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ35μm程度の非晶質硬質クロムめっき層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0052】
(実施例19)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×4H、20%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施した後、表面粗さRa0.04μm程度に仕上げ研磨し、厚さ2μm程度の窒化化合物層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)を実施した後、表面粗さRa0.04μm程度に仕上げ研磨した。
【0053】
(比較例1)
SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.04μmに研磨仕上げした。
【0054】
(比較例2)
SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μmに研磨仕上げした。
【0055】
(比較例3)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、無電解Ni−P−グラファイト複合めっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨して、厚さ20μm程度のNi−P−グラファイトめっき層を形成した。その後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0056】
(比較例4)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、無電解Ni−P−グラファイト複合めっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ10μm程度のNi−P−グラファイトめっき層を形成した。その後、ころ端面の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0057】
上記実施例1〜19及び比較例1〜4のころ軸受の仕様(材料及び表面改質層)と共に、表面の硬度(荷重50gビッカース硬度計にて測定)、及び表面粗さ測定結果を表1に示す。また、各例のころ軸受について、表2に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、耐焼き付き性を評価すると共に、表3に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、ころ又は内外輪の表面が剥離するまでの累積応力繰り返し回数を調査してワイブルプロットを作成し、L50寿命を求めた。さらに、表4に示す条件で起動トルクを測定した。これらの試験結果も表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
表1に示す試験結果から明らかなように、本発明の実施例1〜19に係わるころ軸受については、起動トルクが低く、つば部ところ端面の間の耐焼き付き性に優れることから、長寿命となることを確認した。
【0063】
すなわち、実施例1〜18については、少なくともつば部及びころ端面の少なくとも一方の表面硬度が800HV以上で、且つ面粗度がRa0.03μm以下であるから、トラクションオイル中で潤滑不足や油膜が薄い状態になっても、つば部ところ端面の表面が荒れ難く、摩擦熱の上昇を低く抑えるので、起動トルクが低く、耐焼き付き性が大幅に向上する。また、軌道面(転動面)においても摩擦熱の上昇が低く抑えられるので、転動疲労強度が向上する。
【0064】
さらに、実施例2〜18のように、つば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度が800HV以上で、且つ面粗度がRa0.01μm程度の組み合わせでは、摩擦熱の上昇が少なくなることから、起動トルク及び耐焼き付き性はより一層向上し、転動面の転動疲労強度もより向上する。
【0065】
さらに、実施例12,17のように、ころ端面の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さをRa0.01μm程度にした場合も、摩擦熱の上昇が少ないため、起動トルク及び耐焼き付き性が向上し、転動面の転動疲労強度も向上する。
【0066】
さらに、実施例7のように、つば部及びころ端面の双方の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さをRa0.01μm程度にした場合も、摩擦熱の上昇が少ないため、起動トルク及び耐焼き付き性が向上し、転動面の転動疲労強度も向上する。
【0067】
さらに、実施例9のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、DLCの厚さが0.5μmを下回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、DLCの厚さが薄いため、長時間にわたるとDLC膜が剥離するので、転動面における寿命は充分ではない。
【0068】
さらに、実施例10のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、窒化化合物層の厚さが3μmを下回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、窒化化合物層の厚さが薄いため、長時間にわたると摩耗が進行するので、転動面における寿命は充分ではない。
【0069】
さらに、実施例11のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、Ni−P−SiCめっき層の厚さが5μmを下回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、Ni−Pめっき層の厚さが薄いため、長時間にわたると摩耗が進行するので、転動面における寿命は充分ではない。
【0070】
さらに、実施例13のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、DLCの厚さが5μmを上回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、DLCの厚さ増加とともに膜内の引っ張り応力が増加することにより膜内剥離が生じ易くなるので、転動面における寿命は充分ではない。
【0071】
さらに、実施例16,17のように、非晶質クロムめっき層を形成した後に熱処理を実施した場合には、実施例15の晶質クロムめっき層に比較して、つば部又はころ端面の表面硬度が1000HV以上の高硬度になり、且つ表面粗さをRa0.01μm程度としたため、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及び耐焼き付き性が向上し、転動面の転動疲労強度も向上する。
【0072】
さらに、実施例14のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、窒化化合物層の厚さが10μmを上回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、窒化化合物層の厚さ増加とともに窒化化合物層内に亀裂が入り、同化合物層が剥離し易くなるために、長時間にわたると転動面における寿命は充分ではない。
【0073】
さらに、実施例18のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、硬質クロムめっき層などの表面改質層の厚さが30μmを上回る場合には、ローラと内外輪の位置がずれて片当たりし易くなるため、摩擦熱及び起動トルクは上昇傾向になり、つば部の耐焼き付き性や転動面における寿命は充分ではない。
【0074】
さらに、実施例19のように、つば部の硬度が800HV以上でも、表面粗さがRa0.04μmでは、摩擦熱による発熱量が抑えられなくなり、起動トルク及びつば部ところ端面の間の耐焼き付き性、並びに転動面における寿命は充分ではない。
【0075】
上記実施例1〜19に対して、比較例1のように、つば部及びころ端面の表面粗さがRa0.04μmと比較的粗く、硬度が800HVを下回る場合には、摩擦熱による発熱量が大きくなって早期に焼き付きが発生し、起動トルクが増大し、また、転動面においても早期に剥離が発生する。
【0076】
さらに、比較例2のように、つば部及びころ端面の硬度が800HVを下回り、表面粗さがRa0.01μm程度の場合には、転動疲労寿命は向上するが、起動トルク及び耐焼き付き性は充分ではない。
【0077】
さらに、比較例3,4のように、つば部及びころ端面の硬度が800HVを下回り、表面粗さがRa0.01μm程度の場合には、起動トルク、耐焼き付き性及び転動疲労寿命のいずれも充分ではない。
【0078】
なお、上記実施例1〜19では、表面改質層として、ダイヤモンドライクカーボン、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、窒化化合物層、並びにNi−P−SiCめっき層、硬質クロムめっき層を形成した場合を例示したが、表面硬度が750HV以上、好ましくは800HV以上の硬質のものであれば良く、上記の表面改質層のみに限定されることはない。また、表面改質の際、マスキングを施して必要部位にのみ表面改質層を形成しても同様の効果を得ることができ、表面改質層の形成範囲が限定されることはない。
【0079】
(実施例20)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0080】
(実施例21)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸亜鉛被膜を形成(40℃×3分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0081】
(実施例22)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸鉄被膜を形成(40℃×3分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0082】
(実施例23)
JIS−G8105に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに浸炭処理(920℃×8H浸炭後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。
【0083】
(実施例24)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに浸炭処理(920℃×8H浸炭後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。
【0084】
(比較例5)
先の比較例1と同様に、SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.04μmに研磨仕上げした。
【0085】
(比較例6)
先の比較例2と同様に、SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μmに研磨仕上げした。
【0086】
(比較例7)
SUJ2材を用いて図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(80℃×10分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)を実施した後、表面粗さRa0.04μm程度に仕上げ研磨した。
【0087】
上記実施例20〜24及び比較例5〜7のころ軸受の仕様(化成処理被膜)と共に、化成処理被膜の平均結晶粒径、及び化成処理被膜の厚さの測定結果を表6に示す。また、各例のころ軸受について、表5に示す条件でなじみ運転を実施し、表面粗さを測定した。なじみ運転後の表面粗さの測定結果を表7に示す。さらに、なじみ運転の実施後、先の表2に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、耐焼き付き性を評価すると共に、先の表3に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、ころ又は内外輪の表面が剥離するまでの累積応力繰り返し回数を調査してワイブルプロットを作成し、L50寿命を求めた。そしてさらに、先の表4に示す条件で起動トルクを測定した。これらの試験結果を表7に示す。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
表7に示す試験結果から明らかなように、本発明の実施例20〜24に係わるころ軸受については、起動トルクが低く、つば部ところ端面の間の耐焼き付き性に優れることから、長寿命となることを確認した。
【0092】
すなわち、実施例20〜23については、なじみ運転後のつば部及びころ端面の少なくとも一方に平均結晶粒径が10μm以下となる化成処理被膜、つまり面粗度がRa0.03μm以下となるようななじみ性のある微細結晶粒の化成処理被膜が存在することから、つば部ところ端面の接触面がなじんで平滑度及び面粗度が良好なものとなり、摩擦熱の上昇を低く抑えるので、起動トルクが低くて耐焼き付き性が大幅に向上する。また、軌道面(転動面)においても、なじみ性の向上に伴う面粗度の向上により転動疲労強度が高められる。
【0093】
さらに、実施例24のように、つば部及びころ端面の双方に化成処理被膜を形成した場合も、表面がなじんで面粗度が向上し且つ平滑になるため、摩擦熱の上昇が少なくなる効果が高まり、起動トルクが低くて耐焼き付き性がさらに向上する。また、軌道面(転動面)においても、摩擦熱の上昇が低くなるために転動疲労強度が高められる。
【0094】
上記実施例20〜24に対して、比較例5のように、つば部及びころ端面に化成処理被膜を形成せず、表面粗さがRa0.04μmと比較的粗い場合には、摩擦熱による発熱量が大きくなって、起動トルクが増大すると共に、早期に焼き付きが発生し、また、転動面においても早期に剥離が発生する。
【0095】
さらに、比較例6のように、つば部及びころ端面に化成処理被膜を形成せず、表面粗さをRa0.01μmとした場合にも、転動疲労寿命は向上するが、起動トルク及び耐焼き付き性は充分ではない。
【0096】
さらに、比較例7のように、つば部に化成処理被膜を形成しても、平均結晶粒及び厚さが10μmを超える場合には、表面がなじんだ後も被膜生成時の腐食孔が大きく、面粗度がRa0.04μmと粗いために摩擦係数が大きくなり、起動トルク及びつば部ところ端面の間の耐焼き付き性は充分ではなく、転動面における寿命も充分ではない。なお、化成処理被膜の厚さが1μm以下では、金属接触した際に表面がなじむことで面粗度を高める効果が損なわれるので好ましくない。
【0097】
また、上記実施例20〜24では、化成処理被膜として、リン酸マンガン、リン酸亜鉛及びリン酸鉄のいずれかを形成した場合を例示したが、なじみ性を有する被膜であれば良く、上記の化成処理被膜のみに限定されることはない。また、化成処理被膜を形成する際、マスキングを施して必要部位にのみ化成処理被膜を形成しても同様の効果を得ることができ、化成処理被膜の形成範囲が限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のころ軸受を適用したトロイダル型無段変速機を概略的に示す断面説明図である。
【図2】図1に示すパワーローラの断面図(a)及び保持器の平面図(b)である。
【符号の説明】
10 パワーローラ
30 内輪(軌道輪)
31 外輪(軌道輪)
31b つば部
33 ころ
33a ころ端面
B 円錐ころ軸受
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種装置の回転部位に用いられるころ軸受に関し、とくに、トロイダル型無段変速機においてトラクションオイル中で用いるのに好適なころ軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ころ軸受は、周知のように、内外の軌道輪の間に、円筒ころ、円錐ころ及び球面ころ等のころを複数介装したものであって、各種装置の回転部位に用いられている。一例を挙げると、車両の差動装置では、車体に取付けるハウジングに対して、その内部に収容したディファレンシャルケースを回転自在に支持するために、ハウジングとディファレンシャルケースの間にテーパローラベアリング(円錐ころ軸受)を介装している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、一般的なころ軸受では、少なくとも一方の軌道輪に設けたつば部ところの端面との接触部分が、大きな滑りを伴う転がり接触構造であることから、供給される潤滑油の量が不足すると、つば部ところ端面の間で焼き付きが生じることがある。例えば、上記した差動装置では、車両の旋回時に生じる遠心力でディファレンシャルケース内の潤滑油が偏り、これによりテーパローラベアリングにおける潤滑油が不足した場合や、急加速時に同ベアリングの温度が上昇した場合に、軌道輪のつば部ところ端面の間で焼き付きが生じる恐れがある。
【0004】
そこで、従来にあっては、ころ軸受において、軌道輪のつば部ところ端面の間での焼き付きを防止する手段として、双方の接触面の平滑度を高めて金属接触を可能な限り軽減する方法や、高Cr鋼の表面に窒化物層を形成して摩擦係数の上昇を抑える方法(例えば、特許文献2参照)があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−185858号公報
【特許文献2】
特開2001−187916号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したような従来のころ軸受において、軌道輪のつば部ところ端面の平滑度を高めて焼き付きを防止する方法では、例えばZDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)等の添加剤が比較的多く添加されているトランスミッションオイルやギヤオイル中で使用する場合には、凝着摩耗よりも腐食摩耗が増大するため、瞬間的な金属接触を防止することができるが、例えばトロイダル型無段変速機において添加剤の少ないトラクションオイル中で使用する場合には、凝着摩耗し易くなるため、低速と高速を繰り返すたびにつば部ところ端面の間で金属接触が起こり、これらの表面が荒れるという現象が避けられないことから、焼き付きを防止するには不充分であった。
【0007】
例えば、入力ディスクと出力ディスクの間に介装したパワーローラを傾動させて変速比を無段階的に変化させるトロイダル型無段変速機において、パワーローラの内外輪を支持し且つトラクションオイル中で用いる円錐ころ軸受では、トラクションオイルが枯渇したり少なくなったりした際に摩擦係数が急上昇したり、起動トルクが増大する現象が起きている。
【0008】
また、高Cr鋼に窒化物層を形成することにより、軌道輪のつば部ところ端面の間での焼き付きを防止する方法では、材料の変更が必要であるばかりでなく、通常の雰囲気処理では表面にCr酸化膜が生成され、安定した窒化物層を得ることが難しいという問題点があった。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、材料の変更や特殊な熱処理が不要であって、供給される潤滑油の量が不足した場合や、添加剤が少ないトラクションオイル中などで使用する場合でも、軌道輪のつば部ところ端面の間に充分な耐焼き付き性を得ることができ、長寿命化を実現することができるころ軸受を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のころ軸受は、少なくとも一方につば部を有する一対の軌道輪と、両軌道輪の間に組み込まれた状態でつば部に端面が摺接するころを備えたころ軸受において、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度が、例えば750HV以上、より好ましくは800HV以上であって、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、又は窒化化合物層、又はNi−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層を形成したものであり、また、ハードコーティング層の厚さを0.5μm以上5μm以下、窒化化合物層の厚さを3μm以上10μm以下、硬質めっき層の厚さを5μm以上30μm以下としたものであり、さらに、硬質めっき層である硬質クロムめっき層を非晶質としたものであり、さらに、上記軌道輪のつば部及び当該つば部に摺接するころ端面の表面粗さを研磨加工してRa0.03μm以下としたものであって、ころ軸受におけるこのような構成を上記課題を解決するための手段としている。
【0011】
また、本発明のころ軸受は、少なくとも一方につば部を有する一対の軌道輪と、両軌道輪の間に組み込まれた状態でつば部に端面が摺接するころを備えたころ軸受において、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に平均結晶粒径が10μm以下の化成処理被膜を形成したものであり、また、上記軌道輪のつば部及び当該つば部に摺接するころ端面の化成処理被膜の厚さを1〜10μmとしたものであり、ころ軸受におけるこのような構成を上記課題を解決するための手段としている。
【0012】
【発明の作用】
本発明のころ軸受では、例えばトラクションオイル中で低速と高速の繰り返し運転をしている際に、ころのスキューの発生等で軌道輪のつば部及びころ端面の間で金属接触が生じた場合でも、つば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度を750HV以上、より好ましくは800HV以上としているので、これらの表面が摩耗し難く且つ平滑度が保たれて荒れ難いものになると共に、長時間にわたって摩擦熱の上昇が低く抑えられることになる。
【0013】
また、軌道輪のつば部及びころ端面の表面に、DLCやWC/Cなどの固体潤滑性を有する低摩擦係数のハードコーティング層を形成することで、起動トルクの増大を抑えられることになる。
【0014】
さらに、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に、Ni−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層を形成することで、起動トルクの増大が抑えられ且つコスト的に安価な表面改質状態が得られることになる。
【0015】
さらに、つば部及びころ端面の少なくとも一方に平均結晶粒径が10μm以下の化成処理被膜を形成したものであるので、相手面とのなじみ性が現れ、表面が一様になじんで摩耗して平滑度が保たれ、面粗度が向上すると共に、摩擦熱の上昇が低く抑えられる。
【0016】
これにより、潤滑油の供給量が不足したとしても、つば部ところ端面の間に充分な耐焼き付き性が長時間にわたって確保されることになる。
【0017】
【発明の効果】
本発明のころ軸受によれば、例えば添加剤の少ないトラクションオイル中で使用する場合でも、材料の変更や特殊な熱処理を必要とせずに、軌道輪のつば部ところ端面の間に充分な耐焼き付き性を得ることができると共に、起動トルクを低く抑え、供給される潤滑油の量が不足した場合であっても、上記の充分な耐焼き付き性及び耐久性を確保し得るものとなり、これによりころ軸受の長寿命化を実現することができるという優れた効果がもたらされる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、ころ軸受を用いた装置の一例であるトロイダル型無段変速機を説明する図である。図示のトロイダル型無段変速機は、エンジンからの回転駆動力が図外のトルクコンバータ及び前後進切換え機構を介して入力軸1に入力されるようになっており、入力軸1と同軸上にトルク伝達軸2を備えている。トルク伝達軸2は、両端側に、第1入力ディスク3と第2入力ディスク4がスプライン結合により軸線方向に移動可能に装着してあると共に、中間に、出力ディスク8が回転自在に装着してある。
【0019】
第1入力ディスク3の背面と入力軸1との間には、入力トルクに応じて軸線方向の推力を発生するローディングカム機構5が介装してある。また、第2入力ディスク4の背面とトルク伝達軸2の端部に螺着したナット6との間には、両入力ディスク3,4にプリロードを付与する皿ばね7が介装してある。
【0020】
出力ディスク8は、2つの出力ディスクの背面を互いに合わせて一体化したものであって、外周部に出力ギア9が形成してある。そして、第1入力ディスク3と出力ディスク8の互いの対向面に、トロイド状溝3a,8aが形成してあると共に、第2入力ディスク4と出力ディスク8の互いの対向面に、同じくトロイド状溝4a,8bが形成してある。
【0021】
第1入力ディスク3と出力ディスク8のトロイド状溝3a,8aの間には、図中で上下に配置した2個の第1パワーローラ10,10が、油膜剪断力により動力伝達可能に挟持されている。また、第2入力ディスク4と出力ディスク8のトロイド状溝4a,8bの間にも、同様に、上下2個の第2パワーローラ11,11が挟持されている。そして、第1入力ディスク3と出力ディスク8と第1パワーローラ10,10により第1トロイダル変速部12を構成し、第2入力ディスク4と出力ディスク8と第2パワーローラ11,11により第2トロイダル変速部13を構成している。
【0022】
上記構成を備えたトロイダル型無段変速機は、入力軸1の回転をトルク伝達軸2から各入力ディスク3,4に伝達すると共に、各入力ディスク3,4の回転を各パワーローラ10,11を介して出力ディスク8に伝達し、この出力ディスク8の回転を外部に出力するようになっており、この際、各パワーローラ10,11を同時に傾動させることで変速比を無段階的に変化させる。
【0023】
ここで、各パワーローラ10(11)は、図2(a)に示すように、入力ディスク3,4及び出力ディスク8に接触する内輪(軌道輪)30と、これに対応する外輪(軌道輪)31を備え、内輪30と外輪31の間に、図2(b)にも示す保持器32とともに複数の円錐ころ33が介装してある。つまり、パワーローラ10では、実質的に、内輪30、外輪31、保持器32及び複数の円錐ころ33により、円錐ころ軸受Bを構成している。なお、パワーローラ10は、図示は省略したが、傾動中心軸に対して揺動可能なトラニオンを備え、トラニオンに、当該ローラの回転中心となるピボットシャフトを備えると共に、このピボットシャフトに、上記の内輪30及び外輪31が装着してある。
【0024】
上記円錐ころ軸受Bにおいて、内輪30には、円錐ころ33の転動面となる内輪軌道面30aが形成してある。これに対して、外輪31には、円錐ころ33の転動面となる外輪軌道面31aが形成してあると共に、円錐ころ33の軸受外周側のころ端面33aが摺接するつば部31bが設けてある。なお、図示のパワーローラ10は、内輪30に働くラジアル荷重を受けるためのラジアル軸受を設けずに、内輪30に働くラジアル荷重及びスラスト荷重の全てを円錐ころ軸受Bで支持するものとなっている。
【0025】
ところで、上記のトロイダル型無段変速機において、パワーローラ10の円錐ころ軸受Bは、トラクションオイル中で使用することとなるが、とくに、添加剤の少ないトラクションオイル中で使用する場合、低速と高速を繰り返すたびにつば部31bところ端面33aの間で金属接触が起こり、これらの表面が荒れることがある。このようにつば部31bところ端面33aの表面が荒れると、オイル不足や温度上昇が生じた際に焼き付きが生じたり、また、つば部31bところ端面33aの表面に摩耗によって凹凸が生じたり、うねったりした場合又は摩擦抵抗の大きい表面であった場合、摩擦係数が上昇したり、起動トルクが増大して加速性能が低下する恐れがある。
【0026】
そこで、本発明のころ軸受では、上記円錐ころ軸受Bにおいて、外輪31のつば部31b及びころ端面33aの少なくとも一方の硬度が750HV以上、より好ましくは800HV以上となるようにしており、このような硬度を得るために、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、窒化化合物層、及びNi−P−SiCめっき、硬質クロムめき等の硬質めっき層のいずれかを形成し、より望ましくは、ハードコーティング層の厚さを0.5μm以上5μm以下、窒化化合物層の厚さを3μm以上10μm以下、硬質めっき層の厚さを5μm以上30μm以下としており、さらに望ましくは硬質めっき層である硬質クロムめっき層を非晶質としたものであり、さらに望ましくは表面粗さがRa0.03μm以下となるようにしている。
【0027】
これにより、円錐ころ軸受Bは、トラクションオイル中で低速と高速の繰り返し運転をした際、ころ33のスキューの発生等によってつば部31bところ端面33aが金属接触した場合においても、これらの表面が摩耗し難く且つ平滑度が保たれて荒れ難いものになると共に、摩擦熱の上昇が低く抑えられることとなり、オイルの供給量が不足したとしても、つば部31bところ端面33aの間に充分な耐焼き付き性が確保され、また、つば部31bところ端面33aの表面粗さや平滑度に関して経時変化が少ないために耐久性が確保されることになる。
【0028】
また、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、窒化化合物層、及びNi−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層といった高硬度の表面改質層は、熱伝達率が鉄に比較して高く、もしくは低くなるために、摩擦熱の上昇が低く抑えられ、且つ起動トルクが小さくなるので、加速性能を低下させることなく、円錐ころ軸受Bの転動面すなわち内輪軌道面30aや外輪軌道面31aにおける寿命が延長され、円錐ころ軸受Bの長寿命化を実現し、ひいては円錐ころ軸受Bを用いたパワーローラ10及びトロイダル型無段変速機の長寿命化に貢献し得るものとなる。
【0029】
さらに、硬質クロムめっきは、工業的に安価で高硬度の表面を得ることができ、表面エネルギーが極めて低いために摩擦熱の上昇を低く抑えられ、且つ起動トルクが小さくなるので、加速性能を低下させることなく、円錐ころ軸受Bの転動面すなわち内輪軌道面30aや外輪軌道面31aにおける寿命が延長され、円錐ころ軸受Bの長寿命化を実現し、ひいては円錐ころ軸受Bを用いたパワーローラ10及びトロイダル型無段変速機の長寿命化に貢献し得るものとなる。硬質クロムめっきの中でも非晶質クロムめっきは1000HVを超える高硬度になることから、加速性能を低下させることなく摩擦熱の上昇を低く抑え、さらなる長寿命化を実現する。
【0030】
さらに、本発明のころ軸受は、上記焼き付きを防止するために、円錐ころ軸受Bにおいて、外輪31のつば部31b及びころ端面33aの少なくとも一方に、平均結晶粒径が10μm以下のなじみ性を有する化成処理被膜を形成する。具体的には、リン酸マンガン、リン酸亜鉛及びリン酸鉄等の化成処理被膜を形成し、より望ましくは、化成処理被膜の厚さを1〜10μmとしている。
【0031】
これにより、円錐ころ軸受Bは、トラクションオイル中で低速と高速の繰り返し運転をした際、ころ33のスキューの発生等によってつば部31bところ端面33aが金属接触した場合においても、互いの接触面がなじむことによって面粗度が良好なものになると共に、摩擦熱の上昇が低く抑えられることとなり、起動トルクも低くて加速性能を低下させることがなく、オイルの供給量が不足したとしても、つば部31bところ端面33aの間に充分な耐焼き付き性が確保されることになる。
【0032】
また、上記の如く、リン酸マンガン、リン酸亜鉛及びリン酸鉄等の化成処理被膜を形成し、望ましくは厚さを1〜10μmとし、つば部31bところ端面33aの互いの接触面になじみ性をもたせて転動中の面粗度を高めたことにより、円錐ころ軸受Bの転動面すなわち内輪軌道面30aや外輪軌道面31aにおける寿命が延長され、円錐ころ軸受Bの長寿命化を実現し、ひいては円錐ころ軸受Bを用いたパワーローラ10及びトロイダル型無段変速機の長寿命化に貢献し得るものとなる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明のころ軸受の具体的な実施例を比較例とともに説明する。
【0034】
(実施例1)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.03μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に化学的蒸着法(CVD法)により厚さ1μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.03μm程度に仕上げ研磨した。
【0035】
(実施例2)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ0.5μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0036】
(実施例3)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に化学的蒸着法(CVD法)により厚さ3μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。その後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μmに仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0037】
(実施例4)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ5μm程度のCrN膜を形成した。なお、処理温度は250℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0038】
(実施例5)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに浸炭処理(920℃×8H浸炭後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ2μm程度のTiN膜を形成した。なお、処理温度は450℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0039】
(実施例6)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×4H、20%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施して、厚さ5μm程度の窒化化合物層を形成した後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0040】
(実施例7)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ1μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、ころに物理的蒸着法(PVD法)により厚さ1μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。
【0041】
(実施例8)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ1μm程度のWC/C膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0042】
(実施例9)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に物理的蒸着法(PVD法)により厚さ0.3μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0043】
(実施例10)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×50分、20%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施して、厚さ2μm程度の窒化化合物層を形成した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0044】
(実施例11)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、無電解Ni−P−SiCめっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施し、厚さ3μm程度のNi−P−SiCめっき層を形成した。その後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0045】
(実施例12)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。そして、無電解Ni−P−SiC複合めっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施し、厚さ3μm程度のNi−P−SiCめっき層を形成した。その後、ころ端面の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0046】
(実施例13)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に化学的蒸着法(CVD法)により厚さ6μm程度のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した。なお、処理温度は200℃とした。その後、外輪のつば部のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0047】
(実施例14)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×10H、80%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ12μm程度の炭窒化化合物層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0048】
(実施例15)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、クロム酸−硫酸系めっき浴中で、温度50℃、電流密度80A/dm2の条件で電解めっき処理を行い、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ10μm程度の晶質硬質クロムめっき層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0049】
(実施例16)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、クロム酸−ぎ酸系めっき浴中で、温度25℃、電流密度50A/dm2の条件で電解めっき処理を行った後、さらに加熱処理(300℃×1H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ10μm程度の非晶質硬質クロムめっき層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0050】
(実施例17)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、クロム酸−ぎ酸系めっき浴中で、温度25℃、電流密度50A/dm2の条件で電解めっき処理を行った後、さらに加熱処理(300℃×1H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ2μm程度の非晶質硬質クロムめっき層を形成した。
【0051】
(実施例18)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、クロム酸−ぎ酸系めっき浴中で、温度30℃、電流密度20A/dm2の条件で電解めっき処理を行った後、さらに加熱処理(300℃×1H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ35μm程度の非晶質硬質クロムめっき層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施し、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0052】
(実施例19)
JIS−G4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらにイオン窒化処理(500℃×4H、20%N2、5Torrで窒化後、ガス冷却)を実施した後、表面粗さRa0.04μm程度に仕上げ研磨し、厚さ2μm程度の窒化化合物層を形成した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)を実施した後、表面粗さRa0.04μm程度に仕上げ研磨した。
【0053】
(比較例1)
SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.04μmに研磨仕上げした。
【0054】
(比較例2)
SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μmに研磨仕上げした。
【0055】
(比較例3)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。その後、無電解Ni−P−グラファイト複合めっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨して、厚さ20μm程度のNi−P−グラファイトめっき層を形成した。その後、外輪のつば部の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0056】
(比較例4)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、無電解Ni−P−グラファイト複合めっき処理を行い、さらに加熱処理(400℃×1H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、厚さ10μm程度のNi−P−グラファイトめっき層を形成した。その後、ころ端面の表面のみを表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0057】
上記実施例1〜19及び比較例1〜4のころ軸受の仕様(材料及び表面改質層)と共に、表面の硬度(荷重50gビッカース硬度計にて測定)、及び表面粗さ測定結果を表1に示す。また、各例のころ軸受について、表2に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、耐焼き付き性を評価すると共に、表3に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、ころ又は内外輪の表面が剥離するまでの累積応力繰り返し回数を調査してワイブルプロットを作成し、L50寿命を求めた。さらに、表4に示す条件で起動トルクを測定した。これらの試験結果も表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
表1に示す試験結果から明らかなように、本発明の実施例1〜19に係わるころ軸受については、起動トルクが低く、つば部ところ端面の間の耐焼き付き性に優れることから、長寿命となることを確認した。
【0063】
すなわち、実施例1〜18については、少なくともつば部及びころ端面の少なくとも一方の表面硬度が800HV以上で、且つ面粗度がRa0.03μm以下であるから、トラクションオイル中で潤滑不足や油膜が薄い状態になっても、つば部ところ端面の表面が荒れ難く、摩擦熱の上昇を低く抑えるので、起動トルクが低く、耐焼き付き性が大幅に向上する。また、軌道面(転動面)においても摩擦熱の上昇が低く抑えられるので、転動疲労強度が向上する。
【0064】
さらに、実施例2〜18のように、つば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度が800HV以上で、且つ面粗度がRa0.01μm程度の組み合わせでは、摩擦熱の上昇が少なくなることから、起動トルク及び耐焼き付き性はより一層向上し、転動面の転動疲労強度もより向上する。
【0065】
さらに、実施例12,17のように、ころ端面の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さをRa0.01μm程度にした場合も、摩擦熱の上昇が少ないため、起動トルク及び耐焼き付き性が向上し、転動面の転動疲労強度も向上する。
【0066】
さらに、実施例7のように、つば部及びころ端面の双方の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さをRa0.01μm程度にした場合も、摩擦熱の上昇が少ないため、起動トルク及び耐焼き付き性が向上し、転動面の転動疲労強度も向上する。
【0067】
さらに、実施例9のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、DLCの厚さが0.5μmを下回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、DLCの厚さが薄いため、長時間にわたるとDLC膜が剥離するので、転動面における寿命は充分ではない。
【0068】
さらに、実施例10のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、窒化化合物層の厚さが3μmを下回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、窒化化合物層の厚さが薄いため、長時間にわたると摩耗が進行するので、転動面における寿命は充分ではない。
【0069】
さらに、実施例11のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、Ni−P−SiCめっき層の厚さが5μmを下回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、Ni−Pめっき層の厚さが薄いため、長時間にわたると摩耗が進行するので、転動面における寿命は充分ではない。
【0070】
さらに、実施例13のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、DLCの厚さが5μmを上回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、DLCの厚さ増加とともに膜内の引っ張り応力が増加することにより膜内剥離が生じ易くなるので、転動面における寿命は充分ではない。
【0071】
さらに、実施例16,17のように、非晶質クロムめっき層を形成した後に熱処理を実施した場合には、実施例15の晶質クロムめっき層に比較して、つば部又はころ端面の表面硬度が1000HV以上の高硬度になり、且つ表面粗さをRa0.01μm程度としたため、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及び耐焼き付き性が向上し、転動面の転動疲労強度も向上する。
【0072】
さらに、実施例14のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、窒化化合物層の厚さが10μmを上回る場合には、摩擦熱の上昇が少なくて起動トルク及びつば部の耐焼き付き性は向上するが、窒化化合物層の厚さ増加とともに窒化化合物層内に亀裂が入り、同化合物層が剥離し易くなるために、長時間にわたると転動面における寿命は充分ではない。
【0073】
さらに、実施例18のように、つば部の硬度が800HV以上で、且つ表面粗さがRa0.01μm程度でも、硬質クロムめっき層などの表面改質層の厚さが30μmを上回る場合には、ローラと内外輪の位置がずれて片当たりし易くなるため、摩擦熱及び起動トルクは上昇傾向になり、つば部の耐焼き付き性や転動面における寿命は充分ではない。
【0074】
さらに、実施例19のように、つば部の硬度が800HV以上でも、表面粗さがRa0.04μmでは、摩擦熱による発熱量が抑えられなくなり、起動トルク及びつば部ところ端面の間の耐焼き付き性、並びに転動面における寿命は充分ではない。
【0075】
上記実施例1〜19に対して、比較例1のように、つば部及びころ端面の表面粗さがRa0.04μmと比較的粗く、硬度が800HVを下回る場合には、摩擦熱による発熱量が大きくなって早期に焼き付きが発生し、起動トルクが増大し、また、転動面においても早期に剥離が発生する。
【0076】
さらに、比較例2のように、つば部及びころ端面の硬度が800HVを下回り、表面粗さがRa0.01μm程度の場合には、転動疲労寿命は向上するが、起動トルク及び耐焼き付き性は充分ではない。
【0077】
さらに、比較例3,4のように、つば部及びころ端面の硬度が800HVを下回り、表面粗さがRa0.01μm程度の場合には、起動トルク、耐焼き付き性及び転動疲労寿命のいずれも充分ではない。
【0078】
なお、上記実施例1〜19では、表面改質層として、ダイヤモンドライクカーボン、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、窒化化合物層、並びにNi−P−SiCめっき層、硬質クロムめっき層を形成した場合を例示したが、表面硬度が750HV以上、好ましくは800HV以上の硬質のものであれば良く、上記の表面改質層のみに限定されることはない。また、表面改質の際、マスキングを施して必要部位にのみ表面改質層を形成しても同様の効果を得ることができ、表面改質層の形成範囲が限定されることはない。
【0079】
(実施例20)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0080】
(実施例21)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸亜鉛被膜を形成(40℃×3分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0081】
(実施例22)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸鉄被膜を形成(40℃×3分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。
【0082】
(実施例23)
JIS−G8105に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに浸炭処理(920℃×8H浸炭後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。
【0083】
(実施例24)
JIS−G4805に規定される高炭素クロム軸受鋼SUJ2を用いて、図2に示すような内外輪を成形し、これらに浸炭処理(920℃×8H浸炭後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(70℃×5分浸漬)した。
【0084】
(比較例5)
先の比較例1と同様に、SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.04μmに研磨仕上げした。
【0085】
(比較例6)
先の比較例2と同様に、SUJ2材を用いて同様の内外輪及びころを成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μmに研磨仕上げした。
【0086】
(比較例7)
SUJ2材を用いて図2に示すような内外輪を成形し、これらに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)及び焼き戻し(160℃×2H)を実施した後、表面粗さRa0.01μm程度に仕上げ研磨し、その後、外輪に、化成処理被膜としてリン酸マンガン被膜を形成(80℃×10分浸漬)した。また、同じくSUJ2材を用いて、図2に示すようなころを成形し、ころに調質(850℃×1H保持後、60℃油焼き入れ)を実施した後、表面粗さRa0.04μm程度に仕上げ研磨した。
【0087】
上記実施例20〜24及び比較例5〜7のころ軸受の仕様(化成処理被膜)と共に、化成処理被膜の平均結晶粒径、及び化成処理被膜の厚さの測定結果を表6に示す。また、各例のころ軸受について、表5に示す条件でなじみ運転を実施し、表面粗さを測定した。なじみ運転後の表面粗さの測定結果を表7に示す。さらに、なじみ運転の実施後、先の表2に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、耐焼き付き性を評価すると共に、先の表3に示す条件で円錐ころ軸受の試験を実施し、ころ又は内外輪の表面が剥離するまでの累積応力繰り返し回数を調査してワイブルプロットを作成し、L50寿命を求めた。そしてさらに、先の表4に示す条件で起動トルクを測定した。これらの試験結果を表7に示す。
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
表7に示す試験結果から明らかなように、本発明の実施例20〜24に係わるころ軸受については、起動トルクが低く、つば部ところ端面の間の耐焼き付き性に優れることから、長寿命となることを確認した。
【0092】
すなわち、実施例20〜23については、なじみ運転後のつば部及びころ端面の少なくとも一方に平均結晶粒径が10μm以下となる化成処理被膜、つまり面粗度がRa0.03μm以下となるようななじみ性のある微細結晶粒の化成処理被膜が存在することから、つば部ところ端面の接触面がなじんで平滑度及び面粗度が良好なものとなり、摩擦熱の上昇を低く抑えるので、起動トルクが低くて耐焼き付き性が大幅に向上する。また、軌道面(転動面)においても、なじみ性の向上に伴う面粗度の向上により転動疲労強度が高められる。
【0093】
さらに、実施例24のように、つば部及びころ端面の双方に化成処理被膜を形成した場合も、表面がなじんで面粗度が向上し且つ平滑になるため、摩擦熱の上昇が少なくなる効果が高まり、起動トルクが低くて耐焼き付き性がさらに向上する。また、軌道面(転動面)においても、摩擦熱の上昇が低くなるために転動疲労強度が高められる。
【0094】
上記実施例20〜24に対して、比較例5のように、つば部及びころ端面に化成処理被膜を形成せず、表面粗さがRa0.04μmと比較的粗い場合には、摩擦熱による発熱量が大きくなって、起動トルクが増大すると共に、早期に焼き付きが発生し、また、転動面においても早期に剥離が発生する。
【0095】
さらに、比較例6のように、つば部及びころ端面に化成処理被膜を形成せず、表面粗さをRa0.01μmとした場合にも、転動疲労寿命は向上するが、起動トルク及び耐焼き付き性は充分ではない。
【0096】
さらに、比較例7のように、つば部に化成処理被膜を形成しても、平均結晶粒及び厚さが10μmを超える場合には、表面がなじんだ後も被膜生成時の腐食孔が大きく、面粗度がRa0.04μmと粗いために摩擦係数が大きくなり、起動トルク及びつば部ところ端面の間の耐焼き付き性は充分ではなく、転動面における寿命も充分ではない。なお、化成処理被膜の厚さが1μm以下では、金属接触した際に表面がなじむことで面粗度を高める効果が損なわれるので好ましくない。
【0097】
また、上記実施例20〜24では、化成処理被膜として、リン酸マンガン、リン酸亜鉛及びリン酸鉄のいずれかを形成した場合を例示したが、なじみ性を有する被膜であれば良く、上記の化成処理被膜のみに限定されることはない。また、化成処理被膜を形成する際、マスキングを施して必要部位にのみ化成処理被膜を形成しても同様の効果を得ることができ、化成処理被膜の形成範囲が限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のころ軸受を適用したトロイダル型無段変速機を概略的に示す断面説明図である。
【図2】図1に示すパワーローラの断面図(a)及び保持器の平面図(b)である。
【符号の説明】
10 パワーローラ
30 内輪(軌道輪)
31 外輪(軌道輪)
31b つば部
33 ころ
33a ころ端面
B 円錐ころ軸受
Claims (15)
- 少なくとも一方につば部を有する一対の軌道輪と、両軌道輪の間に組み込まれた状態でつば部に端面が摺接するころを備えたころ軸受において、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度が750HV以上であることを特徴とするころ軸受。
- 軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方の硬度が800HV以上であることを特徴とする請求項1に記載のころ軸受。
- 軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方にダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層が形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のころ軸受。
- ハードコーティング層の厚さが0.5μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のころ軸受。
- 軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に窒化化合物層が形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のころ軸受。
- 窒化化合物層の厚さが3μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項5に記載のころ軸受。
- 軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に、Ni−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層が形成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載のころ軸受。
- 硬質めっき層の厚さが5μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項7に記載のころ軸受。
- 硬質めっき層である硬質クロムめっき層が非晶質であることを特徴とする請求項7又は8に記載のころ軸受。
- 軌道輪のつば部及びころ端面の表面粗さがRa0.03μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のころ軸受。
- 軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、CrN、WC/C及びTiN等のハードコーティング層、窒化化合物層、及びNi−P−SiCめっき、硬質クロムめっき等の硬質めっき層のいずれか1つを形成し、つば部及びころ端面の少なくとも一方に研磨工程を加えて表面粗さをRa0.03μm以下としたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のころ軸受。
- 少なくとも一方につば部を有する一対の軌道輪と、両軌道輪の間に組み込まれた状態で端面がつば部に摺接するころを備えたころ軸受において、軌道輪のつば部及びころ端面の少なくとも一方に平均結晶粒径が10μm以下の化成処理被膜を形成したことを特徴とするころ軸受。
- 化成処理被膜の厚さが1〜10μmであることを特徴とする請求項12に記載のころ軸受。
- トラクションオイル中で使用されることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のころ軸受。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のころ軸受を用いたことを特徴とするトロイダル型無段変速機。
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