JP2002235834A - 歯車装置ならびに無段変速機 - Google Patents

歯車装置ならびに無段変速機

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JP2002235834A
JP2002235834A JP2001035115A JP2001035115A JP2002235834A JP 2002235834 A JP2002235834 A JP 2002235834A JP 2001035115 A JP2001035115 A JP 2001035115A JP 2001035115 A JP2001035115 A JP 2001035115A JP 2002235834 A JP2002235834 A JP 2002235834A
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gear
resin
gear device
continuously variable
metal
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JP2001035115A
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English (en)
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Norio Usuki
功雄 臼杵
Masahiro Inoue
昌弘 井上
Takanori Kurokawa
貴則 黒川
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Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属製歯車と樹脂製歯車とを有する歯車装置に
おいて、前記両歯車の耐摩耗性と相手攻撃性とを改善す
ること。 【解決手段】金属製歯車100と樹脂製歯車200とを
軸方向で相対的に摺動変位可能に噛合した歯車装置であ
って、樹脂製歯車200が、樹脂母材に対して固体潤滑
剤および強化繊維を添加した組成に設定されている。こ
れにより、樹脂製歯車200の強度や形状安定性を確保
したうえで、耐摩耗性の向上と相手攻撃性の低下が図れ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯車装置と、それ
を用いる無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車エンジンの回転動力を無段
階に変更して出力軸に伝達するために、例えば乾式の無
段変速機が用いられている。
【0003】この無段変速機は、エンジン側の入力軸に
連結された主動側V溝プーリと、車輪への出力軸に連結
された従動側V溝プーリとの間にベルトを巻き掛けた構
成であり、両プーリのV溝幅を可変制御してベルトの巻
き掛け径を変更することにより、エンジン出力を無段階
に変更して出力軸に伝達するようになっている。
【0004】なお、両プーリは、固定フランジと可動フ
ランジとでV溝を形成しており、操作ユニットでもって
主動側V溝プーリの可動フランジを軸方向にスライドさ
せることにより両プーリに対するベルトの巻き掛け径を
可変させるようになっている。
【0005】また、上記操作ユニットは、モータの回転
動力を軸方向推進力に変換して、前述した主動側V溝プ
ーリの可動フランジをスライドさせる構成になってお
り、このモータから主動側V溝プーリの可動フランジま
での動力伝達経路に、歯車装置が配設されている。
【0006】この歯車装置は、モータの回転動力を受け
て定位置で回転する第1歯車と、この第1歯車に対して
軸方向で摺動変位可能に噛合される第2歯車とを有して
いる。これら第1、第2歯車について、従来では、金属
材で製作している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記操作ユ
ニットに備える2つの歯車は、単純な噛み合いだけでな
く、第2歯車が軸方向に摺動変位するようになってお
り、しかも、乾式であって無潤滑となる環境で使用され
るために、これら2つの歯車を金属材にしていると、騒
音が多く、焼き付きやすくなる。
【0008】そこで、本願出願人は、上記第2歯車につ
いて、樹脂材とすることを試みている。この第2歯車を
樹脂材とするにあたっては、機械的強度を確保するとと
もに、線膨張率を抑えて金属製の第1歯車に対する噛み
合い精度を確保する必要があるので、それを考慮して、
ポリアミド66(商品名66ナイロン)を母材としてガ
ラス繊維(GF)を30wt%添加して強化した樹脂材
を用いるようにしている。
【0009】このような樹脂製の第2歯車では、強化繊
維としてのガラス繊維が歯面に露出することによって、
噛合相手である第1歯車を攻撃して、損傷や摩耗が発生
することになる。また、この第1歯車の損傷を防止する
ために、軟窒化処理やメッキ処理によりビッカース硬さ
(Hv)で750程度の硬質な保護膜を被覆することを
試みたが、その場合、硬質な保護膜が、第1歯車の歯面
における研削目の凹凸に沿って被覆されるために、今度
は、この第1歯車において硬質な保護膜で被覆された凹
凸が樹脂製の第2歯車を攻撃して、損傷や摩耗が増大す
ることになる。
【0010】このような事情に鑑み、本発明は、金属製
歯車と樹脂製歯車とを有する歯車装置において、前記両
歯車の耐摩耗性と相手攻撃性とを改善することを目的と
している。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明第1の歯車装置
は、金属製歯車と樹脂製歯車とを軸方向で相対的に摺動
変位可能に噛合したものであって、前記樹脂製歯車が、
樹脂母材に対して固体潤滑剤および強化繊維を添加した
組成に設定されている、ことを特徴としている。
【0012】本発明第2の歯車装置は、上記第1の構成
において、前記固体潤滑剤として、高分子ポリエチレン
(HDPE)またはポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)が選択される、ことを特徴としている。
【0013】本発明第3の歯車装置は、上記第2の構成
において、前記固体潤滑剤として、高分子ポリエチレン
(HDPE)を選択する場合には、1〜15wt%に、
また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を選択
する場合には、5〜30wt%にそれぞれ設定される、
ことを特徴としている。
【0014】本発明第4の歯車装置は、上記第1または
第2の構成において、前記強化繊維として、カーボン繊
維(CF)、ガラス繊維(GF)またはアラミド繊維
(AF)が選択される、ことを特徴としている。
【0015】本発明第5の歯車装置は、上記第1から第
3のいずれかの構成において、前記強化繊維として、カ
ーボン繊維(CF)を選択する場合には、5〜30wt
%に、また、ガラス繊維(GF)を選択する場合には、
20〜40wt%に、さらに、アラミド繊維(AF)を
選択する場合には、5〜20wt%にそれぞれ設定され
る、ことを特徴としている。
【0016】本発明第6の歯車装置は、上記第1から第
5のいずれかの構成において、前記金属製歯車の表面
に、無電解ニッケルメッキ処理あるいは窒化処理による
保護膜が被覆されている、ことを特徴としている。
【0017】本発明第1の無段変速機は、入力軸の回転
動力を要求に応じた変速比で出力軸に伝達するものであ
って、各々固定フランジと可動フランジとでV溝を形成
する主動側V溝プーリおよび従動側V溝プーリと、前記
両プーリ間に巻き掛けられるVベルトと、前記主動側V
溝プーリの可動フランジを軸方向にスライドさせて前記
両プーリに対するベルトの巻き掛け径を可変させて無段
変速操作を行う操作ユニットとを含み、前記操作ユニッ
トが、駆動源としてのモータと、モータの回転動力を受
けて定位置で回転する金属製歯車と、この金属製歯車に
対して軸方向で摺動変位可能に噛合される樹脂製歯車
と、この樹脂製歯車が回転したときに当該樹脂製歯車を
軸方向で変位させる送り装置とを有し、前記樹脂製歯車
が、樹脂母材に対して固体潤滑剤および強化繊維を添加
した組成に設定されている、ことを特徴としている。
【0018】本発明第2の無段変速機は、上記第1の構
成において、前記送り装置が、 前記主動側V溝プーリ
と同軸状に固定配設される固定環と、前記固定環の外周
に直接あるいは複数のボールを介して螺合装着されて前
記モータの回転動力を受けたときに回転しつつ軸方向に
変位する可動環とを含む送りねじ構造とされ、かつ、前
記可動環の外周に、前記樹脂製歯車が一体に設けられて
いる、ことを特徴としている。
【0019】要するに、本発明に係る歯車装置では、噛
合する2つの歯車の一方を金属材、他方を樹脂材で形成
するとともに、その樹脂製歯車について、強度、線膨張
係数などを金属材料と遜色ない程度に設定したうえで、
耐摩耗性や相手攻撃性を改善するために、樹脂母材に対
して固体潤滑剤と強化繊維を添加するようにしている。
【0020】これにより、樹脂製歯車自身の摩耗が抑制
されるとともに、それの噛合相手である金属製歯車の摩
耗についても抑制されることになる。
【0021】また、本発明に係る無段変速機では、それ
に備える歯車装置を、上記第1から第6のいずれかの発
明に係る歯車装置の構成としているから、その歯車装置
の潤滑条件が厳しくても、耐摩耗性、相手攻撃性が改善
されることになる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の詳細について図面に示す
実施形態を参照して詳細に説明する。
【0023】図1から図3に本発明の一実施形態を示し
ている。図1は、歯車装置の概略を示す斜視図、図2
は、樹脂製歯車の摩耗試験の結果を示すグラフ、図3
は、金属製歯車の摩耗試験の結果を示すグラフである。
【0024】図例の歯車装置において、100は金属製
歯車、200は樹脂製歯車である。
【0025】金属製歯車100は、軸方向に長い幅広形
状とされており、軸方向に位置決めされた状態で支持さ
れている。また、樹脂製歯車200は、金属製歯車10
0に比べて短い幅狭形状とされており、軸方向で変位可
能に支持されている。そして、金属製歯車100に対し
て樹脂製歯車200が軸方向で摺動変位可能に噛合され
ている。
【0026】金属製歯車100は、例えばJIS規格G
4051、例えばS45Cなどの金属材を用いて、切削
工程、研削工程などを経て製作される。この金属製歯車
100の歯面における研削目の凹凸、つまり表面粗さ
は、一般的な中心線平均粗さ(Ra)で6.3以下の範
囲に設定される。
【0027】樹脂製歯車200は、樹脂母材に対して固
体潤滑剤と強化繊維とを添加した組成に設定されてい
る。
【0028】上記樹脂母材としては、PA6,PA6
6,PA46,PA12,PA11,PA6T,PA9
Tなどのポリアミド系樹脂や、PPS(ポリフェニレン
サルファイド),PPA(ポリフタルアミド),PBT
(ポリブチレンテレフタレート),PET(ポリエチレ
ンテレフタレート),PEEK(ポリエーテルエーテル
ケトン),PES(ポリエーテルサルフォン)などとい
ったスーパーエンジニアリングプラスチックスが選択さ
れる。
【0029】また、上記固体潤滑剤としては、高分子ポ
リエチレン(HDPE)または、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)が選択される。具体的に、固体潤滑
剤として、高分子ポリエチレン(HDPE)を選択する
場合には、1〜15wt%に、また、ポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)を選択する場合には、5〜30
wt%に設定される。
【0030】また、上記強化繊維としては、カーボン繊
維(CF)、ガラス繊維(GF)またはアラミド繊維
(AF)が選択される。具体的に、強化繊維として、カ
ーボン繊維(CF)を選択する場合には、5〜30wt
%に、また、ガラス繊維(GF)を選択する場合には、
20〜40wt%に、さらに、アラミド繊維(AF)を
選択する場合には、5〜20%にそれぞれ設定される。
【0031】次に、上記樹脂製歯車200について、摩
耗試験を行ったので、説明する。
【0032】ここでは、試験片を作成して、それに対し
て金属製歯車100に相当する金属材を所要回数、摺動
させることにより、試験片の摩耗量を調べた。
【0033】試験片は、従来例および実施例1〜4を用
意した。これらの従来例および実施例1〜4のすべてに
ついて、樹脂母材としてポリアミド66(商品名66ナ
イロン)を用いており、添加物をいろいろ変えている。
従来例では、ガラス繊維(GF)を30wt%添加して
いる。実施例1は、ガラス繊維(GF)を30wt%添
加することに加えて、高分子ポリエチレン(HDPE)
を10wt%添加している。実施例2は、ガラス繊維
(GF)を30wt%添加することに加えて、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)を10wt%添加して
いる。実施例3は、カーボン繊維(CF)を30wt%
添加している。実施例4は、アラミド繊維(AF)を3
0wt%添加している。
【0034】結果としては、図2に示すように、従来例
を「1」で表したときの比で、実施例1〜4は、順に、
「0.2」、「0.1」、「0.1」、「0.6」とい
ずれも、摩耗が軽減される。この結果からすると、従来
例の構成に加えて高分子ポリエチレン(HDPE)やポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)などの固体潤滑
剤を添加するだけでも十分な効果が得られることが判
る。また、添加する強化繊維として、ガラス繊維(G
F)の代わりに、カーボン繊維(CF)やアラミド繊維
(AF)を用いることによっても、十分な効果が得られ
ることが判る。
【0035】この結果に基づき、試験していないが、樹
脂製歯車200について、上述したスーパーエンジニア
リングプラスチックスを母材として、それに対して高分
子ポリエチレン(HDPE)あるいはポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)のいずれか一つの固体潤滑剤
と、ガラス繊維(GF)、カーボン繊維(CF)あるい
はアラミド繊維(AF)のいずれか一つの強化繊維とを
添加すれば、より好ましい結果が得られると言える。
【0036】また、樹脂製歯車200において、それが
すべり接触する相手つまり金属製歯車100に対する攻
撃性を調べているので、図3に示す。ここでは、上述し
た従来例と実施例3,4について調べている。試験は、
周知の鈴木式摩擦摩耗試験で行う。
【0037】結果としては、従来例の場合だと7μm、
実施例3の場合だと4.5μm、実施例4の場合だとほ
ぼ0であった。
【0038】以上のことから、樹脂製歯車200につい
て、エンジニアリングプラスチックスを母材として、そ
れに対して高分子ポリエチレン(HDPE)あるいはポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)のいずれか一つ
の固体潤滑剤と、ガラス繊維(GF)、カーボン繊維
(CF)あるいはアラミド繊維(AF)のいずれか一つ
の強化繊維とを添加した構成とすれば、自身の耐摩耗性
を向上することができるとともに、相手攻撃性を軽減で
きる。
【0039】ところで、上述したように樹脂製歯車20
0の組成を工夫することに加えて、上記金属製歯車10
0の表面に対して、図4に示すように、保護膜300を
被覆形成してもよい。保護膜300は、適度な硬さ、例
えばビッカース硬さ(Hv)で450〜750の範囲、
例えば450に設定すれば、金属製歯車100自身の潤
滑性、耐摩耗性が向上する他、樹脂製歯車200に対す
る攻撃性が低下するので、好ましい。つまり、保護膜3
00は、金属製歯車100の歯面における研削目の凹凸
に沿って被覆されるが、この保護膜300の硬度を比較
的低く設定しておけば、前記凹凸が、樹脂製歯車200
との転がり、摺動動作によって早期段階で平坦にならさ
れるので、相手への攻撃性が低下するのである。
【0040】上述した保護膜300は、例えば無電解ニ
ッケルメッキ処理、軟窒化処理、浸硫窒化処理などによ
り形成することができるので、以下において前記各処理
を詳細に説明する。 (無電解ニッケルメッキ処理)ここでは、金属製歯車1
00としてJIS規格G4051、例えばS45Cなど
を用い、周知の無電解ニッケルメッキ処理を施す。
【0041】この無電解ニッケル複合めっき膜からなる
保護膜300では、Ni−PあるいはNi−Bをマトリ
ックスとし、これに硬質または潤滑性を有する不溶性微
粒子を複合共析させた構造になる。このような構造の保
護膜300は、潤滑性、耐摩耗性に優れている他、組成
が緻密で腐食性成分が浸透しにくくなるので、耐食性に
優れている。
【0042】なお、共析させる微粒子としては、SiC
が好ましく、これが均一に分散される。この保護膜30
0の膜厚については、例えば5〜15μmの範囲に設定
することができる。
【0043】(軟窒化処理)ここでは、金属製歯車10
0として、上記同様に、JIS規格S45Cを用いる。
【0044】まず、金属製歯車100を気密構造のチャ
ンバ内にセットし、真空状態として、窒化ガスを供給す
る。この窒化ガスとしては、例えばNH3単体からなる
ガス、またはNH3と炭素源とからなる混合ガス(例え
ばRXガス)が挙げられる。
【0045】チャンバ内に窒化ガスを供給してから、4
80℃〜600℃の範囲とし、0.5時間〜5時間の範
囲で保持する。これにより、金属製歯車100の表面に
保護膜300としての窒化層が形成される。なお、上述
したように処理温度を母材の材料変態点以下に設定して
いるから、金属製歯車100の寸法変化は生じない。
【0046】この後、所要時間をかけて油冷または空冷
により冷却する。金属製歯車100は、冷却終了まで、
窒素ガス中に保持されているから、表面に酸化物が生成
されない。
【0047】このようにして形成される窒化層からなる
保護膜300は、図5に示すように、金属製歯車100
の表面から内側に向かってCrN、Fe2N、Fe3N、
Fe 4N等の窒化物を含有する超硬質な化合物層310
と、それに続く内部にN原子の拡散層311とから構成
されている。
【0048】このような保護膜300を形成する過程で
は、熱歪みによる寸法変化が抑制されるので、後で歪み
を除去する手間を省けるなど、低コストとなる。
【0049】(浸硫窒化処理)ここでは、金属製歯車1
00として、上記同様に、JIS規格S45Cを用い
る。
【0050】まず、金属製歯車100を気密構造のチャ
ンバ内にセットし、真空状態として、所要の反応ガスを
供給する。この反応ガスとしては、浸炭性ガスと、窒化
性ガスと、浸硫性ガスとを混合したもの、つまりCO2
+(NH3+N2)+H2Sを用いる。
【0051】ここで、チャンバ内を480℃〜700℃
の範囲内、例えば550℃とし、0.5時間〜5時間の
範囲内、例えば120分保持する。この後、所要時間を
かけて油冷または空冷により冷却する。
【0052】これにより、まず、反応ガスの特にH2
が金属製歯車100の表面に不可避的に存在している酸
化膜などの不純物因子を除去して、内輪母材の純粋な表
面を露出する。引き続き、N原子が金属製歯車100の
母材内部に速やかに深く浸透、拡散して、保護膜300
として浸硫窒化層が形成されることになる。なお、浸硫
窒化層の深さは、処理温度及び保持時間を適宜設定する
ことにより制御できる。
【0053】このようにして形成される浸硫窒化層から
なる保護膜300は、図6に示すように、金属製歯車1
00の表面側から内部へ向かう順に、FeSを主成分と
する比較的軟質な浸硫層320と、Fe2-3Nを主成分
とする超硬質で緻密な窒化化合物層321と、金属製歯
車100にN原子が拡散されてなる比較的硬質な窒化拡
散層322とを含む多層構造になる。
【0054】特に、上述した浸硫窒化処理では、処理温
度が上述しているように低いことと、金属製歯車100
の表面の酸化膜を除去することにより、金属製歯車10
0の表面が熱歪みしにくいので、後で歪みを除去する手
間を省けるなど、コストの無駄な増加を防ぐことができ
る。
【0055】なお、上記実施形態で説明した歯車装置に
おいて、金属製歯車100や樹脂製歯車200の形状や
構造は機能的に同等な範囲でいろいろ変形できる。
【0056】また、本発明に係る歯車装置は、例えば自
動車などに装備される乾式の無段変速機や、その他、い
ろいろな機器に備える歯車機構に対して適用できる。
【0057】以下において、上記歯車装置を乾式の無段
変速機に利用する場合について、図7および図8に示し
て説明する。
【0058】図7は、乾式の無段変速機の要部を示す断
面図、図8は、図7の送り装置を拡大して示す断面図で
ある。
【0059】図例の無段変速機は、径方向に互いに平行
に配置された入力軸1と出力軸2とを備える。入力軸1
は、不図示のエンジン出力に応じた回転数で回転される
一方、出力軸2は、不図示の車輪に動力を伝達する。
【0060】入力軸1には主動側V溝プーリ3が、出力
軸2には従動側V溝プーリ4がそれぞれ連結されてお
り、これら両プーリ3,4間には、複合ベルト(ベルト
と略称)5が巻き掛けられている。そして、前記両プー
リ3,4のベルト5の巻き掛け径を操作ユニット6で変
更することにより、エンジン出力を無段階に変速して出
力軸2に伝達するようになっている。
【0061】主動側V溝プーリ3は、入力軸1に固定さ
れた固定フランジ31と、入力軸1に同軸状に配設され
てスプライン嵌合された可動フランジ32とを有する。
両フランジ31,32は互いの対向面が円錐面になって
いて、両対向面間でV溝33が構成されている。
【0062】従動側V溝プーリ4は、出力軸2に固定さ
れた固定フランジ41と、出力軸2に同軸状に配設され
てスプライン嵌合された可動フランジ42とを有する。
両フランジ41,42は互いの対向面が円錐面になって
いて、両対向面間でV溝43が構成されている。可動フ
ランジ42は、図示しないバネ部材で固定フランジ41
に向けて常時付勢されている。
【0063】操作ユニット6は、主動側V溝プーリ3の
可動フランジ32を軸方向にスライドさせることにより
両プーリ3,4に対するベルト5の巻き掛け径を可変さ
せて無段変速操作を行うものであり、DCモータ7と、
変速用アクチュエータ歯車列8と、送り装置9とを含
む。
【0064】変速用アクチュエータ歯車列8は、モータ
7側に設けられる第1歯車81と、主動側V溝プーリ3
側に設けられる第2歯車82と、第1歯車81と第2歯
車82とに噛合する第3歯車83とを備えている。第2
歯車82は、第3歯車83に噛合する大径歯車部84
と、この大径歯車部84から軸方向に離れた位置に設け
られる軸方向に長い小径歯車部85とを一体に有してい
る。
【0065】送り装置9は、上記変速用アクチュエータ
歯車列8の第2歯車82から与えられる回転動力を軸方
向推進力に変換するものであり、固定環91と、可動環
92と、複数のボール93と、円環状の保持器94とを
含むボールねじ構造になっている。
【0066】固定環91は、大径部91aと小径部91
bとを有し、その大径部91aが入力軸1とハウジング
10との間に転がり軸受11を介して取り付けられるこ
とで主動側V溝プーリ3と同軸状に固定配設され、小径
部91bが軸方向に延びてその外周に螺旋溝91cが設
けられている。
【0067】可動環92は、主動側V溝プーリ3の外周
に転がり軸受12を介して取り付けられており、その内
周面に固定環91における小径部91bに径方向に対向
配設されて内周に螺旋溝92aが設けられているととも
に、その外周の軸方向途中領域に歯車部95が設けられ
ている。歯車部95は、変速用アクチュエータ歯車列8
の第2歯車82の小径歯車部85と噛合して回転動力が
付与されるようになっている。この歯車部95は、可動
環92の外周に設けられる径方向外向きの環状凸部92
bに対して射出成型により一体的に設けられる樹脂材と
されている。なお、環状凸部92bの外周にはスプライ
ンまたはセレーションが設けられており、このスプライ
ンのの凹凸に対して樹脂材からなる歯車部95の一部が
食い込むことで回り止めされている。
【0068】ボール93は、固定環91の螺旋溝91c
と可動環92の螺旋溝92aとの間に介装されている。
【0069】保持器94は、上記各ボール93を個別に
非分離状態に保持するものであり、円周数ヶ所に複数の
ポケットが設けられている。この保持器94は、可動環
92の螺旋溝92aに取り付けられるストッパ96と、
固定環91の螺旋溝92aに取り付けられるストッパ9
7とにより、軸方向両方向への移動量が規制されてい
る。
【0070】このような乾式の無段変速機では、内部が
無潤滑になっており、特に、モータ7から主動側V溝プ
ーリ3の可動フランジ32までの動力伝達経路に配設さ
れる第2歯車82と可動環92の歯車部95とが摩耗し
やすいので、前記第2歯車82を上記歯車装置の金属製
歯車100と同様の構成とし、また、歯車部95を上記
歯車装置の樹脂製歯車200と同様の構成にしている。
【0071】このように構成すれば、無潤滑で潤滑条件
が厳しくても、第2歯車82および可動環92の歯車部
95の耐摩耗性、相手攻撃性が改善されることになり、
寿命向上に大きく貢献できるとともに、メインテナンス
フリーが可能となる。
【0072】
【発明の効果】請求項1から6の発明に係る歯車装置
は、騒音低下と耐焼き付き性を向上するために一方の歯
車を樹脂材で形成する構成を前提とし、その樹脂製歯車
の組成を工夫しているから、樹脂製歯車の強度や形状安
定性に確保したうえで、耐摩耗性の向上と相手攻撃性の
低下を図ることができて、寿命向上に貢献できる。
【0073】また、請求項7および8の無段変速機で
は、その潤滑条件の厳しい所要部分に、上記請求項1か
ら6のいずれかの発明に係る歯車装置を用いるから、潤
滑条件が厳しくても、耐摩耗性、相手攻撃性が改善され
ることになり、寿命向上に大きく貢献できるとともに、
メインテナンスフリーが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯車装置の概略を示す斜視図
【図2】樹脂製歯車の摩耗試験の結果を示すグラフ
【図3】金属製歯車の摩耗試験の結果を示すグラフ
【図4】金属製歯車の一部を断面にして示す側面図
【図5】保護膜の他の例を示す断面図
【図6】保護膜のさらに他の例を示す断面図
【図7】本発明に係る無段変速機の要部を示す断面図
【図8】図7の送り装置を拡大して示す断面図
【符号の説明】
100 金属製歯車 200 樹脂製歯車 300 金属製歯車の保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/10 C08L 77/10 101/00 101/00 F16H 1/06 F16H 1/06 9/18 9/18 Z (72)発明者 黒川 貴則 大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋 精工株式会社内 Fターム(参考) 3J009 DA11 DA16 EA04 EA11 EA21 EA32 EB06 EB10 FA04 3J030 AA01 BA01 BC01 BC02 CA10 3J050 AA02 AB01 BA03 BB05 CD09 DA02 4F072 AA02 AA09 AB06 AB09 AB10 AD37 AD42 AD44 AD46 AE11 AF13 AF20 AL16 4J002 BB032 BD152 CF061 CF071 CH091 CL011 CL031 CL061 CL063 CN011 CN031 DA016 DL006 FA043 FA046 FD013 FD016 FD172 GM02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属製歯車と樹脂製歯車とを軸方向で相対
    的に摺動変位可能に噛合した歯車装置であって、 前記樹脂製歯車が、樹脂母材に対して固体潤滑剤および
    強化繊維を添加した組成に設定されている、ことを特徴
    とする歯車装置。
  2. 【請求項2】請求項1の歯車装置において、 前記固体潤滑剤として、高分子ポリエチレン(HDP
    E)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が
    選択される、ことを特徴とする歯車装置。
  3. 【請求項3】請求項2の歯車装置において、 前記固体潤滑剤として、高分子ポリエチレン(HDP
    E)を選択する場合には、1〜15wt%に、また、ポ
    リテトラフルオロエチレン(PTFE)を選択する場合
    には、5〜30wt%にそれぞれ設定される、ことを特
    徴とする歯車装置。
  4. 【請求項4】請求項1から3のいずれかの歯車装置にお
    いて、 前記強化繊維として、カーボン繊維(CF)、ガラス繊
    維(GF)またはアラミド繊維(AF)が選択される、
    ことを特徴とする歯車装置。
  5. 【請求項5】請求項4の歯車装置において、 前記強化繊維として、カーボン繊維(CF)を選択する
    場合には、5〜30wt%に、また、ガラス繊維(G
    F)を選択する場合には、20〜40wt%に、さら
    に、アラミド繊維(AF)を選択する場合には、5〜2
    0wt%にそれぞれ設定される、ことを特徴とする歯車
    装置。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれかの歯車装置にお
    いて、 前記金属製歯車の表面に、無電解ニッケルメッキ処理あ
    るいは窒化処理による保護膜が被覆されている、ことを
    特徴とする歯車装置。
  7. 【請求項7】入力軸の回転動力を要求に応じた変速比で
    出力軸に伝達する無段変速機であって、 各々固定フランジと可動フランジとでV溝を形成する主
    動側V溝プーリおよび従動側V溝プーリと、 前記両プーリ間に巻き掛けられるVベルトと、 前記主動側V溝プーリの可動フランジを軸方向にスライ
    ドさせて前記両プーリに対するベルトの巻き掛け径を可
    変させて無段変速操作を行う操作ユニットとを含み、 前記操作ユニットが、駆動源としてのモータと、モータ
    の回転動力を受けて定位置で回転する金属製歯車と、こ
    の金属製歯車に対して軸方向で摺動変位可能に噛合され
    る樹脂製歯車と、この樹脂製歯車が回転したときに当該
    樹脂製歯車を軸方向で変位させる送り装置とを有し、 前記樹脂製歯車が、樹脂母材に対して固体潤滑剤および
    強化繊維を添加した組成に設定されている、ことを特徴
    とする無段変速機。
  8. 【請求項8】請求項7の無段変速機において、 前記送り装置が、 前記主動側V溝プーリと同軸状に固定配設される固定環
    と、 前記固定環の外周に直接あるいは複数のボールを介して
    螺合装着されて前記モータの回転動力を受けたときに回
    転しつつ軸方向に変位する可動環とを含む送りねじ構造
    とされ、 かつ、前記可動環の外周に、前記樹脂製歯車が一体に設
    けられている、ことを特徴とする無段変速機。
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