JP2013072439A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】保持器のポケット面と案内面とで異なる固体潤滑膜を設ける場合、ポケット面のマスキング作業が困難であり、また、保持器製作のリードタイムが長く、高コストである。
【解決手段】保持器40を、保持器本体42と、保持器本体42の外周面42b固定した潤滑部材44と、ポケット面42a1に施した固体潤滑膜とで構成し、樹脂複合材からなる潤滑部材44に、外輪20と滑り接触する案内面を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】保持器40を、保持器本体42と、保持器本体42の外周面42b固定した潤滑部材44と、ポケット面42a1に施した固体潤滑膜とで構成し、樹脂複合材からなる潤滑部材44に、外輪20と滑り接触する案内面を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、転がり軸受に関し、特に、極低温環境下や真空環境下で使用される転がり軸受に関する。
例えば、ロケットエンジン用ターボポンプに使用される転がり軸受は、液体酸素(沸点:−183℃)や液体水素(沸点:−253℃)等の極低温環境下で使用される。また、かかる用途の転がり軸受はDN値(軸受内径×回転数)が150万以上に達し、例えば液体酸素を圧縮するターボポンプのアンギュラ玉軸受の回転数は最大で約18000rpm、液体水素を圧縮するターボポンプのアンギュラ玉軸受の回転数は最大で約52000rpmに達する。
上記のように、極低温環境下(例えば−160℃以下)で使用される転がり軸受には、通常の流動性潤滑剤(油やグリースなど)を使用することはできない。このため、例えば特許文献1に示されている転がり軸受では、保持器のうち、ポケット面、及び、軌道輪(内輪又は外輪)に接触する案内面(例えば外周面)に固体潤滑膜を設けることで、極低温環境下でも潤滑を行い、超高速回転での使用を可能としている。
また、宇宙空間等の真空環境下では、油やグリースなどの流動性潤滑剤は蒸発してしまうため使用することができない。このため、真空環境下で使用される転がり軸受においても、上記のような固体潤滑膜により潤滑を行うことがある。
ところで、保持器のポケット面に設けた固体潤滑膜は、転動体との摩擦で転動体や内外輪の軌道面に移着し、転動体と内外輪との間の摩擦部分の潤滑に寄与するため、移着性に優れたもの(例えば高移着性フッ素樹脂コーティング膜)が好適に使用される。一方、保持器の案内面は、軌道輪にガイドされて接触しながら高速回転するため、この部分の固体潤滑膜には耐摩耗性に優れたもの(例えば耐摩耗性フッ素樹脂コーティング膜)が好適に使用される。このため、上記のような転がり軸受では、保持器のポケット面と、軌道輪に滑り接触する案内面とで、異なる機能を有する固体潤滑膜を設ける場合がある。
このように、保持器のポケット面と案内面とで異なる機能を有する固体潤滑膜を設ける場合、例えば以下の手順を経て保持器が製作される。まず、(1)保持器のうち、ポケット面以外の領域にマスキングを施した状態で、ポケット面に高移着性フッ素樹脂コーティング膜を施した後、焼成する。次に、(2)保持器のうち、案内面以外の領域にマスキングを施した状態で、案内面に耐摩耗性フッ素樹脂コーティング膜を施した後、焼成する。
上記の場合、工程(2)では、保持器のポケット面にマスキングを施す必要があるが、このような箇所にマスキングを施す作業は非常に困難である。また、マスキング、コーティング、及び焼成からなる工程を2回繰り返す必要があるため、リードタイムが長くなり、結果的に製作コストの高騰を招く。
本発明の解決すべき課題として、前記したように、保持器のポケット面と案内面とで異なる固体潤滑膜を設ける場合、ポケット面のマスキング作業が困難であること、また、保持器製作のリードタイムが長く、高コストであることが挙げられる。
前記課題を解決するためになされた本発明は、外周に軌道面を有する内輪と、内周に軌道面を有する外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に介在する複数の転動体と、複数の転動体を収容する複数のポケットを有する保持器とを備えた転がり軸受において、保持器が、保持器本体と、保持器本体に固定された樹脂複合材からなる潤滑部材と、ポケット面に施した固体潤滑膜とを有し、前記潤滑部材に外輪又は内輪と滑り接触する案内面を設けたことを特徴とするものである。
上記のように、本発明の転がり軸受では、保持器のポケット面に固体潤滑膜を施すと共に、樹脂複合材からなる潤滑部材に案内面を設けている。従って、移着性に優れる固体潤滑膜と耐摩耗性に優れる樹脂複合材とを組み合わせることで、保持器のポケット面と案内面とで異なる潤滑性を容易に付与することができる。また、案内面を有する潤滑部材を保持器本体に固定することで、保持器の案内面に固体潤滑膜を施す工程(前記(2)の工程)が不要となるため、保持器のポケット面にマスキングを施す工程を省略できると共に、マスキング、コーティング、及び焼成からなる固体潤滑膜の形成工程が1回で済む。
潤滑部材の案内面は、例えば外輪又は内輪の肩部と滑り接触する構成とすることができる。尚、肩部とは、外輪の内周又は内輪の外周のうち、軌道面よりも軸方向外側の領域のことを言う。
潤滑部材をリング状とし、保持器本体の外周面又は内周面に環状の切り欠きを設ければ、リング状の潤滑部材を保持器本体の切り欠きに嵌め込むことにより両者を簡単に固定することができる。この場合、切り欠きに突起を設け、切り欠きに嵌め込んだ潤滑部材に突起を軸方向外側から係合させれば、潤滑部材の軸方向外側への移動が規制され、潤滑部材の保持器本体からの脱落を防止することができる。
リング状の潤滑部材と保持器本体に設けた環状の切り欠きとは、例えば焼き嵌めにより固定することができる。
リング状の潤滑部材を保持器本体の外周面に設けた環状の切り欠きに固定し、案内面を外輪の内周と滑り接触させる場合、保持器本体の線膨張係数を潤滑部材の線膨張係数よりも小さくすれば、温度低下に伴って、保持器本体の縮径率よりも潤滑部材の縮径率が上回り、両者の締め代が大きくなるため、両者の固定力が向上する。このような転がり軸受は、低温であるほど保持器本体と潤滑部材との固定力が高まるため、極低温環境下での使用に適している。
リング状の潤滑部材と保持器本体の環状の切り欠きとを接着すれば、両者の固定力を高めることができ、例えば、潤滑部材が保持器本体に対して周方向に空転する事態を防止することができる。
ポケット面に施される固体潤滑膜は優れた移着性が要求されるため、例えば案内面を形成する樹脂複合材よりも移着性に優れていることが好ましい。このような固体潤滑膜として、例えば潤滑性と移着性に優れた高移着性フッ素樹脂コーティングを使用することができる。
案内面を形成する樹脂複合材は優れた耐摩耗性が要求されるため、例えばポケット面の固体潤滑膜よりも耐摩耗性に優れていることが好ましい。樹脂複合材は、例えば自己潤滑性のあるベース樹脂(例えばフッ素樹脂)を用いた構成とすることができる。また、樹脂複合材には、補強材料(ガラス繊維や炭素繊維など)や、自己潤滑性材料(二硫化モリブデンや黒鉛など)を充填材として配合することができる。
以上のような転がり軸受は、極低温環境下や真空環境下など、流動性潤滑剤が使用できない環境下で好適に使用できるため、例えば、ロケットエンジンの液体燃料用ターボポンプや、人工衛生等の宇宙用機器などに好適に適用できる。
以上のように、本発明によれば、保持器のポケット面と案内面とで異なる潤滑性を付与する場合であっても、保持器の案内面に固体潤滑膜を施す工程(前記(2)の工程)が不要であり、保持器の製作のリードタイムを短縮してコスト低減を図ることができる。
図1に、本発明の一実施形態に係る転がり軸受として、アンギュラ玉軸受1を示す。アンギュラ玉軸受1は、内輪10と、外輪20と、複数のボール30(転動体)と、保持器40とを備える。
内輪10の外周面には、軌動面12と、軌動面12の軸方向両側に設けられた肩部14、16とが設けられる。軌動面12は、ボール30と略同一径の円弧状断面を有し、内輪10の外周全周で連続している。軸方向一方(図中右側)の肩部14は、軌動面12の最小径部よりも大径な円筒面であり、軌動面12の軸方向一方の端部と連続している。軸方向他方(図中左側)の肩部16は、軌動面12の最小径部と略同径の外径を有し、軸方向他方側を僅かに縮径させた円すい面であり、軌動面12の最小径部から内輪10の軸方向他方の端面18まで延びている。内輪10は、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS440Cなど)で形成される。内輪10の軌動面12には、固体潤滑膜として例えばPTFE被膜が形成され、本実施形態では軌動面12及び肩部14、16にPTFE被膜が形成される。
外輪20の内周面には、軌動面22と、軌動面22の軸方向両側に設けられた肩部24、26が設けられる。軌動面22は、ボール30と略同一径の円弧状断面を有し、外輪20の内周全周で連続している。肩部24、26は、軌動面22の最大径部よりも小径な円筒面であり、軌動面22の軸方向両側の端部とそれぞれ連続している。図示例では、肩部24、26が同径となっている。外輪20は、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS440Cなど)で形成される。外輪20の軌動面22には、固体潤滑膜として例えばPTFE被膜が形成され、本実施形態では軌動面22及び肩部24、26にPTFE被膜が形成される。
複数のボール30は、内輪10の軌動面12と外輪20の軌動面22との間に配され、本実施形態では例えば13個のボール30が配される。ボール30は、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS440Cなど)等の金属材料、あるいはセラミックス材料で形成される。ボール30を金属材料で形成する場合、ボール30の表面には固体潤滑膜として例えばPTFE被膜が形成される。一方、ボール30をセラミックス材料で形成する場合は、軌道輪や保持器などの相手材との凝着が起こりにくいため、通常、ボール30の表面に固体潤滑膜は必要ではない。
保持器40は、図2に示すように、保持器本体42と、保持器本体42に固定された潤滑部材44とからなる。本実施形態では、保持器本体42の外周面42bに潤滑部材44が固定されている。
保持器本体42は、図3に示すように、ボール30が1つずつ収容される複数のポケット42aを有し、図示例では13個のポケット42aが円周方向等間隔に設けられる。各ポケット42aのポケット面42a1でボール30を接触支持することにより、ボール30をポケット42a内に保持する。保持器本体42の外周面42bには切り欠き42cが設けられ、図示例では、保持器本体42の外周面42bの軸方向両端部に、全周で連続した環状の切り欠き42cが設けられる。図4に拡大して示すように、切り欠き42cには外径に突出した突起42dが設けられ、図示例では切り欠き42cの軸方向外側端部に突起42dが設けられる。突起42dは、全周で連続した環状を成している。突起42dの外径は、外周面42bよりも内径側に配される。保持器本体42の内周面42eは、凹凸の無い平滑な円筒面となっている。保持器本体42は、例えば樹脂複合材あるいは金属で形成される。樹脂複合材としては、例えばPEEK等の自己潤滑性材料をベース樹脂とし、ガラス繊維で強化したものを使用できる。また、金属としては、例えば炭素鋼、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅合金の何れかを使用できる。
保持器本体42のポケット面42a1には、固体潤滑膜が施される(図3に散点で示す)。固体潤滑膜は、自己潤滑性材料、例えばフッ素樹脂、特にPTFEコーティングからなる。ポケット面42a1の固体潤滑膜は、ボール30との摩擦でボール30や内外輪10、20の軌道面12、22に移着することで潤滑を行うため、移着性に優れたものが好ましい。従って、固体潤滑膜は、例えば保持器40の案内面を形成する潤滑部材44の樹脂複合材よりも優れた移着性を有することが好ましく、例えば移着性に優れた高移着性フッ素樹脂コーティングが使用できる。固体潤滑膜は、保持器本体42のうち、ポケット面42a1を除く全ての領域をマスキングし、この状態でショットブラストを施してポケット面42a1を粗くした後、ポケット面42a1にフッ素樹脂コーティングを施して焼成(ベーキング処理)することにより形成される。
潤滑部材44は、図2に示すように、保持器本体42の外周面42bに固定され、外周面42bから外径に突出している。潤滑部材44の外周面44aは、外輪20の内周、具体的には肩部24、26と滑り接触する案内面を構成する(図1参照)。本実施形態の潤滑部材44は、全周で連続したリング状を成す(図5参照)。潤滑部材44は、保持器本体42の外周面42bの軸方向両端に設けられた環状の切り欠き42cに一つずつ嵌め込まれる(図3参照)。切り欠き42cに嵌め込まれた潤滑部材44には、図4に示すように突起42dが軸方向外側から係合(当接)する。図示例では、潤滑部材44の内周面44bの軸方向外側端部に切り欠き44cを設け、潤滑部材44の切り欠き44cと保持器本体42の突起42dとを嵌合させることにより、潤滑部材44の保持器本体42に対する軸方向外側への移動が規制され、潤滑部材44の脱落が防止される。保持器本体42と潤滑部材44との嵌め合い面(互いに対向する面)は、接着剤、例えばフェノール系接着剤で接着されている。これにより、潤滑部材44の保持器本体42に対する周方向の移動が規制され、潤滑部材44が保持器本体42に対して周方向に空転する事態を防止できる。
潤滑部材44は、樹脂複合材からなる。樹脂複合材のベース樹脂には、例えば自己潤滑性材料が用いられ、具体的にはフッ素樹脂、特にPTFEを使用することができる。樹脂複合材には、充填材として、ガラス繊維や炭素繊維等の補強材料を配合することができる。また、樹脂複合材には、充填材として、二硫化モリブデンあるいは黒鉛等の自己潤滑性材料を配合することができる。潤滑部材44は、外輪20と滑り接触する案内面を有するため、耐摩耗性に優れたものが好ましく、例えば補強材料の配合量を調整することで、保持器40のポケット面42a1に設けた固体潤滑膜よりも優れた耐摩耗性を付与することが好ましい。本実施形態では、PTFEにガラス繊維を配合した組成の混合粉末を圧縮成形し、これを切削加工することで形成された樹脂複合材で、潤滑部材44が構成される。
保持器本体42の突起42dの外径D1は、潤滑部材44の内径D2よりも大きく(D1>D2、図4参照)、このままでは両者を組み付けることができないため、例えば焼き嵌めで固定される。具体的には、保持器本体42を冷却して縮径させると共に、潤滑部材44を加熱して拡径させることにより、保持器本体42の突起42dの外径D1を潤滑部材44の内周面44bの内径D2より小さくする(D1<D2)。この状態で、切り欠き42cの外周に潤滑部材44を一つずつ配置した後、これらを常温で放置し、保持器本体42と潤滑部材44との温度差が小さくなることで、突起42dの外径D1が潤滑部材44の内径D2よりも大きくなり、突起42dと潤滑部材44とが軸方向に係合した状態となる。尚、保持器本体42と潤滑部材44とを組み付ける前に、両者の嵌め合い面の一方又は双方に接着剤を塗布しておくことで、組み付けと同時に両者を接着できる。
例えば、保持器本体42の線膨張係数が24×10-6(1/℃)(例えばアルミニウム合金)、潤滑部材44の線膨張係数が80×10-6(1/℃)、突起42dの外径D1が69.5mm、潤滑部材44の内径D2が68.5mmである場合、保持器本体42を−196℃に冷却すると共に、潤滑部材44を150℃に加熱すれば、D1<D2となって両者を焼き嵌めにより組み付けることができる。
また、保持器本体42の線膨張係数を潤滑部材44の線膨張係数よりも小さくしておけば、軸受1の使用環境温度の低下に伴って両者の締め代が大きくなり、固定力が高まるため、液体酸素や液体水素と接触する極低温環境下での使用に適した構成となる。
図6に、上記のアンギュラ玉軸受1を組み込んだロケットエンジン用ターボポンプを示す。このターボポンプは液体水素/液体酸素2段燃焼式ロケットエンジンのうち、液体酸素ガスを圧縮するものである。尚、図示は省略するが、この2段燃焼式ロケットエンジンには、液体水素ガスを圧縮する同様のターボポンプも備えている。ターボポンプのタービン軸54は、プリバーナポンプ入口からプリバーナポンプ出口へと流れる液体燃料の燃焼ガスで初期駆動された後、タービンガス入口からタービンガス出口へと流れる液体燃料の燃焼ガスで本格駆動される。そして、主ポンプ入口から流入した液体酸素ガスを圧縮して主ポンプ出口から排出し、燃焼室に供給する。タービン軸54は、極低温における疲労強度の高いニッケル基の超合金、例えばインコネル材で形成される。タービン軸54は、アンギュラ玉軸受1を2つ組み合わせてなる複列アンギュラ玉軸受52で支持される。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同一の機能を有する箇所には同一の符号を付して重複説明を省略する。
上記実施形態では、保持器本体42の切り欠き42cに環状の突起42dを形成した場合を示したが、これに限らず、例えば円周方向に離隔した複数箇所に突起42dを設けてもよい。また、上記実施形態では、突起42dを切り欠き42cの軸方向外側端部に設けた場合を示したが、これに限らず、例えば切り欠き42cの軸方向中間部に突起42dを設けてもよい。この場合、潤滑部材44の内周面44bの軸方向中間部に凹部を設け、この凹部と突起42dとを嵌合させることにより、保持器本体42と潤滑部材44とを軸方向に係合させる(図示省略)。
あるいは、図7に示すように、保持器本体42の切り欠き42cの突起42dを省略してもよい。この場合、保持器本体42の切り欠き42cと潤滑部材44の内周面44bとの締まり嵌めにより、又は、これらの間に介在した接着剤により、あるいはこれらの双方により固定される。
また、上記の実施形態では、潤滑部材44を環状に形成した場合を示したが、これに限らず、例えば保持器本体42の外周面42bの円周方向に離隔した複数箇所に潤滑部材44を設けてもよい。ただし、保持器本体42と潤滑部材44との固定力を考慮すれば、上記の実施形態のように潤滑部材44をリング状とした方が有利である。
また、上記の実施形態では、潤滑部材44の外周面44a(案内面)を外輪20と滑り接触させる場合を示したが、これに限らず、図8に示すように、潤滑部材44の内周面44bを内輪10の外周と滑り接触させてもよい。尚、図8では、保持器本体42の内周面42eの軸方向一方の端部にのみ潤滑部材44を設け、その内周面44bを内輪10の一方の肩部14と滑り接触させている。
また、上記の実施形態では、アンギュラ玉軸受1をロケットエンジン用ターボポンプに組み組んだ場合を示したが、上記の軸受1を他の用途に適用することも可能である。例えば、人工衛星などの宇宙用機器のように、真空環境下で使用される機器に組み込むことができる。また、上記の軸受1は、極低温環境下で使用する用途に限らず、例えば常温以上の環境下で使用することもできる。この場合、図8に示す構成を採用し、保持器本体42の線膨張係数を潤滑部材44の線膨張係数よりも小さくすれば、温度上昇に伴って両者の締め代が大きくなり、固定力を高めることができるため、高温環境下での使用に適した構成となる。
また、上記の実施形態では、本発明に係る転がり軸受としてアンギュラ玉軸受を説明したが、これに限らず、本発明は、他の玉軸受や、円筒ころ軸受や円すいころ軸受などのころ軸受に適用することも可能である。
1 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
10 内輪
20 外輪
30 ボール
40 保持器
42 保持器本体
42c 切り欠き
42d 突起
44 潤滑部材
10 内輪
20 外輪
30 ボール
40 保持器
42 保持器本体
42c 切り欠き
42d 突起
44 潤滑部材
Claims (16)
- 外周に軌道面を有する内輪と、内周に軌道面を有する外輪と、前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面との間に介在する複数の転動体と、前記複数の転動体を収容する複数のポケットを有する保持器とを備えた転がり軸受において、
前記保持器が、保持器本体と、前記保持器本体に固定された樹脂複合材からなる潤滑部材と、前記ポケットのポケット面に施した固体潤滑膜とを有し、前記潤滑部材に前記外輪又は前記内輪と滑り接触する案内面を設けたことを特徴とする転がり軸受。 - 前記潤滑部材の案内面が、前記外輪又は前記内輪の肩部と滑り接触する請求項1記載の転がり軸受。
- 前記潤滑部材がリング状を成すと共に、前記保持器本体の外周面又は内周面に環状の切り欠きを設け、前記潤滑部材を前記切り欠きに嵌め込んだ請求項1又は2記載の転がり軸受。
- 前記切り欠きに突起を設け、前記切り欠きに嵌め込んだ前記潤滑部材に前記突起を軸方向外側から係合させた請求項3記載の転がり軸受。
- 前記潤滑部材と前記保持器本体とを焼き嵌めにより固定した請求項3又は4記載の転がり軸受。
- 前記リング状の潤滑部材を前記保持器本体の外周面に設けた前記環状の切り欠きに固定し、前記案内面を前記外輪の内周と滑り接触させる構成において、
前記保持器本体の線膨張係数が、前記潤滑部材の線膨張係数よりも小さい請求項1〜5の何れかに記載の転がり軸受。 - 前記潤滑部材と前記保持器本体とを接着した請求項3〜6の何れかに記載の転がり軸受。
- 前記固体潤滑膜が前記樹脂複合材よりも移着性に優れている請求項1〜7の何れかに記載の転がり軸受。
- 前記固体潤滑膜が、高移着性フッ素樹脂コーティングである請求項1〜8の何れかに記載の転がり軸受。
- 前記樹脂複合材が前記固体潤滑膜よりも耐摩耗性に優れている請求項1〜9の何れかに記載の転がり軸受。
- 前記樹脂複合材が、自己潤滑性のあるベース樹脂を用いたものである請求項1〜10の何れかに記載の転がり軸受。
- 前記ベース樹脂がフッ素樹脂である請求項11記載の転がり軸受。
- 前記樹脂複合材に補強材料を配合した請求項1〜12の何れかに記載の転がり軸受。
- 前記樹脂複合材に自己潤滑性材料を配合した請求項1〜13の何れかに記載の転がり軸受。
- ロケットエンジンの液体燃料用ターボポンプに使用される請求項1〜14の何れかに記載の転がり軸受。
- 真空環境下で使用される請求項1〜14の何れかに記載の転がり軸受。
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