JP2017172664A - 固体潤滑転がり軸受 - Google Patents

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広道 國米
Hiromichi Kunimai
広道 國米
奈央 林
Nao Hayashi
奈央 林
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Abstract

【課題】保持器案内面の耐摩耗性を向上し、偏摩耗を抑制する固体潤滑転がり軸受を提供する。
【解決手段】外輪2及び内輪1と、複数の転動体3と、転動体を保持する保持器4とを備え、内輪の外周面及び外輪の内周面のいずれかが保持器を案内する案内面となり、軸受内部が固体潤滑剤で潤滑される固体潤滑転がり軸受である。保持器4を案内する軌道輪2は、軌道輪本体6と、固体潤滑剤を含む樹脂からなる軌道輪側固体潤滑層7a、7bとを備えた案内面を形成し、保持器は、転動体を収容する複数のポケット穴を有する円環状の保持器本体11と、固体潤滑剤を含む樹脂からなる保持器側固体潤滑層12と、本体よりも硬度が高い硬質層13とを備え、保持器側固体潤滑層が、保持器本体のポケット穴の内周面に設けられ、転動体と摺接する複数のポケット面15を形成し、硬質層が、保持器本体の内周面又は外周面に設けられ、一方の軌道輪と摺接する案内面を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体潤滑転がり軸受に関する。
ロケットエンジンのターボポンプに用いられる転がり軸受は、液体推進剤中の高速回転環境下で使用される。特に、液体水素や液体酸素中で使用される場合は、極低温になるため、通常の転がり軸受で使用される油やグリース等の流動性潤滑剤が適用できない。また、転がり軸受が高速回転で使用されると、保持器に大きなフープ応力が加わるため、保持器には高い比強度が要求される。そこで、固体潤滑性能及び高い比強度性能が付加された保持器として、例えば、特許文献1及び特許文献2に示すものが提案されている。
特許文献1には、ガラス繊維等の強化繊維からなる織布にPTFE等の固体潤滑剤を含浸させた、繊維強化複合材で形成された保持器が示されている。この保持器は、繊維強化複合材を機械加工した後、加工表面部に露出したガラス繊維を表面処理剤(フッ化水素酸)で溶解除去することにより、保持器の表面に、切断されたガラス繊維が露出することを防止している。
特許文献2には、高い比強度を有する母材表面に固体潤滑剤を射出成形した保持器が示されている。この保持器は、複数のポケット穴を有する円環状の本体と、本体をインサート部品として固体潤滑剤を含む樹脂で射出成形された樹脂部とを備えている。樹脂部は、本体のポケット穴の内周面に設けられてポケット面を形成するとともに、本体の外周面及び内周面のいずれかで、軌道輪(外輪又は内輪)と摺接する側に設けられて案内面を形成する。
特開平3−113124号公報 特開2014−234846号公報
前記特許文献1及び特許文献2に記載された保持器は、潤滑機能を持たせるために、案内面が樹脂により形成されており、摩耗しやすいものとなっている。特許文献2に示すような保持器において摩耗が進展し、母材が摩耗すると、摩耗粉が異物となって軸受機能に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、保持器は、加工精度や表面処理精度等の影響により、保持器密度の周方向アンバランスが発生する場合がある。このため、保持器は、高密度部分が外周側に偏りながら回転する振れ回り運動が生じる。これにより、保持器の案内面は、特定の箇所(すなわち高密度部分)のみが軌道輪と接触することになって、偏摩耗する可能性がある。特に、ロケットエンジンのターボポンプに用いられる転がり軸受は、高速回転環境下で使用されるため、このようなアンバランスの影響を受けやすい。さらに、保持器は、保持器案内すきま分だけ傾くため、保持器の案内面の角部(軸方向端部)は、軌道輪の案内面とエッジ接触し、軸方向でも偏摩耗が生じる可能性がある。
本発明が解決すべき課題は、保持器案内面の耐摩耗性を向上するとともに、偏摩耗を抑制する固体潤滑転がり軸受を提供することにある。
本発明の固体潤滑転がり軸受は、軌道輪である外輪及び内輪と、外側軌道面と内側軌道面の間に配置した複数の転動体と、前記内輪と外輪の間に配され、前記各転動体を所定位置に保持する保持器とを備え、前記内輪の外周面及び前記外輪の内周面のいずれかが前記保持器を案内する案内面となり、軸受内部が固体潤滑剤で潤滑される固体潤滑転がり軸受において、前記保持器を案内する軌道輪は、軌道輪本体と、固体潤滑剤を含む樹脂からなる軌道輪側固体潤滑層とを備え、前記軌道輪側固体潤滑層が、前記軌道輪本体の内周面又は外周面に設けられ、前記案内面を形成し、前記保持器は、前記転動体を収容する複数のポケット穴を有する円環状の保持器本体と、固体潤滑剤を含む樹脂からなる保持器側固体潤滑層と、前記本体よりも硬度が高い硬質層とを備え、前記保持器側固体潤滑層が、前記保持器本体のポケット穴の内周面に設けられ、各転動体と摺接する複数のポケット面を形成し、前記硬質層が、前記保持器本体の内周面又は外周面に設けられ、一方の軌道輪と摺接する案内面を形成したものである。
本発明の固体潤滑転がり軸受は、保持器のポケット面及び軌道輪の案内面が、固体潤滑剤を含む樹脂で形成されるため、保持器のポケット面の樹脂に含まれる固体潤滑剤を転動体に移着し、軌道輪の案内面に含まれる固体潤滑剤を保持器に移着することで潤滑を行うことができる。この場合、回転側である保持器の案内面側には、固体潤滑層を設けることなく硬質層を設け、固定側である軌道輪の案内面側に固体潤滑層を設けている。軌道輪の案内面側(固定側)では、保持器との接触箇所は周方向に均一であるため、固定側に固体潤滑層を設けることによって、保持器密度の周方向アンバランスによる振れ回り接触を均一化することができる。これにより、軌道輪側固体潤滑層の偏摩耗を抑制し、延いては保持器の偏摩耗を抑制することができる。しかも、保持器の案内面を硬質層にて形成しているため、保持器の案内面の耐摩耗性を向上させることができ、保持器本体の摩耗を抑制することができる。
前記構成において、前記軌道輪側固体潤滑層には強化充填材が配合され、前記保持器側固体潤滑層にはフッ素系樹脂が配合されてもよい。これにより、軌道輪側固体潤滑層は耐摩耗性に優れたものとなり、保持器側固体潤滑層は、潤滑性能、つまり潤滑性及び移着性(潤滑剤供給性能)が優れたものとなる。
前記構成において、前記硬質層の表面は、軸方向中心側が軌道輪本体側に凸状となるクラウニング形状としてもよい。これにより、保持器の案内面の角部(軸方向端部)が、軌道輪の案内面とエッジ接触することを抑制できて、軸方向でも偏摩耗を抑制することができる。
前記構成において、前記保持器本体の軸方向端部側に、前記軌道輪本体側に突出する凸部が形成され、前記凸部に硬質層が設けられるとともに、前記軌道輪本体の軸方向端部側で、前記凸部に相対面する位置に切欠部が形成され、前記切欠部に軌道輪側固体潤滑層が設けられるものであってもよい。これにより、軌道輪の肩高さを確保して、アキシアル荷重の許容範囲を大きく確保しつつ、保持器本体と軌道輪本体との接触を防止することができる。
本発明の固体潤滑転がり軸受は、極低温環境による高い固体潤滑性能、高速運転による高強度性能が要求される例えばロケットエンジンターボポンプに使用される場合に特に有効なものとなる。
以上のように、本発明の固体潤滑転がり軸受は、保持器案内面の耐摩耗性を向上するとともに、偏摩耗を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態を示す固体潤滑転がり軸受の断面図である。 前記図1の固体潤滑転がり軸受を構成する保持器の斜視図である。 本発明の第2の実施形態を示す固体潤滑転がり軸受の断面図である。 本発明の第3の実施形態を示す固体潤滑転がり軸受の断面図である。 前記図4の固体潤滑転がり軸受を構成する外輪の斜視図である。 前記図4の固体潤滑転がり軸受を構成する保持器の斜視図である。 本発明の固体潤滑転がり軸受が組み込まれたロケットエンジン用ターボポンプの断面図である。
図1に、本発明の一実施形態に係る固体潤滑転がり軸受として、アンギュラ玉軸受を示す。アンギュラ玉軸受は、一対の軌道輪(内輪1及び外輪2)と、複数の転動体(ボール3)と、保持器4とを備える。アンギュラ玉軸受は、無潤滑環境、すなわち、油やグリース等の流動性潤滑剤を使用しない環境で用いられる。アンギュラ玉軸受は、図示するように接触角を有する。接触角とは、軸受中心軸に垂直な平面(ラジアル平面)と、軌道輪によって転動体へ伝えられる力の合力の作用線(図1に一点鎖線で示す)とがなす角度と定義されている。本実施形態のアンギュラ玉軸受は、保持器4の外周面と外輪2の内周面とを摺接させて保持器4を半径方向で案内する、いわゆる外輪案内の軸受である。
内輪1の外周面には、軌道面5が設けられる。外輪2は、外輪本体6と、後述する軌道輪側固体潤滑層7a、7bとで構成され、外輪本体6の内周面には、軌道面8が設けられる。内輪1及び外輪本体6は金属で形成され、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS440Cなど)で形成される。複数のボール3は、内輪1の軌道面5と外輪2の軌道面8との間に配される。ボール3は、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS440Cなど)等の金属や、セラミックス材料で形成される。尚、内輪1の軌道面5、外輪2の軌道面8、及びボール3の表面には、摩擦低減を補助するためのPTFEスパッタリング被膜を施してもよい。
外輪本体6は、軌道面8の軸方向両側で肩部9a、9bを有している。肩部9a、9bの表面(内周面)には、固体潤滑剤を含む樹脂からなる軌道輪側固体潤滑層7a、7bが設けられており、図示例では、軌道輪側固体潤滑層7a、7bは肩部9a、9bの内周面の全面を覆っている。軌道輪側固体潤滑層7a、7bの内周面は、保持器4の外周面と摺接する案内面10a、10bとして機能する。
軌道輪側固体潤滑層7a、7bは、固体潤滑剤を含む樹脂で形成される。主成分樹脂としては、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)等の熱可塑性樹脂が使用できる。特に、極低温環境下で使用される場合、耐衝撃性、耐薬品性、外輪本体6との密着性の観点から、線膨張係数が小さいPEEKを使用することが望ましい。この場合、固体潤滑剤としては、フッ素樹脂(例えばPTFE)、二硫化モリブデン、黒鉛などが使用できる。軌道輪側固体潤滑層7a、7bの厚さは均一になっており、摩耗に対する信頼性を考慮すると0.2mm以上、1.0mm以下が好ましい。
軌道輪側固体潤滑層7a、7bを形成する樹脂には、強化材を配合している。強化材としては、耐摩耗性を高め、線膨張係数を抑える効果のあるものを使用することが望ましく、例えばガラス繊維(GF)、カーボン繊維(CF)、酸化マグネシウム等が使用できる。これにより、軌道輪側固体潤滑層7a、7bは耐摩耗性に優れたものとなる。
保持器4は、外輪2と内輪1との間に配され、図1及び図2に示すように、保持器本体11と保持器側固体潤滑層12と硬質層13とから構成される。保持器本体11は、図2に示すように環状を成している。保持器本体11には、複数のポケット穴14が円周方向等間隔に設けられ、各ポケット穴14にボール3が1つずつ収容される。保持器本体11は、保持器側固体潤滑層12よりも高強度の材料で形成され、例えば樹脂複合材や金属で形成される。樹脂複合材としては、CFRPやGFRP等の繊維強化プラスチック材を使用できる。また、金属としては、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金、炭素鋼、ステンレス鋼、銅合金等の溶製材や、焼結金属を使用できる。特に、高速回転環境下で使用される軸受の場合、比強度の高い材料を使用することが好ましい。このような材料として、例えばCFRP、GFRP、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金が挙げられる。また、液体水素ターボポンプ用に使用される軸受の場合、水素反応性の低い材料を使用することが好ましい。このような材料として、例えばCFRP、GFRP、アルミニウム合金が挙げられる。さらに、液体酸素ターボポンプに使用される軸受の場合、酸化反応性の低い材料を使用することが好ましい。このような材料として、例えばGFRPが挙げられる。
保持器側固体潤滑層12は、保持器本体11をインサート部品とした射出成形で形成される。保持器側固体潤滑層12は、保持器本体11の各ポケット穴14の内周面に設けられ、図示例では保持器側固体潤滑層12がポケット穴14の円筒面状内周面の全面を覆っている。各ポケット穴14に設けられた保持器側固体潤滑層12の表面(内周面)は、各転動体3と摺接するポケット面15として機能する。保持器側固体潤滑層12の厚さは均一になっており、射出成形時の流動性を考慮すると0.1mm以上が好ましく、さらに、摩耗に対する信頼性を考慮すると0.2mm以上がより好ましい。
保持器側固体潤滑層12は、固体潤滑剤を含む樹脂で形成される。主成分樹脂としては、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)等の熱可塑性樹脂が使用できる。特に、極低温環境下で使用される場合、耐衝撃性、耐薬品性、保持器本体11との密着性の観点から、線膨張係数が小さいPEEKを使用することが望ましい。固体潤滑剤としては、フッ素樹脂(例えばPTFE、ETFE、PFA)、二硫化モリブデン、黒鉛などが使用できるが、本実施形態ではフッ素樹脂を使用している。これにより、保持器側固体潤滑層12は、潤滑性と移着性とが優れたものとなる。保持器側固体潤滑層12を形成する樹脂には、強化材を配合してもよいし、省略してもよい。
硬質層13は、図1及び図2に示すように、保持器本体11の外周面に設けられ、図示例では硬質層13が保持器本体11の円筒面状外周面の全面を覆っている。硬質層13の表面(外周面)は、外輪2の内周面と摺接する案内面16として機能する。硬質層13は、保持器本体11よりも硬度(例えば、ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ、等の硬さを表す任意の尺度における測定値)が高く、例えば、DLC皮膜、セラミック溶射皮膜、又はアルマイト皮膜等にて構成するのが好ましい。
上記のアンギュラ玉軸受が回転すると、保持器4のポケット面15とボール3とが摺接すると共に、保持器4の案内面16(外周面)と外輪2の案内面10a、10bとが摺接する。これにより、保持器側固体潤滑層12の固体潤滑剤をボール3に移着し、軌道輪側固体潤滑層7a、7bの固体潤滑剤を保持器4の案内面16に移着し、保持器4とボール3及び外輪2との間の潤滑が行われる。さらに、ボール3に移着した固体潤滑剤により、ボール3と内輪1の軌道面5及び外輪2の軌道面8との間の潤滑が行われる。
上記のように、本実施形態では、回転側である保持器4の案内面側には、固体潤滑層を設けることなく硬質層13を設け、固定側である外輪2の案内面側に軌道輪側固体潤滑層7a、7bを設けている。外輪2の案内面側(固定側)では、保持器4との接触箇所は周方向に均一であるため、固定側に固体潤滑層を設けることによって、保持器密度の周方向アンバランスによる振れ回り接触を均一化することができる。これにより、軌道輪側固体潤滑層7a、7bの偏摩耗を抑制し、延いては保持器4の偏摩耗を抑制することができる。しかも、保持器4の案内面16を硬質層13にて形成しているため、保持器4の案内面16の耐摩耗性を向上させることができ、保持器本体11の摩耗を抑制することができる。
図3は、本発明の第2実施形態の固体潤滑転がり軸受を示す。第2本実施形態の固体潤滑転がり軸受を構成する保持器20は、保持器本体21と保持器側固体潤滑層22と硬質層23とからなる。保持器本体21は、環状を成しており、外周面は、図3に示すように、軸方向中心側が外輪側に凸状となるクラウニング形状となっている。硬質層23は、本体21の外周面の全面を、ほぼ均一の厚さで覆っている。これにより、硬質層23の表面(保持器の案内面24)は、軸方向中心側が外輪側に凸状となり、丸みを帯びたクラウニング形状となる。
これにより、第2実施形態の固体潤滑転がり軸受は、保持器20の案内面24の角部(軸方向端部)が、外輪2の案内面10a、10bとエッジ接触することを抑制できて、軸方向でも偏摩耗を抑制することができる。なお、図3に示す固体潤滑転がり軸受の他の構成は前記した図1及び図2の固体潤滑転がり軸受と同様であるので、図1及び図2に示す固体潤滑転がり軸受と同一部材については図1及び図2と同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図4〜図6は、本発明の第3実施形態の固体潤滑転がり軸受を示す。第3本実施形態の固体潤滑転がり軸受を構成する外輪30の外輪本体31は、図4に示すように、肩部32a、32bの軸方向端部側で、周方向に沿った切欠部33a、33bが形成されている。すなわち、外輪本体31の肩部32aは、軸方向中心側が小径となる小径部34a、34bと、段差部35a、35bと、軸方向端部側で大径となる切欠部33a、33bとから構成される。これにより、中心側(小径部34a、34b)において外輪2の肩高さを確保して、アキシアル荷重の許容範囲を大きく確保することができる。
切欠部33a、33bには、図4及び図5に示すように、軌道輪側固体潤滑層36a、36bが設けられている。軌道輪側固体潤滑層36a、36bは、外輪本体31の段差部35a、35bにおける段差寸法とほぼ同一の厚みを有しており、軌道輪側固体潤滑層36a、36bにて段差を埋めた状態となっている。軌道輪側固体潤滑層36a、36bの表面(内周面)は、保持器40の外周面と摺接する案内面37a、37bとして機能する。
保持器40は、図4及び図6に示すように、保持器本体41と保持器側固体潤滑層42と硬質層43a、43bとからなる。保持器本体41は、図6に示すように環状を成し、複数のポケット穴47が円周方向等間隔に設けられている。保持器本体41は、図4に示すように、軸方向両端部側で、周方向に沿って外輪側に突出する凸部44a、44bが形成されている。すなわち、保持器本体41は、軸方向中心側が小径となる小径部45と、段差部46a、46bと、軸方向端部側で大径となる凸部44a、44bとから構成される。
図4及び図6に示すように、保持器側固体潤滑層42は、保持器本体41の各ポケット穴47の内周面に設けられ、図示例では保持器側固体潤滑層42がポケット穴47の円筒面状内周面の全面を覆っている。各ポケット穴47に設けられた保持器側固体潤滑層42の表面(内周面)は、各転動体3と摺接するポケット面48として機能する。
硬質層43a、43bは、保持器本体41の凸部44a、44bの外周面に設けられ、図示例では硬質層43a、43bが凸部44a、44bの外周面の全面を覆っている。硬質層43a、43bの表面(外周面)は、外輪30の内周面と摺接する案内面49a、49bとして機能する。
図4に示すように、保持器本体41の小径部45は、外輪本体31の小径部34a、34bに相対面し、保持器本体41の段差部46a、46bは、外輪本体31の段差部35a、35bに相対面し、保持器本体41の凸部44a、44bに設けられた硬質層43a、43bは、外輪本体31の切欠部33a、33bに設けられた軌道輪側固体潤滑層36a、36bに相対面する。上記のアンギュラ玉軸受が回転すると、保持器40のポケット面48とボール3とが摺接すると共に、保持器40の案内面49a、49bを形成する硬質層43a、43bと、外輪30の案内面37a、37bを形成する軌道輪側固体潤滑層36a、36bとが摺接する。このとき、外輪本体31の小径部34a、34bと、保持器本体41の小径部45との間には隙間が形成されているため、外輪本体31と保持器本体41との接触が防止できて、金属接触を防止することができる。
このように、第3実施形態の固体潤滑転がり軸受は、外輪30の肩高さを確保して、アキシアル荷重の許容範囲を大きく確保しつつ、保持器本体41と軌道輪本体31との接触を防止することができる。
上記の各実施形態では、保持器を外輪の内周面と摺接させて案内する外輪案内の転がり軸受を示したが、これに限らず、保持器を内輪の外周面と摺接させて案内する内輪案内の転がり軸受に本発明を適用してもよい。この場合、硬質層は、保持器本体の内周面に設けられ、この硬質層の内周面が案内面として機能する(図示省略)。また、内輪は、内輪本体と、軌道輪側固体潤滑層とを備え、軌道輪側固体潤滑層は、内輪本体の外周面に設けられ、この軌道輪側固体潤滑層の外周面が案内面として機能する(図示省略)。
図7に、上記のアンギュラ玉軸受を組み込んだロケットエンジン用ターボポンプを示す。このターボポンプは液体水素/液体酸素2段燃焼式ロケットエンジンのうち、液体酸素ガスを圧縮するものである。尚、図示は省略するが、この2段燃焼式ロケットエンジンには、液体水素ガスを圧縮する同様のターボポンプも備えている。ターボポンプのタービン軸71は、プリバーナポンプ入口からプリバーナポンプ出口へと流れる液体燃料の燃焼ガスで初期駆動された後、タービンガス入口からタービンガス出口へと流れる液体燃料の燃焼ガスで本格駆動される。そして、主ポンプ入口から流入した液体酸素ガスを圧縮して主ポンプ出口から排出し、燃焼室に供給する。タービン軸71は、極低温における疲労強度の高いニッケル基の超合金、例えばインコネル材で形成される。タービン軸71は、アンギュラ玉軸受を2つ組み合わせてなる複列アンギュラ玉軸受72で支持される。複列アンギュラ玉軸受72を構成する一対のアンギュラ玉軸受は、接触角が軸直交平面に関して対称となっている。
上記のアンギュラ玉軸受は、ロケットエンジン用ターボポンプだけでなく、他の用途に適用することも可能である。例えば、人工衛星などの宇宙用機器のように、真空環境下で使用される機器に組み込むことができる。また、上記のアンギュラ玉軸受は、極低温環境下で使用する用途に限らず、例えば常温以上の環境下で使用することもできる。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る固体潤滑転がり軸受としてアンギュラ玉軸受を説明したが、これに限らず、本発明は、他の種類の玉軸受や、円筒ころ軸受や円すいころ軸受などのころ軸受に適用することも可能である。
1 内輪
2、20、30 外輪
3 ボール
4 保持器
6、31 外輪本体
7、36 軌道輪側固体潤滑層
11、21、41 保持器本体
12、22、42 保持器側固体潤滑層
13、23、43 硬質層
10、37 案内面
16、24,49 案内面
15,48 ポケット面
33 切欠部
44 凸部

Claims (5)

  1. 軌道輪である外輪及び内輪と、外側軌道面と内側軌道面の間に配置した複数の転動体と、前記内輪と外輪の間に配され、前記各転動体を所定位置に保持する保持器とを備え、前記内輪の外周面及び前記外輪の内周面のいずれかが前記保持器を案内する案内面となり、軸受内部が固体潤滑剤で潤滑される固体潤滑転がり軸受において、
    前記保持器を案内する軌道輪は、軌道輪本体と、固体潤滑剤を含む樹脂からなる軌道輪側固体潤滑層とを備え、前記軌道輪側固体潤滑層が、前記軌道輪本体の内周面又は外周面に設けられて前記案内面を形成し、
    前記保持器は、前記転動体を収容する複数のポケット穴を有する円環状の保持器本体と、固体潤滑剤を含む樹脂からなる保持器側固体潤滑層と、前記本体よりも硬度が高い硬質層とを備え、前記保持器側固体潤滑層が、前記保持器本体のポケット穴の内周面に設けられ、各転動体と摺接する複数のポケット面を形成し、前記硬質層が、前記保持器本体の内周面又は外周面に設けられ、一方の軌道輪と摺接する案内面を形成したことを特徴とする固体潤滑転がり軸受。
  2. 前記軌道輪側固体潤滑層には強化充填材が配合され、前記保持器側固体潤滑層にはフッ素系樹脂が配合されたことを特徴とする請求項1に記載の固体潤滑転がり軸受。
  3. 前記硬質層の表面は、軸方向中心側が軌道輪本体側に凸状となるクラウニング形状としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体潤滑転がり軸受。
  4. 前記保持器本体の軸方向端部側に、前記軌道輪本体側に突出する凸部が形成され、前記凸部に硬質層が設けられるとともに、前記軌道輪本体の軸方向端部側で、前記凸部に相対面する位置に切欠部が形成され、前記切欠部に軌道輪側固体潤滑層が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の固体潤滑転がり軸受。
  5. ロケットエンジンターボポンプに使用されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の固体潤滑転がり軸受。
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