JP2004332787A - ガスボンベの製造法、ガスボンベ及びガス吸蔵・放出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素系ガス吸蔵材料が有する優れたガス吸蔵特性を十分発揮させ、実用的なガス吸蔵量が達成しうる炭素系ガス吸蔵材料の成形体を備え、耐圧性にも優れ、且つ安全性も期待しうる水素等のガスボンベ、並びに該ボンベを簡便な方法で製造しうるガスボンベの製造法、ガスを高吸蔵率で、しかも安定して貯蔵・放出できるガス貯蔵・放出方法を提供すること。
【解決手段】本発明のガスボンベの製造法は、炭素系ガス吸蔵材料を、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状に成形加工するボンベ型成形体の調製工程と、ボンベ型成形体にボンベ用口金を取付ける口金取付け工程と、該ボンベ型成形体の外表面を実質的にガスバリア性の材料により被覆する第1の被覆工程と、ガスバリア性の材料により被覆した外表面を繊維強化プラスチックにより被覆する第2の被覆工程とを含む。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のガスボンベの製造法は、炭素系ガス吸蔵材料を、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状に成形加工するボンベ型成形体の調製工程と、ボンベ型成形体にボンベ用口金を取付ける口金取付け工程と、該ボンベ型成形体の外表面を実質的にガスバリア性の材料により被覆する第1の被覆工程と、ガスバリア性の材料により被覆した外表面を繊維強化プラスチックにより被覆する第2の被覆工程とを含む。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素等の燃料ガスを、高効率で、安全に貯蔵することができる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベ、その製造法及び該ボンベを用いたガス貯蔵・放出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の動力源として現在はガソリン、軽油を燃料とするエンジンが主流となっている。しかし、CO2排出など環境負荷の点では課題も多く、将来的には燃料電池自動車に徐々に置き換わっていくとされる。現在、35MPaの中空のガスボンベを搭載した燃料電池自動車が既に市場に出ているが、一般に普及させるには価格、走行距離など克服すべき課題が多い。例えば、走行距離を実用レベルにするには、70MPa程度の超高圧に耐えうる中空のガスボンベが必要とされるが、安全性やガス導入性等の点で実用には至っていない。
そこで、中空ボンベの超高圧化を避ける手段として、例えば、水素等のガス吸蔵量が高く、しかも、従来提案されているLaNi合金等の水素吸蔵合金に比して軽量な、カーボンナノチューブ、カーボンエアロゲル、活性炭等の炭素系ガス吸蔵材料が脚光を浴びている。前記炭素系ガス吸蔵材料は、通常、スチールやアルミニウム合金等の耐圧製のボンベに充填して使用する方法が提案されている。
しかし、前記炭素系ガス吸蔵材料は、嵩密度が低いため等により高密度充填が困難である。また、炭素系ガス吸蔵材料を充填する高圧ガスボンベは、通常、ガス導入機構を備える口金を備えるが、炭素系ガス吸蔵材料を無理に高密度充填しようとすると、ボンベと前記口金に無理な力が加わり、更には口金のネジ部分が炭素質で汚染されてネジの締め付けに支障をきたす等の懸念が生じる。
従って、炭素系ガス吸蔵材料は、その優れたガス吸蔵特性を有するにもかかわらず、ボンベへの充填率には限界があり、実用的なガス吸蔵量が得れら難い状況にある。
そこで、最近、体積密度の高いカルボン酸金属錯体からなるメタンガス吸蔵材料や、炭素系材料を多孔質体に充填した水素吸蔵体が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、従来、炭素系ガス吸蔵材料自体が有する優れたガス吸蔵特性を、ボンベの製造法を改良することによって有効に引出し、実用化する技術については提案されていない。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−309592号公報
【特許文献2】
特開2000−281324号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、炭素系ガス吸蔵材料が有する優れたガス吸蔵特性を十分発揮させ、実用的なガス吸蔵量が達成しうる炭素系ガス吸蔵材料の成形体を備え、耐圧性にも優れ、且つ安全性も期待しうる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベ、並びに該ボンベを簡便な方法で製造しうるガスボンベの製造法を提供することにある。
本発明の別の目的は、水素等のガスを高吸蔵率で、しかも安定して貯蔵、放出することができるガス貯蔵・放出方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、炭素系ガス吸蔵材料を、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状に成形加工するボンベ型成形体の調製工程と、ボンベ型成形体にボンベ用口金を取付ける口金取付け工程と、該ボンベ型成形体の外表面を実質的にガスバリア性の材料により被覆する第1の被覆工程と、ガスバリア性の材料により被覆した外表面を繊維強化プラスチックにより被覆する第2の被覆工程とを含むことを特徴とするガスボンベの製造法が提供される。
また本発明によれば、上記製造法により得られるガスボンベであって、炭素系ガス吸蔵材料を含むボンベ型成形体と、ガスバリア性の材料層及び強化繊維プラスチック層を有する前記ボンベ型成形体を被覆する被覆層と、ガス導入機構及びガス放出機構を備えた口金とを備えることを特徴とするガスボンベが提供される。
更に本発明によれば、上記ガスボンベの口金を、ガス導入管に接続し、該ガス導入管を通してガスを導入し、前記ガスボンベにガスを封入するガス貯蔵工程と、封入されたガスを放出するガス放出工程とを含むことを特徴とするガス貯蔵・放出方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のガスボンベの製造法は、まず、炭素系ガス吸蔵材料を、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状に成形加工するボンベ型成形体の調製工程を行う。
前記調製工程に用いる炭素系ガス吸蔵材料は、軽量で、単位質量当りの水素等のガス吸蔵量が大きい炭素を含むガス吸蔵材料であれば良く、例えば、活性炭、活性炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、カーボンクライオゲル、カーボンキセロゲル、膨張炭素繊維、黒鉛層開化合物、天然物焼成炭等が挙げられる。
前記黒鉛層開化合物としては、例えば、黒鉛−Li、黒鉛−Na、黒鉛−K、黒鉛−Rb、黒鉛−Cs、黒鉛−Ca、黒鉛−Sr、黒鉛−Ba、黒鉛−HNO3、黒鉛−H2SO4、黒鉛−HClO4、黒鉛−F、黒鉛酸等が挙げられる。
【0007】
前記炭素系ガス吸蔵材料のガス吸蔵量は、吸蔵するガスが水素の場合、30℃、3MPaにおいて、通常0.2〜2質量%であり、好ましくは0.5〜2質量%である。0.2質量%未満では水素貯蔵ボンベとしての能力が低くなるため好ましくない。また水素吸蔵量は高いほど良いが、通常、2質量%を超える炭素系水素吸蔵材料の入手が困難である。
前記炭素系ガス吸蔵材料のガス吸蔵量は、容量法により測定することができる。測定の際の留意点は、例えば、「炭素」2002[No.205]p.231−237(炭素材料学会発行)に記載されている留意点が挙げられる。
前記炭素系ガス吸蔵材料は、公知の方法等に準じて製造することができる他、市販品を用いることもできる。
【0008】
前記調製工程において、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状とは、具体的形状を意味するものではなく、ガス導入機構を備えたボンベ用口金を装着することが可能なフランジ形状の凹部を少なくとも1箇所有し、且つボンベ機能を具備しうる形状であれば、いかなる形状であってもよいことを意味する。
【0009】
前記調製工程において成形加工は、例えば、加圧成型法、加熱成型法等が採用できる。
前記加圧成型又は加熱成型は、例えば、ボンベ型形状を有する型枠、即ち、型枠内部形状が所望のボンベ型形状である型枠を用いて行うことができる。型枠としては、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状を有する型枠であっても、また、ボンベ用口金を具備していないボンベ型形状を有する型枠のいずれであっても良い。該ボンベ用口金を具備していないボンベ型形状を有する型枠を用いる場合には、加圧成型後又は加熱成型後等にボンベ用口金を具備しうる凹部形状を成型物の少なくとも一方の端にフランジ形状の凹部を設ける切削等の加工を行うことができる。該ボンベ型形状としては、例えば、円柱の両端側にドーム部を有する形状が挙げられる。
【0010】
前記加圧成型のための型枠に導入する原材料は、前記炭素系ガス吸蔵材料を含み、必要によりバインダー、溶剤等を含む原材料が挙げられる。バインダー及び/又は溶剤等の使用は、炭素系ガス吸蔵材料の種類や加圧条件等に応じて適宜選択することができる。
前記バインダーとしては、通常、樹脂材料が使用でき、例えば、PVDF、PTFE、カルボキシメチルセルロース又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
前記溶剤としては、例えば、水、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、N−メチルピロリドン又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
前記バインダー及び溶剤の混合割合は、炭素系水素吸蔵材料の種類によるが、炭素系水素吸蔵材料100質量部に対して、バインダー0〜30質量部、溶剤0〜150質量部の割合が好ましい。バインダーの混合割合が多いほど形状は安定するが、ガス貯蔵量の点では少ないほど良い。
【0011】
前記加圧成型の圧力条件としては、例えば、10〜20N程度で1分間程度保持する条件であれば良く、好ましくは、得られる成型物の嵩密度が0.2〜2.1g/mlとなる条件を原材料の内容に応じて決定することが好ましい。
加圧成型により得られた成型物は、型枠から取出して乾燥させる。乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、真空加熱乾燥等が挙げられるが、真空加熱乾燥が好ましい。乾燥条件は、例えば、真空ポンプで減圧にした状態で、好ましくは40〜170℃、より好ましくは70〜120℃の温度で10〜15時間程度の条件で行うことができる。
【0012】
前記加熱成型は、炭素系ガス吸蔵材料としてカーボンエアロゲル、カーボンクライオゲル、カーボンキセロゲル等のゲルを用いる場合に行うことができる。例えば、前記型枠にゲル前駆体を導入して加熱成型した後、ゲル成型体を取り出して乾燥を行い、その後、乾燥ゲルを焼成炉により焼成することにより行うことができる。
前記ゲル前駆体としては、例えば、レゾルシノール、ホルムアルデヒド溶液、炭酸ナトリウム及び水の混合物等が挙げられる。前記ゲル前駆体における各成分の混合割合は、レゾルシノール100質量部に対して、37%ホルムアルデヒド溶液140〜150質量部、炭酸ナトリウム0.1〜2質量部%、水100〜600質量部程度が好ましい。
【0013】
ゲル前駆体の成型硬化条件は、通常、室温で2日間程度、更に60〜80℃で12時間程度が好ましい。ゲル成型体の乾燥は、超臨界乾燥、凍結乾燥、真空加熱乾燥、自然乾燥等が挙げられるが、乾燥効率の点で真空加熱乾燥が好ましい。該乾燥条件は、真空ポンプで減圧にした状態で、70〜120℃の温度で10〜15時間程度が好ましい。前記乾燥ゲルの焼成条件は、5℃/分程度の昇温速度で1000℃まで昇温した後、1000℃で4時間程度保持する条件が好ましい。
【0014】
前記調製工程における成形加工は、前記加圧成型又は加熱成型の他に、炭素系ガス吸蔵材料の種類によっては、溶剤を含む原材料をろ過し、シート状に成形した後、該シートを丸めてボンベ形状に成形する方法によっても行うことができる。例えば、炭素系ガス吸蔵材料がカーボンナノチューブの場合、アセトン等の溶剤を加え、シート状にした後、該シートをボンベ形状に成形加工し真空加熱乾燥する方法が挙げられる。この際、ボンベ形状に成形加工した成形体は、端部や表面等の形状に乱れが生じることがあるが、この場合は表面を研磨して表面処理することが好ましい。該研磨は、例えば、サンドペーパー等を用いて行うことができる。
【0015】
前記調製工程により得られるボンベ型成形体の嵩密度は、通常0.2〜2.1g/ml、好ましくは0.5〜2.1g/mlである。0.2g/ml未満ではガス吸蔵量の増大効果が小さく、2.1g/mlを超えると成形体への水素拡散が著しく小さくなったり、水素吸蔵材料の内部構造崩壊を招く恐れがあるので好ましくない。
【0016】
本発明のガスボンベの製造法は、前記調製工程で成形加工したボンベ型成形体にボンベ用口金を取付ける口金取付け工程を行う。
前記口金取付け工程は、前記調製工程の直後に行うことができる他、後述する被覆工程後に行うこともできる。口金の取付けは、前記ボンベ型成形体に設けられている少なくとも1つのボンベ用口金を具備しうる凹部に、口金のフランジ部分を埋め込むことにより行うことができる。
前記口金は、一般的な樹脂ライナーで使用するものと同様で良く、例えば、特開平3−89098号公報に記載される口金等が使用できる。口金の種類は、ガスボンベの使用圧力に基づいて適宜決定されるが、材質は強度の点で金属が好ましく、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等が挙げられる。また、口金には、耐圧性を持たせるために通常フランジ部分を設ける。
【0017】
本発明のガスボンベの製造法は、前記調製工程又は口金取付け工程の後、前記ボンベ型成形体の外表面を実質的にガスバリア性の材料により被覆する第1の被覆工程を行う。
前記第1の被覆工程において、実質的にガスバリア性の材料とは、ガスが実質的に不透過である材料であって、ガスバリア性を有する樹脂材料、アルミニウム合金等が挙げられる。
【0018】
前記ガスバリア性を有する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
前記樹脂材料による被覆膜の厚さは、製造するガスボンベの使用圧力に基づいて適宜決定できるが、通常0.2〜5cm、好ましくは1〜2cmである。
【0019】
前記樹脂材料を用いて被覆する方法としては、例えば、射出成型法等が挙げられる。具体的には、前記ボンベ型成形体に前記樹脂材料の被覆膜の厚みを加えた内部空間を有する型枠に、前記ボンベ型成形体を入れた後、前記樹脂材料を注入し、該樹脂材料により被覆する方法により行うことができる。
ここで、被覆は、樹脂材料が熱可塑性樹脂の場合は、該樹脂の溶融体を前記ボンベ型成形体を入れた型枠に注入し、型枠を加熱硬化させることにより行うことができる。一方、樹脂材料が熱可塑性樹脂以外の樹脂の場合は、該樹脂の前駆体を前記ボンベ型成形体を入れた型枠に注入し、型枠を加熱硬化させることにより行うことができる。
前記樹脂材料による被覆を行う成型器は、ボンベ型成型体の口金については、フランジ部分だけを樹脂で被覆しうるように設計した成型器を用いることが好ましい。
【0020】
前記樹脂材料を用いて被覆する別の方法としては、熱収縮性樹脂の袋を用いて被覆する方法がある。例えば、ポリエチレン等の熱収縮性樹脂の袋により前記ボンベ型成型体を覆い、これに熱風を吹き付けることで、熱収縮性樹脂を収縮・硬化させて被覆する方法が挙げられる。
硬化した樹脂は、外表面に凹凸が生じる場合があるため、後工程で形成する繊維強化プラスチック(FRP)層の強度を保つためにも、表面を研磨して滑らかにするのが好ましい。
【0021】
前記アルミニウム合金を用いて被覆する方法としては、例えば、アルミニウム合金製の管を前記ボンベ成形体に被せ、両端を絞り込む方法等により行うことができる。アルミニウム合金の厚さは、製造するガスボンベの使用圧力に基づいて適宜決定されるが、通常0.1〜1cm、好ましくは0.2〜0.5cmである。ボンベ成型体の形状等によってはアルミニウム合金の管を絞り込んで成型するため、更に厚いアルミニウム合金を用いる場合があるが、通常3cm以内である。
【0022】
本発明のガスボンベの製造法は、前記第1の被覆工程においてガスバリア性の材料により被覆した外周をFRPにより被覆する第2の被覆工程を行う。
第2の被覆工程においてFRPによる外周被覆は、フィラメントワインディング法(FW法)等により行うことが好ましい。FW法は、マトリックス樹脂を含浸させた繊維(繊維束)を、回転する成形体に連続的に巻き付けた後、加熱により硬化成型する方法である。
該FW法には、使用する繊維に湿式でマトリックス樹脂を含浸しながら成形体に巻き付ける湿式FW法と、マトリックス樹脂を予め繊維トウに含浸してあるトウ状のプリプレグを成形体に巻き付ける乾式FW法とがあり、本発明の製造法にはいずれも採用できるが、製造の容易性、マトリックス樹脂量の制御性の点から、トウ状のプリプレグを用いた乾式FW法が好ましい。
FW法における巻き方は、ボンベ型成形体の形状と、該成形体の耐圧力に応じて、フープ巻き、ヘリカル巻き、インプレーン巻きを組み合わせた巻き方が好ましい。具体的な設計に関しては、例えば、日本複合材科学会編「複合材料ハンドブック」(P.863−874、1989年11月20日発行)を参照して行うことができる。
【0023】
前記繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等が挙げられるが、剛性及び軽量化の点から炭素繊維が好ましい。該炭素繊維の種類は、230〜490GPaのPAN系のものと、490〜950GPaのピッチ系のものがあるがいずれを用いても良い。この場合、ピッチ系のものは弾性が高いという特徴を有し、PAN系のものは引張強度が高いという特徴を有する。
前記マトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく挙げられる。該熱硬化性樹脂には、耐衝撃性、靭性を付与する目的で、ゴムや樹脂からなる微粒子を配合したり、あるいは該熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させたものを使用することもできる。
【0024】
本発明のガスボンベの製造法は、前記各工程を含んでおれば良いが、必要に応じて他の工程を含んでいても良く、例えば、前記第1及び第2の被覆工程に加えて他の被覆工程を含んでいても良い。
【0025】
本発明のガスボンベは、前述の本発明の製造法により得られる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベであって、炭素系ガス吸蔵材料を含むボンベ型成形体と、ガスバリア性の材料層及び強化繊維プラスチック層を有する前記ボンベ型成形体を被覆する被覆層と、ガス導入機構及びガス放出機構を備えた口金とを備える。
前記ボンベ型成形体は、前述の好ましい嵩密度を有するものが好ましい。また、被覆層としては、ガスバリア性の材料層及び強化繊維プラスチック層に加えて他の被覆層を有していても良い。更に、口金は、ガス導入機構及びガス放出機構の両者を備える口金でも、また両者を別個に備える口金であっても良い。
【0026】
本発明のガス貯蔵・放出方法は、前記ガスボンベの口金を、ガス導入管に接続し、該ガス導入管を通してガスを導入し、前記ガスボンベにガスを封入するガス貯蔵工程と、封入されたガスを放出するガス放出工程とを含む方法である。
ガスボンベにガスを導入する際のガス圧は、常圧以上が好ましい。
ガスの貯蔵及び放出は、室温下で行うことに限らず、適宜冷却や加熱を組合わせることもできる。例えば、ガスが水素の場合の貯蔵・放出の際の温度制御は、貯蔵・放出共に室温近傍、貯蔵は低温、放出は室温近傍、貯蔵は低温、放出は高温、貯蔵は室温近傍、放出は高温等の組合せが挙げられる。
ここで、室温近傍、低温、高温はそれぞれの操作時の温度に対する相対的な温度を意味するが、例えば、室温近傍とは0〜40℃、低温とは−196〜0℃、高温とは40〜100℃を好適な温度として設定することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のガスボンベの製造法は、炭素系ガス吸蔵材料が有する優れたガス吸蔵特性を十分発揮させ、実用的なガス吸蔵量が達成しうる炭素系ガス吸蔵材料の成形体を備え、耐圧性にも優れ、且つ安全性も期待しうる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベを簡便な方法で製造できるので、高圧ボンベの開口部から炭素系ガス吸蔵材料を充填する従来の方法では困難であった高密度充填となったガスボンベを容易に得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下本発明を実施例及び比較例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例 1
容量法で測定した水素吸蔵量が、室温、3MPaで0.4質量%である活性炭300gと、PVDF 30g及びアセトン150gを50℃で攪拌した。次いで、得られた混合物を、内径6cm、長さ20cmのボンベ型の型枠に加熱しながら注入した後、20Nの圧力をかけて1分間保持した。得られた成形物を型枠から取出し、真空乾燥器に入れて70℃で12時間乾燥し、続いて、研磨により表面形状を整えボンベ用口金を具備しうる形状を有するボンベ型成形体を調製した。得られた成形体の嵩密度は0.7g/mlであった。
得られたボンベ型成形体に口金を取付けた後、射出成型器に入れ、加熱溶融したポリエチレンを流し込み、ポリエチレン膜の被覆層を形成した。該被覆層の凹凸を除去するために表面研磨を行った。得られた被覆層の厚さは、1cm設定に対して実測値は0.9〜1.1cmであった。
次に、得られた樹脂被覆層を有するボンベ型成形体の外表面にFW法により、230GPaのPAN系炭素繊維にエポキシ樹脂を20質量%含浸したトウプリプレグを巻付けた。巻き方は、得られるボンベが10MPaの耐圧性を持つように有限要素法で設計し、プログラミングして行った。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.1MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は23.5リットルであった。比較のために、同容積のスチール製の中空ボンベを用意し、該中空ボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は16.1リットルに留まり、本発明のボンベの有効性が確認された。
【0029】
実施例 2
レゾルシノール300g、37%ホルムアルデヒド溶液450g、炭酸ナトリウム3g、純水1200gを混合し、内径8cm、長さ26cmのボンベ型形状の型枠に注入した後、室温で2日間、続いて60℃で12時間反応させてゲルの成型物を得た。得られたゲル成型物を型枠から取出し、70℃で10時間、真空加熱乾燥を行った。次いで、得られた乾燥物を炭化炉に入れて、5℃/分の速度で1000℃まで昇温した後、1000℃で4時間保持して炭化させた。表面は比較的滑らかであったが、炭化によって形状が変化したため、切削、研磨して直径6cm、長さ20cmのボンベ形状に仕上げ、ボンベ用口金を具備しうる形状のボンベ型成形体を得た。得られた成形体の嵩密度は0.6g/mlであった。
得られたボンベ型成形体に口金を取付けた後、射出成型器に入れ、加熱溶融したポリエチレンを流し込み、ポリエチレン膜の被覆層を形成した。該被覆層の凹凸を除去するために表面研磨を行った。得られた被覆層の厚さは、1cm設定に対して実測値は0.9〜1.1cmであった。
次に、得られた樹脂被覆層を有するボンベ型成形体の外表面にFW法により、230GPaのPAN系炭素繊維にエポキシ樹脂を20質量%含浸したトウプリプレグを巻付けた。巻き方は、得られるボンベが10MPaの耐圧性を持つように有限要素法で設計し、プログラミングして行った。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.1MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は25.3リットルであった。比較のために、同容積のスチール製の中空ボンベを用意し、該中空ボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は16.1リットルに留まり、本発明のボンベの有効性が確認された。
【0030】
実施例 3
容量法で測定した水素吸蔵量が、室温、3MPaで0.5質量%である単層カーボンナノチューブ200gに、アセトン100gを加えて攪拌し、金網に敷いたろ紙の上に膜状に塗布した。これを均等な厚さになるように丸棒でならし、一晩放置して乾燥させた。乾燥後のカーボンナノチューブはシート状になっており、該シートを丸めて、直径6cm、長さ20cm程度の円柱状の塊を得た。更に完全にアセトンを除去するために、真空乾燥器に入れて70℃で12時間乾燥した後、表面研磨してボンベ形状の成形体を調製した。得られた成形体の嵩密度を測定したところ0.5g/mlであった。
得られたボンベ型成形体に口金を取付けた後、内径6cm、長さ23cm、厚さ0.3cmの片側が閉じたアルミニウム管をかぶせ、管の開放端を絞り込んで口金に密着させ鑞付けした。
次に、得られたアルミニウム合金被覆層を有するボンベ型成形体の外表面にFW法により、230GPaのPAN系炭素繊維にエポキシ樹脂を20質量%含浸したトウプリプレグを巻付けた。巻き方は、得られるボンベが35MPaの耐圧性を持つように有限要素法で設計し、プログラミングして行った。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.1MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は24.8リットルであった。比較のために、同容積のアルミニウム合金製の中空ボンベを用意し、該中空ボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は16.1リットルに留まり、本発明のボンベの有効性が確認された。
【0031】
比較例 1
容量法で測定した水素吸蔵量が、室温、3MPaで0.4質量%である活性炭を、内径6cm、長さ20cmのスチール製の中空ボンベの開口部から充填したところ、107g詰め込むことができた。ただし、口金のネジ部は活性炭で汚染されたため、布で拭き取ったが、全て除去することは困難であった。得られたボンベにバルブを取付け、水素貯蔵ボンベを得た。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.7MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は19.5リットルであった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素等の燃料ガスを、高効率で、安全に貯蔵することができる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベ、その製造法及び該ボンベを用いたガス貯蔵・放出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の動力源として現在はガソリン、軽油を燃料とするエンジンが主流となっている。しかし、CO2排出など環境負荷の点では課題も多く、将来的には燃料電池自動車に徐々に置き換わっていくとされる。現在、35MPaの中空のガスボンベを搭載した燃料電池自動車が既に市場に出ているが、一般に普及させるには価格、走行距離など克服すべき課題が多い。例えば、走行距離を実用レベルにするには、70MPa程度の超高圧に耐えうる中空のガスボンベが必要とされるが、安全性やガス導入性等の点で実用には至っていない。
そこで、中空ボンベの超高圧化を避ける手段として、例えば、水素等のガス吸蔵量が高く、しかも、従来提案されているLaNi合金等の水素吸蔵合金に比して軽量な、カーボンナノチューブ、カーボンエアロゲル、活性炭等の炭素系ガス吸蔵材料が脚光を浴びている。前記炭素系ガス吸蔵材料は、通常、スチールやアルミニウム合金等の耐圧製のボンベに充填して使用する方法が提案されている。
しかし、前記炭素系ガス吸蔵材料は、嵩密度が低いため等により高密度充填が困難である。また、炭素系ガス吸蔵材料を充填する高圧ガスボンベは、通常、ガス導入機構を備える口金を備えるが、炭素系ガス吸蔵材料を無理に高密度充填しようとすると、ボンベと前記口金に無理な力が加わり、更には口金のネジ部分が炭素質で汚染されてネジの締め付けに支障をきたす等の懸念が生じる。
従って、炭素系ガス吸蔵材料は、その優れたガス吸蔵特性を有するにもかかわらず、ボンベへの充填率には限界があり、実用的なガス吸蔵量が得れら難い状況にある。
そこで、最近、体積密度の高いカルボン酸金属錯体からなるメタンガス吸蔵材料や、炭素系材料を多孔質体に充填した水素吸蔵体が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、従来、炭素系ガス吸蔵材料自体が有する優れたガス吸蔵特性を、ボンベの製造法を改良することによって有効に引出し、実用化する技術については提案されていない。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−309592号公報
【特許文献2】
特開2000−281324号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、炭素系ガス吸蔵材料が有する優れたガス吸蔵特性を十分発揮させ、実用的なガス吸蔵量が達成しうる炭素系ガス吸蔵材料の成形体を備え、耐圧性にも優れ、且つ安全性も期待しうる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベ、並びに該ボンベを簡便な方法で製造しうるガスボンベの製造法を提供することにある。
本発明の別の目的は、水素等のガスを高吸蔵率で、しかも安定して貯蔵、放出することができるガス貯蔵・放出方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、炭素系ガス吸蔵材料を、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状に成形加工するボンベ型成形体の調製工程と、ボンベ型成形体にボンベ用口金を取付ける口金取付け工程と、該ボンベ型成形体の外表面を実質的にガスバリア性の材料により被覆する第1の被覆工程と、ガスバリア性の材料により被覆した外表面を繊維強化プラスチックにより被覆する第2の被覆工程とを含むことを特徴とするガスボンベの製造法が提供される。
また本発明によれば、上記製造法により得られるガスボンベであって、炭素系ガス吸蔵材料を含むボンベ型成形体と、ガスバリア性の材料層及び強化繊維プラスチック層を有する前記ボンベ型成形体を被覆する被覆層と、ガス導入機構及びガス放出機構を備えた口金とを備えることを特徴とするガスボンベが提供される。
更に本発明によれば、上記ガスボンベの口金を、ガス導入管に接続し、該ガス導入管を通してガスを導入し、前記ガスボンベにガスを封入するガス貯蔵工程と、封入されたガスを放出するガス放出工程とを含むことを特徴とするガス貯蔵・放出方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のガスボンベの製造法は、まず、炭素系ガス吸蔵材料を、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状に成形加工するボンベ型成形体の調製工程を行う。
前記調製工程に用いる炭素系ガス吸蔵材料は、軽量で、単位質量当りの水素等のガス吸蔵量が大きい炭素を含むガス吸蔵材料であれば良く、例えば、活性炭、活性炭素繊維、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、カーボンクライオゲル、カーボンキセロゲル、膨張炭素繊維、黒鉛層開化合物、天然物焼成炭等が挙げられる。
前記黒鉛層開化合物としては、例えば、黒鉛−Li、黒鉛−Na、黒鉛−K、黒鉛−Rb、黒鉛−Cs、黒鉛−Ca、黒鉛−Sr、黒鉛−Ba、黒鉛−HNO3、黒鉛−H2SO4、黒鉛−HClO4、黒鉛−F、黒鉛酸等が挙げられる。
【0007】
前記炭素系ガス吸蔵材料のガス吸蔵量は、吸蔵するガスが水素の場合、30℃、3MPaにおいて、通常0.2〜2質量%であり、好ましくは0.5〜2質量%である。0.2質量%未満では水素貯蔵ボンベとしての能力が低くなるため好ましくない。また水素吸蔵量は高いほど良いが、通常、2質量%を超える炭素系水素吸蔵材料の入手が困難である。
前記炭素系ガス吸蔵材料のガス吸蔵量は、容量法により測定することができる。測定の際の留意点は、例えば、「炭素」2002[No.205]p.231−237(炭素材料学会発行)に記載されている留意点が挙げられる。
前記炭素系ガス吸蔵材料は、公知の方法等に準じて製造することができる他、市販品を用いることもできる。
【0008】
前記調製工程において、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状とは、具体的形状を意味するものではなく、ガス導入機構を備えたボンベ用口金を装着することが可能なフランジ形状の凹部を少なくとも1箇所有し、且つボンベ機能を具備しうる形状であれば、いかなる形状であってもよいことを意味する。
【0009】
前記調製工程において成形加工は、例えば、加圧成型法、加熱成型法等が採用できる。
前記加圧成型又は加熱成型は、例えば、ボンベ型形状を有する型枠、即ち、型枠内部形状が所望のボンベ型形状である型枠を用いて行うことができる。型枠としては、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状を有する型枠であっても、また、ボンベ用口金を具備していないボンベ型形状を有する型枠のいずれであっても良い。該ボンベ用口金を具備していないボンベ型形状を有する型枠を用いる場合には、加圧成型後又は加熱成型後等にボンベ用口金を具備しうる凹部形状を成型物の少なくとも一方の端にフランジ形状の凹部を設ける切削等の加工を行うことができる。該ボンベ型形状としては、例えば、円柱の両端側にドーム部を有する形状が挙げられる。
【0010】
前記加圧成型のための型枠に導入する原材料は、前記炭素系ガス吸蔵材料を含み、必要によりバインダー、溶剤等を含む原材料が挙げられる。バインダー及び/又は溶剤等の使用は、炭素系ガス吸蔵材料の種類や加圧条件等に応じて適宜選択することができる。
前記バインダーとしては、通常、樹脂材料が使用でき、例えば、PVDF、PTFE、カルボキシメチルセルロース又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
前記溶剤としては、例えば、水、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、N−メチルピロリドン又はこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
前記バインダー及び溶剤の混合割合は、炭素系水素吸蔵材料の種類によるが、炭素系水素吸蔵材料100質量部に対して、バインダー0〜30質量部、溶剤0〜150質量部の割合が好ましい。バインダーの混合割合が多いほど形状は安定するが、ガス貯蔵量の点では少ないほど良い。
【0011】
前記加圧成型の圧力条件としては、例えば、10〜20N程度で1分間程度保持する条件であれば良く、好ましくは、得られる成型物の嵩密度が0.2〜2.1g/mlとなる条件を原材料の内容に応じて決定することが好ましい。
加圧成型により得られた成型物は、型枠から取出して乾燥させる。乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、真空加熱乾燥等が挙げられるが、真空加熱乾燥が好ましい。乾燥条件は、例えば、真空ポンプで減圧にした状態で、好ましくは40〜170℃、より好ましくは70〜120℃の温度で10〜15時間程度の条件で行うことができる。
【0012】
前記加熱成型は、炭素系ガス吸蔵材料としてカーボンエアロゲル、カーボンクライオゲル、カーボンキセロゲル等のゲルを用いる場合に行うことができる。例えば、前記型枠にゲル前駆体を導入して加熱成型した後、ゲル成型体を取り出して乾燥を行い、その後、乾燥ゲルを焼成炉により焼成することにより行うことができる。
前記ゲル前駆体としては、例えば、レゾルシノール、ホルムアルデヒド溶液、炭酸ナトリウム及び水の混合物等が挙げられる。前記ゲル前駆体における各成分の混合割合は、レゾルシノール100質量部に対して、37%ホルムアルデヒド溶液140〜150質量部、炭酸ナトリウム0.1〜2質量部%、水100〜600質量部程度が好ましい。
【0013】
ゲル前駆体の成型硬化条件は、通常、室温で2日間程度、更に60〜80℃で12時間程度が好ましい。ゲル成型体の乾燥は、超臨界乾燥、凍結乾燥、真空加熱乾燥、自然乾燥等が挙げられるが、乾燥効率の点で真空加熱乾燥が好ましい。該乾燥条件は、真空ポンプで減圧にした状態で、70〜120℃の温度で10〜15時間程度が好ましい。前記乾燥ゲルの焼成条件は、5℃/分程度の昇温速度で1000℃まで昇温した後、1000℃で4時間程度保持する条件が好ましい。
【0014】
前記調製工程における成形加工は、前記加圧成型又は加熱成型の他に、炭素系ガス吸蔵材料の種類によっては、溶剤を含む原材料をろ過し、シート状に成形した後、該シートを丸めてボンベ形状に成形する方法によっても行うことができる。例えば、炭素系ガス吸蔵材料がカーボンナノチューブの場合、アセトン等の溶剤を加え、シート状にした後、該シートをボンベ形状に成形加工し真空加熱乾燥する方法が挙げられる。この際、ボンベ形状に成形加工した成形体は、端部や表面等の形状に乱れが生じることがあるが、この場合は表面を研磨して表面処理することが好ましい。該研磨は、例えば、サンドペーパー等を用いて行うことができる。
【0015】
前記調製工程により得られるボンベ型成形体の嵩密度は、通常0.2〜2.1g/ml、好ましくは0.5〜2.1g/mlである。0.2g/ml未満ではガス吸蔵量の増大効果が小さく、2.1g/mlを超えると成形体への水素拡散が著しく小さくなったり、水素吸蔵材料の内部構造崩壊を招く恐れがあるので好ましくない。
【0016】
本発明のガスボンベの製造法は、前記調製工程で成形加工したボンベ型成形体にボンベ用口金を取付ける口金取付け工程を行う。
前記口金取付け工程は、前記調製工程の直後に行うことができる他、後述する被覆工程後に行うこともできる。口金の取付けは、前記ボンベ型成形体に設けられている少なくとも1つのボンベ用口金を具備しうる凹部に、口金のフランジ部分を埋め込むことにより行うことができる。
前記口金は、一般的な樹脂ライナーで使用するものと同様で良く、例えば、特開平3−89098号公報に記載される口金等が使用できる。口金の種類は、ガスボンベの使用圧力に基づいて適宜決定されるが、材質は強度の点で金属が好ましく、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン等が挙げられる。また、口金には、耐圧性を持たせるために通常フランジ部分を設ける。
【0017】
本発明のガスボンベの製造法は、前記調製工程又は口金取付け工程の後、前記ボンベ型成形体の外表面を実質的にガスバリア性の材料により被覆する第1の被覆工程を行う。
前記第1の被覆工程において、実質的にガスバリア性の材料とは、ガスが実質的に不透過である材料であって、ガスバリア性を有する樹脂材料、アルミニウム合金等が挙げられる。
【0018】
前記ガスバリア性を有する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
前記樹脂材料による被覆膜の厚さは、製造するガスボンベの使用圧力に基づいて適宜決定できるが、通常0.2〜5cm、好ましくは1〜2cmである。
【0019】
前記樹脂材料を用いて被覆する方法としては、例えば、射出成型法等が挙げられる。具体的には、前記ボンベ型成形体に前記樹脂材料の被覆膜の厚みを加えた内部空間を有する型枠に、前記ボンベ型成形体を入れた後、前記樹脂材料を注入し、該樹脂材料により被覆する方法により行うことができる。
ここで、被覆は、樹脂材料が熱可塑性樹脂の場合は、該樹脂の溶融体を前記ボンベ型成形体を入れた型枠に注入し、型枠を加熱硬化させることにより行うことができる。一方、樹脂材料が熱可塑性樹脂以外の樹脂の場合は、該樹脂の前駆体を前記ボンベ型成形体を入れた型枠に注入し、型枠を加熱硬化させることにより行うことができる。
前記樹脂材料による被覆を行う成型器は、ボンベ型成型体の口金については、フランジ部分だけを樹脂で被覆しうるように設計した成型器を用いることが好ましい。
【0020】
前記樹脂材料を用いて被覆する別の方法としては、熱収縮性樹脂の袋を用いて被覆する方法がある。例えば、ポリエチレン等の熱収縮性樹脂の袋により前記ボンベ型成型体を覆い、これに熱風を吹き付けることで、熱収縮性樹脂を収縮・硬化させて被覆する方法が挙げられる。
硬化した樹脂は、外表面に凹凸が生じる場合があるため、後工程で形成する繊維強化プラスチック(FRP)層の強度を保つためにも、表面を研磨して滑らかにするのが好ましい。
【0021】
前記アルミニウム合金を用いて被覆する方法としては、例えば、アルミニウム合金製の管を前記ボンベ成形体に被せ、両端を絞り込む方法等により行うことができる。アルミニウム合金の厚さは、製造するガスボンベの使用圧力に基づいて適宜決定されるが、通常0.1〜1cm、好ましくは0.2〜0.5cmである。ボンベ成型体の形状等によってはアルミニウム合金の管を絞り込んで成型するため、更に厚いアルミニウム合金を用いる場合があるが、通常3cm以内である。
【0022】
本発明のガスボンベの製造法は、前記第1の被覆工程においてガスバリア性の材料により被覆した外周をFRPにより被覆する第2の被覆工程を行う。
第2の被覆工程においてFRPによる外周被覆は、フィラメントワインディング法(FW法)等により行うことが好ましい。FW法は、マトリックス樹脂を含浸させた繊維(繊維束)を、回転する成形体に連続的に巻き付けた後、加熱により硬化成型する方法である。
該FW法には、使用する繊維に湿式でマトリックス樹脂を含浸しながら成形体に巻き付ける湿式FW法と、マトリックス樹脂を予め繊維トウに含浸してあるトウ状のプリプレグを成形体に巻き付ける乾式FW法とがあり、本発明の製造法にはいずれも採用できるが、製造の容易性、マトリックス樹脂量の制御性の点から、トウ状のプリプレグを用いた乾式FW法が好ましい。
FW法における巻き方は、ボンベ型成形体の形状と、該成形体の耐圧力に応じて、フープ巻き、ヘリカル巻き、インプレーン巻きを組み合わせた巻き方が好ましい。具体的な設計に関しては、例えば、日本複合材科学会編「複合材料ハンドブック」(P.863−874、1989年11月20日発行)を参照して行うことができる。
【0023】
前記繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維等が挙げられるが、剛性及び軽量化の点から炭素繊維が好ましい。該炭素繊維の種類は、230〜490GPaのPAN系のものと、490〜950GPaのピッチ系のものがあるがいずれを用いても良い。この場合、ピッチ系のものは弾性が高いという特徴を有し、PAN系のものは引張強度が高いという特徴を有する。
前記マトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく挙げられる。該熱硬化性樹脂には、耐衝撃性、靭性を付与する目的で、ゴムや樹脂からなる微粒子を配合したり、あるいは該熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させたものを使用することもできる。
【0024】
本発明のガスボンベの製造法は、前記各工程を含んでおれば良いが、必要に応じて他の工程を含んでいても良く、例えば、前記第1及び第2の被覆工程に加えて他の被覆工程を含んでいても良い。
【0025】
本発明のガスボンベは、前述の本発明の製造法により得られる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベであって、炭素系ガス吸蔵材料を含むボンベ型成形体と、ガスバリア性の材料層及び強化繊維プラスチック層を有する前記ボンベ型成形体を被覆する被覆層と、ガス導入機構及びガス放出機構を備えた口金とを備える。
前記ボンベ型成形体は、前述の好ましい嵩密度を有するものが好ましい。また、被覆層としては、ガスバリア性の材料層及び強化繊維プラスチック層に加えて他の被覆層を有していても良い。更に、口金は、ガス導入機構及びガス放出機構の両者を備える口金でも、また両者を別個に備える口金であっても良い。
【0026】
本発明のガス貯蔵・放出方法は、前記ガスボンベの口金を、ガス導入管に接続し、該ガス導入管を通してガスを導入し、前記ガスボンベにガスを封入するガス貯蔵工程と、封入されたガスを放出するガス放出工程とを含む方法である。
ガスボンベにガスを導入する際のガス圧は、常圧以上が好ましい。
ガスの貯蔵及び放出は、室温下で行うことに限らず、適宜冷却や加熱を組合わせることもできる。例えば、ガスが水素の場合の貯蔵・放出の際の温度制御は、貯蔵・放出共に室温近傍、貯蔵は低温、放出は室温近傍、貯蔵は低温、放出は高温、貯蔵は室温近傍、放出は高温等の組合せが挙げられる。
ここで、室温近傍、低温、高温はそれぞれの操作時の温度に対する相対的な温度を意味するが、例えば、室温近傍とは0〜40℃、低温とは−196〜0℃、高温とは40〜100℃を好適な温度として設定することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のガスボンベの製造法は、炭素系ガス吸蔵材料が有する優れたガス吸蔵特性を十分発揮させ、実用的なガス吸蔵量が達成しうる炭素系ガス吸蔵材料の成形体を備え、耐圧性にも優れ、且つ安全性も期待しうる水素貯蔵ボンベ等のガスボンベを簡便な方法で製造できるので、高圧ボンベの開口部から炭素系ガス吸蔵材料を充填する従来の方法では困難であった高密度充填となったガスボンベを容易に得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下本発明を実施例及び比較例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例 1
容量法で測定した水素吸蔵量が、室温、3MPaで0.4質量%である活性炭300gと、PVDF 30g及びアセトン150gを50℃で攪拌した。次いで、得られた混合物を、内径6cm、長さ20cmのボンベ型の型枠に加熱しながら注入した後、20Nの圧力をかけて1分間保持した。得られた成形物を型枠から取出し、真空乾燥器に入れて70℃で12時間乾燥し、続いて、研磨により表面形状を整えボンベ用口金を具備しうる形状を有するボンベ型成形体を調製した。得られた成形体の嵩密度は0.7g/mlであった。
得られたボンベ型成形体に口金を取付けた後、射出成型器に入れ、加熱溶融したポリエチレンを流し込み、ポリエチレン膜の被覆層を形成した。該被覆層の凹凸を除去するために表面研磨を行った。得られた被覆層の厚さは、1cm設定に対して実測値は0.9〜1.1cmであった。
次に、得られた樹脂被覆層を有するボンベ型成形体の外表面にFW法により、230GPaのPAN系炭素繊維にエポキシ樹脂を20質量%含浸したトウプリプレグを巻付けた。巻き方は、得られるボンベが10MPaの耐圧性を持つように有限要素法で設計し、プログラミングして行った。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.1MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は23.5リットルであった。比較のために、同容積のスチール製の中空ボンベを用意し、該中空ボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は16.1リットルに留まり、本発明のボンベの有効性が確認された。
【0029】
実施例 2
レゾルシノール300g、37%ホルムアルデヒド溶液450g、炭酸ナトリウム3g、純水1200gを混合し、内径8cm、長さ26cmのボンベ型形状の型枠に注入した後、室温で2日間、続いて60℃で12時間反応させてゲルの成型物を得た。得られたゲル成型物を型枠から取出し、70℃で10時間、真空加熱乾燥を行った。次いで、得られた乾燥物を炭化炉に入れて、5℃/分の速度で1000℃まで昇温した後、1000℃で4時間保持して炭化させた。表面は比較的滑らかであったが、炭化によって形状が変化したため、切削、研磨して直径6cm、長さ20cmのボンベ形状に仕上げ、ボンベ用口金を具備しうる形状のボンベ型成形体を得た。得られた成形体の嵩密度は0.6g/mlであった。
得られたボンベ型成形体に口金を取付けた後、射出成型器に入れ、加熱溶融したポリエチレンを流し込み、ポリエチレン膜の被覆層を形成した。該被覆層の凹凸を除去するために表面研磨を行った。得られた被覆層の厚さは、1cm設定に対して実測値は0.9〜1.1cmであった。
次に、得られた樹脂被覆層を有するボンベ型成形体の外表面にFW法により、230GPaのPAN系炭素繊維にエポキシ樹脂を20質量%含浸したトウプリプレグを巻付けた。巻き方は、得られるボンベが10MPaの耐圧性を持つように有限要素法で設計し、プログラミングして行った。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.1MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は25.3リットルであった。比較のために、同容積のスチール製の中空ボンベを用意し、該中空ボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は16.1リットルに留まり、本発明のボンベの有効性が確認された。
【0030】
実施例 3
容量法で測定した水素吸蔵量が、室温、3MPaで0.5質量%である単層カーボンナノチューブ200gに、アセトン100gを加えて攪拌し、金網に敷いたろ紙の上に膜状に塗布した。これを均等な厚さになるように丸棒でならし、一晩放置して乾燥させた。乾燥後のカーボンナノチューブはシート状になっており、該シートを丸めて、直径6cm、長さ20cm程度の円柱状の塊を得た。更に完全にアセトンを除去するために、真空乾燥器に入れて70℃で12時間乾燥した後、表面研磨してボンベ形状の成形体を調製した。得られた成形体の嵩密度を測定したところ0.5g/mlであった。
得られたボンベ型成形体に口金を取付けた後、内径6cm、長さ23cm、厚さ0.3cmの片側が閉じたアルミニウム管をかぶせ、管の開放端を絞り込んで口金に密着させ鑞付けした。
次に、得られたアルミニウム合金被覆層を有するボンベ型成形体の外表面にFW法により、230GPaのPAN系炭素繊維にエポキシ樹脂を20質量%含浸したトウプリプレグを巻付けた。巻き方は、得られるボンベが35MPaの耐圧性を持つように有限要素法で設計し、プログラミングして行った。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.1MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は24.8リットルであった。比較のために、同容積のアルミニウム合金製の中空ボンベを用意し、該中空ボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は16.1リットルに留まり、本発明のボンベの有効性が確認された。
【0031】
比較例 1
容量法で測定した水素吸蔵量が、室温、3MPaで0.4質量%である活性炭を、内径6cm、長さ20cmのスチール製の中空ボンベの開口部から充填したところ、107g詰め込むことができた。ただし、口金のネジ部は活性炭で汚染されたため、布で拭き取ったが、全て除去することは困難であった。得られたボンベにバルブを取付け、水素貯蔵ボンベを得た。
得られたボンベの気密性を確認するために、水素を3MPaの圧力で充填して7日間放置し、圧力低下を測定した。その結果、圧力低下は0.7MPa以下であった。
また、ボンベの水素貯蔵量を測定するために、得られたボンベに水素を3MPaで充填した後に水素放出量を測定した。その結果、水素放出量は19.5リットルであった。
Claims (9)
- 炭素系ガス吸蔵材料を、ボンベ用口金を具備しうるボンベ型形状に成形加工するボンベ型成形体の調製工程と、ボンベ型成形体にボンベ用口金を取付ける口金取付け工程と、該ボンベ型成形体の外表面を実質的にガスバリア性の材料により被覆する第1の被覆工程と、ガスバリア性の材料により被覆した外表面を繊維強化プラスチックにより被覆する第2の被覆工程とを含むことを特徴とするガスボンベの製造法。
- ガスバリア性の材料が、ガスバリア性を有する樹脂材料又はアルミニウム合金である請求項1記載の製造法。
- 炭素系ガス吸蔵材料が、30℃、3MPaにおいて0.2〜2質量%のガス吸蔵量を有する炭素系材料である請求項1又は2記載の製造法。
- 炭素系ガス吸蔵材料が、水素を吸蔵する炭素系材料である請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
- ボンベ型成形体の調製工程において炭素系ガス吸蔵材料の成形加工を、ボンベ型形状を有する型枠に、炭素系ガス吸蔵材料及びバインダーを含む原材料を導入し、加圧成型することにより実施する請求項1〜4のいずれか1項記載の製造法。
- ボンベ型成形体の調製工程において炭素系ガス吸蔵材料の成形加工を、得られるボンベ型成形体の嵩密度が0.2〜2.1g/mlとなる条件により実施する請求項1〜5のいずれか1項記載の製造法。
- 請求項1〜6のいずれか1項記載の製造法により得られるガスボンベであって、炭素系ガス吸蔵材料を含むボンベ型成形体と、ガスバリア性の材料層及び強化繊維プラスチック層を有する前記ボンベ型成形体を被覆する被覆層と、ガス導入機構及びガス放出機構を備えた口金とを備えることを特徴とするガスボンベ。
- 請求項7記載のガスボンベの口金を、ガス導入管に接続し、該ガス導入管を通してガスを導入し、前記ガスボンベにガスを封入するガス貯蔵工程と、封入されたガスを放出するガス放出工程とを含むことを特徴とするガス貯蔵・放出方法。
- ガスが、水素である請求項8記載の貯蔵・放出方法。
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