JP2002340291A - 天然ガス自動車の高圧ガス用扁平複合容器およびその製造方法 - Google Patents

天然ガス自動車の高圧ガス用扁平複合容器およびその製造方法

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JP2002340291A
JP2002340291A JP2001144063A JP2001144063A JP2002340291A JP 2002340291 A JP2002340291 A JP 2002340291A JP 2001144063 A JP2001144063 A JP 2001144063A JP 2001144063 A JP2001144063 A JP 2001144063A JP 2002340291 A JP2002340291 A JP 2002340291A
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liner
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resin
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Katsuo Takano
勝雄 高野
Taketoshi Kawakami
武利 川上
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Umetoku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の円筒形の複合圧力容器と同様に軽量で耐
圧性の高い、天然ガス自動車の燃料装置用扁平複合容器
を提供する。 【解決手段】金属製又はプラスチック製ライナーの外周
を繊維強化プラスチック層で補強した複合容器であっ
て、ライナー胴部の長手方向に直角な断面が丸みを帯び
た軸対象の扁平な形状を有する高圧ガス用扁平複合容
器。また、ライナー胴部断面外寸の長軸長さを短軸長さ
の1.3〜2.5倍とする。さらに、繊維強化プラスチ
ック層を、フープ巻きとヘリカル巻き及び/又はインプ
レーン巻きとを組み合せたフィラメントワインディング
法により形成し、フープ巻きで形成された強化繊維層厚
を全強化繊維層厚の50〜75%とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガス自動車の
燃料タンクとして用いられる高圧ガス用複合容器に関
し、とくに車体の空きスペースを有効に利用するための
扁平な複合容器とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化防止のための二酸化炭
素(CO2)削減や大気汚染防止対策として、自動車の
クリーンエネルギー化への要請が高まっている。クリー
ンエネルギー自動車の一つとして、電気自動車とともに
天然ガス自動車の普及が急務とされ、我国でも2010
年迄に、100万台程度に天然ガス自動車を普及させる
ことが、一つの目標として掲げられている。
【0003】天然ガス自動車燃料装置用の圧縮天然ガス
容器(以下「CNG容器」という)は、その充填圧力が
200kgf/cm2(20MPa)以上にも及ぶた
め、きわめて高い耐圧性を必要とすると共に、燃比向
上、積載重量増のため軽量化が要求される。また、現行
の国内規格では充填圧力が20MPaであるが、将来米
国カルフォルニア州等と同様に、これが25MPaに高
められる可能性があり、より一層の高強度化が望まれて
いる。
【0004】CNG容器を軽量・高強度化するために、
金属製の容器本体(ライナー)を薄肉化し、繊維強化プ
ラスチック(FRP)で補強したFRP複合圧力容器の
開発と実用化が進められており、この複合容器は、通常
樹脂を含浸させた連続繊維を集合させた束(ロービン
グ)を金属製ライナーの外周に巻き付ける、フィラメン
トワインディング法により製作される。
【0005】一方、かかるCNG容器は、耐圧構造上一
般には円筒形のものが用いられる。しかし、コンパクト
な車体内に、大型の円筒形容器を収容する空間を確保す
ることが難しい場合が多い。そのため、通常は複数の小
径(ライナー外径約200mm以下)の円筒容器に分割
した分割型のCNG容器が用いられる。かかる分割型容
器は、容器自体の製作費が割高な上、その取付けの工数
も大きく、かつ燃料の充填・抜き出しに集合装置を必要
とするため、燃料系の設備がコスト高になるなどの問題
を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した自動車のクリ
ーンエネルギー化の要請はますます強まると考えられ、
近年では、四輪車のみならず二輪車においても、天然ガ
ス等によるクリーンエネルギー化の可能性が検討される
ようになってきた。
【0007】しかし、二輪車の場合は、CNG容器を設
置する空きスペースを確保するのがさらに難しいという
問題がある。例えばスクーターの場合、現状ではガソリ
ンタンクがステップ部の下側に設置されることが多い
が、この部分はきわめて高さの低い空間である。一般に
はこの部分に円筒形のCNG容器を収容することは困難
であり、分割型の容器を用いても、空間の利用効率が低
いためCNG容器の容量がきわめて制限されたものにな
ると予想される。
【0008】したがって、扁平なCNG容器を用いるこ
とができれば、空間の利用効率も高くなり、設備コスト
も低減される。また、積載燃料が増量され、課題とされ
ている走行距離の延長にも役立ち、二輪車のみならず四
輪車のクリーンエネルギー化の推進にも大きく貢献する
と考えられる。しかし、かかる扁平な複合圧力容器は、
設計・製作上種々の問題があると予想され、未だ実用化
されていない。
【0009】そこで本発明は、従来の円筒形の複合圧力
容器と同様に軽量で耐圧性の高い、天然ガス自動車の高
圧ガス用扁平複合容器とその製造方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の扁平複合容器は、金属製又はプラスチック製
ライナーの外周を繊維強化プラスチック層で補強した複
合容器であって、前記ライナー胴部の長手方向に直角な
断面が丸みを帯びた軸対象の扁平な形状を有することを
特徴とする天然ガス自動車の高圧ガス用扁平複合容器で
ある。
【0011】この容器においては、非加圧時における前
記ライナー胴部断面外寸の長軸長さが短軸長さの1.3
〜2.5倍であることが好ましい。
【0012】また、前記繊維強化プラスチック層が、フ
ープ巻きとヘリカル巻き及び/又はインプレーン巻きと
を組み合せたフィラメントワインディング法により形成
され、フープ巻きで形成された強化繊維層厚が全強化繊
維層厚の50〜75%であることが好ましい。
【0013】本発明の扁平複合容器の製造方法は、上記
のいずれかの複合容器の製造方法であって、ライナーを
所定の形状に成形する工程と、次いで、強化繊維と同種
又は類似種の繊維を束ねて編んだ筒状組紐(ブレイド)
又はシート状織物(クロス)に樹脂を含浸させたもの
を、あるいは予め樹脂が含浸されているシート状プリプ
レグを、前記ライナーの少くとも頭部側及び底部側の肩
部を含む表面の一部又は全部に貼り付けて滑り防止層を
形成する工程と、次いで、その表面に樹脂を含浸させた
強化繊維をフィラメントワインディング法により巻き付
けて繊維強化プラスチック層を形成する工程と、次い
で、硬化炉内にて又は赤外線等により輻射加熱して、前
記繊維強化プラスチック層の樹脂を硬化させる工程とを
有することを特徴とする天然ガス自動車の高圧ガス用扁
平複合容器の製造方法である。
【0014】なお、本発明における天然ガス自動車は、
天然ガスを主燃料とする二輪車、三輪車及び四輪以上の
車輌の全てを含むものである。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施例である扁
平複合容器の断面概要図である。この複合容器は、金属
製ライナー1の外周に繊維強化プラスチック層(以下、
「FRP層」という)2が形成されてなるもので、ライ
ナー1の胴部(断面形状が略同一の部分)が扁平な形状
であることが特徴である。
【0016】ライナー1の胴部断面(長手方向又は軸方
向に直角な断面)は、丸みを帯びた(角張っていない)
軸対象の形状で、その幅Wが高さwよりも大きい扁平な
形状であればよく、図1に示すような中央に平行部を有
し両側が円弧状の形状でもよく、この平行部が所定の曲
率(例えば幅Wの2倍以上の曲率半径)で外側に湾曲し
たような形状であってもよい。また、両側の円弧は厳密
に円弧状である必要はなく、例えば断面が略楕円状であ
ってもよい。
【0017】本発明において、ライナー1はスチール、
ステンレス鋼、アルミニウム又はその合金、チタン又は
その合金等の金属材料から成るものでよく、或いは所定
の強度を有するプラスチックを用いてもよい。
【0018】FRP層2は、所定の形状に成形したライ
ナー1の外周に、通常はフィラメントワインディング法
(以下「FW法」という)により樹脂を含浸させた強化
繊維を集合させた束(ロービング)を所定の厚みに巻き
付けて形成される。FRP層2の強化繊維には、各種の
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等を単体又は組合
せて用い、FRP層2の樹脂としては、エポキシ樹脂、
変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル
樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0019】本発明において、ライナーの扁平度(ライ
ナー胴部断面外寸の長軸長さ/短軸長さの比)は1.3
〜2.5であることが好ましい。本発明者らは、図1に
示すような複合容器の加圧時の応力分布、破裂圧力、繰
返し応力を受けた時の残留歪等について有限要素法によ
る解析を行った。その結果、ライナーの扁平度が2.5
を超えると、残留歪がかなり急激に大きくなりかつ曲げ
変形を生じ易く、比較的低い圧力で容器の破裂が起こる
可能性があることを知見した。一方、高さの低い空間を
効率良く利用するという観点からは、ライナーの扁平度
は1.3以上であることが好ましいため、扁平度は1.
3〜2.5の範囲とする。
【0020】FW法におけるロービングの巻付け方式の
代表的なものとして、図2(a)に示すフープ巻き、図2
(b)に示すヘリカル巻き及び図2(c)に示すインプレー
ン巻きの3形式が挙げられる。フープ巻きは主に軸に直
角な方向の応力(以下「周方向応力」という)に対し有
効であり、インプレーン巻きは主に軸に平行な方向の応
力(以下「軸方向応力」という)に対し有効である。
【0021】また、ヘリカル巻きはその配向角(巻き角
度)により、軸方向応力に対する強度と周方向応力に対
する強度を適当に選択することができ、両方向の応力に
対してバランスの良い強度にすることができる。なお、
最もよく使われるのは、フープ巻きとヘリカル巻きで、
必要に応じてインプレーン巻きも併用される。
【0022】本発明者らの知見によれば、扁平容器で
は、周方向応力及び軸方向応力ともに、同一圧力下の円
筒形容器よりも大きくなる可能性がある。したがって、
本発明の扁平複合容器においては、FRP層2を、フー
プ巻きとヘリカル巻き及び/又はインプレーン巻きとを
組み合せたFW法により形成し、円筒形複合容器と同一
ライナー厚みに対し、FRP層を厚くすることが望まし
い。
【0023】ライナー頭部、底部の肉厚を加圧に耐える
相当肉厚に設計し、ライナー頭部、底部は強化繊維によ
り補強することなく、ライナー胴部のみをフープ巻きで
補強して、耐圧性を確保することも可能であるが、同一
条件では、容器の内容積が小さく重量が大きくなって好
ましくない。したがって、ライナー全体を薄肉化するた
めには、FW法は上記のような組み合せの巻き形式にす
ることが望ましい。
【0024】また、前記と同様な有限要素法による応力
解析の結果から、フープ巻きにより形成された強化繊維
層厚が全強化繊維層厚の50〜75%であることが望ま
しいことが知れた。これが50%未満では、主応力であ
る周方向応力に対する強度が不十分となり、これが75
%を超えると、相対的にヘリカル巻き及び/又はインプ
レーン巻きの層厚が小さくなって、軸方向応力に対する
強度が不十分となるためである。なお、望ましいフィラ
メントワインディングの方法については、後記の製造方
法の説明においてさらに詳しく述べる。
【0025】本発明の扁平複合容器は、上記のような構
成をとることにより、ライナー厚みは従来の円筒形CN
G容器と同一にし、FRP層のフープ巻きを円筒形容器
より増加させて、これと同じ耐圧水準を確保することが
できる。これにより、高さや幅の小さい車体の空きスペ
ースを有効に利用しうるとともに、天然ガス自動車の燃
料系の設備コストを大幅に低減することができる。
【0026】以下、本発明の扁平複合容器の製造方法に
ついて説明する。本発明の方法は、ライナーを所定の形
状に成形する工程(成形工程)と、次いでライナー表面
に滑り防止層を形成する工程と、次いでその表面にFW
法によりFRP層を形成する工程(ワインディング工
程)と、次いでFRP層の樹脂を硬化させる工程(硬化
工程)とを有することを特徴とする。
【0027】金属製扁平ライナーの成形は、通常は継目
の無い円筒形ライナーを扁平に成形することにより行
う。例えば片口容器の場合、カッピング加工により円筒
形の胴部と底部を成形し、スピニング加工により頭部及
び口金部を成形した後、プレス加工等により胴部を所定
の扁平形状に成形する。
【0028】ただし、成形の手順は上記に限定する必要
はなく、例えばカッピングにより扁平な胴部と底部を直
接成形し、その後頭部及び口金部をスピニング加工で成
形するような方法によっても良い。上記は片口容器の場
合であるが、本発明の扁平複合容器は、胴部の両側鏡部
に口金部を有する両口容器であっても差し支えない。
【0029】また場合によっては、必ずしも継目無しラ
イナーである必要はなく、扁平形状の胴部とこれに対応
する口金部を有する頭部及び底部を別々に成形し、溶接
によりこれらを接合するような方法によってもよい。な
お、使用圧力20MPaのCNG容器の場合、アルミ合
金製の扁平ライナーの胴部肉厚は2〜5mm程度であ
る。
【0030】一方、プラスチック製ライナーの場合は、
所定の強度を有する熱可塑性樹脂を用いて、別途製作さ
れた金属製口金部を埋め込むようにブロー成形或いは回
転成形することにより、一工程で容易に所定形状の扁平
ライナーを製作することができる。
【0031】滑り防止層は、FRP層の強化繊維と同種
又は類似種の繊維を束ねて編んだ筒状組紐(ブレイド)
又はシート状織物(クロス)に樹脂を含浸させたもの
を、あるいは予め樹脂が含浸されているシート状プリプ
レグを、ライナー表面に貼付して形成する。ここで、同
種の繊維とは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等
の繊維の種類が同一で成分等も略同一のものを云い、類
似種の繊維とは繊維の種類は同一であるが成分等がやや
異なるものを云う。
【0032】この繊維の成形材料の厚さ0.1〜0.5
mm程度の筒状組紐(ブレイド)、又は幅10〜100
mm程度のテープ状織物(クロス)に樹脂を含浸させ、
あるいは予め樹脂が含浸されているシート状プリプレグ
を、ライナー表面に貼り付ければよい。
【0033】滑り防止層を設ける目的は、FW法とくに
ヘリカル巻きやインプレーン巻きにおいてロービングの
巻き位置がずれるのを防止するためで、扁平な容器は、
円筒形容器よりもかかるずれが生じ易い肩部形状である
ため、滑り防止層の必要性がより大きい。
【0034】上記の目的からは、滑り防止層は、少なく
ともライナー頭部3及び底部4の鏡部の肩部(径が1/
2〜1の環状の部分)の表面に形成されている必要があ
り、ライナー全周に形成されていても、胴部を除く鏡部
全体の表面に形成されていてもよく、あるいは頭部側及
び底部側鏡部の肩部の表面のみに形成されていてもよ
い。
【0035】ワインディング工程においては、フープ巻
き(Hoと略記)とヘリカル巻き(Heと略記)および
/又はインプレーン巻き(Iと略記)とを組み合わせつ
つ、巻き形式を多数回(通常は3〜5回)変更して、樹
脂を含浸させたロービングを滑り防止層を形成したライ
ナー表面に巻き付ける。
【0036】例えば、ライナー側から順にHe−Ho−
Heや、Ho−I−I−He−Heのような巻き形成の
組合せがとられる。このとき巻き厚さは、ロービングの
本数、ロービングのフィラメント数、単繊維径、巻き
数、巻き配向角、繊維含有率、繊維の比重、樹脂の比重
などから算定され、先に述べたように、フープ巻き厚み
が全強化繊維層厚の50〜75%になるようにすること
が望ましい。
【0037】また、曲げを受ける場合のFRP断面内で
の応力分布を、前述の有限要素法により解析した結果か
ら、フープ巻きを1層にした場合とこれを多層に分割し
た場合では、巻厚が同一でも、後者の方が強化繊維層の
曲げ剛性が大きくなることが知れた。曲げ剛性が過大に
なると、加圧時に容器が弾性変形して応力を緩和すると
いう機能が失われるので、フープ巻きは常に1層とする
ことが好ましい。
【0038】さらに、ロービングに含浸させる樹脂の量
は、FRP層中の体積率で20〜40%であることが好
ましい。これを超えると、樹脂層の容積が大きくなって
その比強度が低下し、同一強度を確保するのにFRP層
を厚くする必要があって好ましくないためである。
【0039】なお、使用圧力20MPaの扁平CNG容
器(アルミ合金ライナーの長軸長さ140mm、短軸長
さ100mm、胴部厚み3.5mm)のFRP層厚み
は、炭素繊維を用いた場合、胴部で5.0〜8.0mm
程度、頭部、底部の肩部で3.5〜5.5mm程度であ
る。
【0040】硬化工程においては、FRP層の樹脂が硬
化する際の歪と欠陥の発生を防止することが重要であ
る。通常は硬化炉を用い又は赤外線(近赤外又は遠赤
外)等により輻射加熱して、所定の温度パターンで(昇
温)−(温度保持)−(徐冷)の熱処理を行なう。温度
パターンはFRP層の繊維と樹脂の種類によって適宜選
択されるが、炭素繊維とエポキシ系樹脂の組合わせで熱
風式硬化炉の場合、1.0〜4.0℃/minの昇温速
度で加熱し、130〜140℃に約1.0〜1.5時間
保定した後、2.0〜5.0℃/minの冷却速度で5
0℃付近まで徐冷し、その後空冷する。
【0041】
【実施例】以下のようにして製作した実施例の扁平複合
容器について、高圧ガス保安法容器保安規則に準拠し
て、耐圧性能を評価した。
【0042】(実施例1)金属製継目無ライナーは、A
l合金(6061合金)の板厚3.5mmのプレートを
用い、冷間カッピング加工法にて継目無底付円筒容器を
製造し、頭部開口部は適正温度に加熱してスピニング加
工にて頭部及び口金部を成形加工した。その後底付き円
筒ライナーを所定の平面と曲面を持つ金型を用いプレス
加工にて扁平成形した。本実施例のライナーの形状を図
3に示す。次にT−6熱処理を実施した後、口金部に内
ネジ加工し6061−T6Al合金ライナーを製作し
た。
【0043】Al合金ライナーの強度補強を目的とし、
FW法にて炭素繊維(高強度型)にエポキシ樹脂を含浸
させながら、巻きパターンとしてヘリカル巻きとフープ
巻きとを組み合わせて、FRP層の目標厚が胴部7.0
mm、頭部側肩部4.0mm、底部側肩部4.0mmに
なるように巻き付けた。図4に、本実施例の複合容器の
断面構造を示す。
【0044】次に、これを熱風式硬化炉内にて130℃
×1.5時間熱処理し、FRP層の樹脂を硬化させた。
この際、硬化温度はT6熱処理の効果を損わないような
温度であることが重要である。
【0045】なお、ヘリカル巻き時のロービングの滑り
防止のため、強化繊維と同種の炭素繊維を束ねて編んだ
筒状組紐(厚さ0.15mmのブレイド)に、エポキシ
樹脂を含浸させて、ライナー表面全周にかぶせて貼り付
けたが、本法は滑り防止にきわめて有効であった。
【0046】充填圧力(常用圧力)20MPaで設計
し、上記のように製作された内容積2.2リットルの扁
平複合容器の簡易品質評価として、高圧ガス保安法容器
保安規則(1999年改正)に準拠し、耐圧試験、常温
圧力サイクル試験及び破裂試験を実施した結果、いずれ
も合格の判定を得た。この時の破裂圧力は55MPa
(561kgf/cm2)で、常温圧力サイクル試験
は、充填圧力20MPaで10,000回(2回/分)
繰返し加圧後、耐圧試験圧力20×1.5MPaで、3
0回以上(2回/分)をクリアーし、合格と判定され
た。
【0047】また、加圧時の扁平容器の高さ変化は、有
限要素法による応力解析で、充填前114mm、30M
Paで119.4mm、除圧後116.0mm、この状
態から再度20MPaに加圧した時に118.2mmと
予想されたが、これに対して実測値は常用圧力(20M
Pa)で116.5mmとなり、予想値とほぼ一致する
結果が得られた。
【0048】(実施例2)実施例1で製作されたAl合
金製ライナーを用い、米国カルフォルニア州天然ガス自
動車の基準と同じ25MPa(255kgf/cm2
の耐圧を得るため、実施例1のFW法に準拠し、全強化
繊維層厚を30%増加させて(FRP層の目標厚が、胴
部9.0mm、頭部側肩部4.5mm、底部側肩部4.
5mm)、同様の工程で25MPa用扁平複合容器を製
作した。
【0049】実施例1での20MPaを25MPaに置
き換えた同様の品質評価(耐圧試験、常温圧力サイクル
試験、破裂試験)を実施した結果、いずれも目標値をク
リアーし、合格と判定された。なお、破裂圧力は64M
Pa(653kgf/cm2)であった。これにより、
本発明の扁平複合容器は、充填圧力25MPaへの対応
も可能であることが確認された。
【0050】
【発明の効果】本発明により、二輪、三輪又は四輪以上
の天然ガス自動車の車体の空きスペースを有効に利用す
ることができ、車体設計の自由度が増大する。また、燃
料系の設備コストが低減されるため、天然ガス自動車の
普及が促進されて、地球環境問題解決の一助となる。
【0051】さらに、この扁平複合容器の設計製造技術
を拡張することにより、次世代エネルギーとして注目さ
れ実用化途上にある燃料電池用高圧容器についても、自
動車用、家庭用、小型オンサイト用、環境市場用等の、
円筒形容器の収容スペースの確保が難しい場合の対応策
を提供することができる。
【0052】なお、CNG容器の充填圧力が、国内でも
米国カルフォルニア州の基準と同じ25MPaに改訂さ
れる可能性が高いが、本発明はこの充填圧力にも対応可
能であり、国内国外の当該分野の普及・発展に寄与する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である扁平複合容器の断面概要
図である。
【図2】フィラメントワインディング法におけるロービ
ングの巻付け方式の説明図である。
【図3】本実施例の金属製ライナーの断面図である。
【図4】本実施例の扁平複合容器の断面構造を示す図
で、図4(a)は一部断面を示す平面図、図4(b)は図4
(a)のA部拡大図、図4(c)は図4(a)のB部拡大図で
ある。
【符号の説明】
1 ライナー 2 繊維強化プラスチック層 3 ライナー頭部 4 ライナー底部 5 口金部 6 ロービング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 105:08 B29L 31:56 B29L 31:56 B29C 67/14 A (72)発明者 川上 武利 神奈川県藤沢市片瀬四丁目12番9号 Fターム(参考) 3E072 AA01 BA04 CA01 CA03 3J046 AA01 BA03 CA01 CA03 DA05 EA02 4F100 AB01A AK01A BA02 DA01 DH00B DH01B EH51 GB32 JK01 4F205 AA39 AD03 AD07 AD16 AG03 AH16 AH17 AH55 HA02 HA14 HA23 HA37 HA46 HB01 HL02 HL12 HL13 HL14 HT08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製又はプラスチック製ライナーの外
    周を繊維強化プラスチック層で補強した複合容器であっ
    て、前記ライナー胴部の長手方向に直角な断面が丸みを
    帯びた軸対象の扁平な形状を有することを特徴とする天
    然ガス自動車の高圧ガス用扁平複合容器。
  2. 【請求項2】 非加圧時における前記ライナー胴部断面
    外寸の長軸長さが短軸長さの1.3〜2.5倍である請
    求項1記載の扁平複合容器。
  3. 【請求項3】 前記繊維強化プラスチック層が、フープ
    巻きとヘリカル巻き及び/又はインプレーン巻きとを組
    み合せたフィラメントワインディング法により形成さ
    れ、フープ巻きで形成された強化繊維層厚が全強化繊維
    層厚の50〜75%である請求項1又は2記載の扁平複
    合容器。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の複合容
    器の製造方法であって、ライナーを所定の形状に成形す
    る工程と、次いで、強化繊維と同種又は類似種の繊維を
    束ねて編んだ筒状組紐又はシート状織物に樹脂を含浸さ
    せたものを、あるいは予め樹脂が含浸されているシート
    状プリプレグを、前記ライナーの少くとも頭部側及び底
    部側の肩部を含む表面の一部又は全部に貼り付けて滑り
    防止層を形成する工程と、次いで、その表面に樹脂を含
    浸させた強化繊維をフィラメントワインディング法によ
    り巻き付けて繊維強化プラスチック層を形成する工程
    と、次いで、硬化炉内にて又は赤外線を照射して、前記
    繊維強化プラスチック層の樹脂を硬化させる工程とを有
    することを特徴とする天然ガス自動車の高圧ガス用扁平
    複合容器の製造方法。
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