JP2004332664A - バルブ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】応答性のよい弁体保持機能を有し、弁体の作動に関連応動して当該弁体を所定の位置で機械的にロックおよびロック解除することができ、特にエンジン稼動中の弁体保持に必要な消費電力を大幅に低減させることができるバルブ駆動装置を簡単な構成で得ることにある。
【解決手段】弁体を有する弁軸に当接した可動軸に係合受部を有する磁性の保持ブロックを一体的に設け、係合受部と係脱可能な係合部を有するロック保持部材を保持ブロックの接離方向へ変位可能に配置し、かつロック保持部材を保持ブロックから離れる方向に付勢するロック系統付勢手段と、保持ブロックを閉弁方向に動作させると同時にロック保持部材をロック系統付勢手段の付勢力に抗して保持ブロックへの接近方向に駆動する駆動手段とを備えたものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンの吸・排気弁を電磁開閉するバルブ駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車用エンジンのバルブ駆動装置として、旧態のカム機構に比べ燃費等の特性が向上する電磁機構によるものは既に知られている。その一般的な構成は、可動軸を一体に有する可動子(プランジャ)の両側に弁体側電磁石と反弁体側電磁石とを配置すると共に、前記可動軸に同軸上で当接している弁軸を一対の釣り合いばねで開弁位置(中立位置)に付勢したものとなっている。
【0003】
次に動作について説明する。
弁体側電磁石の巻線が通電されると、その磁気吸引力で可動子が開弁方向に吸引されることにより、弁軸が一方のばね力に抗して開弁方向に移動し、前記通電が遮断されると、前記一方のばね力が他方のバネ力と釣り合う中立位置まで前記弁軸が移動する。これと同様にして、反弁体側電磁石の巻線が通電されると、その磁気吸引力で可動子が閉弁方向に吸引されることにより、弁軸が他方のばね力に抗して閉弁方向に移動し、前記通電が遮断されると、前記一方のばね力が他方のバネ力と釣り合う中立位置まで前記弁軸が移動する。
【0004】
以上において、例えば可動子が一対の釣り合いばねにより弁体側電磁石と反弁体側電磁石との中間位置(中立位置)に保持された状態において、その弁体側電磁石もしくは反弁体側電磁石に通電することで、可動子の位置を調整することができ、これにより、弁軸先端の弁体の開弁量を調整することができる。ここで、前記弁体を一定位置(閉弁位置を含む)に保持するためには、前記いずれか一方のばね力と釣り合う大きさの磁気吸引力を発生させ続ける必要がある。そのため、特に弁全閉位置では、弁体側電磁石もしくは反弁体側電磁石の巻線に通電し続ける必要があり、したがって、消費電力が大きくなる。
【0005】
しかるに、自動車に搭載できるバッテリ容量には制限があるため、吸・排気制御系の電磁弁装置では消費電力の低減が重要な課題である。ここで、エンジン起動時の消費電力とエンジン稼動中の消費電力について説明する。エンジン停止中はプランジャが一対の電磁石相互の間隙中央に保持されて当該電磁石とプランジャとの空隙長が大きいため、エンジン起動時にプランジャを一方の電磁石に吸引させるためには、極めて大きな電流を供給する必要があり、したがって、エンジン起動時は消費電力が大きくなる。また、エンジン稼動中においても、弁体を全閉位置や開弁量調整位置(一対のばねの不均衡位置)に保持するためには電流を供給し続ける必要があるために消費電力が大きくなる。
【0006】
そこで、上述のようなバッテリ消費電力の節減を図ったバルブ駆動装置も既に発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−136709号公報(第4〜5頁、図1〜図16参照)。
【0008】
特許文献1のバルブ駆動装置では、エンジン停止時に弁体をほぼ閉弁状態に保持させるためのストッパを設け、このストッパを可動スプリングシートまたはアーマチュアとのロック位置またはロック解除位置に駆動する構成としている。また、前記ストッパに対しモータ等の駆動手段からの駆動力を伝達する手段として、リンク機構やラックとピニオンとの組み合わせ、ウォーム等の駆動伝達部材を設けている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載された従来のバルブ駆動装置は以上のように構成されているので、エンジン起動時の消費電力節減を図ることはできる。しかし、消費電力を大幅に低減するためには、エンジン稼動中の消費電力をも低減させる必要があるが、それを特許文献1のバルブ駆動装置で達成することは困難と考えられ、消費電力の大幅低減を図る点で課題を残していると云える。なお、上記特許文献1のバルブ駆動装置において、エンジン稼動中の消費電力を低減させるためには、弁体が作動状態から静止すると同時にストッパをロック位置に駆動変位させ、また、弁体を静止状態からの作動直前にストッパをロック位置からロック解除位置に速やかに待避させなければならず、そのためには高速のストッパ駆動手段が必要となり、この点でも消費電力が大きくなるという課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、応答性のよい弁体保持機能を有し、弁体の作動に関連応動して当該弁体を所定の位置で機械的にロックおよびロック解除することができ、特にエンジン稼動中の弁体保持に必要な消費電力を大幅に低減させることができるバルブ駆動装置を簡単な構成で得ることを目的とする。
【0011】
また、この発明は、弁体を動作位置に極めて小さな電力で保持し続けることができ、消費電力の大幅低減を図ることができるバルブ駆動装置を得ることを目的とする。
【0012】
さらに、この発明は、弁体を閉弁位置では高精度にロック保持することができると共に、開弁側の弁体保持機構を簡素化してコスト低減を図ることができるバルブ駆動装置を得ることを目的とする。
【0013】
さらに、この発明は、1つの電磁石によって弁体を開弁位置と閉弁位置とで保持することができると共に、前記電磁石の部品点数が減少してコスト低減が図れるバルブ駆動装置を得ることを目的とする。
【0014】
さらに、この発明は、2基を1組としたバルブ駆動装置の設置に必要な占有面積を小さくできてコンパクト化が図れるバルブ駆動装置を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るバルブ駆動装置は、弁体が連設された弁軸に同軸上で当接した可動軸に一体的に設けられ外周に係合受部を有する保持ブロックと、前記弁体の系統を開弁方向に付勢する弁系統付勢手段と、前記係合受部に係脱可能に係合させる係合部を有して前記保持ブロックに対する接離方向へ変位可能に配置されたロック保持部材と、このロック保持部材を前記保持ブロックに対する接近乃至離間方向に付勢するロック系統付勢手段と、前記保持ブロックを閉弁方向に動作させると同時に前記ロック保持部材を前記ロック系統付勢手段の付勢力に抗して前記保持ブロックに対する接近方向に駆動する駆動手段とを備えたものである。
【0016】
この発明に係るバルブ駆動装置は、弁体に連設された弁軸と、ばね力を受けて弁軸に同軸上で当接した可動軸と、この可動軸に取り付けられ電磁力とばね力を受けて作動する可動鉄心と、この可動鉄心に対して弁体側と反弁体側に配置された一対の電磁石とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動軸または当該可動軸との連結部材に設けられたロック受け部と、このロック受け部に対して係脱可能に係合させるロック部材と、このロック部材を前記ロック受け部との非係合位置に付勢する付勢部材と、前記ロック部材を囲む通電用の巻線とを備えたものである。
【0017】
この発明に係るバルブ駆動装置は、弁体が連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接した可動軸と、この可動軸に取り付けられ電磁力とばね力を受けて作動する可動鉄心とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動鉄心を電磁力で閉弁方向に作動させる1つの電磁石と、前記可動軸または当該可動軸との連結部材に設けられたロック受け部と、このロック受け部に対して係脱可能に係合させるロック部材と、このロック部材を囲む通電用の巻線と、前記ロック部材を前記ロック受け部との非係合位置に付勢する付勢部材とを備え、前記ロック受部と前記ロック部材には互いに噛み合う係合部が形成されているものである。
【0018】
この発明に係るバルブ駆動装置は、弁体が連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接した可動軸と、この可動軸に取り付けられ電磁力とばね力を受けて作動する可動鉄心とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動鉄心を囲むように配置した1つの固定鉄心と、この固定鉄心に設置した1つの巻線とを備え、その巻線に通電することで前記可動鉄心を閉弁方向と開弁方向に選択的に駆動可能としたものである。
【0019】
この発明に係るバルブ駆動装置は、燃焼機関の吸気用弁体および排気用弁体と、それらの弁体に連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接している可動軸とをそれぞれ備えた2基のバルブ駆動装置において、その一方のバルブ駆動装置における弁軸と可動軸の全体長を、他方のバルブ駆動装置における弁軸と可動軸の全体長よりも長くしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるバルブ駆動装置を示す断面図である。
図1に示すバルブ駆動装置は、エンジン吸・排気系統の壁部(燃焼室壁)1に設けられた弁孔1aを開閉する弁体2と、この弁体2に連設された弁軸3と、この弁軸3に同軸上で当接している可動軸4と、この可動軸4を前記弁体2の閉じ方向(閉弁方向)に駆動する駆動手段5とを備えている。この実施の形態1において、前記駆動手段5は、前記可動軸4を電磁吸引力で閉弁方向に作動させる電磁石5からなっている。その電磁石5は、ケース6内の上部中心に配置された固定鉄心5aと、この固定鉄心5aに巻装された巻線5bとからなっており、その巻線5bは通電または通電遮断されるようになっている。
【0021】
前記弁軸3と可動軸4は、前記電磁石5(巻線5b)の非通電時に一対の釣り合いばね7,8によって開弁位置(弁体2の中間開弁位置)に保持されるようになっている。すなわち、前記弁軸3と可動軸4にはばね受け座3a、4aがそれぞれ一体的に設けられ、弁軸3のばね受け座3aと弁孔1形成壁との間に一方のばね7を介在させ、かつ可動軸4のばね受け座4aとケース6側の固定壁との間に他方のばね8を介在させている。したがって、前記釣り合いばね7,8は、弁体2を開弁方向に付勢して所定の開弁位置で前記弁体2を保持する弁系統付勢手段となっている。また、前記可動軸4には、前記電磁石5に対向する保持ブロック10が一体的に設けられている。
【0022】
その保持ブロック10の外周には軸方向に沿って紙面上で上下に隣り合う複数の係合受部11,12が形成されている。これらの係合受部11,12は、後述するロック保持部材14,15が係合することによって、前記弁体2を開弁位置と閉弁位置で保持すべく前記可動軸4および弁軸3をロックするためのものである。この実施の形態1において、前記係合受部11,12のそれぞれは凹部(以下、係合受部11,12という)からなっており、それらの係合凹部11,12の開口端周縁部には当該開口端側を漸次幅広くする傾斜面11a,12aが形成してある。これらの傾斜面11a,12aは、後述する係合部14a,15aを前記係合凹部11,12に誘導して両者を係合し易くするためのもので、アール形状またはテーパ形状など滑らかな誘導面形状に形成されている。
【0023】
一方、前記ケース6内には、ロック保持部材14,15が配置されている。この実施の形態1において、前記ロック保持部材14,15は、鉄心保持用ホルダ13を介して前記可動軸4の軸方向と直交する方向へ移動可能に配置された可動鉄心14,15からなっている。それらの可動鉄心14,15は、前記保持ブロック10の係合凹部11,12と係脱可能に係合させるための係合凸部(係合部)14a,15aを一体に有している。それらの係合凸部14a,15aの先端は円弧状に形成されて前記係合凹部11,12に係合し易くしてある。ここで、前記鉄心保持用ホルダ13は、前記可動鉄心14,15の移動方向を上述のように前記可動軸4の軸方向に対する直交方向に規制して当該可動鉄心14,15を保持している。それらの可動鉄心14,15は、それぞれの係合凸部14a,15aが前記保持ブロック10から離間する方向の付勢力を有している。その付勢力は、前記ケース6の壁部と前記可動鉄心14,15との間に張設されたロック系統付勢手段としての引張圧縮ばね16,17によって得られる。
【0024】
次に動作について説明する。
弁体2や保持ブロック10の運動は、釣り合いばね7,8のばね力による自由振動が支配的であり、摩擦やガス圧力による外力が作用しなければ一定の振幅幅を保った状態で振動を続ける。このとき、可動鉄心14,15と保持ブロック10は接触する必要がなく、引張圧縮ばね16,17には可動鉄心14,15を常にケース6側に引き寄せる方向に引張力が働く。
しかし、実際には摩擦やガス圧力による外力が作用するため、弁体2や保持ブロック10の運動は減衰を伴い、釣り合いばね7,8のばね力による自由振動だけでは振幅が小さくなる。したがって、駆動力を与える必要があり、その駆動力伝達方法について図2および図3を用いて説明する。
【0025】
図2は弁体2と装置本体(壁部1)との間の隙間が大きい状態から小さくなる途中の状態のバルブ駆動装置を示している。したがって、弁体2、弁軸3、可動軸4、保持ブロック10は紙面上で下から上向きに移動しており、摩擦力などによる減衰を補うために紙面上で上向きの駆動力を与える必要がある。そこで、巻線5bが通電されると、固定鉄心5aおよび可動鉄心14,15に磁束が発生し、可動鉄心14,15には固定鉄心5aに引き寄せられる方向に磁気吸引力が生じる。これにより、可動鉄心14,15は鉄心保持用ホルダ13により動作方向が紙面上で横方向に拘束され、この状態で引張圧縮ばね16,17によるばね力よりも大きな磁気吸引力を発生させると、可動鉄心14,15は保持ブロック10に近づく方向に運動する。ここで、図2は可動鉄心14,15が保持ブロック10と接触した状態にあり、その接触面は可動軸4の軸方向に対して斜め方向であり、可動鉄心14,15が上述のように保持ブロック10に近づくことによって保持ブロック10は紙面上で上向きに変位する。
【0026】
図3は弁体2と装置本体(壁部1)との間の隙間がない状態、すなわち、図9に示したバルブCLOSE位置にある状態でのバルブ駆動装置を示している。この状態において、可動鉄心14,15と保持ブロック10の接触面は可動軸4の軸方向に対して垂直となるように作られている。そのバルブCLOSE位置では、弁体2、弁軸3、可動軸4、保持ブロック10は、釣り合いばね7,8のあね力により紙面上で下向きの力を受けるが、保持ブロック10は可動軸4に対して垂直な平面内で接触している可動鉄心14,15で支えられているため、変位することはない。すなわち、バルブCLOSE位置では可動鉄心14,15がストッパの役割をするため、保持ブロック10や弁体2を一定の位置に保持することができる。このとき、巻線5bには、引張圧縮ばね16,17によるばね力以上の磁気吸引力が発生するように電流を供給するだけでよい。
【0027】
弁体2を保持後に再び運動させるときには、巻線5bの電流を遮断することにより、可動鉄心14,15は引張圧縮ばね16,17のばね力により保持ブロック10から離れるため、可動鉄心4,15によるストッパ機能がなくなり、釣り合いばね7,8のばね力によって、弁体2、弁軸3、可動軸4、保持ブロック10が運動する。
図1に示すように、弁体2と前記装置本体1との間の隙間が最も大きく開いた状態と隙間がない状態の中間の場合、釣り合いばね7,8相互のばね力が等しくなり、保持ブロック10に対する前記ばね力の合力は0になる。
【0028】
次に、弁体2が図1の状態から紙面上で上向きに変位すると、図1の状態から図2の状態を経て図3の状態となるように、弁体2と装置本体1との間の隙間は小さくなっていき、釣り合いばね7,8によるばね力の合力は、紙面上で下向きに働く。前記釣り合いばね7,8によるばね力の合力は、弁体2の変位量が大きくなるほど大きくなっていく。そして、弁体2の変位量が最大になった場合、弁体側のばね7と反弁体側のばね8によるばね力の合力は最大となる。
このように、弁体側のばね7と反弁体側のばね8によるばね力の合力は、弁体2の位置によって変化する。
【0029】
そこで、上記実施の形態1では、可動鉄心14,15の係合凸部14a,15aと保持ブロック10の係合凹部12との接触面が可動軸4の軸方向に対してなす角度が弁体2の位置によって異なるように設計し、前記角度が弁体2の位置に対して滑らかに変化するように、前記係合凹部12の開口端部に傾斜面12aを形成すると共に、前記係合凸部14a,15aの先端は円弧状に形成している。これにより、釣り合いばね7,8によるばね力の合力が0になる位置では、可動鉄心14,15と保持ブロック10の前記接触面は可動軸4の軸方向と平行、すなわち、可動鉄心14,15と保持ブロック10の接触面が可動軸4の軸方向に対してなす鋭角の角度を0゜としている。また、前記弁体2の変位量が最大となる開弁位置では、前記ばね力が最大となるため、前記接触面は可動軸4の軸方向に対してほぼ垂直、すなわち、前記鋭角の角度を85゜〜95゜としている。
【0030】
そして、上述の角度が0゜と85゜〜95゜との間の位置では、弁体2の変位量が大きくなるにつれて前記ばね力が大きくなるため、前記接触面の鋭角の角度が大きくなるようにし、また、前記接触面の角度は上述のように滑らかに変化するようにしている。なお、上記角度が0゜あるいは85゜〜95゜と異なる角度であっても、弁体2の変位量あるいは前記ばね力と前記接触面の角度の関係が上述のようになっていれば、同様の効果が得られる。
【0031】
上記実施の形態1の動作において、可動鉄心14,15が可動軸4に軸方向に対して垂直平面内で可動軸4の中心軸線に向かって運動すると、可動鉄心14,15と保持ブロック10の接触面が上述のように斜めとなっているので、保持ブロック10には可動軸4の軸方向への運動力として伝達される。ここで、前記可動鉄心14,15の質量は、可動軸4と弁軸3と弁体2および保持ブロック10(以下、弁体保持系統という)の質量の合計と比べて十分に小さくできるため、可動鉄心14,15部分の固有振動数は前記弁体保持系統の部分の固有振動数と比べて大きく設計できる。したがって、前記保持ブロック10を高速駆動できて高速駆動に必要なバルブ駆動装置に適したものとなる。
【0032】
以上説明した実施の形態1によれば、弁軸3に同軸上で当接している可動軸4に保持ブロック10を一体的に設け、この保持ブロック10の外周に係合凹部11,12を形成し、それらの係合凹部11,12に係脱可能な係合凸部14a,15aを有する可動鉄心14,15を前記保持ブロック10に対する接離方向へ変位可能に配置し、その可動鉄心14,15を前記保持ブロック10から離れる方向に引張圧縮ばね16,17で付勢すると共に、電磁巻線5bの通電時に生じる磁束で前記可動鉄心14,15を前記保持ブロック10への接近方向に移動させて前記係合凸部14a,15aを前記係合凹部11,12に嵌入させながら、その嵌入過程で弁体2の系統を閉弁方向もしくは開弁方向に駆動するように構成したので、前記弁体2が全閉位置もしくは所定の開弁位置に到達した時点で、その弁体2を前記係合凹部11,12と前記係合凸部14a,15aとの凹凸嵌合による自動機械的にロックすることができるという効果がある。しかも、そのロック状態において、電磁石5には引張圧縮ばね16,17のばね力に打ち勝つだけの磁気吸引力を発生させる程度の電流を供給すればよいため、エンジン稼動中の消費電力を低減できるという効果がある。
【0033】
また、上記実施の形態1では、可動鉄心14,15の係合凸部14a,15aと保持ブロック10の外周面部(係合凹部11,12の開口端部)との接触面を可動軸4の軸方向に対して上述のように斜めとなるように構成したので、可動軸4の軸方向に対する垂直平面内での可動鉄心14,15の運動を可動軸4の軸方向運動として与えることができ、これによって、弁体2を閉弁方向もしくは開弁方向へスムーズに駆動することができるという効果がある。さらには、可動鉄心14,15と保持ブロック10との前記接触面が可動軸4の軸方向に対してなす角度が弁体2の変位量に伴って滑らかに変化するように構成したので、可動鉄心14,15から保持ブロック10に伝達される可動軸4の軸方向駆動力が滑らかに変化し、また、ばね力が大きくなるにつれて駆動力も大きくなるようにできるという効果がある。さらに、電磁力で駆動すべき可動部分は可動鉄心14,15と引張圧縮ばね16,17だけであり、従来装置に比べて前記可動部分の質量を小さくでき、したがって、引張圧縮ばね16,17のばね定数が小さくても応答が速く、それに伴って電磁力を発生するために必要な電力を小さくでき、消費電力を低減できるという効果がある。
【0034】
特に、上述のように構成した実施の形態1によれば、閉弁状態において電磁石5の通電を遮断すると、可動鉄心14,15が引張圧縮ばね16,17のばね力で保持ブロック10から離間変位して係合凸部14a,15aと係合凹部12との係合が解除され、可動軸4側のばね8によるばね力で弁体2が開弁動作し、その開弁位置では釣り合いばね7,8相互のばね力が均衡して弁体2を開弁位置に保持するので、前記弁体2の開弁動作および開弁位置での弁体2保持のための電力は極めて小さくてすみ、このため、エンジン稼動中の消費電力を大幅に低減できるという効果がある。
【0035】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2によるバルブ駆動装置を示す断面図であり、図1から図3と同一または相当部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
上記実施の形態1では、ケース6内において、保持ブロック10との対向位置に電磁石5を配置すると共に、可動鉄心14,15を引張圧縮ばね(可動鉄心付勢手段)16,17でケース6側に引き寄せるように構成したが、この実施の形態2では、電磁石5をケース6内の上部内面に固定するとともに、固定部材18を配置し、このばね固定部材18と可動鉄心14,15のそれぞれとの間に引張圧縮ばね16,17を張架し、当該引張圧縮ばね16,17のばね力で前記可動鉄心14,15を前記保持ブロック10に対する接近方向に付勢すると共に、電磁石5が通電時に発生する磁気吸引力で可動鉄心14,15を保持ブロック10からの離間位置で吸着保持する構成としたものである。
【0036】
このように構成した実施の形態2では、可動鉄心14,15に作用する力は、前記磁気吸引力と引張圧縮ばね16,17との合力によるため、エンジン稼動中の可動鉄心14,15の駆動方法は上記実施の形態1の場合と基本的に同様である。エンジン停止状態では引張圧縮ばね16,17のばね力のみが可動鉄心14,15に作用するため、それらの可動鉄心14,15の係合凸部14a,15aが保持ブロック10の係合凹部12に係合した状態に保つことができる。したがって、実施の形態2によれば、エンジン停止時において、弁体2を開弁位置もしくは閉弁位置に保持することができるという効果がある。
【0037】
実施の形態3.
図5はこの実施の形態3によるバルブ駆動装置を示す断面図であり、図1〜図4と同一または相当部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施の形態3では、可動軸4の中間部に可動鉄心19を一体的に設けると共に、その可動鉄心19を挟んで弁体側と反弁体側の両側に弁体開閉駆動系の2つの電磁石20,21を離間配置している。それらの電磁石20,21は固定鉄心20a,21aと巻線20b,21bとからなっている。また、前記可動軸4において、反弁体側の固定鉄心21aから紙面上で上方に突出する軸部には溝状の係合凹部(ロック受け部)22,23が設けられている。さらに、釣り合いばね7,8のばね力が均等し且つ弁体2系統の可動鉄心19が同系統の電磁石20,21間の中間部に離間位置している状態(弁体2の中間開弁状態)において、前記可動軸4の前記係合凹部22,23の中間部外側には磁性のロック部材24,25が配置されている。それらのロック部材24,25は、前記係合凹部22,23に係脱可能に係合させるもので、ホルダ13によって前記可動軸4に対する接近・離間方向に移動可能に保持されている。
【0038】
ここで、前記ホルダ13は、前記ロック部材24,25の動作方向が可動軸4の軸方向に対する垂直平面内となるようにその動作方向を規制している。また、前記ロック部材24,25は通電用の巻線5bで囲まれている。したがって、磁性のロック部材24,25は、前記巻線5bとによる電磁石構成の可動鉄心となるものである。かかるロック部材24,25は、ケース6との間に張架された引張圧縮ばね16,17によって、前記可動軸4から離れる方向に付勢されている。
【0039】
すなわち、上記実施の形態1,2における電磁石5は、弁体2系統の駆動とロック保持用可動鉄心14,15の駆動とを兼ねる構成としたが、この実施の形態3では、それらの駆動を上述のように別々に行う構成としたものである。なお、前記係合凹部22,23は、前記可動軸4と同軸上で一体化された連結部材に設けてもよい。
【0040】
次に動作について説明する。図6は図5の動作説明図であって閉弁状態を示す。図5に示す中間開弁状態において、反弁体側の電磁石21の巻線21bが通電されると、その電磁力によって可動鉄心19が前記電磁石21に近づく方向に移動する。これにより、弁体2が図6に示すように閉弁位置に到達すると、可動軸4の紙面上で下段の係合凹部23とロック部材24,25とが対向する。その状態でロック部材24,25系統の巻線5bが通電されると、その電磁力によりロック部材24,25が引張圧縮ばね16,17のばね力に抗して可動軸4に対する接近方向に移動する。これにより、前記ロック部材24,25が前記係合凹部23に嵌入係合して弁体2が閉弁位置でロック保持される。このとき、前記電磁石21の巻線21bに対する通電は遮断される。
【0041】
前記ロック保持状態から前記巻線5bの通電を遮断すると、引張圧縮ばね16,17によるばね力でロック部材24,25が可動軸4から離れる方向に移動して当該ロック部材24,25と前記係合凹部23との係合が解除される。すると、閉弁時に図6に示すように圧縮されていた釣り合いばね7,8の一方のばね8によるばね力で弁体2が開弁動作する。その弁体2は、図5に示す中間開弁位置にて釣り合いばね7,8の均衡ばね力で保持される。その開弁状態から今度は他方の電磁石20の巻線20bが通電されると、可動鉄心19が前記電磁石20に近づく方向に移動することで弁体2の開弁量が大きくなる。そして、可動軸4の係合凹部22がロック部材24,25に対向した時点で当該ロック部材系統の巻線5bに通電することにより、前記ロック部材24,25が引張圧縮ばね16,17のばね力に抗して前記係合凹部22に嵌入係合し、弁体2が拡大開弁位置でロック保持される。
【0042】
以上説明した実施の形態3によれば、可動軸4に一体化された可動鉄心19を挟んで離間対向する2つの電磁石20,21を配置すると共に、前記可動軸4において弁体2と反対側の電磁石21から突出する軸部に対し軸方向に沿って所定の間隔で隣り合う係合凹部22,23を設け、その係合凹部22,23の外側近傍には当該係合凹部22,23に係脱可能で且つ可動軸4に対する接近・離間方向に移動可能なロック部材24,25を配置し、それらのロック部材24,25を囲む通電用の巻線5bと、前記ロック部材24,25を前記係合凹部22,23との係合解除方向に付勢する引張圧縮ばね16,17とを備えるように構成したので、前記一方の電磁石21に通電することにより弁体2が閉弁動作して閉弁位置に到達した時点で、ロック部材24,25系統の巻線5bに通電すれば当該ロック部材24,25が引張圧縮ばね16,17のばね力に抗して前記係合凹部23に嵌入係合することにより、弁体2を閉弁位置で機械的にロック保持できるという効果がある。
【0043】
また、上述のように弁体2を閉弁位置で機械的にロック保持できるため、そのロック状態では電磁石21の通電を遮断することができると共に、前記弁体2のロック保持のための電力は、前記引張圧縮ばね16,17のばね力に打ち勝つだけの磁気吸引力を発生させる程度の電流を前記巻線5bに供給すればよいので、エンジン稼働中の消費電力を大幅に低減できるという効果がある。
【0044】
さらには、前記ロック保持状態において、前記巻線5bの通電を解除すれば、ロック部材24,25が引張圧縮ばね16,17のばね力で前記係合凹部23から離脱し、弁体2が釣り合いばね7,8の一方のばね8によるばね力で開弁動作するので、その開弁動作のための電力を一切必要としないという効果がある。さらに、前記弁体2が釣り合いばね7,8の均衡ばね力で保持された開弁状態において、弁体側の電磁石20に通電することで弁体2が前記ばね8のばね力に抗して図5に示す開弁位置からさらに開弁動作し、その開弁量が大きくなった開弁位置(以下、拡大開弁位置という)でロック部材24,25系統の巻線5bに通電すれば、前記ロック部材24,25が可動軸4の係合凹部22に嵌入係合するので、前記弁体2を拡大開弁位置でロック保持できると共に、そのロック保持では前記電磁石20の通電を遮断できるという効果がある。また、その場合において、弁体ロック保持に必要な電力は、引張圧縮ばね16,17のばね力に打ち勝つだけの磁気吸引力を発生させる程度の電流を前記巻線5bに供給すればよいので、消費電力を大幅に低減できるという効果がある。
【0045】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4によるバルブ駆動装置を示す断面図であり、図5および図6と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
上記実施の形態3では、可動鉄心19を挟む両側に電磁石20,21を配置すると共に、可動軸4とロック部材24,25とを凹凸嵌合させる構成としたが、この実施の形態4では、上記実施の形態3における係合凹部22,23に代えて可動軸4の外周に断面鋸歯状の係合部26を刻設すると共に、前記ロック部材24,25の先端面(可動軸4との対向面)にも断面鋸歯状の係合部27を刻設したものである。また、この実施の形態4では、上記実施の形態3における弁体側の電磁石20を省いた構成にしてある。
【0046】
図9はバルブ駆動装置の一般的なバルブ動作位置を示す図である。同図に示すように車両吸・排気系統の弁体2は、一般に閉弁位置で保持されることが多く、開弁量が大きな開弁位置で保持されることは少なく、また開弁位置が多少変わっても燃焼機関に与える影響は少ない。そこで、この実施の形態4では、弁体2を閉弁方向に動作させる1つの電磁石21のみを設置したものである。
【0047】
このように構成した実施の形態4によれば、上記実施の形態3の場合と同様に弁体2の閉弁位置において、ロック部材24,25系統の巻線5bに対する通電によりロック部材24,25が可動軸4に接近する方向に移動し、その可動軸4とロック部材24,25との鋸歯状係合部26,27同士が噛み合い係合することによって、上記実施の形態3の場合と同様に弁体2を閉弁位置でロック保持することができ、そのロック保持に必要な電力は、引張圧縮ばね16,17のばね力に打ち勝つだけの磁気吸引力を発生させる程度の電流を前記巻線5bに供給すればよいので、消費電力を大幅に低減できるという効果がある。また、この実施の形態4では、上記実施の形態3における弁体側の電磁石20を不要とし、反弁体閉弁側の電磁石21のみを備える構成としたので、バルブ駆動装置の部品点数が減少し構成が簡素化して小型化し、コスト低減が図れるという効果がある。
【0048】
実施の形態5.
図10はこの実施の形態5によるバルブ駆動装置を示す断面図であり、図1から図8と同一または相当部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この実施の形態5では、可動鉄心19が固定された可動軸4に対して1つの電磁石30を配置し、この電磁石30を以下の構成としたものである。
すなわち、可動軸4に固定された可動鉄心19の弁体側と反弁体側の両側を囲むように配置した1つの固定鉄心31と、この固定鉄心31に設けた1つの巻線32とを備える構成としたものである。したがって、前記固定鉄心31は、可動鉄心19に対して弁体側と反弁体側の両側を囲む形状に形成されている。
【0049】
次に動作について説明する。
巻線32が通電されると、固定鉄心31と可動鉄心19を含む磁路に磁束が生じ、前記固定鉄心31と可動鉄心19との間には磁気吸引力が働く。ここで、前記固定鉄心31は、上述のように可動鉄心19の両側を囲むように配置されているが、可動鉄心19との空隙長が小さい方が磁気吸引力は大きくなる。したがって、前記巻線32の通電時に前記可動鉄心19は固定鉄心31との空隙長が小さい方に動作する。
【0050】
図11は図10の動作説明図であって、弁孔1aの弁座部からの弁体2の開離隙間が大きい状態を示す。その状態において、前記巻線32が通電されると、固定鉄心31と可動鉄心19との間の空隙長は弁体2側の方が反弁体側よりも小さいため、前記可動鉄心19は紙面上で下向きの力を受け、これにより、弁体2は紙面上で下降動作する。
【0051】
以上説明した実施の形態5によれば、可動鉄心19が固定された可動軸4に対して1つの電磁石30を配置し、その電磁石30の固定鉄心31が前記可動鉄心19の弁体側と反弁体側を囲むように構成したので、固定鉄心31と巻線32の個数をそれぞれ1個とすることができ、しかも弁体2を開弁位置と閉弁位置のいずれの位置でも保持することができ、部品点数が減少して低コスト化を実現できるという効果がある。
【0052】
実施の形態6.
図12はこの発明の実施の形態6によるバルブ駆動装置を示す断面図であり、図1から図3と同一および相当部分には同一符号を付して重複説明を省略する。一般に燃焼機関は吸気側と排気側が1組となっていることから、この実施の形態6では、上記実施の形態1によるバルブ駆動装置の2基を適用し、その1基を吸気用バルブ駆動装置Aとし、他の1基を排気用バルブ駆動装置Bとして組み合わせたものである。そして、吸気用バルブ駆動装置Aは弁軸3と可動軸4との全体長を短くし、排気用バルブ駆動装置Bは弁軸3と可動軸4との全体長を長くしたものである。さらに詳しく述べると、排気用バルブ駆動装置Bの可動軸4には、吸気用バルブ駆動装置Aのケース6の軸方向長さよりも長いスリーブ状のスペーサ33を、釣り合いばね7,8における反弁体側のばね8とケース6との間に位置させるように挿入したものである。
【0053】
以上のように構成した実施の形態6によれば、吸気用バルブ駆動装置Aのケース6の上方近傍で当該ケース6と排気用バルブ駆動装置Bのケース6とを図12に示すようにオーバーラップさせた状態に吸気用バルブ駆動装置Aと排気用バルブ駆動装置Bとを1組として近接設置することができ、このため、その1組のバルブ駆動装置の設置に必要な占有面積を小さくでき、コンパクト化が図れるという効果がある。
【0054】
なお、上記実施の形態6では、吸気用バルブ駆動装置Aと排気用バルブ駆動装置Bとして上記実施の形態1によるバルブ駆動装置の2基を適用する場合について説明したが、他の実施の形態2〜5によるバルブ駆動装置をも同様に適用できるものである。また、上記実施の形態1,2および上記実施の形態6では、保持ブロック10に係合凹部11,12を形成し、可動鉄心14,15に係合凸部14a,15aを形成したが、それとは逆に保持ブロック10に係合凸部14a,15を形成し、可動鉄心14,15に係合凹部11,12を形成してもよく、この場合も同様の作用効果を得ることが可能である。さらに、前記保持ブロック10は磁性体もしくは非磁性体のいずれであってもよいが、磁性体とすることによって、電磁巻線5bの通電時に生じる漏れ磁束を利用して軸方向に移動させることも可能である。さらに、前記可動鉄心(ロック保持部材)14,15の駆動手段は、電磁石5に特定されるものではなく、例えばモータと伝達機構との組み合わせなど、その他の駆動手段とすることも可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、弁軸に同軸上で当接した可動軸に一体的に設けられ外周に係合受部を有する保持ブロックと、前記弁体の系統を開弁方向に付勢する弁系統付勢手段と、前記係合受部に係脱可能に係合させる係合部を有して前記保持ブロックに対する接離方向へ変位可能に配置されたロック保持部材と、このロック保持部材を前記保持ブロックに対する接近乃至離間方向に付勢するロック系統付勢手段と、前記保持ブロックを閉弁方向に動作させると同時に前記ロック保持部材を前記ロック系統付勢手段の付勢力に抗して前記保持ブロックに対する接近方向に駆動する駆動手段とを備えるように構成したので、前記保持ブロックを含む弁体系統と前記ロック保持部材とを関連作動させて前記弁体の所定の作動位置で当該弁体を前記係合部と前記係合受部との係合により自動機械的にロック保持させることができ、したがって、エンジン稼動中の弁体保持に必要な消費電力を大幅に低減できるという効果がある。
【0056】
この発明によれば、ばね力を受けて弁軸に同軸上で当接した可動軸または当該可動軸との連結部材にロック受け部を設け、このロック受部に係脱可能に係合させるロック部材を配置し、そのロック部材を前記ロック受部との非係合位置に付勢する付勢手段と、前記ロック部材を囲む通電用の巻線とを備えるように構成したので、弁体が閉弁位置に到達した時点で前記巻線に通電することにより発生する磁気吸引力で前記ロック部材を前記ロック受部に係合させることができ、その係合によって弁体を閉弁位置で機械的にロック保持できるという効果がある。さらには、弁体系統を閉弁方向または開弁方向に駆動するための磁気吸引力を発生させるための一対の電磁石を備えたバルブ駆動装置であっても、上述のように弁体が閉弁位置で機械的にロック保持されるため、前記電磁石の通電を遮断することができると共に、弁体ロック保持のための電力は、ロック部材の付勢力に打ち勝つ程度の電流を前記巻線に供給すればよいので、消費電力を極めて大幅に低減することができるという効果がある。
【0057】
この発明によれば、可動軸または当該可動軸との連結部材に設けられたロック受部および当該ロック受部に係脱可能に係合させるロック部材のそれぞれに互いに噛み合う係合部を形成するように構成したので、弁体の閉弁位置で前記ロック受部と前記ロック部材とをさらに強固に係合させることができるという効果がある。また、上述のようにロック受け部とロック部材とを強固に係合させることができるため、弁体系統を駆動する電磁石は閉弁方向の電磁力を発生する1個の電磁石でよく、したがって、バルブ駆動装置の部品点数が減少して構成が簡素化しコンパクト化およびコスト低減が図れるという効果がある。
【0058】
この発明によれば、弁体が連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に当接した可動軸と、この可動軸に取り付けられ電磁力とばね力を受けて作動する可動鉄心とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動鉄心を1つの固定鉄心で囲み、この固定鉄心に1つ巻線を設置し、その巻線に通電することで前記可動鉄心を閉弁方向と開弁方向に選択的に駆動可能とするように構成したので、1つの固定鉄心と巻線とで弁体系統を開弁位置と閉弁位置とに保持することができると共に、バルブ駆動装置の部品点数が減少してコンパクト化およびコスト低減が図れるという効果がある。
【0059】
この発明によれば、燃焼機関の吸気用弁体および排気用弁体と、それらの弁体に連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接している可動軸とをそれぞれ備えた2基のバルブ駆動装置において、その一方のバルブ駆動装置における弁軸と可動軸の全体長を、他方のバルブ駆動装置における弁軸と可動軸の全体長よりも長くするように構成したので、2基のバルブ駆動装置を1組として近接設置することができ、このため前記1組のバルブ駆動装置の設置に必要な占有面積を小さくできてコンパクト化が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるバルブ駆動装置を示す断面図である。
【図2】図1の動作説明図で、閉弁動作途中の状態を示す断面図である。
【図3】図1の動作説明図で、図2からの閉弁状態を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるバルブ駆動装置を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態3によるバルブ駆動装置を示す断面図である。
【図6】図5の動作説明図である。
【図7】この発明の実施の形態4によるバルブ駆動装置を示す断面図である。
【図8】図7の動作説明図である。
【図9】バルブ駆動装置の一般的なバルブ動作位置を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態5によるバルブ駆動装置を示す断面図である。
【図11】図10の動作説明図である。
【図12】この発明の実施の形態6によるバルブ駆動装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 吸・排気系統の壁部、1a 弁孔、2 弁体、3 弁軸、3a ばね受け座、4 可動軸、4a ばね受け座、5 駆動手段(電磁石)、5a 固定鉄心、5b 巻線、6 ケース、7,8 釣り合いばね(弁系統付勢手段)、10 保持ブロック(ロック受け部材)、11,12 係合受部(係合凹部)、11a,12a 傾斜面、13 鉄心保持用ホルダ、14,15 ロック保持用可動鉄心(ロック保持部材)、14a,15a 係合部(係合凸部)、16,17 引張圧縮ばね(ロック系統付勢手段)、18 ばね固定部材、19 可動鉄心、20 弁体側電磁石、20a 固定鉄心、20b 巻線、21 反弁体側電磁石、21a 固定鉄心、21b 巻線、22,23 係合凹部(ロック受け部)、24,25 ロック部材、26,27 鋸歯状係合部、30 電磁石、31 固定鉄心、32 巻線、33 スペーサ、A 吸気用バルブ駆動装置、B 排気用バルブ駆動装置。

Claims (9)

  1. 弁体が連設された弁軸と、この弁軸に同軸上で当接した可動軸とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動軸に一体的に設けられ外周に係合受部を有する保持ブロックと、前記弁体の系統を開弁方向に付勢する弁系統付勢手段と、前記係合受部に係脱可能に係合させる係合部を有して前記保持ブロックに対する接離方向へ変位可能に配置されたロック保持部材と、このロック保持部材を前記保持ブロックに対する接近乃至離間方向に付勢するロック系統付勢手段と、前記保持ブロックを閉弁方向に動作させると同時に前記ロック保持部材を前記ロック系統付勢手段の付勢力に抗して前記保持ブロックに対する接近方向に駆動する駆動手段とを備えたことを特徴とするバルブ駆動装置。
  2. 保持ブロックの係合受部とロック保持部材の係合部は、その一方が凹部で他方が凸部であって互いに凹凸嵌合するようになっており、前記凹部の開口端側における前記凸部との当接面が前記凹部の開口幅を幅広くする方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のバルブ駆動装置。
  3. 保持ブロックとロック保持部材の接触面は、弁体系統を開弁位置に付勢するばね力が0になる位置では可動軸の軸方向となす角度がほぼ0゜をなし、前記ばね力が最大となる位置では可動軸の軸方向となす角度が85゜〜95゜に設定され、その角度間において前記接触面を前記可動軸の軸方向に対して成す角度が滑らかに変化するように形成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のバルブ駆動装置。
  4. 弁体が連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接した可動軸と、この可動軸に取り付けられ電磁力とばね力を受けて作動する可動鉄心と、この可動鉄心に対して弁体側と反弁体側に配置された一対の電磁石とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動軸または当該可動軸との連結部材に設けられたロック受け部と、このロック受け部に対して係脱可能に係合させるロック部材と、このロック部材を前記ロック受け部との非係合位置に付勢する付勢部材と、前記ロック部材を囲む通電用の巻線とを備えたことを特徴とするバルブ駆動装置。
  5. ロック受け部とロック部材は凹凸嵌合するように形成されていることを特徴とする請求項4記載のバルブ駆動装置。
  6. 弁体が連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接した可動軸と、この可動軸に取り付けられ電磁力とばね力を受けて作動する可動鉄心とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動鉄心を電磁力で閉弁方向に作動させる1つの電磁石と、前記可動軸または当該可動軸との連結部材に設けられたロック受け部と、このロック受け部に対して係脱可能に係合させるロック部材と、このロック部材を囲む通電用の巻線と、前記ロック部材を前記ロック受け部との非係合位置に付勢する付勢部材とを備え、前記ロック受部と前記ロック部材には互いに噛み合う係合部が形成されていることを特徴とするバルブ駆動装置。
  7. ロック受け部とロック部材は、互いに噛み合う鋸歯形状の係合部を有していることを特徴とする請求項6記載のバルブ駆動装置。
  8. 弁体が連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接した可動軸と、この可動軸に取り付けられ電磁力とばね力を受けて作動する可動鉄心とを備えたバルブ駆動装置において、前記可動鉄心を囲むように配置した1つの固定鉄心と、この固定鉄心に設置した1つの巻線とを備え、その巻線に通電することで前記可動鉄心を閉弁方向と開弁方向に選択的に駆動可能としたことを特徴とするバルブ駆動装置。
  9. 燃焼機関の吸気用弁体および排気用弁体と、それらの弁体に連設された弁軸と、ばね力を受けて前記弁軸に同軸上で当接している可動軸とをそれぞれ備えた2基のバルブ駆動装置において、その一方のバルブ駆動装置における弁軸と可動軸の全体長を、他方のバルブ駆動装置における弁軸と可動軸の全体長よりも長くしたことを特徴とするバルブ駆動装置。
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