JP2003163116A - 電磁アクチュエータ - Google Patents

電磁アクチュエータ

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JP2003163116A
JP2003163116A JP2001364111A JP2001364111A JP2003163116A JP 2003163116 A JP2003163116 A JP 2003163116A JP 2001364111 A JP2001364111 A JP 2001364111A JP 2001364111 A JP2001364111 A JP 2001364111A JP 2003163116 A JP2003163116 A JP 2003163116A
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Application number
JP2001364111A
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English (en)
Inventor
Takasuke Kaneda
敬右 金田
Toshimitsu Takahashi
利光 高橋
Kiyoji Nakamura
喜代治 中村
Kiyoshi Higashiyama
潔 東山
Hisamitsu Saida
寿充 歳田
Takashi Deo
隆志 出尾
Masahiko Asano
昌彦 浅野
Takeshi Sakuragi
武 櫻木
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アーマチャの鉄損を低減しつつ衝撃破壊強度の
低下を抑え、信頼性及び耐久性の向上を図ることのでき
る電磁アクチュエータを提供する。 【解決手段】電磁アクチュエータとしての電磁駆動バル
ブ16では、コイル28,29への通電にともない発生
する電磁力により、アーマチャ25がアーマチャステム
21とともにコア26,27に向けて変位して同コア2
6,27に当接する。アーマチャ25は、電磁鋼板等の
鋼板の積層体36と、純鉄系金属材料等からなるバルク
材37とを備える。バルク材37はアーマチャステム2
1に結合されている。積層体36は、バルク材37に対
しアーマチャステム21の軸方向に重ね合わされてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コイルへの通電に
ともない発生する電磁力によってコアに向けて変位して
そのコアに当接するアーマチャを備えた電磁アクチュエ
ータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、内燃機関の吸気バルブ又は排気
バルブとして、カムシャフトの回転に基づいて開閉駆動
されるバルブに代えて、電磁力によって開閉駆動される
電磁アクチュエータを採用することが考えられている。
こうした電磁アクチュエータは、吸気バルブ又は排気バ
ルブとして機能する弁体、弁体と一体に変位するアーマ
チャ、アーマチャを中立位置に付勢する一対のスプリン
グ、及びアーマチャの変位方向に配設される一対の電磁
石を備える。電磁石は電磁コイル及びコアからなる。こ
の電磁駆動バルブでは、電磁コイルへの通電により励磁
電流が流れると、アーマチャに対し電磁石に向かう電磁
力が作用する。従って、一対の電磁石に交互に励磁電流
が流されることにより、弁体が開閉駆動される。
【0003】上記電磁アクチュエータでは、磁気回路の
一部を構成するアーマチャが、磁性材料からなるバルク
(塊)材を切削、鍛造等の方法に従って加工することに
よって形成されている。このようにして形成されたアー
マチャでは、電磁コイルへの通電制御にともない磁束が
変動する。そして、アーマチャでは、この磁束変動を少
なくするように渦電流が流れ、これにともない渦電流に
起因するエネルギー損失(鉄損)が生ずる。その結果、
電流が意図した通りに流れず、電磁アクチュエータの応
答性が低下する。
【0004】そこで、例えば、特開平10−20893
1号公報や特開2000−179583号公報に記載さ
れているように、電磁鋼板の積層体によってアーマチャ
を構成したり、磁性粉末からなる圧粉体によってアーマ
チャを構成したりすることが考えられる。このようにす
ることで、渦電流による損失を低減することが可能であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した電
磁アクチュエータでは、電磁コイルへの通電によりアー
マチャがコア側へ変位して、そのコアに当接(衝突)す
る。そして、アーマチャは衝突による衝撃(荷重)を、
アーマチャの往復動にともない繰返し受ける。このた
め、衝撃に耐え得る高い強度がアーマチャに要求され
る。しかしながら、上述したように積層体のみ又は圧粉
体のみによってアーマチャを構成した場合には、バルク
材によってアーマチャを構成した場合よりも衝撃破壊強
度が低い。従って、前述した強度に関する要求に応える
ことが難しく、信頼性や耐久性に欠けるという問題があ
る。
【0006】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、アーマチャの鉄損を低減し
つつ衝撃破壊強度の低下を抑え、信頼性及び耐久性の向
上を図ることのできる電磁アクチュエータを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1〜8に記載の発明では、電磁アクチュエータの共通
の手段として、アーマチャステムに固定されたアーマチ
ャを備えている。そして、この電磁アクチュエータで
は、コイルへの通電にともない発生する電磁力により、
前記アーマチャが前記アーマチャステムとともにコアに
向けて変位して同コアに当接する構成を有している。
【0008】上記構成の電磁アクチュエータでは、コイ
ルへの通電によりコア及びアーマチャに磁束が発生し、
アーマチャに対しコアに向かう電磁力が作用する。この
電磁力により、アーマチャがアーマチャステムをともな
ってコアに向けて変位し同コアに当接する。前記磁束は
コイルへの通電が制御されることにより変動する。アー
マチャでは、この磁束変動を少なくするように渦電流が
流れる。
【0009】上述した共通の手段及び作用効果に加え、
請求項1〜8に記載の発明は、それぞれ次の手段及び作
用効果を有している。請求項1に記載の発明では、前記
アーマチャは、前記アーマチャステムに結合されたバル
ク材に対し、鋼板の積層体が前記アーマチャステムの軸
方向に重ね合わされることにより構成されているとす
る。
【0010】上記の構成によれば、アーマチャの一部
(コア側の部分又はその反対側部分)が鋼板の積層体に
よって構成されている。このため、積層体の各鋼板にお
いて磁束に直交する断面積が小さくなり、各鋼板におい
て、磁束の変動を少なくするように流れる渦電流が少な
くなる。これにともない、全鋼板、すなわち積層体全体
に流れる渦電流が、バルク材のみによってアーマチャを
構成した場合よりも少なくなり、渦電流に起因するエネ
ルギー損失(アーマチャの鉄損)を低減することができ
る。
【0011】また、アーマチャにおいて前記積層体とは
異なる部分が、アーマチャステムに結合されたバルク材
によって構成されている。このバルク材は金属材料等の
塊からなることから、複数の鋼板を重ね合わせて、それ
らを互いに結合させた積層体よりも高い衝撃破壊強度を
有する。このため、バルク材と積層体とからなるアーマ
チャ全体の衝撃破壊強度は、鋼板の積層体のみによって
アーマチャを構成した場合の衝撃破壊強度よりも高くな
る。従って、コイルへの通電によりアーマチャが変位し
てコアに当接しても、衝突による変形や摩耗を抑制する
ことができる。
【0012】このように、請求項1に記載の発明によれ
ば、鉄損を低減しつつ衝撃破壊強度の低下を抑え、アー
マチャ、ひいては電磁アクチュエータの信頼性及び耐久
性の向上を図ることができる。
【0013】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記積層体及び前記バルク材は、同
積層体が前記コアに向い合うように重ね合わされた状態
で配置されているとする。
【0014】上記の構成によれば、積層体及びバルク材
の位置関係に関し、同積層体がコアに向い合う側に位置
する。このため、バルク材がコアに向い合う側に位置す
る場合に比べ、バルク材での渦電流の発生を抑制し、ア
ーマチャの鉄損を好適に低減することができる。従っ
て、渦電流発生に起因する電磁アクチュエータの応答性
低下をより少なくすることができる。
【0015】なお、上記の構成では、アーマチャの往復
動にともない積層体がコアに当接し、同積層体に直接衝
撃が加わる場合がある。しかし、積層体についてコアと
は反対側に位置するバルク材は高い衝撃破壊強度を有す
る。このため、前記当接にともない積層体に加わった衝
撃はバルク材によって受止められる。このようにして、
バルク材を一部に用いない場合に比べアーマチャの衝撃
破壊強度を高めることができる。
【0016】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記バルク材は、前記積層体が重ね
合わされる基部と、同基部からアーマチャステムの軸方
向に延びる補強用リブとを有するとする。
【0017】上記の構成によれば、アーマチャの変位に
ともない、基部からアーマチャステムの軸方向に延びる
補強用リブがコアに当接し、同補強用リブに衝撃が加わ
る。バルク材の一部を構成する補強用リブは、積層体よ
りも高い衝撃破壊強度を有する。そのため、前記当接に
ともなう衝撃の少なくとも一部を補強用リブによって受
止めることとなり、補強用リブのない場合に比べて、同
積層体が変形したり摩耗したりするのを、より確実に抑
制することができる。
【0018】また、補強用リブの基部からの突出高さを
積層体の厚みよりも大きな値に設定した場合には、積層
体がコアに直接当接しないようにし、衝撃による積層体
の変形及び摩耗をより確実に抑制することが可能とな
る。
【0019】請求項4に記載の発明では、請求項1〜3
のいずれか1つに記載の発明において、前記積層体は、
巻回した状態の鋼板が積層されることにより構成されて
いるとする。
【0020】上記の構成によれば、巻回された各鋼板
は、平板状をなす鋼板よりも高い剛性を発揮する。しか
も、積層体ではこの巻回された鋼板が多数積層されてい
る。このようにして構成された積層体は、単に平板状鋼
板を厚み方向に積層することによって積層体を構成した
場合よりも高い衝撃破壊強度を発揮する。そのため、ア
ーマチャのコアとの衝突による変形や摩耗を抑制するこ
とができる。
【0021】請求項5に記載の発明では、前記アーマチ
ャは、アーマチャステムに結合されたバルク材に対し、
鋼板の積層体が締結部材によりアーマチャステムの径方
向に締結されることにより構成されているとする。
【0022】上記の構成によれば、アーマチャの一部
が、鋼板の積層体によって構成されている。このため、
積層体の各鋼板において磁束に直交する断面積が小さく
なり、各鋼板において、磁束の変動を少なくするように
流れる渦電流が少なくなる。これにともない、全鋼板、
すなわち積層体全体に流れる渦電流が、バルク材のみに
よってアーマチャを構成した場合よりも少なくなり、渦
電流に起因するエネルギー損失(アーマチャの鉄損)を
低減することができる。
【0023】また、アーマチャステムに結合されたバル
ク材に対し、締結部材によってアーマチャステムの径方
向に締結された鋼板の積層体では、その積層方向におけ
る強度が、締結部材を用いない場合よりも高くなる。こ
れにともないアーマチャ全体の衝撃破壊強度も十分高い
ものとなる。従って、コイルへの通電によりアーマチャ
が変位してコアに当接しても、衝突による変形や摩耗を
抑制することができる。
【0024】このように、請求項5に記載の発明によっ
ても、請求項1に記載の発明と同様にして、鉄損を低減
しつつ衝撃破壊強度の低下を抑え、アーマチャ、ひいて
は電磁アクチュエータの信頼性及び耐久性の向上を図る
ことができる。
【0025】請求項6に記載の発明では、請求項5に記
載の発明において、前記バルク材は、前記積層体が締結
される基部と、前記基部に設けられ、かつ前記アーマチ
ャステムの軸方向に延びる補強用リブとを有するとす
る。
【0026】上記の構成によれば、請求項3に記載の発
明と同様に、アーマチャの変位にともない補強用リブが
コアに当接し、同補強用リブに衝撃が加わる。バルク材
の一部を構成する補強用リブは、積層体よりも高い衝撃
破壊強度を有する。そのため、前記当接にともなう衝撃
の少なくとも一部を補強用リブによって受止めることと
なり、補強用リブのない場合に比べて、同積層体が変形
したり摩耗したりするのをより確実に抑制することがで
きる。
【0027】また、補強用リブの厚みを積層体の厚みよ
りも大きな値に設定した場合には、積層体がコアに直接
当接しないようにし、衝撃による積層体の変形及び摩耗
をより確実に抑制することが可能となる。
【0028】請求項7に記載の発明では、前記アーマチ
ャは鋼板を巻回することにより構成されているとする。
上記の構成によれば、鋼板を巻回したもの(巻回体)を
アーマチャとしているため、同鋼板において磁束に直交
する断面積が小さくなる。鋼板の各部において、磁束の
変動を少なくするように流れる渦電流が少なくなる。こ
れにともない、鋼板の巻回体に流れる渦電流が、バルク
材のみによってアーマチャを構成した場合よりも少なく
なる。このようにして、渦電流に起因するエネルギー損
失(アーマチャの鉄損)を低減することができる。
【0029】また、アーマチャを構成する鋼板が1枚の
部材からなるため、平板状の鋼板を積層してアーマチャ
とする場合とは異なり、鋼板同士を溶接、接着等の方法
によって連結しなくても、巻回体は所定の形状を保つ。
しかも、鋼板を内側の巻き部分に締付けながら巻き付け
た場合には、形状保持性が一層高くなる。従って、平板
状鋼板を厚み方向に積層し、溶接等によって連結した積
層体からなるアーマチャよりも高い衝撃破壊強度を発揮
する。そのため、アーマチャのコアとの衝突による変形
や摩耗を抑制することができる。
【0030】このように、請求項7に記載の発明によれ
ば、鉄損を低減しつつ衝撃破壊強度の低下を抑え、アー
マチャ、ひいては電磁アクチュエータの信頼性及び耐久
性の向上を図ることができる。
【0031】請求項8に記載の発明では、前記アーマチ
ャは、磁性粉末からなる圧粉体が、前記アーマチャステ
ムに結合されたバルク材により、前記コアに当接しない
ように補強されることにより構成されているとする。
【0032】上記の構成によれば、アーマチャの一部と
して磁性粉末の圧粉体を用いているため、各磁性粉末に
おいて磁束に直交する断面積が小さくなる。各磁性粉末
において、磁束の変動を少なくするように流れる渦電流
が少なくなる。これにともない、全磁性粉末、すなわち
圧粉体全体に流れる渦電流が、バルク材のみによってア
ーマチャを構成した場合よりも少なくなる。このように
して、渦電流に起因するエネルギー損失(アーマチャの
鉄損)を低減することができる。
【0033】また、圧粉体のみでは十分な衝撃破壊強度
を得にくく、圧粉体のみからなるアーマチャは特に衝撃
に弱いが、バルク材によってコアに当接しないように補
強することで、アーマチャの衝撃破壊強度が高められ
る。このため、コイルへの通電によりアーマチャが変位
してコアに当接しても、衝突による変形や摩耗を抑制す
ることができる。
【0034】このように、請求項8に記載の発明によれ
ば、鉄損を低減しつつ衝撃破壊強度の低下を抑え、アー
マチャ、ひいては電磁アクチュエータの信頼性及び耐久
性の向上を図ることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明の
電磁アクチュエータを、内燃機関の吸気バルブ又は排気
バルブを電磁力により開閉駆動する電磁駆動バルブに具
体化した第1実施形態について、図1〜図6に従って説
明する。
【0036】図1に示すように、内燃機関のシリンダヘ
ッド11には、吸気通路の一部又は排気通路の一部をな
し、かつ燃焼室13に連通するポート12が形成されて
いる。ポート12の燃焼室13側の端部には弁座(バル
ブシート)14が設けられている。シリンダヘッド11
にはバルブガイド17が取付けられ、このバルブガイド
17によってバルブステム15aがシリンダヘッド11
に対し軸方向(図1の上下方向)へ摺動可能に支持され
ている。バルブステム15aの燃焼室13側の端部には
弁体15bが設けられている。そして、これらバルブス
テム15a及び弁体15bにより、吸気バルブ又は排気
バルブとして機能するバルブ15が構成されている。ポ
ート12は、バルブ15の下方への移動にともない弁体
15bが弁座14から離座することにより、燃焼室13
と導通(開弁)状態となる。また、ポート12は、バル
ブ15の上方への移動にともない弁体15bが弁座14
に着座することにより、燃焼室13と遮断(閉弁)状態
となる。
【0037】バルブステム15aにおいて、燃焼室13
とは反対側の端部近傍にはロアリテーナ18が取付けら
れている。シリンダヘッド11とロアリテーナ18との
間であってバルブステム15aの周りには、ロアスプリ
ング19が圧縮状態で配置されており、このロアスプリ
ング19によって、バルブ15が閉弁方向(図1の上
方)へ常に付勢されている。
【0038】バルブステム15aと同軸線上にはアーマ
チャステム21が配置されている。アーマチャステム2
1のバルブステム15aと反対側の端部にはアッパリテ
ーナ22が取付けられている。シリンダヘッド11に
は、ケーシング(図示略)を介してアッパキャップ23
が固定されている。アッパキャップ23とアッパリテー
ナ22との間には、アッパスプリング24が圧縮状態で
配置されている。このアッパスプリング24によってア
ッパリテーナ22が常にバルブステム15a側へ付勢さ
れている。アッパスプリング24によるアッパリテーナ
22の付勢方向は、バルブ15の開弁方向(図1の下
方)と同じである。
【0039】アーマチャステム21の軸方向における略
中央部には、アーマチャ25が固定されている。前記ケ
ーシング(図示略)内において、アーマチャ25とアッ
パリテーナ22との間にはアッパコア26が固定されて
いる。同じく、ケーシング内において、アーマチャ25
とロアリテーナ18との間にはロアコア27が固定され
ている。前記アーマチャステム21はこれらのアッパコ
ア26及びロアコア27に挿通され、滑り軸受30によ
って同コア26,27に対し往復動可能に支持されてい
る。
【0040】アッパコア26において、アーマチャ25
と対向する面(図1の下面)には、アーマチャステム2
1を間に挟んだ状態で2本の溝26aが形成され、略矩
形状に巻かれたアッパコイル28がこれらの溝26a内
に収容及び保持されている。そして、これらのアッパコ
ア26及びアッパコイル28により、バルブ15を閉弁
方向に駆動するための電磁石(閉駆動用電磁石)31が
構成されている。
【0041】同様に、ロアコア27においてアーマチャ
25と対向する面(図1の上面)には、アーマチャステ
ム21を間に挟んだ状態で2本の溝27aが形成され、
略矩形状に巻かれたロアコイル29がこれらの溝27a
内に収容及び保持されている。そして、これらのロアコ
ア27及びロアコイル29により、バルブ15を開弁方
向に駆動するための電磁石(開駆動用電磁石)32が構
成されている。
【0042】ところで、図1及び図4に示すように、渦
電流損失の低減を目的として、電磁石31,32ではア
ッパコア26及びロアコア27(図4では図示略)が鋼
板33の積層体34によって構成されている。本実施形
態では、多数の鋼板33が、アーマチャステム21の径
方向に重ね合わされている。そして、これらの鋼板33
が溶接、接着等の方法に従って相互に連結されることに
よって積層体34が形成されている。各鋼板33におい
て、アーマチャ25に対向する面には切欠き33aが形
成されており、全鋼板33が積層されると、これらの切
欠き33aによって前述したコイル収容用の溝26a,
27aが形成される。
【0043】ここで、鋼板33としては、例えば一般に
電気機器の鉄心材料として用いられている電磁鋼板(ケ
イ素鋼板とも呼ばれる)が適している。電磁鋼板は、ケ
イ素を数%含有した不純物の少ない鋼板であり、ケイ素
を含有することにより極軟鋼板と比較して抵抗率が高
く、渦電流損が少ないという特徴を有している。電磁鋼
板としては、無方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板、冷間
圧延鋼板、熱間圧延鋼板等を用いることができる。方向
性電磁鋼板は、冷間圧延と高温焼きなましにより圧延方
向に結晶の磁化容易方向を揃え、高い磁性を持たせたも
のである。これらのうちでも、無方向性電磁鋼板及び方
向性電磁鋼板は絶縁皮膜が形成されている点で比較的望
ましい。また、冷間圧延鋼板及び熱間圧延鋼板の場合に
は、無方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板とは異なり絶
縁皮膜が形成されていないため、別途、絶縁皮膜を形成
することが好ましい。
【0044】一方、図2〜図4に示すように、アーマチ
ャ25は鋼板35の積層体36とバルク(塊)材37と
を備えている。鋼板35としては、上述したコア26,
27の鋼板33と同様のものが用いられている。各鋼板
35の長さをl1、幅をw、厚みをt1とすると、本実
施形態では、l1>w>t1の関係を有する長方形板状
(短冊状)をなすものが鋼板35として用いられてい
る。そして、幅w方向がアーマチャステム21に平行と
なるように各鋼板35が配置されている。さらに、同鋼
板35が厚みt1方向、すなわちアーマチャステム21
の径方向に重ね合わされている。そして、これらの鋼板
35が溶接、接着等の方法に従って相互に連結されるこ
とによって、高さの低い略直方体状をなす積層体36が
形成されている。
【0045】なお、鋼板35が無方向性電磁鋼板からな
る場合には、図2に示すように、コア26(27)にお
ける鋼板33の板面と、アーマチャ25における鋼板3
5の板面とが平行(図2では紙面と平行)となるよう
に、両鋼板33,35を配置して積層体34,36を形
成することが重要である。
【0046】また、方向性電磁鋼板の場合には、コア2
6(27)において鋼板35に磁力線xの流れる方向
と、アーマチャ25の鋼板35における磁化容易方向y
とが一致するように、両鋼板33,35を配置して積層
体34,36を構成することが重要である。これは、磁
力線xの流れる方向と磁化容易方向yとが一致しない場
合、鉄損が大きくなるからである。例えば、図2及び図
3におけるアーマチャ25が、同図の状態からアーマチ
ャステム21を中心として90度回転されて、磁力線x
の流れる方向に対し磁化容易方向yが直交する場合、磁
力線xは鋼板35の積層方向に流れ、隣り合う鋼板3
5,35間の空隙による絶縁層を垂直に通過することと
なり、その結果、鉄損が大きくなる。
【0047】図1及び図4に示すようにバルク材37
は、純鉄材、Fe−Al材、Fe−Si材等の純鉄系の
金属材料によってそれぞれ形成された本体部38及び蓋
部42からなる。本体部38は、四角板状の底部39
と、その底部39の相対向する側縁部に形成された一対
の側壁部40とからなる。この本体部38は溶接等の手
段によってアーマチャステム21に結合(固定)されて
いる。両側壁部40の底部39からの突出高さh1は、
前述した積層体36の厚み(鋼板35の幅w)と同じ
か、それ以上に設定されている。そして、これら底部3
9及び両側壁部40によって囲まれた空間である収容部
41に積層体36が収容されている。蓋部42は平板状
をなしており、収容部41に積層体36が配置された状
態の両側壁部40上に載置され、溶接等の手段によって
本体部38に固定されている。これら本体部38におけ
る各部の厚みt2及び蓋部42の厚みt3は、強度確保
の観点から1mm以上であることが望ましい。
【0048】このようにして、アーマチャ25は、アー
マチャステム21に結合されたバルク材37に対し、鋼
板35の積層体36がアーマチャステム21の軸方向に
重ね合わされることにより構成されている。
【0049】上記のように構成された電磁駆動バルブ1
6では、図1において両電磁石31,32のコイル2
8,29に通電されない場合には、アーマチャ25は、
アッパスプリング24及びロアスプリング19間の中立
位置に、すなわち、両電磁石31,32間の略中央に維
持される。アッパコイル28への通電により吸引電流が
流れると、アッパコア26及びアーマチャ25からなる
磁気回路が形成され、図2に示すようにアッパコイル2
8の周りに磁力線xが生じ、アーマチャ25に対し閉駆
動用電磁石31に向かう電磁力が作用する。この電磁力
により、アーマチャ25が閉駆動用電磁石31に向けて
変位する。アーマチャ25がアッパコア26に当接する
位置まで変位すると、弁体15bが弁座14に着座し閉
弁状態となる。
【0050】アッパコイル28への通電が停止される
と、アーマチャ25は、アッパスプリング24の付勢力
により開弁方向、すなわち、開駆動用電磁石32に向け
て変位し始める。アーマチャ25が開弁方向に所定量変
位した時点で、ロアコイル29に通電されると、ロアコ
ア27及びアーマチャ25からなる磁気回路が形成さ
れ、ロアコイル29の周りに磁力線が生じ、アーマチャ
25に対し開駆動用電磁石32に向かう電磁力が発生す
る。アーマチャ25がロアコア27に当接する位置まで
変位すると、バルブ15は全開状態となる。バルブ15
がこの全開状態に保持された後、ロアコイル29への通
電が停止されると、アーマチャ25を全開状態に保持す
るための磁気吸引力が消滅する。
【0051】このため、アーマチャ25は、ロアスプリ
ング19の付勢力により閉弁方向、すなわち、閉駆動用
電磁石31に向けて変位し始める。従って、両電磁石3
1,32のコイル28,29に交互に励磁電流が流され
るように通電を制御することにより、バルブ15が開閉
駆動される。
【0052】以上詳述した第1実施形態によれば、以下
の効果が得られる。 (1)アーマチャ25の一部(アーマチャステム21の
軸方向における中間部分)を鋼板35の積層体36によ
って構成している。このため、各鋼板35において、磁
力線xの集まりである磁束に直交する断面積が小さくな
る。各鋼板35において、磁束の変動を少なくするよう
に流れる渦電流が少なくなる。これにともない全鋼板3
5、すなわち積層体36の全体に流れる渦電流が少なく
なる。従って、アーマチャ25の一部が純鉄系金属材料
からなるバルク材37によって構成されているものの、
アーマチャ25の全体に流れる渦電流は、純鉄系バルク
材のみによってアーマチャを構成した場合よりも少なく
なる。このようにして、渦電流に起因するエネルギー損
失(アーマチャ25の鉄損)を低減し、電磁駆動バルブ
16の応答性低下を抑制することができる。
【0053】図5には、コア及びアーマチャについて、
それぞれの鉄損を測定した結果を示す。図5中、比較例
1は、コア及びアーマチャがともに純鉄系バルク材によ
って形成された場合を示している。比較例2は、コアが
電磁鋼板の積層体によって形成され、かつアーマチャが
純鉄系バルク材によって形成された場合を示している。
比較例3は、コア及びアーマチャがともに電磁鋼板の積
層体によって形成された場合を示している。実施例1は
第1実施形態に相当するものであり、コアが電磁鋼板の
積層体によって形成され、かつアーマチャが電磁鋼板の
積層体と純鉄系バルク材との組合わせによって形成され
た場合を示している。
【0054】図5から明らかなように、比較例1ではコ
ア及びアーマチャともに鉄損が大きい。コアが電磁鋼板
の積層体によって形成された比較例2では、比較例1よ
りもコアでの鉄損が少なくなっている。実施例1では、
アーマチャの一部が電磁鋼板の積層体によって形成され
ていることから、前記比較例2よりもアーマチャでの鉄
損が少なくなっている。そして、アーマチャの全体が電
磁鋼板の積層体によって形成された比較例3では、アー
マチャでの鉄損が最も少なくなっている。
【0055】また、第1実施形態では、図3に示すよう
に、アーマチャ25の外郭(外層)部分、特にコア2
6,27に向い合う部分が、アーマチャステム21に結
合されたバルク材37によって構成されている。このバ
ルク材37の底部39及び蓋部42はいずれも金属材料
の塊からなる。このことから、複数の鋼板35を重ね合
わせて、それらを互いに結合させた積層体36よりも高
い衝撃破壊強度を有する。このため、バルク材37と積
層体36とからなるアーマチャ25全体の衝撃破壊強度
は、鋼板の積層体のみによってアーマチャを構成した場
合の衝撃破壊強度よりも高くなる。
【0056】しかもアーマチャ25では、バルク材37
の底部39と蓋部42とが、積層体36を、アーマチャ
ステム21の軸方向についての両側から挟み込む構造を
採っている。さらに、本体部38の両側壁部40が、底
部39及び蓋部42間に位置している。これら両側壁部
40はスペーサとして機能し、底部39及び蓋部42を
一定距離離間させた状態に保持している。このようにし
て、底部39、蓋部42及び両側壁部40が積層体36
を覆って補強していることから、衝撃破壊強度が一層高
まっている。
【0057】従って、積層体36のみでは十分な衝撃破
壊強度を得にくいが、バルク材37によって、アーマチ
ャ25全体の衝撃破壊強度を高め、アーマチャ25のコ
ア26,27との衝突による変形や摩耗を抑制すること
ができる。
【0058】加えて、上述したように、底部39と蓋部
42とによって積層体36を挟み込むという構造を採っ
ていることから、コイル28,29への通電にともない
発生する電磁力によってアーマチャ25が往復動した場
合、底部39がロアコア27に当接し、蓋部42がアッ
パコア26に当接することとなる。アーマチャが電磁鋼
板の積層体のみからなる従来技術とは異なり、積層体3
6がアッパコア26やロアコア27に直接接触すること
はなくなる。このことも、アーマチャ25全体の衝撃破
壊強度を高めるうえで有効に作用している。
【0059】図6には、上述した比較例1〜3及び実施
例1について、それぞれアーマチャの衝撃破壊強度を測
定した結果を示す。図6から明らかなように、衝撃破壊
強度は、アーマチャがバルク材のみによって形成された
比較例1,2において最も大きい。次いで、衝撃破壊強
度は、電磁鋼板の積層体が純鉄系バルク材によって補強
された実施例1において大きい。そして、衝撃破壊強度
は、アーマチャが電磁鋼板の積層体のみによって形成さ
れた比較例3において最も小さい。
【0060】このように、第1実施形態によれば、鉄損
を低減しつつ衝撃破壊強度の低下を抑え、アーマチャ2
5、ひいては電磁駆動バルブ16の信頼性及び耐久性の
向上を図ることができる。
【0061】(2)鋼板33の積層体34によってアッ
パコア26及びロアコア27を構成している。このた
め、前述したように鋼板35の積層体36によってアー
マチャ25の一部を構成したことと相まって、鉄損をよ
り一層効果的に低減することができる。
【0062】(3)前述した従来技術(特開平10−2
08931号公報)では、半楕円形状又は半円形状の板
状部材(電磁鋼板)を面方向に積層したものを2つ隣接
接合させ、軸に取付けてアーマチャ部材としている。こ
の構造では、アーマチャ部材を軸に沿う一方向にしか変
位させることができない。両方向に往復動させるには、
アーマチャ部材をもう一つ設けることとなるが、その
分、重量が増加する問題がある。
【0063】これに対し、第1実施形態では、曲げ形成
されていない短冊状の鋼板35を用い、これを厚みt1
方向に積層した積層体36によってアーマチャ25の一
部を構成している。このアーマチャ25は、ロアコイル
29に通電された場合に、ロアコア27とともに磁気回
路を構成する。また、同アーマチャ25は、アッパコイ
ル28に通電された場合に、アッパコア26とともに磁
気回路を構成する。このため、1つの積層体36を用い
るのみで、アーマチャ25を軸方向に往復動させること
ができ、その分軽量化を図ることができる。
【0064】(第2実施形態)次に、本発明を具体化し
た第2実施形態について、図7〜図9に従って説明す
る。第2実施形態では、磁性粉末からなる圧粉体45が
アッパコア26及びロアコア27(図1参照)に当接し
ないよう、バルク材46で補強されることによってアー
マチャ53が構成されている。
【0065】圧粉体45としては、例えば、軟磁性粉末
を絶縁皮膜で被覆したものを用いることができる。その
ほかにも、軟磁性粉末と水ガラス等の絶縁材とを混練し
たものを圧粉体45として用いることもできる。また、
軟磁性粉末と樹脂系粉末とを混練し、熱間圧粉したもの
を圧粉体45として用いることもできる。圧粉体45で
は軟磁性粉末の粒子と粒子とが塑性変形等により物理的
に結合している。
【0066】ここで、軟磁性粉末を構成する金属材料と
しては、例えば純鉄系合金、Fe−Si系合金、Fe−
Al系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Ni系合
金、Fe−Co系合金、電磁ステンレス系合金等が挙げ
られる。
【0067】圧粉体45を補強するバルク材46は、第
1実施形態と同様に、本体部47及び蓋部52からな
る。本体部47は、四角板状の底部48と、その4つの
側縁部に沿って形成された四角枠状の側壁部49とから
なる。本体部47は溶接等の手段によってアーマチャス
テム21に結合(固定)されている。そして、底部48
と側壁部49とによって囲まれた空間である収容部51
に前記圧粉体45が収容されている。蓋部52は平板状
をなしており、圧粉体45が配置された状態の本体部4
7上に載置され、溶接等の手段によって同本体部47に
固定されている。
【0068】前述した事項以外は第1実施形態と同様で
ある。このため、第1実施形態と同様の部材については
同一の符号を付して説明を省略する。従って、第2実施
形態によれば、第1実施形態での(2),(3)と同様
の効果が得られるほか、次の効果も得られる。なお、下
記の(4)の効果は、第1実施形態での(1)の効果に
相当するものである。
【0069】(4)軟磁性粉末からなる圧粉体45と、
純鉄系金属材料からなるバルク材46とによってアーマ
チャ53を構成している。このようにアーマチャ53の
一部に圧粉体45を用いているため、その圧粉体45の
各軟磁性粉末において磁束に直交する断面積が小さくな
る。各軟磁性粉末において、磁束の変動を少なくするよ
うに流れる渦電流が少なくなる。これにともない全軟磁
性粉末、すなわち圧粉体45の全体に流れる渦電流が少
なくなる。従って、アーマチャ53の一部がバルク材4
6によって構成されているものの、アーマチャ53の全
体に流れる渦電流は、純鉄系バルク材のみによってアー
マチャを構成した場合よりも少なくなる。このようにし
て、第1実施形態での(1)の効果と同様にして、渦電
流に起因するエネルギー損失(アーマチャ53の鉄損)
を低減し、電磁駆動バルブ16の応答性低下を抑制する
ことができる。
【0070】図8には、コア及びアーマチャについて、
それぞれの鉄損を測定した結果を示す。図8中、比較例
1及び比較例2は、第1実施形態で説明したものと同じ
である。比較例4は、コアが電磁鋼板の積層体によって
形成され、かつアーマチャが磁性粉末の圧粉体のみによ
って形成された場合を示している。実施例2は第2実施
形態に相当するものであり、コアが電磁鋼板の積層体に
よって形成され、かつアーマチャが磁性粉末の圧粉体と
純鉄系バルク材との組合わせによって構成された場合を
示している。
【0071】図8から明らかなように、比較例1ではコ
ア及びアーマチャともに鉄損が大きい。コアが電磁鋼板
の積層体によって形成された比較例2では、比較例1よ
りもコアでの鉄損が少なくなっている。実施例2では、
アーマチャの一部が磁性粉末の圧粉体によって形成され
ていることから、比較例2よりもアーマチャでの鉄損が
少なくなっている。そして、アーマチャの全体が磁性粉
末の圧粉体によって形成された比較例4では、第1実施
形態で説明した比較例3と同様にアーマチャでの鉄損が
最も少なくなっている。
【0072】また、第2実施形態では、図7に示すよう
に、本体部47と蓋部52とによって、圧粉体45の全
体を外側から覆って補強している。このため、アーマチ
ャ53が往復動した場合、バルク材46の底部48がロ
アコア27に当接し、蓋部52がアッパコア26に当接
することとなる。アーマチャが電磁鋼板の積層体のみ、
又は磁性粉末からなる圧粉体のみによって構成されてい
る従来技術とは異なり、圧粉体45がアッパコア26や
ロアコア27に直接接触することはない。しかも、本体
部47及び蓋部52がそれぞれ金属材料の塊からなり、
バルク材46の一部を構成しているため、それらの衝撃
破壊強度は圧粉体45の衝撃破壊強度よりも高い。従っ
て、圧粉体45のみでは十分な衝撃破壊強度を得にく
い。しかし、バルク材46によってアッパコア26及び
ロアコア27に当接しないように補強することで、前記
第1実施形態での(1)の効果と同様にして、アーマチ
ャ53全体の衝撃破壊強度を高め、コア26,27との
衝突による変形や摩耗を抑制することができる。
【0073】図9には、上述した比較例1,2,4及び
実施例2について、それぞれアーマチャの衝撃破壊強度
を測定した結果を示す。図9から明らかなように、衝撃
破壊強度は、アーマチャがバルク材のみによって形成さ
れた比較例1,2において最も大きい。衝撃破壊強度
は、次いで磁性粉末の圧粉体が純鉄系バルク材によって
補強された実施例2において大きい。そして、衝撃破壊
強度は、アーマチャが磁性粉末の圧粉体のみによって形
成された比較例4において最も小さい。
【0074】このように、第2実施形態によれば、鉄損
を低減しつつ衝撃破壊強度の低下を抑え、アーマチャ5
3、ひいては電磁駆動バルブ16の信頼性及び耐久性の
向上を図ることができる。
【0075】(5)圧粉体45では、その圧粉体45を
構成する磁性粉末が磁気的に等方性を有している。この
ため、第2実施形態は第1実施形態とは異なり、圧粉体
45の配置に際し磁束の流れる方向を考慮しなくてもす
む。
【0076】(第3実施形態)次に、本発明を具体化し
た第3実施形態について、図10〜図13に従って説明
する。第3実施形態では、電磁鋼板等の鋼板56からな
る一対の積層体57,57と純鉄系金属材料からなるバ
ルク材58とが、各積層体57がアッパコア26又はロ
アコア27に向い合うように重ね合わされることにより
アーマチャ59が構成されている。
【0077】詳しくは、バルク材58は四角板状をな
し、その中心部分においてアーマチャステム21に固定
されている。バルク材58の厚みt4は、強度確保の観
点から1mm以上であることが望ましい。このバルク材
58の上下両側に、積層体57,57が溶接等の手段に
よって固定されている。前述した事項以外は第1実施形
態と同様である。このため、第1実施形態と同様の部材
については同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】従って、第3実施形態によれば、上述した
第1実施形態での(1),(2)と同様の効果が得られ
るほか、次の効果も得られる。 (6)積層体36の略全体がバルク材37によって包み
込まれた第1実施形態とは異なり、第3実施形態では、
積層体が2つ(57,57)に分けられ、平板状をなす
バルク材58が両積層体57,57によって挟み込まれ
ている。表現を変えると、各積層体57はバルク材58
との位置関係において、アッパコア26及びロアコア2
7に向い合う側に配置され、バルク材58に重ね合わさ
れている。このため、蓋部42及び底部39が積層体3
6よりもコア26,27側に位置する第1実施形態に比
べ、バルク材58での渦電流の発生をより一層抑制し、
アーマチャ59の鉄損を好適に低減することができる。
このことは、渦電流発生に起因する電磁駆動バルブ16
の応答性低下を抑制するうえで有効である。
【0079】図12には、磁束密度に対する鉄損を測定
した結果を示す。図12中、特性線L1は、コアを電磁
鋼板の積層体によって構成し、アーマチャを純鉄系バル
ク材のみによって構成した比較例5を示している。ま
た、特性線L2は、コアを電磁鋼板の積層体によって構
成し、アーマチャを、一対の電磁鋼板の積層体の間に純
鉄系バルク材を介在させて構成した実施例3(第3実施
形態に相当)を示している。図12からは、比較例5で
は、磁束密度の上昇にともない鉄損が急激に増加するの
に対し、実施例3では、磁束密度が大きくなっても鉄損
がさほど増加しないことがわかる。
【0080】また、第3実施形態では、図10及び図1
1に示すように、各積層体57よりもコア26,27側
にバルク材がないため、アーマチャ59の往復動にとも
ない各積層体57がコア26,27に直接当接し、同積
層体57に直接衝撃が加わる。しかし、両積層体57,
57間に配置されたバルク材58は純鉄系金属材料の塊
であることから高い衝撃破壊強度を有する。このため、
前記当接にともない積層体57に加わった衝撃はバルク
材58によって受止められる。従って、積層体57,5
7のみでは十分な衝撃破壊強度を得にくいが、バルク材
58で補強することによって、バルク材を一部に用いな
い場合に比べ、アーマチャ59全体の衝撃破壊強度を高
めることができる。
【0081】図13には、上述した比較例5及び実施例
3について、それぞれアーマチャの衝撃破壊強度を測定
した結果を示す。実施例3では、衝撃破壊強度はアーマ
チャがバルク材のみによって形成された比較例5よりも
やや低下するが、実用上問題となるほどではない。
【0082】(第4実施形態)次に、本発明を具体化し
た第4実施形態について、図14及び図15に従って説
明する。第4実施形態では、バルク材61が、積層体6
6が重ね合わされる基部62と、その基部62からアー
マチャステム21の軸方向(図14及び図15の上下方
向)に延びる補強用リブ63とを有している。
【0083】詳しくは、基部62は第3実施形態におけ
るバルク材58に相当するものであり、四角板状をなし
ている。補強用リブ63は、基部62のアッパコア26
側の面及びロアコイル29側の面にそれぞれ設けられて
いる。補強用リブ63は、外部リブ64及び内部リブ6
5からなる。外部リブ64は、基部62の両面に関し、
全て(4つ)の側縁部に沿って形成され、四角枠状をな
している。内部リブ65は、基部62の両面に関し、各
外部リブ64内において十字形状に形成されている。こ
れら外部リブ64及び内部リブ65の基部62からの突
出高さh2は、積層体66の厚みt5と同一又はやや大
きな値に設定されることが望ましい。この内部リブ65
によって、外部リブ64内の空間が4つの収容部67に
仕切られている。そして、電磁鋼板等からなる鋼板68
の積層体66が各収容部67内に収容され、溶接等の手
段によって補強用リブ63に固定されている。
【0084】なお、補強用リブ63は鍛造、切削等によ
って基部62と一体に設けられてもよいし、基部62と
は別に形成された後に、溶接等によってその基部62に
固定されてもよい。前述した事項以外は第3実施形態と
同様である。このため、第3実施形態と同様の部材につ
いては同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】従って、第4実施形態によれば、上述した
第3実施形態での(1),(2),(6)と同様の効果
が得られるほか、次の効果も得られる。 (7)バルク材61の一部として、基部62からアーマ
チャステム21の軸方向に延びる補強用リブ63が設け
られている。このため、アーマチャ69の復動にともな
い補強用リブ63がコア26,27に当接し、同補強用
リブ63に衝撃が加わる。補強用リブ63がバルク材6
1の一部を構成していて、各積層体66よりも高い衝撃
破壊強度を有する。従って、前記当接にともなう衝撃の
少なくとも一部を補強用リブ63によって受止めること
により、同補強用リブ63のない場合に比べ、アーマチ
ャ69、特に積層体66が変形したり摩耗したりするの
を抑制することができる。
【0086】また、補強用リブ63の基部62からの突
出高さh2が積層体66の厚みt5よりも大きな値に設
定された場合には、積層体66がコア26,27に直接
接触するのを抑制し、衝撃による積層体66の変形及び
摩耗をより確実に抑制することができる。
【0087】なお、前述した図13における実施例4は
この第4実施形態に対応している。すなわち、基部上
に、外部リブ及び内部リブからなる補強用リブが形成さ
れている場合のアーマチャの衝撃破壊強度を示してい
る。この図13からは、基部に補強用リブを追加したこ
とにより、補強用リブの設けられていない実施例3に比
べ、衝撃破壊強度が高くなっていることがわかる。
【0088】(第5実施形態)次に、本発明を具体化し
た第5実施形態を図16に従って説明する。第5実施形
態では、アーマチャ73が、アーマチャステム21の周
りに、方向性電磁鋼板等の鋼板72を巻回することによ
り構成されている。詳しくは、アーマチャステム21上
には直方体状の芯部材71が固定され、その芯部材71
の周りに鋼板72が巻回されている。鋼板72の始端
(巻き始めの部分)72aは、芯部材71に形成された
切込み(図示略)に差込まれ、さらに溶接によって芯部
材71に固定されている。また、鋼板72の終端(巻き
終りの部分)72bは、溶接によって、その終端72b
よりも1巻内側の部分に連結されている。このようにし
て鋼板72の巻回体が、芯部材71を介してアーマチャ
ステム21に固定されている。なお、第5実施形態で
は、第1〜第4実施形態とは異なり、バルク材がアーマ
チャ73の構成部材として用いられていない。前述した
事項以外の構成は第1実施形態と同様である。このた
め、第1実施形態と同様の部材については同一の符号を
付して説明を省略する。
【0089】従って、第5実施形態によれば、上述した
第1実施形態での(2),(3)と同様の効果が得られ
るほか、次の効果も得られる。なお、下記の(8),
(9)の効果は、第1実施形態における(1)の効果に
相当するものである。
【0090】(8)鋼板72の巻回体をアーマチャ73
としているため、鋼板72において磁束に直交する断面
積が小さくなる。鋼板72において、磁束の変動を少な
くするように流れる渦電流が少なくなる。しかも、渦電
流の増大の一因となる純鉄系バルク材を用いていない。
これにともない鋼板72の巻回体の全体に流れる渦電流
は、純鉄系バルク材のみによってアーマチャを構成した
場合に比べ少なくなる。このようにして、渦電流に起因
するエネルギー損失(アーマチャ73の鉄損)を低減
し、電磁駆動バルブ16の応答性低下を抑制することが
できる。
【0091】(9)鋼板72が芯部材71を介してアー
マチャステム21に巻回されることによってアーマチャ
73が構成されている。この鋼板72は1枚の長尺状板
材からなるため、短冊状をなす多数枚の鋼板を積層し、
隣り合う鋼板同士を溶接、接着等の方法によって連結す
る場合とは異なり、この連結を行わなくても所定の形状
を保つ。しかも、鋼板72が内側の巻き部分に締付けら
れながら巻き付けられるため、形状保持性が一層高くな
る。従って、第5実施形態でのアーマチャ73は、短冊
状電磁鋼板を厚み方向に積層した積層体からなるアーマ
チャよりも高い衝撃破壊強度を発揮する。そのため、ア
ーマチャ73のコア26,27との衝突による変形や摩
耗を抑制することができる。
【0092】(第6実施形態)次に、本発明を具体化し
た第6実施形態を図17に従って説明する。第6実施形
態では、アーマチャ81がバルク材76と一対の巻回体
77とを備えている。バルク材76は、前述した第3実
施形態におけるバルク材58と同様のものであり、純鉄
系の金属材料によって形成され、その中心部分において
アーマチャステム21に固定されている。バルク材76
の厚みt6は、強度確保の観点から1mm以上であるこ
とが望ましい。
【0093】各巻回体77は、前述した第5実施形態に
おける巻回体と同様のものである。すなわち、アーマチ
ャステム21上であって、バルク材76のアッパコア2
6側(図17の上側)の面と、ロアコア27側(図17
の下側)の面とにはそれぞれ芯部材78が固定されてい
る。そして、これらの芯部材78の周りに方向性電磁鋼
板等の鋼板79を巻回することにより各巻回体77が構
成されている。従って、両巻回体77はバルク材76に
対し、アーマチャステム21の軸方向(図17の上下方
向)に重ね合わされていることになる。なお、各巻回体
77が芯部材78に固定されていることについては先に
説明した通りであるが、これに加えて、同巻回体77が
溶接等の手段によってバルク材76に固定されてもよ
い。前述した事項以外は第5実施形態と同様である。
【0094】従って、第6実施形態によれば、上述した
第5実施形態での(2),(3),(8),(9)と同
様の効果が得られるほか、次の効果も得られる。なお、
下記の(11),(12)の効果は、第3実施形態での
(6)の効果に対応するものである。
【0095】(10)各巻回体77を芯部材78及びバ
ルク材76の両方に結合した場合には、同巻回体77を
芯部材78に対してのみ結合した場合に比べ、巻回体7
7のアーマチャステム21に対する結合強度が高まる。
【0096】(11)各巻回体77はバルク材76との
位置関係において、アッパコア26又はロアコア27に
向い合う側に配置され、そのバルク材76に重ね合わさ
れている。このため、バルク材76を巻回体77よりも
コア26,27側に配置した場合に比べ、バルク材76
での渦電流の発生を抑制し、アーマチャ81の鉄損を好
適に低減することができる。このことは、渦電流発生に
起因する電磁駆動バルブ16の応答性低下を抑制するう
えで有効である。
【0097】(12)第6実施形態では、各巻回体77
よりもコア26,27側にバルク材がないため、アーマ
チャ81の往復動にともない各巻回体77がコア26,
27に直接当接し、同巻回体77に直接衝撃が加わる。
両巻回体77,77間に配置されたバルク材76は純鉄
系金属材料の塊であるため、各巻回体77よりも高い衝
撃破壊強度を有する。このため、前記当接にともない巻
回体77に加わった衝撃はバルク材76によって受止め
られる。従って、両巻回体77をバルク材76で補強す
ることによって、アーマチャ81の衝撃破壊強度をより
一層高め、コア26,27との衝突による変形や摩耗を
抑制することができる。
【0098】(第7実施形態)次に、本発明を具体化し
た第7実施形態について、図18に従って説明する。第
7実施形態では、バルク材88が、一対の巻回体87が
重ね合わされる基部92と、その基部92からアーマチ
ャステム21の軸方向(図18の上下方向)に延びる補
強用リブ91とを有している。
【0099】詳しくは、基部92は第6実施形態におけ
るバルク材76に相当するものであり、四角板状をなし
ている。補強用リブ91は、アーマチャ89においてコ
ア26,27と当接する箇所(以下、当接対象箇所とい
う)に設けられている。第7実施形態では、この当接対
象箇所として、アーマチャステム21の軸方向について
の基部92両側において、相対向する側縁部が選ばれて
いる。補強用リブ91の基部92からの突出高さh3
は、巻回体87の厚みt7よりも大きな値に設定される
ことが望ましい。前述した事項以外は第6実施形態と同
様である。
【0100】上記バルク材88を有するアーマチャ89
の製作に際しては、例えば、一対の芯部材93をバルク
材88とは別に設け、各芯部材93の周りに鋼板86を
巻回して巻回体87を形成する。アーマチャステム21
にバルク材88を固定した後、そのアーマチャステム2
1に各芯部材93を嵌める。各芯部材93をアーマチャ
ステム21の端部から中間部分に向けてスライドさせ
る。このスライドを、各巻回体87が、基部92及び補
強用リブ91によって囲まれた空間に入り込み、かつ芯
部材93が基部92に当るまで行う。その後、各巻回体
87を、基部92や補強用リブ91に対し、溶接等の手
段によって固定する。こうすると、補強用リブ91を有
するバルク材88と一対の巻回体87とを備える所望の
アーマチャ89が得られる。前述した事項以外は第6実
施形態と同様である。
【0101】従って、第7実施形態によれば、上述した
第6実施形態での(2),(3),(8)〜(12)と
同様の効果が得られるほか、次の効果も得られる。 (13)基部92の相対向する側縁部に補強用リブ91
が形成されている。このため、アーマチャ89の往復動
にともない両補強用リブ91がコア26,27に当接
し、同補強用リブ91に衝撃が加わる。バルク材88の
一部を構成する補強用リブ91は、純鉄系金属材料の塊
であることから、各巻回体87よりも高い衝撃破壊強度
を有する。そのため、前記当接にともなう衝撃の少なく
とも一部を補強用リブ91によって受止めることとな
り、同補強用リブ91のない場合に比べて、アーマチャ
89、特に巻回体87が変形したり摩耗したりするのを
抑制することができる。
【0102】また、補強用リブ91の基部92からの突
出高さh3が巻回体87の厚みt7よりも大きな値に設
定された場合には、巻回体87がコア26,27に直接
接触するのを抑制し、当接にともなう衝撃による巻回体
87の変形及び摩耗をより確実に抑制することができ
る。
【0103】(第8実施形態)次に、本発明を具体化し
た第8実施形態について、図19に従って説明する。第
8実施形態では、アーマチャステム21上に直方体状の
芯部材96が固定されている。芯部材96の周りには、
その芯部材96を中心として四角筒状に巻回され、かつ
芯部材96から径方向に離れるにつれて大きくなる多数
の方向性電磁鋼板等の鋼板97が順に積層されている。
これらの鋼板97が溶接、接着等の方法に従って相互に
連結されることによって積層体98が形成されている。
最も内側の鋼板97が溶接等の手段によって芯部材96
に固定されることによって、積層体98が芯部材96を
介してアーマチャステム21に固定されている。そし
て、この積層体98によってアーマチャ99が構成され
ている。前述した事項以外の構成は第5実施形態と同様
である。
【0104】従って、第8実施形態によれば、上述した
第5実施形態での(2),(3),(8),(9)と同
様の効果が得られるほか、次の効果も得られる。 (14)積層体98を構成する各鋼板97は、複数箇所
で折曲げられることにより四角筒状に巻回されている。
このように巻回された各鋼板97は、短冊状をなす電磁
鋼板よりも高い剛性を発揮する。しかも、この巻回され
た鋼板97が多数積層され、隣り合う鋼板97が溶接等
の手段で相互に連結されることによって積層体98が構
成されている。この積層体98は、単に短冊状電磁鋼板
を厚み方向に積層することによって積層体を構成した場
合よりも高い衝撃破壊強度を発揮する。そのため、1枚
の鋼板72を巻回してアーマチャ73を構成した第5実
施形態ほどではないにしても、アーマチャ99のコア2
6,27との衝突による変形や摩耗を抑制することがで
きる。
【0105】(第9実施形態)次に、本発明を具体化し
た第9実施形態について、図20及び図21に従って説
明する。第9実施形態では、アーマチャ115がバルク
材111、鋼板113の積層体112及び締結部材を備
えている。
【0106】詳しくは、バルク材111は純鉄系金属材
料からなり、比較的厚みの薄い直方体形状をなしてい
る。このバルク材111の中心部分にはアーマチャステ
ム21が貫通されている。そして、バルク材111は溶
接等の手段によってアーマチャステム21に結合(固
定)されている。各積層体112は、電磁鋼板等からな
り、かつ短冊状をなす多数枚の鋼板113をその厚み方
向に積層することによって構成されている。各積層体1
12は、その積層方向をアーマチャステム21の径方向
と一致させた状態で、バルク材111の両側に配置され
ている。
【0107】締結部材は各積層体112をバルク材11
1に対し、アーマチャステム21の径方向に締結してい
る。締結部材としては、例えば、小径の棒材からなるピ
ン114を用いることができる。ピン114は各積層体
112に対し、鋼板113の積層方向に貫通されるとと
もに、バルク材111においてアーマチャステム21か
ら離れた箇所に貫通されている。両積層体112から突
出するピン114の両端部には、同ピン114のほかの
部分よりも径の大きな拡径部114a,114bが設け
られている。一方の拡径部114aは、もともとピン1
14の一端部に設けられた頭部であり、他方の拡径部1
14bは、例えばピン114の貫通後、同ピン114の
他端部が潰されることによって形成されたものである。
すなわち、ピン114がリベットと同様の態様で用いら
れることにより、各積層体112がバルク材111に押
付けられた状態で固定(締結)されている。
【0108】なお、締結部材としては、そのほかにも、
叩いて打込むタイプのピンであるノックピン(平行ピ
ン、テーパピン、スプリングピン等)、孔に通した後に
先端を折曲げることにより締結する割ピン等を用いても
よい。また、ピン以外にも、ねじを用いることもでき
る。ねじとしては、ボルト、ボルト及びナットの組合わ
せ、小ねじ(ビス)等が挙げられる。ボルト、ビス等を
締結部材とした場合には、バルク材111にねじ孔を形
成し、積層体112を貫通させたボルト、ビス等をねじ
孔に螺合させる。また、ボルト及びナットの組合わせを
締結部材とした場合には、両積層体112及びバルク材
111に孔をそれぞれ形成し、これらの孔に通したボル
トにナットを螺合させる。
【0109】このように、本実施形態では、アーマチャ
ステム21に結合されたバルク材111に対し、鋼板1
13の積層体112がピン114でアーマチャステム2
1の径方向に締結されることにより、アーマチャ115
が構成されている。前述した事項以外の構成は第1実施
形態と同様である。
【0110】従って、第9実施形態によれば、上述した
第1実施形態での(2),(3)と同様の効果が得られ
るほか、次の効果も得られる。なお、下記の(15)の
効果は第1実施形態における(1)の効果に相当するも
のである。
【0111】(15)アーマチャ115の一部が、アー
マチャステム21の径方向に積層された鋼板113の積
層体112によって構成されている。このため、積層体
112の各鋼板113において磁束に直交する断面積が
小さくなる。各鋼板113において、磁束の変動を少な
くするように流れる渦電流が少なくなる。これにともな
い、全鋼板113、すなわち両積層体112の全体に流
れる渦電流が、バルク材のみによってアーマチャを構成
した場合よりも少なくなり、渦電流に起因するエネルギ
ー損失(アーマチャ115の鉄損)を低減することがで
きる。
【0112】(16)ピン114によってバルク材11
1に締結された積層体112では、鋼板113の積層方
向における強度が、ピン114を用いない場合よりも高
くなる。これにともない、バルク材111と積層体11
2とからなるアーマチャ115の全体の衝撃破壊強度は
十分高いものとなる。従って、コイル28,29への通
電によりアーマチャ115が変位して同コア26,27
に当接しても、衝突による変形や摩耗を抑制することが
できる。
【0113】(第10実施形態)次に、本発明を具体化
した第10実施形態について図22及び図23に従って
説明する。第10実施形態では、バルク材121が、積
層体112が締結される基部122と、基部122に設
けられ、かつアーマチャステム21の軸方向(図23の
上下方向)に延びる補強用リブ123とを有している。
【0114】詳しくは、基部122は第9実施形態にお
けるバルク材111に相当するものであり、積層体11
2の厚みt8と同一又はやや大きな厚みt9を有する直
方体形状に形成されている。補強用リブ123は一対設
けられており、基部122において積層体112が締結
されない側(図22の上下両側、図23の左右両側)に
それぞれ設けられている。各補強用リブ123の厚みt
10は基部122の厚みt9と略同じに設定されてい
る。各補強用リブ123の長さl2は、基部122にお
ける短手方向の長さl3と、両積層体112の積層方向
の長さl4,l5とを合計した長さと同じか、それより
も長くなっている。これは、積層体112、特に積層方
向における外側部分がコア26,27に直接当接しない
ようにするためである。そして、前述したバルク材12
1、両積層体112及び両締結部材(ピン114)によ
って、アーマチャ124が構成されている。前述した事
項以外の構成は第9実施形態と同様である。
【0115】従って、第10実施形態によれば、上述し
た第9実施形態での(2),(3),(15),(1
6)と同様の効果が得られるほか、次の効果も得られ
る。 (17)基部122の両側縁部に、アーマチャステム2
1の軸方向に延びる補強用リブ123が設けられてい
る。このため、アーマチャ124の変位にともない両補
強用リブ123がコア26,27に当接し、同補強用リ
ブ123に衝撃が加わる。バルク材121の一部を構成
する両補強用リブ123は、積層体112よりも高い衝
撃破壊強度を有する。そのため、前記当接にともなう衝
撃の少なくとも一部を補強用リブ123によって受止め
ることとなり、補強用リブのない場合に比べて、同積層
体112が変形したり摩耗したりするのをより確実に抑
制することができる。
【0116】また、補強用リブ123の厚みt10が積
層体112の厚みt8よりも大きな値に設定された場合
には、積層体112がコア26,27に直接当接しない
ようにし、衝撃による積層体112の変形及び摩耗をよ
り確実に抑制することが可能となる。
【0117】なお、本発明は次に示す別の実施形態に具
体化することができる。・本発明の電磁アクチュエータ
は、コイルへの通電にともない発生する電磁力によりコ
アに向けて変位してそのコアに当接するアーマチャを備
えたものであれば、前述した電磁駆動バルブ16以外に
も適用可能である。例えば、モータの制動に用いられる
交流電磁ブレーキや、モータと被動軸との間で駆動力の
伝達、遮断を行う交流電磁クラッチ等が適用対象として
挙げられる。
【0118】・第1実施形態におけるバルク材37の側
壁部40は、底部39及び蓋部42を互いに一定距離離
間させた状態に保持する機能を有する。従って、この機
能を発揮し得るように、すなわちコア26,27との当
接にともなう衝撃により変形、破損等を起さない程度の
強度を確保することを条件に、側壁部40の形状、数等
を変更可能である。例えば、図24に示すように、側壁
部40を底部39の全側縁部(4つの側縁部)に沿って
形成してもよい。また、各側壁部40を、底部39の側
縁部の全長にわたって形成せず、側縁部の任意の箇所、
例えば図25において実線で示すように角部にのみ形成
してもよい。また、図25において二点鎖線で示すよう
に、側縁部の中間部分にのみ側壁部40を形成してもよ
い。
【0119】・前記各実施形態では、アッパコア26及
びロアコア27についても鋼板33の積層体34によっ
て構成したが、同コア26,27を純鉄系金属材料等か
らなるバルク材によって形成してもよい。
【0120】・第4施形態において、補強用リブ63に
その補強機能を発揮させるためには、前述したように
「補強用リブ63は、少なくともアーマチャ69におい
てコア26,27と接触する箇所に設けられる」必要が
ある。従って、この要件を満たすことを条件に、補強用
リブ63の位置、形状等を適宜変更可能である。これに
ともない積層体66の数も適宜変更可能である。図26
及び図27に、その変更に係る種々の態様を示す。
【0121】各図中の一点鎖線は、コア26,27のア
ーマチャ69との当接対象箇所101a,101bを示
しており、いずれも長方形状をなしている。当接対象箇
所101aは、コア26,27のアーマチャ69側の面
において、両溝26a(27a)によって挟まれた中央
の部分である。当接対象箇所101bは、コア26,2
7のアーマチャ69側の面において、各溝26a(27
a)よりも外側の部分である。
【0122】図26(a)の補強用リブ63は、四角枠
状の外部リブ64と、その外部リブ64によって囲まれ
た空間を2つに仕切る1つの長尺状内部リブ65とによ
って構成されている。外部リブ64は、基部62(図1
4参照)の全て(4つ)の側縁部に沿って設けられてい
る。内部リブ65は、基部62の中央部を通り、かつ当
接対象箇所101a,101bの幅方向(図26(a)
の左右方向)に延びている。従って、両当接対象箇所1
01bについては、それらの全長にわたって補強用リブ
63が当接することとなる。また、当接対象箇所101
aについては、その長さ方向における中間部分と両端部
分とにのみ補強用リブ63が当接することとなる。そし
て、内部リブ65によって2つに仕切られた各空間に積
層体66が1つずつ配置されている。
【0123】図26(b)の補強用リブ63は、前記図
26(a)の補強用リブ63と同様に、四角枠状の外部
リブ64と1つの長尺状内部リブ65とによって構成さ
れている。図26(a)との相違は、内部リブ65が当
接対象箇所101aの長さ方向(図26(b)の上下方
向)へ延びていることである。従って、いずれの当接対
象箇所101a,101bについても、それらの全長に
わたって補強用リブ63が当接することとなる。
【0124】図26(c)の補強用リブ63は、2つの
長尺状外部リブ64と1つの長尺状内部リブ65とによ
って構成されている。両外部リブ64は、基部62の相
対向する側縁部において当接対象箇所101a,101
bの幅方向(図26(c)の左右方向)へ延びている。
内部リブ65は、基部62の中央部を通り、かつ前記幅
方向に延びている。従って、いずれの当接対象箇所10
1a,101bについても、それらの長さ方向(図26
(c)の上下方向)における中間部分と両端部分とにの
み補強用リブ63が当接することとなる。そして、内部
リブ65と外部リブ64とによって挟まれた空間に積層
体66が1つずつ配置されている。
【0125】図26(d)の補強用リブ63は、前記図
26(c)の補強用リブ63と同様に、2つの長尺状外
部リブ64と1つの長尺状内部リブ65とによって構成
されている。図26(c)との相違は、これらのリブ6
4,65がいずれも当接対象箇所101a,101bの
長さ方向(図26(d)の上下方向)へ延びていること
である。従って、いずれの当接対象箇所101a,10
1bについても、それらの全長にわたって補強用リブ6
3が当接することとなる。
【0126】図27(a)の補強用リブ63は、前記図
26(d)の補強用リブ63と同様に、2つの長尺状外
部リブ64と1つの長尺状内部リブ65とによって構成
されている。図26(d)との相違は、内部リブ65が
当接対象箇所101a,101bの幅方向(図27
(a)の左右方向)に延びていることである。従って、
当接対象箇所101aについては、その長さ方向におけ
る中間部分にのみ補強用リブ63が当接することとな
る。
【0127】図27(b)の補強用リブ63は、前記図
26(c)の補強用リブ63と同様に、2つの長尺状外
部リブ64と1つの長尺状内部リブ65とによって構成
されている。図26(c)との相違は、内部リブ65が
当接対象箇所101aの長さ方向(図27(b)の上下
方向)に延びていることである。従って、当接対象箇所
101aについては、その全長にわたって補強用リブ6
3が当接することとなる。
【0128】図27(c)の補強用リブ63は十字状の
内部リブ65によって構成されている。従って、当接対
象箇所101aについては、その全長にわたって補強用
リブ63が当接することとなる。また、両当接対象箇所
101bについては、それらの長さ方向(図27(c)
の上下方向)における中間部分にのみ補強用リブ63が
当接することとなる。そして、内部リブ65によって分
割された4つの空間のそれぞれに積層体66が1つずつ
配置されている。
【0129】上記のように補強用リブ63の位置、形状
等を種々変更しても、当接対象箇所101a,101b
の少なくとも一部に補強用リブ63が位置することか
ら、前述した第4実施形態と同様の効果が得られる。な
お、補強用リブ63の当接対象箇所101a,101b
に占める割合が大きくなるほど、アーマチャ69の衝撃
破壊強度が高くなる傾向にある。
【0130】・第7実施形態において、補強用リブ91
にその補強機能を発揮させるためには、前述したように
「補強用リブ91は、少なくともアーマチャ89におい
てコア26,27と接触する箇所に設けられる」必要が
ある。従って、この要件を満たすことを条件に、補強用
リブ91の位置、形状等を適宜変更可能である。これに
ともない巻回体87の数も適宜変更可能である。図28
〜図31に、その変更に係る種々の態様を示す。
【0131】各図中の一点鎖線は、コア26,27のア
ーマチャ89との当接対象箇所102a,102bを示
しており、いずれも長方形状をなしている。当接対象箇
所102aは、コア26,27のアーマチャ89側の面
において、両溝26a(27a)によって挟まれた中央
の部分である。両当接対象箇所102bは、コア26,
27のアーマチャ89側の面において、各溝26a(2
7a)よりも外側の部分である。
【0132】なお、各巻回体87は、芯部材93の周り
に鋼板86を巻回することによって構成されている。芯
部材93については、これがアーマチャステム21上に
位置する場合(図28(a),(b))と、アーマチャ
ステム21とは異なる箇所に位置する場合(図28
(c),(d)、図29〜図31)とがある。
【0133】図28(a)の補強用リブ91は、基部9
2の相対向する側縁部において、各当接対象箇所102
a,102bの幅方向(図28(a)の左右方向)に延
びる一対の長尺状外部リブ103によって構成されてい
る。従って、各当接対象箇所102a,102bの両端
部分にのみ補強用リブ91が当接することとなる。両外
部リブ103によって挟まれた空間には、1つの巻回体
87が配置されている。
【0134】また、図28(b)の補強用リブ91は、
基部92の全て(4つ)の側縁部に沿って設けられた四
角枠状の外部リブ103によって構成されている。従っ
て、両当接対象箇所102bについては、それらの全長
にわたって補強用リブ91が当接することとなる。ま
た、当接対象箇所102aについては、その両端部分に
のみ補強用リブ91が当接することとなる。外部リブ1
03によって囲まれた空間には、1つの巻回体87が配
置されている。
【0135】図28(c)の補強用リブ91は、基部9
2の中央部を通り、かつ当接対象箇所102a,102
bの幅方向(図28(c)の左右方向)に延びる1つの
長尺状内部リブ104によって構成されている。従っ
て、いずれの当接対象箇所102a,102bについて
も、それらの長さ方向における中間部分にのみ補強用リ
ブ91が当接することとなる。そして、内部リブ104
の両側に巻回体87が1つずつ配置されている。
【0136】図28(d)の補強用リブ91は、前記図
28(c)の補強用リブ91と同様に、1つの長尺状内
部リブ104によって構成されている。図28(c)と
の相違は、内部リブ104が当接対象箇所102aの長
さ方向(図28(d)の上下方向)に延びていることで
ある。従って、当接対象箇所102aについては、その
全長にわたって補強用リブ91が当接するが、両当接対
象箇所102bについては補強用リブ91は当接しない
こととなる。
【0137】図29(a)の補強用リブ91は、2つの
長尺状外部リブ103と1つの長尺状内部リブ104と
によって構成されている。両外部リブ103は、基部9
2の相対向する側縁部において当接対象箇所102a,
102bの幅方向(図29(a)の左右方向)に延びて
いる。内部リブ104は、基部92の中央部を通り、か
つ前記幅方向に延びている。従って、いずれの当接対象
箇所102a,102bについても、それらの長さ方向
(図29(a)の上下方向)における中間部分と両端部
分とにのみ補強用リブ91が当接することとなる。そし
て、外部リブ103と内部リブ104とによって挟まれ
た空間に巻回体87が1つずつ配置されている。
【0138】図29(b)の補強用リブ91は、四角枠
状の外部リブ103と1つの長尺状内部リブ104とに
よって構成されている。外部リブ103は、基部92の
全て(4つ)の側縁部に沿って設けられている。内部リ
ブ104は、基部92の中央部を通り、かつ当接対象箇
所102a,102bの幅方向(図29(b)の左右方
向)に延びている。従って、両当接対象箇所102bに
ついては、それらの全長にわたって補強用リブ91が当
接することとなる。また、当接対象箇所102aについ
ては、その長さ方向における中間部分と両端部分とにの
み補強用リブ91が当接することとなる。そして、外部
リブ103によって囲まれた空間が、内部リブ104に
よって2つに仕切られ、各空間に巻回体87が1つずつ
配置されている。
【0139】図29(c)の補強用リブ91は、2つの
長尺状外部リブ103と1つの長尺状内部リブ104と
によって構成されている。両外部リブ103は、基部9
2の相対向する側縁部において、当接対象箇所102b
の長さ方向(図29(c)の上下方向)に延びている。
内部リブ104は、基部92の中央部を通り、かつ当接
対象箇所102a,102bの幅方向(図29(c)の
左右方向)に延びている。従って、両当接対象箇所10
2bについては、その全長にわたって補強用リブ91が
当接することとなる。また、当接対象箇所102aにつ
いては、その長さ方向における中間部分にのみ補強用リ
ブ91が当接することとなる。そして、内部リブ104
の両側に巻回体87が1つずつ配置されている。
【0140】図30(a)の補強用リブ91は、四角枠
状の外部リブ103と十字状の内部リブ104とによっ
て構成されている。外部リブ103は、基部92の全て
(4つ)の側縁部に沿って設けられている。外部リブ1
03によって囲まれた空間は内部リブ104によって4
つに仕切られている。従って、いずれの当接対象箇所1
02a,102bについても、それらの全長にわたって
補強用リブ91が当接することとなる。加えて、いずれ
の当接対象箇所102a,102bについても、それら
の長さ方向(図30(a)の上下方向)における中間部
分と両端部分とに補強用リブ91が当接することとな
る。そして、4つの各空間に巻回体87が1つずつ配置
されている。
【0141】図30(b)の補強用リブ91は、図29
(b)と同様に、四角枠状の外部リブ103と、その外
部リブ103によって囲まれた空間を2つに仕切る1つ
の長尺状内部リブ104とによって構成されている。図
29(b)との相違は、仕切られた各空間に、巻回体8
7が2つずつ並べられた状態で配置されていることであ
る。
【0142】図30(c)の補強用リブ91は、図29
(c)と同様に、2つの長尺状外部リブ103と1つの
長尺状内部リブ104とによって構成されている。図2
9(c)との相違は、内部リブ104の両側に、巻回体
87が2つずつ並べられた状態で配置されていることで
ある。
【0143】図30(d)の補強用リブ91は、図29
(a)と同様に、2つの長尺状外部リブ103と1つの
長尺状内部リブ104とによって構成されている。図2
9(a)との相違は、外部リブ103と内部リブ104
によって挟まれた空間に、巻回体87が2つずつ並べら
れた状態で配置されていることである。
【0144】図31(a)の補強用リブ91は、図28
(c)と同様に、1つの長尺状内部リブ104によって
構成されている。図28(c)との相違は、内部リブ1
04の両側に、巻回体87が2つずつ並べられた状態で
配置されていることである。
【0145】図31(b)の補強用リブ91は十字状の
内部リブ104によって構成されている。従って、当接
対象箇所102aについては、その全長にわたって補強
用リブ91が当接することとなる。また、両当接対象箇
所102bについては、それらの長さ方向における中間
部分にのみ補強用リブ91が当接することとなる。そし
て、内部リブ104によって分割された4つの空間のそ
れぞれに巻回体87が1つずつ配置されている。
【0146】上記のように補強用リブ91の位置、形状
等を種々変更しても、当接対象箇所102a,102b
の少なくとも一部に補強用リブ63が位置することか
ら、前述した第7実施形態と同様の効果が得られる。な
お、補強用リブ91の当接対象箇所102a,102b
に占める割合が大きくなるほど、アーマチャ89の衝撃
破壊強度が高くなる傾向にある。
【0147】・図28〜図31における巻回体87を、
第8実施形態で説明したような積層体、すなわち、それ
ぞれ巻回した状態の多数の電磁鋼板を積層することによ
って構成した積層体に代えてもよい。
【0148】・第6実施形態における巻回体77に代え
て、第8実施形態における積層体98を用いてもよい。
この場合のアーマチャは、アーマチャステム21に結合
されたバルク材76と、巻回した状態の鋼板を積層して
なる一対の積層体98とからなる。そして、バルク材7
6及び両積層体98は、各積層体98がアッパコア26
又はロアコア27に向い合うように重ね合わされた状態
で配置されることとなる。このように、巻回体77を積
層体98に変更しても、第6実施形態と同様の作用及び
効果を奏する。
【0149】また、第7実施形態における巻回体87に
代えて、第8実施形態における積層体98を用いてもよ
い。この場合のアーマチャは、アーマチャステム21に
結合されたバルク材88と、巻回した状態の鋼板97を
積層してなる一対の積層体98とからなる。そして、バ
ルク材88は、積層体98が重ね合わされる基部92
と、同基部92からアーマチャステム21の軸方向に延
びる補強用リブ91とを有することとなる。このように
巻回体87を積層体98に変更しても、第7実施形態と
同様の作用及び効果を奏する。
【0150】・第9及び第10実施形態で用いる締結部
材(ピン114)の数を変更してもよい。ただし、1つ
とした場合には、その締結部材を軸として積層体112
が回転するおそれがある。そのため、この回転を阻止す
る観点からは、1つの積層体112につき締結部材を複
数用いることが望ましい。なお、1つの締結部材を用い
る場合には、積層体112の回転を阻止する手段を別途
講ずる。例えば、積層体112とバルク材111(又は
基部122)とを凹凸関係で係合させる手段が挙げられ
る。また、バルク材111,121側に、積層体112
と接触してその積層体112の回転を阻止する突部等を
設けることも挙げられる。
【0151】その他、前記各実施形態から把握できる技
術的思想について、それらの効果とともに記載する。 (A)アーマチャステムに固定されたアーマチャを備
え、コイルへの通電にともない発生する電磁力により、
前記アーマチャが前記アーマチャステムとともにコアに
向けて変位して同コアに当接する電磁アクチュエータに
おいて、前記アーマチャは、巻回した状態の鋼板が積層
されることにより構成されていることを特徴とする電磁
アクチュエータ。
【0152】(B)アーマチャステムに固定されたアー
マチャを備え、コイルへの通電にともない発生する電磁
力により、前記アーマチャが前記アーマチャステムとと
もにコアに向けて変位して同コアに当接する電磁アクチ
ュエータにおいて、前記アーマチャは、前記アーマチャ
ステムに結合されたバルク材と、鋼板を巻回することに
より構成され、かつ前記バルク材に対し、前記アーマチ
ャステムの軸方向に重ね合わされた巻回体とを備えて構
成されていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
【0153】上記(A)又は(B)の構成によれば、ア
ーマチャに流れる渦電流を少なくして、その渦電流に起
因するエネルギー損失(アーマチャの鉄損)を低減する
ことができる。また、アーマチャの衝撃破壊強度の低下
を抑え、コアとの衝突による変形や摩耗を抑制し、アー
マチャ、ひいては電磁アクチュエータの信頼性及び耐久
性の向上を図ることができる。
【0154】(C)上記(B)に記載の電磁アクチュエ
ータにおいて、前記バルク材は、前記巻回体が重ね合わ
される基部と、同基部からアーマチャステムの軸方向に
延びる補強用リブとを有する。
【0155】上記の構成によれば、コアとの当接にとも
なう衝撃の少なくとも一部を補強用リブによって受止め
ることとなり、同補強用リブのない場合に比べて、巻回
体が変形したり摩耗したりするのを抑制することができ
る。
【0156】また、補強用リブの基部からの突出高さを
巻回体の厚みよりも大きな値に設定した場合には、巻回
体がコアに直接当接しないようにし、衝撃による巻回体
の変形及び摩耗をより確実に抑制することが可能とな
る。
【0157】(D)請求項1〜8及び上記(A)〜
(C)のいずれか1つに記載の電磁アクチュエータにお
いて、前記コアは鋼板の積層体により構成されている。
上記の構成によれば、鉄損をより一層効果的に低減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における電磁駆動バルブ
を示す概略断面図。
【図2】第1実施形態におけるアッパコア及びアーマチ
ャの概略断面図。
【図3】第1実施形態におけるアーマチャの概略斜視
図。
【図4】第1実施形態におけるアーマチャ等の概略分解
斜視図。
【図5】第1実施形態において、コア及びアーマチャの
鉄損を示すグラフ。
【図6】第1実施形態において、アーマチャの衝撃破壊
強度を示すグラフ。
【図7】第2実施形態におけるアーマチャ等の概略分解
斜視図。
【図8】第2実施形態において、コア及びアーマチャの
鉄損を示すグラフ。
【図9】第2実施形態において、アーマチャの衝撃破壊
強度を示すグラフ。
【図10】第3実施形態におけるアッパコア及びアーマ
チャの概略斜視図。
【図11】第3実施形態におけるアッパコア及びアーマ
チャの概略断面図。
【図12】第3実施形態において、磁束密度と鉄損との
関係を示すグラフ。
【図13】第3実施形態において、アーマチャの衝撃破
壊強度を示すグラフ。
【図14】第4実施形態におけるアッパコア及びアーマ
チャの概略分解斜視図。
【図15】第4実施形態におけるアッパコア及びアーマ
チャの概略断面図。
【図16】第5実施形態におけるアッパコア及びアーマ
チャの概略斜視図。
【図17】第6実施形態におけるアーマチャの概略斜視
図。
【図18】第7実施形態におけるアーマチャの概略斜視
図。
【図19】第8実施形態におけるアーマチャの概略斜視
図。
【図20】第9実施形態におけるアーマチャ部分の平面
図。
【図21】第9実施形態におけるアーマチャ部分の正面
図。
【図22】第10実施形態におけるアーマチャ部分の平
面図。
【図23】第10実施形態におけるアーマチャ部分の側
面図。
【図24】第1実施形態におけるアーマチャの変更例を
示す概略分解斜視図。
【図25】第1実施形態におけるアーマチャの変更例を
示す概略分解斜視図。
【図26】(a)〜(d)は第4実施形態におけるアー
マチャの変更例を示す概略平面図。
【図27】(a)〜(c)は第4実施形態におけるアー
マチャの変更例を示す概略平面図。
【図28】(a)〜(d)は第7実施形態におけるアー
マチャの変更例を示す概略平面図。
【図29】(a)〜(c)は第7実施形態におけるアー
マチャの変更例を示す概略平面図。
【図30】(a)〜(d)は第7実施形態におけるアー
マチャの変更例を示す概略平面図。
【図31】(a),(b)は第7実施形態におけるアー
マチャの変更例を示す概略平面図。
【符号の説明】
16…電磁駆動バルブ(電磁アクチュエータ)、21…
アーマチャステム、25,53,59,69,73,8
1,89,99,115…アーマチャ、26…アッパコ
ア、27…ロアコア、28…アッパコイル、29…ロア
コイル、35,56,68,72,79,86,97,
113…鋼板、36,57,66,98,112…積層
体、37,46,58,61,76,88,111,1
21…バルク材、45…圧粉体、62,122…基部、
63,123…補強用リブ、77…巻回体、114…ピ
ン(締結部材)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 喜代治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 東山 潔 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 歳田 寿充 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 出尾 隆志 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 浅野 昌彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 櫻木 武 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 Fターム(参考) 3G018 AB09 CA12 DA38 DA41 FA01 FA06 FA07 GA21 GA22 GA23 GA27 GA37 3H106 DA07 DA13 DA25 DB03 DB12 DB26 DB32 DC02 DC17 DD04 EE13 EE16 EE20 EE22 EE30 EE33 GA16 GA17 GA18 JJ02 KK17 5E048 AA04 AC06 AC08 AD02 BA07 CA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アーマチャステムに固定されたアーマチャ
    を備え、コイルへの通電にともない発生する電磁力によ
    り、前記アーマチャが前記アーマチャステムとともにコ
    アに向けて変位して同コアに当接する電磁アクチュエー
    タにおいて、前記アーマチャは、前記アーマチャステム
    に結合されたバルク材に対し、鋼板の積層体が前記アー
    マチャステムの軸方向に重ね合わされることにより構成
    されていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
  2. 【請求項2】前記積層体及び前記バルク材は、同積層体
    が前記コアに向い合うように重ね合わされた状態で配置
    されている請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  3. 【請求項3】前記バルク材は、前記積層体が重ね合わさ
    れる基部と、同基部からアーマチャステムの軸方向に延
    びる補強用リブとを有する請求項2に記載の電磁アクチ
    ュエータ。
  4. 【請求項4】前記積層体は、巻回した状態の鋼板が積層
    されることにより構成されている請求項1〜3のいずれ
    か1つに記載の電磁アクチュエータ。
  5. 【請求項5】アーマチャステムに固定されたアーマチャ
    を備え、コイルへの通電にともない発生する電磁力によ
    り、前記アーマチャが前記アーマチャステムとともにコ
    アに向けて変位して同コアに当接する電磁アクチュエー
    タにおいて、前記アーマチャは、アーマチャステムに結
    合されたバルク材に対し、鋼板の積層体が締結部材によ
    りアーマチャステムの径方向に締結されることにより構
    成されていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
  6. 【請求項6】前記バルク材は、前記積層体が締結される
    基部と、前記基部に設けられ、かつ前記アーマチャステ
    ムの軸方向に延びる補強用リブとを有する請求項5に記
    載の電磁アクチュエータ。
  7. 【請求項7】アーマチャステムに固定されたアーマチャ
    を備え、コイルへの通電にともない発生する電磁力によ
    り、前記アーマチャが前記アーマチャステムとともにコ
    アに向けて変位して同コアに当接する電磁アクチュエー
    タにおいて、前記アーマチャは鋼板を巻回することによ
    り構成されていることを特徴とする電磁アクチュエー
    タ。
  8. 【請求項8】アーマチャステムに固定されたアーマチャ
    を備え、コイルへの通電にともない発生する電磁力によ
    り、前記アーマチャが前記アーマチャステムとともにコ
    アに向けて変位して同コアに当接する電磁アクチュエー
    タにおいて、 前記アーマチャは、磁性粉末からなる圧粉体が、前記ア
    ーマチャステムに結合されたバルク材により、前記コア
    に当接しないように補強されることにより構成されてい
    ることを特徴とする電磁アクチュエータ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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