JP2003318025A - 電磁アクチュエータ - Google Patents

電磁アクチュエータ

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JP2003318025A
JP2003318025A JP2002124770A JP2002124770A JP2003318025A JP 2003318025 A JP2003318025 A JP 2003318025A JP 2002124770 A JP2002124770 A JP 2002124770A JP 2002124770 A JP2002124770 A JP 2002124770A JP 2003318025 A JP2003318025 A JP 2003318025A
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armature
electromagnetic actuator
valve
bulk material
actuator according
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Application number
JP2002124770A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Takahashi
利光 高橋
Takasuke Kaneda
敬右 金田
Hisamitsu Saida
寿充 歳田
Masayuki Takano
雅幸 高野
Kiyoji Nakamura
喜代治 中村
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アーマチャの鉄損を低減しつつ衝撃破壊強度の
低下を抑え、信頼性及び耐久性の向上を図ることのでき
る電磁アクチュエータを提供する。 【解決手段】電磁駆動バルブ16は、鋼板が積層されて
構成されたアッパコア26およびロアコア27を有し、
そのいずれか一方とともに磁気回路を構成して動作する
アーマチャ25を備える。アーマチャ25は、セラミッ
クシート35が埋設されたバルク材からなり、コア2
6、27にそれぞれ巻回されたアッパコイル28および
ロアコイル29への通電に応じて、アーマチャ25とと
もに鋳造により一体に成型されたアーマチャステム21
をともなってバルブガイド17に沿って往復運動する。
これにより、バルブ15が開閉されて燃焼室13とポー
ト12との連通の切替が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コイルへの通電に
ともない発生する電磁力によってアーマチャをステータ
コアに向けて変位させる電磁アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、内燃機関の吸気バルブ又は排
気バルブとして、カムシャフトの回転に基づいて開閉駆
動されるバルブに代え、その弁体を電磁力によって開閉
駆動する電磁アクチュエータを備えるバルブ(電磁駆動
バルブ)を採用することが検討されている。こうした電
磁アクチュエータは通常、吸気バルブ又は排気バルブと
して機能する弁体と一体に変位するアーマチャ、このア
ーマチャを中立位置に付勢する一対のスプリング、及び
同アーマチャをそれぞれ弁体の開閉方向に変位させる
(引き付ける)一対の電磁石を備えて構成されている。
ここで、電磁石は電磁コイル及びステータコアを有して
いる。そして、この電磁アクチュエータが採用された電
磁駆動バルブでは、上記一対の電磁石に交互に励磁電流
が流されることにより、アーマチャに対しそれら各電磁
石に向かう電磁力が作用して弁体が開閉駆動される。
【0003】ところで、このような電磁アクチュエータ
にあっては、磁気回路の一部を構成する上記アーマチャ
は通常、磁性材料からなるバルク(塊)材が切削、鍛造
されるなどして形成されている。ただし、このようにし
て形成されたアーマチャは、電磁コイルへの通電制御に
ともない発生する磁束の量が変化することから、この磁
束の変化を打ち消すように渦電流が流れ、その渦電流に
起因してエネルギー損失(鉄損)が生ずることとなる。
そしてこの場合、電流も意図したように流れないため、
電磁アクチュエータとしての応答性も低下してしまう。
【0004】そこで従来は、たとえば特開平10−20
8931号公報や特開2000−179583号公報に
記載されているように、電磁鋼板の積層体によってアー
マチャを構成したり、磁性粉末からなる圧粉体によって
アーマチャを構成したりすることなども提案されてい
る。このようにアーマチャを構成することで、上記渦電
流に起因する損失を低減することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した内
燃機関の吸排気バルブの駆動に用いられる電磁アクチュ
エータでは、電磁コイルへの通電によりアーマチャがス
テータコア側に引き付けられ、そのコアに設けられたス
トッパに当接(衝突)する。しかも、アーマチャは、こ
のような衝突による衝撃(荷重)を、その往復動にとも
なって繰返し受けることとなる。このため、このアーマ
チャには、こうした衝撃に耐え得る高い強度が要求され
ている。しかし、上記従来の電磁アクチュエータのよう
に、積層体のみ、または圧粉体のみによってアーマチャ
を構成した場合には、バルク材によって同アーマチャを
構成した場合に比べて衝撃に対する強度が低く、信頼性
や耐久性に欠けるという問題がある。
【0006】本発明は、こうした実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、アーマチャの鉄損を低減しつ
つ、その衝撃に対する強度をも高く維持することのでき
る電磁アクチュエータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段およびその作用効果について記載する。請
求項1に記載の発明は、コイルへの通電にともない発生
する電磁力により、アーマチャをステータコアに向けて
変位させる電磁アクチュエータとして、前記アーマチャ
は、内部に形成される磁路に直交する方向への電流の流
れを制限する電流制限手段を備えるバルク材によって構
成されてなることをその要旨とする。
【0008】上記構成によれば、上記電磁アクチュエー
タのアーマチャがバルク構造を有しながらも、その内部
に形成される磁路における磁束の変化にともなって同ア
ーマチャに発生する渦電流が制限される。これにより、
上記アーマチャにおいて発生する鉄損を低減しつつも、
同アーマチャがステータコアに当接する場合であれその
衝撃に対する強度を高く維持することができるようにな
る。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の電磁アクチュエータにおいて、前記電流制限手
段は、前記バルク材に埋設された1ないし複数のシート
状の絶縁性材料からなることをその要旨とする。
【0010】上記構成によれば、磁束の変化にともなっ
てバルク材に発生する渦電流の導電路が、上記1ないし
複数のシート状の絶縁性材料により遮断されて分断され
る。このため、アーマチャにおいて発生する渦電流が確
実に制限されるようになる。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、請求項2
に記載の電磁アクチュエータにおいて、前記ステータコ
アは磁性体からなる板状部材が積層されて形成されてな
り、前記シート状の絶縁性材料は、前記アーマチャを構
成するバルク材に対して前記板状部材の積層方向と平行
に埋設されてなることをその要旨とする。
【0012】上記構成によれば、上記アーマチャととも
に磁路を形成するステータコアにおいても渦電流が低減
されるようになる。また、同アーマチャ内において、渦
電流の導通路がより効果的に分断されるとともに磁路の
磁気抵抗の増加が最小限にとどめられるようになる。
【0013】また、請求項4に記載の発明は、請求項2
または3に記載の電磁アクチュエータにおいて、前記ア
ーマチャを構成するバルク材が鋳鉄からなり、これに埋
設される前記シート状の絶縁性材料がセラミックシート
からなることをその要旨とする。
【0014】上記構成によれは、上記請求項2または3
に記載の電磁アクチュエータのアーマチャが容易かつ確
実に形成されるようになる。また、請求項5に記載の発
明は、請求項4に記載の電磁アクチュエータにおいて、
前記アーマチャは、その支軸である前記アーマチャステ
ムとともに一体に成型されてなることをその要旨とす
る。
【0015】上記構成によれば、上記アーマチャステム
への接合強度の高いアーマチャが形成されるようにな
る。また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の
電磁アクチュエータにおいて、前記アーマチャは、複数
のバルク材が接合されて構成され、前記電流制限手段
は、それら複数のバルク材の接合面の互いの導電部に形
成された間隙からなることをその要旨とする。
【0016】上記構成によれば、上記電磁アクチュエー
タのアーマチャが複数のバルク材により互いに間隙を有
して接合される。このため、上記磁路での磁束の変化に
ともなってアーマチャに発生する渦電流の導電路が、そ
の接合面に形成された間隙に遮断されて分断される。こ
れにより、上記アーマチャにおいて発生する渦電流が好
適に制限されるようになる。
【0017】また、請求項7に記載の発明は、請求項6
に記載の電磁アクチュエータにおいて、前記電流制限手
段を構成する間隙には絶縁性の材料が被覆もしくは充填
されてなることをその要旨とする。
【0018】上記構成によれば、上記アーマチャに形成
された間隙におけるバルク材相互の絶縁性の確保がより
確実に行われるようになる。また、請求項8に記載の発
明は、請求項6または7に記載の電磁アクチュエータに
おいて、前記アーマチャを構成する複数のバルク材は、
その各接合面に段差部を有し、それら段差部が前記アー
マチャの変位方向に重なり合う態様で接合されてなるこ
とをその要旨とする。
【0019】上記構成によれば、上記アーマチャを構成
する複数のバルク材相互の接合が、より容易にかつより
確実に行われるとともに、その接合強度もより高いもの
となる。
【0020】また、請求項9に記載の発明は、請求項8
に記載の電磁アクチュエータにおいて、前記アーマチャ
は、前記複数のバルク材がその接合面の側端部の溶接に
より一体に形成されてなることをその要旨とする。
【0021】上記構成によれば、上記複数のバルク材相
互の接合部に設けられた段差とともに接合面の側端部が
溶接されて一体に形成されるため、接合強度の高いアー
マチャが容易に得られるようになる。
【0022】また、請求項10に記載の発明は、請求項
6〜9のいずれかに記載の電磁アクチュエータにおい
て、前記ステータコアは磁性体からなる板状部材が積層
されて形成されてなり、前記アーマチャの前記電流制限
手段を構成する間隙は、前記板状部材の積層方向と平行
に延設されてなることをその要旨とする。
【0023】上記構成によれば、上記アーマチャととも
に磁路を形成するステータコアにおいても渦電流が低減
されるようになる。また、同アーマチャ内において、渦
電流の導通路がより効果的に分断されるとともに磁路の
磁気抵抗の増加が最小限にとどめられるようになる。
【0024】また、請求項11に記載の発明は、請求項
1に記載の電磁アクチュエータにおいて、前記電流制限
手段は、前記アーマチャを構成するバルク材の表面に形
成された1ないし複数の線状の溝からなることをその要
旨とする。
【0025】上記構成によれば、上記電磁アクチュエー
タのアーマチャが1ないし複数の線状の溝により離隔せ
しめられた部分を有する。このため、上記磁路での磁束
の変化にともなってアーマチャに発生する渦電流の導電
路が、その溝に遮断されて分断される。これにより、上
記アーマチャにおいて発生する渦電流が好適に制限され
るようになる。
【0026】そして、請求項12に記載の発明は、請求
項11に記載の電磁アクチュエータにおいて、前記ステ
ータコアは磁性体からなる板状部材が積層されて形成さ
れてなり、前記電流制限手段を構成する線状の溝は、前
記板状部材の積層方向と平行に延設されてなることをそ
の要旨とする。
【0027】上記構成によれば、上記アーマチャととも
に磁路を形成するステータコアにおいても渦電流が低減
されるようになる。また、同アーマチャ内において、渦
電流の導通路がより効果的に分断されるとともに磁路の
磁気抵抗の増加が最小限にとどめられるようになる。
【0028】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明の電磁アクチュエータを、内燃機関の吸気バルブまた
は排気バルブを電磁力により開閉駆動する電磁駆動バル
ブに適用した第1の実施の形態について、図1〜図10
を参照しつつ説明する。
【0029】図1に示すように、内燃機関のシリンダヘ
ッド11には、吸気通路の一部または排気通路の一部を
なし、かつ燃焼室13に連通するポート12が形成され
ている。ポート12の燃焼室13側の端部には弁座(バ
ルブシート)14が設けられている。シリンダヘッド1
1にはバルブガイド17が取付けられ、このバルブガイ
ド17によってバルブステム15aがシリンダヘッド1
1に対し軸方向(図1の上下方向)へ摺動可能に支持さ
れている。バルブステム15aの燃焼室13側の端部に
は弁体15bが設けられている。そして、これらバルブ
ステム15aおよび弁体15bにより、吸気バルブ又は
排気バルブとして機能するバルブ15が構成されてい
る。ポート12は、バルブ15の下方への移動にともな
い弁体15bが弁座14から離座することにより、燃焼
室13と導通(開弁)状態となる。また、ポート12
は、バルブ15の上方への移動にともない弁体15bが
弁座14に着座することにより、燃焼室13と遮断(閉
弁)状態となる。
【0030】バルブステム15aにおいて、燃焼室13
とは反対側の端部近傍にはロアリテーナ18が取付けら
れている。シリンダヘッド11とロアリテーナ18との
間であってバルブステム15aの周りには、ロアスプリ
ング19が圧縮状態で配置されており、このロアスプリ
ング19によって、バルブ15が閉弁方向(図1の上
方)へ常に付勢されている。
【0031】バルブステム15aと同軸線上にはアーマ
チャステム21が配置されている。アーマチャステム2
1のバルブステム15aと反対側の端部にはアッパリテ
ーナ22が取付けられている。シリンダヘッド11に
は、ケーシング(図示略)を介してアッパキャップ23
が固定されている。アッパキャップ23とアッパリテー
ナ22との間には、アッパスプリング24が圧縮状態で
配置されている。このアッパスプリング24によってア
ッパリテーナ22が常にバルブステム15a側へ付勢さ
れている。アッパスプリング24によるアッパリテーナ
22の付勢方向は、バルブ15の開弁方向(図1の下
方)と同じである。
【0032】アーマチャステム21の軸方向における略
中央部には、アーマチャ25が固定されている。前記ケ
ーシング(図示略)内において、アーマチャ25とアッ
パリテーナ22との間にはアッパコア26が固定されて
いる。同じく、ケーシング内において、アーマチャ25
とロアリテーナ18との間にはロアコア27が固定され
ている。前記アーマチャステム21はこれらのアッパコ
ア26およびロアコア27に挿通され、滑り軸受30に
よって同コア26、27に対し往復動可能に支持されて
いる。
【0033】アッパコア26において、アーマチャ25
と対向する面(図1の下面)には、アーマチャステム2
1を間に挟んだ状態で2本の溝26aが形成され、略矩
形状に巻かれたアッパコイル28がこれらの溝26a内
に収容および保持されている。そして、これらのアッパ
コア26及びアッパコイル28により、バルブ15を閉
弁方向に駆動するための電磁石(閉駆動用電磁石)31
が構成されている。
【0034】同様に、ロアコア27においてアーマチャ
25と対向する面(図1の上面)には、アーマチャステ
ム21を間に挟んだ状態で2本の溝27aが形成され、
略矩形状に巻かれたロアコイル29がこれらの溝27a
内に収容および保持されている。そして、これらのロア
コア27及びロアコイル29により、バルブ15を開弁
方向に駆動するための電磁石(開駆動用電磁石)32が
構成されている。
【0035】ところで、図1および図2に示すように、
渦電流損失の低減を目的として、電磁石31および32
ではアッパコア26およびロアコア27(図2では図示
略)が、板状部材としての鋼板33の積層体34によっ
て構成されている。本実施の形態では、多数の鋼板33
が、アーマチャステム21の径方向に重ね合わされてい
る。そして、これらの鋼板33が溶接、接着等の方法に
より相互に連結されることによって積層体34が形成さ
れている。各鋼板33において、アーマチャ25に対向
する面には切欠き33aが形成されており、全鋼板33
が積層されると、これらの切欠き33aによって前述し
たコイル収容用の溝26a、27aが形成される。
【0036】ここで、鋼板33としては、例えば一般に
電気機器の鉄芯材料として用いられている電磁鋼板(ケ
イ素鋼板とも呼ばれる)が適している。電磁鋼板は、ケ
イ素を数%含有した不純物の少ない鋼板であり、ケイ素
を含有することにより極軟鋼板と比較して抵抗率が高
く、渦電流損が少ないという特徴を有している。電磁鋼
板としては、無方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板、冷間
圧延鋼板、熱間圧延鋼板等を用いることができる。方向
性電磁鋼板は、冷間圧延と高温焼きなましにより圧延方
向に結晶の磁化容易方向を揃え、高い磁性を持たせたも
のである。これらのうちでも、無方向性電磁鋼板及び方
向性電磁鋼板は絶縁皮膜が形成されている点で比較的望
ましい。また、冷間圧延鋼板及び熱間圧延鋼板の場合に
は、無方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板とは異なり絶
縁皮膜が形成されていないため、別途、絶縁皮膜を形成
することが好ましい。
【0037】ところで、アーマチャ25は、図1、図
2、および図3にそれぞれ断面図、斜視図、および平面
図として示すように、セラミックシート35を埋設した
鋳鉄により形成されたバルク(塊)材からなる。ここ
で、図2に示したA−A線、および図3に示したB−B
線に沿った断面が図1の断面図に対応している。そし
て、本実施の形態においては、図2に示したように、鋳
鉄に埋設されたセラミックシート35は、ステータコア
であるアッパコア26およびロアコア27を構成してい
る積層体34の積層方向と平行に配置されている。これ
は以下のような理由による。
【0038】図4は、アッパコア26とアーマチャ25
とに着目して示した断面図である。図4に示されるよう
に、アッパコイル28に電流が流されると、たとえば矢
印Xにて図示した磁路が形成されて、アッパコア26と
アーマチャ25とを通る磁束が発生する。ここで、上述
のように積層体34の積層方向と平行にセラミックシー
ト35が配置されている場合には、それに起因するアー
マチャ25内での磁路(矢印Yにて図示)に沿った磁気
抵抗の増加が最小限にとどめられて、磁束の発生に対す
る影響が抑制される。さらに、アーマチャ25内では、
矢印Yにて示される磁路の方向に直交する面内において
磁束の変化を打ち消す方向(矢印Zにて図示)に渦電流
が発生するが、その導通路はセラミックシート35によ
り遮断されて分断される。このため、磁束の変化にとも
なう渦電流の発生規模が大幅に制限されるようになる。
【0039】こうして、磁路を形成しているアーマチャ
25およびアッパコア26における渦電流の発生が効果
的に抑制される。しかも、このときの磁路に沿った磁気
抵抗の増加は最小限にとどめられる。すなわち、積層体
34の積層方向と平行なセラミックシート35の配置
が、アーマチャ25内において発生する磁束の確保と鉄
損の低減との両面において好適であるためである。な
お、アーマチャ25とのこうした相対的な配置により上
記効果が好適に得られるのは、ロアコア27についても
同様である。
【0040】上記のように構成された電磁駆動バルブ1
6では、図1において両電磁石31、32のコイル2
8、29に通電されない場合には、アーマチャ25は、
アッパスプリング24及びロアスプリング19間の中立
位置に、すなわち、両電磁石31、32間の略中央に維
持される。アッパコイル28への通電にともなってアッ
パコア26およびアーマチャ25からなる磁気回路が形
成され、図4に矢印Xにて示したアッパコイル28の磁
路に沿って磁束が発生し、アーマチャ25に対して閉駆
動用電磁石31に向かう電磁力が作用する。この電磁力
により、アーマチャ25が閉駆動用電磁石31に向けて
変位する。アーマチャ25がアッパコア26に当接する
位置まで変位すると、弁体15bが弁座14に着座し閉
弁状態となる。
【0041】アッパコイル28への通電が停止される
と、アーマチャ25は、アッパスプリング24の付勢力
により開弁方向、すなわち、開駆動用電磁石32に向け
て変位し始める。アーマチャ25が開弁方向に所定量変
位した時点で、ロアコイル29に通電されると、ロアコ
ア27およびアーマチャ25からなる磁気回路が形成さ
れ、ロアコイル29の磁路に沿って磁束が発生し、アー
マチャ25に対し開駆動用電磁石32に向かう電磁力が
発生する。アーマチャ25がロアコア27に当接する位
置まで変位すると、バルブ15は全開状態となる。バル
ブ15がこの全開状態に保持された後、ロアコイル29
への通電が停止されると、アーマチャ25を全開状態に
保持するための磁気吸引力が消滅する。このため、アー
マチャ25は、ロアスプリング19の付勢力により閉弁
方向、すなわち、閉駆動用電磁石31に向けて変位し始
める。
【0042】こうして、両電磁石31および32のコイ
ル28および29にそれぞれ交互に励磁電流が流される
ように通電を制御することにより、バルブ15が開閉駆
動される。そして、このように構成された電磁駆動バル
ブ16にあっては、アッパコア26およびロアコア27
における鉄損の低減に加えて、アーマチャ25における
鉄損の低減が図られる。
【0043】図5は、上記セラミックシート埋設構造の
アーマチャ25を備えた電磁駆動バルブ16と従来構造
のアーマチャを備えた電磁駆動バルブとについて、動作
時の鉄損の大きさを示すグラフである。図5に示される
ように、セラミックシート埋設構造のアーマチャ25を
備えた電磁駆動バルブ16では、従来構造のアーマチャ
を備えた電磁駆動バルブと比較して、発生する鉄損の大
きさが三分の一程度に低減されることが、発明者らの実
験により確認されている。なお、図5は、アーマチャス
テム21を挟んだ両側にセラミックシート35を各4
枚、計8枚埋設した構造のアーマチャにより電磁駆動バ
ルブを構成した場合の評価結果を示している。また、図
5に示した鉄損は、本実施の形態によるセラミックシー
ト埋設構造および従来構造とも、アッパコア26および
ロアコア27ともに積層体を用いた構造にて測定したも
ので、ステータコアおよびアーマチャ双方の鉄損を包含
するものである。ここで、従来構造とは、セラミックシ
ートの埋設されていないバルク状の鋳鉄からなる構造の
アーマチャを指している。
【0044】つづいて、図6(a)および(b)に、上
記セラミックシート埋設構造の電磁駆動バルブにおい
て、セラミックシート35の枚数と鉄損との関係、およ
び同セラミックシート35の枚数と電磁石31または3
2のアーマチャ25に及ぼす吸引力との関係を示す。こ
こで、図6(a)および(b)において、横軸として示
されているシート枚数は、アーマチャステム21を挟ん
でアーマチャ25の片側に埋設されるセラミックシート
35の枚数である。
【0045】図6(a)に示されるように、アーマチャ
25に埋設するセラミックシート35の枚数が増加する
につれて、鉄損は徐々に低減される。しかしながら、セ
ラミックシート35の枚数が4枚以上になると電磁石3
1または32のアーマチャ25に及ぼす吸引力もしだい
に低下する傾向にある。これは、非磁性材料であるセラ
ミックシート35の枚数の増加にともなってアーマチャ
25内に占めるセラミックシート35の体積の割合が増
加して磁路に沿った磁気抵抗の増加の影響が無視できな
くなってくるためである。その結果、アーマチャ25内
に形成される磁束が減少して電磁力に基づく吸引力が低
下するのである。したがって、セラミックシート35に
代えて磁性を有する絶縁性シートが用いられれば、シー
ト枚数の増加により鉄損が低減される一方で、アーマチ
ャ25とステータコア間に作用する吸引力が低下するこ
とのない、より特性の良好なアーマチャとすることがで
きる。
【0046】つぎに、上記セラミックシート埋設構造の
アーマチャ25の製造方法について例示する。ここで例
示する製造方法においては、アーマチャ25とともにア
ーマチャステム21およびバルブ15が鋳造により一体
に成型される。
【0047】図7(a)〜(c)は、その鋳造の過程を
鋳型の側面からみた断面図を用いて示している。図7
(a)に示されるように、上型51および下型52は互
いに組み合わされてアーマチャ25とアーマチャステム
21とバルブ15とを形成する鋳型を構成している。こ
のうち、下型52はさらに2つに分割されて、成型され
たアーマチャ25が同下型52から容易に取り外せるよ
うにしている。そして、上型51および下型52におい
てアーマチャ25の上下面を成型する部分には、それぞ
れシート状の部材を立てた状態にて固定する溝53が設
けられている。
【0048】そしてまず、図7(a)に示されるよう
に、上型51と下型52を分離して、溝53にセラミッ
クシート35を下型52にセットする。そののち、図7
(b)に示されるように、矢印方向に上型51を移動し
て上型51と下型52とを密着させる。このとき、下型
52セットされたセラミックシート35は上型51に設
けられた溝53に嵌挿されて固定される。ひきつづき、
図7(c)に示されるように、上記セラミックシート3
5のセットされた鋳型の上面から鋳湯を注入する。これ
により、セラミックシート35がアーマチャ25に埋設
されるとともに、バルク材としてのアーマチャ25が成
型される。
【0049】そして、注入した鋳湯が冷えて固まったの
ち、図8(a)にその断面図を示すように、上型51を
矢印方向に移動させて外す。さらに、図8(b)にその
平面図を示すように、下型52を分割して一体に成型さ
れた部品54を鋳型から取り出す。
【0050】図9(a)は鋳型から取り出された部品5
4の断面図であり、取り出した直後においてはセラミッ
クシート35がアーマチャ25から突出した形状である
ことを示している。このため、部品54のアーマチャ2
5の部分の上下面を図9(b)に示すように研磨するこ
とによって、部品54を所定の形状に仕上げる。
【0051】こうして得られた部品54は、アーマチャ
25とともにアーマチャステム21およびバルブ15が
一体形成されているため、その機械的強度が高い。図1
0は、バルク構造、電磁鋼板の積層構造、本実施の形態
による構造(鋳造一体成型構造)の3者について、バル
ク構造を基準とする機械的強度(衝撃に対する強度)を
発明者らが評価した結果を示している。図10(a)は
アーマチャの機械的強度の、そして図10(b)はアー
マチャとアーマチャステムとの接合強度のグラフであ
る。ここで、バルク構造と電磁鋼板積層構造とにおける
アーマチャとアーマチャステムとの接合は、溶接によっ
て行われたものである。
【0052】図10(a)に示されるように、アーマチ
ャの機械的強度については、電磁鋼板積層構造がバルク
構造に対して約半分程度に低下してしまうのに対して、
鋳造一体成型構造では同じくバルク構造に対してわずか
な低下にとどまっている。また、アーマチャとアーマチ
ャステムとの接合強度については、図10(b)に示さ
れるように、電磁鋼板積層構造がバルク構造に対して4
割前後の顕著な低下がみられるのに対して、鋳造一体成
型構造では増強されていることがわかる。
【0053】以上説明したように、この第1の実施の形
態にかかる電磁駆動バルブによれば、以下のような効果
を得ることができるようになる。 (1)アーマチャ25の内部に形成される磁路に直交す
る方向への電流の流れを制限するように、アーマチャ2
5に対してセラミックシート35を埋設している。この
ため、アッパコイル28やロアコイル29への通電に対
応して磁路に発生する磁束の変化による渦電流の発生
を、同セラミックシート35にて分断される各領域内に
制限することができるようになる。これにより、アーマ
チャ25にて発生する鉄損が低減されるとともに、電磁
駆動バルブ16として発生する鉄損も低減される。
【0054】(2)積層構造を有するアッパコア26お
よびロアコア27の積層方向と平行にセラミックシート
35を埋設している。このため、アッパコイル28やロ
アコイル29への通電に対応して磁路に発生する磁束が
変化したときに発生する渦電流の抑制効果を高くするこ
とができる。
【0055】(3)アーマチャ25が、セラミックシー
ト35を固定した鋳型に鋳湯を流し込むことにより成型
される。そのため、アーマチャ25の機械的強度をバル
ク構造のアーマチャと同程度に維持することができる。
【0056】(4)アーマチャ25がアーマチャステム
21等とともに一体形成される。そのため、アーマチャ
25とアーマチャステム21との接合強度を、従来の溶
接による接合強度と比較して高くすることができる。
【0057】(5)アーマチャ25が、セラミックシー
ト35を固定した鋳型に鋳湯を流し込み、これを取り出
してその上下面を研磨することによって製作される。そ
のため、鉄損を低減することのできるアーマチャが容易
にかつ経済的に得られるようになる。
【0058】(第2の実施の形態)つぎに、本発明の電
磁アクチュエータを、内燃機関の吸気バルブまたは排気
バルブを電磁力により開閉駆動する電磁駆動バルブに適
用した第2の実施の形態について、先の第1の実施の形
態との相違点を中心に図11および図12を参照しつつ
説明する。
【0059】図11(a)〜(c)は、この第2の実施
の形態の電磁駆動バルブに採用するアーマチャ25aに
ついて、その斜視図、拡大斜視図、および部分平面図を
それぞれ示している。
【0060】図11(a)に示されるように、このアー
マチャ25aは磁性を有する複数のバルク材25a1〜
25a3が接合されて形成されている。各バルク材25
a1〜25a3の接合面には各々段差部が設けられて、
互いに容易に接合できるようにしている。
【0061】また、その接合面は、図11(b)に拡大
して示されるように、バルク材25a2のバルク材25
a3との接合面において、アーマチャ25aとしての上
下面と平行な段差面61のみが接触するように、段差の
側壁面62および側壁面63にはテーパ状の加工がなさ
れている。このため、バルク材25a2とバルク材25
a3との接合面では、アーマチャ25aとしてその上下
面の表面から内部に互いの導電部を離隔する間隙64が
形成される。そして、これらバルク材25a2およびバ
ルク材25a3を一体化するために、両者の接合面の側
端部65(斜線を施した楕円にて図示)が溶接加工され
ている。こうしたテーパ加工および溶接加工は、バルク
材25a2とバルク材25a3との接合と同様、バルク
材25a1のバルク材25a2との接合面においてもな
されており、両者はその接合面に間隙64を有して接合
されている。
【0062】なお、2つのバルク材の接合面に間隙64
を形成する際には、該接合面において対向する側壁面6
2および63のうちのいずれの側に対してテーパ加工し
てもよい。また、そのテーパ加工は、上記対向する側壁
面の一方に施してもよいし、双方に施してもよい。
【0063】こうして、磁性を有する複数のバルク材が
その接合面に間隙64を有して一体化され、これが1つ
のアーマチャ25aとして構成される。そして、このア
ーマチャ25aに対して、先に図1に示したアーマチャ
ステム21を溶接により接合するとともに、同図1に示
した各部材を組み合わせて電磁駆動バルブが構成され
る。この場合も、積層構造を有するアッパコア26およ
びロアコア27の積層方向と間隙64の延設方向とが平
行になるように、これらコア26および27とアーマチ
ャ25aとを組み合わせる。これは、先の第1の実施の
形態において説明した理由と同じである。
【0064】図12は、上記のような間隙64を有した
接合構造をもつアーマチャを用いて構成された電磁駆動
バルブについて、その間隙本数と鉄損低下率を評価した
結果を示している。図12では、間隙本数0本のアーマ
チャ、すなわち従来の1つのバルク材によるアーマチャ
を用いて構成された電磁駆動バルブの鉄損を「1」とし
て、間隙本数を徐々に増加させたときの同電磁駆動バル
ブの鉄損を規格化して表している。図12に示されるよ
うに、間隙本数の増加につれて鉄損は「0.2」程度ま
で急激に減少する。そして、間隙本数が20本を超える
とその減少の度合いはしだいに緩やかとなり、間隙本数
が120本程度に到ると鉄損は「0.1」程度まで減少
する。
【0065】以上説明したように、この第2の実施の形
態にかかる電磁駆動バルブによれば、先の第1の実施の
形態に準じて以下のような効果を得ることができるよう
になる。
【0066】(1a)アーマチャ25aの内部に形成さ
れる磁路に直交する方向への電流の流れを制限するよう
に、アーマチャ25aにおけるアッパコア26およびロ
アコア27との対向部に間隙64が形成されている。こ
のため、アッパコイル28やロアコイル29への通電に
対応して磁路に発生する磁束の変化による渦電流の発生
を、同間隙64にて分断される各領域内に制限すること
ができるようになる。これにより、アーマチャ25aに
て発生する鉄損が低減されるとともに、電磁駆動バルブ
として発生する鉄損も低減される。
【0067】(2a)積層構造を有するアッパコア26
およびロアコア27の積層方向と平行に間隙64の延設
方向を設定している。このため、アッパコイル28やロ
アコイル29への通電に対応して磁路に発生する磁束が
変化したときに発生する渦電流の抑制効果を高くするこ
とができる。
【0068】(6)アーマチャ25aが、段差の設けら
れた複数のバルク材25a1〜25a3の接合により一
体に形成される。そのため、それらバルク材相互の位置
合わせが容易に行われるとともに、その接合強度が高く
維持されるようになる。
【0069】(7)バルク材25a1〜25a3相互の
接合が、接合面端部65の溶接により行われる。そのた
め、鉄損を低減することのできるアーマチャ25aが容
易にかつ経済的に得られるようになる。
【0070】(第3の実施の形態)つぎに、本発明の電
磁アクチュエータを、内燃機関の吸気バルブまたは排気
バルブを電磁力により開閉駆動する電磁駆動バルブに適
用した第3の実施の形態について、先の第1および第2
の実施の形態との相違点を中心に図13および図14を
参照しつつ説明する。
【0071】図13は、この第3の実施の形態の電磁ア
クチュエータに採用するアーマチャ25bは、図13に
その斜視図を示すように、1つのバルク材の表面に線状
の溝71が形成されてなる。
【0072】こうしたアーマチャ25bによっても、先
の第2の実施の形態において説明したアーマチャ25a
と同様の鉄損低減効果が得られる。すなわち、このアー
マチャ25bを用いて構成された電磁駆動バルブにおい
ても、線状の溝71によって渦電流の導電路が分断され
てアーマチャ25bにおいて発生する鉄損が低減され
る。なお、このときの線状の溝71の本数と鉄損との関
係は図12に示した特性と同様のものとなる。
【0073】上記線状の溝71を有するアーマチャ25
bは、たとえば図14(a)〜(c)に示した各方法に
より形成される。すなわち、図14(a)は、回転カッ
タ73の設けられた加工台72にバルク材を通すことに
より、線上の溝71を有するアーマチャ25bを得る方
法を概略的に示している。また、図14(b)は、平面
的な位置決めの可能なXYテーブル上に固定されたバル
ク材に対し、レーザ光源74により得られるレーザ光を
レーザビーム装置75から照射することにより、同アー
マチャ25bを得る方法を概略的に示している。また、
図14(c)は、プレス台76上に固定されたバルク材
に対して上方からプレス型77をプレス加工することに
より、同アーマチャ25bを得る方法を概略的に示して
いる。
【0074】こうして形成されたアーマチャ25bに対
して先に図1に示したアーマチャステム21を溶接によ
り接合するとともに、同図1に示した各部材を組み合わ
せて電磁駆動バルブが構成される。この場合、積層構造
を有するアッパコア26およびロアコア27の積層方向
と線状の溝71の延設方向とが平行になるように、これ
らコア26および27とアーマチャ25aとを組み合わ
せる。これも、第1の実施の形態において説明した理由
と同じである。
【0075】以上説明したように、この第3の実施の形
態にかかる電磁駆動バルブによれば、先の第1および第
2の実施の形態に準じて以下のような効果を得ることが
できるようになる。
【0076】(1b)アーマチャ25bの内部に形成さ
れる磁路に直交する方向への電流の流れを制限するよう
に、アーマチャ25bにおけるアッパコア26およびロ
アコア27との対向部に線状の溝71を設けている。こ
のため、アッパコイル28やロアコイル29への通電に
対応して磁路に発生する磁束の変化による渦電流の発生
を、同線状の溝71にて分断される各領域内に制限する
ことができるようになる。これにより、アーマチャ25
bにて発生する鉄損が低減されるとともに、電磁駆動バ
ルブとして発生する鉄損も低減される。
【0077】(2b)積層構造を有するアッパコア26
およびロアコア27の積層方向と平行に線状の溝71の
延設方向を設定している。このため、アッパコイル28
やロアコイル29への通電に対応して磁路に発生する磁
束が変化したときに発生する渦電流の抑制効果を高くす
ることができる。
【0078】(8)1つのバルク材に対して線状の溝7
1を設ける簡素な構造のため、鉄損を低減することので
きるアーマチャ25bが容易にかつ経済的に得られるよ
うになる。
【0079】(9)1つのバルク材によりアーマチャ2
5bを形成するため、アーマチャとしての機械的強度を
高くすることができる。 (その他の実施の形態)なお、上記各実施の形態は以下
のように変更して実施してもよい。
【0080】・上記第1の実施の形態においては、電磁
駆動バルブのアーマチャ25を構成するバルク材に埋設
するシート状の絶縁性材料として、セラミックシート3
5を用いる場合について説明したが、必ずしもこの構造
に限定されるものではない。たとえば、セラミックシー
トに代えて絶縁紙等を用いてもよい。この場合、上記シ
ート状の絶縁性材料が非磁性体である必要は必ずしもな
く、絶縁性さえあれば磁性体である方がアーマチャ内で
の磁束の通りの妨げとならないことからむしろ好まし
い。
【0081】・上記第1の実施の形態においては、電磁
駆動バルブ16のアーマチャ25がアーマチャステム2
1とともに一体形成されている場合について例示した
が、両者が一体形成されている必要は必ずしもない。
【0082】・上記第1の実施の形態においては、鋳湯
を鋳型に注入することによりアーマチャ25をアーマチ
ャステム21とともに一体に成型する方法について説明
したが、必ずしもこの方法に限定されるものではない。
バルク材の材料として鋳鉄を用いる必要は必ずしもな
く、たとえば鋳鋼等、磁性を有するその他の金属または
合金等を用いてもよい。さらに、アーマチャ25を鋳造
により形成する必要は必ずしもなく、たとえば磁性を有
する粉体の焼結等、他の方法によりこれを形成してもよ
い。
【0083】・上記第2の実施の形態においては、バル
ク材25a1〜25a3の接合面のうち側壁面62およ
び63をテーパ状に加工することによってそれらバルク
材相互の接合面に間隙64を形成する場合について説明
したが、例示した構造には必ずしも限定されない。たと
えば、図11(c)にその平面図を示すように、アーマ
チャ25aの間隙64に絶縁性の材料からなる皮膜66
を被覆もしくは充填することにより、それら間隙64に
おける絶縁性をより確実にする構造としてもよい。
【0084】・上記第2の実施の形態においては、バル
ク材25a1〜25a3相互の接合面を段差状に形成す
る場合について例示したが、必ずしもこの構造に限定さ
れるものではない。たとえば、図11(d)にその断面
図を例示するように、バルク材25b1とバルク材25
b2とが、アーマチャの上下面となる面と斜め方向の角
度をなして形成された接合面61bにおいて接合される
構造であってもよい。また、こうした接合面が曲面を有
して構成されていてもよい。
【0085】・上記第3の実施の形態においては、電磁
駆動バルブを構成するアーマチャ25bの形成方法とし
て、カッタによるカッティング加工、レーザ加工、およ
びプレス加工を用いる場合について例示したが、必ずし
もこれらの方法に限定されるものではない。要は、アー
マチャ内部に形成される磁路に直交する方向への電流の
流れを制限するように、アッパコア26およびロアコア
27との対向部に線状の溝71が形成されさえすればよ
い。
【0086】・上記第2および第3の実施の形態のおい
て、アーマチャ25aまたは25bに形成する間隙64
または線状の溝71の深さはそれぞれ任意である。要
は、電磁駆動バルブとして発生する鉄損を十分に低減で
きる効果が得られさえすればよい。
【0087】・上記各実施の形態においては、ステータ
コアとしてのアッパコア26およびロアコア27が積層
構造にて形成されている場合について説明したが、必ず
しもこの構造とする必要はない。上記積層構造以外にて
ステータコアが構成される場合において、そのステータ
コアがその磁気抵抗について方向性をもたないときに
は、ステータコアに対向して配置するアーマチャの方向
は、そのシート状の絶縁性材料、間隙、または線状の溝
等の向きを特に意識する必要はない。
【0088】・上記各実施の形態においては、それぞれ
例示した各アーマチャとステータコアとが直接当接する
場合について説明したが、必ずしもこの構造に限定され
るものではない。たとえば、両者の対向面の少なくとも
一方に、当接に際しての衝撃を緩和する衝撃吸収手段が
設けられた構造であってもよい。
【0089】・上記各実施の形態においては、アーマチ
ャ内部に形成される磁路に直交する方向の電流制限手段
として、バルク材に埋設されたシート状の絶縁性材料
や、複数のバルク材の接合面に構成された間隙、あるい
は1つのバルク材に設けられた線状の溝を利用するもの
について例示した。本発明は、これらの構造を利用した
電流制限手段に限定されない。たとえば、バルク材内部
に形成した酸化層を有するアーマチャ等、アーマチャ内
部に形成される磁路に直交する方向への電流の流れを制
限する任意の電流制限手段により構成される電磁駆動バ
ルブにおいても、上記各実施の形態に準じて本発明を広
く適用することができる。
【0090】・上記各実施の形態においては、電磁アク
チュエータを吸排気バルブの開閉駆動に利用する電磁駆
動バルブに適用した場合について例示したが、必ずしも
この構成に限定されるものではない。ステータコアに巻
回されたコイルへの通電にともなって発生する電磁力に
基づきアーマチャが変位する任意の構成の電磁アクチュ
エータにおいても、上記各実施の形態に準じて本発明を
広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電磁駆動バルブの第1の実施の
形態について、その構成を例示する断面図。
【図2】上記第1の実施の形態について、アーマチャを
その周辺主要部品とともに例示した斜視図。
【図3】上記アーマチャの平面図。
【図4】同アーマチャとアッパコアとにより形成される
磁路について例示する説明図。
【図5】上記電磁駆動バルブにて発生する鉄損について
例示する説明図。
【図6】同電磁駆動バルブの鉄損および吸引力とセラミ
ックシートの枚数との関係を例示する図。
【図7】上記アーマチャを製造する工程を例示する説明
図。
【図8】同アーマチャを製造する工程を例示する説明
図。
【図9】同アーマチャを製造する工程を例示する説明
図。
【図10】同アーマチャの機械的強度について例示する
説明図。
【図11】本発明にかかる電磁駆動バルブの第2の実施
の形態について、アーマチャの構造とその変形例とを例
示する断面図。
【図12】上記第2の実施の形態について、間隙本数と
鉄損低下率との関係を例示する説明図。
【図13】本発明にかかる電磁駆動バルブの第3の実施
の形態について、アーマチャの構造を例示する断面図。
【図14】上記第3の実施の形態のアーマチャを製造す
る工程を例示する説明図。
【符号の説明】 11…シリンダヘッド、12…ポート、13…燃焼室、
14…弁座、15…バルブ、15a…バルブステム、1
5b…弁体、16…電磁駆動バルブ、17…バルブガイ
ド、18…ロアリテーナ、19…ロアスプリング、21
…アーマチャステム、22…アッパリテーナ、23…ア
ッパキャップ、24…アッパスプリング、25、25
a、25b…アーマチャ、25a1〜25a3、25b
1、25b2…バルク材、26…アッパコア、27…ロ
アコア、28…アッパコイル、29…ロアコイル、30
…軸受、31…閉駆動用電磁石、32…開駆動用電磁
石、34…積層体、35…セラミックシート、51…上
型、52…下型、64…間隙、66…皮膜、71…線状
の溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 歳田 寿充 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 高野 雅幸 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 (72)発明者 中村 喜代治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車 株式会社内 Fターム(参考) 5E048 AA04 AD02 BA07 CA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コイルへの通電にともない発生する電磁力
    により、アーマチャをステータコアに向けて変位させる
    電磁アクチュエータにおいて、 前記アーマチャは、内部に形成される磁路に直交する方
    向への電流の流れを制限する電流制限手段を備えるバル
    ク材によって構成されてなることを特徴とする電磁アク
    チュエータ。
  2. 【請求項2】前記電流制限手段は、前記バルク材に埋設
    された1ないし複数のシート状の絶縁性材料からなる請
    求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  3. 【請求項3】前記ステータコアは磁性体からなる板状部
    材が積層されて形成されてなり、前記シート状の絶縁性
    材料は、前記アーマチャを構成するバルク材に対して前
    記板状部材の積層方向と平行に埋設されてなる請求項2
    に記載の電磁アクチュエータ。
  4. 【請求項4】前記アーマチャを構成するバルク材が鋳鉄
    からなり、これに埋設される前記シート状の絶縁性材料
    がセラミックシートからなる請求項2または3に記載の
    電磁アクチュエータ。
  5. 【請求項5】前記アーマチャは、その支軸であるアーマ
    チャステムとともに一体に成型されてなる請求項4に記
    載の電磁アクチュエータ。
  6. 【請求項6】前記アーマチャは、複数のバルク材が接合
    されて構成され、前記電流制限手段は、それら複数のバ
    ルク材の接合面の互いの導電部に形成された間隙からな
    る請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  7. 【請求項7】前記電流制限手段を構成する間隙には絶縁
    性の材料が被覆もしくは充填されてなる請求項6に記載
    の電磁アクチュエータ。
  8. 【請求項8】前記アーマチャを構成する複数のバルク材
    は、その各接合面に段差部を有し、それら段差部が前記
    アーマチャの変位方向に重なり合う態様で接合されてな
    る請求項6または7に記載の電磁アクチュエータ。
  9. 【請求項9】前記アーマチャは、前記複数のバルク材が
    その接合面の側端部の溶接により一体に形成されてなる
    請求項8に記載の電磁アクチュエータ。
  10. 【請求項10】前記ステータコアは磁性体からなる板状
    部材が積層されて形成されてなり、前記アーマチャの前
    記電流制限手段を構成する間隙は、前記板状部材の積層
    方向と平行に延設されてなる請求項6〜9のいずれかに
    記載の電磁アクチュエータ。
  11. 【請求項11】前記電流制限手段は、前記アーマチャを
    構成するバルク材の表面に形成された1ないし複数の線
    状の溝からなる請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
  12. 【請求項12】前記ステータコアは磁性体からなる板状
    部材が積層されて形成されてなり、前記電流制限手段を
    構成する線状の溝は、前記板状部材の積層方向と平行に
    延設されてなる請求項11に記載の電磁アクチュエー
    タ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011105018A (ja) * 2011-03-07 2011-06-02 Sumitomo Heavy Ind Ltd 型締装置
WO2021015591A1 (ko) * 2019-07-24 2021-01-28 정종홍 이차전지 제조공정용 직선왕복구동장치

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