JP4081933B2 - 電磁駆動弁用コア - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁駆動弁用のコアに係わり、特に、内燃機関の吸気弁または排気弁を構成する電磁駆動弁装置の構成要素として用いられるコアに関する。
【0002】
【従来技術】
近年、作用角、およびリフト量を自由に変えることができる電磁駆動吸気弁もしくは電磁駆動排気弁が研究、開発されている。しかし、着座騒音、弁作動の信頼性、消費動力、コストなど解決すべき課題は多い。
【0003】
電磁駆動給排気弁アクチュエータに対しては排気筒内圧変動などの運転条件変化に対して十分な電磁力を持つこと、1気筒あたり4弁の搭載配置が可能なことがまず求められる。
【0004】
十分な電磁力を持つための従来技術として、例えば、特開平11−126715号公報に開示される如く、アーマチャに対するコアが例えば、磁性材料で構成された複数の薄板片を積層させることにより製造される電磁駆動弁用コアが知られている。上記従来のコアにおいて、複数の薄板片はコアの中心から放射線状に積層されている。それぞれの薄板片は、その側面に絶縁被膜を備えている。また、それぞれの薄板片には、コアに環状のコイル溝を形成するための切欠きが設けられている。
【0005】
コアのコイル溝には電磁コイルが収納される。この電磁コイルに励磁電流が供給されると、電磁コイルの内外周を還流する磁束が発生する。薄板片が備える絶縁被膜は磁束の貫通を妨げる。このため、電磁コイルの内外周を還流する磁束は、隣接する薄板片間で多量に授受されることなく、主に個々の薄板片を通って電磁コイルの内外周を還流する。
【0006】
コアを流れる磁束の密度が増減する際には、電磁誘導により、その変化を妨げる渦電流が発生する。電磁駆動弁に優れた応答性を付与するためには、磁束密度の変化を妨げる渦電流が早期に消滅することが望ましい。渦電流は、板厚の薄い磁性板の内部で発生するほど早期に消滅することが知られている。上記従来のコアによれば、渦電流を早期に消滅させて、電磁駆動弁に優れた応答性を付与することができる。
【0007】
ところで、電磁駆動弁において優れた電力消費特性を得るためには、コアが効率良く大きな磁束を流通させることが望ましく、コアを方向性珪素鋼板で構成することがコアに効率良く大きな磁束を流通させる手法につながる。
【0008】
方向性珪素鋼板は、印加される磁界の方向に応じて異なる磁化特性を示す鋼板である。より具体的には、所定方向に向かう磁界に対しては、通常の珪素鋼板に比して磁束を流通させ易く、一方、他の方向に向かう磁界に対しては、通常の珪素鋼板に比して磁束を流通させ難い鋼板である。以下、方向性珪素鋼板が磁束を流通させやすい方向を容易磁化方向と、また、磁束を流通させ難い方向を困難磁化方向と称す。
【0009】
上記従来のコアを流れる磁束は、コイル溝の内周側および外周側で主にコアの軸方向に進行する。従って、コアを構成する複数の薄板片を、コアの軸方向と容易磁化方向とが一致するように方向性珪素鋼板で形成すれば、電磁コイルの発する磁界に対して、コアに効率良く多量の磁束を流通することができる。更に、コイル溝の下部においては、コアを流れる磁束はコアの径方向に向かって進行するため、コアの軸方向と容易磁化方向とが一致するように方向性珪素鋼板で構成した。
【0010】
上述の構造を用いることで、従来技術では電磁コイルで発生した磁束を効率良く電磁コアに還流させることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では方向性珪素鋼板を上述の如く複雑な構造に加工しなければならないため、製造コストが問題となる。
【0012】
本発明は上述の点に鑑見てなされたものであり、第1の目的は、製造コストと成形性とを軽減する電磁駆動弁用コアを提供することにある。
【0013】
また本発明の第2の目的は、電磁コイルが磁界を発生した際に、その電磁コイルの内外周を還流する磁束を効率良く流通させるコアを従来技術とは異なる構造で実現することにある。
【0014】
さらに、本発明の第3の目的は、十分な電磁力を持ち、複数の搭載配置可能な電磁駆動弁装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的は、請求項1に記載されている如く、電磁駆動弁に用いられる電磁駆動弁用コアにおいて、コイル溝と、前記コイル溝の内周側、外周側に沿って延在する方向性軟磁性板と、前記コイル溝の内周側、外周側とに配設される前記方向性珪素鋼板が磁界を流通し難い前記コイル溝の底面側とに配設される軟磁性複合材料とを備えることにより達成される。
【0016】
上記第2の目的は、請求項に記載されている如く、電磁駆動弁に用いられる電磁駆動弁用コアにおいて、前記内部コアは前記電磁コアの中心から放射状に配設された複数の前記第1の積層部材と、前記複数の第1の積層部材の隙間に配設された第1の軟磁性複合材料とからなり、前記外部コアは前記電磁コアの中心から放射状に配設された前記複数の第2の積層部材と、前記複数の第2の積層部材との隙間に配設された第2の軟磁性複合材料とからなり、前記第1の積層部材は複数の鋼板からなり、前記第2の積層部材は複数の鋼板からなることにより達成される。
【0017】
また、請求項及びに記載されている如く、電磁駆動弁に用いられる電磁駆動弁用コアにおいて、前記積層部材がその延在方向を磁束が流通し易い方向とする方向性珪素鋼板で構成され、外周部に配設される前記積層材、または、内周部に配設される前記積層材と、内周部と外周部とを接続するように配設される前記軟磁性複合材料との接合面の角度は、前記積層材と前記軟磁性複合材料との磁束密度の関係から得られる比によって定められることにより達成される。
【0018】
さらに、請求項およびに記載されている如く、電磁駆動弁に用いられる電磁駆動弁用コアにおいて、前記アーマチャと衝突する面において、前記電磁コアの外周部の面積と前記電磁コアの内周部の面積の関係が、前記積層材と前記軟磁性複合材料との磁束密度の関係から定められている電磁駆動弁用コアにより達成される。
【0019】
また、第3の目的は、請求項に記載されている如く、請求項1乃至請求項に記載の電磁駆動弁用コアを電磁駆動吸気弁および/または電磁駆動排気弁に用いることにより達成される。
【0020】
本発明において、電磁駆動弁用コアは、コイル溝の内周側と外周側にそれぞれ積層部材を備えている。このため、電磁駆動弁用コアは、コイル溝の内周側から外周側へ向かう磁界、または、その逆向きに向かう磁界に対して効率良く磁束を流通させる。しかし、コイルが発生する磁界は、前記コイル溝の底面側においてコイルの径方向であるため、前記の方向磁性材にとっては磁界を通し難い方向となってしまう。そこで、前記コイル溝の底面側に軟磁性複合材料を配設することで前記コイル周りの磁界に対して効率良く磁束を流通させる。
【0021】
また、コアの構造はコイル溝の内周側に流通する磁束数と外周側に流通する磁束数とをほぼ同数とする構造を用いている。さらに、底面側の軟磁性複合材料と、内周側、外周側の積層部材の接合角度を軟磁性複合材料と積層部材の磁化特性から定めている。コイル底面側に軟磁性複合材料を用い、それに加えて、上記の2つの構造を用いることにより電磁コアを還流する磁束数を電磁コア内部でほぼ一定に保つ事ができる。これにより電磁コイルが発生する磁束を電磁コア内部で効率良く還流させることが可能となる。また、コイル底部に複雑な加工を必要とする構造ではないため、従来技術より低コストな電磁駆動弁用コアを提供することが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例である電磁駆動弁用コアを備える電磁駆動弁装置10の全体構成図を示す。電磁駆動弁10は弁体12を備えている。弁体12は、内燃機関の吸排気弁を構成している。弁体12は、内燃機関の燃焼室内に露出するようにシリンダヘッド13に配設されている。内燃機関のシリンダヘッド13には、吸気ポート14が設けられている。吸気ポート14には、弁体12に対する弁座11から離座することにより導通状態となり、また、弁体12が弁座11に着座することにより遮断状態となる。
【0023】
弁体12には、弁軸15が固定されている。弁軸15は、バルブガイド16により軸方向に摺動可能に保持されている。バルブガイド16は、シリンダヘッド13に支持されている。弁軸15の上部には、アーマチャシャフト20が配設されている。また、弁軸15の上端部には、ロアリテーナ21が固定されている。ロアリテーナ21とシリンダヘッド13に固定されるロアスプリングストッパ17との間にはロアスプリング22が配設されている。ロアスプリング22はロアリテーナ21を、すなわち、アーマチャシャフト20および弁体12を、図1における上方へ向けて付勢している。
【0024】
ロアリテーナ21の上方にはアッパリテーナ24が接続されている。アッパリテーナ24の上部には、アッパスプリング26が配設されている。アッパスプリング26は、アッパリテーナ24を、すなわち、アーマチャシャフト20および弁体12を、図1における下方へ向けて付勢している。アッパスプリング26の上部にはアッパストッパ18が固定されており、アッパストッパ18とアッパリテーナ24との間に挟まれてアッパスプリング26が配設されている。
【0025】
アーマチャシャフト20には、円筒形状のアーマチャ30が接合されている。従来よりアーマチャの形状として、矩形形状のものが知られている。ところが、矩形形状のアーマチャではバルブスプリングのサージによるバルブの回転によりハウジングに干渉してしまう。この干渉に際する摩擦力がバルブの着座制御の外乱になる。また、矩形形状ではバルブの回転が規制されるため弁体が衝突する弁座に偏摩耗を生じるためバルブの気密性を保持する上でも円筒形状のアーマチャが望ましい。本実施例では上述の理由によりアーマチャ30を、磁性材料で構成される円筒形状の部材で構成している。アーマチャ30の上方には、第1電磁石32が配設されている。第1電磁石32は、アッパコイル34およびアッパコア36を備えている。また、アーマチャ30の下方には、第2電磁石38が配設されている。第2電磁石38は、ロアコイル40およびロアコア42を備えている。
【0026】
アッパコア36およびロアコア42は、それらの中央部においてアーマチャ軸20を摺動可能に保持している。また、アッパコア36およびロアコア42は、それぞれ、アーマチャ軸20の周囲を取り巻く位置にコイル溝43,44を備えている。アッパコイル34およびロアコイル42は、それぞれ、コイル溝43、44の内部に収納されている。
【0027】
本実施例において、電磁駆動弁10は、アッパコア36およびロアコア42の構造に特徴を有している。より具体的には、アッパコア36またはロアコア42が、それぞれ、アッパコイル34またはロアコイル40の発する磁界に対して高率良く磁束を流通させる構造を有している点に特徴を有している。なお、その特徴部については、後に詳細を説明する。
【0028】
第1電磁石32および第2電磁石38は、それらの間に所定の間隔が確保されるように外筒45によって保持されている。以下、電磁駆動弁10の動作について説明する。電磁駆動弁10においては、アッパコイル34に励磁電流を供給することで、アッパコイル34の内外を還流する磁束を発生させることができる。アッパコイル34の内外を還流する磁束は、アッパコア36およびアーマチャ30を含む経路を通って流通する。この際、アーマチャ30と第1電磁石32との間に、アーマチャ30を第1電磁石32側へ引き寄せる電磁力が発生する。
【0029】
このため、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル34に適当な励磁電流を供給することで、アーマチャ30、アーマチャシャフト20、および、弁体12等を第1電磁石32側へ変位させることができる。アーマチャシャフト20は、アーマチャ30がアッパコア36と当接するまで第1電磁石32側へ変位させることができる。弁体12は、アーマチャ30がアッパコア36と当接する状況下では吸気ポート14を閉塞する。したがって、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル34に適当な励磁電流を供給することで、弁体12を全閉状態とすることができる。
【0030】
弁体12が全閉状態に維持されている場合、アッパスプリング26およびロアスプリング22は、アーマチャシャフト20を中立位置に向けて付勢する。このような状況下でアッパコイル34への励磁電流の供給が停止されると、アーマチャシャフト20は、以後、アッパスプリング26とロアスプリング22のばね力にしたがって弁開方向に変位する。
【0031】
電磁駆動弁10によれば、ロアコイル40に励磁電流を供給することで、ロアコイル40の内外を還流する磁束を発生させることができる。ロアコイル40の内外を還流する磁束は、ロアコア42およびアーマチャ30を含む経路を通って流通する。この際、アーマチャ30と第2電磁石38との間に、アーマチャ30を第2電磁石38側へ引き寄せる電磁力が発生する。このため、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル34への励磁電流の供給を停止した後、適当なタイミングでロアコイル40に励磁電流を供給することで、アーマチャ30が第2電磁石38に当接するまでアーマチャ軸20を変位させることができる。
【0032】
弁体12は、アーマチャ30が第2電磁石38と当接する際に全開状態となる。したがって、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル34への励磁電流の供給を停止した後、適当なタイミングでロアコイル40への励磁電流の供給を開始することで、弁体12を全閉状態から全開状態に変化させることができる。弁体12が全開状態に変化した後、ロアコイル40への励磁電流の供給が停止されると、弁体12は、アッパスプリング26およびロアスプリング22に付勢されることにより、全閉位置に向けて変位し始める。以後、適当なタイミングで、アッパコイル34およびロアコイル40に繰り返し励磁電流を供給すると、弁体12を開閉動作させることができる。
【0033】
アッパコア36またはロアコア42を流通する磁束の密度は、アッパコイル34またはロアコイル40への励磁電流の供給が開始された直後、および、励磁電流の供給が停止された直後に急変する。アッパコア36またはロアコア42を流通する磁束密度が変化する際には、その変化を妨げるようにアッパコア36またはロアコア42に、磁束と錯交して還流する渦電流が発生する。
【0034】
本実施例のシステムにおいて、弁体12を優れた応答性の下に開閉させるうえで、アッパコア36またはロアコア42に励磁電流の供給を停止した後、速やかに磁束密度が増減されることが望ましい。このため、磁束密度の変化を妨げる渦電流は、速やかに消滅させることが必要である。
【0035】
また、電磁駆動弁10において優れた省電力性を確保するためには、アッパコイル34またはロアコイル40に所定の励磁電流が供給された際に、アッパコア36またはロアコア42が効率良く多量の磁束が流通することが望ましい。
【0036】
アーマチャ20を捕捉時に磁束が流通する経路は、ロアコア42においては図3に示す如くロアコイル40の内側ではアーマチャシャフト20の軸方向に平行な矢印に従い、底側ではアーマチャシャフト20の径方向の矢印に従い、外周側では内周側の矢印とは対抗する矢印に従い、アーマチャ20では中心から外周側の方向へ還流する。アッパコア36についても磁束は同様に還流する。
【0037】
上述の如く、アッパコア36およびロアコア42には、渦電流を速やかに消滅させる特性が必要であり。また、アッパコイル34またはロアコイル40の発する磁界に対して効率良く磁束を流通させるための特性として図3における磁束の流通経路に損失を低減するアッパコア36およびロアコア42の構造が要求される。本実施例において、アッパコア36またはロアコア42は、これら2つの特性を共に実現する構造を有している。
【0038】
以下に、本実施例のロアコア42の構造を図2乃至図5を参照して詳細に示す。
【0039】
図2はロアコア42を上方向から見た断面図である。第2電磁石を構成するロアコア42の形状は円筒形状であり、内部コア50と外部コア55と電磁コイルを収容するコイル溝44と基部コア60とから構成されている。
【0040】
内部コア50は、第1の積層部材51と第1の軟磁性複合材料としてのSMC圧粉材52と非磁性材料56、57とからなる。非磁性材料56はアーマチャシャフト20の外周に沿って円筒形状に配設され、アーマチャシャフト20が摺動運動する際に生じる摩擦抵抗を無くすために隙間を設けて配設されている。隙間には図3,4に示すようにアーマチャ本体30と当接する軸受70が圧入されている。非磁性材料57はアーマチャシャフト20を中心とした円筒形状であり、非磁性材料56、57は内部コア50の外枠を成している。第1の積層部材51とSMC圧粉材52は非磁性材料56、57の内側に隙間なく嵌合される。第1の積層部材51はアーマチャシャフト20の軸方向を容易磁化方向とするように非磁性材料56、57の周方向に沿って積層される方向性軟磁性板と、方向性軟磁性板同士を接合する絶縁体とからなる。これを一単位として第1の積層部材51はアーマチャシャフト20の中心から放射状に複数単位配設される。また、第1の積層部材51と隣接する第1の積層部材51との隙間にできる略三角柱は第1の軟磁性複合材料としてのSMC圧粉材52が嵌め込まれる。SMC圧粉材52は鉄粉と樹脂を用いており、これに加圧と加熱とを同時に施すことによって所望の形状に成形している。
【0041】
外部コア55は内部コア50の外周側にコイル溝39を挟んで配設されている。コイル溝44にはロアコイル40が収容されている。外部コア55の構成は磁束の矢印92を容易磁化方向とする第2の積層部材53と第2の軟磁性複合材料としてのSMC圧粉材54と非磁性材料58との組み合わせによって実現する。非磁性材料58は外部コア55の最も外側に配設される円筒形状の部材である。第2の積層部材53は非磁性材料58とコイル溝44の周方向に沿って積層される方向性軟磁性板と方向性軟磁性板同士を接合する絶縁体によって構成される。外部コア55はこの第2の積層部材53を一単位としてアーマチャシャフト20の中心から放射線状に複数単位配設され、隣接する第2の積層部材53とに生じる略三角柱の隙間には第2の軟磁性複合材料としてのSMC圧粉材53が嵌め込まれている。第2のSMC圧粉材53は鉄粉と樹脂とからなり、加熱と加圧とを同時に施すことによって所望の形状を得ることができる。
【0042】
上記のロアコア42の構造において、磁束を効率良く還流させるためには内部コア50と外部コア55を還流する磁束の数をほぼ同数にすることが必要となる。
【0043】
図5は一般的な積層部材と軟磁性複合材料の磁界強度に対する磁束密度を示す図である。図5において、縦軸は磁束密度、横軸は磁界強度を示している。本実施例では図5に示す積層部材と軟磁性複合材料との磁化特性図から内部コア50と外部コア55と還流する磁束数が等しくなるように式(1)の条件から定まる内部コア50と外部コア55の構成が成されている。
【0044】
【数1】
0.7×Ao-SMC+Ao-S≒0.7×Ai-SMC+Ai-S (1)
Aはコアの面積を示し、添え字のoは外部コア55、iは内部コア50、SMCはSMC圧粉材、Sは珪素鋼板の積層材を示す。
【0045】
式(1)の係数0.7は図5の磁化特性図においてSMC圧粉材と珪素鋼板の積層材との磁束密度比から得られる係数である。本実施例では電磁駆動弁が動作する際に発生する磁界強度を常用磁界領域とし、その常用磁界領域のうちの一点から得られるSMC圧粉材の磁束密度を同一の磁界強度から得られる積層部材の磁束密度で割ることで求めている。式(1)においてここで得た係数0.7をSMC圧粉材の実面積に乗じ、積層部材の実面積を加えることで、常用磁界における内部コア50と外部コア55とに還流する磁束数を求めている。
【0046】
上述のようにして内部コア50と外部コア55に還流する磁束数を等しくすることによって、アーマチャシャフト20捕捉時に還流する磁束を効率良く流通させることができる。
【0047】
図3は図1のA−Aで切断したロアコア42の断面図である。図2で示したように中心にはアーマチャシャフト20が配設され、これを中心として内部コア50が配設されている。図3の断面図においては内部コア50は図2において示した非磁性材料56、57、58と第1の軟磁性複合材料としてのSMC圧粉材52と第2の軟磁性複合材料としてのSMC圧粉材54とを確認できる。ここで本実施例においてSMC圧粉材52、54と後述する基部コア60とを構成する圧粉材59は一体成形で構成されている。ロアコイル42の内部には内部コア50、外部には外部コア55が、そして、底部には基部コア60が配設される。内部コア50と外部コア55の構成は図2で示した通りである。基部コア60の構成は第3の軟磁性複合材料としてのSMC圧粉材59からなり、外部コア55と内部コア50とロアコイル42との形状に合致するように嵌合される。非磁性材料56、58には段差が設けられており、アーマチャ30を吸引する際にSMC圧粉材52が移動することを防止している。
【0048】
図4は図1のB−B面を紙面に垂直に切断した断面図である。図4には電磁コア部に第1の積層部材51と第2の積層部材54が現われている。電磁コアの構成は図2、図3で示した通りである。しかし、ロアコイル42の底部では磁束は電磁コアの径方向の矢印に還流する。このため、外部コア55、内部コア50のように磁束の内周側の矢印と外周側の矢印とを容易磁化方向とする積層部材51、54の構成では、効率良くコアに磁束を流通させることができない。そこで、磁束が径方向の矢印に流通するロアコイル42の底部では、基部コア60にSMC圧粉材59を用いている。ところで、内部コア50と底部コア60の接合面と外部コア55と底部コア60の接合面では、材料が異なるため効率良く磁束が還流するためには、還流する磁束数がほぼ同一でなければならない。本実施例では、効率良く磁束を還流させるコアを提供することを目的としており、目的を達成するために外部コア55と基部コア60、内部コア50と基部コア60のそれぞれの接合面の角度を式(2)に従う角度にしている。
【0049】
【数2】
θ=tan―1(BSMC/BC) (2)
ここで、θは内部コア50と基部コア60、外部コア55と基部コア60の接合角度であり、BSMCはSMC圧粉材の磁束密度、BCは積層部材の磁束密度である。
【0050】
式(2)は、図5における常用磁界でのSMC圧粉材と方向性軟磁性材料との磁化特性図から定まる角度である。これによりロアコイル40が発生する磁束を基部コア60と内部コア50乃至外部コア55との接合面において効率良く流通させることができる。
【0051】
尚、本実施例ではアーマチャ30の軸受70以外のアッパコア36の構造を上記ロアコアと同一の構造としている。しかしながら、いずれか一方のコアを他の構造としても良い。
【0052】
また、本実施例では、コアの構成のうち、SMC圧粉材52、54、59を一体成形しているが、別体で成形しても良い。
【0053】
また、本実施例ではアッパコア36とロアコア42の構造を同一としているが、異なる構造としもよい。
【0054】
さらに、本実施例では、式(2)において、請求項6のαに相当する係数として0.7を用いているが、これに限定されることはない。要するに、コアに用いられる磁性材の常用磁界中の磁界強度に基づいて設定されていればよい。
【0055】
【発明の効果】
上述の如く、本実施例においてはアーマチャシャフト20の軸方向には磁束を流通させやすい積層部材を用い、コイルの底部にはSMC圧粉材59を配設している。この構造によれば、コイル溝に収納される電磁コイルに磁束が発生した場合、電磁コイルの内外周に効率良く磁束を還流することができる。更に、式(1)に従うように外部コアと内部コアとのそれぞれの面積を設計し、式(2)に従うように基部コアの接合角度を設計することによって、より効率的に磁束を流通させることができる。また、本発明の電磁駆動弁用コアの構造は複雑な加工を必要としないため低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁駆動弁用コアを備える電磁駆動弁の全体構成図である。
【図2】本発明の電磁駆動弁用コアを水平方向に切断し上方から見た断面図である。
【図3】本発明の電磁駆動弁用コアを積層部材が出るように垂直方向に切断した断面図である。
【図4】本発明の電磁駆動弁用コアをSMC圧粉材が出るように垂直方向に切断した断面図である。
【図5】本発明の電磁駆動弁用コアに用いたSMC圧粉材と積層部材の磁化特性図である。
【符号の簡単な説明】
20 アーマチャシャフト
30 アーマチャ
34 アッパコイル
36 アッパコア
39 コイル溝
40 ロアコイル
42 ロアコア
50 内部コア
51 第1の積層部材
52 第1の軟磁性複合材料
53 第2の積層部材
54 第2の軟磁性複合材料
55 外部コア
56,57,58 非磁性材料
60 底部コア
70 軸受

Claims (5)

  1. 円形アーマチャを電磁力により吸引する電磁駆動弁に用いられる電磁コアにおいて、
    前記電磁コアは、電磁コイルが収容されるコイル溝と、前記コイル溝の内側に形成される内部コアと、前記コイル溝の外側に形成される外部コアと、前記内部コアと前記外部コアとに接触するように配設される基部コアとからなり、
    前記内部コアは、第1の積層部材と第1の軟磁性複合材料とからなり、
    前記外部コアは、第2の積層部材と第2の軟磁性複合材料とからなり、
    前記基部コアは、第3の軟磁性複合材料とからなり、
    前記内部コアは、前記電磁コアの中心から放射状に配設された複数の前記第1の積層部材と、前記複数の第1の積層部材の隙間に配設された前記第1の軟磁性複合材料とからなり、
    前記外部コアは、前記電磁コアの中心から放射状に配設された複数の前記第2の積層部材と、前記複数の第2の積層部材との隙間に配設された前記第2の軟磁性複合材料とからなり、
    前記第1の積層部材は複数の鋼板からなり、
    前記第2の積層部材は複数の鋼板からなり、
    前記外部コアと前記内部コアとに接触するように配設される前記第3の軟磁性複合材料と前記第1の積層部材および/または前記第3の軟磁性複合材料と前記第2の積層部材との接合面の角度が、
    前記軟磁性複合材料と前記積層材との磁束密度の関係から決まる角度を有することを特徴とする電磁駆動弁用コア。
  2. 請求項1に記載の電磁駆動弁用コアにおいて、
    前記第3の軟磁性複合材料の磁束密度をB SMC 、前記第1の積層部材および/または第2積層部材の磁束密度をB C としたとき、前記内部コアと前記基部コアとの角度θを、
    θ=tan― 1 (B SMC /B C
    として定められていることを特徴とする電磁駆動弁用コア。
  3. 請求項1乃至請求項2に記載の電磁駆動弁用コアにおいて、
    前記アーマチャに当接する面側にある前記電磁コアの内周側の面積と前記アーマチャに当接する面側にある前記電磁コアの外周側の面積との関係が、
    前記軟磁性複合材料の磁束密度と前記積層部材の磁束密度との関係から決まることを特徴とする電磁駆動弁用コア。
  4. 請求項3に記載の電磁駆動弁用コアにおいて、
    前記内部コアにおいて前記軟磁性複合材料が占める面積A i-SMC と、前記第1の積層部材が占める面積A i-S と、前記外部コアにおいて前記第2の軟磁性複合材料が占める面積A o-SMC と、前記第2の積層部材が占める面積A o-S と、前記軟磁性複合材料の磁束密度と前記積層部材の磁束密度との関係から定まる係数αとは、
    α×A o-SMC +A o-S ≒α×A i-SMC +A i-S の関係を有していることを特徴とする電磁駆動弁用コア。
  5. 請求項1乃至請求項4に記載の電磁駆動弁用コアを電磁駆動吸気弁および/または電磁駆動排気弁に用いることを特徴とする電磁駆動弁装置。
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