JP2000243622A - 電磁アクチュエータ用ステータコアの製造方法及び動弁装置 - Google Patents

電磁アクチュエータ用ステータコアの製造方法及び動弁装置

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JP2000243622A
JP2000243622A JP11040064A JP4006499A JP2000243622A JP 2000243622 A JP2000243622 A JP 2000243622A JP 11040064 A JP11040064 A JP 11040064A JP 4006499 A JP4006499 A JP 4006499A JP 2000243622 A JP2000243622 A JP 2000243622A
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JP
Japan
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stator core
magnetic
valve
electromagnetic
armature
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Withdrawn
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JP11040064A
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English (en)
Inventor
Shinji Kamimaru
慎二 神丸
Mitsunori Ishii
光徳 石井
Nobuhiro Hagura
信宏 羽倉
Shinichi Shirohata
新一 白旗
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造が容易な電磁アクチュエータ用ステータコ
アを提供すること 【解決手段】均一な板厚を有し、実質的に平面な磁性平
板21を、磁性平板21間を絶縁した状態で積層するこ
とにより、磁性積層体22を形成し、磁性積層体22を
切断することにより、磁性平板21の平面がステータコ
アの中心軸と平行になるような磁性柱状体23を形成
し、磁性柱状体23の一方の端面に電磁コイルを収納す
るための収納溝を形成する電磁アクチュエータ用ステー
タコアの製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁アクチュエー
タに使用可能なステータコアの製造方法及びそれを用い
た動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高速応答性が要求される電磁アクチュエ
ータでは、動作時、すなわち磁束の変化時に生じる渦電
流の影響が問題となっている。例えば、対向スプリング
型電磁駆動バルブを用いた吸気バルブまたは排気バルブ
の開閉運動を考えた場合、電磁コイルの吸引力発生の際
に磁束が変化するため、磁束が流通する磁性部材中にお
いて渦電流が発生する。渦電流が生じると、バルブの応
答性の低下を招いたり、鉄損の増大による消費電力の増
大を招くといった問題が生じる。
【0003】このような渦電流の低減を意図して、ステ
ータコアの構造を改良するといったアプローチがある。
例えば、特開平4−365305号公報には、図1
(a)に示したようなステータコアが開示されている。
円筒形状を有するステータコアは、図1(b)に示した
ように、板厚が均一で、かつ湾曲形状を有する多数の磁
性体の板36を、ステータコアの中心軸に対し渦巻き状
に配置した構造を有している。それぞれの磁性板36に
は切り欠き凹部37が設けられているため、磁性板36
を渦巻き状に配置した状態では、切り欠き凹部37によ
り電磁コイルを収納するためのコイル収納溝38が形成
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のステータコアは、極めて高い加工精度が要求さ
れるため、その製造が容易ではないといった問題があ
る。すなわち、このステータコアは、湾曲形状の磁性板
36を渦巻き状に組み合わせて形成する必要があるた
め、設計通りのステータコアを製造するためには、磁性
板36を正確に湾曲させる必要がある。磁性板36の湾
曲の程度にばらつきがあると、それらを組み合わせた時
にばらつきが累積され、ステータコアの形状または寸法
に関して、無視できない程に大きな誤差が生じてしまう
可能性がある。このような誤差は、磁性板36の枚数が
増加するにつれて累積される。従って、実際の製造工程
では、磁性板36の枚数を調整したり、再度加工したり
する必要性が生じてしまう。
【0005】また、磁性板36の湾曲のばらつきを、磁
性板36間の隙間(絶縁部分)を調整することにより補
償しようとすると、ステータコアの磁気特性にばらつき
が生じてしまうおそれがある。磁性板36間の絶縁性に
ばらつきが生じると、ステータコア中に発生する渦電流
を低減できる能力にばらつきが生じてしまう。このよう
な特性のばらつきは、極め高い応答性が要求されるよう
な動弁装置等に適用しようとする際に大きな問題となり
得る。
【0006】このような従来技術の問題点に鑑み、本発
明の目的は、製造が比較的容易な電磁アクチュエータ用
ステータコアを提供することである。
【0007】また、本発明の別の目的は、動弁装置の動
作時に発生する渦電流を効果的に低減することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、第1の発明は、電磁アクチュエータ用ステータコ
アの製造方法において、均一な板厚を有し、実質的に平
面な磁性平板を、磁性平板間を絶縁した状態で積層する
ことにより、磁性積層体を形成するステップと、磁性積
層体を切断することにより、磁性平板の平面がステータ
コアの中心軸と平行になるような磁性柱状体を形成する
ステップと、磁性柱状体の一方の端面に電磁コイルを収
納するための収納溝を形成するステップとを有する電磁
アクチュエータ用ステータコアの製造方法を提供する。
【0009】また、第2の発明は、電磁アクチュエータ
用ステータコアの製造方法において、均一な板厚を有
し、実質的に平面な磁性平板を、磁性平板間を絶縁した
状態で積層することにより、磁性積層体を形成するステ
ップと、磁性積層体を切断することにより、磁性平板の
平面がステータコアの中心軸と平行になるような多角形
ブロックを得るステップと、複数の多角形ブロックを環
状に組み合わせて接合することにより、磁性柱状体を形
成するステップと、磁性柱状体の一方の端面に電磁コイ
ルを収納するための収納溝を形成するステップとを有す
る電磁アクチュエータ用ステータコアの製造方法を提供
する。この多角形ブロックの形状は、典型的には台形状
であることが好ましい。
【0010】また、第3の発明は、電磁アクチュエータ
用ステータコアの製造方法において、同一の断面形状を
有し、かつ、同一の断面面積を有する複数の磁性線材
を、磁性線材間を絶縁した状態で束ねると共に、磁性線
材が延在する方向とステータコアの中心軸の方向とが一
致するように束ねることにより、磁性柱状体を形成する
ステップと、磁性柱状体の一方の端面に電磁コイルを収
納するための収納溝を形成するステップとを有する電磁
アクチュエータ用ステータコアの製造方法を提供する。
【0011】一方、第4の発明は、電磁力によってバル
ブを動作させる動弁装置において、電磁力によって移動
し、当該移動と連係してバルブを変位させるアーマチュ
アと、アーマチュアの一方の端面側に設けられた第1の
ステータコアと、第1のステータコアに収納された第1
の電磁コイルと、アーマチュアの他方の端面側に設けら
れた第2のステータコアと、第2のステータコアに収納
された第2の電磁コイルとを有し、上記の第1のステー
タコア及び第2のステータコアのそれぞれは、複数の磁
性領域と、磁性領域間に設けられた絶縁領域とを有し、
磁性領域のそれぞれは、ステータコアの中心軸に対して
平行に平面状に延在している動弁装置を提供する。
【0012】また、第5の発明は、電磁力によってバル
ブを動作させる動弁装置において、電磁力によって移動
し、当該移動と連係してバルブを変位させるアーマチュ
アと、アーマチュアの一方の端面側に設けられた第1の
ステータコアと、第1のステータコアに収納された第1
の電磁コイルと、アーマチュアの他方の端面側に設けら
れた第2のステータコアと、第2のステータコアに収納
された第2の電磁コイルとを有し、上記の第1のステー
タコア及び第2のステータコアのそれぞれは、複数の磁
性領域と、磁性領域間に設けられた絶縁領域とを有し、
磁性領域のそれぞれは、ステータコアの中心軸に対して
平行に平面状に延在しており、かつ、ステータコアの端
面上において実質的に中心軸に向かって直線状に延在し
ており、かつ、ステータコアの端面上において実質的に
中心軸に向かって直線状に延在している動弁装置を提供
する。
【0013】さらに、第6の発明は、電磁力によってバ
ルブを動作させる動弁装置において、電磁力によって移
動し、当該移動と連係してバルブを変位させるアーマチ
ュアと、アーマチュアの一方の端面側に設けられた第1
のステータコアと、第1のステータコアに収納された第
1の電磁コイルと、アーマチュアの他方の端面側に設け
られた第2のステータコアと、第2のステータコアに収
納された第2の電磁コイルとを有し、第1のステータコ
ア及び第2のステータコアのそれぞれは、複数の磁性領
域と、磁性領域間に設けられた絶縁領域とを有し、磁性
領域のそれぞれは、ステータコアの中心軸に対して平行
に直線状に延在している動弁装置を提供する。
【0014】この第6の発明において、ステータコアの
端面上におけるそれぞれの磁性領域は、その形状とその
面積とが実質的に同じであることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】(第1の実施例)図2は、第1の
実施例におけるステータコアの製造工程を説明するため
の図である。まず、同図(a)に示したように、0.1mm
程度の均一な板厚を有する平面状の磁性平板21を多数
用意する。磁性平板21の一例として、軟磁気特性に優
れ、かつ、高周波領域(例えば5kHz以上)における鉄
損が極めて小さい無方向性の珪素鋼板を用いることが好
ましい。この磁性平板21の表面または裏面の少なくと
も一方は絶縁層で被膜されている。この絶縁層は、例え
ば、磁性平板21の表面に、数μm程度の膜厚が確保さ
れるように絶縁性塗料を塗布することで形成できる。
【0016】次に、このような磁性平板21を積層して
接合することにより、磁性積層体22を製作する(図2
(b))。磁性平板21の接合は、例えば、ワニスや樹
脂による接着、溶接、或いはかしめ等の手法により行わ
れる。上述したように、磁性平板21の表面には絶縁塗
料が塗布されているため、積層された各磁性平板21は
相互に絶縁された状態になっている。なお、積層磁性体
22は、これ以外にも、図2(c)に示したように、大
きな渦巻き状の積層鋼板の一部を切断することによって
形成することもできる。切断された積層磁性体22を構
成する各磁性層は、渦巻きの径に応じて湾曲している。
しかしながら、切り出された部分(図2(b)の積層磁
性体22に相当)は、渦巻き鋼板全体で見れば、微少な
領域に過ぎない。従って、この湾曲の程度は無視できる
ため、この領域における各磁性層は実質的に平面状に積
層されているといえる。
【0017】このようにして製造された磁性積層体22
の一部を円柱状に切断して、製造しようとするステータ
コアの外径と同程度の磁性積層柱23を製作する(図2
(d))。この磁性積層中23において、各磁性平板2
1の平面は、製造しようとするステータコアの中心軸と
平行となっている。
【0018】この磁性積層柱23を、製造しようとする
ステータコアの高さに合わせて切断加工することによ
り、ステータコアと同じ高さを有する磁性柱状体24を
得る(図2(e))。そして、この磁性柱状体24の両
端面を貫通する貫通孔を、磁性柱状体24の中心軸Cに
沿って形成する。このようなドーナツ状の磁性柱状体2
4の一方の端面に、所定の深さを有するコイル電線を収
納するための収納溝を環状に形成することにより、図3
(a)に示したようなステータコア7が完成する。
【0019】本実施例のように、実質的に平面な磁性板
からなる磁性積層体22を切断してステータコア7を製
造する方法は、曲げ加工のように高い精度が要求される
加工を伴わない。また、ステータコア7の形状は、磁性
積層体22を切断することにより容易に加工することが
できる。従って、設計通りのステータコアを、比較的簡
単にかつ精度よく製造することができる。
【0020】また、図3(a)に示したように、ステー
タコア7における隣接した磁性領域25間に存在する絶
縁領域26は、磁性平板21の積層時における絶縁状態
(例えば絶縁塗料の膜厚)に相当するため、その膜厚の
コントロールは容易である。従って、湾曲した磁性板間
の間隔によって絶縁特性が決定される従来のステータコ
アと比べて、磁性領域間を均一な間隔に設定でき、ステ
ータコア7の磁気特性のばらつきを抑えることができ
る。このようなステータコア7は、高速動作時に生じる
渦電流が問題となる電磁アクチュエータ用ステータコア
として使用するのに適している。
【0021】なお、本明細書でいう「絶縁」とは、磁性
領域(磁性層)よりも電流が流れにくい性質をいい、
「絶縁領域」とは磁性領域等よりも電流が流れにくい性
質を有する領域をいう。
【0022】(第2の実施例)図4は、第2の実施例の
ステータコアの製造工程を説明するための図である。第
1の実施例と同様の方法で、同図(a)に示した磁性積
層体22を製作する。次に、磁性積層体22を、製造し
ようとするステータコアの幅より少し長めの寸法で、磁
性平板21の平面に対して垂直な方向に切断する。これ
により複数の磁性ブロック27が得られる(同図
(b))。それぞれの磁性ブロック27の中央部を、同
図(b)に示すような斜め方向にさらに切断することに
より、台形状の多角形ブロック27a,27bを形成す
る(同図(c))。この多角形ブロック27a,27b
において、このブロックを構成する磁性平板21の平面
は、ステータコアの中心軸と平行になっている。
【0023】次に、図4(d)に示したように、多角形
ブロック27a,27bを交互に並べて多角形の輪を作
り、それぞれを接合することによりドーナツ状の多角柱
27を形成する。そして、作成しようとするステータコ
アの外径に応じて多角柱27の外側を機械的に削ると共
に、貫通孔の寸法に応じて多角柱27の内側も削る。さ
らに、第1の実施例と同様、削られた多角柱27の一方
の端面を、所定の深さで環状に削ることで、電磁コイル
を収納する収納溝を形成する。これらの一連の製造工程
を経て、図5に示したようなステータコア7が完成す
る。
【0024】本実施例においても、第1の実施例と同
様、比較的簡単な製造方法で、製品ごとのばらつきが小
さなステータコア7を得ることができる。また、図5
(a)に示したように、磁性領域25間に存在する絶縁
領域26は、磁性平板21を積層する際の絶縁状態が維
持されるため、ステータコア7の磁気特性のばらつきを
抑えることができる。また、本実施例では、ステータコ
ア7を構成する台形状の多角形ブロック27a,27b
は機械加工によって精度よく形成でき、かつ安定した品
質を確保することができる。従って、設計通りの形状を
有するステータコアを安定して製造でき、かつ、製品ご
との形状のばらつきや磁気特性のばらつきを一層効果的
に抑えることが可能となる。
【0025】(第3の実施例)本実施例は、磁性平板の
代わりに磁性線材をドーナツ状に束ねてステータコアを
製造する方法に関するものである。まず、図6に示した
ような多数の磁性線材28を用意する。各磁性線材28
の表面には絶縁塗料が塗布されている。これらの磁性線
材28を、製造しようとするステータコアの外径及び貫
通孔の径を考慮して環状に束ねて接合することにより、
ドーナツ状の磁性柱状体を形成する。磁性線材28の接
合は、樹脂接着、溶接、圧入、バンド締め付け等の手法
により行われる。
【0026】ここで、接合された各磁性線材28が延在
する方向は、製造しようとするステータコアの中心軸の
方向と一致しており、磁性線材28間は相互に絶縁され
ている。この磁性柱状体をステータコアの高さに応じて
切断加工した後、一方の端面に電磁コイルを収納するた
めの収納溝を形成する。これにより、図7に示したよう
なステータコア7が完成する(図7において収納溝は省
略されている)。
【0027】本実施例においても、第1の実施例と同様
の効果が期待できる他、磁性線材28を束ねるだけで簡
単にステータコアを作成できるため、製造コストが安い
といったメリットがある。また、第1及び第2の実施例
で使用する磁性平板の板厚のばらつきと比べて、磁性線
材28の径のばらつきは少なく安定している。従って、
製造されたステータコアの形状や磁気特性のばらつきを
一層効果的に抑えることが期待できる。
【0028】なお、上述した各実施例において、磁性積
層体(または磁性柱状体)を切断する際に、ステータコ
アの外径、内径、及び高さを考慮して切断すれば後工程
での切断を省くことができる。
【0029】(動弁装置への適用)図3、図5または図
7のいずれかに示したステータコア7は、渦電流の低減
という観点において、以下のような構造を有するエンジ
ンの動弁装置に適用することが有効である。本セクショ
ンでは、まず最初に、これらのステータコアを適用する
のに好ましい動弁装置の概略的な構成を説明し、その後
に、それぞれのステータコアにおいて渦電流が抑制でき
る理由について詳述する。
【0030】図8は、電磁駆動バルブを有する動弁装置
の一例を示した断面図である。一対の電磁コイル5,6
が対向配置されたツインコイル式電磁駆動バルブ1が、
エンジンのそれぞれの気筒における吸気ポート(及び/
または)排気ポートに介装されている。バルブ4(吸気
バルブ/排気バルブ)は、シリンダヘッド2中のバルブ
ステムガイド3に摺動自在に挿通されている。
【0031】ドーナツ形状のステータコア7,9(詳細
については後述する)のそれぞれの端面に設けられた収
納溝には、電磁コイル5,6が収納されている。開弁用
電磁コイル5が収納されたステータコア7は、シリンダ
ヘッド2に取り付けられている。一方、閉弁用電磁コイ
ル6が収納されたステータコア9は、ステータコア7,
9間の距離を調整するためのリフトアジャスタ8に取り
付けられている。アーマチュア17は磁性材料で形成さ
れた円板であり、その周囲に存在する電磁力(磁気的吸
引力)によって移動する。アーマチュア17の移動に連
係してバルブ4も変位する。また、ステータコア9の上
部にはケース11が取り付けられている。ケース11に
はバルブ4の軸方向に孔が設けられており、アーマチュ
ア17と一体化されたアーマチュアステム17aがこの
孔に摺動可能な状態で挿入される。それにより、アーマ
チュア17はバルブ4の軸方向にのみ移動することがで
きる。
【0032】ステータコア7の貫通孔には、バルブステ
ム4bが挿通されていると共に、バルブヘッド4aをバ
ルブシート12に押圧する方向(すなわち閉方向)に付
勢する閉弁用スプリング13が収納されている。このス
プリング13は、コッタピン14を介してバルブステム
4bに固着されたリテーナ15と、シリンダヘッド2に
設けられた環状の受け座との間に介装されている。ま
た、バルブステム4bの端部には、アーマチュア17と
バルブ4とのクリアランスを調整するためのシム16が
装着されている。一方、ステータコア9の貫通孔には、
バルブヘッド4aをバルブシート12から離間する方向
(すなわち開方向)に付勢する開弁用スプリング19が
収納されている。このスプリング19は、アーマチュア
17と、ケース11側の受け座との間に介装されてい
る。一対の電磁コイル5,6に電流を流していない状態
において、アーマチュア17は、互いに反対方向である
スプリング13,19の付勢力が釣り合っている中立位
置で静止している。この中立位置において、アーマチュ
ア17はシム16を押圧しているため、バルブ4は半開
した状態になっている。なお、ケース11には、バルブ
4のリフト量を検出するためのリフトセンサ10が装着
されている。リフトセンサ10は、アーマチュアステム
17aの先端部に取り付けられたニードル17cの動き
をモニタリングすることにより、バルブ4の開閉状態を
検出する。
【0033】このような構成において、バルブ4の開閉
状態は、一対の電磁コイル5,6に制御部18から供給
される電流により制御することができる。バルブ4を閉
状態から開状態へと変化させる場合、制御部18は、閉
弁用電磁コイル6に対する電流供給を停止した後に、開
弁用電磁コイル5に対する電流供給を開始する。これに
より閉弁用電磁コイル6がアーマチュア17を吸引する
力が消滅し、開弁用電磁コイル5の吸引力が発生する。
アーマチュア17(及びそれに連動するバルブ4)は、
この吸引力と開弁用スプリング19の付勢力により電磁
コイル5に向けて移動し、ステータコア7に吸着されて
停止する。この状態でバルブ4は最大のリフト量を有し
全開状態となる。一方、バルブ4を開状態から閉状態へ
と変化させる場合、制御部18は、閉弁用電磁コイル5
に対する電流供給を停止した後に、閉弁用電磁コイル6
に対する電流供給を開始すればよい。バルブ4の開閉タ
イミングは、エンジン回転数、アクセル開度、クランク
角パルス、エンジン冷却水温度等の各種パラメータに基
づいて、各気筒の吸気バルブ及び排気バルブごとに制御
される。
【0034】上述した動弁装置に、まず、図5に示した
ステータコア7(ステータコア9についても同様)を使
用した場合について説明する。図5に示したステータコ
ア7は複数の磁性領域25と複数の絶縁領域26とを有
している。各絶縁領域26は、磁性領域間25に存在
し、隣接した磁性領域25間を互いに絶縁する。一方、
各磁性領域25は、図5(a)に示したように、ステー
タコア7の中心軸Cに対して平行かつ平面状に延在して
いる。それと共に、同図(b)に示したように、ステー
タコア7の端面上における磁性領域25の形状は、実質
的に中心軸Cへ向かって(図示した方向D1〜D8へ)直
線状に延在している。換言すると、ステータコア7の端
面を8つの領域R1〜R8に分け、領域R1について考え
た場合、領域R1内に存在するすべての磁性領域25
は、方向D1へ一様に、かつ平行に延在している。一
方、領域R2について考えた場合、領域R2内に存在する
すべての磁性領域25は、方向D1とは異なる方向D2へ
一様に、かつ平行に延在している。同様のことは他の領
域R3〜R8についてもいえる。このような構造を有する
ステータコア7は、例えば、第2の実施例で述べた製造
方法によって製造することができる。
【0035】図9は、電磁コイル6の通電時にステータ
コア9側で生じる磁束Φを示した図である。図5におい
て電磁コイル6の巻線に対して時計方向に電流が流れて
いるとすると、同図の右側のコイル部6Rでは電流が紙
面裏側から表側へと電流が流れ、左側のコイル部6Lで
は表側から裏側へ流れる。これにより、コイル部6Rで
は、このコイル部6Rを囲うように反時計回りの磁束Φ
がステータコア部9R内で生じ、アーマチュア17の上
側の端面を介して磁気回路が形成される。一方、左側の
コイル部6Lでは、このコイル6Lを囲うように時計回
りの磁束Φがコア部9L内で生じる。電流値を増加させ
た場合、磁束Φが増加するため、レンツの法則により、
この変化を抑制する向きに逆起電力が発生する。その結
果、ステータコア9内において渦電流が発生する。
【0036】一つの磁性領域25における渦電流をミク
ロ的に見ると、図10に示したような経路となる。これ
をマクロ的な見地で見れば、渦電流Iのy方向の成分と
比べて、x方向の成分は実質的に無視でき、渦電流Iの
経路はy方向が支配的である。図11は、隣接した2つ
の磁性領域25における渦電流Iの経路をマクロ的に示
した図である。この図から明らかなように、一つの磁性
領域25における渦電流Iは、その磁性領域25内をy
方向に環流しており、その表面側では上から下へ、裏面
側では下から上へと流れている。すなわち、同一の磁性
領域25内における渦電流Iは、極めて近接した状態
(磁性領域25の板厚程度)で、同じ大きさで逆方向に
流れている。一方、隣接した2つの磁性領域25につい
て考えた場合、互いに対向した2つの表面を流れる渦電
流Iは、近接した状態(絶縁層の膜厚程度)で、同じ大
きさを有し、逆向きに流れている。
【0037】このように渦電流Iの流れる向きが反対に
なることにより、「二次的磁束」の打ち消し合いという
作用が生じる。図12に示したように、二つの渦電流
(逆向きかつ同じ大きさ)が近接した状態で流れた場
合、それぞれの渦電流Iにより発生する二次的磁束
Φ1,Φ2(電磁コイルへの電流供給により直接生じる磁
界と区別するため二次的磁束という)は、その大きさが
ほぼ同じで、その向きが反対となる。従って、二次的磁
束Φ1,Φ2が互いに打ち消し合う。このような二次的磁
束Φ1,Φ2の打ち消し合いという作用により、全体的な
二次的磁束が減少するため、結果として渦電流Iが流れ
にくい状態が生じる。
【0038】その結果、図5のようなステータコア7を
用いた動弁装置では、電磁コイルに供給する電流が変化
しても、ステータコア7内を環流する全体的な渦電流I
は少なくなる。その結果、渦電流Iの影響が軽減される
ため、動弁装置の消費電力の増大を招くことなく、一層
高速に電磁バルブを動作させることが可能になる。
【0039】次に、図3に示したステータコア7(ステ
ータコア9についても同様)を動弁装置に適用した場合
について説明する。図3(a)に示したステータコア7
は複数の磁性領域25と複数の絶縁領域26とを有して
いる。各絶縁領域26は、磁性領域間25に存在してい
る。一方、各磁性領域25は、図3(a)に示したよう
に、ステータコア7の中心軸Cに対して平行かつ平面状
に延在している。そして、すべての磁性領域25は、ス
テータコア7の端面上で見ると、同図(b)に示したよ
うに、同一方向Dへ向けて、直線状かつ平行に延在して
いる。このような構造を有するステータコア7は、例え
ば、第1の実施例で述べた製造方法によって製造するこ
とができる。
【0040】このような構造を有するステータコア7に
ついても、図5のステータコアと同様、二次的磁束の相
互作用により、渦電流Iが流れにくくなる。従って、ス
テータコア内を環流する全体的な渦電流が少なくなるた
め、動弁装置の消費電力の増大を招くことなく、一層高
速に電磁バルブを動作させることが期待できる。
【0041】最後に、上述した動弁装置に、図7に示し
たステータコア7(ステータコア9についても同様)を
適用した場合について説明する。図7に示したステータ
コアは、複数の磁性領域25と、磁性領域25間に存在
する絶縁領域26とを有している。各磁性領域25は、
ステータコアの中心軸Cに対して平行かつ直線状に延在
している。また、図7(b)に示したように、ステータ
コア7の端面に出現したすべての磁性領域25の形状
は、実質的に同一な円状で、かつ同一面積を有してい
る。このような構造を有するステータコア7は、例え
ば、第3の実施例で述べた製造方法によって製造するこ
とができる。
【0042】このようなステータコア7中の電磁コイル
に、図7(b)における時計回りの方向に増加する電流
を流す。図7(b)中のA−A断面を示した図13にお
いて、磁束Φは電磁コイルを囲うように磁気回路を形成
する。電流の増加により磁束Φが増加した場合、各磁性
領域25に流れる渦電流Iの経路は、ミクロ的に見ると
図14のようになる。すなわち、電磁コイルより左側
(L部分)に存在する各磁性領域25における渦電流I
は、磁性領域25の中心軸を中心として反時計回りに流
れている。一方、電磁コイルより右側(R部分)に存在
する各磁性領域25における渦電流Iは、磁性領域25
の軸を中心として時計回りに流れている。つまり、L部
分とR部分とでは、同じ大きさの渦電流Iが逆向きに流
れている。従って、渦電流Iにより発生する二次的磁束
の向きが逆になるため、二次的磁束の打ち消し合いが生
じ、結果として全体的な渦電流Iが低減される。それゆ
えに、このようなステータコアを用いることにより、動
弁装置の消費電力の増大を招くことなく、一層高速に電
磁バルブを動作させることができる。
【0043】
【発明の効果】このように本発明によれば、渦電流を効
果的に軽減可能な電磁アクチュエータ用ステータコアを
比較的容易に製造することができる。また、このような
ステータコアを動弁装置に利用すれば、ステータコア内
で生じる渦電流を効果的に低減できるため、消費電力を
増大させることなく、バルブの応答性を向上させること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のステータコアの構造を示した図
【図2】第1の実施例におけるステータコアの製造工程
の説明図
【図3】第1の実施例により製造されたステータコアを
示した図
【図4】第2の実施例におけるステータコアの製造工程
の説明図
【図5】第2の実施例により製造されたステータコアを
示した図
【図6】第3の実施例におけるステータコアの製造工程
の説明図
【図7】第3の実施例におけるステータコアの斜視図
【図8】電磁駆動バルブを有する動弁装置の一例を示し
た断面図
【図9】磁性平板により形成されたステータコアにおけ
る電流と磁束との関係を説明するための図
【図10】磁性領域単体の渦電流の経路をミクロ的に示
した図
【図11】隣接した磁性領域の渦電流の経路をマクロ的
に示した図
【図12】二次的磁束の打ち消し合いを説明するための
【図13】図12のA−A断面における磁束密度の状態
を示した図
【図14】磁性領域における渦電流の経路をミクロ的に
示した図
【符号の説明】
1 電磁駆動バルブ、 2 シリンダヘッド、 3 バルブステムガイド、 4 バルブ、 4a バルブヘッド、 4b バルブステム、 5,6 電磁コイル、 7,9 ステータコア、 8 リフトアジャスタ、 10 リフトセンサ、 11 ケース、 12 バルブシート、 13,19 スプリング、 14 コッタピン、 15 リテーナ、 16 シム、 17 アーマチュア、 17a アーマチュアステ
ム、 17b ニードル、 18 制御部、 21 磁性平板、 22 磁性積層体、 23 磁性積層柱、 24 磁性柱状体、 25 磁性領域、 26 絶縁領域、 27 多角柱、 28 磁性線材、 36 磁性板、 37 切り欠き凹部、 38 コイル収納溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽倉 信宏 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内 (72)発明者 白旗 新一 東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士 重工業株式会社内 Fターム(参考) 3H106 DA07 DA25 DB02 DB12 DB26 DB32 DC02 DD05 EE35 GC29 JJ02 KK17 5E048 AB01 AD07 CA01 5H615 AA01 PP08 PP13 RR00 SS03 SS05 SS16 SS18 SS19 SS33 TT03 TT04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁アクチュエータ用ステータコアの製造
    方法において、 均一な板厚を有し、実質的に平面な磁性平板を、前記磁
    性平板間を絶縁した状態で積層することにより、磁性積
    層体を形成するステップと、 前記磁性積層体を切断することにより、前記磁性平板の
    平面が前記ステータコアの中心軸と平行になるような磁
    性柱状体を形成するステップと、 前記磁性柱状体の一方の端面に電磁コイルを収納するた
    めの収納溝を形成するステップとを有することを特徴と
    する電磁アクチュエータ用ステータコアの製造方法。
  2. 【請求項2】電磁アクチュエータ用ステータコアの製造
    方法において、 均一な板厚を有し、実質的に平面な磁性平板を、前記磁
    性平板間を絶縁した状態で積層することにより、磁性積
    層体を形成するステップと、 前記磁性積層体を切断することにより、前記磁性平板の
    平面が前記ステータコアの中心軸と平行になるような多
    角形ブロックを得るステップと、 複数の前記多角形ブロックを環状に組み合わせて接合す
    ることにより、磁性柱状体を形成するステップと、 前記磁性柱状体の一方の端面に電磁コイルを収納するた
    めの収納溝を形成するステップとを有することを特徴と
    する電磁アクチュエータ用ステータコアの製造方法。
  3. 【請求項3】前記多角形ブロックの形状は台形状である
    ことを特徴とする請求項2に記載された電磁アクチュエ
    ータ用ステータコアの製造方法。
  4. 【請求項4】電磁アクチュエータ用ステータコアの製造
    方法において、 同一の断面形状を有し、かつ、同一の断面面積を有する
    複数の磁性線材を、前記磁性線材間を絶縁した状態で束
    ねると共に、前記磁性線材が延在する方向と前記ステー
    タコアの中心軸の方向とが一致するように束ねることに
    より、磁性柱状体を形成するステップと、 前記磁性柱状体の一方の端面に電磁コイルを収納するた
    めの収納溝を形成するステップとを有することを特徴と
    する電磁アクチュエータ用ステータコアの製造方法。
  5. 【請求項5】電磁力によってバルブを動作させる動弁装
    置において、 電磁力によって移動し、当該移動と連係して前記バルブ
    を変位させるアーマチュアと、 前記アーマチュアの一方の端面側に設けられた第1のス
    テータコアと、 前記第1のステータコアに収納された第1の電磁コイル
    と、 前記アーマチュアの他方の端面側に設けられた第2のス
    テータコアと、 前記第2のステータコアに収納された第2の電磁コイル
    とを有し、 前記第1のステータコア及び前記第2のステータコアの
    それぞれは、複数の磁性領域と、前記磁性領域間に設け
    られた絶縁領域とを有し、 前記磁性領域のそれぞれは、前記ステータコアの中心軸
    に対して平行に平面状に延在しており、かつ、前記ステ
    ータコアの端面上において同一の方向に向かって直線状
    に延在していることを特徴とする動弁装置。
  6. 【請求項6】電磁力によってバルブを動作させる動弁装
    置において、 電磁力によって移動し、当該移動と連係して前記バルブ
    を変位させるアーマチュアと、 前記アーマチュアの一方の端面側に設けられた第1のス
    テータコアと、 前記第1のステータコアに収納された第1の電磁コイル
    と、 前記アーマチュアの他方の端面側に設けられた第2のス
    テータコアと、 前記第2のステータコアに収納された第2の電磁コイル
    とを有し、 前記第1のステータコア及び前記第2のステータコアの
    それぞれは、複数の磁性領域と、前記磁性領域間に設け
    られた絶縁領域とを有し、 前記磁性領域のそれぞれは、前記ステータコアの中心軸
    に対して平行に平面状に延在しており、かつ、前記ステ
    ータコアの端面上において実質的に前記中心軸に向かっ
    て直線状に延在していることを特徴とする動弁装置。
  7. 【請求項7】電磁力によってバルブを動作させる動弁装
    置において、 電磁力によって移動し、当該移動と連係して前記バルブ
    を変位させるアーマチュアと、 前記アーマチュアの一方の端面側に設けられた第1のス
    テータコアと、 前記第1のステータコアに収納された第1の電磁コイル
    と、 前記アーマチュアの他方の端面側に設けられた第2のス
    テータコアと、 前記第2のステータコアに収納された第2の電磁コイル
    とを有し、 前記第1のステータコア及び前記第2のステータコアの
    それぞれは、複数の磁性領域と、前記磁性領域間に設け
    られた絶縁領域とを有し、 前記磁性領域のそれぞれは、前記ステータコアの中心軸
    に対して平行に直線状に延在していることを特徴とする
    動弁装置。
  8. 【請求項8】前記磁性領域のそれぞれは、前記ステータ
    コアの端面上における形状と面積とが実質的に同じであ
    ることを特徴とする請求項7に記載された動弁装置。
JP11040064A 1999-02-18 1999-02-18 電磁アクチュエータ用ステータコアの製造方法及び動弁装置 Withdrawn JP2000243622A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004015009A (ja) * 2002-06-11 2004-01-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd 積層型金属化フィルムコンデンサおよびその製造方法
JP2011055618A (ja) * 2009-09-01 2011-03-17 Daikin Industries Ltd アキシャルギャップ型回転電機用ロータコアの製造方法
JP2011151982A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Daikin Industries Ltd アキシャルギャップ型回転電機用ロータコアの製造方法
JP2011151980A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Daikin Industries Ltd アキシャルギャップ型回転電機用ロータコアとその製造方法

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