JP2001126922A - 電磁アクチュエータのコア - Google Patents

電磁アクチュエータのコア

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JP2001126922A
JP2001126922A JP30612699A JP30612699A JP2001126922A JP 2001126922 A JP2001126922 A JP 2001126922A JP 30612699 A JP30612699 A JP 30612699A JP 30612699 A JP30612699 A JP 30612699A JP 2001126922 A JP2001126922 A JP 2001126922A
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armature
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Atsushi Umemoto
篤 梅本
Koichi Ikoma
浩一 生駒
Minoru Nakamura
稔 中村
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いエネルギ効率を確保しながら、構造の単
純化により製造コストを削減することができるととも
に、耐久性を向上させることができる電磁アクチュエー
タのコアを提供する。 【解決手段】 アーマチュア8を吸引する電磁アクチュ
エータ1のコア10は、積層され、アーマチュア8との
間に磁気回路を構成する磁性体の複数のコア板14と、
複数のコア板14を挟持する非磁性体の2つのコアホル
ダ11,11と、コア板14,14の間を絶縁する絶縁
被膜14dと、複数のコア板14および2つのコアホル
ダ11,11を互いに一体に固定するロッド15と、を
備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁力によって被
駆動体を駆動する電磁アクチュエータのコアに関し、特
に複数の磁性板を積層することにより構成された積層構
造のコアに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電磁アクチュエータのコ
アとして、例えば特開平11−273945号公報に記
載されたものが知られている。この電磁アクチュエータ
は、内燃機関の弁(ガス交換弁)を開閉駆動する動弁機
構に適用されたものであり、アーマチュアと、このアー
マチュアを上下方向に吸引するための上下の電磁石とを
備えている。
【0003】各電磁石は、断面E字形のコアを備え、そ
のE字形の凹部は、アーマチュアに面するコイル溝にな
っており、このコイル溝にコイルが収容されている。コ
アは、センターコア部材と、このセンターコア部材の両
側に積層された多数の積層板とを一体に形成したもので
ある。センターコア部材は、積層板よりも厚さの厚いケ
イ素鋼で構成されており、E字形の側面形状を有してい
る。各積層板は、センターコア部材の側面と同じ形状お
よび寸法を有する複合軟磁性体で構成され、センターコ
ア部材の両側に積層されている。これらのセンターコア
部材および多数の積層板は溶接により一体に固定されて
おり、それらのアーマチュアに対向する面は、アーマチ
ュアを吸引する平らな吸引面になっている。以上のよう
な積層構造のコアを用いる理由は、積層構造のもので
は、むくのものよりも電磁石の励磁時の鉄損が小さいこ
とで、高いエネルギ効率を確保できることによる。
【0004】一方、アーマチュアは、弁に軸を介して連
結されており、電磁アクチュエータの作動時には、アー
マチュアが上下の電磁石によって吸引され、上下方向に
往復動することによって、弁が開閉駆動される。アーマ
チュアは、この作動時、電磁石に吸引された際に、その
コアの吸引面に当接する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の電磁アクチ
ュエータのコアによれば、電磁アクチュエータの作動時
にアーマチュアがコアに当接するので、その際の衝撃で
溶接が外れることにより、積層板が変形したり、破損し
たりすることがある。これにより、電磁アクチュエータ
が作動不良を起こすおそれがある。また、コアの両端の
積層板は複合軟磁性体で構成されているので、電磁石の
励磁時にコアの周囲の軟磁性体との間に磁界を生じるこ
とにより、そのエネルギの一部を損失してしまう。
【0006】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、高いエネルギ効率を確保しながら、耐久性
を向上させることができる電磁アクチュエータのコアを
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1の発明は、作動時にアーマチュア8を吸引
する電磁アクチュエータ1のコア10であって、軟磁性
体で構成され、アーマチュア8の吸引方向と直交する方
向に沿って互いに積層され、作動時にアーマチュア8と
の間に磁気回路を構成する複数のコア板14と、非磁性
体で構成され、複数のコア板14を積層方向の両側から
挟持する2つのコアホルダ11,11と、複数のコア板
14の隣り合う各2つのコア板14,14の間に配置さ
れ、各2つのコア板14,14の間を絶縁する絶縁体
(例えば実施形態における(以下、この項において同
じ)絶縁被膜14d)と、複数のコア板14および2つ
のコアホルダ11,11を互いに一体に固定する固定手
段(ロッド15)と、を備えることを特徴とする。
【0008】この電磁アクチュエータのコアによれば、
積層された複数のコア板は、その両側を2つのコアホル
ダにより挟持された状態で、固定手段により一体に固定
される。これら複数のコア板が、絶縁体により互いに絶
縁された状態でかつアーマチュアの吸引方向と直交する
方向に積層されていることで、電磁アクチュエータの作
動時には、各コア板とアーマチュアの間に磁気回路が構
成される。このときに各コア板に発生する渦電流は、コ
ア板がむくのコアよりも薄いことから、むくのコアより
も早く消滅する。これにより、渦電流損を含めた鉄損を
小さくすることができる。さらに、コアの両端の2つの
コアホルダが非磁性体で構成されているので、電磁アク
チュエータの作動時に、コアの周囲の軟磁性体との間に
磁界を生じにくいことにより、エネルギの損失を抑制す
ることができる。以上により、高いエネルギ効率を確保
することができる。また、固定手段により、一定方向に
単純に積層した複数のコア板を2つのコアホルダで挟持
した状態で、一体に固定するだけでよい。このため、従
来よりも簡単な構造にすることができ、製造コストを削
減することができる。
【0009】請求項2の発明は、請求項1に記載の電磁
アクチュエータ1のコア10において、2つのコアホル
ダ11,11は、電磁アクチュエータ1の作動時に複数
のコア板14により吸引されたアーマチュア8が当接す
る端面(上面11d,11d)をそれぞれ備えており、
これらの端面(上面11d,11d)は、複数のコア板
14のアーマチュア8側の端面(上面13a)と面一の
位置またはアーマチュア側の端面よりもアーマチュアに
近い位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】この電磁アクチュエータのコアによれば、
電磁アクチュエータの作動時に複数のコア板により吸引
されたアーマチュアは、複数のコア板および2つのコア
ホルダに同時に当接するか、または複数のコア板に当接
せずに2つのコアホルダのみに当接する。したがって、
アーマチュアが当接するときの衝撃の一部または大部分
をコアホルダで受け止めることができる。特に、複数の
コア板に当接せずにコアホルダのみに当接する場合に
は、アーマチュアの衝撃の大部分をコアホルダで受け止
めることができる。以上により、薄いコア板を用いた場
合でも、コア板の破損などを防止でき、その耐久性を向
上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の一実施形態に係る電磁アクチュエータのコアについ
て説明する。本実施形態のコアを備えた電磁アクチュエ
ータは、1気筒あたり4バルブを備えた自動車用エンジ
ン(図示せず)の動弁機構に適用したものである。図1
に示すように、この動弁機構では、2つの電磁アクチュ
エータ1,1が、エンジンのシリンダヘッド2に取り付
けられており、エンジンの運転時に、図中の右側の電磁
アクチュエータ1は、2つの吸気弁3,3(1つのみ図
示)を駆動することによって、2つの吸気ポート2a,
2a(1つのみ図示)を開閉する。これと同様に、左側
の電磁アクチュエータ1は、2つの排気弁4,4(1つ
のみ図示)を駆動することによって、排気ポート2b,
2b(1つのみ図示)を開閉する。
【0012】これら2つの電磁アクチュエータ1,1
は、互いに同様に構成されており、以下、右側の吸気弁
3駆動用の電磁アクチュエータ1を例にとり説明する。
また、説明の便宜上、図2の矢印B−B´のB側を
「前」、B´側を「後ろ」とし、矢印C−C´のC側を
「左」、C´側を「右」として以下の説明を行う。
【0013】図2および図3に示すように、電磁アクチ
ュエータ1は、その前半部および後半部が互いに前後対
称に構成されており、2つの吸気弁3,3は、これら前
半部および後半部によりそれぞれ駆動される。具体的に
は、電磁アクチュエータ1は、シリンダヘッド2に取り
付けられたケーシング1aと、このケーシング1a内に
互いに所定間隔を存して設けられた上下の電磁石1b,
1bと、上下の電磁石1b,1bの間の空間内に配置さ
れ、上下方向に摺動自在の2つのアーマチュア8,8
と、これらのアーマチュア8,8をそれぞれ下方に常
時、付勢する2つの上コイルばね5,5(1つのみ図
示)と、アーマチュア8,8を上方に常時、付勢する2
つの下コイルばね6,6(1つのみ図示)とを備えてい
る。
【0014】各アーマチュア8は、軟磁性体(例えば
鋼)で構成された矩形板であり、その中央部には、丸孔
8aが上下方向に貫通して形成されている。また、アー
マチュア8の前後の端面はそれぞれ、後述するジョイン
ト18のアーマチュアガイド21に当接しており、アー
マチュア8は、その上下方向への移動時にアーマチュア
ガイド21により案内される。また、アーマチュア8に
は、上下のシャフト7,7が連結されており、これらの
シャフト7,7は、非磁性体のオーステナイト系ステン
レス鋼で構成された丸棒である。下シャフト7の上端部
および上シャフト7の下端部は、アーマチュア8の丸孔
8aにそれぞれ嵌合しており、それらの付近には、フラ
ンジ7a,7aがそれぞれ設けられ、アーマチュア8を
上下方向から挟持している。
【0015】また、下シャフト7は、下電磁石1bの後
述する中コアホルダ12のガイド12eを通って上下方
向に延びており、下端部が吸気弁3の上端部に連結され
ている。これと同様に、上シャフト7は、上電磁石1b
の中コアホルダ12のガイド12eを通って上下方向に
延びており、上端部に取り付けたばね座を介して上コイ
ルばね5に当接している。各シャフト7は、アーマチュ
ア8が上下方向に移動する際に、ガイド12eにより案
内される。また、吸気弁3は、これに取り付けたばね座
を介して下コイルばね6に当接している。
【0016】図2および図3に示すように、上下の電磁
石1b,1bは、後述するジョイント18を介して互い
に連結されているとともに、同様の構成を有し、ジョイ
ント18を間にして上下対称に配置されている。以下、
下電磁石1bを例にとって説明する。
【0017】下電磁石1bは、コア10と、コア10の
コイル溝10a,10aに収容された2つのコイル1
6,16を備えている(図3参照)。図4および図5に
示すように、コア10は、左中右3つのコアホルダ1
1,12,11、左右の積層体13,13および4本の
ロッド15(固定手段)を一体に組み立てたものであ
る。
【0018】左右のコアホルダ11,11は、シャフト
7と同様にオーステナイト系ステンレス鋼で構成され、
互いに同様の構成を有し、対向するように左右対称に配
置されている。ここでは、左コアホルダ11を例にとっ
て説明する。左コアホルダ11は、前後方向に延びる基
部11aと、この基部11aから前後方向に間隔を存し
て互いに同じ所定の高さで上方に延びる5つの押さえ部
11bとから、櫛歯状に一体に形成されている。
【0019】これら5つの押さえ部11bはそれぞれ、
断面矩形であり、それらの右側面は基部11aとともに
互いに面一になっている。一方、左側面については、基
部11aに対し、中央の中押さえ部11bは外方に突出
し、前後の押さえ部11b,11bは面一で、中押さえ
部11bと前後の押さえ部11b,11bの間の内押さ
え部11b,11bは、奥側に寄った状態になってい
る。
【0020】基部11aの所定位置には、左右方向に貫
通する4つの貫通孔11cが形成されており、各貫通孔
11cの左側の開口の縁部には、面取りが施されてい
る。また、前後の押さえ部11bの上面11d,11d
(端面)にはそれぞれ、上方に開口する丸穴11e,1
1eが形成されており、壁部11aには、上下方向に貫
通する孔11fが形成されている。
【0021】また、上記中コアホルダ12も、上記コア
ホルダ11と同材質のオーステナイト系ステンレス鋼で
構成されている。中コアホルダ12は、コアホルダ11
と同じ長さで前後方向に延び、これとほぼ同様の櫛歯状
の側面形状を有している。中コアホルダ12は、2つの
ホルダ部材12X,12Xを前後方向に接合したもので
あり、両側面が平坦になっている。各ホルダ部材12X
は、前後方向に延びる基部12aと、この基部12aの
前後端部および中央部から上方にそれぞれ延びる3つの
押さえ部12b,12b,12bとから、側面形状がE
字状に一体に形成されており、基部12aには、左右方
向に貫通する2つの貫通孔12c,12cが形成されて
いる。前後の押さえ部12b,12bは、上記コアホル
ダ11の押さえ部11bと同じ高さになっており、中押
さえ部12bは、それよりも低くなっている。これによ
り、中押さえ部12bの上面は、前記アーマチュア8が
コア10に当接したときの前記シャフト7のフランジ7
aの逃げになっている(図1参照)。
【0022】また、中押さえ部12bは、上下方向に貫
通する孔12dを有しており、この孔12dには、上下
方向に開放した円筒状のガイド12e(図1参照)が嵌
合している。このガイド12eは、シャフト7の摺動を
案内するためのものである。
【0023】以上の構成のホルダ部材12X,12Xの
一方の前押さえ部12bと他方の後押さえ部12bとを
接合することによって、中コアホルダ12が構成されて
いる。そして、中コアホルダ12の中央部で接合してい
る2つの押さえ部12b,12bは、全体として前記コ
アホルダ11の中押さえ部11bに対応するように配置
されている。また、中コアホルダ12の前後の押さえ部
12b,12bは、コアホルダ11の前後の押さえ部1
1b,11bに、残りの中押さえ部12b,12bは、
内押さえ部11b,11bに、それぞれ対応するように
配置されている。また、4つの貫通孔12cはそれぞ
れ、コアホルダ11の4つの貫通孔11cと同径でかつ
これらに対応するように配置されている。
【0024】また、前記各積層体13は、前後方向に並
んだ2つの積層体13X,13Xで構成されており、各
積層体13Xは、図6に示すコア板14を左右方向に所
定枚数だけ積層したものである。このコア板14は、薄
い無方向性ケイ素鋼板で構成され、各々の全面を覆うよ
うに例えばエポキシ樹脂の絶縁被膜14d(絶縁体)が
形成されている。この絶縁被膜14dにより、隣り合う
各2つのコア板14,14間が絶縁されている。また、
コア板14は、無方向性ケイ素鋼板をプレス加工するこ
とにより、上記ホルダ部材12Xの側面とほぼ同じE字
状および寸法になっている。具体的には、コア板14
は、前後方向に延びる基部14aと、この基部14aの
前後端部および中央部から上方にそれぞれ延びる3つの
磁路形成部14b,14b,14bとによって構成さ
れ、基部14aには、左右方向に貫通する2つの貫通孔
14c,14cが形成されている。
【0025】これら3つの磁路形成部14bは、互いに
同じ高さで、かつ中コアホルダ12の前後両側の押さえ
部12bよりも所定の高さ分(例えば20μm以下)低
くなっており、この高さ分、積層体13Xの上面13a
(端面)は、コアホルダ11の上面11dおよび中コア
ホルダ12の上面12fよりも低くなっている(図10
参照)。また、各貫通孔14cは、互いに連続して左右
方向に延びているとともに、コアホルダ11の貫通孔1
1cおよびコアホルダ12の貫通孔12cと同径でかつ
同心に配置されている。さらに、基部14aには、貫通
孔14c,14cよりも外寄りの位置に、2つの突起1
4e,14eが形成されている。各突起14eは、基部
14aから平面形状がV字状に右方に突出しており、そ
の突出分、その裏面側で凹んだ部分が凹部14fになっ
ている。
【0026】そして、コア板14は、それらの各々の突
起14eがその右側のコア板14eの凹部14fに嵌合
することにより、互いに密着した状態で積層されてい
る。さらに、積層体13Xの右端に位置するコア板14
には、突起14eおよび凹部14fの代わりに横長の角
孔(図示せず)が形成されており、この角孔に、当該コ
ア板14の左側のコア板14の突起14eが嵌合してい
る。これにより、積層体13Xの右側面は、平らになっ
ており、中コアホルダ12または右コアホルダ11の左
側面に密着している。
【0027】また、前記ロッド15は、前述した各貫通
孔11c、12c、14cよりも少し小径の丸棒であ
り、これらに嵌合し、前後方向に延びているとともに、
ロッド15の突出した左右端部は、左右のコアホルダ1
1の基部11aの外側端面にかしめられている。これに
より、左コアホルダ11と中コアホルダ12の間に左積
層体13が挟持され、かつ中コアホルダ12と右コアホ
ルダ11の間に右積層体13が挟持された状態で、これ
らが相互に堅固に固定されることで、コア10が形成さ
れている。
【0028】前記コイル16,16はそれぞれ、横長の
環状に形成され、ボビン17,17と一体に組み立てら
れている。ボビン17,17は、合成樹脂で構成され、
コイル16を収容するコ字状の断面を有し、コア10の
2つのコイル溝10a,10a内にそれぞれ収容されて
いる。各コイル溝10aは、コアホルダ11の押さえ部
11b、中コアホルダ12の押さえ部12bおよびコア
板14の磁路形成部14bをによって画成されている。
各コイル16は、環状のコイル溝10a内に、その内側
に位置するコアホルダ11の押さえ部11b、中コアホ
ルダ12の押さえ部12bおよびコア板14の磁路形成
部14bを取り囲むようにして、収容されている。
【0029】ボビン17は、上下のつば部17a,17
aと、上つば部17aの左端部から左方に突出するター
ミナル部17bと、ターミナル部17bから上方に突出
する前後2つの端子17c,17cと、これらの端子1
7c,17cにそれぞれ接続されたV字形の2つの接続
金具17d,17dとを備えている。これら前後の端子
17c,17cはともに、導電体の金属板で構成され、
それらの主面が互いに平行でかつ前後方向に対向するよ
うに配置されている。また、コイル16は、上下のつば
部17a,17aの間でボビン17に巻き付けられてお
り、コイル16の両端部はそれぞれ、接続金具17d,
17dに接続されることで、2つの端子17c,17c
に接続されている。
【0030】下電磁石1bは、以上のように構成されて
おり、上電磁石1bもこれと同様に構成されている。ま
た、図2、図3および図7に示すように、上下の電磁石
1b,1bは、左右2つのジョイント18,18によっ
て連結されている。これら2つのジョイント18,18
は、互いに対向しかつ左右対称に配置されている。各ジ
ョイント18は、オーステナイト系ステンレス鋼で構成
され、コアホルダ11と前後方向に同じ長さで延びると
ともに、これとほぼ同様の平面形状を有している。具体
的には、ジョイント18は、前後方向に延びる基部18
aと、その中央部から外方に突出する凸部18bとから
一体に構成されている。
【0031】凸部18bは、これを上下方向に貫通する
孔18cを備えており、この孔18cは、コアホルダ1
1の壁部11aの孔11fと同径でかつ同心に配置され
ている。
【0032】また、基部18aは、凸部18bと同じ高
さであり、その上面の外端部には、丸穴18d,18d
がそれぞれ形成され、これと同様に、下面の外端部に
も、丸穴18d,18dがそれぞれ形成されている。各
丸穴18dは、コアホルダ11の丸穴11fと同径かつ
同心である。各丸穴18dには、丸棒状のピン19の半
部が嵌合しており、このピン19は、オーステナイト系
ステンレス鋼で構成されている。また、ピン19の残り
の半部は、丸穴11fに嵌合している。これにより、上
下のコア10,10は、ジョイント18,18を介して
互いに連結されている。
【0033】さらに、基部18aの上面には、前後のコ
イル緩衝板20,20が設けられている。コイル緩衝板
20,20は、同じ形状を有し、互いに前後対称に配置
されているので、ここでは前コイル緩衝板20を例にと
り説明する。前コイル緩衝板20は、合成樹脂で構成さ
れ、基部18aよりも左右方向の幅が狭いとともに、前
コイル緩衝板20の裏面から外方に突出する3つの突起
20aを有している。一方、基部18aの上面の前側の
所定位置には、3つの穴18eが形成されており、これ
ら3つの穴18eに3つの突起20aがそれぞれ嵌合す
ることにより、前コイル緩衝板20が基部18aに取り
付けられている。以上と同様に後コイル緩衝板20も基
部18aに取り付けられている。さらに、基部18aの
下面にも、上記と同様に前後のコイル緩衝板20,20
が設けられている。
【0034】また、ジョイント18の内側面には、4つ
のアーマチュアガイド21が所定間隔で配置されている
(図7参照)。各アーマチュアガイド21は、アーマチ
ュア8の上下方向の移動を案内するものであり、オース
テナイト系ステンレス鋼で構成されている。アーマチュ
アガイド21は、断面矩形の嵌合部と、これに連続する
断面半円形のガイド部とを備えている。ジョイント18
の内側面には、4つの縦長の穴18fが形成されてお
り、これら4つの穴18fは所定間隔で配置されてい
る。各穴18fに、アーマチュアガイド21の嵌合部が
嵌合することにより、アーマチュアガイド21がジョイ
ント18に取り付けられている。この状態では、断面半
円形のガイド部は、ジョイント18の内側面からアーマ
チュア8側に突出するとともに、アーマチュア8の左端
面または右端面に当接している。以上により、アーマチ
ュア8は、その作動時にアーマチュアガイド21により
案内される。
【0035】以上の構成のジョイント18により上下の
電磁石1b,1bが互いに連結された状態では、図2に
示すように、4つのコイル16はそれぞれ、ボビン17
のつば部17aがコイル緩衝板20に当接した状態で、
コア10とジョイント18により上下両側から挟持され
ている。さらに、各コア10の孔11fとジョイント1
8の孔18cは、互いに上下方向に連続している。図示
しないボルトが、これらの孔11f,18cを通ってシ
リンダヘッド2にねじ込まれており、これにより、電磁
石1b,1bはシリンダヘッド2に固定されている。
【0036】また、図8に示すように、上電磁石1bの
前側(または後側)のコイル16およびボビン17は、
下電磁石1bの前側(または後側)のものと平面的に同
じ位置関係で上下方向に並んでおり、両者のボビン17
の2つの端子17c,17cには、コネクタ22が連結
されている。コネクタ22は、合成樹脂によりほぼ角柱
状に形成され、上下方向に延びている。
【0037】コネクタ22の上端面には、上方に開口す
るスリット状の4つの上差し込み口22aが設けられて
おり、下端面には、上差し込み口22aと同様の2つの
下差し込み口22b,22bが設けられている。これら
2つの下差し込み口22b,22bは、互いに平行で前
後方向に対向して配置され、端子17c,17cに対応
する位置に下方に開口している。また、コネクタ22の
下端部には、切欠部22dが形成されており、この切欠
部22dは、前方から矩形に切り欠いた形状になってい
る。この切欠部22dの上壁には、2つの中差し込み口
22c,22cが設けられている。これら2つの中差し
込み口22c,22cは、下方に開口し、下差し込み口
22b,22bと平面的に同じ位置に配置されている。
各差し込み口22a〜22cの内部には、接続金具(図
示せず)が配置されており、この接続金具は、上下方向
に延びる2枚の導電性の金属板を基部側が互いに接し、
先端側が拡がるように組み合わせたものである。各端子
17cは、差し込み口22b、22cの接続金具により
挟持されている。
【0038】また、4つの上差し込み口22aにおい
て、前側の2つの接続金具は、中差し込み口22c,2
2cの接続金具にそれぞれ電気的に接続され、後側の2
つの接続金具は、下差し込み口22b,22bの接続金
具にそれぞれ電気的に接続されている。さらに、4つの
端子を有するケーブルがコントローラから延びており
(いずれも図示せず)、このケーブルの4つの端子が4
つの差し込み口22aにそれぞれ差し込まれることによ
り、4つのコイル16は、コントローラに電気的に接続
されている。
【0039】以上のように構成された電磁アクチュエー
タ1の動作について説明する。この電磁アクチュエータ
1では、その前半部と後半部が同様に動作するので、こ
こでは前半部の動作を例にとって説明する。まず、上下
の電磁石1b,1bが励磁されていない場合、前側のア
ーマチュア8は、上下のコイルばね5,6によって、上
下の電磁石1b,1bの間の中立位置に保持され、それ
に伴い、吸気弁3も開閉の途中の位置に位置している
(図示せず)。
【0040】コントローラからの電力供給によりこの状
態から例えば下電磁石1bが励磁されると、アーマチュ
ア8は、下電磁石1bに吸引されることによって、下コ
イルばね6の付勢力に抗しながら、下電磁石1bのコア
10に当接する位置まで下方に移動する(図10参
照)。このとき、上下のシャフト7,7は、上下のコア
10,10のガイド12e,12eにそれぞれ案内され
ながら下方に摺動し、アーマチュア8も、ジョイント1
8のアーマチュアガイド21に案内されながら下方に摺
動する。このアーマチュア8の下方への摺動により、吸
気弁3が吸気ポート2aを開放する。
【0041】この後、下電磁石1bの励磁が中止される
と、アーマチュア8は、下コイルばね6の付勢力によっ
て上方に移動する。次いで、上電磁石1bが所定のタイ
ミングで励磁されると、アーマチュア8は、上電磁石1
bに吸引されることによって、上コイルばね5の付勢力
に抗しながら上電磁石1bのコア10に当接する位置ま
で上方に移動する(図1の左側の排気弁4駆動用の電磁
アクチュエータ1を参照)。このアーマチュア8の上方
への移動により、吸気弁3が吸気ポート2aを閉鎖す
る。次いで、下電磁石1bが所定のタイミングで励磁さ
れることにより、上記と同様に、吸気弁3が吸気ポート
2aを開放する。以上の動作が繰り返し実行されること
によって、アーマチュア8は上下の電磁石1b,1bの
間を上下方向に往復動し、吸気弁3を開閉駆動する。
【0042】以上のような電磁アクチュエータ1の動作
時に、コイル16への電力供給により電磁石1bが励磁
されると、アーマチュア8とコア10の積層体13の間
に磁気回路が構成される。前述したように積層体13を
構成する各コア板14の全面には絶縁被膜14dが形成
されているので、磁気回路は、各コア板14とアーマチ
ュア8の間に、図9に示すように構成される。具体的に
は、磁束が図中の矢印Dの方向に流れるとともに、渦電
流が図中の矢印Eの方向に流れようとする。しかし、こ
の渦電流は、絶縁被膜14dにより隣のコア板14側に
流れないように遮られ、薄いコア板14内で速やかに消
滅する。これにより、積層体13の部分をむくの無方向
性ケイ素鋼で構成したものと比べて、電磁石1bの渦電
流損を含めた鉄損を減少させることができる。さらに、
コア10の両端の2つのコアホルダ11,11が非磁性
体で構成されているので、電磁アクチュエータ1の作動
時に、コア10の周囲の軟磁性体との間に磁界を生じに
くいことにより、エネルギの損失を抑制することができ
る。以上により、高いエネルギ効率を確保することがで
きる。
【0043】また、積層体13の上面13aが、コアホ
ルダ11,12の上面11d,12fなどよりも所定の
高さ分だけ低くなっていることで、図10に示すように
アーマチュア8が電磁石1bのコア10に吸引される際
には、アーマチュア8は積層体13に当接することな
く、3つのコアホルダ11,12,11のみに当接す
る。これにより、アーマチュア8の当接時の衝撃の大部
分をコアホルダ11,12で受け止めることができる。
さらに、コア板14は、その突起14eが右隣のコア板
14の凹部14fに嵌合した状態で積層されており、こ
れに加えて、4本のロッド15がコアホルダ11,12
および積層体13を貫通しているので、アーマチュア8
がコア10に当接する際の衝撃による、コア板14,1
4同士の上下方向の相対的なずれが阻止される。また、
コアホルダ11,12およびロッド15が、高剛性のオ
ーステナイト系ステンレス鋼で構成されているので、ア
ーマチュア8の衝撃を受けても変形することがない。以
上のように、本実施形態のコア10によれば、薄いコア
板14を積層した積層構造のものでありながら、従来と
異なり、コア板14の破損を防止でき、その耐久性を向
上させることができる。
【0044】さらに、コア板14の突起14eおよび凹
部14fは、積層体13を組み立てる際に、コア板14
を互いに位置決めする役割を果たす。これにより、積層
体13の組立作業を容易に行うことができる。また、コ
ア10は、所定枚数のコア板14を左右方向に単純に積
層した2つの積層体13,13を、左中右3つのコアホ
ルダ11,12,11で挟持した状態で、ロッド15に
より一体に固定したものであるので、コア10を従来よ
りも簡単な構造にすることができる。これに加えて、コ
ア板14も、平らな鋼板をプレスするだけで容易に作製
することができる。以上により、製造コストを削減する
ことができる。
【0045】なお、前述した実施形態においては、コア
板14の高さすなわち積層体13の高さをコアホルダ1
1,12よりも所定の高さ分(20μm以下)だけ低く
設定したが、積層体13とコアホルダ11,12の高さ
の関係は、これに限らず、例えばコア板14の破損防止
の観点からは、積層体13の高さをコアホルダ11,1
2よりもさらに低く設定してもよい。また、コア10の
吸引力およびエネルギ効率の観点からは、積層体13の
高さをコアホルダ11,12の高さに近づけることが好
ましく、これらを同じに設定することすなわち両者を面
一にすることが最適である。この場合においても、アー
マチュア8が当接するときの衝撃の一部をコアホルダ1
1,12で受け止めることができ、その結果、薄いコア
板14を用いた場合でも、コア板14の破損などを防止
でき、その耐久性を向上させることができる。
【0046】また、コアホルダ11,12およびロッド
15などをオーステナイト系ステンレス鋼で構成した
が、これらを構成する材質はこれに限らず、例えばアル
ミニウムなどの非磁性体であればよい。さらに、コア板
14を無方向性ケイ素鋼板で構成したが、コア板14の
材質はこれに限らず、例えば方向性ケイ素鋼板で構成し
てもよく、軟磁性体であればよい。また、ロッド15を
かしめることにより、コアホルダ11,12および積層
体13を一体に固定したが、これらを一体に固定する構
成はロッド15に限らず、例えばボルトおよびナットな
ど、コアホルダ11,12および積層体13を一体に固
定可能なものであればよい。
【0047】さらに、アーマチュア8を上下の電磁石1
b,1bで交互に吸引することによりこれを往復動させ
る例について説明したが、アーマチュア8を往復動させ
る構成はこれに限らず、例えば1つの電磁石とコイルば
ねを用いたものでもよい。また、電磁アクチュエータ1
を自動車用エンジンの動弁機構に適用した例について説
明したが、電磁アクチュエータ1はこれに限らず、例え
ばエンジンのEGR管を開閉する弁や燃料噴射弁などは
もとより、様々な被駆動体を駆動するための駆動装置と
して用いることが可能である。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明の電磁アクチュエ
ータによれば、高いエネルギ効率を確保しながら、構造
の単純化により製造コストを削減することができるとと
もに、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るコアを備えた電磁ア
クチュエータが適用された自動車用エンジンの動弁機構
を示す断面図である。
【図2】図1の電磁アクチュエータの斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】図3の電磁アクチュエータのコアの(a)斜視
図、および(b)そのA−A矢視断面図である。
【図5】図4のコアの分解斜視図である。
【図6】図4のコアの一部を構成するコア板の(a)斜
視図、(b)これを裏返した斜視図、および(c)平面
図である。
【図7】図2の電磁アクチュエータのジョイントおよび
アーマチュアの(a)斜視図および(b)平面図であ
る。
【図8】(a)図2の電磁アクチュエータにコネクタを
取り付ける前の状態を示す斜視図、および(b)取り付
けた後の状態を示す斜視図である。
【図9】電磁アクチュエータの動作時にコア板に発生す
る渦電流の方向、およびコア板とアーマチュアの間に発
生する磁束の流れの方向を示す説明図である。
【図10】電磁アクチュエータの動作時に電磁石に吸引
されたアーマチュアがコアに当接した状態を示す(a)
正面図、および(b)その要部拡大図である。
【符号の説明】
1 電磁アクチュエータ 8 アクチュエータ 10 コア 11 コアホルダ 11d 上面(コアホルダの端面) 13 コア板の積層体 13a 上面(複数のコア板の端面) 14 コア板 14d 絶縁被膜(絶縁体) 15 ロッド(固定手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 稔 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3H106 DA07 DA25 DB02 DB12 DB26 DB32 DC02 DD05 EE34 GA09 KK17 5E048 AB01 AD07 CA01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動時にアーマチュアを吸引する電磁ア
    クチュエータのコアであって、 軟磁性体で構成され、前記アーマチュアの吸引方向と直
    交する方向に沿って互いに積層され、作動時に前記アー
    マチュアとの間に磁気回路を構成する複数のコア板と、 非磁性体で構成され、前記複数のコア板を積層方向の両
    側から挟持する2つのコアホルダと、 前記複数のコア板の隣り合う各2つのコア板の間に配置
    され、当該各2つのコア板の間を絶縁する絶縁体と、 前記複数のコア板および前記2つのコアホルダを互いに
    一体に固定する固定手段と、を備えることを特徴とする
    電磁アクチュエータのコア。
  2. 【請求項2】 前記2つのコアホルダは、前記電磁アク
    チュエータの作動時に前記複数のコア板により吸引され
    た前記アーマチュアが当接する端面をそれぞれ備えてお
    り、これらの端面は、前記複数のコア板の前記アーマチ
    ュア側の端面と面一の位置または当該アーマチュア側の
    端面よりも前記アーマチュアに近い位置に配置されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエー
    タのコア。
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