JP3596256B2 - 内燃機関の電磁駆動弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の電磁駆動弁に係り、特に、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する内燃機関の電磁駆動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平7ー335437号に開示される如く、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する電磁駆動弁が知られている。上記従来の電磁駆動弁は、内燃機関の吸気弁または排気弁として機能する弁体と、弁体と共に動作するアーマチャとを備えている。アーマチャの両側には、一対の電磁石と、一対のスプリングとが配設されている。一対の電磁石は、アーマチャを開弁方向に引き寄せる電磁力、および、アーマチャを閉弁方向に引き寄せる電磁力を発生する。また、一対のスプリングは、アーマチャを中立位置に付勢するバネ力を発生する。
【0003】
上記の構造によれば、閉弁側の電磁石に所定の励磁電流を供給することで、アーマチャおよび弁体を閉弁側に動作させることができる。アーマチャが閉弁側の電磁石に吸着された状態で、閉弁側の電磁石への励磁電流が停止されると、アーマチャおよび弁体は、スプリングの付勢力により開弁方向に動作する。アーマチャおよび弁体が動作する過程では、摺動摩擦等に起因するエネルギの損失が生ずる。
【0004】
上記従来の電磁駆動弁によれば、開弁側の電磁石に励磁電流を供給することで、上述したエネルギの損失を補うことができる。すなわち、上記従来の電磁駆動弁によれば、閉弁側の電磁石への励磁電流を停止した後、適当な時期に開弁側の電磁石に励磁電流を供給し始めることで、アーマチャを開弁側の電磁石まで動作させること、すなわち、弁体を全開位置まで動作させることができる。
【0005】
同様に、上記従来の電磁駆動弁によれば、開弁側の電磁石への励磁電流を停止した後、適当な時期に閉弁側の電磁石に励磁電流を供給し始めることにより、アーマチャを適正に閉弁側の電磁石まで動作させること、すなわち、弁体を全閉位置まで動作させることができる。従って、上記従来の電磁駆動弁によれば、開弁側の電磁石および閉弁側の電磁石に交互に励磁電流を供給することで、弁体を適当に開閉動作させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の電磁駆動弁において、アーマチャの中立位置は、開弁側の電磁石と閉弁側の電磁石との中間位置に設定されている。従って、一対のスプリングには、アーマチャが閉弁側の電磁石に吸着されている場合と、アーマチャが開弁側の電磁石に吸着されている場合とで等しいエネルギが蓄えられる。この場合、スプリングがアーマチャを付勢するエネルギは、弁体が開弁方向に動作する場合と、弁体が閉弁方向に動作する場合とで同等となる。
【0007】
しかし、電磁駆動弁の弁体の動作を妨げる外力の大きさは、弁体が開弁方向に動作する場合と、弁体が閉弁方向に動作する場合とで必ずしも同等ではない。このため、電磁駆動弁の弁体が開弁方向に動作する場合と、その弁体が閉弁方向に動作する場合とでは、異なるエネルギ損失量が発生することがある。
開弁側の電磁石に供給される励磁電流と、閉弁側の電磁石に供給される励磁電流とは、大きく相違しないことが望ましい。従って、弁体の動作方向に応じてエネルギ損失量が異なる場合には、スプリングがアーマチャを付勢するエネルギが弁体の動作方向に応じて相違していることが望ましい。より具体的には、弁体が大きなエネルギ損失を伴う方向に動作する場合に、弁体が逆方向に動作する場合に比して、スプリングが大きなエネルギでアーマチャを付勢することが望ましい。
【0008】
上述の如く、上記従来の電磁駆動弁において、スプリングは、弁体の動作方向に関わらず同等のエネルギでアーマチャを付勢する。この場合、弁体の動作方向に起因するエネルギ損失量の相違を、スプリングからアーマチャに供給されるエネルギで相殺することはできない。このため、上記従来の電磁駆動弁によっては、開弁側の電磁石と閉弁側の電磁石とに同等の励磁電流を供給しつつ、開弁方向への動作時および閉弁方向への動作時に同等の動作特性を確保することができなかった。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、一対の電磁石に供給される励磁電流が同等である状況下で、開弁方向と閉弁方向とに同等の動作特性を発揮する内燃機関の電磁駆動弁を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する内燃機関の電磁駆動弁により達成される。
【0011】
請求項1記載の発明において、弾性部材は、アーマチャを中立位置に向けて付勢する付勢力を発生する。中立位置は、一方の電磁石に偏った位置に設定されている。このため、アーマチャが他方の電磁石に吸着されている場合は、アーマチャが上述した一方の電磁石に吸着されている場合に比して、弾性部材に大きなエネルギが蓄えられる。従って、請求項1記載の発明において、弾性部材は、アーマチャが他方の電磁石側から一方の電磁石側へ動作する際には大きなエネルギでアーマチャを付勢し、アーマチャが一方の電磁石側から他方の電磁石側へ動作する際には小さなエネルギでアーマチャを付勢する。
【0014】
具体的には、上記の目的は、請求項1に記載する如く、内燃機関の吸気弁と共に動作するアーマチャと、前記アーマチャの両側に配設される一対の電磁石と、前記アーマチャの両側から前記アーマチャを中立位置に向けて付勢する一対の弾性部材と、を備える内燃機関の電磁駆動弁において、
前記吸気弁と前記アーマチャとが分離されており、
前記一対の弾性部材の一方が、前記吸気弁を介して前記アーマチャを閉弁方向に付勢しており、
前記中立位置が、前記一対の電磁石の中間位置から一方の電磁石側に偏っており、
前記一方の電磁石は、前記吸気弁を閉弁する際に、前記吸気弁が閉弁するまでは前記吸気弁及び前記アーマチャの双方を閉弁方向に引き寄せる電磁力を発生すると共に、前記吸気弁が閉弁した後は前記吸気弁及び前記アーマチャのうち前記アーマチャのみを閉弁方向に引き寄せる電磁力を発生する電磁石である内燃機関の電磁駆動弁により達成される。
【0015】
本発明において、弁体とアーマチャとは分離可能に構成されている。このため、弁体およびアーマチャが閉弁方向に動作する過程では、弁体が弁座に着座した後、アーマチャのみが、弁体から分離して閉弁側の電磁石に向かって動作する事態が生じ得る。
本発明において、アーマチャを閉弁方向に付勢する付勢力は、弁体を介してアーマチャに伝達される。従って、アーマチャが弁体から分離して閉弁側の電磁石に向かって動作する過程では、アーマチャに対して閉弁方向へ向かう付勢力が伝達されない。この場合、アーマチャには他方の弾性部材が発生する付勢力、すなわち、アーマチャの閉弁方向への動作を妨げる付勢力のみが作用する。一方、弁体およびアーマチャが開弁方向に動作する場合は、アーマチャに対して双方の弾性部材の付勢力が常に伝達される。このため、本発明の電磁駆動弁において、弾性部材の発する付勢力は、閉弁方向に向かうアーマチャの振幅を、開弁方向に向かうアーマチャの振幅に比して大きく減衰させ易い。
【0016】
本発明において、弁体は吸気弁として用いられる。吸気弁に作用する外力は、開弁方向に動作する場合と、閉弁方向に動作する場合とで大きく相違しない。このため、アーマチャの振幅は、上述した付勢力の作用により、閉弁側に動作する場合に、開弁側に動作する場合に比して大きく減衰される。
本発明において、アーマチャの中立位置は、閉弁側の電磁石に偏った位置に設定されている。この場合、弾性部材は、弁体が閉弁方向に動作する際に、弁体が開弁方向に動作する場合に比して大きなエネルギでアーマチャを付勢する。この場合、アーマチャは、上述した振幅の減衰率の相違に関わらず、開弁方向に動作する場合と閉弁方向に動作する場合の双方の場合に同等の動作特性を示す。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例である電磁駆動弁10の全体構成図を示す。本実施例の電磁駆動弁10は、内燃機関の排気弁12を備えている。排気弁12は、内燃機関の燃焼室内に露出するようにシリンダヘッド14に配設されている。シリンダヘッド14には、排気ポート16が設けられている。排気ポート16には、排気弁12に対する弁座18が形成されている。排気ポート16は、排気弁12が弁座18から離座することにより導通状態となり、また、排気弁12が弁座18に着座することにより遮断状態となる。
【0018】
排気弁12には、弁軸20が固定されている。弁軸20は、バルブガイド22により軸方向に摺動可能に保持されている。バルブガイド22は、シリンダヘッド14に支持されている。また、弁軸20の上端部には、ロアリテーナ24が固定されている。ロアリテーナ24の下方にはロアスプリング26およびスプリングシート28が配設されている。ロアスプリング26は、ロアリテーナ24を図1における上方へ向けて付勢している。
【0019】
弁軸20の上部には非磁性材料で構成されたアーマチャ軸30が配設されている。アーマチャ軸30の上端部には、アッパーリテーナ32が固定されている。アッパーリテーナ32の上部には、アッパースプリング34が配設されている。アッパースプリング34は、アッパーリテーナ32を図1における下方へ向けて付勢している。
【0020】
アッパースプリング34の上端部は、スプリングホルダ34により保持されている。また、スプリングホルダ34の上部には、アジャスタボルト36が配設されている。アジャスタボルト36は、アッパキャップ38に螺着されている。アッパキャップ38は、ハウジングプレート40に固定されている。
アーマチャ軸30には、アーマチャ42が接合されている。アーマチャ42は、磁性材料で構成された環状の部材である。アーマチャ42の上下には、第1電磁石44および第2電磁石46が配設されている。第1電磁石44は、アッパコイル48およびアッパコア50を備えている。また、第2電磁石46は、ロアコイル52およびロアコア54を備えている。第1電磁石44および第2電磁石46は、ハウジングプレート40により、所定の位置関係に保持されている。
【0021】
電磁駆動弁10において、アーマチャ42は、アッパスプリング34がアーマチャ軸30を下方に向けて付勢することにより、また、ロアスプリング26が弁軸22を上方に向けて付勢することにより、中立位置に付勢されている。アーマチャ42の中立位置は、アジャスタボルト36により調整することができる。
本実施例において、電磁駆動弁10は、アーマチャ42の中立位置がアッパコア50とロアコア54の中間位置より、所定長だけロアコア54側に偏った位置に設定されている点に特徴を有している。尚、以下の記載においては、アッパコア50とアーマチャ42の中立位置との距離をXLと、また、ロアコア54とアーマチャ42の中立位置との距離をXS(<XL)とする。
【0022】
以下、電磁駆動弁10の動作と共に、上記の特徴部に起因して得られる効果について説明する。
電磁駆動弁10において、アッパコイル48およびロアコイル52の何れにも励磁電流が供給されていない場合は、アーマチャ42が中立位置に保持される。この場合、弁体12は、全開状態と全閉状態のほぼ中間の状態となる。かかる状況下でアッパコイル48に励磁電流が供給されると、第1電磁石44とアーマチャ42との間には、アーマチャ42を第1電磁石44側へ引き寄せる電磁力が発生する。
【0023】
このため、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル48に適当な励磁電流を供給することで、アーマチャ42を第1電磁石44側へ動作させることができる。アーマチャ軸30は、アーマチャ42がアッパコア50と衝突するまで第1電磁石44側へ動作することができる。電磁駆動弁10は、弁軸20の熱膨張等に影響されることなく、アーマチャ42がアッパコア50に到達する前に確実に排気弁12が弁座18に着座するように構成されている。このため、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル48に適当な励磁電流を供給することで、確実に排気弁12を全閉状態とすることができる。
【0024】
アーマチャ42が第1電磁石44に吸着されている場合、アッパスプリング38の軸長、および、ロアスプリング26の軸長は、アーマチャ42が中立位置に維持されている場合に比して、ほぼ所定長XLだけ縮小または伸長される。この場合、アッパスプリング38およびロアスプリング26のバネ定数をKとすると、アッパスプリング38およびロアスプリング26に蓄えられるエネルギEUは次式の如く表すことができる。
【0025】
EU=K・XL2 /2 ・・・(1)
アーマチャ42が第1電磁石44に吸着されている状況下で、アッパコイル48への励磁電流の供給が停止されると、以後、アーマチャ軸30、弁軸20および排気弁12は、アッパスプリング34およびロアスプリング26のバネ力に起因して開弁方向に動作する。上記の動作には、摺動摩擦等に起因するエネルギ損失が生ずる。このため、排気弁12の振幅は、排気弁12が開弁方向に動作する過程である程度減衰される。
【0026】
電磁駆動弁10においては、ロアコイル52に励磁電流を供給することで、第2電磁石46とアーマチャ42との間に、アーマチャ42を第2電磁石46側へ引き寄せる電磁力が発生する。このため、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル44への励磁電流の供給を停止した後、適当なタイミングでロアコイル52に励磁電流を供給することで、上述した振幅の減衰を補って、アーマチャ42を第2電磁石46まで動作させることができる。
【0027】
排気弁12は、アーマチャ42が第2電磁石46と当接する際に全開状態となる。従って、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル48への励磁電流の供給を停止した後、適当な時期にロアコイル52への励磁電流の供給を開始することで、排気弁12を全閉状態から全開状態に変化させることができる。
アーマチャ42が第2電磁石46に吸着されている場合、アッパスプリング38の軸長、および、ロアスプリング26の軸長は、アーマチャ42が中立位置に維持されている場合に比して、ほぼ所定長XSだけ伸長または縮小される。この場合、アッパスプリング38およびロアスプリング26のバネ定数をKとすると、アッパスプリング38およびロアスプリング26に蓄えられるエネルギELは次式の如く表すことができる。
【0028】
EL=K・XS2 /2 ・・・(2)
アーマチャ42が第2電磁石46に吸着されている状況下で、ロアコイル52への励磁電流の供給が停止されると、以後、アーマチャ軸30、弁軸20および排気弁12は、アッパスプリング34およびロアスプリング26のバネ力に起因して閉弁方向に動作する。上記の動作には、摺動摩擦等に起因するエネルギ損失が生ずる。このため、排気弁12の振幅は、排気弁12が閉弁方向に動作する過程である程度減衰される。
【0029】
電磁駆動弁10によれば、ロアコイル52への励磁電流の供給を停止した後、適当な時期にアッパコイル48への励磁電流の供給を開始することで、上記の減衰を補って、アーマチャ42を第1電磁石44まで動作させることができる。このため、電磁駆動弁10によれば、アッパコイル34およびロアコイル40に交互に励磁電流を供給することで、排気弁12を適正に開閉動作させることができる。
【0030】
ところで、内燃機関において、排気弁12の開弁動作は、燃焼室に高圧の燃焼圧が残存している状況下で行われる。このため、排気弁12の振幅は、排気弁12が開弁方向に動作する場合に、排気弁12が閉弁方向に動作する場合に比して大きく減衰される。従って、排気弁12の開弁動作時と閉弁動作時とに、同等の動作特性を得るためには、開弁動作時に、閉弁動作時に比して大きなエネルギで排気弁12を付勢することが必要である。
【0031】
上述の如く、本実施例の電磁駆動弁10においては、アーマチャ42が第1電磁石44に吸着されている場合に、アーマチャ42が第2電磁石46に吸着されている場合に比して、アッパスプリング34およびロアスプリング26に大きなエネルギが蓄えられる。このため、電磁駆動弁10においては、アッパスプリング34およびロアスプリング26が、開弁動作時に、閉弁動作時に比して大きなエネルギで排気弁12を付勢する現象が生ずる。
【0032】
アッパスプリング34およびロアスプリング26が、上記の如く排気弁12を付勢することによれば、開弁動作時におけるエネルギ損失量と、閉弁動作時におけるエネルギ損失量との相違を、アッパスプリング34およびロアスプリング26の発生するエネルギにより相殺することができる。このため、本実施例の電磁駆動弁10によれば、アッパコイル48に供給する励磁電流と、ロアコイル52に供給する励磁電流とを大きく相違させることなく、開弁動作時と閉弁動作時とに同等の動作特性を実現することができる。
【0034】
ところで、上記の実施例においては、アーマチャ42の中立位置を、常に第2電磁石46に偏った位置に設定することとしているが、本発明は、これに限定されるものではなく、アーマチャ42の中立位置を可変とするアクチュエータを設け、燃焼圧が高圧となる高負荷・高回転時にのみアーマチャ42の中立位置を第2電磁石46側に移動させることとしてもよい。
【0035】
次に、図2を参照して、本発明の第2実施例について説明する。
図2は、本実施例の電磁駆動弁60の全体構成図を示す。本実施例の電磁駆動弁60は、上記図1に示す電磁駆動弁10の構成において、第1電磁石44に変えて第1電磁石62を備えている点に特徴を有している。尚、図2において、上記図1に示す構成部分と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0036】
第1電磁石62は、アッパコア64を備えている。アッパコア64には、アッパコイル48が収納されている。アッパコア64は、アーマチャ42と対抗する端面に環状突起66を備えている。環状突起66は、アーマチャ42の外径に比して僅かに大きな内径を有している。従って、アーマチャ42が第1電磁石62に吸着された場合に、アーマチャ42と環状突起66との間には、所定のエアギャップが形成される。
【0037】
本実施例において、アーマチャ42の中立位置は、第1実施例の場合と同様に、第1電磁石62と第2電磁石46との中間位置から所定長だけ第2電磁石46側に偏った位置に設定されている。かかる構造は、開弁動作時に、アッパスプリング34およびロアスプリング26のバネ力により排気弁12を第2電磁石46の近傍まで動作させる上で有効である。
【0038】
しかし、上記の構造によれば、アーマチャ42の中立位置が第1電磁石62と第2電磁石46の中間位置に設定されている場合に比して、アーマチャ42と第1電磁石62との間に大きな距離が生じ易い。アーマチャ42と電磁石との間には、両者の距離が短いほど効率よく電磁力が発生する。従って、アーマチャ42の中間位置を第2電磁石46側に偏った位置に設定する構造は、アーマチャ42と第1電磁石62との間に効率よく電磁力を発生させるうえでは、必ずしも好ましい構造ではない。
【0039】
本実施例の電磁駆動弁60において、アッパコア64には、上記の如く環状突起66が設けられている。環状突起66によれば、環状突起66が設けられていない場合に比して、アッパコア64の端面とアーマチャ42との間の距離を短縮することができる。このため、第1電磁石62は、アーマチャ42の中立位置が第2電磁石46側に偏っている状況下で、効率良くアーマチャ42を引き寄せる電磁力を発生する。従って、本実施例の電磁駆動弁60によれば、第1実施例の電磁駆動弁10に比して、更に優れた省電力特性を実現することができる。
【0040】
次に、図3を参照して、本発明の第3実施例について説明する。
図3は、本実施例の電磁駆動弁70の全体構成図を示す。本実施例の電磁駆動弁70は、吸気弁72を備えている点、および、アーマチャ42の中立位置が第1電磁石44と第2電磁石46の中間点から所定長だけ第1電磁石44側に偏った位置に設定されている点に特徴を有している。尚、図3において、上記図1に示す構成部分と同一の部分には、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0041】
シリンダヘッド14には、吸気ポート74が形成されている。吸気ポート74には、弁座76が配設されている。吸気弁72は、弁座76に着座することにより、または、弁座76から離座することにより吸気ポート74を遮断状態または導通状態とする。
吸気弁72の開弁動作は、排気弁12の開弁動作と異なり、燃焼室に燃焼圧が残存しない状況下で行われる。このため、吸気弁72の動作を妨げる外力は、開弁動作時と閉弁動作時とで大きく相違しない。従って、外力に起因する振幅の減衰量は、吸気弁72の開弁動作時と、閉弁動作時とでほぼ同等となる。
【0042】
電磁駆動弁70は、弁軸20等の熱膨張に影響されることなく、確実に吸気弁72が弁座76に着座するように構成されている。すなわち、電磁駆動弁70は、弁軸20等に熱膨張が生じても、常にアーマチャ42がアッパコア50に到達する前に吸気弁72が弁座76に到達するように構成されている。このため、電磁駆動弁70においては、アーマチャ42が第1電磁石44に引き寄せられる過程で、吸気弁72が弁座76に着座した後、アーマチャ42およびアーマチャ軸30のみが、弁軸20から分離して第1電磁石44に向かって動作する状況が生じ得る。
【0043】
電磁駆動弁70において、アッパリテーナ32は、アーマチャ軸30に固定されている。このため、アッパスプリング34のバネ力は、直接的にアーマチャ軸30に伝達される。一方、ロアリテーナ24は、弁軸20に固定されている。このため、ロアリテーナ24のバネ力は、弁軸20を介して間接的にアーマチャ軸30に伝達される。
【0044】
上述の如く、電磁駆動弁70においては、アーマチャ42が第1電磁石44の近傍に到達した後、アーマチャ軸30が弁軸20から分離する状況が生ずる。かかる状況下では、ロアスプリング26のバネ力がアーマチャ軸30に伝達されず、アーマチャ軸30にアッパスプリング34のバネ力だけが伝達される事態が生ずる。
【0045】
アッパスプリング34は、アーマチャ42を第2電磁石46へ向けて付勢するバネ力を発生する。このため、アーマチャ軸30にアッパスプリング34の発するバネ力のみが作用する状況下では、第1電磁石44に向かうアーマチャ42の振幅に急激な減衰が生ずる。
アーマチャ42が第2電磁石46に向かって動作する過程では、アーマチャ42が第1電磁石44を離れた後、アーマチャ42が第2電磁石46に到達するまで常に、アーマチャ軸30に、アッパスプリング34のバネ力およびロアスプリング26のバネ力の双方が作用する。このため、アーマチャ42が第2電磁石46に向かって動作する過程では、アーマチャ42の振幅に急激な減衰が生ずることはない。
【0046】
このように、電磁駆動弁70において、アッパスプリング34のバネ力およびロアスプリング26のバネ力は、アーマチャ42が第1電磁石44に向かって動作する場合に、アーマチャ42が第2電磁石46に向かって動作する場合に比して大きくアーマチャ軸30の振幅を減衰させる。このため、吸気弁72の振幅は、閉弁動作時に、開弁動作時に比して大きく減衰され易い。
【0047】
上述の如く、電磁駆動弁70において、アーマチャ42の中立位置は、第1電磁石42に偏った位置に設定されている。かかる構造によれば、アッパスプリング34およびロアスプリング26は、吸気弁12の閉弁動作時に、吸気弁12の開弁動作時に比して大きなエネルギでアーマチャ軸30を付勢する。この場合、開弁動作時と閉弁動作時における減衰量の相違が、アッパスプリング34およびロアスプリング26の発生するエネルギにより相殺される。このため、本実施例の電磁駆動弁70によれば、アッパコイル48に供給する励磁電流と、ロアコイル52に供給する励磁電流とを大きく相違させることなく、開弁動作時と閉弁動作時とに同等の動作特性を実現することができる。
【0048】
尚、上記の実施例においては、吸気弁72が前記請求項1記載の「吸気弁」に相当していると共に、第1電磁石44が前記請求項1記載の「一方の電磁石」、すなわち「アーマチャを閉弁方向に引き寄せる電磁力を発生する電磁石」に相当している。
ところで、本実施例の電磁駆動弁70において、アーマチャ42の中立位置は、第1実施例および第2実施例における中立位置と異なる位置に設定されている。このような構造の差異は、例えば、アジャスタボルト36の締め込み調整を行うことにより、または、厚さの異なるスプリングシート28を用いることにより設けることができる。厚さの異なるスプリングシート28を用いることによれば、排気弁12を駆動する電磁駆動弁10,60と、吸気弁72を駆動する電磁駆動弁70とにおいて、アッパスプリング34およびロアスプリング26の共通化を図りつつ、それらのセット高さを等しくすることができる。
【0049】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1記載の発明によれば、電磁駆動弁の弁体の動作方向に応じて、弾性部材に異なるエネルギでアーマチャを付勢させることができる。このため、請求項1記載の発明によれば、2つの電磁石に供給する励磁電流を大きく異ならせることなく、ほぼ同等の動作特性で電磁駆動弁の弁体を開弁方向および閉弁方向に動作させることができる。
【0050】
具体的には、請求項1記載の発明によれば、本発明に係る電磁駆動弁を吸気弁として用いる場合に、2つの電磁石に供給する励磁電流を大きく異ならせることなく、ほぼ同等の動作特性で弁体を開弁方向および閉弁方向に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の電磁駆動弁の全体構成図である。
【図2】本発明の第2実施例の電磁駆動弁の全体構成図である。
【図3】本発明の第3実施例の電磁駆動弁の全体構成図である。
【符号の説明】
10;60;70 電磁駆動弁
12 排気弁
20 弁軸
26 ロアスプリング
30 アーマチャ軸
34 アッパスプリング
42 アーマチャ
44;64 第1電磁石
46 第2電磁石
72 吸気弁
Claims (1)
- 内燃機関の吸気弁と共に動作するアーマチャと、前記アーマチャの両側に配設される一対の電磁石と、前記アーマチャの両側から前記アーマチャを中立位置に向けて付勢する一対の弾性部材と、を備える内燃機関の電磁駆動弁において、
前記吸気弁と前記アーマチャとが分離されており、
前記一対の弾性部材の一方が、前記吸気弁を介して前記アーマチャを閉弁方向に付勢しており、
前記中立位置が、前記一対の電磁石の中間位置から一方の電磁石側に偏っており、
前記一方の電磁石は、前記吸気弁を閉弁する際に、前記吸気弁が閉弁するまでは前記吸気弁及び前記アーマチャの双方を閉弁方向に引き寄せる電磁力を発生すると共に、前記吸気弁が閉弁した後は前記吸気弁及び前記アーマチャのうち前記アーマチャのみを閉弁方向に引き寄せる電磁力を発生する電磁石である、ことを特徴とする内燃機関の電磁駆動弁。
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